JP6822237B2 - 低熱膨張合金 - Google Patents
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30.0≦Ni+Co≦40.0 (1)
−0.5<V−50.94/12.01×C<2.0 (2)
ここで、式(1)及び式(2)の元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
30.0≦Ni+Co≦40.0 (1)
式(1)の元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
−0.5<V−50.94/12.01×C<2.0 (2)
式(2)の元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
30.0≦Ni+Co≦40.0 (1)
−0.5<V−50.94/12.01×C<2.0 (2)
ここで、式(1)及び式(2)の元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
本実施形態の低熱膨張合金は、次の化学組成を有する。化学組成について「%」は、特に断りが無い限り質量%を意味する。
炭素(C)は、バナジウム(V)と結合してバナジウム炭化物を形成する。バナジウム炭化物のヤング率は高い。さらに、バナジウム炭化物の熱膨張係数は低く、オーステナイトの半分程度である。したがって、バナジウム炭化物は、合金の熱膨張率の上昇を抑えつつ、ヤング率を高める。C含有量が低すぎれば、この効果が得られない。一方、C含有量が高すぎれば、Cが母相であるオーステナイト相中に固溶する。Cが母相に固溶すれば、熱膨張係数が増大する。したがって、C含有量は0.2〜2.0%である。C含有量の下限は、好ましくは0.2%よりも高く、より好ましくは0.4%であり、さらに好ましくは0.8%である。C含有量の上限は、好ましくは2.0%未満であり、より好ましくは1.6%であり、さらに好ましくは1.2%である。
マンガン(Mn)は不純物である硫黄(S)と結合し、合金の熱間加工性を改善する。Mn含有量が低すぎれば、この効果が得られない。一方、Mn含有量が高すぎれば、合金の自発体積磁歪が減少する。その結果、合金の熱膨張係数が高まる。したがって、Mn含有量は0.05〜2.0%である。Mn含有量の下限は、好ましくは0.05%よりも高く、より好ましくは0.08%であり、さらに好ましくは0.15%である。Mn含有量の上限は、好ましくは2.0%未満であり、より好ましくは1.0%である。
バナジウム(V)は炭素(C)と結合してバナジウム炭化物として合金中に晶出又は析出する。これにより、合金の熱膨張係数の増加を抑えつつ、合金のヤング率を高めることができ、また引張強度を高めることができる。V含有量が低すぎれば、この効果が得られない。一方、V含有量が高すぎれば、Vが母相に過剰に固溶して、合金の熱膨張係数が増大する。V含有量が高すぎればさらに、バナジウム炭化物が粗大化し、合金の熱間加工性が低下する。したがって、V含有量は0.8〜10.0%である。V含有量の下限は、好ましくは0.8%よりも高く、より好ましくは1.6%であり、さらに好ましくは3.2%である。V含有量の上限は、好ましくは10.0%未満であり、より好ましくは8.0%であり、さらに好ましくは6.0%である。
ニッケル(Ni)は、合金の自発体積磁歪を高め、その結果、合金の熱膨張係数を下げる。Ni含有量が低すぎれば、この効果が得られない。一方、Ni含有量が高すぎれば、合金の熱膨張係数がかえって増大する。したがって、Ni含有量は30.0〜40.0%である。Ni含有量の下限は、好ましくは30.0%よりも高く、より好ましくは32.0%であり、さらに好ましくは33.0%である。Ni含有量の上限は、好ましくは40.0%未満であり、より好ましくは38.0%であり、さらに好ましくは35.0%である。
シリコン(Si)は合金を脱酸する。しかしながら、Si含有量が高すぎれば、合金の自発体積磁歪が減少し、合金の熱膨張係数が高まる。したがって、Si含有量は0.5%以下である。Si含有量の好ましい下限は0.01%である。Si含有量の好ましい上限は0.3%であり、より好ましくは0.2%である。
アルミニウム(Al)は合金を脱酸する。しかしながら、Al含有量が高すぎれば、合金の自発体積磁歪が減少する。その結果、合金の熱膨張係数が高まる。したがって、Al含有量は0.1%以下である。Al含有量の下限は、好ましくは0.01%であり、より好ましくは0.02%であり、さらに好ましくは0.03%である。Al含有量の上限は、好ましくは0.1%未満であり、より好ましくは0.05%である。本実施形態において、Al含有量とは、全Alの含有量である。
コバルト(Co)は任意元素であり、含有されなくてもよい。含有された場合、CoはNiと同様の作用を有し、合金の熱膨張係数を低下する。しかしながら、Co含有量が高すぎれば、熱膨張係数がかえって増大する。したがって、Co含有量は0〜10.0%である。Co含有量の下限は、好ましくは0.1%であり、より好ましくは2.0%であり、さらに好ましくは4.0%である。Co含有量の上限は、好ましくは10.0%未満であり、より好ましくは8.0%であり、さらに好ましくは6.0%である。
クロム(Cr)は任意元素であり、含有されなくてもよい。Crは合金に固溶して合金のヤング率を高める。しかしながら、Cr含有量が高すぎれば、過剰に多く固溶したCrにより熱膨張係数が増大する。したがって、したがって、Cr含有量は0〜3.0%である。Cr含有量の下限は、好ましくは1.0%であり、より好ましくは1.5%である。Cr含有量の上限は、好ましくは2.5%であり、より好ましくは2.0%である。
上記化学組成はさらに、式(1)を満たす。
30.0≦Ni+Co≦40.0 (1)
式(1)の元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
上記化学組成はさらに、式(2)を満たす。
−0.5<V−50.94/12.01×C<2.0 (2)
式(2)の元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
低熱膨張合金は、バナジウム炭化物を2.5〜12.5体積%含有する。合金が十分な体積分率のバナジウム炭化物を含有すれば、合金のヤング率が高まる。バナジウム炭化物は、溶湯の凝固時に合金中に晶出する。
低熱膨張合金は、微細バナジウム炭化物を10個/μm2以上含有する。微細バナジウム炭化物とは、円相当径が200nm未満のバナジウム炭化物をいう。微細バナジウム炭化物の円相当径の下限は1nmである。合金が十分な個数の微細バナジウム炭化物を含有すれば、合金の引張強度が高まる。微細バナジウム炭化物は、合金を溶体化処理することによってバナジウム炭化物の一部を合金中に固溶し、その後合金を時効処理することによって析出する。これにより、微細バナジウム炭化物を合金中に分散できる。
上述の合金の製造方法の一例は次のとおりである。上記化学組成を有する溶鋼を製造する。溶鋼を用いて造塊法によりインゴットを製造する。製造されたインゴットに対して、熱間加工を実施して合金を製造する。熱間加工はたとえば、熱間鍛造である。合金を1200℃に加熱して、熱間鍛造する。熱間鍛造温度はたとえば、850〜1150℃である。
熱間加工後の合金を溶体化処理する。溶体化処理により、合金中のバナジウム炭化物の一部が固溶する。溶体化処理温度は1000〜1300℃である。溶体化処理温度が1000℃未満であれば、バナジウム炭化物が十分に固溶しない。一方で、溶体化処理温度が1300℃より高ければ、合金が部分溶融しやすい。溶体化処理時間は0.5時間以上である。溶体化処理時間が0.5時間未満であれば、バナジウム炭化物が十分に固溶しない。溶体化処理後、合金を急冷する。急冷はたとえば水冷である。
溶体化処理後の合金を時効処理する。時効処理により、合金中に固溶したV及びCが微細バナジウム炭化物として合金中に析出及び分散する。時効処理温度は500〜800℃である。時効処理温度が500℃未満又は800℃より高ければ、微細バナジウム炭化物が十分に析出しない。この場合、合金に引張強度が低下する。時効処理時間は0.5時間以上である。時効処理時間が0.5時間未満であれば、微細バナジウム炭化物が十分に析出しない。
上記板材から長さ50mm、幅10mm、厚さ10mmの試験片を作製した。上述の方法により、200nm以上のバナジウム炭化物の体積分率(体積%)を測定した。結果を表3に示す。
上記板材を用いて上述の方法により、200nm未満のバナジウム炭化物(微細バナジウム炭化物)の個数(個/μm2)を測定した。結果を表3に示す。
上記板材から直径3mm、長さ15mmの試験片を作製した。試験片を用いて、熱膨張係数を求めた。具体的には、水平示差検出方式の測定装置を用いて、5℃/minの速度で昇温し、30〜100℃の平均熱膨張係数を求めた。結果を表3に示す。
上記板材から長さ60mm、幅10mm、厚さ1.5mmの試験片を作製した。試験片を用いてヤング率を求めた。具体的には、横共振法の測定装置を用いて、ヤング率を求めた。結果を表3に示す。
上記板材から、平行部の直径が6mm、平行部の長さが65mmの丸棒引張試験片を作製した。作製された引張試験片に歪ゲージを貼り付けた。その後、引張試験片を用いて、常温、大気中にて引張試験を実施し、応力−歪曲線を得た。得られた応力−歪曲線を用いて、引張強度TS(MPa)を求めた。結果を表3に示す。
表1〜表3を参照して、試験番号1〜試験番号6、試験番号11、試験番号14、試験番号15、試験番号18及び試験番号19の合金の化学組成は適切であり、式(1)及び式(2)を満たした。さらに、試験番号1〜試験番号6、試験番号11、試験番号14、試験番号15、試験番号18及び試験番号19の合金は、バナジウム炭化物を2.5〜12.5体積%含有し、微細バナジウム炭化物(円相当径が200nm未満のバナジウム炭化物)を10個/μm2以上含有した。そのため、試験番号1〜試験番号6、試験番号11、試験番号14、試験番号15、試験番号18及び試験番号19の合金の熱膨張係数は4×10-6/℃以下であり、ヤング率は150GPa以上であり、引張強度は800MPa以上であった。
Claims (3)
- 質量%で、
C:0.2〜2.0%、
Mn:0.05〜2.0%、
V:1.6〜10.0%、
Ni:30.0〜40.0%、
Si:0.5%以下及びAl:0.1%以下からなる群から選択される1種以上、
Co:0〜10.0%、及び、
Cr:0〜3.0%
を含有し、残部はFe及び不純物からなり、式(1)及び式(2)を満たす化学組成を有し、
バナジウム炭化物を2.5〜12.5体積%含有し、
円相当径が1〜200nm未満のバナジウム炭化物を10個/μm2以上含有し、
熱膨張係数は4×10 −6 /℃以下であり、ヤング率は150GPa以上であり、かつ、引張強度は800MPa以上である、低熱膨張合金。
30.0≦Ni+Co≦40.0 (1)
−0.5<V−50.94/12.01×C<2.0 (2)
ここで、式(1)及び式(2)の元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。 - 請求項1に記載の低熱膨張合金であって、
前記化学組成は、Co:0.1〜10.0%を含有する、低熱膨張合金。 - 請求項1又は請求項2に記載の低熱膨張合金であって、
前記化学組成は、Cr:1.0〜3.0%を含有する、低熱膨張合金。
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JP2016057670 | 2016-03-22 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2017050885A Active JP6822237B2 (ja) | 2016-03-22 | 2017-03-16 | 低熱膨張合金 |
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