JPH06337497A - ハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents

ハロゲン化銀写真感光材料

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JPH06337497A
JPH06337497A JP12619793A JP12619793A JPH06337497A JP H06337497 A JPH06337497 A JP H06337497A JP 12619793 A JP12619793 A JP 12619793A JP 12619793 A JP12619793 A JP 12619793A JP H06337497 A JPH06337497 A JP H06337497A
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JP
Japan
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silver halide
emulsion
drying
silver
emulsion layer
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JP12619793A
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English (en)
Inventor
Tetsuya Suzuki
哲也 鈴木
Haruhiko Sakuma
晴彦 佐久間
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ハロゲン化銀写真感光材料を塗布乾燥する
際、急速乾燥してもカブリの発生がない高感度ハロゲン
化銀写真感光材料の提供。 【構成】 ハロゲン化銀粒子が転位線を有する乳剤層か
らなるハロゲン化銀写真感光材料を、塗布乾燥する際の
乳剤層側の含水率が500%〜50%に減少する期間を、特
定の乾燥条件で乾燥することを特徴とするハロゲン化銀
写真感光材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はハロゲン化銀写真感光材
料に関し、詳しくはフィルム製造時の乾燥カブリ性を改
良した高感度ハロゲン化銀写真感光材料に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】近年、ハロゲン化銀写真感光材料は高感
度化のためにハロゲン化銀粒子の形成工程である物理熟
成工程或いは化学熟成工程などの改良、さらには種々の
増感剤の使用により高感度化が得られるようになってき
ている。しかしながら高感度化により感光材料の製造工
程である塗布乾燥工程において、カブリを発生し易くな
ってきたことである。
【0003】特にハロゲン化銀粒子に転位線を導入して
写真性能の向上を図ったハロゲン化銀写真感光材料の場
合には、高感度化が得られる反面、塗布乾燥工程におい
てカブリを多発するという欠点を有していた。
【0004】このような塗布乾燥工程に発生するカブリ
を抑制する方法としては、古くから多くの提案がなされ
ており、例えばヒドロキシル基を多く有したポリオール
系化合物或は各種ラテックスを添加する方法などが知ら
れている。しかし上述した転位線を有するハロゲン化銀
粒子の場合には、効果的なカブリ抑制効果が得られない
という問題点を有していた。
【0005】生産性向上のために高速度で塗布し、次い
で急速乾燥を行ってもカブリ発生のない高感度ハロゲン
化銀写真感光材料が生産上からも強く望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、高感度化のためにハロゲン化銀粒子に転位線を導入
したハロゲン化銀写真感光材料を塗布乾燥する際に、短
時間で急速乾燥してもカブリ発生のないハロゲン化銀写
真感光材料を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の上記の問題点
は、以下の本発明によって解決された。即ち、支持体上
の少なくとも一方の側に、少なくとも1層のハロゲン化
銀乳剤層を塗設してなるハロゲン化銀写真感光材料に於
いて、該乳剤層のハロゲン化銀粒子が転位線を有し、か
つ該乳剤層を塗布乾燥する際の乳剤層側の含水率が500
%〜50%に減少する期間を、下記式(1)で表される条件
で乾燥することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料
により達成される。
【0008】 2.0≦T/(DB−WB)≦10.0 式(1) 但し式中の T :含水率(含水量/全親水性コロイド重量)が500%
〜50%に減少するまでの乾燥時間(秒)を表す。
【0009】DB: 含水率(含水量/全親水性コロイド
重量)が500%〜50%に減少するまでの乾燥風の乾球温度
(℃)で、28℃以上45℃以下を表す。但し500%〜50%に
減少するまでの間に乾燥条件を連続又は階段的に変化し
た場合はその間の平均乾球温度を表す。
【0010】WB:含水率(含水量/全親水性コロイド
重量)が500%〜50%に減少するまでの乾燥風の湿球温度
(℃)で、18℃以上38℃以下を表す。但し500%〜50%に
減少するまでの間に乾燥条件を連続又は階段的に変化し
た場合はその間の平均湿球温度を表す。以下、本発明を
詳述する。
【0011】本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料
は、転位を導入したハロゲン化銀粒子よりなる。ハロゲ
ン化銀粒子の転位は例えば、J.F.Hamilton, Phot.Sci.E
ng.,11,57(1967)や T.Shiozawa J.Soc.Pho.Sci.Japan,3
5、213(1972)に記載の低温での透過型電子顕微鏡を用い
た直接的な方法により観察することができる。 即ち、乳剤から粒子に転位が発生する程の圧力を掛けな
いように注意して取り出したハロゲン化銀粒子を電子顕
微鏡観察用メッシュに載せ、電子線による損傷(プリン
トアウト等)を防ぐように試料を冷却した状態で透過法
により観察を行う。 この場合、ハロゲン化銀粒子の厚
みが厚いほど電子線が透過し難くなるので、高圧型(0.
5μmの厚さの粒子に対し400kv以上)の電子顕微鏡を用い
たほうがより鮮明に観察することがきる。 このような方法により得られたハロゲン化銀粒子の写真
より、各粒子についての転位線の本数を数えることがで
きる。転位線の数は1粒子当たり1本以上、好ましくは
平均5本以上で、より好ましくは1粒子当たり平均10本
以上である。
【0012】転位線が密集して存在する場合、または転
位線が互いに交わっている場合には、1粒子当たりの転
位線の数は明確に数えることができない場合がある。し
かしそのような場合でも、おおよそ10本、20本、30本と
いう程度には数えることが可能であり、明らかに数本し
か存在しない場合とは区別できる。転位線の1粒子当た
りの平均数については、100粒子以上について転位数を
数えて総平均として求める。
【0013】粒子への転位線導入は例えば、特開昭63-2
20238号、特願平3-314201号、同2-34090号などに開示さ
れている方法を用いることができ、ハロゲン化銀粒子内
の任意の位置及び場所に転位線を導入することができ
る。
【0014】ハロゲン化銀粒子の製造に際して、転位線
導入の工程位置としては好ましいのは使用銀量の30%〜
99%、より好ましくは50%〜95%を消費した時点であ
る。
【0015】転位線導入場所としては例えば粒子の主表
面、頂点、さらには双晶粒子の場合には双晶面を挙げる
ことができるが、転位線の位置は、これらに限定されて
もよいし、これらの組み合わせであってもよい。好まし
い転位線の位置としては、粒子の頂点、陵及びそれらの
近傍が挙げられる。
【0016】本発明で言う含水率とは、本発明に係る乳
剤層を含む側に塗設された全親水性コロイド層に含有さ
れる水分量を、該親水性コロイド層中の全親水性コロイ
ド重量で除した値(即ち、含水量/全親水性コロイド重
量)に100を乗じたものであり、%で表される。
【0017】本発明の感光材料の乾燥工程において塗布
試料の含水率が500%を越えている領域の乾燥条件とし
ては、乾燥による温度上昇によって感光材料の塗布層が
熔融しない条件であり、かつ風圧(乾燥風による圧力)で
塗布層が変形しない条件であれば写真性能に大きな問題
を生じることは非常に少ない。従って生産性の面から含
水率が500%を越える領域では、塗布層が熔融したり、
乾燥風圧によって乾燥ムラが生じたりしない範囲ででき
る限り短時間が好ましい。
【0018】含水率が1000%以上の領域における好まし
い乾燥条件としては、乾球温度が28℃以上40℃以下で、
湿球温度は12℃以上25℃以下の範囲が好ましい。
【0019】又、含水率が1000%未満から500%を越え
る領域においては、乾球温度が30℃以上42℃以下で、湿
球温度が18℃以上28℃以下の範囲が好ましく、乾球温度
と湿球温度の差は12℃以上、21℃以下が好ましい。さら
に短時間乾燥のために乾球温度と湿球温度の差は10℃以
上、20℃以下が好ましい。
【0020】含水率が500%から50%に減少する領域の
乾燥風の乾球温度は28℃以上45℃以下で、かつ湿球温度
は18℃以上38℃以下の範囲が好ましい。又、乾燥風の感
光材料に対しての熱伝達係数〔Kcal/m2・hr・℃〕は
乾燥開始から終了までの30〜120の範囲が好ましく、50
〜90の範囲がより好ましい。
【0021】通常、含水率が500%以上の乾燥工程で
は、乾燥速度を速くするために乾球温度と湿球温度の差
を12℃以上で乾燥する場合が多いので、乾球温度を28℃
以下に設定すると乾球温度と湿球温度の差を12℃以上と
る場合、湿球温度が低くなり過ぎて所望の乾燥風を作り
出すことが困難となる。
【0022】本発明者等の検討によれば、含水率が500
%を越える乾燥工程よりも、500%以下の乾燥工程で乾
球および湿球温度が低温になると乾燥カブリが発生する
ことが判った。又、含水率500%以下から50%に至る乾
燥工程の乾球温度が45℃を越える高温でも乾燥カブリが
非常に発生し易くなることを見い出した。さらに含水率
が500%以下から50%に至る乾燥工程の乾球温度と湿球
温度が、上記の条件を満たしても乾燥時間短縮のため
に、乾球温度と湿球温度を高くし過ぎると乾燥カブリが
大きくなる。又、乾球温度と湿球温度の差が15℃以下
で、かつ本発明の条件内であっても、やはり乾燥時間短
縮のために乾燥風を増して急速乾燥するとカブリを上昇
することから式(1)により求めた値が10.0を越えると
カブリを発生しにくくなるが、乾燥時間Tの値が大きく
式(1)の値が10.0を越えた場合には、生産性が非常に
落ち(DB−WB)の値が小さく、10.0を越えた場合は湿
度が高い乾燥風を強い風圧で供給することが必要になり
好ましくない。さらに2.0未満ではどうしても乾燥によ
るカブリ発生を避けられないことが判った。
【0023】本発明に係るハロゲン化銀粒子を含有する
写真感光材料の塗布乾燥において、乾燥を短時間で行
い、かつ乾燥カブリの発生を抑制して生産するためには
本発明の式(1)に該当する乾燥条件を満たす条件では
乾燥させることが乾燥時間の短縮とカブリの発生を抑制
するという二つの面から最も好ましい範囲であることを
見い出した。
【0024】なお、含水率が50%未満から乾燥終了して
集積するまでの条件としては、乾球温度が20℃以上40℃
以下で、相対湿度が35%以上70%以下の条件であること
が好ましい。本発明においてDBの平均乾球温度及びW
Bの平均湿球温度は、以下のようにして求めたものであ
る。即ち、含水率500%以下50%以上の領域内の乾燥工
程でDBを変化させた場合は、含水率500%から50%ま
で乾燥させるまでに要した総時間に対する各DB温度の
占める時間の比率の積の合計からいわゆる荷重平均値と
して求める。
【0025】含水率500%以下50%以上の領域内の乾燥
工程の平均WBが、本発明の範囲であれば良く、この領
域の一部に本発明外の条件になる部分があってもよい。
【0026】本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料の
ハロゲン化銀乳剤は、正常晶粒子、即ち立方体、8面
体、14面体のような全て等方的に成長したもの、或は球
形のような多面的な結晶型のもの、又は双晶面のような
面欠陥を有した双晶からなるもの、或はそれらの混合型
または複合型であってもよいが、好ましくは平板状ハロ
ゲン化銀粒子が挙げられる。
【0027】これらのハロゲン化銀粒子の粒径は0.2μm
から3.0μmの範囲が好ましく、0.3μmから2.0μmがさら
に好ましい。
【0028】本発明のハロゲン化銀写真感光材料に用い
られる乳剤は、公知の方法で製造できる。例えばリサー
チ・ディスクロージャー(RD)No.17643(1978年12月),22
〜23頁の“Emulsion Preparation and Types”に記載の
方法、或は同(RD)No.18716(1979年11月),648頁に記載
の方法で調製することができる。
【0029】本発明のハロゲン化銀写真感光材料に用い
られる乳剤は、例えばT.H.James著“The Theory of the
Photographic process”第4版、Macmillan社刊(1977
年)38〜104頁に記載の方法、G.F.Duffin著“Photograph
ic Emulsion Chemistry”、Focal Press社刊(1966年)、
P.Glafkides著“Chimie et Physique Photographique”
Paul Montel社刊(1967年)或はV.L.Zelikman他著“Makin
g And Coating Photographic Emulsion" Focal Press社
刊(1964)などに記載の方法により調製することができ
る。
【0030】即ち、酸性法、アンモニア法、中性法など
の溶液条件にて順混合法、逆混合法、ダブルジェット
法、コントロール・ダブルジェット法などの混合条件、
コンバージョン法、コア/シェル法などの粒子調製条件
およびこれらの組合わせ法を用いて製造することができ
る。
【0031】本発明のハロゲン化銀粒子の粒径分布は、
狭い分布を有した単分散乳剤或は広い分布を有した多分
散乳剤のいずれであってもよく、これらを併用してもよ
い。ハロゲン化銀の結晶構造は内部と外部が異なったハ
ロゲン化銀組成からなっていてもよく、例えば高沃化銀
のコア部分に低沃化銀のシェル層を被覆して明確な2層
構造を有したもの、或はさらに沃化銀含量が異なる殻層
を設ける3層以上の構造を有したコア/シェル型単分散
乳剤であってもよい。
【0032】高沃度部の沃化銀含量は20〜40モル%で、
特に好ましくは20〜30モル%である。本発明で単分散で
あるとは粒径のバラツキ(標準偏差)を平均粒径で割っ
た値(変動係数)が好ましくは30%以内、より好ましく
は20%であることを言う。
【0033】かかる単分散乳剤の製法は公知で、例えば
J.Phot.Sci,12.242〜251,(1963)、特開昭48-36890号、
同52-16364号、同55-142329号、同58-49938号、英国特
許1,413,748号、米国特許3,574,628号、同3,655,394号
などに詳しく記載されている。上記の単分散乳剤を得る
ための方法として例えば種晶を用い、この種晶を成長核
として銀イオン及びハライドイオンを供給し成長させた
乳剤を用いてもよい。上記のコア/シェル型乳剤の製法
は公知で、例えばJ.Phot.Sci,24.198.(1976)、英国特許
1,027,146号、米国特許3,505,068号、同4,444,877号或
は特開昭60-143331号などに記載の方法を参考にするこ
とができる。
【0034】本発明に好ましく用いられる平板状ハロゲ
ン化銀粒子の平均粒径は0.3〜3.0μmが好ましく、特に
好ましくは0.5〜1.5μmである。
【0035】本発明の平板状ハロゲン化銀粒子は、粒子
直径/厚さ(アスペクト比と呼ぶ)の平均値(平均アス
ペクト比と呼ぶ)が2.0以上であり、好ましくは2.0〜2
0.0、特に好ましくは2.2〜8.0である。
【0036】本発明の平板状ハロゲン化銀粒子の平均厚
さは0.5μm以下が好ましく、特に好ましくは0.3μm以下
である。
【0037】かかる平板状粒子の利点は、分光増感効率
の向上、画像の粒状性及び鮮鋭性の改良などが得られる
として例えば、英国特許2,112,157号、米国特許4,439,5
20号、同4,433,048号、同4,414,310号、同4,434,226号
などに開示されており、乳剤はこれら明細書記載の方法
により調製することができる。
【0038】本発明において、平板状ハロゲン化銀粒子
の粒径は、ハロゲン化銀粒子の電子顕微鏡写真の観察か
ら粒子の投影面積に等しい面積を有する円の直径として
定義される。
【0039】本発明において、ハロゲン化銀粒子の厚さ
は、平板状ハロゲン化銀粒子を構成する二つの平行な面
の距離のうち最小のもの即ち、主平面間の距離と定義さ
れる。
【0040】平板状ハロゲン化銀粒子の厚さは、ハロゲ
ン化銀粒子の影の付いた電子顕微鏡写真又はハロゲン化
銀乳剤を支持体に塗布し乾燥したサンプル断層の電子顕
微鏡写真から求めることができる。
【0041】平均アスペクト比を求めるためには、最低
100サンプルの測定を行う。
【0042】本発明のハロゲン化銀乳剤において、平板
状ハロゲン化銀粒子が全ハロゲン化銀粒子に占める割合
は50%以上であり、好ましくは60%以上、特に好ましく
は70%以上である。
【0043】本発明の平板状ハロゲン化銀乳剤は単分散
性であるものが好ましく用いられ、粒径の変動係数が20
%以内の範囲に含まれるものが特に好ましく用いられ
る。
【0044】本発明に係る平板状ハロゲン化銀乳剤は、
塩化銀、臭化銀、沃化銀、塩臭化銀、沃臭化銀等ハロゲ
ン組成は任意であるが、高感度という点から沃臭化銀が
好ましく、平均沃化銀含有率は、0.1〜5.0モル%であっ
て特に好ましくは0.5〜3.0モル%である。
【0045】又、本発明に係る平板状ハロゲン化銀乳剤
は、ハロゲン組成が粒子内で均一であってもよく、沃化
銀が局在したものであってもよいが、粒子の最表面に局
在したものが好ましく用いられる。
【0046】平板状ハロゲン化銀乳剤の製造方法は、特
開昭58-113926号、同58-113927号、同58-113934号、同6
2-1855号、ヨーロッパ特許219,849号、同219,850号等を
参考にすることもできる。
【0047】又、単分散性の平板状ハロゲン化銀乳剤の
製造方法として、特開昭61-6643号を参考にすることが
できる。
【0048】高アスペクト比を持つ平板状の沃臭化銀乳
剤の製造方法としては、pBrが2以下に保たれたゼラチ
ン水溶液に硝酸銀水溶液又は硝酸銀水溶液とハロゲン化
物水溶液を同時に添加して種晶を発生させ、次にダブル
ジェット法により成長させることによって得ることがで
きる。
【0049】平板状ハロゲン化銀粒子の大きさ及び形成
は、粒子形成時の温度、銀電位、pH、銀塩及びハロゲ
ン化物水溶液の添加速度などによってコントロールでき
る。
【0050】平板状ハロゲン化銀乳剤の平均沃化銀含有
率は、添加するハロゲン化物水溶液の組成すなわち塩化
物臭化物及び沃化物の比を変えることによりコントロー
ルすることができる。
【0051】又、平板状ハロゲン化銀乳剤の製造時に、
必要に応じてアンモニア、チオエーテル、チオ尿素等の
ハロゲン化銀溶剤を用いることができる。
【0052】上述した乳剤は、粒子表面に潜像を形成す
る表面潜像型あるいは粒子内部に潜像を形成する内部潜
像型、表面と内部に潜像を形成する型のいずれの乳剤で
有ってもよい。これらの乳剤は、物理熟成あるいは粒子
調製の段階で鉄塩、カドミウム塩、鉛塩、亜鉛塩、タリ
ウム塩、ルテニウム塩、オスミウム塩、イリジウム塩又
はその錯塩、ロジウム塩またはその錯塩などを用いても
よい。
【0053】乳剤は可溶性塩類を除去するためにヌーデ
ル水洗法、フロキュレーション沈降法などの水洗方法が
なされてよい。好ましい水洗法としては、例えば特公昭
35-16086号記載のスルホ基を含む芳香族炭化水素系アル
デヒド樹脂を用いる方法、又は特開昭63-158644号記載
の凝集高分子剤例示G3、G8などを用いる方法が特に
好ましい脱塩法として挙げられる。
【0054】本発明のハロゲン化銀乳剤は化学増感する
ことが好ましい。
【0055】本発明に係るハロゲン化銀乳剤の増感法と
してはカルコゲン増感及び金増感を併用することが好ま
しい。特に金増感と硫黄増感の併用は増感効果が顕著で
あるだけでなく、カブリ抑制効果も得られるので好まし
い。
【0056】硫黄増感には増感剤として例えばチオ硫酸
塩、アリルチオカルバミドチオ尿素、アリルイソチアシ
アネート、シスチン、p-トルエンチオスルホン酸塩、ロ
ーダニンなどが挙げられる。その他米国特許1,574,944
号、同3,656,955号、ドイツ特許1,422,869号、特公昭56
-24937号、特開昭55-45016号などに記載されている硫黄
増感剤も用いることができる。硫黄増感剤の添加量は乳
剤の感度を効果的に増大させるに十分な量でよい。この
量はpH、温度、ハロゲン化銀粒子の大きさなど種々の
条件下で広範囲に変化できるが目安としては、ハロゲン
化銀1モル当たり10-7〜10-1モルが好ましい。
【0057】金増感には、金増感剤として例えば塩化金
酸塩、金チオ尿素錯塩、カリウムクロロオーレート、オ
ーリックトリクロライド、カリウムオーリックチオシア
ネート、カリウムヨードオーレート、テトラシアノオー
リックアミド、アンモニウムオーロチオシアネート、ピ
リジルトリクロロゴールドなどが挙げられる。これら金
増感剤の添加量は種々の条件下で広範囲に変化できるが
目安としては、ハロゲン化銀1モル当たり5×10-7〜5
×10-3モルが好ましく、2×10-6〜4×10-4モルが更に
好ましい。
【0058】本発明においては還元増感及び水素増感法
を用いることができる。還元増感剤としては第一錫塩、
アミン類、ホルムアミンジスルフィン酸、シラン化合
物、ボラン化合物、アスコルビン酸及びその誘導体等を
用いることができる。
【0059】還元増感剤の添加量は、化合物の還元性及
びハロゲン化銀の種類、溶解条件等の乳剤製造条件によ
って異なるが、ハロゲン化銀1モル当り1×10-8〜1×
10-2モルの範囲が適当である。
【0060】さらに、本発明においては、セレン増感を
施すことができセレン増感する場合は他の増感法と併用
することが好ましい。
【0061】ここでセレン増感とは、従来公知の方法に
て実施される。すなわち、通常、不安定型セレン化合物
および/または非不安定型セレン化合物を添加して、高
温、好ましくは40℃以上で乳剤を一定時間撹拌すること
により行われる。
【0062】セレン増感法としては特公昭44-15748号に
記載の不安定セレン増感剤を用いるセレン増感が好まし
く用いられる。具体的な不安定セレン増感剤としては、
アリルイソセレノシアネートの如き脂肪族イソセレノシ
アネート類、セレノ尿素類、セレノケトン類、セレノア
ミド類、セレノカルボン酸類およびエステル類、セレノ
フォスフェート類がある。特に好ましい不安定セレン化
合物は以下に示される。
【0063】コロイド状金属セレン 有機セレン化合物(セレン原子が共有結合により有機
化合物の炭素原子に2重結合しているもの) a.イソセレノシアネート類 例えば、アリルイソセレノシアネートの如き脂肪族イソ
セレノシアネート b.セレノ尿素類(エノール型を含む) 例えば、セレノ尿素、及びメチル、エチル、プロピル、
イソプロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、ジオクチ
ル、テトラメチル、N-(βカルボキシエチル)-N,N′-
ジメチル、N,N-ジメチル、ジエチル、ジメチル等の脂肪
族セレノ尿素;フェニル、トリル等の芳香族基を1個又
はそれ以上もつ芳香族セレノ尿素;ピリジル、ベンゾチ
アゾリル等の複素環式基をもつ複素環式セレノ尿素。
【0064】特に好ましいセレノ尿素類としてはN,N′-
4置換セレノ尿素である。好ましい置換基は、R、RC
O−、ArCO−であり、Rはアルキル基もしくはパー
フルオロアルキル基であり(C数1〜7が好ましい)、
Arはハロゲン又は、低級アルコキシ基で置換されても
よいフェニル基である。
【0065】c.セレノケトン類 例えば、セレノアセトン、セレノアセトフェノン、アル
キル基が=C=Seに結合したセレノケトン、セレノベ
ンゾフェノン、 d.セレノアミド類 例えば、セレノアミド e.セレノカルボン酸およびエステル類 例えば、2-セレノプロピオン酸、3-セレノ酪酸、メチル
-3-セレノブチレート その他 a.セレナイド類 例えば、ジエチルセレナイド、ジエチルジセレナイド、
トリフェニルフォスフィンセレナイド b.セレノフォスフェート類 例えば、トリ-p-トリセレノフォスフェート、トリ-n-ブ
チルセレノフォスフェート 不安定型セレン化合物の好ましい類型を上に述べたがこ
れらは限定的なものではない。当業技術者には写真乳剤
の増感剤としての不安定型セレン化合物といえば、セレ
ンが不安定である限りに於いて該化合物の構造はさして
重要なものではなく、セレン増感剤分子の有機部分はセ
レンを担持し、それを不安定な形で乳剤中に存在せしめ
る以外何らの役割をもたぬことが一般に理解されてい
る。本発明に於いては、かかる広範な概念の不安定セレ
ン化合物が有利に用いられる。
【0066】特公昭46-4553号、特公昭52-34492号およ
び特公昭52-34491号に記載の非不安定型セレン増感剤を
用いるセレン増感も用いられる。非不安定型セレン化合
物には例えば亜セレン酸、セレノシアン化カリウム、セ
レナゾール類、セレナゾール類の4級アンモニウム塩、
ジアリールセレニド、ジアリールジセレニド、2-チオセ
レナゾリジンジオン、2-セレノオキサゾリジンジオンお
よびこれらの誘導体等が含まれる。
【0067】特公昭52-38408号に記載の非不安定型セレ
ン増感剤、チオセレナゾリジンジオン化合物も有効であ
る。
【0068】本発明に係る乳剤の化学熟成温度は、任意
に決められるが好ましくは20〜90℃の範囲で、好ましく
は30〜80℃で、より好ましくは35〜70℃である。
【0069】本発明においては、ハロゲン化銀乳剤(以
後、親粒子乳剤)の化学増感工程の終了前に、親粒子乳
剤よりも溶解度積が小さいハロゲン化銀微粒子乳剤が添
加されることが好ましい。
【0070】親粒子乳剤よりも溶解度積が小さいとは、
溶解度積をKSPで表すと KSP=[Ag+]・[X-] ここで[Ag+]は銀イオン濃度、[X-]はハロゲンイ
オン濃度を表す。従って、親粒子が塩化銀の場合、ハロ
ゲン化銀微粒子は臭化銀、又は沃化銀である。
【0071】勿論、KSPの値が親粒子よりもハロゲン化
銀微粒子のほうが小さくなれば、これらハロゲンイオン
の混晶であっても良い。
【0072】本発明に係るハロゲン化銀微粒子の種類と
しては、AgBr,AgI,AgClBr,AgBr
I,AgClI,AgClBrIがあるが、実質的に感
光性を有しないハロゲン化銀微粒子が好ましい。
【0073】上記したハロゲン化銀微粒子の粒径として
は0.1μm以下が好ましく、0.07μm以下が更に好まし
く、0.05μm以下が特に好ましい。
【0074】ハロゲン化銀粒子としては沃化銀微粒子が
好ましく用いられる。
【0075】沃化銀に関しては、一般に立方晶系のγ−
AgIと六方晶系のβ−AgIが知られているが、本発
明に用いた場合の沃化銀微粒子としては、いずれの結晶
構造であってもよく、また、これらの混合物であっても
よい。
【0076】又、ハロゲン化銀微粒子として臭化銀、塩
化銀又はこれら岩塩構造を主とする固溶体を用いた場
合、例えばAgBr9010のような微粒子を用いた場合に
は、これらの微粒子は、実質的に双晶面を有しない無双
晶のいわゆる正常晶か、又は双晶面を1枚有する一重双
晶であることが好ましい。
【0077】本発明で用いるハロゲン化銀微粒子は単分
散性が良好であることが好ましく、ダブルジェット法に
より、温度、pH、pAgを制御しながら調製することが
好ましい。
【0078】ハロゲン化銀微粒子の添加量としては、親
粒子乳剤の平均粒径をd(μm)としたとき、親粒子乳
剤1モル当たり1/100dモル以下が好ましく、更には
親粒子乳剤1モル当たり1/20000d〜1/300dモルの
範囲が好ましく、最も好ましくは、親粒子乳剤1モル当
たり1/5000d〜1/500dモルである。
【0079】本発明において化学増感(化学熟成)を停
止させるには乳剤の安定性等を考慮すると、化学熟成停
止剤を用いる方法が好ましい。この化学熟成停止剤とし
ては、ハロゲン化物(例えば臭化カリウム、塩化ナトリ
ウム等)、カブリ防止剤または安定剤として知られてい
る有機化合物(例えば4-ヒドロキシ-6-メチル-1,3,3a,7
-テトラザインデン等)が知られている。これらは単独
でもしくは複数の化合物を併用して用いられている。
【0080】ハロゲン化銀微粒子を添加する際の親粒子
乳剤液の温度は、30〜80℃の範囲が好ましく、更には40
〜65℃の範囲が特に好ましい。
【0081】本発明に係る乳剤は、物理熟成または化学
熟成前後の工程において、各種の写真用添加剤を用いる
ことができる。公知の添加剤としては、例えばリサーチ
・ディスクロージャー(RD)No.17643(1978年12月)、
同No.18716(1979年11月)及び同No.308119(1989年12
月)に記載された化合物が挙げられる。これら三つのリ
サーチ・ディスクロージャーに示されている化合物種類
と記載箇所を下記に掲載した。
【0082】 添加剤 RD-17643 RD-18716 RD-308119 頁 分類 頁 分類 頁 分類 化学増感剤 23 III 648 右上 996 III 増感色素 23 IV 648〜649 996〜8 IV 減感色素 23 IV 998 B 染料 25〜26 VIII 649〜650 1003 VIII 現像促進剤 29 XXI 648 右上 カブリ抑制剤・安定剤 24 IV 649 右上 1006〜7 VI 増白剤 24 V 998 V 硬膜剤 26 X 651 左 1004〜5 X 界面活性剤 26〜7 XI 650 右 1005〜6 XI 帯電防止剤 27 XII 650 右 1006〜7 XIII 可塑剤 27 XII 650 右 1006 XII スベリ剤 27 XII マット剤 28 XVI 650 右 1008〜9 XVI バインダー 26 XXII 1003〜4 IX 支持体 28 XVII 1009 XVII 本発明に係る感光材料に用いることのできる支持体とし
ては、例えば前述のRD-17643の28頁及びRD-308119の100
9頁に記載されているものが挙げられる。
【0083】適当な支持体としてはポリエチレンテレフ
タレートフィルムなどで、これら支持体の表面は塗布層
の接着をよくするために、下塗層を設けたり、コロナ放
電、紫外線照射などを施してもよい。
【0084】
【実施例】以下本発明の実施例について説明する。但し
当然のことではあるが本発明は以下述べる実施例により
限定されるものではない。
【0085】実施例1 以下に示す溶液を用い、臭化銀から成る種乳剤Aを調製
した。
【0086】 〔A1〕 過酸化水素処理したオセインゼラチン 40g 臭化カリウム 75.1g HO(CH2CH2O)m-(CH(CH3)CH2O)17-(CH2CH2O)n-H (m+n≒5.7) 10ml 水を加えて 400ml 〔B1〕 硝酸銀 600g 水を加えて 803ml 〔C1〕 過酸化水素処理したオセインゼラチン 16.1g 臭化カリウム 420 g 水を加えて 803 ml 〔D1〕 アンモニア水(28%) 235 ml 特開昭62-160128号に開示されている装置を用い、混合
用撹拌ペラの下部への供給ノズルが、溶液B1用、溶液
1用、各々6本となる様に設置した。
【0087】温度40℃、回転数430rpmで高速撹拌された
溶液A1に、溶液B1と溶液C1とをコントロールド・ダ
ブルジェット法にて流速62.8ml/minで添加した。な
お、添加開始後4分46秒から徐々に流速を上げ、最終の
流速は105ml/minとなる様に行った。総添加時間は10分
45秒であった。臭化カリウム溶液(3.5N)で、添加中の
pBrを1.3に保持した。
【0088】添加終了後、105分間で混合液の温度を20
℃に直線的に下げ、撹拌回転数を460rpmにして、溶液D
1を20秒間で添加して、5分間のオストワルド熟成を行
った。熟成時の臭素イオン濃度は0.025モル/l、アン
モニア濃度は0.63モル/l、pHは11.7であった。
【0089】その後、直ちにpHが5.6になるまで酢酸を
加えて中和して熟成を止め、過剰な塩類を除去するた
め、デモールN(花王アトラス社製)水溶液及び硫酸マ
グネシウム水溶液を用いて脱塩水洗を行い種乳剤Aを得
た。種乳剤Aを電子顕微鏡により観察したところ、平均
粒径0.24μm、粒径の変動係数17%の球型粒子であるこ
とが分かった。
【0090】(種乳剤Aの成長)引き続き、種乳剤Aと
以下に示す3種の溶液を用い、本発明に係る主として平
板双晶よりなるハロゲン化銀親粒子乳剤を調製した。
【0091】 〔A2〕 オセインゼラチン 114.5g HO(CH2CH2O)m-(CH(CH3)CH2O)17-(CH2CH2O)n-H (m+n≒5.7) (10%メタノール溶液) 20 ml 水を加えて 10330ml 〔B2〕 オセインゼラチン 29.8g 臭化カリウム 1893.5g 沃化カリウム 40.5g 水を加えて 5430ml 〔C2〕 硝酸銀 2771.5g 水を加えて 5430 ml 種乳剤A 1.34モル相当 液温65℃で激しく撹拌した溶液A2に、種乳剤Aを入
れ、よく分散させ、溶液B2と溶液C2を40分でコントロ
ールド・ダブルジェット法にて添加した。この間、pH
は酢酸にて6.5に、pAgは9.1に終始保持した。なお、溶
液B2及び溶液C2の添加速度は、添加終了時の速度が添
加開始時の速さの2.3倍となるように直線的に増加させ
た。
【0092】添加終了後、直ちに酢酸によりpHを6.0に
調整し、過剰な塩類を除法するため、デモールN(花王
アトラス社製)水溶液及び硫酸マグネシウム水溶液を用
いて沈澱脱塩を行い、ゼラチンを加え40℃においてpAg
8.5、pH5.85の条件で再分散し、乳剤EM−1を得た。
【0093】得られた乳剤を電子顕微鏡にて観察したと
ころ、主平面が六角形をした平均粒径(円直径換算で)
0.87μm、粒径の変動係数19%、平均厚さ0.31μm、平均
アスペクト比は2.8であった。
【0094】乳剤EM−1で使用した〔B2〕液を臭化
カリウム1863.5g、沃化カリウム80.4gに変更した以外
はEM−1と全く同様に乳剤EM−2を調製した。得ら
れたEM−2を走査型電子顕微鏡観察したところ、EM
−1と大きさ、形状ともにほぼ同等であった。
【0095】(沃化銀微粒子の調製)0.008モルの沃化
カリウムを含む5.2重量%のゼラチン溶液5000ml、1.06
モルの硝酸銀と沃化カリウムを含む水溶液をそれぞれ15
00mlを一定流量で35分かけて添加した。この間、温度は
40℃に保持した。得られた沃化銀微粒子の平均粒径は0.
043μmでβ-AgIとγ-AgIの混合物であった。
【0096】(転位線の形成)乳剤EM−1の脱塩処理
前に温度を45℃にし、EM−1の銀量に対して1.3モル
%相当量の沃化カリウム水溶液(0.04モル/l)を12分
かけて添加した(工程a)。更に0.4規定の硝酸銀水溶
液260mlと0.94規定の塩化ナトリウム水溶液260mlを7分
間で添加した(工程b)。更に温度を70℃に昇温し、上
記した沃化銀微粒子を0.007モル(銀換算)添加し、10
分間撹拌した(工程c)後、種乳剤Aと同様な方法で脱
塩処理した。この乳剤をEM−3とした。
【0097】乳剤EM−2の脱塩処理前に温度を45℃に
し、EM−3と全く同様な方法で転位線を形成した乳剤
EM−4を調製した。
【0098】転位線形成工程の工程bを行なわずに調製
した乳剤EM−1から調製した乳剤をEM−5、乳剤E
M−2から調製した乳剤をEM−6とした。
【0099】転位線形成工程の工程aからbを行なわず
に調製した乳剤EM−1から調製した乳剤をEM−7、
乳剤EM−2から調製した乳剤をEM−8とした。
【0100】得られた乳剤に付いて透過型電子顕微鏡を
用いて転位線の観察を行った。加速電圧は200KV、温度
−120℃で観察した。転位線の形成有無、及び位置をの
結果を表3に示す。
【0101】(乳剤の化学増感)得られた乳剤EM−1
〜EM−8を55℃にて撹拌保持ながら下記の化合物
(a)を乳剤の銀1モル当たり140mgとなるようにメタ
ノール溶液にして添加し、その10分に化学増感剤として
銀1モル当たりチオシアン酸アンモニウム60mg、塩化金
酸1.45mg、チオ硫酸ナトリウム13.8mgをそれぞれ添加し
た。更にその30分後に上記した沃化銀微粒子乳剤を1.37
×10-3モル相当添加した後、4-ヒドロキシ-6-メチル-1,
3,3a,7-テトラザインデン、及び1-フェニル-5-メルカプ
トテトラゾールを加えて安定化し、それぞれ最適に化学
増感した。
【0102】
【化1】
【0103】(六角平板双晶種乳剤Bの調製)以下の方
法により六角平板状種乳剤を調製した。
【0104】 〔A3〕 オセインゼラチン 24.2g 蒸留水 9657ml HO(CH2CH2O)m-(CH(CH3)CH2O)17-(CH2CH2)n-H (m+n≒5.7) (10%エタノール水溶液) 6.78ml KBr 10.8g 10%硝酸 114ml 〔B3〕 2.5N AgNO3水溶液 2825ml 〔C3〕 KBr 824g KI 23.5g 蒸留水で2825mlにする 〔D3〕 1.75N KBr水溶液 下記銀電位制御量 35℃で特公昭58-58288号、同58-58289号明細書に示され
る混合撹拌機を用いて溶液A3に溶液B3及び溶液C3
各々464.3mlを同時混合法により2分を要して添加し、
核形成を行った。
【0105】溶液B3及び溶液C3の添加を停止した後、
60分の時間を要して溶液A3の温度を60℃に上昇させ、
3%KOHでpHを5.0に合わせた後、再び溶液B3と溶液C
3を同時混合法により、各々55.4ml/minの流量で42分間
添加した。この35℃から60℃への昇温及び溶液B3、C3
による再同時混合の間の銀電位(飽和銀-塩化銀電極を比
較電極として銀イオン選択電極で測定)を溶液D3を用い
てそれぞれ+5mv及び+12mvになるよう制御した。
【0106】添加終了後3%KOHによってpHを6に合わ
せ直ちに脱塩、水洗を行った。この種乳剤Bはハロゲン
化銀粒子の全投影面積の90%以上が最大隣接辺比が1.0
〜2.0の六角平板粒子よりなり、六角平板粒子の平均厚
さは0.05μm、平均直径(円直径換算)は0.55μmであるこ
とが電子顕微鏡により判明した。
【0107】(単分散双晶乳剤の調製)以下の4種類の
溶液を用いて単分散双晶乳剤EM−9を調製した。
【0108】 〔A4〕 ゼラチン 29.4g HO(CH2CH2O)m-(CH(CH3)CH2O)17-(CH2CH2)n-H (m+n≒5.7) (10%エタノール水溶液) 2.5ml 種乳剤B 0.588モル相当 蒸留水で4800mlとする。
【0109】 〔B4〕 硝酸銀 1404.2g 蒸留水で2360mlとする。
【0110】 〔C4〕 臭化カリウム 982.8g 蒸留水で2360mlとする。
【0111】 〔D4〕 1.75N KBr水溶液 下記銀電位制御量 60℃において特公昭58-58288号、同58-58289号明細書に
示される混合撹拌機を用いて溶液Aに溶液B及び溶液C
の全量を同時混合法により21.26ml/minの流速で111分
の時間を要し添加成長を行った。
【0112】この間の銀電位を溶液Dを用いて+25mVに
なるように制御した。
【0113】添加終了後、過剰な塩類を除去するためデ
モールN(花王アトラス社製)水溶液及び硫酸マグネシ
ウム水溶液を用いて脱塩を行い、オセインゼラチン92.2
gを含むゼラチン水溶液を加え2500mlとして撹拌再分散
した。
【0114】EM−9を電子顕微鏡により観察、測定し
形成を分析したところ、平均粒子直径(円直径換算)1.
04μm、平均粒子厚さ0.26μm、分布の広さが18%であっ
た。
【0115】乳剤EM−1で使用した〔B2〕液の臭化
カリウムを968gにし、新たに沃化カリウムを20.6g処
方変更した以外はEM−1と全く同様にして乳剤を調製
した。得られたEM−10を走査電子顕微鏡で観察したと
ころ、EM−9と大きさ形状ともにほぼ同等であった。
【0116】(転位線の形成)乳剤EM−1の脱塩処理
前に温度を40℃にし、EM−9の銀量に対して1.3モル
%相当量の沃化カリウム水溶液(0.04モル/l)を12分
かけて添加した(工程a)。更に0.4規定の硝酸銀水溶
液260mlと0.94規定の塩化ナトリウム水溶液260mlを7分
間で添加した(工程b)。更に温度を75℃に昇温し、上
記した沃化銀微粒子を0.008モル(銀換算)添加し、10
分間撹拌した(工程c)後、種乳剤と同様な方法で脱塩
処理した。この乳剤をEM−11とした。
【0117】乳剤EM−2の脱塩処理前に温度を40℃に
し、EM−11と全く同様な方法で転位線を形成した乳剤
EM−12を調製した。
【0118】転位線形成工程の工程bを行なわずに調製
した乳剤EM−9から調製した乳剤をEM−13、乳剤E
M−10から調製した乳剤をEM−14とした。
【0119】転位線形成工程の工程a及びbを行なわず
に調製した乳剤EM−9から調製した乳剤をEM−15、
乳剤EM−10から調製した乳剤をEM−16とした。
【0120】得られた乳剤に付いて透過型電子顕微鏡を
用いて転位線の観察を行った。加速電圧は200KV、温度
−120℃で観察した。転位線の形成有無、及び位置の結
果を表3及び表4に示す。
【0121】(乳剤の化学増感)得られた乳剤EM−11
〜EM−16を55℃にて撹拌保持しながら前記の化合物
(a)を乳剤の銀1モル当たり140mgとなるようにメタ
ノール溶液にして添加し、その10分後に化学増感剤とし
て銀1モル当たりチオシアン酸アンモニウム65mg、塩化
金酸1.45mg、チオ硫酸ナトリウム15.0mgをそれぞれ添加
した。更にその30分後に上記した沃化銀微粒子乳剤を1.
37×10-3モル相当添加した後、4-ヒドロキシ-6-メチル-
1,3,3a-テトラザインデン、及び1-フェニル-5-メルカプ
トテトラゾールを加えて安定化し、それぞれ最適に化学
増感した。
【0122】得られた化学増感を施した乳剤EM−3〜
EM−8、EM−11〜EM−16を後記した添加剤を加え
て乳剤層塗布液とした。また同時に後記の保護層塗布液
も調製した。尚、塗布量は片面当たり銀量が1.28g/m2
ゼラチン付き量は2.9g/m2となるように2台のスライド
ホッパー型コーターを用い毎分80mのスピードで支持体
上に両面同時塗布を行い、表1及び表2に示す乾燥条件
で乾燥し、それぞれ塗布試料No.1〜No.96を得た。支持
体としてはグリシジルメタクリレート50wt%、メチルア
クリレート10wt%、ブチルメタクリレート40wt%の3種
モノマーからなる共重合体の濃度が10wt%になるように
希釈して得た共重合体水性分散液を下引き液とした175
μmのX線フィルム用の濃度0.15に青色着色したポリエ
チレンテレフタレートフィルムベースを用いた。
【0123】
【表1】
【0124】
【表2】
【0125】乳剤に用いた添加剤は次のとおりである。
添加量はハロゲン化銀1モル当たりの量で示す。
【0126】 1,1-ジメチロール-1-ブロム-1-ニトロメタン 70mg t-ブチル-カテコール 82mg ポリビニルピロリドン(分子量10,000) 1.0g スチレン-無水マレイン酸共重合体 2.5g ニトロフェニル-トリフェニルホスホニウムクロリド 50mg 1,3-ジヒドロキシベンゼン-4-スルホン酸アンモニウム 2.0g 2-メルカプトベンツイミダゾール-5-スルホン酸ナトリウム 1.5
mg
【0127】
【化2】
【0128】 COCHCH(OH)CHN(CHCOOH)
1g 1-フェニル-5-メルカプトテトラゾール 15mg ジエチレングリコール 7g デキストラン(平均分子量6万) 600mg ポリアクリル酸ナトリウム(平均分子量3.6万) 2.5g 次に保護層用塗布液として下記を調製した。添加剤は塗
布液1l当たりの量で示す。
【0129】 石灰処理イナートゼラチン 68g 酸処理ゼラチン 2g ソジウム-i-アミル-n-デシルスルホサクシネート 0.3g ポリメチルメタクリレート(面積平均粒径3.5μmのマット剤) 1.1g 二酸化ケイ素粒子(面積平均粒径1.2μmのマット剤) 0.5g ルドックスAM(デュポン社製)(コロイドシリカ) 30g (CH2=CHSO2CH2)2O(硬膜剤) 7mg グリオキザール40%水溶液(硬膜剤) 2.0ml
【0130】
【化3】
【0131】センシトメトリー(写真性能の評価) センシトメトリーは試料を2枚の増感紙(KO−250コ
ニカ〔株〕製)で挟み、アルミウエッジを介して管電圧
80kvp、管電流50mA、0.05秒間のX線を照射した。次い
でローラ搬送型自動現像機を用い、下記に示す現像液及
び定着液で現像定着した。
【0132】処理時間はdry to dryで90秒処理し感度を
求めた。なお処理中の温度は、現像が32℃、定着が33
℃、水洗20℃、乾燥は50℃で処理した。感度はカブリ+
1.0の濃度を与える露光量の逆数で表し、試料No.33の23
℃、55%RH、1日保存の感度を100とした相対感度で示
した。
【0133】本発明に用いた現像液及び定着液の組成を
示す。
【0134】 現像液処方 Part-A(12l仕上げ用) 水酸化カリウム 450g 亜硫酸カリウム(50%溶液) 2280g ジエチレンテトラアミン5酢酸 120g 重炭酸水素ナトリウム 132g 5-メチルベンゾトリアゾール 1.2g 1-フェニル-5-メルカプトテトラゾール 0.2g ハイドロキノン 340g 水を加えて 5000mlに仕上げる。
【0135】 Part-B(12l仕上げ用) 氷酢酸 170g トリエチレングリコール 185g 1-フェニル-3-ピラゾリドン 22g 5-ニトロインダゾール 0.4g N-アセチル-DL-ペニシラミン 1.2g スターター 氷酢酸 120g 臭化カリウム 225g 水を加えて 1.0lに仕上げる。
【0136】 定着液処方 Part-A(18l仕上げ用) チオ硫酸アンモニウム(70wt/vol%) 6000g 亜硫酸ナトリウム 110g 酢酸ナトリウム・3水塩 450g クエン酸ナトリウム 50g グルコン酸 70g 1-(N,N-ジメチルアミノ)-エチル-5-メルカプトテトラゾール 18g Part-B 硫酸アルミニウム 800g 現像液の調製は水約5lにPartA、PartBを同時添加
し、撹拌溶解しながら水を加え12lに仕上げ氷酢酸でp
Hを10.40に調整した。これを現像液とする。
【0137】この現像液1lに対して前記のスターター
を20ml/l添加しpHを10.26に調整し使用液とする。
【0138】定着液の調製は水約5lにPartA、PartB
を同時添加し、撹拌溶解しながら水を加え18lに仕上
げ、硫酸とNaOHを用いてpHを4.6に調整した。これを定
着液とする。
【0139】得られた結果を下記の表に示す。
【0140】
【表3】
【0141】
【表4】
【0142】表から明らかなように、転位線を有しない
乳剤を使用した試料では表2に示したいずれの乾燥条件
においても乾燥カブリが発生していないが、本発明に係
る転位線を有する乳剤を使用した試料は式T/(DB−
WB)の値が2未満の乾燥条件の試料はカブリが高
く、また本発明の式(1)の範囲内にあってもDBが45
℃よりも高い及びWBが18℃未満のの乾燥条件の場
合はカブリが高いことが分かる。
【0143】一方、条件は乾燥カブリの発生はないが
乾燥時間が115.5秒と長く生産性が劣ることが分かる。
従って本発明に係る転位線を有する乳剤を使用した感光
材料は、転位線を有していないハロゲン化銀乳剤を使用
した感光材料に比べ高感度が得られ、かつ本発明の式
(1)で示される乾燥条件の範囲内で乾燥時間による生産
性の低下を招くことなく乾燥カブリの発生を著しく抑え
られていることが分かる。
【0144】
【発明の効果】本発明により、ハロゲン化銀写真感光材
料を塗布乾燥する際に、短時間で急速乾燥してもカブリ
発生のない高感度のハロゲン化銀写真感光材料を得られ
た。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上の少なくとも一方の側に、少な
    くとも1層のハロゲン化銀乳剤層を塗設してなるハロゲ
    ン化銀写真感光材料に於いて、該乳剤層のハロゲン化銀
    粒子が転位線を有し、かつ該乳剤層を塗布乾燥する際の
    乳剤層側の含水率が500%〜50%に減少する期間を、下
    記式(1)で表される条件で乾燥することを特徴とするハ
    ロゲン化銀写真感光材料。 2.0≦T/(DB−WB)≦10.0 式(1) 但し式中の T :含水率(含水量/全親水性コロイド重量)が500%
    〜50%に減少するまでの乾燥時間(秒)を表す。 DB: 含水率(含水量/全親水性コロイド重量)が500%
    〜50%に減少するまでの乾燥風の乾球温度(℃)で、28℃
    以上45℃以下を表す。但し500%〜50%に減少するまで
    の間に乾燥条件を連続又は階段的に変化した場合はその
    間の平均乾球温度を表す。 WB:含水率(含水量/全親水性コロイド重量)が500%
    〜50%に減少するまでの乾燥風の湿球温度(℃)で、18℃
    以上38℃以下を表す。但し500%〜50%に減少するまで
    の間に乾燥条件を連続又は階段的に変化した場合はその
    間の平均湿球温度を表す。
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