JPH0633301B2 - 新規抗生物質sf2695a物質およびsf2695b物質ならびにその製造法 - Google Patents

新規抗生物質sf2695a物質およびsf2695b物質ならびにその製造法

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JPH0633301B2
JPH0633301B2 JP1336290A JP33629089A JPH0633301B2 JP H0633301 B2 JPH0633301 B2 JP H0633301B2 JP 1336290 A JP1336290 A JP 1336290A JP 33629089 A JP33629089 A JP 33629089A JP H0633301 B2 JPH0633301 B2 JP H0633301B2
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sf2695a
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順子 吉田
佳代 味戸
慎二 宮道
正夫 小山
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は新規抗生物質SF2695A物質およびSF2
695B物質ならびにその製造法に関する。
[従来の技術] 本発明による抗生物質SF2695A物質およびSF2
695B物質と理化学的性状が類似する化合物として,
アルボフンギン(albofungin)およびクロロアルボフンギ
ン(chloroalbofungin)[Gurevichら,Tetrahedron Let
t.1972:1751〜1754,1972],リゾリピンIおよびX(ly
solip in I and X)[Drautzら,Arch.Microbiol.106:1
75〜190,1975],セルビノマイシンAおよびA(cer
vinomycin A1 and A2)[Omuraら,J.Am.Chem.Soc.108:
6088〜6089,1986],LL-D42067αおよびβ[Leeら,Pro
gram and Abstracts of the 26th Intersci.Conf.on An
timicrob. Agents Chemother.,NO.222,p.136,New Orlea
ns,Sept.28〜Oct.1,1986],4181-AおよびB[Otani
ら,J.Antibiotics 41:275〜281,1988],アクチノプラ
ノン(actinoplanones)[Kobayashiら,J.Antibiotics 4
1:502〜511,741〜750,1988],LL-E19085α[Maiese
ら,J.Antibiotics 42:846〜851,1989]等が知られてい
るが,抗生物質SF2695A物質およびSF2695
B物質はこれらの物質とは理化学的性状が異なり明確に
区別される。
[発明が解決しようとする課題] 従来,微生物が生産する種々の抗生物質が知られている
が,臨床において有用な抗腫瘍性抗生物質はそれ程多く
見出されていないため,新規な抗腫瘍性抗生物質の出現
が常に要望されている。本発明の目的は,新規抗腫瘍性
抗生物質SF2695A物質およびSF2695B物質
ならびにその製造法を提供することにある。
[課題を解決するための手段] 第1と第2の本発明の要旨とするところは,新規抗生物
質SF2695A物質およびSF2695B物質および
それらの塩にある。本発明によるSF2695A物質お
よびSF2695B物質の理化学的および生物学的性状
は,次の通りである。
1.SF2695A物質の理化学的性状 (1)色および形状:黄色粉末 (2)元素分析:C36H35NO13・0.5H2Oとして 実測値C61.80%,H4.98%,N1.98% 計算値C61.89%,H5.19%,N2.00% (3)マススペクトル(FD-MS):m/z689(M+) (4)融点:218〜222℃(分解) (5)比旋光度:▲〔α〕24 D▼=−94.9°(c0.5,CHC
l3) (6)紫外部および可視部吸収スペクトル [MeOH]:211(899),237(585),245(sh542),263(508),292
(sh248),317(sh178),335(sh134),399(115) [0.1N HCl-MeOH]:210(880),239(574),247(sh547),262
(547),293(255),317(sh183),335(sh142),398(117) [0.1N HaOH-MeOH]:213(1231),233(sh727),270(376),29
2(sh228),347(155),414(169) (7)赤外部吸収スペクトル (KBr cm-1):3430,2910,2820,1655,1630,1610,1550,148
0,1445,1400,1370,1355,1330,1320,1285,1245,1195,116
5,1145,1120,1095,1080,1060,1020,1000,980,930,860,8
25,800,755,740 (8)H NMRスペクトル(400 MHz,CDCl3) δ(ppm):1.94(1H,ddd),2.19(1H,ddd),2.25(3H,s),2.25
(1H,m),2.48(1H,br ddd),2.56(1H,d),2.57(1H,br d),2.
80(1H,dd),3.08(1H,dd),3.31(3H,s),3.48(1H,ddd),3.50
(3H,s),3.51(3H,s),4.66(1H,d),4.74(1H,dd),4.80(1H,b
r s),5.00(1H,br dd),5.12(1H,dddd),5.21(1H,d),5.51
(1H,d),6.76(1H,dd),7.01(1H,br s),7.31(1H,br d),7.6
2(1H,dd),10.91(1H,s),11.91(1H,s),13.07(1H,s) (9)13C NMRスペクトル(100 MHz,CDCl3) δ(ppm):198.3s,169.7s,168.4s,160.2s,158.2s,152.4
s,147.7s,141.0s,139.3s,136.7d,133.3s,131.9s,127.3
d,126.6s,119.0s,118.5d,115.0d,111.3s,110.3s,108.3
s,106.7s,92.1d,90.8t,76.9d,75.1d,72.9d,69.6d,67.8
d,58.1q,57.0q,43.7d,36.5t,36.4q,31.0t,28.5t,15.6q (10)溶解性:クロロホルム,アセトン,酢酸エチルに溶
け易く,メタノール,ヘキサンに溶け難く,水に溶けな
い。
(11)塩基性,酸性,中性の区別:弱酸性物質 2.SF2695B物質の理化学的性状 (1)色および形状:黄色粉末 (2)元素分析:C35H33NO13・0.5H2Oとして 実測値C60.98%,H4.76%,N2.02% 計算値C61.40%,H5.01%,N2.05% (3)マススペクトル(FD-MS):m/z675(M+) (4)融点:215〜218℃(分解) (5)比旋光度:▲〔α〕24 D▼=−106.7°(c0.5,CHCl
3) (6)紫外部および可視部吸収スペクトル [MeOH]:211(916),238(598),245(sh540),263(511),296
(245),316(sh179),337(sh126),399(117) [0.1N HCl-MeOH]:211(891),238(595),248(sh559),262
(560),295(255),317(sh182),335(sh140),397(120) [0.1N HaOH-MeOH]:215(1301),233(sh734),270(367),29
3(sh214),346(170),414(172) (7)赤外部吸収スペクトル (KBr cm-1):3380,2920,2820,1645,1630,1550,1480,145
0,1400,1375,1360,1335,1320,1290,1250,1210,1170,115
5,1090,1050,1020,1005,980,915,865,830,795,760,700 (8)H NMRスペクトル(400 MHz,CDCl3) δ(ppm):1.96(1H,ddd),2.20(1H,ddd),2.26(3H,s),2.26
(1H,m),2.49(1H,br ddd),2.59(1H,ddd),2.63(1H,d),2.8
3(1H,dd),3.12(1H,dd),3.43(3H,s),3.49(1H,ddd),3.51
(3H,s),4.64(1H,dd),4.76(1H,dd),4.83(1H,dd),5.00(1
H,ddd),5.15(1H,dddd),5.23(1H,d),5.53(1H,d),6.76(1
H,dd),7.09(1H,br s),7.26(1H,br d),7.32(1H,br d),7.
63(1H,br dd),10.92(1H,s),11.95(1H,s),12.66(1H,s) (9)13C NMRスペクトル(100 MHz,CDCl3) δ(ppm):198.4s,169.7s,169.5s,160.2s,158.2s,152.5
s,147.8s,141.9s,139.9s,136.7d,133.3s,132.0s,127.4
d,126.7s,119.1s,118.6d,115.8d,111.4s,110.1s,107.9
s,106.7s,90.9t,84.0d,77.0d,75.1d,72.9d,69.6d,67.7
d,57.1q,55.6q,43.8d,36.6t,31.1t,28.6t,15.6q (10)溶解性:クロロホルム,アセトン,酢酸エチルに溶
け易く,メタノール,ヘキサンに溶け難く,水に溶けな
い。
(11)塩基性,酸性,中性の区別:弱酸性物質 SF2695A物質およびSF2695B物質の塩とし
ては、金属塩,特にナトリウム塩の如きアルカリ金属
塩,カルシウム塩の如きアルカリ土類金属塩およびアン
モニウム塩等がある。
3.SF2695A物質およびSF2695B物質の生
物活性 本発明によるSF2695A物質およびSF2695B
物質のマウスリンパ性白血病P388細胞に対する50%
発育阻止濃度(IC50値)はSF2695A物質が2.1ng/
ml,SF2695B物質が2.9ng/mlであった。
本発明によるSF2695A物質およびSF2695B
物質の各種細菌および各種マイコプラズマに対する最小
発育阻止濃度を第1表および第2表に示した。
第3の本発明の要旨とするところは,放線菌に属する抗
生物質SF2695A物質およびSF2695B物質生
産菌を培養し,その培養物から抗生物質SF2695A
物質およびSF2695B物質あるいはそれらの何れか
一方を採取する抗生物質SF2695A物質およびSF
2695B物質の製造法にある。以下,SF2695A
物質およびSF2695B物質をSF2695物質と呼
ぶ場合がある。
本発明に使用されるSF2695物質生産菌の一例とし
ては,静岡県の土壌から分離されたSF2695株があ
る。
1.SF2695株の菌学的性状 I.形態 基生菌糸は長く伸長し,良く分岐し,通常の条件下では
分断しない。試験した各種寒天培地上での気菌糸は,い
ずれも極めて僅かかあるいは全く認められなかった。イ
ースト・スターチ寒天上で僅かに着生した気菌糸にはカ
ール状ないしフック状を呈する短い胞子連鎖が観察され
た。気菌糸の分岐は単純分岐であり,車軸分岐は見られ
ない。電子顕微鏡による観察では,胞子はほぼ球形で,
直径1.0〜1.5μmの大きさを有し,表面は平滑で通常
2〜5個連鎖する。胞子のう,運動性胞子,菌核等は観
察されない。
II.各種培地上の生育状態 SF2695株の各種培地上の生育状態は次表に示す通
りである。色の記載について( )内に示す標準はコン
テイナー・コーポレーション・オブ・アメリカ(Contain
er Corporation of America)社製の「カラー・ハーモニ
ー・マニュアル(Color Harmony Manual)」に記載のもの
を用いた。観察は28℃で14〜21日培養後に行った。
III.生理学的性質 (1)生育温度範囲:イースト・麦芽寒天において28〜
42℃の温度範囲で生育し,37℃付近で良好に生育する。
(2)ゼラチンの液化:陰性 (3)スターチの加水分解:陽性 (4)硝酸塩の還性:陰性 (5)脱脂乳のペプトン化:陽性 脱脂乳の凝固:陽性 (6)耐塩性:1.5%NaCl含有培地では生育するが,3
%以上では殆ど生育しない。
(7)メラニン様色素の生成:陰性,ただしチロシナー
ゼは陽性 IV.炭素源の利用性(Luedemanの培地使用) (1)利用する:D−グルコース,D−キシロース,D
−フラクトース,D−マンニトール,L−ラムノース,
シュクロース,L−アラビノース,myo−イノシトール (2)利用しない:グリセロール (3)利用が疑わしい:ラフィノース V.菌体分析 ベッカー(Becker)らの方法(Appl.Microbiol.13:236,196
5)により分析した全菌体加水分解物中のジアミノピメリ
ン酸はmeso型であり,糖としてはマジュロースが検
出された。主たるメナキノンはMK−9(H6)と(H
8)であった。また菌体脂肪酸としてはiso-16が36%,
anteiso-17が24%,10メチル−17が13%などであった。
以上の性状より,SF2695株は放線菌の中でアクチ
ノマジュラ属に属すると判定した。従って,本発明者ら
はSF2695株をアクチノマジュラ・エスピー・SF
2695(Actinomadura sp.SF2695)と命名し
た。なお,本菌株は工業技術院微生物工業技術研究所
に,微工研菌寄第11144号(FERM P-11144)として受託さ
れている。
SF2695株は,他の放線菌に見られるようにその性
状が変化し易い。例えば,この株に由来する突然変異株
(自然発生または誘発性),形質接合体または遺伝子組
換え体であっても,SF2695A物質およびSF26
95B物質あるいはそれらの何れか一方を生産するもの
は全て本発明に使用できる。
2.SF2695物質生産菌の培養法 放線菌に属するSF2695物質生産菌を通常の微生物
が利用しうる栄養物を含有する培地で培養する。栄養源
としては,従来放線菌の培養に利用されている公知のも
のが使用できる。例えば,炭素源としては,グルコー
ス,水飴,デキストリン,澱粉,糖蜜,動・植物油等を
使用しうる。また,窒素源としては,大豆粉,小麦胚
芽,コーン・スティーブ・リカー,綿実粕,肉エキス,
ペプトン,酵母エキス,硫酸アンモニウム,硝酸ナトリ
ウム,尿素等を使用しうる。その他必要に応じ,ナトリ
ウム,カリウム,カルシウム,マグネシウム,コバル
ト,塩素,燐酸,硫酸およびその他のイオンを生成する
ことができる無機塩類を添加することは有効である。ま
た,菌の発育を助け,SF2695物質の生産を促進す
るような有機および無機物を適当に添加することができ
る。
培養法としては,好気的条件での培養法,特に深部培養
法が最も適している。培養に適当な温度は28〜45℃であ
るが,多くの場合32℃付近で培養する。SF2695物
質の生産は培地や培養条件により異なるが,振盪培養,
タンク培養のいずれにおいても通常2〜10日間でその蓄
積が最高に達する。培養中のSF2695物質の蓄積量
が最高になった時に培養を停止し,培養液から目的物質
を単離精製する。
3.SF2695物質の精製法 本発明によって得られるSF2695物質の培養物から
の採取に当たっては,その性状を利用した通常の分離手
段,例えば,溶剤抽出法,イオン交換樹脂法,吸着また
は分配カラムクロマト法,ゲルろ過法,透析法,沈澱法
等を単独でまたは適宜組み合わせて抽出精製することが
できる。例えば,SF2695物質は,培養菌体中から
はアセトン−水,メタノール−水または酢酸エチル等で
抽出される。また,培養液中に蓄積されたSF2695
物質は,水と混ざらない有機溶媒,例えば,ブタノー
ル,酢酸エチル等で抽出すればSF2695物質は有機
溶剤層に抽出される。
SF2695物質を更に精製するには,シリカゲル(ワ
コーゲルC-200,和光純薬工業製等),アルミナ等の吸
着剤やセファデックスLH-20(ファルマシア製),トヨ
パールHW-40(東ソー製)等を用いるクロマトグラフィ
ーを行うとよい。
このようにして培養物中に生産されたSF2695物質
は遊離の形,すなわちSF2695物質それ自体として
分離することができ,またSF2695物質を含有する
溶液またはその濃縮液を塩基,すなわち例えば水酸化ナ
トリウム,水酸化カリウム等のアルカリ金属化合物,水
酸化カルシウム,水酸化マグネシウム等のアルカリ土類
金属化合物,アンモニウム塩等のような無機塩基,エタ
ノールアミン,トリエチルアミン,ジシクロヘキシルア
ミン等の有機塩基により,各工程の操作中例えば抽出,
分離または精製の各工程の操作中に処理した場合,SF
2695物質は対応するその塩類の形に変化し分離され
る。また別にこのようにして製造されたSF2695物
質の塩類は,常法により遊離の形,SF2695物質そ
れ自体に変化させることができる。更に遊離の形で得ら
れたSF2695物質を前記塩基により常法で対応する
その塩類に変化させてもよい。従ってSF2695物質
と同様に前記のようなその塩類も,この発明の範囲内に
包含されるものとする。
以下に本発明の実施例を示すが,SF2695物質の性
状が本発明によって明らかにされたので,それらの性状
にもとずきSF2695物質の製造法を種々考案するこ
とができる。従って本発明は実施例に限定されるもので
はなく,実施例の修飾手段は勿論,本発明によって明ら
かにされたSF2695物質の性状にもとずいて公知の
手段を施してSF2695物質を生産,濃縮,抽出,精
製する方法をすべて包括する。
実施例 種培地として,スターチ2.0%,グルコース1.0%,小
麦胚芽0.6,ポリペプトン0.5%,大豆粉0.2%,酵母
エキス0.3%,炭酸カルシウム0.1%の組成からなる培
地を用いた。また生産培地として,水飴2.4%,大豆粉
1.2%,大豆油0.15%,ファーマメディア0.6%,サン
グレイン0.3%,炭酸カルシウム0.1%の組成からなる
培地を用いた。なお,殺菌前pHはすべてpH7.0に調整し
て使用した。
前記の種培地20mlを分注した100ml容三角フラスコを120
℃で30分間殺菌し,これにアクチノマジュラ・エスピー
・SF2695株(FERM P-11144)の斜面寒天培養の2〜
3白金耳を接種し,28℃で4日間振盪培養して第1種培
養とした。次いで,種培地80mlを分注した500ml容三角
フラスコを120℃で30分間殺菌し,前記の第1種培養3m
lを接種し,28℃で2日間振盪培養して第2種培養とし
た。予め120℃で30分間殺菌した80mlの生産培地を分注
した500ml容三角フラスコ100本に,前記の第2種培養を
3mlを接種し,28℃で5日間振盪培養した。培養終了
後,濾過助剤として珪藻土を加えて濾過し,濾液と菌体
を得た。
この培養ろ液(6.5L)から酢酸エチル(6.5L)で活性物質を
抽出し,酢酸エチル層を濃縮すると油状物質(18g)が得
られた。この油状物質をシリカゲルカラム(1.1kg)の上
部に載せ,クロロホルム−メタノール(100:1〜40:1)を
展開溶媒とするクロマトグラフィーを行った。溶出液を
500gずつ分画するとフラクション番号6〜7と10〜12に
2つの活性画分を得た。フラクション番号6〜7を濃縮
乾固するとSF2695A物質を含む粗粉末(444mg)が
得られた。次いで,この粗粉末を再度シリカゲルカラム
(44g)の上部に載せ,クロロホルム−メタノール(100:1)
を展開溶媒とするクロマトグラフィーを行い,溶出液を
6gずつ分画するとフラクション番号29〜46にSF26
95A物質を含む活性画分を得た。この活性画分を濃縮
乾固し,得られた粗粉末(182mg)を更にメタノールを展
開溶媒とするセファデックスLH-20(860ml)カラムクロマ
トグラフィーを行って精製すると,SF2695A物質
が黄色粉末(109mg)として得られた。
最初のシリカゲル・カラムクロマトグラフィーで得られ
たフラクション番号10〜12を濃縮乾固するとSF269
5B物質を含む粗粉末(162mg)が得られた。次いで,こ
の粗粉末を再度シリカゲルカラム(20g)の上部に載せ,
クロロホルム−メタノール(100:1)を展開溶媒とするク
ロマトグラフィーを行い,溶出液を5gずつ分画すると
フラクション番号23〜39にSF2695B物質を含む活
性画分を得た。この活性画分を濃縮乾固し,得られた粗
粉末(100mg)を更にメタノールを展開溶媒とするセファ
デックスLH-20(860ml)カラムクロマトグラフィーを行っ
て精製すると,SF2695B物質が黄色粉末(67mg)と
して得られた。
[発明の効果] 本発明のSF2695A物質およびSF2695B物質
はマウス白血病P388細胞に対して強い細胞障害活性を示
し,また第1表および第2表に示した如く抗グラム陽性
菌および抗マイコプラズマ活性を有している。これらの
性質に基づき本発明のSF2695A物質およびSF2
695B物質制癌剤,抗菌剤,抗マイコプラズマ剤ある
いはそれらへの変換用素材として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図:SF2695A物質のメタノール中(20μg/m
l,実線),酸性メタノール中(20μg/ml,破線)およ
び塩基性メタノール中(20μg/ml,一点鎖線)での紫外
部および可視部吸収スペクトルを示す。 第2図:SF2695A物質の臭化カリウム錠での赤外
部吸収スペクトルを示す。 第3図:SF2695A物質の重クロロホルム溶液中で
の400MHzH NMRスペクトルを示す。 第4図:SF2695A物質の重クロロホルム溶液中で
の100MHz13C NMRスペクトルを示す。 第5図:SF2695B物質のメタノール中(20μg/m
l,実線),酸性メタノール中(20μg/ml,破線)およ
び塩基性メタノール中(20μg/ml,一点鎖線)での紫外
部および可視部吸収スペクトルを示す。 第6図:SF2695B物質の臭化カリウム錠での赤外
部吸収スペクトルを示す。 第7図:SF2695B物質の重クロロホルム溶液中で
の100MHz1H NMRスペクトルを示す。 第8図:SF2695B物質の重クロロホルム溶液中で
の100MHz13C NMRスペクトルを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:03) (72)発明者 味戸 佳代 神奈川県横浜市港北区師岡町760 明治製 菓株式会社薬品総合研究所内 (72)発明者 宮道 慎二 神奈川県横浜市港北区師岡町760 明治製 菓株式会社薬品総合研究所内 (72)発明者 小山 正夫 神奈川県横浜市港北区師岡町760 明治製 菓株式会社薬品総合研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の特性を有する抗生物質SF2695
    A物質およびその塩 (1)色および形状:黄色粉末 (2)元素分析:実測値C61.80%,H4.98%,N1.98
    % (3)マススペクトル(FD-MS):m/z689 (4)融点:218〜222℃(分解) (5)比旋光度:▲〔α〕24 D▼=−94.9°(c0.5,CHC
    l3) (6)紫外部および可視部吸収スペクトル:第1図に示
    す。 (7)赤外部吸収スペクトル:第2図に示す。 (8)H NMRスペクトル:第3図に示す。 (9)13C NMRスペクトル:第4図に示す。 (10)溶解性:クロロホルム,アセトン,酢酸エチルに溶
    け易く,メタノール,ヘキサンに溶け難く,水に溶けな
    い。 (11)塩基性,酸性,中性の区別:弱酸性物質
  2. 【請求項2】下記の特性を有する抗生物質SF2695
    B物質およびその塩 (1)色および形状:黄色粉末 (2)元素分析:実測値C60.98%,H4.76%,N2.02
    % (3)マススペクトル(FD-MS):m/z675 (4)融点:215〜218℃(分解) (5)比旋光度:▲〔α〕24 D▼=−106.7°(c0.5,CHCl
    3) (6)紫外部および可視部吸収スペクトル:第5図に示
    す。 (7)赤外部吸収スペクトル:第6図に示す。 (8)H NMRスペクトル:第7図に示す。 (9)13C NMRスペクトル:第8図に示す。 (10)溶解性:クロロホルム,アセトン,酢酸エチルに溶
    け易く,メタノール,ヘキサンに溶け難く,水に溶けな
    い。 (11)塩基性,酸性,中性の区別:弱酸性物質
  3. 【請求項3】アクチノマジュラ属に属する,抗生物質S
    F2695A物質およびSF2695B物質生産菌を培
    養し,その培養物から抗生物質SF2695A物質およ
    びSF2695B物質あるいはそれらの何れか一方を採
    取することを特徴とする抗生物質SF2695A物質お
    よびSF2695B物質の製造法。
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