JPH06328634A - 燃料用パイプまたはタンク - Google Patents

燃料用パイプまたはタンク

Info

Publication number
JPH06328634A
JPH06328634A JP5124286A JP12428693A JPH06328634A JP H06328634 A JPH06328634 A JP H06328634A JP 5124286 A JP5124286 A JP 5124286A JP 12428693 A JP12428693 A JP 12428693A JP H06328634 A JPH06328634 A JP H06328634A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
gasoline
evoh
plasticizer
thermoplastic resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5124286A
Other languages
English (en)
Inventor
Taichi Negi
太一 祢宜
Satoshi Hirofuji
俐 廣藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
Priority to JP5124286A priority Critical patent/JPH06328634A/ja
Publication of JPH06328634A publication Critical patent/JPH06328634A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ガソリン特に含酸素ガソリンに対するストレ
スクラック性ならびにガソリンバリアー性が改善された
燃料用パイプならびにタンクを提供する。 【構成】 エチレン含有率10〜80モル%のエチレン
−ビニルアルコール共重合体100重量部にグリセリン
モノステアレート、ジエチルフタレートなどの可塑剤を
0.5〜20重量部配合した樹脂組成物からなる層と、
この層に接してポリオレフィン、ポリアミドなどの熱可
塑性樹脂層を積層した多層構造体により構成されている
燃料用パイプまたはタンク。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガソリン、特に含酸素
ガソリンに対する耐ストレスクラック性およびガソリン
ガスバリアー性に優れた燃料用パイプまたはタンクに関
する。
【0002】
【従来の技術】炭化水素類、例えばガソリンを保存する
ための容器あるいは移送するためのパイプの素材として
プラスチックは多くの分野において期待されており、そ
の一例として自動車用燃料タンク、燃料パイプなどがあ
げられる。また、プラスチックとしてはポリエチレン
(特に、超高密度ポリエチレン)が経済性、成形加工
性、機械的強度等の点で期待されている。しかし、ポリ
エチレン製燃料タンクは、保存されるガソリンの気体あ
るいは液体が容器のポリエチレンの壁を通して大気中に
飛散しやすいという欠点を有する事が知られている。そ
こで、かかる欠点を解消するため、ポリエチレン製容器
にハロゲンガス(フッ素、塩素、臭素等)あるいは三酸
化硫黄(SO3)などを容器に吹き込み、容器内面をハ
ロゲン化あるいはスルホン化する方法がある。また、ポ
リアミド樹脂とポリエチレン樹脂とを多層化する方法が
考案されており一部で実用化されている。けれども、既
述の方法で処理したポリエチレン容器においても、近年
ガソリンの消費量節約、高性能化、地球環境改善のた
め、メチルアルコール、エチルアルコールなどの沸点の
低いアルコール類、あるいはメチル−t−ブチルエーテ
ル(MTBE)などのエーテル類を混合した含酸素ガソ
リンや、燃料タンク使用時に実際上避けることのできな
い水分混入ガソリンおよび水分混入含酸素ガソリンに対
しては、透過量が増大するという欠点を有しており、こ
れ等の欠点の改善が望まれる。
【0003】そこで、さらなる改良方法として、ガソリ
ンおよび含酸素ガソリンの透過性が非常に小さい(バリ
アー性良好)素材として、エチレン−ビニルアルコール
共重合体(以下「EVOH」と略記することがある。)
に注目が集まっており、EVOHとポリエチレンとを積
層した多層容器あるいは、EVOHとポリアミドとを積
層した多層パイプなどが試作されている。その結果、こ
れ等の多層構成体はガソリンおよび含酸素ガソリンのバ
リアー性が良好であり、実用化を目指し積極的な検討が
なされているが、予想外の大きな問題点がある事が判明
した。例えば、超高密度ポリエチレン(UHDPE)/
接着性樹脂(Ad)/EVOH/Ad/UHDPEの3
種5層多層構成の燃料タンクにおいて、各種ガソリンを
充填して長期間保存すると、タンクの一部に微小なクラ
ックが生じる為か、ガソリンバリアー性が急激に悪化す
る場合がある。種々原因の調査を行った結果、該多層構
成容器において、ガソリン充填時、UHDPEおよびA
dのガソリン膨潤性(寸法変化率)とEVOHのそれと
が大きく異なりEVOHに異常なストレスが掛かる事、
およびEVOHは含酸素ガソリンおよび水分混入含酸素
ガソリンでストレスクラックが生じやすい事が判明し
た。それゆえ、ガソリン、特に含酸素ガソリンに対する
耐ストレスクラック性、およびガソリンバリアー性に優
れたEVOH多層構造体の開発が重要な課題の一つであ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来技術の欠点を解消するために創案されたものであ
り、ガソリン、特に含酸素ガソリンに対する耐ストレス
クラック性、およびガソリンバリアー性に優れたEVO
H組成物を用いた多層構造体で構成された燃料用パイプ
およびタンクを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的は、エチレン含
有量10〜80モル%のEVOH(A)100重量部に
対し、下記式(1)および(2)を満足する可塑剤
(B)を0.5〜20重量部配合したEVOH組成物
(C)層と、該組成物層の少くとも片面に熱可塑性樹脂
(D)層を積層した構造を有する燃料用パイプまたはタ
ンクを提供することによって達成される。 6.5≧19−CH(A)×0.1−SP(B)≧−0.5 ・・(1) [但し、CH(A)はEVOHの平均エチレン含有率
(モル%)を、SP(B)は可塑剤(B)の溶解性パラ
メーター(Fedorsの式)を示す。] −2≦SP(B)−SP(D)≦8 ・・(2) [但し、SP(D)は熱可塑性樹脂(D)の溶解性パラ
メーター(Fedorsの式)を示す。]可塑剤(B)
添加による予想外の改善効果発現の原因は定かでは無い
が、耐ストレスクラック性は可塑剤(B)添加により改
善し、一方、可塑剤(B)添加によるガソリンバリアー
性の悪化は可塑剤(B)が溶解性(パラメーター)の関
係でEVOH樹脂よりは熱可塑性樹脂(D)に移行しや
すいため、経時的にEVOH樹脂に対する可塑剤の添加
率が低減しガソリンバリアー性の悪化を押えられたもの
と予想される。従って、より好適な条件としては、下記
式(3)〜(4)が挙げられる。 6.5≧19−CH(A)×0.1−SP(B)≧1.5 ・・(3) −2≦SP(B)−SP(D)≦3.5 ・・(4)
【0006】本発明において、EVOH(A)とはエチ
レン−ビニルエステル共重合体鹸化物であり、エチレン
含量はそれぞれ10〜80モル%、好適には10〜70
モル%、さらに好適には20〜70%の範囲が、また鹸
化度は80%以上、好適には85%以上から選ばれる。
本発明においては、EVOH製造時に用いるビニルエス
テルとしては酢酸ビニルが代表的なものとしてあげられ
るが、その他の脂肪酸ビニルエステル(プロピオン酸ビ
ニル、ピバリン酸ビニルなど)も使用できる。
【0007】また、EVOHに共重合成分としてビニル
シラン化合物0.0002〜0.2モル%を含有する場
合にも基材と該EVOHとの溶融粘性の整合性が改善さ
れ、均質な共押出多層フィルムの製造が可能なだけでな
く、EVOH同士のブレンドに際し分散性が改善され成
形性などの改善の面で有効である。ここで、ビニルシラ
ン系化合物としては、たとえば、ビニルトリメトキシシ
ラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(β−メ
トキシ−エトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロ
ピルメトキシシランが挙げられる。なかでも、ビニルト
リメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが好適に
用いられる。
【0008】更に、本発明の目的が阻害されない範囲
で、他の共単量体例えば、プロピレン、ブチレン、(メ
タ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)
アクリル酸エチルなどの不飽和カルボン酸又はそのエス
テル、N−ビニルピロリドンなどのビニルピロリドンを
共重合することも出来る。さらに、熱安定剤、紫外線吸
収剤、酸化防止剤、着色剤、フィラー、ホウ素系化合物
あるいは、他の樹脂(ポリアミド、部分けん化エチレン
−酢酸ビニル共重合体など)をブレンドすることもでき
る。特に、ゲル発生防止、成形性改善、クラック防止対
策として、ハイドロタルサイト系化合物、ヒンダードフ
ェノール系、ヒンダードアミン系熱安定剤、高級脂肪族
カルボン酸の金属塩(たとえば、ステアリン酸カルシウ
ム、ステアリン酸カルシウムマグネシウムなど)、ある
いはホウ素系化合物の一種または二種以上を0.01〜
1重量%添加する事は好適である。
【0009】また、本発明に用いるEVOHの好適なメ
ルトインデックス(MI)(2160g荷重下、190
℃で測定:ただし、融点が190℃付近あるいは190
℃を越えるものは2160g荷重下、融点以上の複数の
温度で測定し、片対数グラフで絶対温度の逆数を横軸、
メルトインデックスを縦軸としてプロットし、190℃
に外挿した値)は0.1〜50g/10min.、最適
には0.5〜20g/10min.である。
【0010】EVOHに添加する可塑剤(B)として
は、疎水性可塑剤、親水性可塑剤があげられるが、疎水
性可塑剤の方が好適である。疎水性可塑剤としては芳香
族エステル、脂肪族エステル、リン酸エステル、及びそ
れらのエポキシ化合物などが挙げられる。芳香族エステ
ルとしては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレー
ト、ジヘプチルフタレート、ジ2エチルヘキシルフタレ
ート、ジシクロヘキシルフタレート、ブチルラウリルフ
タレート、ジイソオクチルフタレート、ブチルココナッ
ツアルキルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジラ
ウリルフタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルベ
ンジルフタレート、オクチルカプリルフタレート、ジメ
チルグリコールフタレート、エチルフタリルエチレング
リコレート、メチルフタリルエチレングリコレート、ブ
チルフタリルブチレングリコレート、ジノニルフタレー
ト、ジヘプチルフタレート、オクチルデシルフタレー
ト、ジトリデシルフタレート、ブチルベンジルフタレー
ト、ジカプリルフタレート、ジ355トリメチルヘキシ
ルフタレート、イソオクチルイソデシルフタレート、ジ
メトキシエチルフタレート、ジブトキシジエチルフタレ
ート、ビス(ジエチレングリコールモノメチルエーテ
ル)フタレートなどが挙げられる。
【0011】脂肪族エステルとしては、多価アルコール
(2価、3価あるいはそれ以上の多価アルコール)と高
級脂肪酸(炭素数8以上好適には8〜30の高級脂肪
酸)とのモノエステル、ジエステル、あるいはそれ以上
のエステル、たとえばグリセリンモノステアレート、グ
リセリンジステアレート、グリセリントリステアレート
があげられ、さらには、ポリプロピレンアジペート、ジ
イソデシルアジペート、ジ−2−メチルヘキシルアジペ
ート、ジカプリルアジペート、ジイソオクチルアジペー
ト、オクチルデシルアジペート、イソオクチルイソデシ
ルアジペート、ジブチルフマレート、ジオクチルフマレ
ート、トリエチルシトレート、アセチルトリエチルシト
レート、トリブチルシトレート、アセチルトリブチルシ
トレート、アセチルトリ2エチルヘキシルシトレートな
どを用いることができる。
【0012】また、リン酸エステルとしては、トリクレ
シルホスヘート、フェニルジクレシルフォスフェート、
キシレニルジクレシルフォスヘート、クレシルジキシレ
ニルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、ト
リブチルフォスフェート、トリクロルエチルフォスフェ
ート、トリオクチルフォスフェート、トリエチルフォス
フェート、アリルアルキルフォスフェート、ジフェニル
モノオルソキセニルフォスフェートなどを用いることが
できる。
【0013】またエポキシ系化合物としては、エポキシ
モノエステル、ブチルエポキシステアレート、オクチル
エポキシステアレート、エポキシブチルオレエート、エ
ポキシ化オレイン酸ブチル、エポキシ化ダイズ油、エポ
キシ化アマニ油、エポキシ化アルキルオイル、エポキシ
化アルキルオイルアルコールエステルなどが挙げられ
る。中でもグリセリンモノステアレート、エポキシ化ダ
イズ油、エポキシ化アマニ油、ジネチルヘキシルアジペ
ート、ジイソオクチルアジペート、ジブチルフタレー
ト、ジエチルフタレート、ジ2エチルヘキシルフタレー
ト、メチルフタリルエチレングリコレートなどが好適に
用いられる。さらに、グリセリンなどの多価アルコール
類も使用できる。
【0014】EVOHと可塑剤(B)との添加量に関し
ては、EVOH 100重量部に対して、可塑剤(B)
を0.5〜20重量部、好適には1〜15重量部であ
る。添加量が0.5重量部未満では耐ストレスクラック
性の改善効果が十分でなく、一方、20重量部をこえる
と、混練性の悪化の為か成形性が悪化するだけでなく、
ガソリンガスバリアー性が十分でない。
【0015】EVOH(A)と可塑剤(B)との組成物
(C)のMIは0.1〜50g/10min.好適に
は、0.3〜30g/10min.である。0.1g/
10min.未満、あるいは50g/10min.以上
の場合、多層構成体製造時EVOH組成物層の厚みムラ
のためか、外観良好な成形物が得られない場合がある。
【0016】EVOH(A)と可塑剤(B)とをブレン
ドする方法に関しては、特に限定されるものではない
が、EVOHと可塑剤をドライブレンドしてそのまま使
用するか、あるいは、より好適にはバンバリーミキサ
ー、単軸又は二軸スクリュー押出し機などでペレット化
し、乾燥する方法等がある。ブレンドが不均一であった
り、またブレンドペレット化操作時にゲル、ブツの発
生、混入があるとクラックが発生する可能性が大きい。
従って、ブレンドペレット化操作時混練度の高い押出機
を使用し、ホッパー口をN2にてシールし、低温で押出
しする事が望ましい。また、ブレンド、ペレット化する
際、他の添加剤(可塑剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸
化防止剤、着色剤、フィラー、ホウ素系化合物、他の樹
脂など)を本発明の目的が阻害されない範囲で使用する
事は自由である。特に、ゲル発生防止対策として、ハイ
ドロタルサイト系化合物、ヒンダードフェノール系、ヒ
ンダードアミン系熱安定剤、高級脂肪酸カルボン酸の金
属塩(たとえば、ステアリン酸カルシウムなど)の一種
または二種を0.01〜1重量%添加する事は好適であ
る。
【0017】本発明のEVOH組成物(C)は通常、他
の熱可塑性樹脂(D)との多層構成体の一層として使用
される。ガスバリアー性を担う該組成物層の厚みは5〜
250μ、通常10〜100μの範囲から選ばれる。一
方、内外層に使用する熱可塑性樹脂は(2)式を満足す
るものであれば、特に制限はないが、目的によっては透
湿性、耐熱性、ヒートシール性、などの点を配慮するこ
とにより優れたガソリンバリアー性を有する燃料用パイ
プまたはタンクを得る事が出来る。
【0018】使用する熱可塑性樹脂(D)としては、ポ
リエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹
脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチ
レン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、
ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポ
リカーボネート系樹脂、ポリウレタン樹脂および照射架
橋したポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−酢酸
ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル系共重合体鹸化
物、エチレン−アクリル酸系共重合体、エチレン−メタ
クリル酸系共重合体、エチレン−アクリル酸エステル系
共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル系共重合体
などが挙げられ、中でも高密度ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリアミドが好適に用いられる。また両外層に
使用する樹脂には前述したような酸化防止剤、着色剤、
充填剤などの添加物を添加しても良い。
【0019】本発明において、EVOH組成物と該熱可
塑性樹脂とを多層化するために、必要に応じて、使用さ
れる接着性樹脂(この場合、樹脂(D)に相当)として
は、EVOH組成物層と該熱可塑性樹脂層とを強固に接
着するものであれば、特に限定されるものではないが、
マレイン酸などの不飽和カルボン酸又はその無水物をポ
リプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系重合
体、あるいはエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン
−(メタ)アクリル酸エステル(メチルエステル、エチ
ルエステル)共重合体にグラフトしたものが好適に用い
られる。
【0020】多層構造体を得る方法としては、該EVO
H組成物、熱可塑性樹脂とをしばしば接着性樹脂を介し
て押出ラミネート法、ドライラミネート法、共押出ラミ
ネート法、共押出シート成形法、共押出インフレ成形
法、溶液コート法などにより積層体を得る。このとき押
出成形される。場合によっては、該積層体をEVOHの
融点以下の範囲で再加熱しロール延伸法、パンタグラフ
式延伸法、あるいはインフレ延伸法などにより一軸、あ
るいは二軸延伸する。また、該多層構造体に放射線、電
子線、紫外線などを照射し、EVOH組成物層、熱可塑
性樹脂層を架橋すること、あるいは押出成形時、化学架
橋剤を添加し化学架橋する場合もある。
【0021】多層構造体の厚み構成に関しても、特に限
定されるものではないが、成形性およびコスト等を考慮
した場合、全厚みに対するEVOH組成物層の厚み比率
は2〜20%程度が好適である。また、多層構造体の構
成としては、EVOH組成物(C)層/接着性樹脂
(D)層/熱可塑性樹脂(D)層、熱可塑性樹脂(D)
層/接着性樹脂(D)層/EVOH組成物(C)層、熱
可塑性樹脂(D)層/接着性樹脂(D)層/EVOH組
成物(C)層/接着性樹脂(D)層/熱可塑性樹脂
(D)層等が代表的なものとしてあげられる。両外層に
熱可塑性樹脂層を設ける場合は、該樹脂が異なっていて
もよいし、また同じものでもよい。また、成形時発生す
るトリムなどのスクラップを熱可塑性樹脂層にブレンド
したり、別途、回収層をもうけて再使用される場合も多
い。
【0022】このようにして得られた多層構造体は、燃
料、とくにガソリンのバリアー性が求められる、燃料用
パイプ、またはタンクとして、例えば、自動車用ガソリ
ンタンク、ガソリンパイプ、石油ストーブ等の燃料用タ
ンク、パイプとして有用である。
【0023】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに説明する
が、これによりなんら限定されるものでない。 実施例1 エチレン含有率27モル%、けん化度99.5%、メル
トインデックス(MI190℃、2160g荷重)1.
5g/10min.のEVOH 100重量部とグリセ
リンモノステアレート(GMS 式(1)におけるSP
(B)=10.2)4重量部を二軸スクリュータイプ、
ベント式40cm径押出機に入れN2ガス雰囲気下に2
00℃で押出してペレットに成型した。得られたEVO
H組成物のメルトインデックス(MI)は5g/10m
in.であった。該ペレットを単層フィルム成形装置に
投入し100μの厚さを有するフィルムを得、JISダ
ンベル3号を用いて10%引張伸度付加のもと、40℃
ガソリンに3時間浸漬し、ストレスクラック性の評価を
行ったが、クラックは認められなかった。また、該ペレ
ットを用いて3種5層共押出多層ダイレクトブロー装置
により多層容器を作成した。容器の構成は両最外層が高
密度ポリエチレン樹脂層(HDPE、三井石油化学
(株)製ハイゼックスHZ8200B、SP(D)=
8.6)が各850μ、また接着性樹脂層(AD−1、
三井石油化学(株)製アドマーNF445A、SP
(D)=8.6)が各100μ、さらに中間層には、上
記EVOH樹脂組成物(C)層100μである。この場
合関係式(1)における値は、6.1、又式(2)にお
ける値は1.6である。得られた容器にガソリンを充填
し40℃、65%RHの条件下で1年間放置したが、ク
ラック、ガソリンバリアー性の低下は認められなかっ
た。加速試験として、該容器の胴部を切取り、EVOH
組成物単層フィルムと同様にJISダンベル3号を用い
て10%引張伸度付加の下、40℃ガソリンに3時間浸
漬したが、ストレスクラックは認められなかった。ま
た、該容器のガソリンバリアー性は表1に示すように1
カ月経過後でも0.013g.20μ/m2.dayで
あった。また得られた容器に、ガソリンに代えてRef
−C85%とメチルターシャリーブチルエーテル(MT
BE)15%との混合ガソリン(表1において「MTB
E15」と表示)を充填して実施例1と同条件下でスト
レスクラックの発生ならびにガソリンバリアー性を測定
した。その結果を表1に併せて示す。
【0024】実施例2 実施例1で用いたグリセリンモノステアレート(GMS
可塑剤)に代えてジエチルフタレート(DEP、式
(1)におけるSP(B)=10.5)を用いてEVO
H樹脂組成物(C)のペレットを得た。該EVOH組成
物のペレットを用いて実施例1と同様3種5層共押出多
層ダイレクトブロー装置により多層容器を作成した。こ
の場合、関係式(1)の値は、5.8、又式(2)にお
ける値は1.6である。得られた容器にトルエン50
%、イソオクタン50%の混合ガソリン(Ref−C)
を充填して実施例1と同条件下でストレスクラックの発
生ならびにガソリンバリアー性を測定、結果を表1に示
す。
【0025】実施例3 実施例1で用いたEVOH 100重量部にグリセリン
モノステアレート(GMS SP(B)=10.2)8
重量部を加え実施例1と同じ操作を繰返してEVOH樹
脂組成物(C)のペレットを製造した。次いで、このペ
レットを4種5層共押出多層パイプ成形装置により押出
成形して多層パイプを作成した。パイプの構成は、最外
層が12ポリアミド(宇部興産(株)製 UBEナイロ
ン3020U、SP(B)=9.9)450μ、次に接
着性樹脂層(三井石油化学(株)製 アドマーV−50
0、SP(B)=9.0)50μ、6ポリアミド(東レ
(株)製 アミランCM1046、SP(B)=11.
6)100μ、上記EVOH組成物層150μであり、
最内層は6ポリアミド(前記と同じ)250μである。
この場合式(1)の価は、6.1、式(2)の価は−
1.4となる。得られたパイプの末端に金属製金具を取
付け、R(半径)=30cmのループ状に巻き、15%
メタノール混合ガソリン(Ref−C 85%、メタノ
ール15%、表1においてM−15と表示)を充填し、
40℃−65%RH条件下で1年間放置したがクラッ
ク、ガソリンバリアー性の悪化は認められなかった。加
速試験として、該パイプの胴部を輪切りにし、10%引
張伸度が付加出来るように、パイプ内周囲長さより10
%長い外周径を持つ円柱状の治具で該輪切りパイプを押
し広げ(10%引張伸度付加)、40℃、15%メタノ
ールガソリンに3時間浸漬し、ストレス・クラック性の
評価を行ったが、クラックは認められなかった。また、
該パイプのガソリンバリアー性は表1に示したように優
れていた。
【0026】比較例1 実施例1で用いたエチレン−ビニルアルコール共重合体
と同じエチレン−ビニルアルコール共重合体を用いて実
施例1と同様に3種5層の多層容器を作成した。この容
器に混合ガソリン(Ref−C)を充填してその耐ガソ
リンストレス・クラック性及び耐ガソリンバリアー性の
試験を行ったところ、表1に示したように、EVOH層
ならびに熱可塑剤樹脂層(12−ポリアミド層および6
−ポリアミド層)にクラックの発生が認められた。ま
た、この容器の耐ガソリンバリアー性は1年後には極め
て悪く測定不可となった。
【0027】
【表1】
【0028】(註) 1.可塑剤(B)銘柄 GMS=グリセリンモノステアレート DEP=ジエチルフタレート 2.多層構造体銘柄 HEPE :三井石油化学 ハイゼックス HZ820
0B 6−PA :東レ アラミン CM1046
(6−ポリアミド) 12−PA:宇部興産 UBEナイロン 3020
U (12−ポリアミド) AD−1 :三井石油化学 アドマー NF450A AD−2 :三井石油化学 アドマー VF−500 3.ガソリンの銘柄 ガソリン :市販レギュラーガソリン Ref−C :トルエン(50%)+イソオクタン(5
0%) M−15 :Ref−C(85%)+メタノール(1
5%) MTBE15:Ref−C(85%)+MTBE(15
%)
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の多層構造
体よりなる燃料用パイプやタンクは、エチレン−ビニル
アルコール共重合体のガソリンに対する耐ストレスクラ
ックが大幅に改善され、またガソリンバリアー性は、1
年経過するとむしろ向上する傾向が見られ長期間ガソリ
ンを接触させておいてもそのガスバリアー性が低下する
ことはなかった。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン含有率10〜80モル%のエチ
    レン−ビニルアルコール共重合体(A)100重量部に
    対して、下記の式(1)及び式(2)を満足する可塑剤
    (B)を0.5〜20重量部配合した組成物(C)層
    と、該組成物層の少くとも片面に熱可塑性樹脂層(D)
    を積層した構造を有する燃料用パイプまたはタンク。 6.5≧19−CH(A)×0.1−SP(B)≧−0.5・・・・(1) −2≦SP(B)−SP(D)≦8 ・・・・・・・・・・・・・(2) [ただし、式中のCH(A)はエチレン−ビニルアルコ
    ール共重合体の平均エチレン含有量(モル%)を、SP
    (B)は可塑剤の溶解性パラメーター(Fedorsの
    式)を、またSP(D)は熱可塑性樹脂の溶解性パラメ
    ーター(Fedorsの式)を示す。]
JP5124286A 1993-05-26 1993-05-26 燃料用パイプまたはタンク Pending JPH06328634A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5124286A JPH06328634A (ja) 1993-05-26 1993-05-26 燃料用パイプまたはタンク

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5124286A JPH06328634A (ja) 1993-05-26 1993-05-26 燃料用パイプまたはタンク

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06328634A true JPH06328634A (ja) 1994-11-29

Family

ID=14881582

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5124286A Pending JPH06328634A (ja) 1993-05-26 1993-05-26 燃料用パイプまたはタンク

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06328634A (ja)

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0867793A (ja) * 1994-08-30 1996-03-12 Kureha Chem Ind Co Ltd 塩化ビニリデン系重合体成形物
US5849376A (en) * 1995-08-21 1998-12-15 Nippon Gohsei Kagaku Kogyo Kabushiki Kaisha Multi-layered laminate comprising hydrolyzed EVOH and use thereof
EP0984037A1 (de) * 1998-09-01 2000-03-08 Roth Werke GmbH Verwendung einer Mischung als Additiv für einen thermoplastischen Kunststoff zur Reduzierung des Diffusionskoeffizienten des thermoplastischen Kunststoffes
WO2000051907A1 (fr) * 1999-03-04 2000-09-08 Kuraray Co. Ltd. Reservoir a combustible
JP2001341535A (ja) * 2000-06-02 2001-12-11 Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The 燃料容器
JP2001341244A (ja) * 2000-06-02 2001-12-11 Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The 燃料容器
JP2002052658A (ja) * 2000-08-08 2002-02-19 Kuraray Co Ltd ガソリンバリア性に優れた燃料容器用多層成形部品
WO2004037917A1 (ja) * 2002-10-25 2004-05-06 Kureha Chemical Industry Company, Limited 樹脂組成物、成形体及びその製造方法
WO2012121295A1 (ja) 2011-03-08 2012-09-13 三菱瓦斯化学株式会社 ポリエチレン系構造体
WO2014103054A1 (ja) 2012-12-28 2014-07-03 三菱瓦斯化学株式会社 ポリエチレン系構造体
US9393748B2 (en) 2011-06-30 2016-07-19 Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc. Direct blow-molded container manufacturing method and package
WO2016175119A1 (ja) * 2015-04-28 2016-11-03 株式会社クラレ 積層用アクリル系熱可塑性重合体組成物

Cited By (22)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0867793A (ja) * 1994-08-30 1996-03-12 Kureha Chem Ind Co Ltd 塩化ビニリデン系重合体成形物
US5849376A (en) * 1995-08-21 1998-12-15 Nippon Gohsei Kagaku Kogyo Kabushiki Kaisha Multi-layered laminate comprising hydrolyzed EVOH and use thereof
EP0984037A1 (de) * 1998-09-01 2000-03-08 Roth Werke GmbH Verwendung einer Mischung als Additiv für einen thermoplastischen Kunststoff zur Reduzierung des Diffusionskoeffizienten des thermoplastischen Kunststoffes
US6398059B1 (en) 1999-03-04 2002-06-04 Kuraray Co., Ltd. Fuel container
WO2000051907A1 (fr) * 1999-03-04 2000-09-08 Kuraray Co. Ltd. Reservoir a combustible
KR100609254B1 (ko) * 1999-03-04 2006-08-04 가부시키가이샤 구라레 연료 용기
JP4527245B2 (ja) * 2000-06-02 2010-08-18 日本合成化学工業株式会社 燃料容器
JP2001341244A (ja) * 2000-06-02 2001-12-11 Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The 燃料容器
JP2001341535A (ja) * 2000-06-02 2001-12-11 Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The 燃料容器
JP4563553B2 (ja) * 2000-06-02 2010-10-13 日本合成化学工業株式会社 燃料容器
JP2002052658A (ja) * 2000-08-08 2002-02-19 Kuraray Co Ltd ガソリンバリア性に優れた燃料容器用多層成形部品
WO2004037917A1 (ja) * 2002-10-25 2004-05-06 Kureha Chemical Industry Company, Limited 樹脂組成物、成形体及びその製造方法
WO2012121295A1 (ja) 2011-03-08 2012-09-13 三菱瓦斯化学株式会社 ポリエチレン系構造体
US9296881B2 (en) 2011-03-08 2016-03-29 Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc. Polyethylene-based structure
US9393748B2 (en) 2011-06-30 2016-07-19 Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc. Direct blow-molded container manufacturing method and package
WO2014103054A1 (ja) 2012-12-28 2014-07-03 三菱瓦斯化学株式会社 ポリエチレン系構造体
WO2016175119A1 (ja) * 2015-04-28 2016-11-03 株式会社クラレ 積層用アクリル系熱可塑性重合体組成物
CN107531980A (zh) * 2015-04-28 2018-01-02 株式会社可乐丽 层叠用丙烯酸类热塑性聚合物组合物
JPWO2016175119A1 (ja) * 2015-04-28 2018-02-22 株式会社クラレ 積層用アクリル系熱可塑性重合体組成物
US10647096B2 (en) 2015-04-28 2020-05-12 Kuraray Co., Ltd. Laminating acrylic thermoplastic polymer compositions
CN107531980B (zh) * 2015-04-28 2020-11-27 株式会社可乐丽 层叠用丙烯酸类热塑性聚合物组合物
US11400695B2 (en) 2015-04-28 2022-08-02 Kuraray Co., Ltd. Laminating acrylic thermoplastic polymer compositions

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2002052904A (ja) タイヤ内面用インナーライナー
US20150045527A1 (en) Film, especially for use in non-disruptive sewage pipe renovation
JP4208974B2 (ja) 燃料容器
JPH06328634A (ja) 燃料用パイプまたはタンク
US5344715A (en) Heat shrinkable film and multilayered film
JP3657282B2 (ja) 燃料用パイプまたはタンク
JP5600586B2 (ja) 燃料容器
JP2000102918A (ja) エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物ペレットおよびその用途
JP3529893B2 (ja) 樹脂組成物および多層構造体
JP3796143B2 (ja) 燃料用パイプまたはタンク
JP3647766B2 (ja) 燃料用パイプまたはタンク
JP3805386B2 (ja) 燃料容器および燃料移送パイプ
JP3529892B2 (ja) 燃料容器および燃料パイプ
JP3751983B2 (ja) 多層構造体
JP3537607B2 (ja) 多層構造体およびその用途
JP3329875B2 (ja) 多層構造体
JPH05200865A (ja) 熱収縮性フィルムおよび多層フィルム
JP6805513B2 (ja) 多層構造体
JP3329876B2 (ja) 多層構造体
JP3489902B2 (ja) 樹脂組成物およびそれを用いた多層構造体
JP4546676B2 (ja) 燃料部品
JP2555078B2 (ja) ガスバリア−性を有する耐熱性ポリエステル容器
JP3068708B2 (ja) 熱収縮性多層フィルム
JP3537527B2 (ja) 耐衝撃性樹脂組成物
JPH1160875A (ja) 樹脂組成物及びそれを用いた多層構造体