JPH064349U - ハイトップリングピストン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 トップランドハイトを小さく且つトップリン
グの幅寸法を小さくして慣性力を弱めるハイトップリン
グピストンのオイル消費量を少くする。 【構成】 トップリング２とセカンドリング３との間の
セカンドランド１０に環状溝１１を設ける。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、セカンドランドに改良を加えた内燃機関用ハイトップリングピスト ンに関する。

【０００２】

【従来の技術】

内燃機関のシリンダ内を往復動するピストンの外周面に、圧力リングとしての トップリングとその下方のセカンドリング、さらにその下方にオイルリングを装 着し、燃焼ガスのクランクケースへの吹抜け並びにオイルの燃焼室への洩れを防 止している。このような三本リングは、多用されているが、これとは別に、一本 の圧力リングとオイルリングのみの二本リングも使用される。 最近のようにエンジンの小型、高速、高出力傾向となると、排ガスの浄化も厳 しい条件を克服する必要が生じる。そのための一つの手段が、トップリングの位 置を可能な限り上げ、シリンダ、トップリング、トップランドで囲まれるクレビ スボリュームを少なくし、ハイドロカーボンを低減させるものである。

【０００３】 トップリングのシール機能を確保するためには、それなりの厚み（Ｔ寸法）を 要し、又、リング強度維持のためには、それなりの幅（Ｗ寸法）を必要とする。 このような従来型のリングを、トップリング溝の位置を上げているハイトップリ ングピストンのトップリングとして用いると、ピストンの高速往復動によるリン グの高慣性力のため、トップリングが薄くなっているトップランド部分を破損さ せる。 加えて、薄くなったトップランド部分にピストン冠面よりの高熱がたまり、熱 間強度が低下し、トップランド部分が益々破損し易い状態となる。

【０００４】 トップリングの厚み（Ｔ寸法）はリング張力の点から削れないので、幅（Ｗ寸 法）を小さくし、リング慣性力を極力小さく抑えることで、前述したトップラン ド部分の破損を防止させる。 しかし、この手段は、オイル消費量が多くなる。

【０００５】 そこで、トップリングを薄幅としてその慣性力を小さいままとした上で、オイ ル消費の低減を図る試みが成される。 その一つがセカンドリングの張力を上げるものであるが、これは高面圧により 摩擦力が増大し好ましくない。これとは別に、セカンドリングにアンダーカット 等を加え、オイル掻き効果を高めるものであるが、これも希望の低オイル消費と はならない。

【０００６】

【本考案が解決しようとする課題】

本考案は、前述した従来技術の不具合を解消させることを解決すべき課題とす る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案は、前述した課題を解決するために、セカンドランドを改良することに 着目したものである。即ち、セカンドランドに環状溝を設ける手段を導入する。

【０００８】 具体的には、本考案はトップリング溝下のセカンドランドにトップリング溝近 くで径方向に寸法大にして且つ断面略くさび状の環状溝を有する内燃機関用のハ イトップリングピストンを提供する。 好ましくは、トップランドハイトがシリンダ内径の１／２０以下であり、環状 溝がセカンドリング溝の上方でピストン外周面に収れんする。

【０００９】

【作用】

セカンドランドに設けた環状溝は、この部分の圧力変動を小さくし且つオイル を貯めるので、オイルの燃焼室への洩れは少い。

【００１０】

【実施例】

図１を参照する。ハイトップリングピストン１は、トップリング２、セカンド リング３、オイルリング４をその外周面の各リング溝５、６、７に装着可能であ る。トップランド８の高さ（ハイト）は、シリンダ９の内径の１／２０以下であ る。トップリング５は、ハイトップリングピストン用に開発されている薄幅（Ｗ 寸法）のもので、慣性力を小さく抑えたものである。セカンドリング３やオイル リング７は一般に用いられるものでよい。

【００１１】 セカンドランド１０に、トップリング溝５近くで径方向内方に寸法を大にし且 つ断面略くさび状の環状溝１１を設ける。環状溝１１のテーパ面１２の下端はセ カンドリング溝６の上方でピストン外周面に収れんする。図１に示す環状溝１１ の上面は半径方向内方へと平坦面となっている。

【００１２】 図２に示す環状溝１１はその上面を円弧状にえぐったもので、図３に示す例は 、環状溝１１の下端がセカンドリング溝６の上縁まで延在する。

【００１３】 図４に示す例は、環状溝１１のテーパ面１２の上側にピストン軸線方向に円筒 状の部分を付加する。即ち、円筒面１３とテーパ面１２とを有する環状溝１１で ある。

【００１４】 ピストン１の往復動中、環状溝１１の存在により、セカンドランド部分の圧力 変動が小さく、加えて該環状溝１１がオイル貯めとなるので、オイルの燃焼室へ の洩れは少ない。

【００１５】 次に、図１に示す例（但し幅寸法0.８mmのトップリングを用いる）と、環状溝 のない従来例（但し幅寸法1.２mmのトップリングを用いる）とを、２リットルガ ソリンエンジン、シリンダ径、Φ８６×Ｌ４、４／４×６０００rpm 、トップラ ンドハイト３mmの条件の下で、テストした。その結果を図４に示す。本考案のピ ストンは従来例の略半分のオイル消費量であった。

【００１６】

【効果】 トップリングとして薄幅寸法のものを用いるにも拘らずオイル消費量が少い。 従って、トップランド部の破損を防ぎ、エンジンの安全運転を可能にする。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一例のピストンを示す断面図である。

【図２】環状溝の他の例を示す部分断面図である。

【図３】環状溝の別の例を示す部分断面図である。

【図４】環状溝のさらに別の例を示す部分断面図であ
る。

【図５】オイル消費量を示すグラフ図である。

【符号の説明】

１ ピストン ２ トップリング ３ セカンドリング ４ オイルリング ８ トップランド １０ セカンドランド １１ 環状溝 １２ テーパ面

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 トップリング溝下のセカンドランドにト
   ップリング溝近くで径方向に寸法大にして且つ断面略く
   さび状の環状溝を有する内燃機関用のハイトップリング
   ピストン。
2. 【請求項２】 トップランドハイトがシリンダ内径の１
   ／２０以下である請求項１のハイトップリングピスト
   ン。
3. 【請求項３】 環状溝がセカンドリング溝の上方でピス
   トン外周面に収れんする請求項１のハイトップリングピ
   ストン。