JP3753101B2 - 高強度高剛性鋼及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用材料、ロボット用材料、スポーツ用品用材料等の剛性を必要とする構造部材に好適な高強度高剛性鋼及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、自動車用材料の場合、燃費向上を図るための軽量化や、乗り心地の向上を目的として、高強度高剛性材料の需要が増えている。
【0003】
剛性を表す指標としては、ヤング率を挙げることができ、従来、Fe基合金(以下、鋼ともいう)の場合には、合金化、つまり、合金元素の添加によって等方的なヤング率を高めることが行われ、又、集合組織を発達させることによって或る特定方向のヤング率を高めることが行われてきた。
【0004】
しかしながら、合金化によって鋼のヤング率向上に寄与する元素は、Cr、Co及びReに限られ、しかも、鋼にこれらの元素を含有させた場合でもヤング率は高々数%しか向上しない。一方、鋼のヤング率向上のために集合組織を利用する場合にはヤング率の異方性が大きく、したがって、構造部材への適用には限界があった。
【0005】
近年、高いヤング率を持つ粒子をマトリックス中に分散させた高ヤング率の複合材料が検討されている。
【0006】
一般に、複合材料のヤング率は、社団法人日本機械学会編集の「金属材料の弾性係数」(発行日:1980年10月31日、発行者:社団法人日本機械学会)に記載されているように、分散粒子の体積率によって決定され、分散粒子のヤング率が大きいほど、又、その含有量が多いほど大きく向上する。すなわち、ヤング率の複合則に従えば、マトリックスがα−Fe(フェライト)の場合には、例えば、約25vol%のSiC、約30%vol%のAl、約15vol%のTiB 、約20vol%のTiCのいずれかをマトリックス中に分散させることで、ヤング率は250GPaになって、通常の値である210GPaから約20%も向上する。
【0007】
しかし、上記の割合で高いヤング率を持つ粒子をフェライトマトリックス中に分散させるためには、多量の合金元素を添加する必要があり、したがって、通常の溶製、熱間加工の工程を経て高剛性鋼を製造することは困難である。
【0008】
このため、溶製法で高剛性鋼を製造するには、例えば、特開平10−68048号公報に開示された技術のように、鉄又は鉄合金中に化合物を構成する元素が完全に溶解する温度以上に加熱し、冷却、凝固時に化合物を晶出又は析出させるか、又は、特開2001−59146号公報に開示された技術のように、所定の割合で合金原料を配合し、真空中又は不活性ガス雰囲気中で完全に溶融させた後、金型又はセラミックス型へ鋳造することが必要になる。
【0009】
しかし、このようにして製造した鋼の場合でも、溶鋼から晶出する初晶粒子が凝集・粗大化すると、分散粒子とマトリックス間の界面の密着性が低下し、界面に割れやボイドなどの欠陥が生じやすくなり、材料中にこうした欠陥が生じると、ヤング率の大きな低下が避けられない。更に、欠陥が生じた材料に熱間加工などの変形を加えると、欠陥が増大するのでヤング率の低下が一層大きくなる。このため、高剛性粒子を体積分率で10%含むような溶製鋼では、ヤング率の複合則が成立せず、特に、熱間加工などの工程を経た鋼においては、例えば240GPaというような所望の高いヤング率が得られず、しかも、粗大な粒子の影響で延性及び靱性が極めて低くなってしまうという問題があった。
【0010】
したがって、高剛性鋼の製造は、例えば、特開平5−239504号公報に開示されているように、メカニカルアロイング法を用いるものが主流であった。しかし、メカニカルアロイング法ではコストが嵩むうえに、大型部品の製造ができないという問題がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の現状に鑑みてなされたもので、その目的は溶製法で製造した高剛性粒子を体積分率で10%以上含む鋼であっても、熱間加工による成形が可能で、しかも、240GPa以上のヤング率を有し、例えば、自動車用材料、ロボット用材料及びスポーツ用品用材料等、構造部材として好適な高強度高剛性鋼とその製造方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、下記(1)〜(3)に示す高強度高剛性鋼、及び(4)に示す高強度高剛性鋼の製造方法にある。
【0013】
(1)溶鋼を鋳造して製造された高強度高剛性鋼であって、Fe基合金のマトリックス中に六方晶系硼化物及び立方晶系炭窒化物が体積分率で合計10〜35%分散し、且つ、前記六方晶系硼化物及び立方晶系炭窒化物の粒径が20μm以下であることを特徴とする高強度高剛性鋼。
【0014】
(2)六方晶系硼化物が、TiB 、VB 、NbB 及びこれらの複合硼化物のうちの1種以上であり、立方晶系炭窒化物が、Ti(C、N)、V(C、N)、Nb(C、N)、Ta(C、N)、Hf(C、N)及びこれらの複合炭窒化物のうちの1種以上であることを特徴とする上記(1)に記載の高強度高剛性鋼。
【0015】
(3)質量%で、C:0.2〜1.7%、Si:0.05〜0.5%、Mn:0.2〜1.5%、Ti:1〜12%、Mo:0.1〜2%、B:0.5〜3.2%、N:0.001〜0.01%、V:0〜12%、Nb:0〜12%、Ta:0〜1%、Hf:0〜1%、Ca:0〜0.007%、Mg:0〜0.007%及びNd:0〜0.007%を含有し、残部がFe及び不純物からなり、下記(1)式で表されるSBが100を超えて1050未満、下記(2)式で表されるSCが50を超えて550未満であることを特徴とする上記(2)に記載の高強度高剛性鋼。
【0016】
SB=543×B−89×B+19×TE ・・・(1)
SC=6×TE+(161+78×TE)×C
−(6.8+32×TE)×C−50 ・・・(2)
TE=Ti+Ta+Hf+0.8×Nb+0.07×V ・・・(3)
但し、各式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。
【0017】
(4)質量%で、C:0.2〜1.7%、Si:0.05〜0.5%、Mn:0.2〜1.5%、Ti:1〜12%、Mo:0.1〜2%、B:0.5〜3.2%、N:0.001〜0.01%、V:0〜12%、Nb:0〜12%、Ta:0〜1%、Hf:0〜1%、Ca:0〜0.007%、Mg:0〜0.007%及びNd:0〜0.007%を含有し、残部がFe及び不純物からなり、(1)式で表されるSBが100を超えて1050未満、(2)式で表されるSCが50を超えて550未満である鋼における各元素の化合物を鋼中に完全に溶解させた溶鋼の鋳造過程で、先ず六方晶系硼化物又は立方晶系炭窒化物を晶出させ、次いで、残留溶鋼から六方晶系硼化物、立方晶系炭窒化物及びFeマトリックス相の3相を晶出させて鋼塊とし、この鋼塊を300℃以下の温度域まで冷却し、更に下記(4)式で表されるHT(℃)以下の温度で均質化処理を行った後、HT(℃)以下の温度で総減面率が50%以上となる熱間加工を行い、この後更に、850〜1050℃で焼ならしを行って300℃以下まで冷却し、次いで、700℃以下で焼戻し処理することを特徴とする高強度高剛性鋼の製造方法。
【0018】
SB=543×B−89×B +19×TE ・・・ (1)
SC=6×TE+(161+78×TE)×C
−(6.8+32×TE)×C −50 ・・・ (2)
TE=Ti+Ta+Hf+0.8×Nb+0.07×V ・・・ (3)
HT=1200+72×Ti+58×Nb+28×V
−(21×Ti+17×Nb+15×V)×(C+B) ・・・(4)
但し、式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。
【0019】
本発明でいう「粒径」とは、具体的には個々の粒子の短径と長径の和の1/2で定義される値をいう。
【0020】
本発明で規定する六方晶系硼化物及び立方晶系炭窒化物は、例えば、鋼中の晶出物又は析出物を電解抽出法等の通常の方法によって抽出し、得られた残渣をX線回折することによって確認することができる。
【0021】
TiB 、VB 及びNbB の複合硼化物とは、「X」をTi、V及びNbから選択されるいずれか2種以上として「XB 」で表される硼化物、具体的には、例えば、(Ti、V)B 、(V、Nb)B や(Ti、V、Nb)B などを指す。又、Ti(C、N)、V(C、N)、Nb(C、N)、Ta(C、N)及びHf(C、N)の複合炭窒化物とは、「X」をTi、V、Nb、Ta及びHfから選択されるいずれか2種以上として「X(C、N)」で表される炭窒化物、具体的には、例えば、(Ti、V)(C、N)、(V、Nb、Hf)(C、N)、(Ti、V、Nb、Hf)(C、N)や(Ti、V、Nb、Hf、Ta)(C、N)などを指す。
【0022】
なお、上記の六方晶系硼化物及び立方晶系炭窒化物は、その生成形態から下記(イ)〜(ハ)の3種類に分けられる。
【0023】
(イ)初晶型の六方晶系硼化物及び立方晶系炭窒化物:
鋳造の冷却過程で溶鋼から初めに晶出するものであって、その粒径は1μm以上である。
【0024】
(ロ)共晶型の六方晶系硼化物及び立方晶系炭窒化物:
上記(イ)の初晶型の硼化物又は炭窒化物が晶出した後、残留溶鋼から硼化物、炭化物及びFeマトリックスがほぼ同時に晶出して得られるものであって、その粒径は1μm未満である。
【0025】
(ハ)析出型の六方晶系硼化物及び立方晶系炭窒化物:
鋼が完全に凝固した後の冷却過程、又は凝固後に施される熱処理等の過程で形成されるものであって、その粒径は0.1μm以下である。
【0026】
ここで、上記(イ)と(ロ)の晶出型の六方晶系硼化物及び立方晶系炭窒化物は、光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡を用いて観察できるし、(ハ)の析出型の六方晶系硼化物及び立方晶系炭窒化物は、例えば、加速電圧が100〜200kVの透過電子顕微鏡を用いることにより観察することができる。
【0027】
本発明者らは、溶製法によって製造した場合にも安定して微細且つ均一に晶出又は析出し、鋳造ままの材料だけではなく、鋳造後に熱間加工を加えても高いヤング率を確保させることができる分散粒子を見出すために、鋼の化学組成に加えて、鋳造条件、熱処理条件や熱間加工といった製造条件を種々変えて検討を行った。その結果、下記(a)〜(i)の知見を得た。
【0028】
(a)溶鋼の鋳造時に生成する化合物のうち、高いヤング率を有するのは、六方晶系硼化物及び立方晶系炭窒化物である。すなわち溶製鋼の場合には、上記の六方晶系硼化物及び立方晶系炭窒化物以外の化合物は、その化合物中にFeが分配され、化合物自体のヤング率が低下してしまう。これに対し、溶製鋼の場合であっても六方晶系硼化物及び立方晶系炭窒化物中にFeはほとんど分配されないので、高いヤング率が確保される。したがって、六方晶系硼化物及び立方晶系炭窒化物は溶製鋼の高ヤング率化に有効である。
【0029】
(b)六方晶系硼化物のうちでも、「X」をTi、V及びNbから選択される1種以上として、「XB 」で表される六方晶系硼化物が最も高いヤング率を有し、溶製鋼を高ヤング率化するのに適している。
【0030】
(c)立方晶系炭窒化物のうちでも、「X」をTi、V、Nb、Ta及びHfから選択される1種以上として、「X(C、N)」で表される立方晶系炭窒化物が最も高いヤング率を有し、溶製鋼を高ヤング率化するのに有効である。
【0031】
(d)析出により得られた立方晶系炭窒化物は、強力な析出強化作用も有する。
【0032】
(e)六方晶系硼化物と立方晶系炭窒化物のいずれか一方で溶製鋼の高ヤング率化を実現するためには、前者の場合にはBを後者の場合にはCを、それぞれ多量の合金元素とともに添加する必要があるが、これらの場合には、溶鋼を鋳造する際の冷却過程で、溶鋼中に20μmを超える粒径の粗大な六方晶系硼化物又は立方晶系炭窒化物が晶出し、更にこれらが溶鋼中で凝集粗大化する。このような粒径が20μmを超える粗大な六方晶系硼化物又は立方晶系炭窒化物はFeマトリックスの界面との密着性が低いので、鋼のヤング率が低下してしまう。更に、鋳造後、熱間加工などの塑性変形を加えて成形すると、六方晶系硼化物又は立方晶系炭窒化物とFeマトリックス間に欠陥が生じて、ヤング率の一層の低下が生じる。このため、上記の場合には、鋳造ままの材料や熱間加工材において粒子の体積分率が10%を超えると、ヤング率の複合則が成立せず、例えば240GPaという高いヤング率を実現させることが困難である。
【0033】
(f)CとBの双方を含む溶鋼から六方晶系硼化物と立方晶系炭窒化物のいずれか一方又は双方が晶出する場合、六方晶系硼化物に対してはCが、又、立方晶系炭窒化物に対してはBが、それぞれ界面エネルギーを低下させるので、初晶の六方晶系硼化物又は/及び初晶の立方晶系炭窒化物の凝集粗大化が抑制される。更に、初晶の六方晶系硼化物又は/及び立方晶系炭窒化物が晶出した後、低温の残留溶鋼から六方晶系硼化物、立方晶系炭窒化物及びFeマトリックス相をほぼ同時に晶出(共晶)させることにより、晶出粒子の粒径は20μm以下となる。その結果、鋳造ままの材料だけではなく、その後に熱間加工を加えてもヤング率は低下せず、粒子の体積分率が10〜35%の範囲でもヤング率の複合則が成立する。
【0034】
(g)上記(f)に記載の凝固形態を、鋳造時の通常の冷却条件、例えば、0.05〜1℃/秒の冷却速度範囲で実現するためには、六方晶系硼化物と溶鋼が共存する温度範囲(固液共存域)及び、立方晶系炭窒化物と溶鋼が共存する温度範囲(固液共存域)を各々下記のようにすればよい。
【0035】
・100℃<溶鋼と六方晶系硼化物の共存温度域<1050℃、
・50℃<溶鋼と立方晶系炭窒化物の共存温度域<550℃。
【0036】
そこで、上記の温度範囲について、示差熱分析や、各温度域からの凍結組織を観察し、成分元素の影響を調査した。その結果、上記の溶鋼と六方晶系硼化物の共存温度域及び溶鋼と立方晶系炭窒化物の共存温度域はそれぞれ下記のSB指数及びSC指数で表記できることが明らかとなった。
【0037】
すなわち、上記(f)に記載の凝固形態を実現するためには、各式中の元素記号をその元素の質量%での含有量として、下記(1)式で表されるSBが100を超えて1050未満、下記(2)式で表されるSCが50を超えて550未満となればよい。
【0038】
SB=543×B−89×B+19×TE ・・・(1)
SC=6×TE+(161+78×TE)×C
−(6.8+32×TE)×C−50 ・・・(2)
TE=Ti+Ta+Hf+0.8×Nb+0.07×V ・・・(3)
【0039】
(h)特定の化学組成を有し、且つ、前記(g)の条件を満足する場合には、オーステナイト安定域で熱間加工を行えば、ヤング率の低下を最小限に抑えることができる。オーステナイト域の上限HT(℃)は式中の元素記号をその元素の質量%での含有量として前記(4)の実験式で表すことができ、したがって、HT(℃)以下の温度で熱間加工を行えばよい。
【0040】
(i)700℃以下の温度で焼戻し処理することによって、微細炭化物が析出し、鋼を高強度化することができる。
【0041】
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものである。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各要件について詳しく説明する。
【0043】
(A)Fe基合金のマトリックス中の粒子
ヤング率を高め、鋼に240GPa以上のヤング率を確保させるためには、六方晶系硼化物及び立方晶系炭窒化物をFe基合金のマトリックス中に体積分率で合計10%以上分散させなければならない。一方、Fe基合金のマトリックス中に分散する六方晶系硼化物及び立方晶系炭窒化物が体積分率で合計35%を超えると、ヤング率が低下する上に、鋼塊に割れやポロシティーが発生し、その後の加工が困難となる。したがって、本発明においては、Fe基合金のマトリックス中に六方晶系硼化物及び立方晶系炭窒化物を体積分率で合計10〜35%分散させることとした。
【0044】
本発明で規定する六方晶系硼化物及び立方晶系炭窒化物には、既に述べた粒径が1μm以上の初晶型の六方晶系硼化物及び立方晶系炭窒化物、粒径が1μm未満の共晶型の六方晶系硼化物及び立方晶系炭窒化物、及び、粒径が0.1μm以下の析出型の六方晶系硼化物及び立方晶系炭窒化物のいずれをも含む。
【0045】
ここで、或る相の組成、結晶構造及び体積割合は、鋼中のFeマトリックス以外の粒子を電解抽出し、得られた残渣の定量化学分析、X線回折強度測定、個々の粒子のEDX分析及び鋼の密度測定によって求めることができる。
【0046】
前記した晶出型及び析出型の六方晶系硼化物及び立方晶系炭窒化物は、光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡及び、例えば、加速電圧が100〜200kVの透過電子顕微鏡を用いて観察することができるので、観察によって得られた像を画像解析して短径と長径を測定し、その和の1/2から各粒子の粒径を求めることができる。六方晶系硼化物及び立方晶系炭窒化物に関し、上記のようにして求めた粒径が20μmを超える場合には、所望の240GPa以上の高いヤング率を安定して確保することが困難となる。したがって、Fe基合金のマトリックス中に体積分率で合計10〜35%分散する六方晶系硼化物及び立方晶系炭窒化物の粒径を20μm以下とした。なお、上記六方晶系硼化物及び立方晶系炭窒化物の粒径の下限値は規定する必要はないが、加速電圧が100〜200kVの透過電子顕微鏡で観察できる5nm程度を下限値としてもよい。
【0047】
なお、Fe基合金のマトリックス中に体積分率で合計10〜35%分散する六方晶系硼化物と立方晶系炭窒化物の割合は、5:1〜1:1であることが好ましい。この条件を満たすことで極めて健全な鋼塊が得られる。
【0048】
Fe基合金のマトリックス中に体積分率で立方晶系炭窒化物とともに合計で10〜35%分散させる粒子としての六方晶系硼化物は、TiB 、VB 、NbB 及びこれらの複合硼化物のうちの1種以上であることが好ましい。なお、TiB 、VB 及びNbB の複合硼化物とは、「X」をTi、V及びNbから選択されるいずれか2種以上として「XB 」で表される硼化物、具体的には、例えば、(Ti、V)B 、(V、Nb)B や(Ti、V、Nb)B などを指すことは既に述べたとおりである。
【0049】
更に、Fe基合金のマトリックス中に体積分率で六方晶系硼化物とともに合計10〜35%分散させる粒子としての立方晶系炭窒化物は、Ti(C、N)、V(C、N)、Nb(C、N)、Ta(C、N)、Hf(C、N)及びこれらの複合炭窒化物のうちの1種以上であることが好ましい。なお、既に述べたように、Ti(C、N)、V(C、N)、Nb(C、N)、Ta(C、N)又はHf(C、N)の複合炭窒化物とは、「X」をTi、V、Nb、Ta及びHaから選択されるいずれか2種以上として「X(C、N)」で表される炭窒化物、具体的には、例えば、(Ti、V)(C、N)、(V、Nb、Hf)(C、N)、(Ti、V、Nb、Hf)(C、N)や(Ti、V、Nb、Hf、Ta)(C、N)などを指す。
【0050】
(B)鋼の化学組成
次に、本発明に係る高強度高剛性鋼の好ましい化学組成に関して説明する。なお、各元素の含有量の「%」表示は「質量%」を意味する。
【0051】
C:0.2〜1.7%
Cは、立方晶系炭窒化物を形成し、鋼のヤング率及び強度を高めるのに有効な元素である。更に、溶鋼中で晶出した硼化物の凝集粗大化を抑制する作用を有する。しかし、その含有量が0.2%未満の場合には、立方晶系炭窒化物の晶出量が少なく、所望の240GPa以上のヤング率が得られない場合がある。一方、その含有量が1.7%を超えると、晶出した炭窒化物が粗大化しやすくなって、所望のヤング率が得られない上に、鋳造性や熱間加工性に悪影響を及ぼす場合がある。したがって、Cの含有量は0.2〜1.7%とするのがよい。Cの含有量は、0.3〜1.2%であれば一層好ましく、0.4〜0.8%であれば極めて好ましい。
【0052】
Si:0.05〜0.5%
Siは、脱酸に有効な元素であるが、その含有量が0.05%未満では効果が得難い場合がある。一方、鋼がTi、V及びNbなどを多量に含むと、粒界にラーベス相などの金属間化合物が生成しやすくなり、特に、Siの含有量が0.5%を超えると粒界金属間化合物が粗大化する場合がある。ラーベス相などの金属間化合物は熱間加工性の大きな低下をもたらす上に、ラーベス相自体が低ヤング率粒子であることから鋼のヤング率が低下してしまう。したがって、Siの含有量は0.05〜0.5%とするのがよい。Siの含有量の上限は0.3%であることが更に望ましく、0.2%であれば一層よい。
【0053】
Mn:0.2〜1.5%
本発明に係る高強度高剛性鋼は、特定のオーステナイト領域で均質化処理を行うことにより、加工性、強度が高まる。このため、オーステナイト安定化元素であるMnを用いてオーステナイト域を広げるのがよい。Mnには、鋼の不純物であるSを固定して、熱間加工性を高める作用もある。しかし、Mnの含有量が0.2%未満では前記の効果が得られない場合がある。一方、その含有量が1.5%を超えると、ヤング率を低下させるM23 型の炭化物が生成しやすくなる。したがって、Mn含有量は0.2〜1.5%とするのがよい。Mnの含有量は、0.8〜1.2%であれば一層好ましい。
【0054】
Ti:1〜12%
Tiは、TiB 、(Ti、V)B 等の六方晶系硼化物、及びTi(C、N)等の立方晶系炭窒化物を形成して鋼のヤング率を高めるのに有効な元素である。更に、鋼の高強度化にも有効である。しかし、その含有量が1%未満の場合には、前記の効果が得られない場合がある。一方、その含有量が12%を超えると、六方晶系硼化物及び立方晶系炭窒化物が粗大化し、ヤング率が低下する場合がある。したがって、Tiの含有量は1〜12%とするのがよい。Tiの含有量は、3〜10%であれば一層好ましく、5〜9%であればより一層好ましく、7〜8%であれば極めて好ましい。
【0055】
Mo:0.1〜2%
Moは、マトリックス中に固溶した状態で存在すると、粒界を強化して熱間加工性を著しく改善する作用を有する。更に、鋼の強度を高める作用も有する。しかし、その含有量が0.1%未満の場合には、前記の効果が得られない場合がある。一方、Moを2%を超えて含有させても、その効果は飽和する場合がありコストが嵩んでしまう。したがって、Moの含有量は0.1〜2%とするのがよい。Moの含有量のより望ましい範囲は0.2〜1%であり、0.3〜0.7%であれば極めて好ましい。
【0056】
B:0.5〜3.2%
Bは、六方晶系硼化物を形成し、鋼のヤング率を高めるのに有効な元素である。しかし、その含有量が0.5%未満の場合には、形成される六方晶系硼化物の量が少なく、所望の240GPa以上のヤング率が得られない場合がある。一方、その含有量が3.2%を超えると、晶出する硼化物が粗大化し、ヤング率が低下する上に、熱間加工性に悪影響を及ぼす場合がある。したがって、Bの含有量は0.5〜3.2%とするのがよい。Bの含有量は1.0〜3.0%であれば一層好ましく、1.8〜2.7%であればより一層好ましく、2.0〜2.4%であれば極めて好ましい。
【0057】
N:0.001〜0.01%
Nは、立方晶系炭窒化物を形成し、鋼のヤング率を高めるのに有効な元素である。しかし、その含有量が0.001%未満の場合には、前記の効果が得られない場合がある。一方、その含有量が0.01%を超えると、熱間加工性の低下を招く場合がある。したがって、Nの含有量は0.001〜0.01%とするのがよい。N含有量のより望ましい範囲は、0.003〜0.007%である。
【0058】
本発明に係る高強度高剛性鋼は、上記のCからNまでの元素、Fe及び不純物以外に、更に、Nb、V、Hf及びTaから選択される1種以上、又は/及びCa、Mg及びNdから選択される1種以上を選択的に含有していてもよい。
【0059】
V:0〜12%
Vは、添加すれば、VB 、(Ti、V)B 等の六方晶系硼化物、及びV(C、N)、(Ti、V)(C、N)等の立方晶系炭窒化物を形成して鋼のヤング率を高める作用を有する。又、鋼の強度を高める作用も有する。これらの効果を確実に得るには、Vは0.5%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、その含有量が12%を超えると加工性の著しい低下を招く場合がある。したがって、Vの含有量は0〜12%とするのがよい。
【0060】
Nb:0〜12%
Nbは、添加すれば、NbB 、(Ti、Nb)B 等の六方晶系硼化物、及びNb(C、N)、(Ti、Nb)(C、N)等の立方晶系炭窒化物を形成して鋼のヤング率を高める作用を有する。又、熱間加工性を高める作用や鋼の強度を高める作用も有する。これらの効果を確実に得るには、Nbは0.05%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、その含有量が12%を超えると加工性の著しい低下を招く場合がある。したがって、Nbの含有量は0〜12%とするのがよい。
【0061】
Ta:0〜1%
Taは、添加すれば、Ta(C、N)、(Ti、Ta)(C、N)等の立方晶系炭窒化物を形成して鋼のヤング率を高める作用を有する。上記立方晶系炭窒化物は、凝固組織の微細化及び結晶粒の微細化作用を有し、こうした作用を通じて粒界偏析を低減させるので、熱間加工性を高める作用もある。更に、鋼の高強度化にも有効である。これらの効果を確実に得るには、Taは0.05%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、その含有量が1%を超えると加工性の低下を招く場合がある。したがって、Taの含有量は0〜1%とするのがよい。
【0062】
Hf:0〜1%
Hfは、添加すれば、Hf(C、N)、(Ti、Hf)(C、N)等の立方晶系炭窒化物を形成して鋼のヤング率を高める作用を有する。上記立方晶系炭窒化物は、凝固組織の微細化及び結晶粒の微細化作用を有し、こうした作用を通じて粒界偏析を低減させるので、熱間加工性を高める作用もある。更に、鋼の高強度化にも有効である。これらの効果を確実に得るには、Hfは0.2%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、その含有量が1%を超えると加工性の低下を招く場合がある。したがって、Hfの含有量は0〜1%とするのがよい。
Ca:0〜0.007%
Caは、添加すれば、鋼の不純物であるS及びO(酸素)を固定して、鋳造性や熱間加工性を高める作用を有する。この効果を確実に得るには、Caは0.002%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、その含有量が0.007%を超えると介在物が粗大化して熱間加工性の低下を招く場合がある。したがって、Caの含有量は0〜0.007%とするのがよい。
Mg:0〜0.007%
Mgは、添加すれば、鋼の不純物であるS及びO(酸素)を固定して、鋳造性や熱間加工性を高める作用を有する。この効果を確実に得るには、Mgは0.002%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、その含有量が0.007%を超えると介在物が粗大化して熱間加工性の低下を招く場合がある。したがって、Mgの含有量は0〜0.007%とするのがよい。
Nd:0〜0.007%
Ndは、添加すれば、鋼の不純物であるS及びO(酸素)を固定して、鋳造性や熱間加工性を高める作用を有する。この効果を確実に得るには、Ndは0.002%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、その含有量が0.007%を超えると介在物が粗大化して熱間加工性の低下を招く場合がある。したがって、Ndの含有量は0〜0.007%とするのがよい。
(C)鋼の製造方法
次に、本発明に係る高強度高剛性鋼の製造条件の一例について説明する。
【0063】
(C−1)溶製条件
本発明に係る高強度高剛性鋼の組織を得るためには、前記(B)項で述べた化学組成に加えて、溶鋼と六方晶系硼化物の共存温度域に係る前記(1)式で表されるSB及び、溶鋼と立方晶系炭窒化物の共存温度域に係る前記(2)式で表されるSCが、それぞれ、
100<SB<1050、
50<SC<550、
を満たす合金組成を選択し、各元素の化合物を鋼中に完全に溶解させた後、適正な凝固形態が得られるように鋳造することが望ましい。
【0064】
なお、SBの値が1050以上になると、初晶の六方晶系硼化物の粒径が20μmを超えて、鋳造ままの材料又は熱間加工材のヤング率の低下をもたらす場合がある。一方、SBの値が100以下になると、溶鋼から晶出する六方晶系硼化物の量が不十分となって、所望の240GPa以上のヤング率が得られない場合がある。
【0065】
又、SCの値が550以上になると、初晶の立方晶系炭窒化物の粒径が20μmを超えて、鋳造ままの材料又は熱間加工材のヤング率の低下をもたらす場合がある。一方、SCの値が50以下になると、溶鋼から晶出する立方晶系炭窒化物の量が不十分となって、所望の240GPa以上のヤング率が得られない場合がある。
【0066】
(C−2)鋳造条件
前記(B)項で述べた化学組成に加えて、(1)式及び(2)式で表されるSBとSCが
100<SB<1050、
及び
50<SC<550、
を満たす鋼における各元素の化合物を鋼中に完全に溶解させた後の鋳造時の冷却過程で、先ず、六方晶系硼化物と立方晶系炭窒化物のいずれか一方又は双方を晶出させ、次いで、残留溶鋼から六方晶系硼化物、立方晶系炭窒化物及びFeマトリックス相の3相をほぼ同時に晶出(共晶)させることが望ましい。初晶をδフェライトなどのFeマトリックスとする場合には、ヤング率の低い斜方晶の硼化物やFe含有量の多い炭化物が安定晶出又は析出して、本発明で規定する六方晶系硼化物や立方晶系炭窒化物が十分晶出しないことになって、所望の240GPa以上のヤング率が得られない場合がある。又、六方晶系硼化物、立方晶系炭窒化物及びFeマトリックス相の3相のほぼ同時の晶出(共晶)過程を経なければ、粒子の分散状態が不均一となって熱間加工性が低下したり、熱間加工時の変形の不均一性によって、マトリックスと粒子の界面に欠陥が生じやすくなって熱間加工後のヤング率の低下が大きくなる場合がある。
【0067】
(1)式及び(2)式で表されるSBとSCが
100<SB<1050、
及び
50<SC<550、
を満足する合金組成であれば、鋳造時の冷却速度が0.05〜1℃/秒の範囲で、所望の凝固形態を安定、且つ容易に実現できる。なお、鋳造時の冷却速度が1℃/秒を超える場合には、初晶の六方晶系硼化物や立方晶系炭窒化物の粒径が20μmを超える場合がある。又、冷却速度が0.05℃/秒未満では、マトリックスと分散粒子の熱収縮量の差が顕著となり、マトリックスと分散粒子の界面で欠陥が生ずる場合がある。したがって、鋳造に際しては冷却速度を0.05〜1℃/秒として鋼塊にするのがよい。
【0068】
なお、鋼塊は300℃以下の温度域まで冷却するのがよい。300℃以下の温度域まで冷却してマトリックスをマルテンサイト相に変態させると、その後の焼戻し過程で析出する炭窒化物が微細化して高強度化できるからである。更に、300℃以下の温度域まで冷却することによって、粒界脆化を防止することができる。
【0069】
(C−3)均質化処理条件
本発明に係る高強度高剛性鋼は、特定のオーステナイト領域で均質化処理を行うことにより、加工性及び強度を高めることができる。既に述べたように、オーステナイト域の上限(HT℃)は式中の元素記号をその元素の質量%での含有量として、前記(4)の実験式で表すことができるので、HT℃以下の温度で均質化処理すればよい。なお、均質化処理は、オーステナイト域上限である上記HT℃の近傍で行うことが望ましい。
【0070】
上記均質化処理における保持時間は2〜6時間程度であればよい。
【0071】
この均質化処理に続けて、熱間加工を行い所望の形状に仕上げてもよいし、均質化処理後に一旦冷却し、その後、均質化処理と同様にオーステナイト領域に再度加熱してから熱間加工を施して所望の形状に仕上げてもよい。
【0072】
(C−4)熱間加工条件
熱間加工によってFeマトリックスの結晶粒を微細化することにより、強度及び靱性を高めることができる。
【0073】
ここで、上記(C−3)項に述べたようにして均質化処理された鋼塊、或いは、均質化処理後に再度加熱処理された鋼塊に対しては、総減面率が50%以上となる熱間加工を行って所望の形状に仕上げるのがよい。総減面率を50%以上とすることで、Feマトリックスの結晶粒径は20μm以下となり、強度及び靱性が向上する。なお、上記熱間加工における歪速度は、20/秒以下が望ましい。上記熱間加工における総減面率の上限は特に規定されるものではなく、設備能力から定まる最も高い総減面率や、鋼塊と加工後の仕上げ形状との関係から定まる最も高い総減面率であってもよい。
【0074】
ここで、上記熱間加工における総減面率とは、鋼塊を熱間加工した際の断面積の減少割合のことをいい、熱間加工前の鋼塊の断面積をSb 、熱間加工後の鋼材の断面積をSa として、{(Sb−Sa)/Sb }×100(%)で表すことができる。
【0075】
(C−5)焼ならし条件
一般に、金属材料に加工歪が入るとヤング率が低下する。したがって、熱間加工後、焼ならしを行い、歪を緩和させることが望ましい。
【0076】
ここで、上記(C−4)項に述べたようにして総減面率で50%以上の熱間加工を施された鋼片に対しては、850〜1050℃で焼ならしを行った後、300℃以下の温度域まで冷却するのがよい。この処理により、熱間加工時に導入された加工歪が解放されるとともに、六方晶系硼化物及び立方晶系炭化物が析出し、ヤング率が向上するからである。焼ならし後は、Feマトリックス(オーステナイト)をマルテンサイト相に変態させ、高強度化を図るため上記のように300℃以下の温度域まで冷却するのがよい。
【0077】
なお、上記の焼ならし処理における保持時間は0.5〜2時間程度であればよい。
【0078】
(C−6)焼戻し条件
焼戻し処理によってマルテンサイト母相にTi(C、N)、V(C、N)、Nb(C、N)などの微細な炭窒化物を析出させれば、一層の高強度化を実現することができる。したがって、上記(C−5)項に述べたようにして焼ならしされた鋼片に対しては、700℃以下で焼戻し処理をするのがよい。なお、上記焼戻し処理における保持時間は0.5〜2時間程度であればよい。
【0079】
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明する。
【0080】
【実施例】
表1に示す化学組成を有する鋼を、その合金成分のうちTi及びB以外の原料を真空中で溶解し、その後、Ti及びボロン含有合金鉄(フェロボロン)をこの順に添加して完全に溶解し、150kgの鋼塊を得た。鋼塊のサイズは、上側直径が230mm、下側直径が190mm、高さが500mmであり、鋳造時の冷却速度は、表面部が0.5℃/秒程度、中心部が0.1℃/秒程度であった。なお、凝固した鋼塊は常温まで冷却した。
【0081】
【表1】
Figure 0003753101
【0082】
次いで、上記のようにして得た各鋼塊を高さ250mmの位置で2分割し、そのうち上側の鋼塊には表2に示す温度で均質化処理を行い、室温まで冷却した後、表2に示す温度で焼ならし処理及び焼戻し処理を行い、鋼塊の外周部、中心部及び、外周部と中心部の中間部の3箇所からヤング率測定用のサンプル及びミクロ試験片を採取した。なお、以下の説明では、上記の処理を施した材料を「鋳造+熱処理」材という。
【0083】
一方、2分割した下側の鋼塊には表2に示す温度で均質化処理を施した後、直ちに熱間鍛伸を行って直径が60mm又は80mmの棒材を得た。この棒材を表2に示す条件で焼ならし処理、焼戻し処理を行ったのち、外周部、中心部及び、外周部と中心部の中間部の3箇所から鋳造軸に平行にヤング率測定用サンプル、引張試験片及びミクロ試験片を採取した。なお、以下の説明では、上記の処理を施した材料を「鋳造+熱間加工+熱処理」材という。
【0084】
ここで、均質化処理後、焼ならし後及び焼戻し後の冷却は、いずれも大気中放冷とした。
【0085】
【表2】
Figure 0003753101
【0086】
鏡面研磨したミクロ試料をナイタールで腐食し、走査電子顕微鏡で観察した8視野の像から、初晶型の六方晶系硼化物及び立方晶系炭窒化物(すなわち、粒径が1μm以上である六方晶系硼化物及び立方晶系炭窒化物)のうち粒径が最大である粒子を調査した。
【0087】
なお、上記初晶型の六方晶系硼化物及び立方晶系炭窒化物のうちの最大粒子の粒径は、「鋳造+熱処理」材と「鋳造+熱間加工+熱処理」材のいずれについても、外周部、中心部及び、外周部と中心部の中間部でほとんど差は認められず、又、「鋳造+熱処理」材と「鋳造+熱間加工+熱処理」材でも差は認められなかった。
【0088】
例として、表3及び表4に、「鋳造+熱間加工+熱処理」材の中心部における六方晶系硼化物及び立方晶系炭窒化物のうちの最大粒子の粒径を示す。
【0089】
分散粒子の結晶構造の特定は次のようにして行った。すなわち、「鋳造+熱間加工+熱処理」材の中心部から採取したミクロ試料を電解抽出して分散粒子を抽出し、得られた抽出残渣についてX線回折して結晶構造を特定した。
【0090】
分散粒子の体積分率は次のようにして求めた。
【0091】
すなわち、 (1)「鋳造+熱間加工+熱処理」材の抽出残渣の定量を行い、鋼中に存在する分散粒子の総質量比を求める。 (2)次に、抽出残渣をX線回折し、各粒子の回折ピークを特定して各々の積分強度を求める。 (3)積分強度比から、各分散粒子の質量比を求める。 (4)予めEDX分析により求めておいた各分散粒子の組成から粒子の比重を求める。 (5)各粒子の比重を用いて、体積分率を求める。
【0092】
表3及び表4に、上記のようにして求めた六方晶系硼化物及び立方晶系炭窒化物の体積分率を併せて示す。なお、表3及び表4においては六方晶系硼化物をXB 、立方晶系炭窒化物をX(C、N)と記載し、上記XB 及びX(C、N)以外の分散粒子の体積率も併記した。
【0093】
【表3】
Figure 0003753101
【0094】
【表4】
Figure 0003753101
【0095】
ヤング率は、厚さが1.5mm、幅が10mmで長さが60mmのヤング率測定用サンプルを用いて、通常の横共振法で共振周波数を測定することにより求めた。
【0096】
表3及び表4に、「鋳造+熱処理」材と「鋳造+熱間加工+熱処理」材のそれぞれについて、外周部、中心部及び、外周部と中心部の中間部について求めたヤング率の平均値を整理して示す。
【0097】
JIS Z 2201に記載の14A号試験片(直径が8mmで評点距離が56mm)を用いて、常温、1/秒の歪速度の条件で引張試験を行った。表3及び表4に、外周部、中心部及び、外周部と中心部の中間部について求めた0.2%耐力の平均値を整理して示す。
【0098】
表3及び表4から、次のことが明らかである。
【0099】
Cが含まれていない鋼1〜4のうち、TiB の体積分率が10%を下回る鋼1及び鋼2の場合、初晶のTiB の最大粒子の粒径はそれぞれ7.0μmと16.4μmで20μm以下であるがヤング率は低く、目標の240GPaに達していない。一方、鋼3及び鋼4の場合、TiB の体積分率は10%以上であるものの、初晶のTiB の最大粒子の粒径が20μmを超えているので、やはりヤング率は低く、目標の240GPaに達していない。更に、「鍛造+熱処理」材のヤング率に比べて、「鋳造+熱間加工+熱処理」材のヤング率は4〜7GPa低下している。なお、上記鋼1〜4の0.2%耐力は高々299MPaであり、強度が低い。
【0100】
Bが含まれていない鋼5〜8のうち、Ti(C、N)の体積分率が10%を下回る鋼5及び鋼6の場合、初晶のTi(C、N)の最大粒子の粒径はそれぞれ4.0μm及び19.0μmと20μm以下であるがヤング率は低く、目標の240GPaに達していない。又、鋼7及び鋼8の場合、Ti(C、N)の体積分率は10%以上であるものの、初晶のTi(C、N)の最大粒子の粒径が20μmを超えているので、やはりヤング率は低く、目標の240GPaに達していない。特に、熱間加工を受けた材料のヤング率、つまり「鋳造+熱間加工+熱処理」材のヤング率は、「鍛造+熱処理」材のヤング率に比べて3〜7GPa低下している。なお、上記鋼5〜8の0.2%耐力は高々552MPaである。
【0101】
鋼9の場合、初晶のTiB とTi(C、N)の最大粒子の粒径は20μm以下であり、更に、TiB とTi(C、N)を複合して含んでいるが、合計の体積分率が10%に満たないので、ヤング率は低く、目標の240GPaに達していない。
【0102】
これに対し、鋼10〜20の場合には、本発明で規定する体積割合のXB 及びX(C、N)が確保され、しかも、初晶のXB とX(C、N)の最大粒子の粒径は20μm以下であるため、240GPaを超えるヤング率が得られている。
【0103】
具体的には、鋼10〜12の場合は、XB とX(C、N)を合計の体積分率で13〜21.7%含有し、且つ、初晶のXB とX(C、N)の最大粒子の粒径は11.0〜14.8μmと20μm以下であるため、248〜275GPaの高いヤング率が得られている。なお、熱間加工を受けた場合でも、ヤング率はほとんど低下してない。
【0104】
なお、鋼13の場合、Nbを含むので0.2%耐力が720MPaまで増加している。
【0105】
鋼14の場合は、Vを多量に含むことによって、(Ti、V)B 及び微細な(Ti、V)(C、N)が高密度に分散しており、0.2%耐力で998MPaという極めて高い強度が得られている。
【0106】
鋼15の場合は、Nbを多量に含むことによって、(Ti、Nb)B 及び微細な(Ti、Nb)(C、N)が高密度に分散しており、0.2%耐力で886MPaという高い強度が得られている。
【0107】
鋼16の場合は、V及びNbを複合して含むので、0.2%耐力で970MPaという高い強度が得られている。
【0108】
鋼17の場合は、Ndを含むことにより不純物元素が固定され、分散粒子とFeマトリックスとの密着性が向上するので、熱間加工後のヤング率が向上している。
【0109】
鋼18の場合は、Vを多量に含むことによって、高いヤング率と0.2%耐力で1011MPaという極めて高い強度が得られている。
【0110】
鋼19の場合は、CaとNdを複合して含むので、熱間加工後にヤング率が向上している。
【0111】
鋼20の場合は、Vを多量に含む硬質の鋼であるが、Mgを含んでいるので、熱間加工による棒材の仕上げ直径をより小さくした場合、すなわち総減面率が大きい場合でもヤング率が低下していない。
【0112】
なお、鋼21〜23の場合、マトリックス中に分散する粒子の量は多いが、高ヤング率が得られない。
【0113】
すなわち、鋼21の場合は、TiB とTi(C、N)の体積分率は25.9%であるものの、初晶のTiB とTi(C、N)の最大粒子の粒径が20μmを超えて24.2μmであるので、ヤング率は低く、目標の240GPaに達していない。
【0114】
鋼22の場合は、TiB とTi(C、N)の合計体積分率が5.2%と低く、しかもFeマトリックスに分散している粒子の15%がFeC(セメンタイト)であり、FeCのヤング率はFeマトリックスより低いため、ヤング率は極めて低い。
【0115】
鋼23の場合は、TiB とTi(C、N)の合計体積分率が2.0%未満と低く、しかも高ヤング率化に寄与しないFeCを9%、斜方晶系硼化物を15%含むため、ヤング率は極めて低い。
【0116】
【発明の効果】
本発明の高強度高剛性鋼は、溶鋼を鋳造して製造しても、晶出粒子の粗大化が抑制され、熱間加工による成形が可能であって、しかも、240GPa以上のヤング率を有するので、例えば、自動車エンジン用各種部品や、ボルト、各種シャフト類といった大型の構造部材にも利用することができる。

Claims (4)

  1. 溶鋼を鋳造して製造された高強度高剛性鋼であって、Fe基合金のマトリックス中に六方晶系硼化物及び立方晶系炭窒化物が体積分率で合計10〜35%分散し、且つ、前記六方晶系硼化物及び立方晶系炭窒化物の粒径が20μm以下であることを特徴とする高強度高剛性鋼。
  2. 六方晶系硼化物が、TiB、VB、NbB及びこれらの複合硼化物のうちの1種以上であり、立方晶系炭窒化物が、Ti(C、N)、V(C、N)、Nb(C、N)、Ta(C、N)、Hf(C、N)及びこれらの複合炭窒化物のうちの1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の高強度高剛性鋼。
  3. 質量%で、C:0.2〜1.7%、Si:0.05〜0.5%、Mn:0.2〜1.5%、Ti:1〜12%、Mo:0.1〜2%、B:0.5〜3.2%、N:0.001〜0.01%、V:0〜12%、Nb:0〜12%、Ta:0〜1%、Hf:0〜1%、Ca:0〜0.007%、Mg:0〜0.007%及びNd:0〜0.007%を含有し、残部がFe及び不純物からなり、下記(1)式で表されるSBが100を超えて1050未満、下記(2)式で表されるSCが50を超えて550未満であることを特徴とする請求項2に記載の高強度高剛性鋼。
    SB=543×B−89×B+19×TE ・・・(1)
    SC=6×TE+(161+78×TE)×C
    −(6.8+32×TE)×C−50 ・・・(2)
    TE=Ti+Ta+Hf+0.8×Nb+0.07×V ・・・(3)
    但し、各式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。
  4. 質量%で、C:0.2〜1.7%、Si:0.05〜0.5%、Mn:0.2〜1.5%、Ti:1〜12%、Mo:0.1〜2%、B:0.5〜3.2%、N:0.001〜0.01%、V:0〜12%、Nb:0〜12%、Ta:0〜1%、Hf:0〜1%、Ca:0〜0.007%、Mg:0〜0.007%及びNd:0〜0.007%を含有し、残部がFe及び不純物からなり、(1)式で表されるSBが100を超えて1050未満、(2)式で表されるSCが50を超えて550未満である鋼における各元素の化合物を鋼中に完全に溶解させた溶鋼の鋳造過程で、先ず六方晶系硼化物又は立方晶系炭窒化物を晶出させ、次いで、残留溶鋼から六方晶系硼化物、立方晶系炭窒化物及びFeマトリックス相の3相を晶出させて鋼塊とし、この鋼塊を300℃以下の温度域まで冷却し、更に下記(4)式で表されるHT(℃)以下の温度で均質化処理を行った後、HT(℃)以下の温度で総減面率が50%以上となる熱間加工を行い、この後更に、850〜1050℃で焼ならしを行って300℃以下まで冷却し、次いで、700℃以下で焼戻し処理することを特徴とする高強度高剛性鋼の製造方法。
    SB=543×B−89×B +19×TE ・・・ (1)
    SC=6×TE+(161+78×TE)×C
    −(6.8+32×TE)×C −50 ・・・ (2)
    TE=Ti+Ta+Hf+0.8×Nb+0.07×V ・・・ (3)
    HT=1200+72×Ti+58×Nb+28×V
    −(21×Ti+17×Nb+15×V)×(C+B) ・・・(4)
    但し、式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。
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