JPH0649155Y2 - コンバインにおける穀稈継送搬送装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は刈取装置で刈取った穀稈を扱深調節を兼ねた穀
稈搬送装置で脱穀装置に搬送供給するコンバインにおい
て、穀稈搬送装置から脱穀装置のフィードチエンに穀稈
を継送搬送する装置に関する。

〔従来の技術〕

従来、刈取装置で刈取った穀稈を前部を中心として傾動
させることにより扱深調節を行なう穀稈搬送装置で脱穀
装置に供給するようにしたコンバインにおいて、前記穀
稈搬送装置を構成する株元挟持搬送体から、継送レール
及び継送補助レールを設けて、脱穀装置のフィードチエ
ンに穀稈を継送搬送するものは一般に実施されており、
前記継送レールの自由端となしたその終端部をフィード
チエン始端とラップせしめた上、位置を規制して穀稈を
継送する継送装置は実開昭61−175937号公報により既に
知られている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

前記既知のコンバインにおける穀稈搬送装置は穀稈層の
厚さが大なる大量の穀稈が搬送されてきたとき、継送レ
ールは挟扼レール内に設けられた押圧部材でその終端が
規制され、挟扼レールに挟持される直前でフィードチエ
ンから大きく離間しないので、両者間の穀稈の継送を急
激な抵抗を与えることなく円滑に行なうことができるも
のではあるが、この部において穀稈の穂茎部が、例えば
穂側の搬送装置、又は脱穀機の入口板等の摺接抵抗を受
けるとき、継送レールは稈身方向へ不測に押し引きさ
れ、挟持穀稈により挟扼レールが上方に浮上がっていた
りすると、前記継送レール終端部は押圧部材から外れた
り、あるいは挟扼レールの外側レール片の外側に位置
し、ついにはフィードチエンより離脱してしまう等継送
不能状態となり、この部における稈こぼれや詰まりを生
じ易い問題があった。

そこで、本考案は上記の問題を解消することのできる簡
潔な構成でありながら、信頼性の高いコンバインにおけ
る穀稈搬送装置の提供を目的として実施するものであ
る。

〔問題点を解決するための手段〕

前記問題を解決するための本考案の構成は、刈取穀稈を
株元挟持搬送体から挟扼レールを有してアンダーチエン
方式となした脱穀装置のフィードチエン始端部に継送搬
送するに、前記株元挟持搬送体寄りに基部を取着せる、
広巾弾性板で構成した継送レールの後端部位を二又状に
切欠して切欠部を形成するとともに、該切欠部を前記フ
ィードチエンの上方に対設した挟扼レールのレール片の
始端斜辺部に噛合せしめたことを特徴とするコンバイン
における穀稈継送搬送装置にある。

〔作用〕

上述したように本考案は構成され、株元挟持搬送体寄り
に基部を取付けた継送レールを巾広の弾性板で構成した
ため、フィードチエンの両プレートと継送レールとの間
で穀稈の株元部の両側端を確実に挟持することが可能と
なり、乱れを発生し易い極長、端稈の挟持搬送におい
て、稈ずれやこぼれを伴うことなく搬送することができ
る。

また、継送レールの後端側を二又状になるようにして切
欠部に形成し、その切欠部を挟扼レールのレール片始端
斜辺部に噛合するように設けたことにより、穀稈量の変
化によって継送レールと挟扼レールとが個別に動作して
も、両レールの間で穀稈が容易に離脱したり、側方へず
れるのを防ぐことができる。

また、継送レールが挟持穀稈によって大きく上動する場
合であっても、継送レール後端側の切欠部の端部が挟扼
レールと接当して、あらかじめこれを上動させるように
付勢することが可能であるため、強い弾性力を有する挟
扼レールの始端部において生じる急激な挟持抵抗を減少
することができる。

〔実施例〕

以下、図面に示す実施例について説明すると、第１図は
本考案に係るコンバインにおける穀稈継送搬送装置の要
部を示す側面図、第２図はその平面図、第３図は要部を
正面から見た断面図、第４図はコンバインの要部を示す
正面図である。

第４図において、１は走行装置２を有する機台３上に搭
載した脱穀機であって、その他側には図示してないが、
前方から順に操作盤、操縦席、穀粒タンク等が設けてあ
り、前方には分草体４…、穀稈引起体５…、刈刃６、掻
込輪７、株元掻込チエン8,8及び穂部掻込体9,9等からな
る刈取装置Ａを設け、この刈取装置Ａと前記脱穀装置１
との間に第１図に示すように、穂側搬送体10と搬送チエ
ン11a及び挟持レール11bで構成された株元挟持搬送体11
とからなり、かつアンダーチエン方式となした脱穀装置
１のフィードチエン1aの始端部近傍の横軸Ｂ′を中心と
して扱深調節レバーＢ″（第１図）により上下傾動する
扱深調節装置Ｂが配設してあり、前記刈取装置Ａ及び扱
深調節装置Ｂは油圧シリンダー12により昇降する。尚、
1bは前記フィードチエン1a側に支棒1d及びバネ1eで弾圧
付勢された挟扼レールである。なお、アンダーチエン方
式とは、フィードチエン1aと挟扼レール1bとの間で穀稈
を搬送するようにした脱穀装置において、フィードチエ
ン1aを挟扼レール1bの下方に配設、そのフィードチエン
1aと挟扼レール1bとの間に形成される穀稈の搬送通路の
下方にフィードチエン1aが配置される構成のものであ
る。

そして前記株元挟持搬送体11の支持枠13（第２図）の中
途部下面に、案内面がゆるやかなカーブで外方へ突出し
ながら後方へ向かって延びる斜辺部16bと、これより徐
々に円弧面に形成した誘導部16cをフィードチエン1a始
端部上にラップさせて臨ませるとともに、その後端を湾
曲させて株元挟持搬送体11の搬送面より内側に入る案内
板14を設け、該案内板14と、株元挟持搬送体11の搬送チ
エン11aに噛合するスプロケット15bから下方に延出した
軸15cに取付けられたスプロケット15aとに多数の突起16
a…を有し、そのチエン巾ｈ（第１図）が株元挟持搬送
体11aの搬送巾Ｈより小巾となした搬送チエン16を張設
して補助株元搬送装置Ｃを構成してある。

また、前記実施例では扱深調節装置Ｂを扱深調節レバー
Ｂ″（第１図）で調節したが、自動制御により調節する
ことができることは勿論である。

なお、図面中、17は（第２図）前記横軸Ｂ′を中心とし
て傾動する縦軸18に装着した駆動スプロケット、20はテ
ンションロールであり、前記スプロケット15b、テンシ
ョンロール20に対応するチエン張り用のスプロケットを
兼ねながら補助株元搬送装置Ｃの駆動装置になり、コス
トを低減することができると共に軽量化に寄与すること
ができる。

23は支持杆13から支杆24で支持されて挟持レール11bを
弾持せる保持枠である。25は該保持枠23後部に基部を取
着された広巾弾性板よりなる継送レールであって、自由
端となしたその後端部は二又状に切欠して切欠部25aを
形成するとともに、該切欠部25aをフィードチエン1a上
に対設せる挟扼レール1bのレール片1cの斜辺部に入込ま
せ噛合させてある（第１図、第２図、第３図）。そして
継送レール25の切欠端25bは大量の挟持穀稈によって上
動したとき、前記レール片1c斜辺部に接当する接当部と
なって、挟扼レール1b始端を上動させる力を付与するよ
うに設定されている。尚、この接当部は継送レール25の
後部25cが挟扼レール1bの内側部と接当せしめる接当部
としてもよい。

26は前記継送レール25の下方にあって、それより弱い弾
性材で基部を取付けられた継送補助レールである。

また、第５図及び第６図において、30は脱穀装置１の穀
稈入口であって、該穀稈入口30に沿ってその上方の天板
31前端には可撓膜とした飛散防止カバー32を垂設すると
ともに、その内方に入口板33の支軸33aを中心に上方が
扱室34側に向けて回動可能にバネ35で弾持された飛散防
止板36が設けてあり、穀稈が入口に搬送供給されると
き、穀稈は前記両者を扱室内の処理物の飛散がない状態
で互いに扱室34側に押しやったり入り込むことができ
る。

さらに、前記入口板33の内側は扱室34側に向けた下降斜
面が形成してあり、この斜面37上には複数ケの立壁板38
が立設されている。これにより前記飛散防止板36が穀稈
で押し倒されて第６図の点線状態になったとき、それ以
上の回動を前記立壁板38が受け止めるとともに、扱室34
から入口30に向けて飛散しようとする処理物を前記飛散
防止板36及び立壁板38が受け止めて、斜面37から扱室34
内に還元することで、円滑な穀稈の挿入供給を飛散のな
い状態で適確に行なうことができるようにしてある。

本考案は、前述のコンバインにおいて、刈取装置Ａで刈
取られて掻込まれた穀稈は扱深調節装置Ｂにより扱深調
節を施されてから脱穀装置１に供給されて脱穀処理され
る。

そして、穀稈が扱深調節装置Ｂにより後送される際に、
株元部を株元挟持搬送体11が挟持搬送し、中途部で補助
株元搬送装置Ｃの搬送チエン16の斜め外方に徐々張り出
された斜辺部16bによって、株元挟持搬送体11から垂下
している株元部を外方へ徐々に押し出しながら移送遅れ
を生じないように強制搬送し、従来のガイド杆で押し出
すもののように抵抗により株元部が前方へ折れ曲がるこ
とがなく、搬送終端では第３図に示すように、補助株元
搬送装置Ｃの斜辺部16bに続く円弧部16cは、株元挟持搬
送体11とフィードチエン1a始端部において、該フィード
チエン1aに入り込みラップするように沿わせて設けてあ
ることにより、株元部は前述の作用を伴いながら円弧部
16cでゆるやかに後方に向けて変姿されて、適確にフィ
ードチエン1aの搬送面に略沿う姿勢で、その始端部にの
せ掛けられるように整然と受継させられ、以後フィード
チエン1a上にて継送補助レール26が前記補助株元搬送装
置Ｃとの共同作用で柔らかく株元を挟持すべく接当し
て、例え少量な穀稈でも稈こぼれを生じることなく確実
にフィードチエン1aに係合搬送せしめる。

このようにして継送された穀稈は強い挟持力を有する継
送レール25で適確に挟持されて挟扼レール1bに向けて継
送されるが、搬送されてくる穀稈が少量の場合には前記
継送レール25は前記挟扼レール1bに係合したまま稈量に
応じて上下動して、フィードチエン1aに継送せしめる。

また、稈量が大なる場合は継送レール25は大きく上動し
ようとするが、より強く弾持されている挟扼レール1bで
その接当部25bが規制されること、及びそれにより挟扼
レール1b始端は挟持される事前に持ち上げられるように
上方に動作されることにより円滑に継送搬送が行なわれ
る。

従って、搬送穀稈の状態又は量にかかわらず継送レール
25と挟扼レール1bとの適正な継送関係は常に維持されて
適確な継送搬送が行なわれるので、扱ぎ残しや稈こぼれ
及び脱穀部に荷負荷を与えることのない、能率のよいコ
ンバイン脱穀作業ができる。

また、前記搬送チエン10は株元挟持搬送体11により挟持
搬送されている穀稈の株元部を外方へ徐々に押し出すの
で、株元部によって上方に引張られるが、案内板14の案
内面は外方へ膨出しながら搬送チエン16のローラに摺接
しているので、搬送チエン16が案内板14から外れること
がない。

〔考案の効果〕

主として穀稈を強く挟持して搬送する継送レールとして
弾性を有する広巾な板で構成したので、フィードチエン
の両プレート間でその両側端が確実に穀稈を挟持するこ
ととなり、乱れを生じ易い極長、短稈の挟持搬送が稈ず
れや、こぼれを伴なうことなく搬送できるとともに、継
送レール後端は二又状となして挟扼レール始端の斜辺部
を挟み込むようにラップさせたことで、穀稈量の変化に
よって前記両レールが個々に動作しても、両者の噛合関
係は離脱したり、側方へずれることがない。

また、継送レールが挟持穀稈によって大きく上動するよ
うな場合には、前記継送レールに形成した接当部が挟扼
レールに接当して、あらかじめこれを上動させるように
付勢することにより、強い弾持力を有する挟扼レールの
始端部で急激な挟持抵抗を少なからしめることができる
ものである。

それ故、刈取穀稈の株元挟持搬送体からフィードチエン
への継送搬送が、刈取穀稈姿勢や状態に左右されること
なく極めて円滑で、トラブルを伴なうことのない高能率
なコンバイン脱穀作業が遂行できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すものであって、第１図はコ
ンバインにおける穀稈継送搬送装置コンバインの要部を
示す側面図、第２図は同平面図、第３図は要部を正面か
ら見た断面図、第４図はコンバインの前部の側面図、第
５図は脱穀部の入口構成を一部破断して示す斜視図、第
６図はその側断面図である。 Ａ…刈取装置、Ｂ…扱深調節装置、Ｂ′…横軸、Ｂ″…
扱深調節レバー、Ｃ…保持株元搬送装置、１…脱穀装
置、1a…フィードチエン、1b…挟扼レール、1c…レール
片、1d…支棒、1e…バネ、２…走行装置、３…機台、４
…分草体、５…穀稈引起体、６…刈刃、７…掻込輪、８
…株元掻込チエン、９…穂部掻込帯、10…穂側搬送体、
11…株元挟持搬送体、11a…搬送チエン、11b…挟持レー
ル、12…油圧シリンダー、13…支持稈、14…案内板、15
…スプロケット、15b…スプロケット、15c…軸、16…搬
送チエン、16a…突起、16b…斜辺部、16c…円弧部，誘
導部、17…駆動スプロケット、18…縦軸、20…テンショ
ンロール、23…保持枠、24…支稈、25…継送レール、25
a…切欠部、25b…接当部，切欠端、25c…後部、26…継
送補助レール、30…穀稈入口、31…天板、32…飛散防止
カバー、33…入口板、33a…支軸、34…扱室、35…バ
ネ、36…飛散防止板、37…斜面、38…立壁板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】刈取穀稈を株元挟持搬送体から挟扼レール
   を有してアンダーチエン方式となした脱穀装置のフィー
   ドチエン始端部に継送搬送するに、前記株元挟持搬送体
   寄りに基部を取着せる、広巾弾性板で構成した継送レー
   ルの後端部位を二又状に切欠して切欠部を形成するとと
   もに、該切欠部を前記フィードチエンの上方に対設した
   挟扼レールのレール片の始端斜辺部に噛合せしめたこと
   を特徴とするコンバインにおける穀稈継送搬送装置。