JPH0614455U - 内燃機関用ピストン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 ２本以上の圧力リングと１本のオイルリング
を設けたピストンで、セカンドリングの合い口隙間寸法
を大きくせずにセカンドランド圧を下げることができ、
かつオイル消費を低減できるピストンを提供することを
目的とする。 【構成】 ピストンのセカンドリング溝４の溝底面とク
ランク室側を向いた面１１との間に貫通孔１２を設け
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、内燃機関用ピストンに関する。

【０００２】

【従来の技術】

内燃機関用ピストンの外周には、燃焼ガスのシール性を確保する圧力リングと 、シリンダとの間に適正な油膜を形成するオイルリングとが夫々に対応してピス トンに設けられたリング溝に嵌装される。圧力リングは２本又はそれ以上とされ ることがある。

【０００３】 さて、圧力リングが２本以上の場合、頂面側から２本目のセカンドリングのシ ール性が良好な場合、セカンドランド圧が上りトップリングの挙動に悪い影響を 与えることがある。そこで、従来セカンドランド圧が上昇しないように制御する 手段として、セカンドリングの合い口隙間寸法を、トップリングの合い口隙間寸 法より大きくすることが行なわれてきた。しかし、セカンドリングの合い口隙間 寸法を大きくすると、高ブースト時にオイルが上昇して、オイル消費が悪化する という問題が発生する。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、２本以上の圧力リングと１本のオイルリングを有する従来の内燃機 関のピストンの上記の問題点にかんがみ、セカンドリングの合い口隙間寸法を大 きくすることなく、セカンドランド圧を下げることのできるピストンを提供する ことを課題とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案のピストンは、上記の課題を解決するため、セカンドリング溝の溝底面 とクランク室側を向いた面との間に貫通孔を設けたことを特徴とする。

【０００６】

【作用】

セカンドリング溝の溝底面とクランク室側を向いた面との間に貫通孔を設けた ことにより、セカンドランド圧が上昇するとセカンドリングは、リング溝の下側 面に圧接し、セカンドランド空間は上記の貫通孔を介してクランク室に連通し、 セカンドランド圧は低下する。その結果、トップリングの挙動を安定させる。

【０００７】

【実施例】

以下に、本考案の実施例を、図面に基づいて詳細に説明する。図１は、本考案 の実施例のピストン１の要部の断面図である。ピストン１の外周面にはトップリ ング溝、セカンドリング溝及びオイルリング溝の３本のリング溝３、４、５が設 けられ、その夫々にトップリング６、セカンドリング７及びオイルリング８が収 装され、夫々の外周面はピストンの外周面と間隙を置いて囲繞するシリンダ１０ の内周面に圧接している。ここ迄に述べた構成は、従来のピストンと特に変ると ころはない。

【０００８】 しかし、この実施例では、セカンドリング溝４の溝底面と、ピストンのクラン ク室を向いた面１１との間に貫通孔１２が穿設されている。

【０００９】 したがって、作用の項で述べたように、セカンドランド圧が上昇しようとした 時、貫通孔１２により圧力を逃がして、セカンドランド圧の上昇を防止し、トッ プリング６の挙動を安定させる。

【００１０】 又、高ブースト時、図２に示すように、貫通孔１２は、オイルリング溝５から サードランド空間１３、セカンドリング溝４、セカンドリング合い口へと上って 行くオイルの戻り孔の役目も果す。

【００１１】 したがって、本考案により、セカンドリング溝底面とクランク室に向いた面と の間に貫通孔を設けたピストンと、合い口隙間の小さいセカンドリングとを組合 せて使用することにより、オイル消費特に高ブースト時のオイル消費を著しく改 善することが可能となる。

【００１２】 図３に、２リットル４気筒、６０００rpm 全負荷条件のエンジンで、ピストン を従来のものと、本考案によるものとを夫々使用して高速高負荷運転した場合と 、パターン運転した場合についてオイル消費率を比較して示す。従来品のピスト ンにより高速・高負荷運転時のオイル消費率を１００として百分率で示した。

【００１３】 本考案のピストンと合い口隙間の小さいセカンドリングとを組合せることによ り、高速高負荷時のオイル消費は従来のものと同等レベルであるが、高ブースト 条件となるパターン運転時には、オイル消費率は著しく低減できることが示され ている。

【００１４】 貫通孔１２は、図４中に記入した如く、スラスト側及び反スラスト側に各数個 設ければよい。

【００１５】 又、図５に示す如く、貫通孔１２に連通するように、セカンドリング溝の下側 面に半径方向全幅に延びるオフセット溝１４を設けるとオイルの戻しにさらに効 果が得られる。

【００１６】

【考案の効果】

以上の如く、本考案によれば、セカンドランド圧を低下させることにより、ト ップリングの挙動を安定させることができ、又、高ブースト時のオイルの上昇を 低減させることができ、オイル消費の向上に効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例のピストンの要部断面図であ
る。

【図２】その実施例の高ブースト時の上昇オイルの戻し
作用を説明する説明図である。

【図３】本考案と従来のピストンの夫々を使用してエン
ジンを運転した場合のオイル消費率を比較して示すグラ
フである。

【図４】本考案によるセカンドリング溝に設ける貫通孔
の設け方を説明する図式図である。

【図５】本考案による貫通孔に連通するオフセット溝を
セカンドリング溝の下側面に設けた状態を示す図式図で
ある。

【符号の説明】

１ ピストン ３ トップリング溝 ４ セカンドリング溝 ５ オイルリング溝 ６ トップリング ７ セカンドリング ８ オイルリング １０ シリンダ １１ クランク室に面する面 １２ 貫通孔

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 少くとも２本の圧力リングと１本のオイ
   ルリングが夫々装着されるリング溝が設けられた内燃機
   関用ピストンにおいて、セカンドリング溝の溝底面とク
   ランク室側を向いた面との間に貫通孔を設けたことを特
   徴とするピストン。