JPH0646748Y2 - 農用トラクタの前輪駆動軸支持装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （イ）産業上の利用分野 本考案は農用トラクタの前輪駆動軸を支持する装置に関
する。

（ロ）従来技術 従来、クラッチハウジングの後部にセンターケースと前
部に後部軸受板を有する後部ケースとをその順に連結
し、前記後部軸受板に前輪変速出力軸を支承し、前輪駆
動軸の前寄りをセンターケースの前壁にはベアリングを
介して支承し、後部を前記前輪変速出力軸にスプライン
継手で接続することにより支承するようにした農用トラ
クタは、実開昭54-157325号公報により既に知られてい
る。

（ハ）考案が解決しようとする問題点 前記既知の農用トラクタは、センターケースに主変速装
置のみを内装するだけであるため、ケースの前後長さを
短くすることができると共に、前輪駆動軸の支持部の間
隔を小さくし得る。

しかし、センターケース内に主変速装置のみならず他の
変速装置をも収容して性能アップを図ったところ、その
長さを大にする必要があり、それによりクラッチハウジ
ングから後部ケースに亙る伝動軸や各種の変速軸をセン
ターケースの中途部に一体になった仕切壁を設け、その
前後に変速歯車を組み込まなければならず、そのように
構成すると、変速歯車の組み付け、及び前輪駆動軸の組
み込みが困難になると共に、その支持が不確実になっ
た。

（ニ）問題点を解決するための手段 本考案は、クラッチハウジングの後部にセンターケース
と前部に後部軸受板を有する後部ケースとをその順に連
結し、前記センターケースの中途部に、後部が後部ケー
スに亙る変速軸の中間部を支承する仕切壁を一体的に設
け、該仕切壁の前後に変速歯車を組み込み、前記後部軸
受板に前輪駆動歯車のボスを回転自在に支承し、前輪を
後部ケース内で後輪と同調するように変速して前輪駆動
軸を介して駆動するようにした農用トラクタにおいて、
前記センターケースの前部に上記変速軸の前部を支持す
る前部軸受板を着脱可能に取付け、前記前輪駆動軸の前
寄りを前記クラッチハウジングにベアリングを介して支
承し、後部は前記前輪駆動歯車のボスに挿脱可能にスプ
ライン嵌合して支承し、それらの支承部の中途部は、前
記前部軸受板に穿設した孔に嵌入したブッシュに挿通し
て支承することにより前述の問題点を解決した。

（ヘ）実施例 本考案の一実施例を図面について説明すると、クラッチ
ハウジング１の後部にはセンターケース２と後部ケース
３とをその順に連結し、前記クラッチハウジング１には
走行クラッチ４及びPTOクラッチ５を有する減速機構６
を内装してあり、前記センターケース２には走行変速装
置として主変速部７、前後進変速部８及び第１の副変速
部９を設け、後部ケース３内には第２の副変速部10、前
輪駆動部11、差動機構12及びPTO変速部13を設けてあ
る。

また、センターケース２の前部突出部にボルト14により
取付けた前部軸受板15は、軸受16,17を介してパイプシ
ャフト18と受動軸19との前部寄りを支持しており、その
下部に穿設した孔20aには前輪駆動軸21を挿通して支持
するブッシュ20を圧入してあり、前記前輪駆動軸21の前
端はクラッチハウジング１に装着されているベアリング
22に支持され、後端部は後部ケース３の前端と一体に形
成した後部軸受板25にベアリング24を介して支承したボ
ス23に挿脱可能にスプライン嵌合し、差動機構12のピナ
オン軸26にスプライン嵌合させた歯車27はカウンタ歯車
28に噛合し、該カウンター歯車28は前記ボス23に摺動位
置決め可能にスプライン嵌合していて前輪駆動歯車とな
る切換歯車29と噛合しており、該切換歯車29を第１図に
示す位置から右側へ摺動してカウンタ歯車28に噛合させ
ると、前輪駆動軸21に動力が伝達される。

次ぎにクラッチハウジング１内の減速機構６について説
明すると、エンジン31の動力はデスククラッチ32を介し
てシャフト33に伝動され、それにスプライン嵌合した歯
車34は、カウンタ軸35にスプライン嵌合した歯車36を介
してPTO駆動軸37に軸受38で支持された受動歯車39を駆
動し、該受動歯車39はジョイント39aを介して前記パイ
プシャフト18を駆動する。

クラッチカバー40にスプライン嵌合したパイプシャフト
41は軸受42でクラッチハウジング１に支持され、歯車43
はニードルベアリング45を介してシャフト33により支持
されていて、カウンタ軸35にニードルベアリング46が介
装されているアイドル歯車47に噛合し、アイドル歯車47
はPTO駆動軸37に軸受48を介して遊転しているクラッチ
歯車48と噛み合っている。

PTO駆動軸37はジョイント50でシャフト51に連結されて
いるので、前記PTO変速部13に動力を伝達してPTO軸53へ
出力し、カウンタ軸35は前部をクラッチハウジング１に
軸受54で支承され、後部側はクラッチハウジング１の内
面から突出した複数の受体62a…にボルト62…で取付け
られた軸受板55に軸受56で支承されており、シャフト33
はエンジン31のフライホイルに取付けたパイロットベア
リング57と軸受板55に圧入した軸受58で支承されてい
る。

PTO駆動軸37はクラッチハウジング１に嵌挿した軸受59
と軸受板55に圧入した軸受60とにより支持されており、
クラッチ歯車49は油圧で作動する湿式多板クラッチから
なる前記PTOクラッチ５を介してPTO駆動軸37に伝動す
る。63は前輪、64は後輪である。

そして、前記前輪駆動軸21を組付ける場合は、先ず、後
部ケース３に第２の副変速部10、前輪駆動部11、差動機
構12及びPTO変速部13を組込み、センターケース２に対
しては、仕切壁2aの後部に、後方の開口部から主変速部
７、前後進変速部８及び第１の副変速部９を組込み、前
方からは前部軸受板15を取外した状態で主変速部７を組
み付け、次いで、前記前部軸受板15を取付けると共にパ
イプシャフト18及び受動軸19の前部をベアリング16,17
を介して支承する。しかる後、後部ケース３の前端部に
センターケース２をドッキングさせる。この時、ベアリ
ングＡに対して芯合せして軸を嵌入させればドッキング
が完了するからボルトで締着する。

次いで前輪駆動軸21を前方からブッシュ20に挿入して中
間部を支持した状態でその後端を前記ボス23の内周のス
プラインに嵌合し、最後に、前記PTOクラッチ５及び減
速機構６等が組込まれたクラッチハウジング１をセンタ
ーケース２に組付けるが、その際、受動歯車39及びPTO
駆動軸37をジョイント39a,50でパイプシャフト18及びシ
ャフト51に芯合せして接続すると共に軸受22に前輪駆動
軸21に芯合せして嵌挿する。

また、前記ニードルベアリング45,46はそれぞれ回転す
るシャフト33と歯車43との間、カウンタ軸35とアイドル
歯車47との間に介装されていて内外の慴接面は軸芯から
の距離を異にしているが、歯車34と36の減速比、及び歯
車36と受動歯車39との減速比を、歯車43とアイドル歯車
47との減速比及びアイドル歯車47とクラッチ歯車49との
減速比に略等しくしてあるので、シャフト33とパイプシ
ャフト41の回転、及びカウンタ軸35とアイドル歯車47の
回転が等しくなり、前記ニードルベアリング45,46に対
する回転差が少なくなってその摩耗を防止することがで
きる。

（ト）考案の効果 本考案は、前述のように構成したので、センターケース
の後部に変速歯車を組み付けることが容易であることは
勿論のこと、センターケース２の中途部にケースと一体
な仕切壁2aがあるにも拘らず、前部軸受板15を取外した
状態で前方から変速歯車を容易に組み付けることができ
る。

また、前輪駆動軸21を組み付ける時は、前記前部軸受板
15にブッシュ20を嵌入した状態で、前輪駆動軸21をクラ
ッチハウジング１の軸受部から前記ブッシュに挿通する
ことにより２か所で支持することにより芯出した姿勢
で、後端を前記後部軸受板25に支承されたボス23に、容
易にかつ迅速にスプライン嵌合することができる。

しかも、前記前輪駆動軸21をクラッチハウジング１と前
部軸受板15と後部軸受板25に支持されているボス23によ
り３点で支持するようにしたので、センターケース２は
仕切壁2aの前部と後部に変速歯車を収容することにより
長くなっているにも拘らず、前輪駆動軸を強固に支持し
て安定した伝動を行うことができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すものであって、第１図は
トランスミッションの縦断展開図、第２図（ａ）は伝動
系統図、（ｂ）は前輪駆動部の伝動展開図である。 １……クラッチハウジング、２……センターケース、３
……後部ケース、11……前輪駆動部、25……後部軸受
板、21……前輪駆動軸、23……ボス

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】クラッチハウジング１の後部にセンターケ
   ース２と前部に後部軸受板25を有する後部ケース３とを
   その順に連結し、前記センターケース２の中途部に、後
   部が後部ケース３に亙る変速軸の中間部を支承する仕切
   壁2aを一体的に設け、該仕切壁2aの前後に変速歯車を組
   み込み、前記後部軸受板25に前輪駆動歯車のボス23を回
   転自在に支承し、前輪を後部ケース３内で後輪と同調す
   るように変速して前輪駆動軸21を介して駆動するように
   した農用トラクタにおいて、前記センターケース２の前
   部に上記変速軸の前部を支持する前部軸受板15を着脱可
   能に取付け、前記前輪駆動軸21の前寄りを前記クラッチ
   ハウジング１にベアリング22を介して支承し、後部は前
   記前輪駆動歯車のボス2aに挿脱可能にスプライン嵌合し
   て支承し、それらの支承部の中途部は、前記前部軸受板
   15に穿設した孔20aに嵌入したブッシュ20に挿通して支
   承したことを特徴とする農用トラクタの前輪駆動軸支持
   装置。