JPH0643460B2 - アクリル酸またはメタクリル酸のエステル類の重合方法 - Google Patents

アクリル酸またはメタクリル酸のエステル類の重合方法

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JPH0643460B2
JPH0643460B2 JP59126990A JP12699084A JPH0643460B2 JP H0643460 B2 JPH0643460 B2 JP H0643460B2 JP 59126990 A JP59126990 A JP 59126990A JP 12699084 A JP12699084 A JP 12699084A JP H0643460 B2 JPH0643460 B2 JP H0643460B2
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F20/00Homopolymers and copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and only one being terminated by only one carboxyl radical or a salt, anhydride, ester, amide, imide or nitrile thereof
    • C08F20/02Monocarboxylic acids having less than ten carbon atoms, Derivatives thereof
    • C08F20/10Esters
    • C08F20/12Esters of monohydric alcohols or phenols
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F20/00Homopolymers and copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and only one being terminated by only one carboxyl radical or a salt, anhydride, ester, amide, imide or nitrile thereof
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    • C08F20/10Esters

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、あらかじめ重合器内の各部に単量体に不溶な
ナフタレン環を有する芳香族系のキノン−アミン化合物
を塗布し、塗布膜を形成させたのち、アクリル酸または
メタクリル酸のエステル類を水性媒体中で乳化重合する
ことにより、スケール生成を防止しうる工業的に経済的
な重合方法に関する。
[従来の技術・発明が解決しようとする課題] アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル単量体
を用いる主たる乳化重合の適用例であるアクリロニトリ
ル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)やメチルメタ
クリレート−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)系の
重合では、ブタジエンゴムを用いてグラフト重合するた
め、発生するスケールは粘着性に富み、除去清掃作業を
困難にしている。
かかるスケールの発生は、つぎの理由によると考えられ
ている。すなわち、アクリル酸エステルまたはメタクリ
ル酸エステル単量体は水に溶解し水相重合をしてラテッ
クスを不安定にする。さらにそれらの単量体は加水分解
されて重合系を弱酸性にするので、ラテックスの凝集を
促す。その凝集を防ぐために適当な乳化剤を選定してい
るが、乳化剤の量の増加により生成する重合体の品質を
劣化させるので、ラテックスを充分安定させた状態で重
合を行なうことはかなり困難であり、ラテックスが一部
凝集することは避けられないのが通常である。
それらの凝集したラテックスをアクリル酸エステルまた
はメタクリル酸エステル単量体が溶解し、粘着性となっ
たラテックス凝集体が重合器内の各部に付着し、そこで
含まれている単量体が重合して強固な付着スケールを生
成してしまう。
このスケール付着のために重合器壁の伝熱効率の低下、
製品収率の低下、剥離スケールの製品への混入による品
質の低下、スケールの除去清掃に要する労力および除去
清掃に要する時間がもたらす重合器の嫁動率の低下など
好ましくない多くの不利益が生ずる。
この重合体スケールの付着防止方法については従来から
数多くの試みがなされており、本発明に近いものとして
たとえば特公昭57-1528号公報にはキノン−アミン化合
物をあらかじめ重合器内の各部に塗布して塗布膜を形成
させたのち重合してスケールの付着を防止する方法が開
示されているが、これは塩化ビニルなどのハロゲン化ビ
ニル単量体またはそれと共重合可能な単量体を少量含む
単量体混合物の重合、それも懸濁重合においての方法で
ある。
しかし、重合期間中に単量体混合物がアクリル酸エステ
ル単量体またはメタクリル酸エステル単量体を主体とす
るものになるばあいは、キノン−アミン化合物からなる
塗布膜は使用できないとされている。その理由は、ハロ
ゲン化ビニル単量体に比してアクリル酸エステルまたは
メタクリル酸エステル単量体が極めて大きな溶解能を有
しているためと考えられている。すなわち、それらを主
体とする単量体混合物はハロゲン化ビニル単量体系の重
合に使用されている従来のキノン−アミン化合物により
形成された塗布膜を一部あるいは全部溶解してしまう。
その結果、重合体スケールの付着防止効果が著しく損わ
れてしまううえに、溶解混入したキノン−アミン化合物
により重合体が汚染され着色するなどの問題が発生す
る。このアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステ
ル単量体の溶解能は、スチレンやα−メチルスチレンの
ような芳香族系単量体よりもさらに大きい。
ところで、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エス
テルの溶解能は、キノン−アミン化合物に対する貧溶媒
であるハロゲン化ビニル単量体の存在下で低下するが、
アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル単量体
が単量体混合物中に60%(重量%、以下同様)以上存在
するときは、従来のキノン−アミン化合物はほぼ完全に
溶解してしまい、スケール付着防止効果はえられない。
さらに、特開昭59-68314号公報にアクリル酸エステル単
量体もしくはメタクリル酸エステル単量体を重合するに
際して、ベンゾキノン−フェニレンジアミン、ベンゾキ
ノン−ジアミノナフタリンやフェナントラキノン−ジア
ミノナフタリンなどのキノン−アミン化合物をあらかじ
め重合器の内面、攪拌器、バッフルプレートなどの機内
各部に塗布し、塗布膜を形成させスケール付着防止をし
て重合することが開示されているが、ベンゾキノン−フ
ェニレンジアミン化合物やフェナントラキノン−ジアミ
ノナフタリン化合物のように反応性が著しく劣るか、ベ
ンゾキノン−ジアミノナフタリン化合物のように発ガン
性であるので、工業的には経済的でないなどの問題があ
る。
このように、従来のキノン−アミン化合物はアクリル酸
エステルまたはメタクリル酸エステル単量体を60%以上
含む単量体混合物の乳化重合には使用できない。アクリ
ル酸エステル、メタクリル酸エステル単量体の重合に関
する工業例は、そのほとんどが前記60%以上となるた
め、該単量体系の重合には有用な塗布剤が現存しないの
が実状である。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸
エステル類の重合におけるスケール付着防止用の塗布剤
について鋭意検討を重ねた結果、特定の条件で製造した
特定のキノン−アミン化合物がアクリル酸エステルまた
はメタクリル酸エステル類の重合においてすぐれたスケ
ール付着防止能を有することを見出し、本発明を完成す
るに至った。
本発明は、乳化重合の過程でアクリル酸エステル単量体
もしくはメタクリル酸エステル単量体の単独またはそれ
らの単量体混合物が存在する全単量体の60%以上になる
重合系において、これらの単量体を水、乳化剤および水
または単量体に可溶な重合開始剤の存在下に重合するに
あたり、ナフタレン環を有する芳香族ジアミンとナフタ
レン環を有する芳香族キノンとを溶解度パラメータ(以
下、SPという)が9.0〜12.2の溶媒の単独もしくは混合
溶媒またはそれに対して等重量以下のアルコールを含む
混合溶媒中で付加反応させ、沈澱分離してえられる平均
分子量3000以上のナフタレン環を有するキノン−アミン
化合物を有機溶剤に溶解した溶液をあらかじめ重合器の
内面、攪拌機、バッフルプレートなどの機内各部に塗布
し、塗布膜を形成させることを特徴とするアクリル酸ま
たはメタクリル酸エステル類の重合方法に関する。
[実施例] 本発明の方法に用いるスケール付着防止用の塗布剤は、
ナフタレン環を有する芳香族キノンとナフタレン環を有
する芳香族ジアミンとから前記の特定条件下に付加反応
により製造された分子量3000以上のナフタレン環を有す
るキノン−アミン化合物である。
前記ナフタレン環を有する芳香族キノンを用いるのは、
反応性の点からみて好ましいからである。
また、前記ナフタレン環を有する芳香族ジアミンを用い
るのは、反応性の点からみて好ましいからである。ま
た、ベンゼン環をもつジアミンは、芳香族キノンの種類
にかかわらず、えられるキノン−アミン化合物が発ガン
性を有するばあいが多いからである。
本発明の重合方法を適用する重合系は、前記のごとくア
クリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル単量体の
比率が重合の過程で存在する全単量体に対して60%以上
になる乳化重合系であり、その重合系に使用するために
は、キノン−アミン化合物は平均分子量が3000以上であ
ることが必要である。キノン−アミン化合物の平均分子
量が3000よりも小さいばあいは、アクリル酸エステルま
たはメタクリル酸エステル単量体に一部ないし全部溶解
してしまい、所期の効果がえられないばかりか、製品の
品質をも低下させてしまう。塗布剤の溶解性はアクリル
酸エステルまたはメタクリル酸エステル単量体の含有比
率が大きくなるにつれて増加するので塗布剤の重合体へ
の溶解混入を極端にきらうばあいや、前記単量体の比率
が大きくなれば当然分子量を高めなければならないなど
要求に合せて分子量を変化させる必要がある。
キノン−アミン化合物の製造に用いる溶媒は、えられる
キノン−アミン化合物の分子量の調整に大きな役割を果
していると共に、反応速度、収率などの点からも重要で
ある。
かかる溶剤は、SP値が9.0〜12.2のものでなければなら
ない。また望ましくは誘電率が7以上のものである。こ
のような溶媒としては極性非プロトン溶媒があげられ、
たとえばテトラヒドロフラン(SP値:9.32、誘電率:7.
58、以下THFという)、ジメチルホルムアミド(SP値:1
2.0、誘導率:36.71、以下DMFという)、ジメチルアセ
トアミド(SP値:11.0、誘電率:37.8、以下(DMAc)とい
う)、アセトニトリル(SP値:11.9、誘電率:37.5、ア
セトン(SP:9.71、誘電率:21.45)、メチルエチルケ
トン(SP値9.04、誘電率:15.45)、ジエチルケトン(S
P値:10.03、誘電率:17.00)、メチルイソブチルケト
ン(SP値:9.56、誘電率:13.11)、メチルn-ブチルケ
トン(SP値:9.92、誘電率:12.2)、メチルn-プロピル
ケトン(SP値:9.98、誘電率:15.1)、ジオキサン(SP
値:9.73、誘電率:2.21)またはそれらの混合溶媒など
があげられる。
キノン−アミン化合物の分子量の調整は前記溶媒の選定
によって行なうことができる。
たとえば分子量を小さくするばあいは、反応に用いる溶
媒にアルコールを加えればよい。加えるアルコールとし
てはメタノール(SP値:14.5)またはエタノール(SP
値:12.7)が適当である。ただし、目的とするキノン−
アミン化合物の平均分子量を3000以上にするためには、
アルコールの混入量は前記反応溶媒の等重量以下にする
必要がある。アルコールの配合により、反応時間を短縮
でき、収率を高めることができる。なお、アルコールの
混入は、反応開始前でも、反応開始後でもよい。
一方、分子量を大きくするばあいは、前記アルコールは
使用せず、えられた生成物のうち低分子量の化合物を適
当な溶剤で洗浄して除去すればよい。
本発明に用いるキノン−アミン化合物は、前記反応条件
で反応させてえられる反応生成物を析出させ、沈澱分離
することによってえられる。反応生成物の析出は、キノ
ン−アミン化合物の分子量の増大に伴なって現われる
が、必要により、前記アルコールを混入するか、溶媒を
変えるかすることによって目的とする分子量のキノン−
アミン化合物をうることができる。
かかるキノン−アミン化合物の製造の好ましい実施態様
をつぎに示すが、それのみに限定されるものではない。
前記反応溶媒中に芳香族キノンと芳香族ジアミンとを芳
香族ジアミン1モルに対して芳香族キノンが約1〜5モ
ル、好ましくは約1〜3モルとなるように溶解させる。
反応は直ちに開始され、反応液は黒変する。反応は約10
〜70℃、好ましくは30〜50℃の温度で攪拌下または攪拌
しない状態、好ましくは攪拌しない状態で反応生成物の
結晶が析出するまで行なう。所望なら、塩化第2鉄など
の反応促進剤または前記アルコールなどを使用してもよ
い。反応生成物が析出し始める時期は、通常反応開始後
30日以上であるが、反応促進剤を使用したときは反応時
間を半減させることができる。またアルコールを混入し
たときも反応時間を短縮することができる。
析出した反応生成物を濾過により分別し、溶媒好ましく
は反応に用いた溶媒(ただしアルコールは除く)で洗浄
液が殆んど着色しなくなるまで洗浄したのち、減圧乾燥
する。
えられたキノン−アミン化合物の適用範囲は、種々の重
合系を想定して調整された試験用の混合単量体系に適用
して溶解性を調べることにより確認できる。
スケール付着防止作用をさらに高めるには、キノン−ア
ミン化合物に親水性を付与すればよい。
というのは、重合器壁などに撥水性の化合物を塗布する
と親油性のモノマーが壁面に付着しやすくなり、壁面で
重合したポリマーが付着してスケールとなり効果を減少
させるので、親水性をもたらせることによって壁面など
が水に対して濡れがよくなり、水膜を形成してモノマー
の壁面での重合を阻害すると共にポリマーの接近をも阻
止するため、スケール付着防止効果が増大するものと考
えられる。この親水基としては-OH、-NH2、-NH-などが
前記化合物中に含まれることが必要である。
前記の製造法によってえられたキノン−アミン化合物の
親水性をさらに一層高めるためには、これらを還元処理
すればよい。還元処理は、たとえばキノン−アミン化合
物を後述する塗布用の有機溶剤に0.5%以上溶解し、こ
れにハイドロサルファイトナトリウムなどの還元剤を水
に溶解したものをキノン−アミン化合物の1〜3倍量加
えて常温常圧で攪拌して還元後、濾液をそのまま塗布剤
溶液とするか、水に溶解した還元剤溶液中に約150μm
以下に微粉化した反応生成物を1/3〜1倍量加えて混合
攪拌して還元し、濾過後濾過残渣を水で洗浄して減圧乾
燥すればよい。
かくしてえられるキノン−アミン化合物は、水、アルコ
ール類、直鎖状炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲ
ン化炭化水素類などには殆んど溶解せず、当然重合され
るべき単量体にも溶解しない。
そのようなキノン−アミン化合物を重合器内の各部に均
一に塗布して塗膜を形成する方法としては、(a)キノン
−アミン化合物の微粉末の分散液を塗布し、乾燥または
溶融して塗布膜を形成する方法、(b)キノン−アミン化
合物の溶融液を塗布する方法、(c)キノン−アミン化合
物を有機溶剤に溶解して塗布乾燥する方法が考えられる
が、(a)法では均一かつ平滑な被膜がえられにくく、(b)
法は実用化が難しいので、本発明では(c)の有機溶剤に
溶解して塗布する方法が採用される。
塗布剤であるキノン−アミン化合物を溶解する有機溶剤
を選択する際にはつぎの点を考慮すべきである。
(1)必要な塗布膜厚さを確保するため、溶解性が大きい
こと、 (2)乾燥を容易にするため、沸点が低いこと、 (3)均一に塗布するため、表面張力が小さいこと。
これらの性質を兼ね備えた有機溶剤の選択は容易ではな
いが、本発明者らの研究の結果、(1)の溶解性について
は、SP値が9.8〜12.5のものが好ましいことが判明し
た。そうした有機溶剤としては、たとえばDMF、DMAcな
どの第1アミド;ジメチルスルホキシドなどのスルホキ
シド;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケト
ン;メチルn-プロピルケトンなどのケトン;アセトニト
リルなどのニトリル基を有するもの;ピリジン;モノホ
リンなどがあげられる。これらの溶剤の種類は塗布剤の
分子量つまり溶解濃度の点や安全性、作業性を考慮して
選択されるが高沸点のものを使用せざるをえないばあい
は加温下で減圧にして乾燥する必要が生ずる。
さらに、(3)の表面張力については、塗布すべき基材表
面を容易にぬらすものでなければ均一な塗布膜が形成さ
れないので、たとえばステンレス鋼(SUS 304)に塗布す
るばあいは、有機溶剤の表面張力は30dyn/cmよりも小さ
くなければならない。ところが前記溶解性の大きい溶剤
のうち表面張力の大きいものを選択せざるをえないばあ
いは、表面張力の小さい溶剤を配合して表面張力を下げ
る必要がある。
配合する表面張力の小さい溶剤としては、たとえばメチ
ルn-プロピルケトン、酢酸アミル、n-ブタノール、TH
F、エタノールなどがあげられ、それらを20〜50容量%
配合すればよい。また、理由は不明であるが基材がステ
ンレス鋼のばあいは、チオサリチル酸、安息香酸、パル
ミチン酸、ステアリン酸などの有機酸;スルファミン酸
などの弱酸性の無機酸;エチレンジアミン四酢酸二ナト
リウムなどのキレート剤などを塗布剤に対して0.1〜0.3
%添加することによっても被膜の均一性を改良できる。
なお、いずれのばあいも溶剤自体の溶解性を低下させる
ので、注意を要する。
具体的な有機溶剤は、実際の重合系に合わせて以上の点
を考慮して選定すればよい。
重合器内の各部への塗布は、噴霧、ハケ塗りなどにより
塗布剤が壁面に0.01〜5g/m2、好ましくは0.1〜1.0g
/m2の範囲となるように行なえばよい。なお、塗布膜の
形成や重合などに悪影響を与えない限り、5g/m2を超
えて使用してもよい。
塗布量は塗布剤溶液の濃度によって大きく左右される。
すなわち、塗布剤溶液の塗布剤濃度が低いと1回の塗布
では塗布膜が薄くなるため、数回の塗布作業が必要であ
り、そのつど塗布剤溶液が重合器内に浮遊したり、たれ
て重合器低部に滞留するので多量の塗布剤溶液が必要と
なるほか、塗布時間や乾燥時間が長くなり、経済性がわ
るくなる。したがって塗布剤濃度は高い方が好ましく、
とくに0.5%以上、とりわけ1.0〜2.0%とするのが好ま
しい。
本発明が対象とする重合系は、アクリル酸エステルもし
くはメタクリル酸エステル単量体単独、またはそれらと
共重合可能な単量体との単量体混合物であってアクリル
酸エステルまたはメタクリル酸エステル単量体が重合の
過程で存在する全単量体の60%以上となる乳化重合系で
ある。
かかる重合系における単量体または単量体混合物の仕込
み方法としては、最終的にうるべき重合体組成に相当す
る組成の単量体を重合初期に仕込む方法と、すでにある
程度重合が進んだ時点で単量体を一括または分割あるい
は連続して投入する方法がある。とくに後者のばあい、
生成した重合体中のアクリル酸エステルユニット合計量
が60%を下廻るときでも、重合途中では単量体混合物中
のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル単量
体の割合が60%を超えるばあいがあり、本発明の方法は
そのようなばあいも含むものである。
このように本発明の方法が対象とする重合系はスケール
付着防止がもっとも難かしいものであるので、本発明に
おけるキノン−アミン化合物を用いるときはいかなる乳
化重合系、懸濁重合系に対してスケールの付着防止効果
がえられる。
本発明におけるアクリル酸またはメタクリル酸のエステ
ル単量体としてはアクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、アクリル
酸ドデシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸β
−ヒドロキシエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル
酸シアノエチル、アクリル酸アルコキシカルボニルメチ
ルなどのアクリル酸エステル類およびメタクリル酸メチ
ル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどのメ
タクリル酸エステル類があげられる。またこれらの単量
体と共に使用される共重合可能な他の単量体としては、
スチレン、α−メチルスチレン、オルソ−クロロスチレ
ン、ビニルトルエンなどのスチレン誘導体;ビニルナフ
タレン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどの
ジオレフィン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリ
ルなどのニトリル誘導体;酢酸ビニル、塩化ビニル、塩
化ビニリデンなどがあげられる。
乳化剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン
酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウ
ム、パルミチン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、ロ
ジン酸カリウム、パラフインスルホン酸エステル、ナフ
タレンスルホン酸エステルなどのアニオン性界面活性
剤;ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンア
ルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノラウレー
トなどのノニオン性界面活性剤があげられる。
重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニ
ウムなどの水溶性過硫酸塩;クメンハイドロパーオキサ
イド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、t-ブチル
ハイドロパーオキサイド、t-ブチルパーオキシイソプロ
ピルカーボネート、α,α′−アゾビスイソブチロニト
リルなどの油溶性重合開始剤;その他レドックス系重合
開始剤があげられる。
その他必要に応じて添加される重合助剤としては連鎖移
動剤、電解質などがある。
つぎに本発明の方法を製造例、実施例をあげて説明する
が、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではな
い。
製造例1 反応容器にTHF100部(重量部、以下同様)を仕込み、30
℃にて攪拌下にβ−ナフトキノン15部および1,8-ジアミ
ノナフタリン5部を加えた。1,8-ジアミノナフタリンを
加えると反応液は赤黒色になった。攪拌を停止し、75日
間30℃で放置して反応を進めたのち、えられた結晶を濾
取し、THFによりTHFが殆んど着色しなくなるまで洗浄を
繰り返したのち減圧乾燥し、本発明に用いるキノン−ア
ミン化合物をえた。このものをゲルパーミエーションク
ロマトグラフィ(以下、GPCという)により分析したと
ころ、第1図に示すチャートがえられ、その平均分子量
は約8500であることがわかった。
GPCの測定条件はつぎのとおりであった。
カラム:GPC AD-802/S×2 (昭和電工(株)のポリスチレンゲル、商品名shodex) キャリヤ:0.01m LiBr/DMF:1.0ml/min 検出器:示差屈折計(RI×4) 製造例2 反応容器にTHF50部およびメタノール30部を仕込み、30
℃にて攪拌下にp-ナフトキノン5部および1,8-ジアミノ
ナフタリン5部を加えた。1,8-ジアミノナフタリンを加
えると反応液は赤黒色になった。攪拌を停止し、30日間
30℃で放置して反応を進めたのち、えられた結晶を濾取
し、THFによりTHFが殆んど着色しなくなるまで洗浄を繰
り返したのち減圧乾燥し、本発明に用いるキノン−アミ
ン化合物をえた。このもののGPCで測定した平均分子量
は、約6000であった。
製造例3 反応容器にアセトン90部およびエタノール90部を仕込
み、20℃にて攪拌下にβ−ナフトキノン3部および1,8-
ジアミノナフタリン3部を加えた。1,8-ジアミノナフタ
リンを加えると反応液は赤黒色になった。攪拌を停止
し、60日間20℃で放置して反応を進めたのち、えられた
結晶を濾取し、アセトンによりアセトンが殆んど着色し
なくなるまで洗浄を繰り返したのち減圧乾燥し、本発明
に用いるキノン−アミン化合物をえた。このもののGPC
で測定した平均分子量は、約4000であった。
製造例4 反応容器にTHF50部およびメタノール45部を仕込み、30
℃にて攪拌下にβ−ナフトキノン5部および1,8-ジアミ
ノナフタリン5部を加えた。1,8-ジアミノナフタリンを
加えると反応液は赤黒色になった。攪拌を停止し、15日
間30℃で放置したのち攪拌下に塩化第2鉄5部を加え、
さらに攪拌しながら15日間反応を進めた。えられた結晶
を濾取し、THFによりTHFが殆んど着色しなくなるまで洗
浄を繰り返したのち減圧乾燥し、本発明に用いるキノン
−アミン化合物をえた。このもののGPCで測定した平均
分子量は、約3500であった。
製造例5〜8 製造例1〜4でえられたキノン−アミン化合物0.7部をD
MAc100部に溶解し、えられた溶液にハイドロサルファイ
トナトリウムの20%水溶液7部を加えて常温常圧下に5
時間攪拌し、還元処理を行なった。えられた反応液を濾
過して、後述の実施例に用いた。
比較製造例1 エタノール(SP値:12.7、誘電率25.7)150部にテトラ
エチレンペンタミン0.8部、p-フェニレンジアミン0.5部
およびp-アミノ安息香酸1.4部を溶解して溶液(A)をえ
た。
別途、エタノール45部と純水45部とからなる混合溶媒に
サルチルアルデヒド4部、ピロガロール1部およびハイ
ドロキノン4部を溶解して溶液(B)をえた。
溶液(A)と(B)とを混合して常温で減圧下に蒸発乾固し
た。えられたキノン−アミン化合物のGPCで測定した平
均分子量は1800以下であった。
比較製造例2 純水100部にp-フェニレンジアミン4部を溶解して溶液
(C)をえた。別途、純水100部にハイドロキノン4部を溶
解して溶液(D)をえた。
溶液(C)と(D)を混合して空気を吹き込みながら40分間反
応させ、サーモンピンクの反応液が暗色になった時点で
反応を終了し、濾過して泥状のキノン−アミン化合物を
えた。このもののGPCで測定した平均分子量は約1800で
あった。
比較製造例3 放置期間を2日間したほかは製造例1と同様にして反応
させた。えられた反応液中には結晶は析出していなかっ
た。このものを後述の比較例に用いた。
この反応液を常温で減圧下にて蒸発乾固したものをGPC
で分析したところ、そのキノン−アミン化合物の平均分
子量は約1800であった。
比較製造例4 反応溶媒としてTHF40部とメタノール60部との混合溶媒
を用いたほかは製造例4と同様にして反応を行ない、キ
ノン−アミン化合物をえた(平均分子量:2000)。
比較製造例5 放置期間を10日間としたほかは製造例4と同様にして反
応を行なった。えられた反応液中には結晶は析出してい
なかった。
この反応常温で減圧下にTHFとメタノールとを蒸発させ
たのち、残渣を減圧下にて蒸発乾固した。えられたキノ
ン−アミン化合物の平均分子量は1500であった。
比較製造例6 反応容器にエタノール100部を仕込み、30℃にて攪拌下
にβ−ナフトキノン3部および1,8-ジアミノナフタリン
1部を加えた。1,8-ジアミノナフタリンを加えると反応
液は赤黒色になった。攪拌を停止し、4日間30℃で放置
して反応を進めたのち、えられた結晶を濾取し、エタノ
ールによりエタノールが殆んど着色しなくなるまで洗浄
を繰り返したのち減圧乾燥し、キノン−アミン化合物を
えた(平均分子量:約700)。
比較製造例7 反応溶媒として酢酸n-プロピル(SP値:8.68、誘電率6.
69)を用いたほかは比較製造例6と同様にして反応を行
ない、キノン−アミン化合物をえた(平均分子量:約55
0)。
比較製造例8〜10 比較製造例4、6および7でそれぞれえられたキノン−
アミン化合物を製造例5と同様にして還元処理した。
比較製造例11 反応容器にTHF200部を仕込み、50℃にて攪拌下にp-ベン
ゾキノン15部および1,8-ジアミノナフタリン5部を加え
た。1,8-ジアミノナフタリンを加えると反応液は赤黒色
になった。攪拌を停止し、60日間50℃で放置して反応を
進めたのち、えられた結晶を盧取し、THFによりTHFが殆
んど着色しなくなるまで洗浄を繰り返したのち減圧乾燥
し、キノン−アミン化合物をえた。このもののGPCで測
定した平均分子量は、約8000であった。
比較製造例12 反応容器にTHF200部を仕込み、30℃にて攪拌下にp-ベン
ゾキノン5部およびp-フェニレンジアミン5部を加え
た。p-フェニレンジアミンを加えると反応液は赤黒色に
なった。攪拌を停止し、30日間30℃で放置して反応を進
めたのち、えられた結晶を濾取し、THFによりTHFがほと
んど着色しなくなるまで洗浄を繰り返したのち減圧乾燥
し、キノン−アミン化合物をえた。このもののGPCで測
定した平均分子量は、約7000であった。
比較製造例13 反応容器にTHF100部を仕込み、30℃にて攪拌下に9,10-
フェナントレンキノン1部および1,2-ジアミノナフタレ
ン1部を加えた。1,2−ジアミノナフタレンを加える
と反応液は黄赤褐色になった。攪拌を停止し、120日間3
0℃で放置して反応を進めたのち、えられた結晶を濾取
し、THFによりTHFが殆んど着色しなくなるまで洗浄を繰
り返したのち減圧乾燥し、キノン−アミン化合物をえ
た。このもののGPCで測定した平均分子量は、約10000で
あった。
比較製造例14〜16 比較製造例11〜13でえられたキノン−アミン化合物0.7
部をDMAc100部に溶解し、えられた溶液にハイドロサル
ファイトナトリウムの20%水溶液7部を加えて常温常圧
下に5時間攪拌し、還元処理を行なった。えられた反応
液を濾過して、後述の比較例に用いた。
実施例1 第1表に示す塗布剤を15攪拌機付ステンレス鋼製重合
器の内壁および攪拌翼、バッフルプレートの表面に0.2
g/m2塗布して、乾燥したのち、スチレン−ブタジエン
共重合体ラテックス4000g(固形分50%)、純水6000
g、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.2g、硫酸
第一鉄0.1g、ロンガリット8gを加えて内温を60℃に
し、硫酸カリウム400g(10%水溶液)を入れたのち、
クメンハイドロパーオキサイド12gを含むメタクリル酸
メチル1600gを400g単位で30分毎に添加して3時間重
合反応を行なった。その後クメンハイドロパーオキサイ
ド8gを添加して1時間重合反応させた。重合終了後、
重合体を取り出し重合器内を観察したところ、それぞれ
の塗布剤により第1表に示すような重合体スケールの付
着がみられた。
従来のハロゲン化ビニルの重合に用いられているような
実験NO.1〜6の塗布剤はスケール防止効果がなく、ま
た特開昭59-68314号公報記載の化合物である実験NO.8
〜11はスケール防止効果があるもののその反応性や発ガ
ン性に問題があり実用に適さない。それに対して本発明
の例である実験NO.12と13は反応性や発ガン性の問題も
なく充分に工業的なスケール防止効果があった。
実験NO.8〜13における塗布は、塗布剤をDMAc−アセト
ン(80:20(容量比、以下同様))混合溶剤(表面張力
(50℃):28.3dyn/cm)に1.0〜1.2%となるように溶解
したものを用いて行なった。
スケール付着量、塗布膜の厚さと均一性および剥離性、
重合体ラテックスの汚染性を評価した結果および反応性
や発ガン性などを考慮した工業的実用性は別に評価し、
これらの全てに合格したものを総合評価として併記す
る。
(スケール防止評価) ○:判定基準にすべて合格である。
△:重合ラテックスに汚染のみが認められる。
×:判定基準に不合格である (総合評価) ◎:工業的に実用性がある。
×:工業的に使用できない。
実施例2 第2表に示すような塗布剤を100攪拌機付ステンレス
鋼製重合器の内壁の表面に1.0g/m2塗布して、乾燥し
たのち、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス25kg
(固形分50%)、純水37.5kg、ロンガレット50g、エチ
レンドアミン四酢酸二ナトリウム1g、硫酸第一鉄0.5
gを加えて内温を60℃にし、食塩の10%水溶液2000gを
入れたのち、クメンハイドロパーオキサイド100gをメ
タクリル酸メチル8250gとスチレン4250gの混合物に溶
解し、その後、3150g単位で30分毎に添加して3時間重
合反応を行なった。その後クメンハイドロパーオキサイ
ド50gを添加して2時間重合反応させた。重合終了後、
重合体を取り出し重合機内を観察したところ、それぞれ
の塗布剤により第2表に示すような重合体スケールの付
着がみられた。
本例においても、従来のハロゲン化ビニルの重合に用い
られているような実験NO.14〜19の塗布剤はスケール防
止効果がなく、また特開昭59-68314号公報記載の化合物
である実験NO.21〜23はスケール防止効果があるものの
その反応性に問題があり実用に適さない。それに対して
本発明の例である実験NO.24、25は反応性や発ガン性の
問題もなく充分に工業的なスケール防止効果があった。
また、実験NO.25aは本発明の実験NO.24、25と同様の原
料を用いるが製造条件が異なり、分子量が3000以下であ
るのでスケール防止効果は充分でない。
なお、実験NO.21〜25aにおける塗布用の有機溶剤とし
て、DMAc-酢酸イソプロピル(80:20)混合溶剤(表面張
力(50℃):29.6dyn/cm)を用い、濃度1.0〜1.2%とし
て塗布した。
実施例3 第3表に示すような塗布剤を3攪拌機付ステンレス鋼
製重合器の内壁および攪拌翼、バッフルプレートの表面
に0.5g/m2塗布して乾燥したのち、純水800g、オレイ
ン酸カリウム20g、リン酸3カリウム2g、ロンガリッ
ト0.4g、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.02
g、硫酸第一鉄0.012g、スチレン120g、1,3-ブタジエ
ン280g、パラメンタンハイドロパーオキサイド0.4gを
仕込み、攪拌しながら内温を30℃で15時間重合を行なっ
た。その後純水800g、ロンガリット0.4gを加えて内温
を60℃にし、硫酸カリウム80g(10%水溶液)を入れた
のち、クメンハイドロパーオキサイド0.4gを含むメタ
クリル酸メチル120gを30g単位で30分毎に添加して2
時間重合反応を行なった。その後クメンハイドロパーオ
キサイド0.8gを添加して1時間重合反応させた。重合
終了後重合体を取り出して重合器内を観察したところ、
それぞれの塗布剤により第3表に示すような重合体スケ
ールの付着がみられた。
従来のハロゲン化ビニルの重合に用いられているような
実験NO.42〜45の塗布剤はスケール防止効果がなく、そ
れに対して本発明の例では充分に工業的なスケール防止
効果があった。
実験No.46、49で使用した塗布用の有機溶剤は、DMF-n-
ブタノール(70:30)混合溶剤(表面張力(50℃):25.7
dyn/cm)であり、塗布剤濃度は1.0〜1.2%とした。
実施例4 塗布剤を均一に塗布するため、20×100mmのステンレス
鋼製テストピース(SUS304)#320バフ仕上げの表面に、
第4表に示すように表面張力(50)℃を調整した混合溶剤
に製造例3でえられた塗布剤を溶解して調整した塗布液
を塗布して80℃×30分間乾燥したのち、均一塗布の状態
を目視および光学顕微鏡で観察評価した。結果を第4表
に示す。
なお、混合溶剤とは製造した塗布剤を重合機に塗布する
際に塗布剤を溶解するために使用するもので、塗布剤を
製造する際に使用する有機溶剤ではない。
そのテストピースを100ステンレス鋼製重合器のバッ
フルプレートに固定して、実施例2と同一要領、同一条
件にて重合を行なった。重合終了後、重合体を取り出し
テストピース表面を観察評価したところ、第4表に示す
ような重合体スケールの付着がみられたが、いずれも実
用的なスケール防止効果があった。
実施例5 第5表に示す塗布剤溶液を3攪拌機付ステンレス鋼製
重合器の内壁および攪拌翼、バッフルプレートの表面に
0.5g/m2塗布して乾燥したのち、スチレン−ブタジエ
ン共重合体ラテックス1150g(固形分30%)、純水650
g、ロンガリット0.3g、エチレンジアミン四酢酸二ナ
トリウム0.02g、硫酸第一鉄0.01gを加えて内温を60℃
にし、硫酸カリウムの5%水溶液150gを入れたのちク
メンハイドロパーオキサイド0.4mlをメタクリル酸メチ
ル150mlに溶解したものを、50ml単位で30分毎に添加し
て1.5時間重合を行なった。その後クメンハイドロパー
オキサイド0.8ml添加して1時間重合させた。重合終了
後、重合体を取り出し、重合器内を観察したところ、そ
れぞれの反応生成物により第5表に示すような重合体ス
ケールの付着がみられた。
第5表に示される結果から、特公昭57-1528号公報記載
の化合物である実験NO.61のように分子量が3000未満の
実験NO.61〜70のキノン−アミン化合物である塗布剤は
スケール防止効果がなく、分子量が3000以上の塗布剤に
スケール防止効果があることが分かる。なお、第5表に
示される有機溶剤は塗布剤を塗布する際に用いるもので
ある。
なお実験NO.61では、比較製造例1で調製された溶液(A)
と(B)とを混合し、直ちに重合器内各部に塗布したのち9
0℃で30分間乾燥し、冷却後水洗した。
実施例6 塗布剤を溶解する溶剤のみをを第6表に示すごとく変え
て実施例5と同じテストを行なった結果、第6表に示す
ような重合体スケールの付着がみられた。乾燥は減圧下
に80℃×15分で行なった。
【図面の簡単な説明】
第1図は製造例1でえられたキノン−アミン化合物をGP
Cで分析してえられたチャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−68314(JP,A) 特公 昭57−1528(JP,B2) 英国特許2080962(GB,A)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】乳化重合の過程でアクリル酸エステル単量
    体もしくはメタクリル酸エステル単量体の単独またはそ
    れらの単量体混合物が存在する全単量体の60重量%以上
    になる重合系において、これらの単量体を水、乳化剤お
    よび水または単量体に可溶な重合開始剤の存在下に重合
    するにあたり、ナフタレン環を有する芳香族ジアミンと
    ナフタレン環を有する芳香族キノンとを溶解度パラメー
    タが9.0〜12.2の溶媒の単独もしくは混合溶媒またはそ
    れに対して等重量以下のアルコールを含む混合溶媒中で
    付加反応させ、沈澱分離してえられる平均分子量3000以
    上のナフタレン環を有するキノン−アミン化合物を有機
    溶剤に溶解した溶液をあらかじめ重合器の内面、攪拌
    機、バッフルプレートなどの機内各部に塗布し、塗布膜
    を形成させることを特徴とするアクリル酸またはメタク
    リル酸エステル類の重合方法。
  2. 【請求項2】ナフタレン環を有する芳香族ジアミンがジ
    アミノナフタリンであり、ナフタレン環を有する芳香族
    キノンがナフトキノンである特許請求の範囲第1項記載
    の重合方法。
  3. 【請求項3】塗布されるナフタレン環を有するキノン−
    アミン化合物が、水性分散液中または有機溶媒溶液中で
    還元処理されたものである特許請求の範囲第1項または
    第2項記載の重合方法。
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