JPH0633222A - 膜被着物およびその製造方法 - Google Patents

膜被着物およびその製造方法

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JPH0633222A
JPH0633222A JP21561092A JP21561092A JPH0633222A JP H0633222 A JPH0633222 A JP H0633222A JP 21561092 A JP21561092 A JP 21561092A JP 21561092 A JP21561092 A JP 21561092A JP H0633222 A JPH0633222 A JP H0633222A
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JP
Japan
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intermediate layer
film
substrate
group
boron nitride
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Application number
JP21561092A
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English (en)
Inventor
Satoru Nishiyama
哲 西山
Kiyoshi Ogata
潔 緒方
Akinori Ebe
明憲 江部
Naoto Kuratani
直人 鞍谷
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Nissin Electric Co Ltd
Original Assignee
Nissin Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 基体に対する窒化ホウ素を含む膜の密着性に
優れており、しかもこの窒化ホウ素を含む膜の密着性の
長期安定性を確保することができるようにした膜被着物
およびその製造方法を提供する。 【構成】 この膜被着物は、基体2の表面に、元素周期
表の3B族元素と4A族元素および4B族元素の少なく
とも一方とを含んで成る中間層6を形成し、かつこの中
間層6と基体2との界面に両者6、2の構成元素より成
る混合層4を形成し、更に中間層6の上に窒化ホウ素を
含む膜8を形成して成る。このような膜被着物は、真空
容器内で基体に対して、3B族元素を含む物質の蒸着
と、4A族元素および4B族元素の少なくとも一方を含
む物質の蒸着と、イオンの照射とを行うことによって中
間層を形成し、更にこの中間層の上に窒化ホウ素を含む
膜を形成することによって製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば切削工具、掘
削ビット等の工具、摺動部品等に用いられる膜被着物お
よびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、工具母材等の基体の耐摩耗
性、摺動性、化学的安定性等を向上させるために、窒化
ホウ素を含む膜を基体の表面に形成(被着)することが
行われて来た。
【0003】窒化ホウ素(BN)は、結晶構造によって
立方晶系閃亜鉛鉱型のもの(c−BN)、六方晶系のグ
ラファイトと類似した構造のもの(h−BN)、あるい
は六方晶系のウルツ鉱型のもの(w−BN)等に大別さ
れる。
【0004】中でもc−BNは、ダイヤモンドに次ぐ高
硬度を有しており、熱的・化学的安定性にも優れている
ことから、切削工具のような耐摩耗性を必要とする分野
に応用されており、また、電気絶縁性や高熱伝導率を有
する特徴を活かしてヒートシンク用の材料としても利用
されている。w−BNもc−BNより硬度は劣るもの
の、他の窒化物より優れた硬度、熱伝導性を有している
ことにより、c−BNと同様の分野に応用することが期
待されている。
【0005】これらのc−BNやw−BNは通常は高温
・高圧下で合成され得るものであり、これまでその膜合
成を低温下で行うことは困難であった。しかし近年、真
空蒸着とイオン照射とを併用し、蒸着原子とイオンの衝
突によって蒸着原子を励起し、非熱平衡過程によって低
温下でもc−BN膜を合成できる手法が盛んに試みられ
るようになった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、c−B
Nおよびw−BNは各種基体、例えば金属や樹脂との濡
れ性に乏しく、このような窒化ホウ素を含む膜を金属等
の基体上に形成した場合、膜の密着性に乏しく実用化さ
れにくい欠点があった。
【0007】この欠点を補うために、窒化ホウ素を含む
膜と基体との界面に元素周期表の4A族元素から成る物
質を中間層として形成して、当該4A族元素の化学的活
性度の高さを利用して、窒化ホウ素を含む膜の密着性を
向上させようとする試みが成されている。
【0008】しかしながら、この手法では、窒化ホウ素
を含む膜の密着強度は向上するものの、4A族元素より
成る中間層と窒化ホウ素を含む膜との間の格子定数や熱
膨張係数の違いにより、中間層上に形成される窒化ホウ
素を含む膜内に誘起される内部応力が高くなり、窒化ホ
ウ素を含む膜の密着性の長期安定性が保たれないという
問題がある。
【0009】そこでこの発明は、基体に対する窒化ホウ
素を含む膜の密着性に優れており、しかもこの窒化ホウ
素を含む膜の密着性の長期安定性を確保することができ
るようにした膜被着物およびその製造方法を提供するこ
とを主たる目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明の膜被着物は、基体の表面に、元素周期表
の3B族元素と4A族元素および4B族元素の少なくと
も一方とを含んで成る中間層を形成し、かつ当該中間層
と基体との界面に両者の構成元素より成る混合層を形成
し、更に前記中間層の上に窒化ホウ素を含む膜を形成し
て成ることを特徴とする。
【0011】また、この発明の製造方法は、真空容器内
で基体に対して、元素周期表の3B族元素を含む物質の
蒸着と、元素周期表の4A族元素および4B族元素の少
なくとも一方を含む物質の蒸着と、イオンの照射とを行
うことによって、前記基体の表面に、3B族元素と4A
族元素および4B族元素の少なくとも一方とを含んで成
る中間層を形成し、次いでこの中間層の上に窒化ホウ素
を含む膜を形成することを特徴とする。
【0012】上記の場合、照射イオンとして、中間層形
成の前期には窒素よりも原子量の大きな元素のイオンを
用い、中間層形成の後期には窒素イオンを用いても良
い。
【0013】
【作用】4A族元素あるいは4B族元素は一般的に化学
的活性度が高く、従ってこのような元素の少なくとも一
方を含んで成る上記中間層は、各種基体との密着性に優
れており、またその上に形成されている窒化ホウ素を含
む膜との密着性にも優れていることから、このような中
間層を設けておくことにより、基体に対する窒化ホウ素
を含む膜の密着性が著しく向上する。
【0014】しかもこの膜被着物では、このような中間
層と基体との界面に上記のような混合層が形成されてお
り、これがあたかも楔のような作用をするので、前述し
た化学的な活性度を利用するだけの場合よりも一層、基
体に対する中間層の、ひいては窒化ホウ素を含む膜の密
着性が向上する。
【0015】また、上記中間層には、3B族元素も含ま
れており、当該中間層の上に形成されている窒化ホウ素
を含む膜を構成するホウ素も3B族元素の一つであるこ
とから、中間層と窒化ホウ素を含む膜との間の格子定数
や熱膨張係数の差が緩和され、その結果、窒化ホウ素を
含む膜内に誘起される内部応力が少なくなり、窒化ホウ
素を含む膜の密着性の長期安定性を確保することができ
る。
【0016】また、上記製造方法によれば、照射イオン
と蒸着原子との衝突によって、蒸着原子が基体の表面に
押し込まれるといった作用により、上記中間層の形成と
併せて、当該中間層と基体との界面に上記のような混合
層を形成することができる。また、前記中間層の形成
は、低温下で形成することができるので、基体を高温に
加熱する必要がなく、基体の種類が限定されるといった
欠点がない。
【0017】
【実施例】図1は、この発明に係る膜被着物の一例を示
す概略断面図である。この膜被着物は、基体2の表面
に、 元素周期表の3B族元素、ならびに、 元素周期表の4A族元素および4B族元素の少なく
とも一方、 を含んで成る中間層6を形成している。かつ当該中間層
6と基体2との界面に、両者6、2の構成元素より成る
混合層4を形成し、更に中間層6の上に窒化ホウ素を含
む膜8を形成している。
【0018】基体2の種類は特定のものに限定されるも
のではなく、例えば高速度工具鋼、超硬合金、あるいは
他の金属、セラミックス、樹脂、更にはその他のもので
も良い。またその形状も特定のものに限定されない。
【0019】中間層6を構成する3B族元素には例えば
ホウ素(B)、アルミニウム(Al)が属しており、4
A族元素にはチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハ
フニウム(Hf)が属しており、4B族元素には例えば
炭素(C)、ケイ素(Si)が属している。
【0020】4A族元素元素あるいは4B族元素は一般
的に化学的活性度が高く、従ってこのような元素の一方
を含んで成る上記中間層6は、各種基体2との密着性に
優れており、またその上に形成されている窒化ホウ素を
含む膜8との密着性にも優れていることから、このよう
な中間層6を設けておくことにより、基体2に対する窒
化ホウ素を含む膜8の密着性が著しく向上する。
【0021】しかもこの膜被着物では、このような中間
層6と基体2との界面に上記のような混合層4が形成さ
れており、これがあたかも楔のような作用をするので、
前述した化学的な活性度を利用するだけの場合よりも一
層、基体2に対する中間層6の、ひいては窒化ホウ素を
含む膜8の密着性が向上する。
【0022】また、上記中間層6には、3B族元素も含
まれており、当該中間層6の上に形成されている窒化ホ
ウ素を含む膜8を構成するホウ素も3B族元素の一つで
あることから、中間層6と窒化ホウ素を含む膜8との間
の格子定数や熱膨張係数の差が緩和され、その結果、窒
化ホウ素を含む膜8内に誘起される内部応力が少なくな
り、窒化ホウ素を含む膜8の密着性の長期安定性を確保
することができる。
【0023】次に、上記のような膜被着物の製造方法の
例を図2を参照しながら説明する。
【0024】図示しない真空排気装置によって真空排気
される真空容器10内に、前述したような基体2を保持
するホルダ12が設けられており、それに向けてこの例
では二つの蒸発源14、16およびイオン源22が配置
されている。また、ホルダ12の近傍には、この例では
膜厚モニタ26およびイオン電流モニタ28が配置され
ている。
【0025】一方の蒸発源14は、3B族元素を含む物
質18(例えばB、Al の単体、あるいはそれらの窒化
物、酸化物)を蒸発させてそれを基体2の表面に蒸着さ
せることができる。他方の蒸発源16は、4A族元素お
よび4B族元素の少なくとも一方を含む物質20を蒸発
させてそれを基体2の表面に蒸着させることができる。
4A族元素を含む物質は、例えばTi 、Zr 、Hf の単
体、あるいはそれらの窒化物、酸化物であり、4B族元
素を含む物質は、例えばSi の単体、窒化物、酸化物あ
るいはCの単体である。これらの蒸発源14、16の方
式は、例えば蒸発材料を電子ビーム加熱、高周波加熱あ
るいは抵抗加熱するものであるが、特定の方式に限定さ
れない。
【0026】また、上記のような3B族元素を含む物質
の蒸着ならびに4A族元素および4B族元素の少なくと
も一方を含む物質の蒸着は、上記のような真空蒸着によ
るものの他、ターゲットをスパッタさせるスパッタ蒸着
によって行っても良い。
【0027】また、真空蒸着、スパッタ蒸着いずれの場
合も、一つの蒸発源から、3B族元素ならびに4A
族元素および/または4B族元素の両方を含む混合物を
加熱あるいはスパッタによって蒸着させるようにしても
良い。
【0028】イオン源22は、そこから所要のイオン2
4を加速して引き出すことができるものであれば、その
方式は問わない。例えば、多極磁場型のいわゆるバケッ
ト型イオン源が大面積大電流の点で好ましいが、勿論そ
れ以外のイオン源でも良い。これから引き出すイオン2
4の種類も特定のものに限定されるものではなく、例え
ばそのエネルギーだけを利用したい場合はアルゴン等の
不活性ガスイオンを選べば良いし、窒化物を作りたい場
合は窒素イオン、あるいは不活性ガスイオンとの混合イ
オンを選べば良い。
【0029】図1に示したような膜被着物の製造に際し
ては、まず所望の基体2をホルダ12に取り付けた後、
真空容器10内を真空排気して所定の真空度に保持す
る。その後、蒸発源14および16から前述したような
3B族元素を含む物質18ならびに4A族元素および4
B族元素の少なくとも一方を含む物質20をそれぞれ蒸
発させ、これを基体2の表面に蒸着させる。このとき、
膜厚モニタ26を用いて、基体2に到達する物質18、
20の量を計測・調整することができる。また、この物
質18、20の蒸着と併せて、即ち蒸着と同時、交互ま
たは蒸着後に、イオン源22から前述したようなイオン
24を加速して引き出してこれを基体2に向けて照射す
る。このときのイオン24の照射量は、イオン電流モニ
タ28で計測・調整することができる。
【0030】これによって、基体2の表面に、前述した
ような、3B族元素と4A族元素および4B族元素の少
なくとも一方を含んで成る中間層6(図1参照)を形成
することができる。
【0031】また、照射イオン24と蒸着原子との衝突
によって、蒸着原子が基体2の表面に押し込まれるの
で、上記中間層6の形成と併せて、当該中間層6と基体
2との界面に、両者6、2の構成元素より成る上記のよ
うな混合層4(図1参照)を簡単に形成することができ
る。
【0032】しかも、上記のような混合層4を持った中
間層6を、CVD法のように基体2を高温に加熱するこ
となく例えば室温のような低温下で形成することができ
る。従って、基体2の種類が限定されなくなる。
【0033】上記の場合のイオン24のエネルギーは、
特定のものに限定されるものではなく、例えば基体2の
耐熱性等に応じて決めれば良い。例えば、金属等の耐熱
性の高い基体の場合は、イオン24のエネルギーを2K
eV以上にし、樹脂のような耐熱性の低いものはイオン
24のエネルギーを2KeV未満にすれば良い。
【0034】また、中間層6とその上に形成される窒化
ホウ素を含む膜8との濡れ性を良くするためには、イオ
ン24として窒素イオンを含むイオンを用いて、中間層
6を、3B族元素、4A族元素および/または4B族元
素ならびに窒素より成る窒素化合物の膜にするのが好ま
しい。
【0035】また、照射イオン24として、中間層6の
形成の前期には、Ne 、Ar 、Kr、Xe のような窒素
よりも原子量の大きな元素のイオンを用い、中間層6の
形成の後期には窒素イオンを用いても良く、そのように
すれば、基体界面における混合層4の形成が容易になっ
て基体2に対する中間層6の密着性が一層向上すると共
に、中間層6の表面近傍で窒化ホウ素を含む膜8との濡
れ性が良くなって中間層6に対する窒化ホウ素を含む膜
8の密着性も一層向上し、かつ窒化ホウ素を含む膜8の
内部応力も緩和される。その結果、窒化ホウ素を含む膜
8の密着性およびその長期安定性が一層向上する。
【0036】また、上記のようにして形成される中間層
6内の3B族元素の原子数と4A族元素の原子数あるい
は4B族元素の原子数との比率も特に限定されないが、
例えば、基体2が樹脂のようなもので、照射するイオン
24のエネルギーとして小さいものしか用いることがで
きず、従って中間層6と基体2との界面に形成される混
合層4の厚みが大きく取れないものは、次のようにして
も良い。即ち、中間層6と基体2の界面で4A族元素や
4B族元素の原子数が多くなるようにして、それの化学
的活性度の高さを利用して中間層6の密着強度を上げ、
一方中間層6の表面近傍では窒化ホウ素を含む膜8との
格子定数や熱膨張係数の差を少なくするために、3B族
元素の原子数が多くなるようにすれば良い。
【0037】上記のようにして基体2の表面に中間層6
を形成した後、当該中間層6の上に窒化ホウ素を含む膜
8(図1参照)を形成する。この窒化ホウ素を含む膜8
の形成方法は、特定のものに限定されないが、非熱平衡
過程によって低温下でもc−BNやw−BNを含む窒化
ホウ素を含む膜8を形成できる観点からは、ホウ素を含
む物質の蒸着と窒素イオンを含むイオンの照射とを併用
する方法を用いるのが好ましい。
【0038】しかも図2の装置によれば、上記のような
蒸着とイオン照射を併用する成膜方法を、その一方の蒸
発源14または16とイオン源22とを用いることによ
って簡単に行うことができるだけでなく、中間層6を形
成した基体2を大気に曝すことなくその上に窒化ホウ素
を含む膜8を形成することができるので、中間層6の表
面の汚染、酸化等による窒化ホウ素を含む膜8の密着性
低下の心配もない。
【0039】次に、この発明に従ったより具体的な実施
例と、従来例相当の比較例とについて説明する。
【0040】(実施例1)基体2として、高速度工具鋼
(SKH51)を用い、これをホルダ12に設置した
後、真空容器10内を1×10-6Torr以下の真空度
に保った。その後、電子ビームを用いた二つの蒸発源1
4、16より、それぞれホウ素(純度99.5%)とチ
タン(純度99.99%)を加熱、蒸気化して前記基体
上に蒸着させた。それと同時に、イオン源22内に、窒
素ガス(純度99.999%)を導入して(このときの
真空容器10内の真空度は2×10-5Torr)イオン
化させてイオン24として窒素イオンを引き出し、これ
を前記基体に加速エネルギー10KeVにて照射した。
【0041】なお、このとき、形成される膜内に含まれ
るホウ素原子と窒素原子の比(B/N組成比)は1にな
るようにし、同じく形成される膜内に含まれるチタン原
子と窒素原子の比(Ti/N組成比)が3になるよう
に、それぞれの元素の蒸発量と窒素イオンの照射量を調
整した。
【0042】このようにして、基体の表面に、B−Ti
−N元素より成る中間層を50nm形成した後、当該中
間層の上に窒化ホウ素を含む膜を1μm形成した。
【0043】この窒化ホウ素を含む膜の形成方法は、同
じく図1の装置を用い、前記中間層形成工程の後、真空
容器10内を1×10-6Torr以下の真空度に保ち、
電子ビームを用いた蒸発源14より、ホウ素(純度9
9.5%)を加熱、蒸気化して前記中間層上に蒸着させ
た。それと同時に、イオン源22内に窒素ガス(純度9
9.999%)を導入して(このときの真空容器10内
の真空度は2×10-5Torr)イオン化させてイオン
24として窒素イオンを引き出し、これを前記基体上の
中間層に加速エネルギー10KeVにて照射した。
【0044】なお、このとき、形成される膜内に含まれ
るホウ素原子と窒素原子の比(B/N組成比)が1とな
るように、ホウ素の蒸発量と窒素イオンの照射量を調整
した。このようにして、窒化ホウ素を含む膜を1μm形
成した。
【0045】(実施例2)実施例1と同じ基体を用い、
真空容器10内を1×10-6Torr以下の真空度に保
った後、電子ビームを用いた二つの蒸発源14、16よ
りそれぞれホウ素(純度99.5%)とシリコン(純度
99.99%)を加熱、蒸気化して当該基体上に蒸着さ
せた。それと同時に、イオン源22から実施例1と同様
にして窒素イオンを引き出し、これを基体に加速エネル
ギー10KeVにて照射した。
【0046】なお、このとき、形成される膜内に含まれ
るホウ素原子と窒素原子の比(B/N組成比)が1にな
るようにし、同じく形成される膜内に含まれるシリコン
原子と窒素原子の比(Si/N組成比)が3になるよう
に、それぞれの元素の蒸発量と窒素イオンの照射量を調
整した。
【0047】このようにして、基体の表面に、B−Si
−N元素より成る中間層を50nm形成した後、当該中
間層の上に窒化ホウ素を含む膜を1μm形成した。この
窒化ホウ素を含む膜の形成方法は実施例1と同じにし
た。
【0048】(実施例3)実施例1と同じ基体を用い、
真空容器10内を1×10-6Torr以下の真空度に保
った後、電子ビームを用いた二つの蒸発源14、16よ
りそれぞれアルミニウム(純度99.999%)とチタ
ン(純度99.99%)を加熱、蒸気化して当該基体上
に蒸着させた。それと同時に、イオン源22から実施例
1と同様にして窒素イオンを引き出し、これを基体に加
速エネルギー10KeVにて照射した。
【0049】なお、このとき、形成される膜内に含まれ
るアルミニウム原子と窒素原子の比(Al/N組成比)
と、同じく形成される膜内に含まれるチタン原子と窒素
原子の比(Ti/N組成比)がそれぞれ1になるよう
に、それぞれの元素の蒸発量と窒素イオンの照射量を調
整した。
【0050】このようにして、基体の表面に、Ai−Ti
−N元素より成る中間層を50nm形成した後、当該中
間層の上に窒化ホウ素を含む膜を1μm形成した。この
窒化ホウ素を含む膜の形成方法は実施例1と同じにし
た。
【0051】(比較例1)実施例1と同じ基体を用い、
真空容器10内を1×10-6Torr以下の真空度に保
った後、電子ビームを用いた蒸発源20よりチタン(純
度99.99%)を加熱、蒸気化して当該基体上に蒸着
させた。それと同時に、イオン源22から実施例1と同
様にして窒素イオンを引き出し、これを基体に加速エネ
ルギー10KeVにて照射した。
【0052】なお、このとき、形成される膜内に含まれ
るチタン原子と窒素原子の比(Ti/N組成比)が3に
なるように、チタンの蒸発量と窒素イオンの照射量を調
整した。
【0053】このようにして、基体の表面に、Ti−N
元素より成る中間層を50nm形成した後、当該中間層
の上に窒化ホウ素を含む膜を1μm形成した。この窒化
ホウ素を含む膜の形成方法は実施例1と同じにした。
【0054】(比較例2)実施例1と同じ基体を用い、
真空容器10内を1×10-6Torr以下の真空度に保
った後、電子ビームを用いた蒸発源20よりシリコン
(純度99.99%)を加熱、蒸気化して当該基体上に
蒸着させた。それと同時に、イオン源22から実施例1
と同様にして窒素イオンを引き出し、これを基体に加速
エネルギー10KeVにて照射した。
【0055】なお、このとき、形成される膜内に含まれ
るシリコン原子と窒素原子の比(Si/N組成比)が3
になるように、シリコンの蒸発量と窒素イオンの照射量
を調整した。
【0056】このようにして、基体の表面に、Si−N
元素より成る中間層を50nm形成した後、当該中間層
の上に窒化ホウ素を含む膜を1μm形成した。この窒化
ホウ素を含む膜の形成方法は実施例1と同じにした。
【0057】(比較例3)実施例1と同じ基体を用い、
真空容器10内を1×10-6Torr以下の真空度に保
った後、電子ビームを用いた蒸発源18よりホウ素(純
度99.5%)を加熱、蒸気化して当該基体上に蒸着さ
せた。それと同時に、イオン源22から実施例1と同様
にして窒素イオンを引き出し、これを基体に加速エネル
ギー10KeVにて照射した。
【0058】なお、このとき、形成される膜内に含まれ
るホウ素原子と窒素原子の比(B/N組成比)が1にな
るように、ホウ素の蒸発量と窒素イオンの照射量を調整
した。
【0059】このようにして、基体の表面に、中間層を
形成することなく直接、窒化ホウ素を含む膜を1μm形
成した。
【0060】(比較例4)実施例1と同じ基体を用い、
真空容器10内を1×10-6Torr以下の真空度に保
った後、電子ビームを用いた蒸発源20よりチタン(純
度99.99%)を加熱、蒸気化して当該基体上に蒸着
させた。このときイオン照射は併用しなかった。
【0061】このようにして、基体の表面に、チタンよ
り成る中間層を50nm形成した後、当該中間層の上に
窒化ホウ素を含む膜を1μm形成した。この窒化ホウ素
を含む膜の形成方法は実施例1と同じにした。
【0062】(評価)上記実施例1〜3および比較例1
〜4のようにして基体上に窒化ホウ素を含む膜を形成し
た膜被着物について、10g荷重ビッカース硬度により
その膜の硬度を測定した。また、膜の硬度測定時に形成
される圧痕の先端のクラックの有無を調べた。更に同じ
膜被着物について、AE(アコースティックエミッショ
ン)センサ付きスクラッチ試験機によって、膜の密着強
度を測定した。これらの結果を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】実施例1〜3および比較例1、2のものは
いずれも、優れた硬度と密着性を有していたが、比較例
1〜4のものの窒化ホウ素を含む膜にはビッカース圧痕
の先端にクラックが生じており、従ってこのような膜被
着物を例えば工具に用いた場合、窒化ホウ素を含む膜に
クラックが生じ、その結果、工具の使用中に当該窒化ホ
ウ素を含む膜の剥離が生じる恐れがある。
【0065】また、比較例3、4のものは硬度は優れて
いるものの、実施例1〜3のものに比べると窒化ホウ素
を含む膜の密着性に劣っていた。
【0066】
【発明の効果】以上のようにこの発明の膜被着物は、基
体と窒化ホウ素を含む膜との間に上記のような中間層を
形成しているので、更にこの中間層と基体との界面に上
記のような混合層を形成しているので、基体に対する窒
化ホウ素を含む膜の密着性に優れたものとなる。しかも
この中間層には3B族元素も含まれていてこれによって
当該中間層と窒化ホウ素を含む膜との間の格子定数や熱
膨張係数の差が緩和され、窒化ホウ素を含む膜内に誘起
される内部応力が少なくなるので、窒化ホウ素を含む膜
の密着性の長期安定性を確保することができる。
【0067】また、この発明の製造方法によれば、照射
イオンと蒸着原子との衝突によって、蒸着原子が基体の
表面に押し込まれるので、上記中間層の形成と併せて、
当該中間層と基体との界面に上記のような混合層を簡単
に形成することができる。しかも、前記混合層を持った
中間層の形成を、基体を加熱することなく、低温下で形
成することができるので、基体の種類が限定されること
がない。
【0068】また、照射イオンとして、中間層形成の前
期には窒素よりも原子量の大きな元素のイオンを用い、
中間層形成の後期には窒素イオンを用いれば、基体界面
における混合層の形成が容易になって中間層の密着性が
一層向上すると共に、中間層の表面近傍で窒化ホウ素を
含む膜との濡れ性が良くなって窒化ホウ素を含む膜の密
着性も一層向上し、かつ窒化ホウ素を含む膜の内部応力
も緩和されるので、窒化ホウ素を含む膜の密着性および
その長期安定性が一層向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る膜被着物の一例を示す概略断面
図である。
【図2】この発明に係る製造方法を実施する装置の一例
を示す概略断面図である。
【符号の説明】
2 基体 4 混合層 6 中間層 8 窒化ホウ素を含む膜 10 真空容器 14,16 蒸発源 18 3B族元素を含む物質 20 4A族元素および4B族元素の少なくとも一方を
含む物質 22 イオン源 24 イオン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鞍谷 直人 京都府京都市右京区梅津高畝町47番地 日 新電機株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体の表面に、元素周期表の3B族元素
    と4A族元素および4B族元素の少なくとも一方とを含
    んで成る中間層を形成し、かつ当該中間層と基体との界
    面に両者の構成元素より成る混合層を形成し、更に前記
    中間層の上に窒化ホウ素を含む膜を形成して成ることを
    特徴とする膜被着物。
  2. 【請求項2】 真空容器内で基体に対して、元素周期表
    の3B族元素を含む物質の蒸着と、元素周期表の4A族
    元素および4B族元素の少なくとも一方を含む物質の蒸
    着と、イオンの照射とを行うことによって、前記基体の
    表面に、3B族元素と4A族元素および4B族元素の少
    なくとも一方とを含んで成る中間層を形成し、次いでこ
    の中間層の上に窒化ホウ素を含む膜を形成することを特
    徴とする膜被着物の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記イオンとして、中間層形成の前期に
    は窒素よりも原子量の大きな元素のイオンを用い、中間
    層形成の後期には窒素イオンを用いる請求項2記載の膜
    被着物の製造方法。
JP21561092A 1992-07-20 1992-07-20 膜被着物およびその製造方法 Pending JPH0633222A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010047375A1 (ja) 2008-10-22 2010-04-29 ローム株式会社 ホウ素含有薄膜形成方法及び積層構造体

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