JPH07300638A - 形状記憶合金材料およびその製造方法 - Google Patents

形状記憶合金材料およびその製造方法

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JPH07300638A
JPH07300638A JP13078695A JP13078695A JPH07300638A JP H07300638 A JPH07300638 A JP H07300638A JP 13078695 A JP13078695 A JP 13078695A JP 13078695 A JP13078695 A JP 13078695A JP H07300638 A JPH07300638 A JP H07300638A
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JP
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shape memory
memory alloy
alloy material
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alloy
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Takasumi Shimizu
水 孝 純 清
Toshimitsu Fujii
井 利 光 藤
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Daido Steel Co Ltd
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Daido Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 変態点(Af)が30℃以下の形状記憶合金
材料を提供すること、およびこの形状記憶合金材料を工
業的に提供できる製造方法を得ること。 【構成】 Ni−Ti−X系合金において、Ni/Ti
が重量比で1.20以上1.30以下であり、XがF
e,Cr,Mnのうちの1種または2種以上の合計で
5.0重量%以下である形状記憶合金材料、およびNi
/Tiが重量比で1.20以上1.30以下であり、X
がFe,Cr,Mnのうちの1種または2種以上の合計
で5.0重量%以下であるNi−Ti−X系合金を、7
00℃以上900℃以下の温度で溶体化処理し、次いで
500℃以上700℃以下の温度で焼なまし処理し、そ
の後冷間加工する形状記憶合金材料の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、各種機械装置、住宅
設備、医療器材などに利用される形状記憶合金材料およ
びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、可逆性もしくは非可逆性の形状記
憶合金材料への関心が高まっており、産業上の広い分野
で形状記憶合金材料自体およびそれらの用途の開発が進
められている。
【0003】この種の形状記憶合金材料としては、Ni
−TiおよびNi−Ti−X系、Cu−ZnおよびCu
−Zn−X系、Cu−Sn系、Ni−Al系等々の数多
くの種類のものが開発されている。
【0004】これらのうち、化学量論的に1:1の組成
に近いNi−Ti合金についても種々の研究がなされて
おり、Ni濃度と形状記憶効果を示す変態点(Af)と
の間にはほぼ直線的な関係があり、Ni量が0.1重量
%変化することによって変態点(Af)が10〜15℃
変化することが知られている(日本国特許第86324
5号)。
【0005】また、Ni−Ti合金に形状記憶効果を持
たせるためには、通常の場合、冷間加工した材料を30
0〜500℃の中温度で熱処理する方法がとられてい
る。例えば、Ni−Ti合金に対して500℃で形状記
憶処理を行った場合のNi濃度と変態点(Af)との関
係を示すと図1のとおりである。
【0006】図1に示すように、Ni濃度が約55.2
重量%以上では変態点(Af)は一定値となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】図1に示したように、
Ni−Ti合金の変態点(Af)はNi濃度が約55.
2重量%以上で一定値となるが、このNi−Ti合金に
おいて上記変態点(Af)をさらに低下させることが課
題となっていた。また、変態点(Af)の低下と同時に
熱間加工性や冷間加工性についても良好なものにできる
ようにすることが課題となっていた。
【0008】
【発明の目的】この発明は、上述した従来の課題に着目
してなされたもので、かなりの研究実績をもっているN
i−Ti系の形状記憶合金材料において、変態点(A
f)のコントロールをしやすくし、変態点(Af)が3
0℃以下の低い材料を工業的に提供することを目的とし
ている。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明による形状記憶
合金材料は、Ni−Ti−X系合金において、Ni/T
iが重量比で1.20以上1.30以下であり、XがF
e、Cr、Mnのうちの1種または2種以上の合計で
5.0重量%以下であることを特徴としている。
【0010】また、この発明による形状記憶合金材料の
製造方法は、Ni/Tiが重量比で1.20以上1.3
0以下であり、XがFe、Cr、Mnのうちの1種また
は2種以上の合計で5.0重量%以下であるNi−Ti
−X系合金を、700℃以上900℃以下の温度で溶体
化処理し、次いで500℃以上700℃以下の温度で焼
なまし処理を施し、その後冷間加工を行うようにしたこ
とを特徴としている。この発明による形状記憶合金材料
およびその製造方法は上記の構成からなるものであり、
加工性および形状記憶特性が良好であって、しかも変態
点(Af)が30℃以下の形状記憶合金材料を提供する
ことができるものである。
【0011】ところで、Ni−Ti−X系合金として
は、従来すでに数多くの合金が公知となっている。例え
ば、Ni1−xTiCu(日本国特許第959348
号)、TiNi1−x(M=Fe,Co)(日本国
特許第863245号)、Ti1−xNiM(M=
V,Cr,Mn)(特開昭51−125623号)など
がある。これらの合金はNiあるいはTiの一部を第三
元素で置換した合金であり、ごく少量置換の場合は別と
して一般に加工性が悪く、工業的製造に適さないこと、
また、通常の製造方法、すなわち溶解−鋳造−鍛造−圧
延−伸線−焼鈍−伸線の工程によっては変態点(Af)
を低下させることが不可能であること、が確認された。
【0012】そして、とくに熱間における加工性につい
て種々検討した結果、Ni/Tiの重量比を1.20以
上1.30以下にし、かつまたFe、Cr、Mnの添加
量を合計で5.0重量%以下とすることによって熱間加
工性が改善されることを確かめた。すなわち、Ni/T
iの重量比が1.20よりも値が低くなると熱間加工性
が低下すると共に、変態点(Af)が高くなり、目標と
する変態点(Af)約30℃以下を得ることができなく
なり、反対に1.30よりも値が大きくなると同様に熱
間加工性が低下する。また、X元素であるFe、Cr、
Mnは変態点(Af)を下げ、温度の低いところでも形
状記憶効果を発揮させるのに有効であるが、多すぎると
前述のように熱間加工性を低下させるので5.0重量%
以下とした。
【0013】そして、上記の形状記憶合金材料を製造す
るに際し、700℃以上900℃以下の温度で溶体化処
理することによって変態点(Af)を低下させることが
できる。この場合、700℃未満では溶体化処理が不十
分であり、900℃を超えると合金の酸化が激しくな
り、工業的生産に不向きとなる。さらに、溶体化処理後
は500℃以上700℃以下の温度で焼なまし処理を施
すことにより、冷間加工性を著しく改善することがで
き、冷間加工が容易に可能となる。
【0014】このように、この発明による形状記憶合金
材料は、工業的製造性に優れており、しかも変態点(A
f)が中温処理でおよそ+30℃〜−30℃まで任意の
温度にコントロールできることを特徴としており、きわ
めて実用性の高い合金である
【0015】。
【実施例】表1に示す組成の合金(試料No.1〜7の
合金は本発明の合金組成を満足し、試料No.11の合
金はNi/Tiが低すぎ、試料No.12の合金はNi
/Tiが高すぎ、試料No.13の合金はX元素を含ま
ない。)が得られるように各々原料を秤量し、カルシア
るつぼ中で高周波誘導炉によって溶解した。次いで、溶
解材を鋳造して、直径60mm、長さ180mmの鋳塊
(重さ約3.5kg)をそれぞれ作製した。次いで、各
鋳塊の表面を旋削し、900℃に加熱して鍛造を行って
直径30mmの棒状体を得た。次に各棒状体を再び90
0℃に加熱して圧延を行うことにより直径8.5mmの
棒材を得た。続いて、前記各棒材に対してダイスによる
伸線および熱処理を繰り返し、最終段では直径1.2m
mの線材を得た。次いで、この線材に対して800℃×
30分の溶体化処理を施したのち、650℃×30分の
焼なまし処理(ただし、試料No.6、7は除く。)を
施し、その後再び伸線を行って(ただし、試料No.1
1、12は除く。)直径1.0mmのコイルを得た。そ
して、各々製造されたコイルより試料を切り出し、50
0℃×30分の形状記憶処理を行ったのち、示差走査型
熱量計によって各試料の変態点測定を行った(ただし、
試料No.11、12を除く。)。これらの結果を同じ
く表1に示す。
【0016】
【表1】
【0017】なお、表1において、熱間加工性の○は良
好であったこと、×は良好でなかったことを示し、冷間
加工性の○は冷間加工度30%以上、△は同じく10%
〜30%、×は同じく10%以下であったことを示して
いる。
【0018】表1に示すように、本発明の合金組成を満
足する試料No.1〜7ではいずれも変態点(Af)が
30℃以下と低く、熱間加工性にも優れていることが明
らかである。そして、特に溶体化処理および焼なまし処
理を施した試料No.1〜5では、変態点(Af)がか
なり低くなっていると共に、熱間加工性および冷間加工
性にも優れたものとなっている。しかし、溶体化処理を
省略したものでは熱間加工性および冷間加工性は良好で
あるものの変態点(Af)が高目となっているため、用
途等に応じて溶体化処理を施すことがより望ましいこと
がわかった。また、焼なまし処理を省略したNo.6、
7では変態点(Af)温度がかなり低くかつ熱間加工性
は良好であるものの冷間加工性があまり良くないものと
なっているため、冷間加工を行う場合には焼なまし処理
を施すことがより望ましいことが明らかである。
【0019】これに対して、Ni/Tiが低いNo.1
1では熱間加工性が低下し、Ni/Tiが高いNo.1
2においても熱間加工性が低下し、X元素を含まないN
o.13では変態点(Af)が高くなるので好ましくな
いことが確かめられた。
【0020】
【発明の効果】以上説明してきたように、この発明によ
る形状記憶合金材料は、Ni−Ti−X系合金におい
て、Ni/Tiが重量比で1.20以上1.30以下で
あり、XがFe、Cr、Mnのうちの1種または2種以
上の合計で5.0重量%以下であるものであるから、変
態点(Af)を例えば30℃以下の低い値にすることが
でき、温度の低い環境下においても形状記憶効果を発揮
させることができるようになり、また、熱間加工性も良
好であるため工業的製造性にも著しく優れたものである
という効果がもたらされ、この発明による形状記憶合金
材料の製造方法では、上記のNi−Ti−X系合金を7
00℃以上900℃以下の温度で溶体化処理し、次いで
500℃以上700℃以下の温度で焼なまし処理を施す
ようにしたから、溶体化処理を行うことによって変態点
(Af)をさらに低下させることが可能になると共に、
焼なまし処理を行うことによって冷間加工性が著しく改
善された冷間加工可能な形状記憶合金材料を提供するこ
とができるようになるという非常に優れた効果がもたら
される。
【図面の簡単な説明】
【図1】Ni−Ti合金を500℃で形状記憶処理した
場合のNi濃度と変態点(Af)との関係を示すグラフ
である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ni−Ti−X系合金において、Ni/
    Tiが重量比で1.20以上1.30以下であり、Xが
    Fe,Cr,Mnのうちの1種または2種以上の合計で
    5.0重量%以下であることを特徴とする形状記憶合金
    材料。
  2. 【請求項2】 Ni/Tiが重量比で1.20以上1.
    30以下であり、XがFe,Cr,Mnのうちの1種ま
    たは2種以上の合計で5.0重量%以下であるNi−T
    i−X系合金を、700℃以上900℃以下の温度で溶
    体化処理し、次いで500℃以上700℃以下の温度で
    焼なまし処理し、その後冷間加工することを特徴とする
    形状記憶合金材料の製造方法。
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Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5928548A (ja) * 1982-08-06 1984-02-15 Kazuhiro Otsuka 超弾性、非可逆形状記憶性Ni−Ti基合金材とその製造方法

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5928548A (ja) * 1982-08-06 1984-02-15 Kazuhiro Otsuka 超弾性、非可逆形状記憶性Ni−Ti基合金材とその製造方法

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