JPH0640153B2 - 二価クロムイオン還元再生液を用いる除染方法 - Google Patents

二価クロムイオン還元再生液を用いる除染方法

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JPH0640153B2 JP60184601A JP18460185A JPH0640153B2 JP H0640153 B2 JPH0640153 B2 JP H0640153B2 JP 60184601 A JP60184601 A JP 60184601A JP 18460185 A JP18460185 A JP 18460185A JP H0640153 B2 JPH0640153 B2 JP H0640153B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の利用分野〕 本発明は、原子力発電プラントの一次冷却水が接する配
管・機器、燃料集合体等の内側に形成される放射性の酸
化皮膜を除去するための除染方法に関する。
〔発明の背景〕
原子力発電プラントの一次冷却水が接する配管・機器,
燃料集合体等の内側には放射性の酸化皮膜が形成され、
これがプラントの表面線量率を高める原因になつている
ので、定期点検時の被曝低減の見地からこれら酸化皮膜
の除去すなわち除染が必要となる。この除去には通常金
属材料の表面に形成された酸化皮膜だけを選択的に溶解
・分離し、他方、母材すなわち金属材料自体は溶解する
ことなくその後も使用することができることが要求され
る。
このような除染法には大きく分けて化学的方法、機械的
方法を含む物理的方法、電気化学的方法などが考えられ
る。これらの方法には、一長一短がある。化学的除染法
は酸化皮膜の特性を考慮して選定した酸、還元剤、錯化
剤、インヒビタをブレンドした除染剤を使用する方法で
ある。この方法は酸化鉄皮膜の溶解速度の点では優れて
いるが、金属母材をも溶解する危険性及び残留液による
腐食の心配が残る。物理的除染法はブラシの摩擦による
ブラツシング法、高圧水を噴射する方法、溶液や金属母
材に超音波等で振動を与えて皮膜を機械的に剥離する方
法などがあるが、これらの方法は対象物の形態により除
染率が大きく変化し、また対象物が細い管あるいは複雑
な形状の場合には適用できないことがある。電気化学的
除染法は金属母材に直流通電してそれ自身を陽極にする
アノード分極法、及び陰極にするカソード分極法で代表
される。前者には母材と酸化皮膜を溶解する電解研磨法
が該当し、後者には酸化皮膜だけを還元溶解する還元溶
解法が該当する。これらの方法は原理的に優れている
が、実際に実施するには対象物の組成、形状に対して適
切な電解液、電解条件を選定しなければ効果を発揮しな
いなどの不安定な原因が残されている。
以上のように従来の上記各種の除染法は、放射能を有す
る機器等へ適用するには、安定性、信頼性の上で問題が
多い。
本発明は前述の各種方法の中で化学的除染法に分類され
るものである。最も近い公知例としては技術文献に見ら
れる。添付資料(防食技術.32724(1983)に示す
LOMI法(Low Oxidation State Metal Ion)では還
元性金属イオンとしてV2+,Cr2+,Fe2+を用いて酸
化物を溶解する。具体的にはこれらの金属イオンを単独
で使用するのではなく錯化剤との安定錯体としてCr2+
/bipyridy/Fe2+/EDTA,V2+/ピコリン酸として用
いており、さらにこれらの錯体の酸化還元電位に近い電
位を持つ有機酸、例えばV2+に対しギ酸、Cr2+に対し
シユウ酸を選択している。したがつて本発明とのちがい
は、Cr2+イオンと共存する錯化剤と有機酸の種類が異
なる点、除染工程において、LOMI法は除染液を使い
すてで使用するのに対して、本発明は除染液中の溶解成
分を除去する工程とさらに除染を電解還元により再生す
る工程により再循環方式をとつている点である。さらに
本発明では除染液の濃度、pH、溶存酸素等の条件を設定
している。
〔発明の目的〕
本発明の目的は、金属母材を溶解させないで、複雑な配
管、機器等が形成される酸化鉄皮膜、付着物を選択的に
均一に効率よく溶解することのできる二価クロムイオン
還元再生液を用いる除染方法を提供することにある。
〔発明の概要〕
本発明は、原子力発電プラントの1次冷却水配管および
これに接する機器の表面に付着、堆積する鉄酸化物を被
除染体とする除染方法であって、二価クロムイオン(C
2+)を含有する錯化剤溶液を除染液として被除染体と
接触させて鉄酸化物だけを還元溶解し、鉄酸化物を溶解
後の除染液をイオン交換膜にて陰極室と陽極室が仕切ら
れて成るCr3+還元電解槽の陰極室に通して前記鉄酸化
物の還元により生成したCr3+をCr2+に還元再生して
二価クロムイオン濃度をほぼ一定に保持して前記除染液
をサイクルで循環するようにしたことを特徴とする二価
クロムイオン還元再生液を用いる除染方法。
次に本発明について総括的に説明する。まず原子力プラ
ントの一次冷却水系統の概要を第1図に示す。原子炉1
で発生した蒸気はタービンで仕事をして復水器3で冷却
して復水4となり、この復水をまた原子炉に戻す系統に
なつている。原子炉の放射能上昇の原因は原子炉に供給
される給水5中に含まれている鉄酸化物等の不純物に起
因する。そのため復水系統に脱塩器6等を設けて浄化し
ている。さらに原子炉の中の炉水中の不純物は炉水の循
環系統7の中に設置された脱塩器8で浄化される。この
ような浄化系統の設置により放射能基因物質を除去する
ことができる。しかしながらこれらの浄化装置でも十分
除去できるとは云えないプラントが多い。放射能の上昇
する系統は主に原子炉廻り特に再循環系統が大きい。こ
れは炉心の燃料棒表面で先の放射能起因成分であるC
o,Niイオンが先の鉄酸化物と一緒に付着して中性子
照射を受けて放射性成分に変化する。この成分が再循環
系の配管、ポンプ等の機器に付着する。したがつて原子
力プラントの除染は主に炉水の再循環系統とその周辺系
統部が多くなる。次にこれらの放射性付着物の主成分
は、マグネタイト(Fe3O4)、ヘマタイト(α−Fe2O3
であり、他にFeO,FeOOHなどの鉄酸化物もある。これら
の成分の中に放射性イオン、例えばCo−60、Mn−54など
のイオンを含んで放射能を有する付着物ということにな
る。これらの成分の溶解には酸化物を還元して精成鉄イ
オンの原子価を小さくして溶解しやすいようにした後に
錯化剤により金属イオンを捕捉して外部へ取り出すこと
による。ここで鉄酸化物の還元溶解力というのは溶液中
に還元成分が鉄酸化物に電子を付与する力であり、その
指標として還元電位で与えることができる。この場合の
還元剤であるCr2+イオンの還元電位はCr3+/Cr2+
の系において−0.68Vvs、SCEにあり相当強い還元力を発
揮する。またCrがEDTAと錯体を形成している場合にも
−0.6V付近の値を示す。したがつてCr2+を含む溶液
の還元力は非常に強力である。一方、これらの還元力を
利用して鉄酸化物を溶解させるには、金属材と鉄酸化物
のそれぞれが有している自然電位を基準に考えることが
できる。金属材のうちSu8材は約−0.5Vvs、SCEに
あり、鉄酸化物のFe3O4は−0.15Vvs、SCE、α−Fe2O
3は−0.1Vvs、SCEにある。したがつて鉄酸化物を溶
解して金属材を防食するには、鉄酸化物の自然電位より
負側の電位になればよく、前述のCr2+・EDTA液は
その電位より低くなる可能性がある。
次に鉄酸化物を溶解させる時にはCr2+が酸化されてC
3+になる。したがつて除染能力を継続するためにはC
3+をCr2+に還元する必要がある。これにはCr2+
Cr3+系の電位よりも低い電位で還元しなければならな
い。これには還元性の薬剤を用いることは還元力の点か
ら難点があり、還元力を調整できる見込みのあるのは電
解還元である。この操作では電極材の選定が問題とな
る。各種電極材の中で鉛、亜鉛、黒鉛等のH2過電圧の
大きい電極ではCr3+をCr2+に還元できることを見い
だした。しかるに電解操作では電極材の適当な選定、配
置の下に初期の除染液成分に再生できることになる。一
方、除染の進行とともに除染液中の鉄酸化物の溶解Fe
イオンが増大していく。FeイオンはFe2+イオンとF
3+イオンである。これらのイオンはEDTAと反応し
てFeEDTAを形成するが、Feイオンの増加によりEDT
Aとの錯化力が弱まつていく。キレート力を保持するに
はFeイオンを除去しておく必要がある。同時にCr2+
あるいはCr3+は除去してはいけない。そこでFeイオ
ンをCrイオンから選択的に除去する必要がある。これ
にはFe・EDTAとCr・EDTAの電析電位を利用することができ
る。それぞれが電析する時の電位はよくわかつていない
が、Cr・EDTAの方が低い電位にある。この電位差を具体
化するためには導電性粒子を充填した電解槽で適当な電
位差を与えることによりFe・EDTAを分離することができ
る。一方、Cr2+・EDTA液は還元力に優れるが、それだ
け酸化されやすく不安定である。したがって電界槽で生
成したCr2EDTAの濃度を保持するためには溶液中の酸
素を除去しておく必要がある。これには除染液の循環系
に脱気槽を設けるとともに電解槽で酸素を還元して除去
することが必要となる。脱気槽では窒素(N),アルゴ
ン(Ar)等の不活性ガスのバブリングでDOを50pp
b以下に低下させ、さらに電解還元にてDOを10ppb以
下に下げることを必要とする。
以上の操作を行なうことにより鉄酸化物を効果的に溶解
させて除染することができる。除染後の除染液の回収に
は陰イオン交換樹脂でCr・EDTA Fe・EDTAをイオン交換し
て除去して放射性物質も除去する。
〔発明の実施例〕
以下、本発明の実施例について説明する。
第2図には本発明の方法を配管内面に付着した酸化鉄付
着物を除去するために実施する場合の除染フローの概略
図が示されている。
この実施例は、被除染体にCr2+EDTA除染液を循環して
鉄酸化物を効率的にかつ選択的に除染を行なうものであ
る。第1図の如く、鉄酸化物を除去したいプラントの被
除染体9に対して除染液を再循環させる系統10が接し
ている。再循環系統10の両端間には加熱源と脱気装置
を備えた原水槽11、Feイオンの回収器12、Cr3+
還元電解槽13、循環ポンプ14が設けられている。こ
れらの装置の付属装置として、原水槽に供給するCr2+
生成電解槽15、除染後の除染液回収用のイオン交換樹
脂槽16がある。これらの装置の中で、Cr3+還元電解
槽13はイオン交換膜で仕切られており、陰極室に除染
液が流通するようになつている。陽極は白金板などの任
意の不溶性電極であるのに対して、陰極では黒鉛、鉛、
亜鉛等のH2過電圧が大きく、Cr3+をCr2+に還元す
るに適した電極を配している。一方、原水槽11に供給
するCr2+生成電解槽15でもCr3+還元電解槽と同じ
構成でなつており、特に陰極室を還元雰囲気に保持する
ために不活性ガスで脱気するようになつている。なおF
eイオンの回収器12では粒状活性炭を充填した電解槽
で構成している。
このような系統と装置において、被除染体9を除染する
時には、まずCr2+生成電解槽15で除染液のCr3+ED
TA液を電解還元してCr2+EDTAを作成して原水槽11に
供給する。この除染液をポンプ14で被除染体9に循環
する。除染の進行とともに発生するFeイオンはEDT
Aと結合したFeEDTAになつておりこれをFeイオン回収
器12で電解吸着除去する。さらに除染により消費され
て酸化したCr2+EDTAはCr3+EDTAとなつているが、こ
れをCr3+還元電解槽13で還元してCr2+EDTAに戻
す。このような系統で除染液を処理することにより除染
力を弱めることなく被除染体の鉄酸化物を溶解してい
く。これらの除染操作が終了すると除染液中にはCr3+
EDTAと若干のFe3+EDTAが残留しているが、これらは負
イオン(〔CrEDTA〕-、〔FeEDTA〕-)であり放射能を帯
びていることから全量をアニオン交換樹脂16で回収す
る。回収後の樹脂は別途隔離して保管することになる。
次に本発明の方法の有効性を示す実験例について説明す
る。
まずCr3+EDTA液の作成法について示す。Crを含む試
薬は硫酸クロム(Cr2(SO4)3)、塩化クロム(CrC3)、酢
酸クロム((CH3COO)3Cr)、クロム酸(CrO3)等がある
が、これらは溶解液中に陰イオンを含むかあるいは溶解
しにくい成分である。そこで無機性の共存イオンを出来
るだけ含有しないでかつ溶解後の残留液の処理の点を考
慮して、金属Cr粉末をシユウ酸に添加して高温度で溶
解させた。溶解条件は0.15M/シユウ酸0.6にCr
粉末を0.05M/添加したもので、予めArガスで十分
脱酸素処理を行ない、しかる後にオートクレープに入れ
て150℃まで加温して1h保持した。冷却後とり出し
た液は完全に溶解しており、シユウ酸も分解しない。こ
のようにして処理すると任意のシユウ酸クロム濃度液を
作ることができる。以下の実験ではこの方法により任意
のEDTA液と混合して作成した液を用いた。
次にCr3+EDTA液を電解還元してCr2+EDTAを作成する
方法について述べる。電解還元実験に用いた電解槽を第
3図に示す。電解槽はイオン交換膜9で仕切られた陽極
室18と陰極室19に分かれている。各電解槽には液中
の溶存酸素を除去するためにArガスを注入する散気管
20が底部に設置されている。さらに電解液の加温には
ヒータ21を設けている。陽極室のアノード14には白
金板を、陰極室のカソード23には各種電極を交換でき
るようにしている。電解には両電極間に外部直流電源1
5から電圧を印加する。
前述の電解槽を用いて電解還元実験を行つた。陰極室の
電解液には0.006M/シユウ酸Crに0.008M/EDTA・2NH
4液を0.6、pH5.560℃に十分脱気して調整したもの
を用いた。電極には鉛板、黒鉛板を用いた。電解条件に
は定電流電解として電流0.7A(電流密度0.025A/cm2
で行つた。Cr2+イオンの分析にはFe3+イオンとの酸
化還元滴定から求めた。結果を第4図に示す。同図から
鉛電極、黒鉛電極ともにCr2+イオンが電解時間ととも
に生成している。これらの電極でCr2+イオンが生成す
るのはCr3+イオンの吸着性がよいことと水の分解を抑
えて還元反応が進むものと考えられる。したがつてこれ
らの電極で電流密度の設定、液pH温度、溶存ガスの脱気
レベル等の因子でCr2+が生成できる。
次に前述のCr2+含有電解液を用いて実際に鉄酸化物を
溶解させた特性を示す。用いた鉄酸化物はFe3O4の焼結
体(20φ板)である。溶解は先の第2図に示した電解
槽の陰極室を用いた。すなわち電解により生成させたC
2+イオン液にFe3O4板を挿入した。Fe3O4の溶解特性を
第5図に示す。同図中にCr2+イオンの初濃度を示して
いる。これよりCr2+イオンを含有しない電解液ではほ
とんど溶解しないのに対して、Cr2+イオン濃度の増加
とともにFe溶解量が増加する。しかしながらCr2+
オン含有電解液ではいずれも時間とともに溶解量の上昇
が低下する傾向がみられる。これはFe3O4の還元溶解に
Cr2+イオンが消費されるためである。
次に原子力プラントの冷却水配管表面に付着している放
射能を有する鉄酸化物の除染特性を実験から求めた。放
射能を有する供試材はSUS304鋼上に20μmの厚
さのFe3O4を主成分とする付着物を有しており、1cm×
1cm角の付着物のある面を残して後は絶縁材で被覆した
ものを用いた。表面放射線量は約0.8mR/hを有する。実
験には先の第2図に示した電解槽を用いた。除染特性は
予め電解槽内でCr2+含有液を作成し、これに供試材を
浸漬して各時間毎に供試材の放射線量を測定した。試験
結果の1例を第6図に示す。試験条件は0.003M/クエ
ン酸Cr,0.005M/EDTA・2NH4液,0.7.pH5.5,温度
80℃、カソード材に鉛板(28cm2)を用い、電流1.5
Aで通電した。供試材の浸漬前に電解液中のCr2+イオ
ンは10ppmである。実験後のCr2+イオンは13ppmで
ある。放射能除去特性を第5図に示す。電解により除去
率は急激に大きくなり120min後には90%を越えた
特性を示している。ちなみに同図中にCr2+イオンを含
有しない同じ成分のCr3+イオン含有電解液では除去率
は10%前後である。したがつてCr2+イオン含有電解
液が放射能を有する鉄酸化物の溶解に大きく寄与するこ
とがわかる。
次にはCrイオンとFeイオンの選択的吸着除去の特性
について述べる。試験装置を第7図に示す。装置はアク
リル透明板でできた電解槽26で下部に攪拌部があり、
陽極27と陰極28の間に粒状活性炭29を充填してい
る。電解液には0.008M/EDTA・2NH4液にFe3+,Cr3+
の各イオンを0.002M/含有している液を用いた。実験
方法は電解液を電解槽に入れて両電極から電圧を印加し
て電解した。電解液200ml、電圧8V、電流0.4Aに
おける液中のFeとCrの減少量を測定した。測定結果
を第8図に示す。同図よりFe,Crともに電解時間と
ともに減少するが、Feの減少速度が大きい。これは電
解液中でFe,Crともに〔Fe・EDTA〕-、〔Cr・EDTA〕-
の形態をとつており、電解槽内で複極化した活性炭に電
気的吸引力が作用して吸蔵される。この時の吸蔵速度は
Fe・EDTAとCr・EDTAイオンのそれぞれのイオン径、電荷
量、解離状態、さらには活性炭粒子の表面に生ずる電位
等の因子に影響される。ここでの実験は回分処理したも
のであり、流通処理では除去率等が異なるが、Fe,C
rの両イオンを含む錯化剤溶液からCrイオンをFeイ
オンより優先して除去することができる。
なおFeイオンの選択的吸着除去に強酸性カチオン交換
樹脂を利用することもできる。この場合〔Fe・EDTA〕-
イオン交換基表面の酸性基でFe3+イオンを切りはなし
て吸着除去するものである。〔Cr・EDTA〕-は酸で分離し
てもすぐに酸化されてCrO3 3-等のアニオンとなりカチオ
ン樹脂で吸着されない。したがつてFeイオンとCrイ
オンの分離性は先の電解方式より優れている。但しイオ
ン交換樹脂法ではFeイオン除去にともなつて酸性基が
放出されてpHが低下するのでアルカリで中和する必要が
生じる。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明によれば、二価クロムイオ
ン(Cr2+)を含有する錯化剤溶液を除染液として被除
染体と接触させて鉄酸化物だけを還元溶解し、鉄酸化物
を溶解後の前記除染液をイオン交換膜にて陰極室と陽極
室が仕切られて成るCr3+還元電解槽の陰極室に通して
前記鉄酸化物の還元により生成したCr3+をCr2+に還
元再生して二価クロムイオン濃度をほぼ一定に保持して
前記除染液をサイクルで循環するようにしたので、母材
を溶解することなく、その表面の酸化鉄のみ選択的に、
均一にかつ効率的に除去することが可能であつて、しか
も、鉄酸化物の還元により生成したCr3+をCr3+還元
電解槽によってCr2+に還元再生するようにしたので、
除染液の除染能力を低下させずに継続維持させることが
できる。更に、複雑な形状の配管、機器等の除染対象物
に適用することができ、残留液による腐食の心配なく、
更に電解条件や電解操作も簡単である等の効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は原子力プラントの系統図、第2図は被除染体の
鉄酸化物を除去する場合の本発明の実施例を示す概略
図、第3図及び第7図は本発明の方法の実験装置を示す
図、第4図、第5図、第6図及び第8図は本発明を実証
するに必要な実験結果であつて、第4図はCrイオンを
還元する際のカソード電極材によるCr2+イオンの生成
量を表わす図、第5図は電解還元により生成したCr2+
イオン含有液を用いたFe3O4の溶解特性を示す図、第6
図は電解還元により生成したCr2+イオン含有液を用い
た放射性成分付着材の除染特性を示す図、第8図はFe
とCrを含有する溶液からFeイオンを優先的に除去す
る特性を示す図である。 11……原水槽、12……Feイオンの回収器、13…
…Cr3+還元電解槽、14……循環ポンプ、15……C
2+生成電解槽、16……イオン交換樹脂槽。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−54898(JP,A) 特開 昭60−3598(JP,A) 特開 昭59−154398(JP,A)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原子力発電プラントの1次冷却水配管およ
    びこれに接する機器の表面に付着、堆積する鉄酸化物を
    被除染体とする除染方法であって、二価クロムイオン
    (Cr2+)を含有する錯化剤溶液を除染液として被除染
    体と接触させて鉄酸化物だけを還元溶解し、鉄酸化物を
    溶解後の除染液をイオン交換膜にて陰極室と陽極室が仕
    切られて成るCr3+還元電解槽の陰極室に通して前記鉄
    酸化物の還元により生成したCr3+をCr2+に還元再生
    して二価クロムイオン濃度をほぼ一定に保持して前記除
    染液をサイクルで循環するようにしたことを特徴とする
    二価クロムイオン還元再生液を用いる除染方法。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲第1項記載の発明におい
    て、上記二価クロムイオンの生成、再生には黒鉛、鉛又
    は亜鉛から成るカソードを配したCr3+還元電解槽によ
    って行うことを特徴とする二価クロムイオン還元再生液
    を用いる除染方法。
  3. 【請求項3】特許請求の範囲第1項又は第2項記載の発
    明において、上記除染中に溶解した鉄イオンの除去に
    は、強酸性カチオン樹脂での鉄イオンの選択吸着あるい
    は定電位電解法による鉄の電析回収によって行うことを
    特徴とする二価クロムイオン還元再生液を用いる除染方
    法。
  4. 【請求項4】特許請求の範囲第2項又は第3項記載の発
    明において、上記三価クロムイオン含有液を生成するに
    クロム金属粉末の有機酸溶液によって高温溶解法によっ
    て行うことを特徴とする二価クロムイオン還元再生液を
    用いる除染方法。
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