JPH0639648B2 - 形状記憶合金材料およびその製造方法 - Google Patents

形状記憶合金材料およびその製造方法

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JPH0639648B2
JPH0639648B2 JP61011066A JP1106686A JPH0639648B2 JP H0639648 B2 JPH0639648 B2 JP H0639648B2 JP 61011066 A JP61011066 A JP 61011066A JP 1106686 A JP1106686 A JP 1106686A JP H0639648 B2 JPH0639648 B2 JP H0639648B2
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孝純 清水
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) この発明は、各種機械装置,住宅設備,医療器材などに
利用される形状記憶合金材料およびその製造方法に関す
るものである。
(従来の技術) 近年、可逆性もしくは非可逆性の形状記憶合金材料への
関心が高まっており、産業上の広い分野で形状記憶合金
材料自体およびそれらの用途の開発が進められている。
この種の形状記憶合金材料としては、Ni−Tiおよび
Ni−Ti−X系,Cu−ZnおよびCu−Zn−X
系,Cu−Sn系,Ni−Al系等々の数多くの種類の
ものが開発されている。
これらのうち、化学量論的に1:1の組成に近いNi−
Ti合金についても種々の研究がなされており、Ni濃
度と形状記憶効果を示す変態点(Af)との間にはほぼ
直線的な関係があり、Ni量が0.1重量%変化するこ
とによって変態点(Af)が10〜15℃変化すること
が知られている(日本国特許第863245号)。
また、Ni−Ti合金に形状記憶効果を持たせるために
は、通常の場合、冷間加工した材料を300〜500℃
の中温度で熱処理する方法がとられている。例えば、N
i−Ti合金に対して500℃で形状記憶処理を行った
場合のNi濃度と変態点(Af)との関係を示すと第1
図のとおりである。
第1図に示すように、Ni濃度が約55.2重量%以上
では変態点(Af)は一定値となる。
(発明が解決しようとする問題点) 第1図に示したように、Ni−Ti合金の変態点(A
f)はNi濃度が約55.2重量%以上で一定値となる
が、このNi−Ti合金において上記変態点(Af)を
さらに低下させることが要望されていた。また、変態点
(Af)の低下と同時に熱間加工性や冷間加工性につい
ても良好なものにできるようにすることが要望されてい
た。
この発明は、上述した従来の要望に着目してなされたも
ので、かなりの研究実績をもっているNi−Ti系の形
状記憶合金材料において、変態点(Af)のコントロー
ルをしやすくし、変態点(Af)が30℃以下の低い材
料を工業的に提供することを目的としている。
[発明の構成] (問題点を解決するための手段) この発明による形状記憶合金材料は、Ni−Ti−X系
合金において、Ni/Tiが重量比で1.20以上1.
30以下であり、XがFe,Co,Cr,Mnのうちの
1種または2種以上の合計で5.0重量%以下であるこ
とを特徴としている。
また、この発明による形状記憶合金材料の製造方法は、
Ni/Tiが重量比で1.20以上1.30以下であ
り、XがFe,Co,Cr,Mnのうちの1種または2
種以上の合計で5.0重量%以下であるNi−Ti−X
系合金を、700℃以上900℃以下の温度で溶体化処
理し、次いで500℃以上700℃以下の温度で焼なま
し処理を施し、その後冷間加工を行うようにしたことを
特徴としている。
この発明による形状記憶合金材料およびその製造方法は
上記の構成からなるものであり、加工性および形状記憶
特性が良好であって、しかも変態点(Af)が30℃以
下の形状記憶合金材料を提供することができるものであ
る。
ところで、Ni−Ti−X系合金としては、従来すでに
数多くの合金が公知となっている。例えば、Ni1−X
TiCu(日本国特許第959348号),TiNi
1−X(M=Fe,Co)(日本国特許第8632
45号),Ti1−XNiM(M=V,Cr,Mn)
(特開昭51−125623号)などがある。これらの
合金はNiあるいはTiの一部を第三元素で置換した合
金であり、ごく少量置換の場合は別として一般に加工性
が悪く、工業的製造に適さないこと、また、通常の製造
方法、すなわち溶解−鋳造−鍛造−圧延−伸線−焼鈍−
伸線の工程によっては変態点(Af)を低下させること
が不可能であること、が確認された。
そして、特に熱間における加工性について種々検討した
結果、Ni/Tiの重量比を1.20以上1.30以下
にし、かつまたFe,Co,Cr,Mnの添加量を合計
で5重量%以下とすることによって熱間加工性が改善さ
れることを確かめた。すなわち、Ni/Tiの重量比が
1.20よりも値が低くなると熱間加工性が低下すると
共に、変態点(Af)が高くなり、目標とする変態点
(Af)約30℃以下を得ることができなくなり、反対
に1.30よりも値が大きくなると同様に熱間加工性が
低下する。また、X元素であるFe,Co,Cr,Mn
は変態点(Af)を下げ、温度の低いところでも形状記
憶効果を発揮させるのに有効であるが、多すぎると前述
のように熱間加工性を低下させるので5重量%以下とし
た。
そして、上記の形状記憶合金材料を製造するに際し、7
00℃以上900℃以下の温度で溶体化処理することに
よって変態点(Af)を低下させることができる。この
場合、700℃未満では溶体化処理が不十分であり、9
00℃を超えると合金の酸化が激しくなり、工業的生産
に不向きとなる。さらに、溶体化処理後は500℃以上
700℃以下の温度で焼なまし処理を施すことにより、
冷間加工性を著しく改善することができ、冷間加工が容
易に可能となる。
このように、この発明による形状記憶合金材料は、工業
的製造性に優れており、しかも変態点(Af)が中温処
理でおよそ+30℃〜−30℃まで任意の温度にコント
ロールできることを特徴としており、きわめて実用性の
高い合金である。
(実施例) 第1表に示す組成の合金(試料No.1〜11の合金は本
発明の合金組成を満足し、試料No.12の合金はNi/
Tiが低すぎ、試料No.13の合金はNi/Tiが高す
ぎ、試料No.14の合金はX元素を含まない。)が得ら
れるように各々原料を秤量し、カルシアるつぼ中で高周
波誘導炉によって溶解した。次いで、溶解材を鋳造し
て、直径60mm,長さ180mmの鋳塊(重さ約3.
5kg)をそれぞれ作製した。次いで、各鋳塊の表面を
旋削し、900℃に加熱して鍛造を行って直径30mm
の棒状体を得た。次に各棒状体を再び900℃に加熱し
て圧延を行うことにより直径8.5mmの棒材を得た。
続いて、前記各棒材に対してダイスによる伸線および熱
処理を繰り返し、最終段では直径1.2mmの線材を得
た。次いで、この線材に対して800℃×30分の溶体
化処理(ただし、試料No.8,11は除く。)を施した
のち、650℃×30minの焼なまし処理(ただし、
試料No.9,10は除く。)を施し、その後再び伸線を
行って(ただし、試料No.12,13は除く。)直径
1.0mmのコイルを得た。そして、各々製造されたコ
イルより試料を切り出し、500℃×30分の形状記憶
処理を行ったのち、示差走査型熱量計によって各試料の
変態点測定を行った(ただし、試料No.12,13を除
く。)。これらの結果を同じく第1表に示す。
なお、第1表において、熱間加工性の○は良好であった
こと、×は良好でなかったことを示し、冷間加工性の○
は冷間加工度30%以上、△は同じく10〜30%、×
は同じく10%以下であったことを示している。
第1表に示すように、本発明の合金組成を満足する試料
No.1〜11ではいずれも変態点(Af)が30℃以下
と低く、熱間加工性にも優れていることが明らかであ
る。そして、特に溶体化処理および焼なまし処理を施し
た試料No.1〜7では、変態点(Af)がかなり低くな
っていると共に、熱間加工性および冷間加工性にも優れ
たものとなっている。しかし、溶体化処理を省略したN
o.8,11では熱間加工性および冷間加工性は良好であ
るものの変態点(Af)が高目となっているため、用途
等に応じて溶体化処理を施すことがより望ましいことが
明らかであり、焼なまし処理を省略したNo.9,10で
は変態点(Af)温度がかなり低くかつ熱間加工性は良
好であるものの冷間加工性があまり良くないものとなっ
ているため、冷間加工を行う場合には焼なまし処理を施
すことがより望ましいことが明らかである。
これに対して、Ni/Tiが低いNo.12では熱間加工
性が低下し、Ni/Tiが高いNo.13においても熱間
加工性が低下し、X元素を含まないNo.14では変態点
(Af)が高くなるので好ましくないことが確かめられ
た。
[発明の効果] 以上説明してきたように、この発明による形状記憶合金
材料は、Ni−Ti−X系合金において、Ni/Tiが
重量比で1.20以上1.30以下であり、XがFe,
Co,Cr,Mnのうちの1種または2種以上の合計で
5.0重量%以下であるものであるから、変態点(A
f)を例えば30℃以下の低い値にすることができ、温
度の低い環境下においても形状記憶効果を発揮させるこ
とができるようになり、また、熱間加工性も良好である
ため工業的製造性にも著しく優れたものであるという効
果がもたらされ、この発明による形状記憶合金材料の製
造方法では、上記のNi−Ti−X系合金を700℃以
上900℃以下の温度で溶体化処理し、次いで500℃
以上700℃以下の温度で焼なまし処理を施すようにし
たから、溶体化処理を行うことによって変態点(Af)
をさらに低下させることが可能になると共に、焼なまし
処理を行うことによって冷間加工性が著しく改善された
冷間加工可能な形状記憶合金材料を提供することができ
るようになるという非常に優れた効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
第1図はNi−Ti合金を500℃で形状記憶処理した
場合のNi濃度と変態点(Af)との関係を示すグラフ
である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Ni−Ti−X系合金において、Ni/T
    iが重量比で1.20以上1.30以下であり、XがF
    e,Co,Cr,Mnのうちの1種または2種以上の合
    計で5.0重量%以下であることを特徴とする形状記憶
    合金材料。
  2. 【請求項2】Ni/Tiが重量比で1.20以上1.3
    0以下であり、XがFe,Co,Cr,Mnのうちの1
    種または2種以上の合計で5.0重量%以下であるNi
    −Ti−X系合金を、700℃以上900℃以下の温度
    で溶体化処理し、次いで500℃以上700℃以下の温
    度で焼なまし処理し、その後冷間加工することを特徴と
    する形状記憶合金材料の製造方法。
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JPS5122618A (ja) * 1974-08-20 1976-02-23 Matsushita Electric Ind Co Ltd Nitsukeruchitangokinno seizokakohoho
JPS5928548A (ja) * 1982-08-06 1984-02-15 Kazuhiro Otsuka 超弾性、非可逆形状記憶性Ni−Ti基合金材とその製造方法
JPS59150069A (ja) * 1983-02-15 1984-08-28 Hitachi Metals Ltd 形状記憶合金製造方法

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