JPH0661672U - ゴムクローラの構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 ［目的］ 従来よりゴムクローラではその幅方向の両端
側の剛性が比較的小さいので、湾曲する傾向がある。ま
たゴムクローラの駆動時には、転輪通過にともないその
都度芯金が左右に傾く傾向がある。したがってゴムクロ
ーラのゴム弾性体に亀裂破損を生じたり、スチールコー
ドの破断事故をおこすことがあった。この問題点を解決
する。 ［構成］ 本考案のゴムクローラの構造では、補強体を
無端帯状の強化せん維材で形成し、ゴムクローラの幅方
向断面視で、ゴムクローラの中央部からスチールコード
の接地側、スチールコードの側方側にわたる範囲に、あ
るいはまたさらに芯金の左右側端部の上面にわたる範囲
に、あるいはまた多数体のスチールコードを包囲する状
態に、あるいはまたゴムクローラの側端部近くに至る範
囲にわたって、補強体を埋設して構成した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、油圧ショベルなど建設機械，作業車両に装着するゴムクローラに関 する。

【０００２】

【従来の技術】

図５は、従来技術のゴムクローラ１の幅方向断面図である。図において、２は ゴムクローラ１のゴム弾性体、３は芯金、４はスチールコード、仮想線で示す５ は転輪である。図６は、図５のＡーＡより見た図である。従来技術のゴムクロー ラ１は、図５及び図６に示すように無端をなす（無端をなす状態は周知により図 示していない）ゴム弾性体（２）中にその幅方向に並べられた多数個の芯金３と 、その芯金３を外囲いするように周方向に引き揃えられた多数本のスチールコー ド４を埋設して、構成されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ゴムクローラの内部には多数個の芯金が並設されているが、幅方向の両端側の 剛性が比較的小さいので、図５に示す仮想線イ，イ’のように湾曲する傾向があ る。また車両の走行体（図示しない）のスプロケットとアイドラに巻き掛けられ て駆動するときに、転輪通過にともないその都度芯金が左右に傾く傾向がある。 したがって図５に示す符号ロ，ハ，ニ，ホのようにゴム弾性体に亀裂破損を生じ たり、スチールコードの破断事故をおこすことがあった。本考案は、上記の問題 点を解決することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案のゴムクローラの構造は、無端をなすゴム弾性体中にその幅方向に並べ られた多数個の芯金と、その芯金を外囲いするように周方向に引き揃えられた多 数本のスチールコードと、そのスチールコードの接地側でそのスチールコードを 挟んで補強体を埋設してなるゴムクローラの構造であって、補強体を無端帯状の 強化せん維材で形成し、ゴムクローラの幅方向断面視で、ゴムクローラの中央部 からスチールコードの接地側、スチールコードの側方側にわたる範囲に、スチー ルコードを外囲いする状態に埋設して構成した。あるいはまたゴムクローラの幅 方向断面視で、ゴムクローラの中央部からスチールコードの接地側、スチールコ ードの側方側、芯金の左右側端部の上面側にわたる範囲に、補強体を埋設するよ うにした。あるいはまたゴムクローラの幅方向断面視で、多数本のスチールコー ドの外側を包囲する状態に補強体を形成して埋設した。あるいはまたゴムクロー ラの幅方向断面視で、ゴムクローラの中央部からスチールコードの接地側、ゴム クローラの側端部近くに至る範囲にわたって、補強体を埋設するようにした。

【０００５】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図１は、本考案請求 項１のゴムクローラ６の幅方向断面図である。図において、７はゴムクローラ６ のゴム弾性体、８は芯金、９はスチールコード、１０はいわゆるケプラー等の強 化せん維材を用いている補強体、１０Ｌ，１０Ｒは補強体１０を左右の分割形に した状態の左補強体，右補強体である。次に、本考案請求項１のゴムクローラ６ の構造を図１について述べる。なおゴムクローラ６の単体（左右一対のうちの単 体）は左右対称形に形成され、また補強体１０を左右の分割形にしているので、 図示の左側の部分を代表して説明する。ゴムクローラ６では、補強体１０Ｌを無 端帯状のケプラー等強化せん維材で形成し、ゴムクローラ６の幅方向断面視で、 ゴム弾性体７の中央部からスチールコード９の接地側、スチールコード９の側方 側（符号ヘで示す部分であるが芯金８の側端側を含む）にわたる範囲に、スチー ルコード９を外囲いする状態で埋設した。

【０００６】 次に、本考案請求項１におけるゴムクローラ６の構造の作用について述べる。 ゴムクローラ６では、強化せん維材の補強体１０をスチールコード９の側方側に わたる範囲に外囲い状態に埋設したので、その幅方向の剛性が全周にわたって増 大した。それによりゴムクローラ６の駆動時に、ゴムクローラ６が幅方向に湾曲 する度合と、芯金８の左右に傾く傾向を低減させることができる。したがってゴ ム弾性体７が弾性限度を超えた無理な変形をしないので、ゴム弾性体７の亀裂発 生と、スチールコード９の破断事故を防止することができる。

【０００７】 次に図２は、本考案請求項２のゴムクローラ１１の幅方向断面図である。図に おいて、請求項１におけるゴムクローラ６と同一構成要素を使用しているものに 対しては同符号を付す。なお補強体１２を左右の分割形（１２Ｌと１２Ｒ）にし ているので、図示の左側の部分を代表して説明する。ゴムクローラ１１では、ゴ ムクローラ１１の幅方向断面視で、ゴム弾性体１３の中央部からスチールコード ９の接地側、スチールコード９の側方側、芯金８の側端部の上面側（符号トで示 す部分にわたる範囲に、補強体１２Ｌを埋設した。この請求項２におけるゴムク ローラ１１の構造の作用は、請求項１におけるゴムクローラ６の構造の場合と同 様である。

【０００８】 次に図３は、本考案請求項３のゴムクローラ１４の幅方向断面図である。図に おいて、請求項１におけるゴムクローラ６と同一構成要素を使用しているものに 対しては同符号を付す。なお補強板１５を左右の分割形（１５Ｌ，１５Ｒ）にし ているので、図示の左側の部分を代表して説明する。ゴムクローラ１４では、ゴ ムクローラ１４の幅方向断面視で、多数本のスチールコード９の外側を包囲する 状態に補強体１５Ｌを形成して、ゴム弾性体１６に埋設した。この請求項３にお けるゴムクローラ１４の構造の作用は、請求項１におけるゴムクローラ６の構造 の場合と同様である。

【０００９】 次に図４は、本考案請求項４のゴムクローラ１７の幅方向断面図である。図に おいて、請求項１におけるゴムクローラ６と同一構成要素を使用しているものに 対しては同符号を付す。なお補強体１８を左右の分割形（１８Ｌと１８Ｒ）にし ているので、図示の左側の部分を代表して説明する。ゴムクローラ１７では、ゴ ムクローラ１７の幅方向断面視で、ゴム弾性体１９の中央部からスチールコード ９の接地側、ゴム弾性体１９の側端部近く（符号チで示す部分）に至る範囲にわ たって補強体１８Ｌを埋設した。この請求項４におけるゴムクローラ１７の構造 の作用は、請求項１におけるゴムクローラ６の構造の場合と同様である。

【００１０】

【考案の効果】

従来よりゴムクローラではその幅方向の両端側の剛性が比較的小さいので、湾 曲する傾向がある。またゴムクローラの駆動時には、転輪通過にともないその都 度芯金が左右に傾く傾向がある。したがってゴムクローラのゴム弾性体に亀裂破 損を生じたり、スチールコードの破断事故をおこすことがあった。しかし本考案 のゴムクローラでは、補強体を無端帯状の強化せん維材で形成し、ゴムクローラ の幅方向断面視で、ゴムクローラの中央部からスチールコードの接地側、スチー ルコードの側方側にわたる範囲に、あるいはまたさらに芯金の左右両端部の上面 部にわたる範囲に、あるいはまた多数本のスチールコードを包囲する状態に、あ るいはまたゴムクローラの側端部近くに至る範囲にわたって、補強体を埋設して 構成した。それによりゴムクローラの幅方向の剛性が全周にわたって増大し、駆 動時にゴムクローラが幅方向に湾曲する度合と、芯金の左右に傾く傾向を低減さ せることができる。すなわちゴムクローラのゴム弾性体が弾性限度を超えた無理 な変形をしないので、ゴム弾性体の亀裂発生と、スチールコードの破断事故を防 止することができる。したがって本考案の構造をそなえたゴムクローラでは、そ のメンテナンス性が向上し、耐用寿命を延ばすことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案請求項１のゴムクローラの幅方向断面図
である。

【図２】本考案請求項２のゴムクローラの幅方向断面図
である。

【図３】本考案請求項３のゴムクローラの幅方向断面図
である。

【図４】本考案請求項４のゴムクローラの幅方向断面図
である。

【図５】従来技術のゴムクローラの幅方向断面図であ
る。

【図６】図５のＡーＡより見た図である。

【符号の説明】

１，６，１１，１４，１７ ゴムクローラ ２，７，１３，１６，１９ ゴム弾性体 ３，８ 芯金 ４，９ スチールコード ５ 転輪 １０，１２，１５，１８ 補強体

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 無端をなすゴム弾性体中にその幅方向に
   並べられた多数個の芯金と、その芯金を外囲いするよう
   に周方向に引き揃えられた多数本のスチールコードと、
   そのスチールコードの接地側でそのスチールコードを挟
   んで補強体を埋設してなるゴムクローラの構造であっ
   て、補強板を無端帯状の強化せん維材で形成し、ゴムク
   ローラの幅方向断面視で、ゴムクローラの中央部からス
   チールコードの接地側、スチールコードの側方側にわた
   る範囲に、スチールコードを外囲いする状態に埋設した
   ことを特徴とするゴムクローラの構造。
2. 【請求項２】 実用新案登録請求の範囲請求項１記載の
   ゴムクローラの構造において、ゴムクローラの幅方向断
   面視で、ゴムクローラの中央部からスチールコードの接
   地側、スチールコードの側方側、芯金の左右側端部の上
   面側にわたる範囲に、補強体を埋設したことを特徴とす
   るゴムクローラの構造。
3. 【請求項３】 実用新案登録請求の範囲請求項１記載の
   ゴムクローラの構造において、ゴムクローラの幅方向断
   面視で、多数本のスチールコードの外側を包囲する状態
   に補強体を形成して埋設したことを特徴とするゴムクロ
   ーラの構造。
4. 【請求項４】 実用新案登録請求の範囲請求項１記載の
   ゴムクローラの構造において、ゴムクローラの幅方向断
   面視で、ゴムクローラの中央部からスチールコードの接
   地側、ゴムクローラの側端部近くに至る範囲にわたっ
   て、補強体を埋設したことを特徴とするゴムクローラの
   構造。