JPH063718Y2 - ワイヤ−ハ−ネス用クランプ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は車両等に配索されるワイヤーハーネスをパネル
等の取付壁に固定するためのワイヤーハーネス用クラン
プに関する。

〔従来の技術と問題点〕

車両等に配索されるワイヤーハーネスをパネル等の取付
壁に固定するために用いられるクランプとして、第５図
及び第６図に示されるようなものがある。

同図において、クランプＣは下方に断面Ｌ字形状を成し
た板状の電線固定部１が設けられ、電線固定部１には配
索されるワイヤーハーネスＷが当てられ、第５図に示す
ように、電線固定部１とワイヤーハーネスＷとがテープ
２にて巻付けられる。

クランプＣは、第６図に示すように、パネル等の取付壁
Ｐに穿設された孔３に嵌入して取付壁Ｐに係合するクリ
ップ４を有すると共に、取付壁Ｐの端縁に係合する突起
５を有する係合アーム６が立設される。

クリップ４は弾性変形可能で、孔３に嵌入されるときに
外径を縮小して挿通され、孔３を通過した後に再び原形
状に拡大されて、クランプＣとクリップ４とが取付壁Ｐ
を挟持するが、同時に、先端に傾斜面を有する突起５が
取付壁Ｐに当接して係合アーム６が撓んで突起５が取付
壁Ｐの端縁を通過して突起５が取付壁Ｐと係合する（第
７図及び第６図参照）。

かくして、クランプＣは、ワイヤーハーネスＷを取付壁
Ｐに固定し、ワイヤーハーネスＷに外力Ｆが作用しても
突起５が取付壁Ｐに係合しているためクランプＣが動揺
したり取付壁Ｐより外れることはない。

上記のような突起５の係合力は、取付壁Ｐの孔３の中心
より取付壁Ｐの端縁迄の寸法₁が、クリップ４の中心
より突起５の端部迄の寸法₂よりもなる場合、すなわ
ち₁＞₂なる関係にある場合に生ずるが、取付壁Ｐの
端縁より孔３の位置までの寸法は加工により誤差を生
じ、孔３とクリップ４との嵌合にも多少のがたがあるこ
とを考慮して₁を₂より可成り大きな寸法とすること
が必要となる。

実用的な数値としては、（₁−₂）の寸法を２mm以上
とすることが望ましいが、₁の寸法は加工精度が±３m
m程度であり、（₁−₂）を２とした場合の寸法は、
８〜２mmの幅にばらつくことになる。

しかしながら、₁を大きくすれば、待合アーム６の撓
み量が大となり、クランプＣ取付のためにクランプＣを
大きな力で取付壁Ｐに押圧しなければならない。

クランプの取付けに大きな押圧力が必要になればワイヤ
ーハーネスＷの配索作業がそれだけ面倒になるのみなら
ず、配索作業中にクランプの係合アームを損傷する事故
が生ずることがある。

本考案はかかる問題点に対してなされたもので、取付壁
に固定するためのクランプ押付力を小さくしてクランプ
取付作業を容易化すると共にクランプの破損を防止し、
しかも、取付壁への係止力を失うことのないクランプを
提供するものである。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、ワイヤーハーネスを支持する電線固定部と、
取付壁に穿設された孔に嵌入して係合するクリップと、
上記取付壁の端縁に係合する突起部が先端に設けられる
可撓性の係合アームとを有し、上記ワイヤーハーネスを
上記取付壁に固定するワイヤーハーネス用クランプにお
いて、 上記係合アームの先端縁の中央に開口部を設け、上記突
起部は、平板状に形成され、且つ、両端面の中央部が上
記開口部の内壁面の先端部に一体的に接続され、先端が
上記取付壁の端縁から遠ざかる方向に傾斜すると共に、
上記両端面の中央部から先端にかけて撓み変形可能な弾
性アームとしたことを特徴とするものである。

〔作用〕

以上のような構成により、クランプを取付壁に押圧する
と、取付壁の端縁に弾性アームが当接し、係合アームと
弾性アームが弾性撓み変形し、取付壁の端縁と当接する
弾性アームが、両者の弾性変形の総和量だけ変位して取
付壁の端縁を通過するため、従来の突起付係合アームに
較べて押圧力が小さくてすむ。

又、取付壁の端縁を通過した弾性アーム及び弾性アーム
を支持する係合アームは原形に復旧するため、係合状態
において（₁−₂）の寸法を大とすることができる。

〔実施例〕

本考案の実施例を図面を参照して説明する。

なお、従来例と同一部品には同一符号を付す。

第１図において、符号７は係合アーム６の先端に設けら
れた係合アーム６より幅の狭い平板状の弾性アームで、
係合アーム６の先端縁の中央に開口部６ａを設け、板片
状に形成された弾性アーム７の両端面の中央部を開口部
６ａの内壁面の先端部に一体的に接続し、弾性アーム７
は、先端が取付壁Ｐの端縁から遠ざかる方向に傾斜する
と共に、両端面の中央部から先端にかけて撓み変形可能
になっている（第２図参照）。

クランプＣのその他の構造は従来例と同様である。

以上のように構成されたクランプＣを取付壁Ｐに固定す
るには、従来例と同様に、クランプＣを取付壁Ｐに押し
つけると、クリップ４が取付壁Ｐの孔３に嵌入すると共
に、第３図に示すように、弾性アーム７が取付壁Ｐの端
縁に当り、係合アーム６が弾性撓み変形すると共に、弾
性アーム７が両端面の中央部から先端にかけて撓み変形
し、取付壁Ｐの端縁と当接する弾性アーム７が、両者の
撓み変形の総和量だけ変位して取付壁Ｐの端縁を通過す
る。

従って、クランプＣの押圧力は従来のものに較べて小さ
くなる。

取付壁Ｐの端縁を通過した後は係合アーム６及び弾性ア
ーム７がともに原形に復帰するため、弾性アーム７の上
端と取付壁Ｐの下端との距離、すなわち、（₁−₂）
の寸法は大きくとることができる。

従って、孔３の位置誤差等を含めた加工誤差があって
も、弾性アーム７が取付壁Ｐと係合しない虞れはなく、
ワイヤーハーネスＷに外力Ｆが作用してもクランプＣが
取付壁Ｐより外れることはない。

〔効果〕

本考案のクランプは、取付壁に取付けるときに係合アー
ムと共に弾性アームが撓むため、従来のクランプに較べ
て押圧力が小さくなり、ワイヤーハーネスの配索作業が
容易となって効率化されると共に、係合アームが損傷す
る事故を防止することができる。

又、取付後は係合アーム並びに弾性アームが原形に戻る
ため、押圧力が小さくなったにも拘らず、弾性アームと
取付壁との係合は確保されるため、クランプが取付壁か
ら外れる虞れはない。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第４図は本考案の実施例を示し、 第１図は取付壁に固定されたクランプの縦断面図、 第２図はクランプの側面図、 第３図及び第４図は取付壁と弾性アームとの係合過程を
説明する要部縦断面図、 第５図は従来のクランプの斜視図、 第６図は同上の縦断面図、 第７図は取付壁との係合過程を説明するクランプの縦断
面図である。 Ｃ…クランプ、Ｐ…取付壁、Ｗ…ワイヤーハーネス、１
…電線固定部、２…テープ、３…孔、４…クリップ、６
…係合アーム、７…弾性アーム。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ワイヤーハーネスを支持する電線固定部
   と、取付壁に穿設された孔に嵌入して係合するクリップ
   と、上記取付壁の端縁に係合する突起部が先端に設けら
   れる可撓性の係合アームとを有し、上記ワイヤーハーネ
   スを上記取付壁に固定するワイヤーハーネス用クランプ
   において、 上記係合アームの先端縁の中央に開口部を設け、上記突
   起部は、平板状に形成され、且つ、両端面の中央部が上
   記開口部の内壁面の先端部に一体的に接続され、先端が
   上記取付壁の端縁から遠ざかる方向に傾斜すると共に、
   上記両端面の中央部から先端にかけて撓み変形可能な弾
   性アームとしたことを特徴とするワイヤーハーネス用ク
   ランプ。