JPH0637645U - 回転伝達装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本考案は、回転を伝達する２つの回転体の連
結部を簡単に低コストで形成できるようにする。 【構造】 一方の回転体１に設けた円形孔３に、他方の
回転体２の連結軸部４を嵌合させ、その軸部４と円形孔
３に、回転体１、２の軸線に対して偏心する凸部７と凹
部８を設け、この凹凸部７、８により回り止めとスラス
ト方向の抜け止めを兼用する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、周面に歯車やプーリ溝等を備える２つの回転体を連結して回転力 を伝達するための装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

電子写真複写機等の事務機器の回転駆動部には、図４及び図６に示すように、 周面に歯車５、６を備える２つの回転体１、２を連結して、両歯車５、６を介し て回転力を伝達するようにした回転伝達装置が用いられている。

【０００３】 この回転伝達装置は、金属で形成される回転体１に円形の孔３を設け、その孔 ３に、合成樹脂で形成される回転体２の軸部４を嵌合させ、その嵌合部で両回転 体１、２の回り止めと軸方向の抜け止めを行なうようになっている。

【０００４】 従来、このような回転体同士の固定構造としては、図４及び図５のように、金 属製の回転体１に軸方向に延びる回り止め用溝１１と、円周方向に延びるスラス ト方向の抜け止め用溝１２を設けたものと、図６及び図７のように、金属製の回 転体１に回り止め用溝１３を設け、樹脂製の回転体２の端部に金属製の回転体１ を抜け止めする突起１４を設けたものとがある。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、図４及び図５のように金属製の回転体１に回り止め用溝１１とスラス ト抜け止め用溝１２を設ける例では、回転体１の連結部の構造が複雑になり、製 作に手間がかかる問題がある。

【０００６】 特に、軸方向に延びる回り止め用溝１１は、旋削加工により抜け止め用溝１２ と同時に加工できないために、加工工程数が増え、コストを増大させる原因にな る。

【０００７】 また、図６及び図７のように樹脂製の回転体２に抜け止め用の突起１４を設け る構造では、樹脂を成形するための金型の構造が複雑になりやすい不具合がある 。

【０００８】 そこで、この考案は、上記の問題を解決し、２つの回転体を低コストで形成で きる簡単な構造により確実に固定することができる回転伝達装置を提供すること を目的としている。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

上記の課題を解決するため、この考案は、表面に歯車、プーリ溝等の回転伝達 部を備える２つの回転体を、一方の回転体に設けた孔に他方の回転体の外周を嵌 合させて連結し、その両回転体の嵌合部に半径方向の凹凸部を設け、その凹凸部 の周面を両回転体の軸線に対して偏心させた構成としたのである。

【００１０】

【作用】

上記の構造では、偏心する半径方向の凹凸部が、嵌合部の回り止めとスラスト 方向の抜け止めを同時に行なう。このような凹凸部は、旋削加工により回転体の 嵌合部と同時に形成することができ、加工工程を省略することができる。

【００１１】

【実施例】

図１乃至図３は実施例の回転伝達装置を示している。 この回転伝達装置は、外周面に歯車５を設けた金属製の回転体１と、外周面に 歯車６を設けた合成樹脂製の回転体２とから成り、金属製の回転体１の中央に円 形孔３を設け、その円形孔３に、樹脂製の回転体２の設けた連結軸部４を嵌合さ せている。

【００１２】 また、上記連結軸部４の外周面には、軸部４と円形孔３の嵌合面に対して半径 方向に突出し、かつ外周面が両回転体１、２の軸線に対して偏心する凸部７が形 成されている。一方、円形孔３には、周面が上記軸線に対して偏心した面で形成 され、上記凸部７がすき間なく嵌まり込む凹部８が形成されている。

【００１３】 上記の回転伝達装置は、金属製の回転体１に、予め旋削加工によって円形孔３ と凹部８を形成し、その円形孔３と凹部８に合成樹脂を射出成形して連結軸部４ と凸部７を形成し、回転体１を一体に形成する。

【００１４】 このように連結された両回転体１、２では、嵌合する凸部７と凹部８の軸方向 の両端面がスラスト荷重を受け、スラスト方向の抜け止めを行なう。また、偏心 する凸部７と凹部８の周面が、両回転体１、２を回転方向に回り止めし、トルク 伝達を行なう。

【００１５】 なお、上記実施例の構造において、金属製の回転体１の円形孔３に偏心した凸 部を設け、合成樹脂製の回転体２にその凸部が嵌まり込む凹部を設けるようにし てもよい。

【００１６】 また、回転体１、２の外周面に歯車５、６を設けた例を示したが、この歯車に 代えてプーリ溝やスプライン溝、キー溝などの回転力を伝達できる他の伝達部を 形成することもできる。

【００１７】 さらに、これら回転伝達部は、回転体２の内周面や、各回転体１、２の端面に 形成するようにしてもよい。

【００１８】

【効果】

以上のように、この考案は、２つの回転体の嵌合部に偏心する半径方向の凹凸 部を設け、その凹凸部により回り止めとスラスト方向の抜け止めを兼用するので 、回転体の連結部の構造が簡単になり、低コストで形成できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例の回転伝達装置を示す断面図

【図２】図１のII-II 線に沿った断面図

【図３】図１のIII-III 線に沿った断面図

【図４】従来例を示す断面図

【図５】同上の側面図

【図６】他の従来例を示す断面図

【図７】図６のVII-VII 線に沿った断面図

【符号の説明】

１、２ 回転体 ３ 円形孔 ４ 連結軸部 ５、６ 歯車 ７ 凸部 ８ 凹部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 表面に歯車、プーリ溝等の回転伝達部を
   備える２つの回転体を、一方の回転体に設けた孔に他方
   の回転体の外周を嵌合させて連結し、その両回転体の嵌
   合部に半径方向の凹凸部を設け、その凹凸部の周面を両
   回転体の軸線に対して偏心させた回転伝達装置。