JP3614869B2 - 高強度非磁性低熱膨張合金 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、−50℃から100℃における平均熱膨張係数が7〜13×10−6/℃、−50℃から300℃における平均熱膨張係数が14〜17×10−6/℃で、かつ溶体化処理後再加熱した状態での耐力が60kgf/mm2以上、引張強さが70kgf/mm2以上であって透磁率が1.05以下である高強度非磁性低熱膨張合金に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、磁気浮上リニアモーターカーあるいは自動車の構造部材を初めとして、原子力産業や各種電気部材において、その磁気損失を少なくするため非磁性材料が要求され、主にSUS304を中心としたステンレス鋼が使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、該鋼材は耐力等の機械的強度が低く、熱膨張係数も0〜100℃で約7〜13×10−6/℃と大きく、かつ加工硬化型であるため冷間加工により透磁率が上昇するという欠点を有する。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の現状に鑑み、反強磁性を示すオーステナイト相Fe−Mn合金に着目し、長年研究を行って開発されたものであり、前記リニアモーターカーや自動車の構造部材、その他に適合する材料を適切に提供することに成功した。ここにおいて本発明合金でいう非磁性とは冷間加工の状態においても透磁率が1.05以下を示すものであって、従来の非磁性鋼の特性をはるかに凌駕するものを目的とするものである。
【0005】
本発明は、重量比にて、Mn 20〜36%、V 0.001〜5.0%およびC 0.001〜2.0%及びB 0.1〜1.0%を含有し、残部がFeと不可避の不純物とからなり、耐力が60kgf/mm 2 以上、引張強さが70kgf/mm 2 以上で、透磁率が1.05以下、熱膨張係数が−50℃〜100℃で7〜13×10−6/℃、−50℃〜300℃において14〜17×10−6/℃であることを特徴とする高強度非磁性低熱膨張合金である。
【0006】
本発明においては、重量比にて、Mn 20〜36%、V 0.001〜5.0%およびC 0.001〜2.0%及びB 0.1〜1.0%を含有し、残部がFeと不可避の不純物とからなる合金について、本発明の合金は簡易な熱処理により初期の特性を発揮し得ることを見出したもので、その目的とするところは、SUS304等のステンレス鋼と比較して機械的強度が高く、具体的には、耐力が60kgf/mm 2 以上、引張強さが70kgf/mm 2 以上であり、透磁率が冷間加工状態でも1.05以下と小さく、しかも熱膨張係数が−50℃〜100℃において7〜13×10−6/℃および、−50℃〜300℃において14〜17×10−6/℃のように小さい高強度非磁性低熱膨張合金として各種用途に適合する新規な材料を提供するにある。
【0007】
【作用】
本発明合金の熱処理と加工の方法は次の通りである。
(a)鋳塊を常温以上融点以下の温度で鍛造、圧延、引き抜きあるいはスウェージング加工を行った後、溶体化処理のため、500℃以上融点以下の高温で1分間以上(例えば5分乃至100 時間)加熱後、焼入れするかあるいは毎秒1℃以下の速度で徐冷して焼鈍を行う。
(b)上記焼入れ後あるいは焼鈍後、さらに200 ℃以上融点以下の温度で1分間以上(例えば5分乃至100 時間)加熱後し、ついで毎秒1℃以下の速度で徐冷する。
【0008】
次に本発明合金の製造方法について説明する。
まず上記組成範囲において適量のMn,V,C、BおよびFeのみを加え、不活性ガスを通じながら通常の溶解炉によって溶解した後、脱酸剤としてのSi,Al,Ca等を0.1 %以下添加して有害な不純物を除き、充分に撹拌して組成的に均一な溶融合金を造る。なお、VおよびCを使用する場合、単体VおよびCのみならずフエロバナジウムおよび銑鉄も、有効に作用することは勿論である。溶湯は鉄型に注入して任意の形状の鋳塊とし、500℃以上融点以下の温度で1分間以上(例えば5分乃至100 時間)保持した後、焼入れするかあるいは毎秒1℃以下の速度で徐冷する。さらにこれを500℃以上融点以下の温度において鍛造し、鋳塊を充分練成した後、常温以上融点以下の温度において鍛造、圧延、引抜きあるいはスウェージして用途に適合する形状に成型する。次にこれを200℃以上融点以下の温度で1分間以上(例えば5分乃至100 時間)加熱し、ついで毎秒1℃以下の速度で徐冷して製品とする。
【0009】
【実施例】
次に本発明の実施例について述べる。
表1に示す合金成分の全量(約6kg)をアルミナ坩堝中で、Arガスを通じながら高周波誘導電気炉により溶解した後、溶湯をよく撹拌し、鉄型に鋳込んで50×50mm2 の角型鋳塊を得た。次にその一部を鍛造によって直径約30,20および10mmの丸棒にし、1150℃で1時間加熱後100℃/時間の速度で冷却した。それから長さ200 mm、100 mmおよび15mmの丸棒3種を切りとり、一方を溶体化状態、他方を200℃乃至1250℃の任意の温度で1時間加熱した後100℃/時間の速度で冷却して測定に供した。熱膨張係数は縦型全膨張計(DL7000)により、引張強さはインストロン型引張試験機により硬さはビッカース硬度計により、透磁率は透磁率計により200 Oeの磁界中常温で測定した。表2には、本発明合金の測定値の一例と代表的な既知の非磁性合金3種とを比較して示してある。この表から明らかな如く、本発明合金はいずれも従来の非磁性合金に比し、−50℃〜100℃あるいは−50℃〜300℃のいずれの温度範囲においても熱膨張係数が小さく、かつ機械的強度特に耐力が著しく大きくなっている。また透磁率も極めて小さく、優れた非磁性合金であることがわかる。
【0010】
【表1】
【0011】
【表2】
【0012】
図1には前記方法で作製したNo. 3合金について、引張強さと溶体化温度との関係が示してある。図に見るように本発明合金は溶体化温度により引張強さが変わるのがわかる。これは本発明合金において基本組成に含有されるVあるいはCがFe−Mnの地に固溶する結果、安定なオーステナイト相が得られたことを示し、この合金の場合1100〜1150℃の温度が最も効果的である。
【0013】
図2には前記方法で作製したNo. 3合金について、1150℃で溶体化後適当な温度で時効した場合の引張強さおよび熱膨張係数と時効温度との関係を示す。引張強さは時効温度とともに上昇するが熱膨張係数は減少し、それぞれ約700℃付近に鋭い極大と緩やかな極小を作る。また、例えば700℃で時効する場合、その温度に約1分間保持すればその効果が現われ始め、約600 分間の保持で熱処理は殆んど完成する。これは本発明合金において前述のように安定化されたオーステナイト地中のVおよびCが、時効によってVCあるいはV4 C3 等の微細な化合物を形成し粒内に析出し、さらにBはFe2 B,Fe3 B等となって粒界に凝集し、これを強化するとともに、粒内の空孔を埋めて析出相を安定化する結果、引張強さおよび靱性が増大し、一方では熱膨張が抑制され低熱膨張係数が得られるのである。
【0014】
図3には表1に示した比較合金No. 101 と本発明合金No. 3について1150℃で溶体化後700℃で5時間時効した状態の熱膨張ΔL/Lと温度との関係が示してある。図に示すとおり、比較合金は300℃の高温度では伸びの勾配が極めて大きいが、本発明合金は小さく、優れた低熱膨張合金であることがわかる。従って本発明合金は常温および高温において使用するリニアモーターカー用部材、測定機器あるいはその他の構造物の部材として非常に好適である。
【0015】
最後に本発明合金の組成を限定した理由を述べる。
まず、Fe−Mn−V−C−B系合金において、Mn 20 〜36%、V0.001 〜5.0 %、C 0.001〜2.0 %、B 0.1〜1.0%および残部Feと限定したのは、その組成範囲外では熱膨張係数が本発明の目的とする、−50℃から100℃で7〜13×10-6/℃および−50℃から300℃で14〜17×10-6/℃の範囲を越えるからである。Mnは合金の反強磁性特性を安定化させるに必須の元素であり、この範囲より少ないと強磁性相が現出し易くなり、これを越えると反強磁性相が少なくなるからである。また、VおよびCはFe−Mn地中に溶け込んでオーステナイト状態を安定化させると同時にVCあるいはV4 C3 化合物を生成させ、熱膨張係数を低下させ、かつ機械的強度を向上させるに必須の元素であり、これより少ないと化合物相が生成されず、これを越えると化合物相が過多になり機械的強度を下げるからである。
また、Bは粒界に凝集して機械的強度を向上させると共に、透磁率を低下させ、耐食性にも有効に寄与する元素である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の代表的な合金の引張強さと溶体化処理との関係を示した図である。
【図2】図2は本発明の代表的な合金を1150℃で溶体化した後任意の温度で時効した場合の引張強さおよび熱膨張係数と時効温度との関係を示した図である。
【図3】図3は本発明の代表的な合金を1150℃で溶体化した後700 ℃で5時間時効した状態と従来の非磁性合金の熱膨張曲線を比較した図である。
Claims (1)
- 重量比にて、Mn 20〜36%、V 0.001〜5.0%およびC 0.001〜2.0%及びB 0.1〜1.0%を含有し、残部がFeと不可避の不純物とからなり、耐力が60kgf/mm 2 以上、引張強さが70kgf/mm 2 以上で、透磁率が1.05以下、熱膨張係数が−50℃〜100℃で7〜13×10−6/℃、−50℃〜300℃において14〜17×10−6/℃であることを特徴とする高強度非磁性低熱膨張合金。
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