JPS6224805Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、断面Ｌ字形の金属板よりなり、一方
の平板部を基板に固着し、他方の平板部の先端を
基板方向に折曲げてこれ等の間に被取付体を保持
せしめる形式のクランプ金具、特に自動車のボデ
ーパネルに遮音材を密着保持せしめるクランプ金
具に関するものである。

第１図はその従来例を示すもので、クランプ金
具１′は中央部をほぼ直角に屈曲せしめた断面Ｌ
字形で、折曲げ可能な薄い金属板よりなる。そし
てこの金具１′は第２図に示すように、自動車の
ボデーパネル８に一方の平板部２により固定され
る。そして遮音材９を取付けるのに際しては、遮
音材９に設けた穴９１に他方の平板部（折曲げ
部）３を挿通して折曲げ部３により遮音材９を支
持し、折曲げ部３の先端部分を直角方向に折り曲
げてボデーパネル８との間に遮音材９を挾持せし
める。

ところで、従来のクランプ金具１′は折曲げや
すいように薄い金属板を用いて剛性が低いため、
第３図に示すように遮音材９をセツトするときに
その穴９１とクランプ金具１′の折曲げ部３の位
置がづれて遮音材９によつて折曲げ部３が押し付
けられると、折曲げ部３はその基端の屈曲部５が
変形してしまう。また、遮音材９をセツトしてク
ランプの折曲げ部３を折曲げる際に折曲げ部３の
根元の屈曲部５から折曲つて遮音材９が持ち上げ
られ、位置精度が出にくい傾向があつた。その
他、物体が折曲げ部３に当ると種々の変形が生じ
る問題があつた。更に、遮音材９が第２図のよう
に取付けられた後も、遮音材９の重量によりクラ
ンプ１′が変形して折曲げ部３が垂れ下り（第４
図）、このため遮音材９が位置ずれしたり、時と
してはクランプ金具１′より脱落するという問題
がある。一方、クランプ金具を厚くして剛性を上
げると、折曲げ作業性が悪くなる。

そこで本考案は従来のクランプ金具の上記の問
題を解決することも目的とし、遮音材をセツトす
るときに変形しない剛性を有し、セツト後にクラ
ンプ金具を所定の個所で容易に折曲げることがで
き、遮音材を取付けた後においてその重量で変形
することのないクランプ金具を提供するものであ
る。

以下、本考案を図示の実施例により説明する。

第５図に示す実施例において、クランプ金具１
は薄い金属板よりなる。クランプ本体は中央がほ
ぼ直角に屈曲したＬ字形断面形状で、一方の側が
クランプ金具を自動車のボデーパネルに固定する
ためのクランプ固定部２を構成し、他方の側は遮
音材を保持するための保持部４を構成する。クラ
ンプ本体の両側縁には固定部２および保持部４の
平面とほぼ直角方向に一連のフランジ６ａが形成
してある。これにより固定部２および保持部４の
面、ならびにこれ等の間の屈曲部５に剛性を付与
している。

上記保持部４にはその先端から屈曲部５方向へ
２本のほぼ平行な直線状の切込み４１が設けてあ
り、両切込み間には基端が剛性が付与された保持
部４と連続し、両側が該保持部４とは分離された
突片３が形成されている。この突片３は容易に折
曲げ得るもので、遮音材押え部を構成する。

第６図および第７図は上記クランプ金具１の使
用例を示すもので、クランプ金具１はその固定部
２において自動車のボデーパネル８に溶接され、
保持部４および押え部３はボデーパネル８からこ
れに直角方向に突出している。

上記クランプ金具１によつてボデーパネル８に
取付けられる遮音材９には穴９１が設けてあり、
この穴９１にクランプ金具１の保持部４を挿通
し、遮音材９をその穴９１により保持部４で支持
せしめるとともに遮音材９をボデーパネル８に密
着させる。そして次に押え部３を上方へ垂直方向
に折曲げて遮音材９に押し付けることにより遮音
材９の取付けを完了する。

しかして上記のクランプ金具１においては、ク
ランプ本体はその両側縁にフランジ６ａを有する
ことにより剛性にすぐれており、遮音材９をセツ
トするときに保持部４がその根元の屈曲部５にお
いて変形することがなく、かつ保持部４はガイド
の役割を果すのでセツトの作業性も良好となる。
また、押え部３の折曲げは保持部４と関係なくそ
れ自体によりなされるので、簡単に折曲げること
ができるとともに、押え部３を折曲げるときに保
持部４が変形するようなことはない。更に遮音材
９を取付けた後において、保持部４、特にその根
元の屈曲部５は剛性が高いので、保持部４が変形
して垂れ下り、このため遮音材９が位置ずれした
り、またクランプ金具１から脱落するようなこと
はない。

上記の実施例ではクランプ金具１の本体の剛性
付与手段として本体の両側縁にフランジ６ａを形
成したが、他の剛性付与手段を施してもよい。例
えば第８図に示すように、クランプ本体の屈曲部
５の複数個所に三角ビート６ｂを形成することに
より、屈曲部５の剛性を強化することができ、こ
れによつて遮音材９のセツト時に、また遮音材９
の取付け後において、保持部４がその根元の屈曲
部５から変形するようなことはない。また、第９
図に示すように固定部２から保持部４にかけて複
数条のビード６ｃを形成することにより同様の効
果が奏される。

上記の如く本考案のクランプ金具は、それ自体
は容易に折曲げることができる薄い金属板を用い
ることができ、遮音材押え部３では薄い金属板の
折曲げ容易性を利用し、遮音材保持部４では曲げ
加工による剛性付与を行なつているので、全体が
軽く、かつ遮音材を安定して保持することが可能
で、かつ遮音材の押えを容易に行なうことができ
る。また切込みを設けて形成した折曲げ可能な押
え部はその両側を剛性が与えられた保持部で保護
されているから、クランプ金具取扱い中に押え部
に不必要な変形が生じるのが防止される。

本考案のクランプ金具は、遮音材をボデーパネ
ルに簡易に取付けるための手段として広くかつ有
効に適用され得るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のクランプ金具の斜視図、第２図
ないし第４図は上記従来のクランプ金具の使用時
の態様を示す図、第５図は本考案クランプ金具の
実施例の斜視図、第６図および第７図は第５図の
クランプ金具の使用時の態様を示す図、第８図お
よび第９図はそれぞれ他の実施例の斜視図であ
る。 １……本考案のクランプ金具、１′……従来の
クランプ金具、２……クランプ固定部、３……遮
音材押え部、４……遮音材保持部、６ａ，６ｂ，
６ｃ……剛性付与手段、９……遮音材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 自動車のボデーパネルに遮音材を密着保持せ
   しめるクランプ金具であつて、断面Ｌ字形に屈
   曲した金属板の一方の平面部によりボデーパネ
   ルへのクランプ固定部を構成するとともに、他
   方の平板部を上記遮音材に設けた穴に挿通して
   遮音材を保持する遮音材保持部を構成し、かつ
   少くとも屈曲部に曲げ加工による剛性付与手段
   を施したクランプ本体を備え、該クランプ本体
   の上記遮音材保持部にはその先端から上記屈曲
   部方向へほぼ平行な２本の直線状の切込みを設
   け、両切込み間の部分を折曲げ可能な遮音材押
   え部としたクランプ金具。 (2) 上記剛性付与手段として、クランプ本体の両
   側縁に該本体の平板面とほぼ直角方向のフラン
   ジを形成した実用新案登録請求の範囲第１項記
   載のクランプ金具。 (3) 上記剛性付与手段として、クランプ本体の屈
   曲部に複数のビードを形成した実用新案登録請
   求の範囲第１項記載のクランプ金具。