JPH05200865A - 熱収縮性フィルムおよび多層フィルム - Google Patents

熱収縮性フィルムおよび多層フィルム

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JPH05200865A
JPH05200865A JP4320776A JP32077692A JPH05200865A JP H05200865 A JPH05200865 A JP H05200865A JP 4320776 A JP4320776 A JP 4320776A JP 32077692 A JP32077692 A JP 32077692A JP H05200865 A JPH05200865 A JP H05200865A
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film
heat
layer
ethylene
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太一 祢宜
Sumio Itamura
純生 板村
Satoshi Hirofuji
俐 廣藤
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 下記式(i)を満足し、かつ平均エチレン含
有量20〜60モル%のエチレン−ビニルアルコール共
重合体(A){EVOH(A)}層を少なくとも一層有
し、かつ90℃の熱水中に一分間浸漬したときの面積収
縮率が10%以上である熱収縮性フィルムまたは多層フ
ィルム。 1≦│{T(1)−T(2)}−{t(1)−t(2)}│≦20・・・(i) ただしT(1)=T(2)およびt(1)=t(2)の
場合 1≦|t(1)−T(1)|≦20 式中、走査型差動熱量計(DSC)測定においてEVO
H(A)の最高温度側のピーク温度をT(1)℃、最低
温度側のピーク温度をT(2)℃とする。また、EVO
H(A)を塩基性溶剤で処理した時のDSC測定値にお
いて、EVOHのT(1)に由来するピーク温度をt
(1)℃,T(2)に由来するピーク温度をt(2)℃
とする。 【効果】 本発明のフィルム、とくに多層フィルムは、
優れた延伸性および熱収縮性を有しており、さらに熱収
縮操作時、内容物との密着性も優れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加熱延伸性に優れ、特
に低テンション下における延伸性が優れ、加熱延伸操作
時、ピンホール、クラック、局所的偏肉などの発生が少
なく、かつ熱収縮性、ガスバリヤー性に優れた、エチレ
ン−ビニルアルコール共重合体(以下EVOHと記す)
組成物を用いた熱収縮性フィルム、特に多層フィルムに
関する。
【0002】
【従来の技術】生肉、加工畜肉などの脂肪性食品の多く
はその形状が不規則で大きさも不揃いである。この様な
形態が多様な食品の包装方法としては、熱収縮性のフィ
ルムを用いるシュリンク包装、および、スキンパック包
装機を用いて延伸−収縮−熱シールを同時に行うスキン
パック包装などが工業的に採用されている。シュリンク
包装の一般的な操作手順としては袋状の延伸フィルムに
内容物を入れ、次いで減圧下で袋内の空気を除去し、袋
の開口部を密封した後、加熱することによりフィルムを
熱収縮せしめて内容物に密着せしめて奇麗な包装体を得
る方法である。この方法における加熱処理は内容物の殺
菌を兼ねて行われる場合もあり、通常70〜120℃の
温度で処理される。また、スキンパック包装の一般的な
操作手順としては、無延伸フィルムをスキンパック包装
機に通し、加熱部分で該フィルムを60〜200℃昇温
後、場合によっては金型で熱成形後、ただちに真空下、
内容物(生肉、加工畜肉など)を置いた基材フィルム、
シート、トレイ上にかぶせ、周囲を密封した後、大気圧
にもどし、内容物と周囲のフィルムとを密着させ奇麗な
包装体を得る方法である。
【0003】このような包装袋に使用されるフィルムと
してはガスバリヤー性および密着性に優れ、且つ40〜
200℃で容易に延伸が可能であり、かつ、加熱によっ
て充分に熱収縮する特性を有するフィルムである事が必
要である。前記したような延伸−熱収縮包装用フィルム
として、高ガスバリヤー性を有するEVOH樹脂を使用
することが考えられるが、ガスバリヤー性の優れたEV
OH樹脂フィルムは延伸性−収縮性に劣るという欠点を
有している。
【0004】この欠点を解決するために種々の方法が提
案されている。例えばEVOH樹脂フィルムとポリアミ
ド(PA)樹脂フィルムを密着積層後延伸した複合フィ
ルム(特開昭52−115880号)、ポリオレフィン
層、PA樹脂層及びEVOH樹脂層からなる積層フィル
ム(特開昭56−136365号)などが提案されてい
る。また特開平2−261847号には、エチレンの含
有量20〜60モル%で、かつDSC測定において、2
つ以上の吸熱ピークを有するEVOH組成物を加熱延伸
(加熱二軸延伸など)して、ピンホール、クラック、局
所的偏肉等がない、しかもガスバリヤー性に優れた多層
体(フィルム、シート、容器等)を得る事、特にカップ
等の熱成形容器を得る事が記載されているが、熱収縮性
フィルムを得る事、およびその製造条件についての記載
がない。またU.S.P.4590131(特開平60
−173038号)には、エチレン含有量の異なる複数
のEVOH組成物からなる延伸加工性の優れた包装材料
(フィルム、シート、容器など)を得ること、さらに、
その実施例5にはEVOHブレンド物を中間層とし、リ
ニア低密度ポリエチレン(LLDPE)を内外層とする
多層フィルムをインフレーション法により共押出成形し
て亀裂のないバッグインボックス用内袋が得られたこと
が記載されているが、熱収縮性フィルムを得ることおよ
びその製造条件についての記載がない。
【0005】また特開昭60−192705号、同60
−199004号、同61−4752号にはエチレン含
有量の異なるEVOH組成物は延伸成形性が改善される
ことが記載されているが、熱収縮性フィルムを得ること
およびその製造条件についての記載がない。さらにま
た、U.S.P.4349644(特開昭56−869
49号)にもエチレン含有量の異なるEVOH組成物は
溶融成形性が改善されることが記載されているが、熱収
縮性フィルムを得ることおよびその製造条件についての
記載がない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】EVOH樹脂単独をP
A樹脂と積層しても延伸性、特に低テンション下におけ
る延伸性が必ずしも満足するものではなく、その為に優
れた熱収縮性を有するフィルムが得られるとは言いがた
い。従って、高いガスバリヤー性を有し、且つより優れ
た延伸性、熱収縮性、寸法安定性を示すフィルムの提供
が望まれている。しかして、本発明の目的は、EVOH
樹脂の高いガスバリヤー性を維持しながら、優れた延伸
性、特に低テンション下に於ける延伸性、および熱収縮
後の厚みムラの少なく、かつ優れた熱収縮性を有する多
層フィルムを得ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的は、下記式
(i)を満足するEVOH(A)を提供することによっ
て達成される。 1≦│{T(1)−T(2)}−{t(1)−t(2)}│≦20・・・(i) ただしT(1)=T(2)およびt(1)=t(2)の
場合 1≦│t(1)−T(1)│≦20 式中、走査型差動熱量計(DSC)測定においてEVO
H(A)の最高温度側のピーク温度をT(1)℃、最低
温度側のピーク温度をT(2)℃とする。また、EVO
H(A)を塩基性溶剤で処理した時のDSC測定値にお
いて、EVOHのT(1)に由来するピーク温度をt
(1)℃、T(2)に由来するピーク温度をt(2)℃
とする。ここでDSCによる測定は10m/10分のス
キャニングスピードで行われる。また塩基性溶剤による
処理とは、水/メタノール=30/70(重量比)の混
合溶液100mlにEVOH組成物(A)10gを煮沸
して溶解し、120g/リットルの苛性ソーダのメタノ
ール溶液10mlを加え、3時間煮沸した後、冷水に投
入し、樹脂を分離後十分水洗、乾燥する処理を意味して
いる。(i)の好適な範囲としては1≦{T(1)−T
(2)−{t(1)−t(2)}≦20、さらに好適に
は3≦│{T(1)−T(2)}−{t(1)−t
(2)}│≦18であり、さらに好ましくは3≦{T
(1)−T(2)}−{t(1)−t(2)}≦18で
ある。T(1)=T(2)およびt(1)=t(2)の
場合の好適な範囲は1≦t(1)−T(1)≦20、さ
らに好適には3≦t(1)−T(1)≦18である。
【0008】前記式(i)を満足するEVOH(A)を
得る方法としては、代表的にはエチレン含有量あるいは
/および鹸化度の異なる、より好適にはエチレン含有量
および鹸化度の異なる二種類以上のEVOHを含有して
なる組成物を用いる方法があげられる。例えば、エチレ
ン含有量および鹸化度の異なる二種類のEVOHをEV
OH(a)、EVOH(b)とした場合、前記目的は、
EVOH(a)5〜95重量%およびEVOH(b)9
5〜5重量%からなる組成物を提供することによって達
成される。
【0009】本発明においてEVOHとはエチレン−ビ
ニルエステル共重合体鹸化物であり、EVOH(a)お
よび(b)のエチレン含量はそれぞれ20〜60モル
%、好適には22〜58モル%の範囲から選ばれ、さら
にEVOH(a)とEVOH(b)とのエチレン含有量
の差が3モル%以上であることが好ましく、さらに好適
には4モル%以上である。またEVOHの鹸化度の選定
も重要で、EVOH(a)とEVOH(b)との鹸化度
の差が2モル%以上、好適には、3モル%以上であり、
さらに(i)式を満足するようにEVOH(a)および
EVOH(b)全体の平均鹸化度は90%以上の範囲か
ら選択する事が好適である。なおここでビニルエステル
としては酢酸ビニルが代表的なものとしてあげられる
が、その他の脂肪酸ビニルエステル(プロピオン酸ビニ
ル、ピバリン酸ビニルなど)も使用できる。EVOH
(a)とEVOH(b)との鹸化度の差の上限値は好ま
しくは10モル%である。
【0010】EVOH(a)およびEVOH(b)全体
の平均エチレン含有量が20モル%未満では溶融成形性
が悪く、一方60モル%以上では、ガスバリアー性が不
足する。また、平均鹸化度が90モル%未満では、ガス
バリアー性および熱安定性が悪くなる。また、EVOH
(a)とEVOH(b)とのエチレン含有量の差が3モ
ル%未満の場合には成形性(延伸性、熱収縮性)とガス
バリアー性との改善性(バランス)が十分でない。EV
OH(a)とEVOH(b)とのエチレン含有量はどち
らが大きくても良い。EVOH(A)としてはEVOH
(a)とEVOH(b)の二種類のブレンドのほかに、
このブレンドに他のEVOHを配合したものも使用でき
る。
【0011】本発明においてEVOH(A)は、EVO
H(a)および(b)同志のブレンドにより得る事もで
きるし、またエチレン−ビニルエステル共重合体を溶媒
を用いてブレンドし、これを鹸化することによって得る
事が出来るが、後者の方がより効果的である。すなわ
ち、鹸化度を異にするEVOHのブレンド物を用いるよ
りも、エチレン含有率の異なる(3モル%以上)エチレ
ン−ビニルエステル共重合体を溶剤下に溶液ブレンド
し、酸性、あるいは塩基性触媒下鹸化することにより得
た、式(i)を満足する組成物を用いたほうが、より再
現性の高い延伸性−収縮性を改善した組成物が得られ
る。エチレン含有率の異なるエチレン−ビニルエステル
共重合体の溶液をブレンドし、鹸化する場合は鹸化速度
が異なるため鹸化度の異なったEVOHが得られる。
【0012】本発明においてはEVOH(A)に共重合
成分としてビニルシラン化合物0.0002〜0.2モ
ル%を含有する場合にも基材と該EVOHとの溶融粘性
の整合性が改善され、均質な共押出多層フィルムの製造
が可能なだけでなく、EVOH(a)とEVOH(b)
との分散性が改善された為か、延伸性−収縮性が改善さ
れ、本発明の易延伸−易収縮性多層フィルムには有効で
ある。ここで、ビニルシラン系化合物としては、下記化
1、化2および化3で示される化合物が好適である。
【0013】
【化1】
【0014】
【化2】
【0015】
【化3】
【0016】[ただし、ここでnは0〜1、mは0〜
2、R1は低級アルキル基、アリール基、またはアリー
ル基を有する低級アルキル基、R2は炭素数1〜40の
アルコキシル基であり、そのアルコキシル基は酸素を含
有する置換基を有していてもよい。R3は水素またはメ
チル基、R4は水素原子または低級アルキル基、R5は
アルキ基または連鎖炭素原子が酸素もしくは窒素によっ
て相互に結合された2価の有機残基、R6は水素、ハロ
ゲン、低級アルキル基、アリール基、またはアリル基を
有する低級アルキル基,R7はアルコキシル基またはア
シロキシル基(ここでアルコキシル基またはアシロキシ
ル基は酸素もしくは窒素を含有する置換基を有していて
もよい。)、R8は水素、ハロゲン、低級アルキル基、
アリール基、またはアリール基を有する低級アルキル
基、R9は低級アルキル基である。]さらに詳しく述べ
れば、R1は炭素数1〜5の低級アルキル基、炭素数6
〜18のアリール基、または炭素数6〜18のアリール
基を有する炭素数1〜5の低級アルキル基、R4は水素
原子または炭素数1〜5の低級アルキル基を示し、R5
は炭素数1〜5のアルキル基または連鎖炭素原子が酸素
もしくは窒素にとって相互に結合された2価の有機残基
を示し、R6は水素、ハロゲン、炭素数1〜5の低級ア
ルキル基、炭素数6〜18のアリール基、または炭素数
6〜18のアリール基を有する炭素数1〜5の低級アル
キル基を示し、R7はアルコキシル基またはアシロキシ
ル基(ここでアルコキシル基またはアシロキシル基は酸
素もしくは窒素を含有する置換基を有していてもよ
い。)、R8は水素、ハロゲン、炭素数1〜5のアルキ
ル基、炭素数6〜18のアリール基、または炭素数6〜
18のアリール基を有する炭素数1〜5の低級アルキル
基を示し、R9は炭素数1〜5の低級アルキル基を示
す。ビニルシラン化合物(化1),(化2),(化3)
の具体的な化合物名としては、たとえばビニルトリメト
キシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ
(β−メトキシ−エトキシ)シラン、γ−メタクリロイ
ルオキシプロピルメトキシシランが挙げられる。なかで
も、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ランが好適に用いられる。
【0017】また、該EVOH(A)には本発明の目的
が阻害されない範囲で、他の共単量体[例えば、プロピ
レン、ブチレン、不飽和カルボン酸又はそのエステル
{(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルメ
チル、エチル)など}、ビニルピロリドン(N−ビニル
ピロリドンなど)を共重合成分として使用することも出
来るし、さらに、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止
剤、着色剤、フィラー、他の樹脂(ポリアミド、部分け
ん化エチレン−酢酸ビニル共重合体など)をブレンドす
ることも自由である。また、本発明に用いるEVOHの
好適なメルトインデックス(MI)(190℃、216
0g荷重下)は0.1〜50g/10min.、最適に
は0.5〜20g/10min.である。
【0018】本発明においては、EVOH(A)層のみ
からなるフィルムを熱収縮性フィルムとすることができ
るが、EVOH(A)層の片面または両面にEVOH
(A)層以外の樹脂層を積層した多層フィルムを熱収縮
性フィルムとすることがより有効である。ここで樹脂層
としては熱収縮性の熱可塑性樹脂層であり、この熱可塑
性樹脂層の樹脂の種類等については後述の(D)層と同
一である。この様に(i)式を満足することによって優
れた延伸性、特に低テンション下における延伸性が優
れ、さらに優れた熱収縮性を有するフィルム、または多
層フィルムが得られることは後述する実施例から明らか
である。
【0019】次に、本発明の目的とする優れた延伸性、
優れた熱収縮性および熱収縮後の厚み変化率の少ない均
一な熱収縮性を有し、しかも良好なガスバリヤー性を有
する他のフィルムとして、EVOH(A)100重量部
に対し下記式(iv)〜(v)を満足する化合物(B)を
0.1〜30重量部含有する組成物層(C)に下記式
(v)を満足する樹脂層(D)を積層、好適には直接接
触するように積層した多層フィルムがあげられる。この
多層フィルムは極めて有効な態様であるので、以下この
点について詳述する。ここでEVOH組成物とは、EV
OH(A)100重量部に対し、下記式(iv)〜(v)
を満足する化合物(B)を0.1〜30重量部含有する
ものである。 5.5≧19−CH(A)×0.1−SP(B)≧1.5・・(iv) −1≦SP(B)−SP(D)≦3.5 ・・(v) 式中、(iv)〜(v)において、CH(A)はEVOH
(A)の平均エチレン含有量(モル%)を、SP(B)
は化合物(B)の溶解性パラメーター(Fedorsの
式)を、SP(D)は樹脂層(D)を構成する樹脂
(D)の溶解性パラメーター(Fedorsの式)を示
す。
【0020】すなわち、EVOHに化合物(B)が、式
(iv)〜(v)で表される条件を満す化合物であると
き、延伸前の原反多層フィルムの延伸性が改善され、さ
らに延伸後、組成物層(C)中の化合物(B)が樹脂層
(D)中に移行することによりガスバリヤー性が回復す
るとともに熱収縮性の優れた多層フィルムが得られる
が、化合物(B)は、更に、下記式(iv)´〜(v)´
で表される条件を満す化合物である事が好適である。 5.2≧19−CH(A)×0.1−SP(B)≧2 ・・(iv)´ −1≦SP(B)−SP(D)≦3 ・・(v)´ 前記式(i)を満足するEVOH組成物(A)を用い、
かつ(iv)〜(v)を満たす化合物(B)を用いた多層
フィルムは、最も優れた延伸性および均一でかつ優れた
熱収縮性を有し、しかも良好なガスバリヤー性を有す
る。
【0021】本発明において、EVOH(A)に添加す
る化合物(B)が式(iv)を満足することが好適な要件
のひとつであり、EVOH(A)に添加する化合物
(B)が式(iv)を満足する時、ガスバリアー性の悪化
がなく、原反フィルムの延伸性が改善され、得られたフ
ィルムの収縮性も大巾に改善される。そこでさらに種々
検討した結果、式(v)を満たすとき、該多層フィルム
の延伸性−収縮性のみならず、驚くべきことにガスバリ
アー性の改善をもたらすことができる。特に注目すべき
点としては、該多層熱収縮性フィルムのガスバリアー
性、場合によっては、熱収縮性が放置、経過時間と共に
改善する事である。理由は定かではないが、組成物
(C)中の化合物(B)は多層化原反製膜および延伸成
形時、成形性改善効果を発揮するが、放置している間
に、組成物層(C)中の化合物(B)が組成物層(C)
と接する樹脂層(D)に移行し、組成物層(C)のガス
バリアー性、場合によっては、熱収縮性が改善するもの
と推定される。
【0022】化合物(B)としては、疎水性可塑剤、た
とえば芳香族エステル、脂肪族エステル、リン酸エステ
ル、及びそれらのエポキシ化合物などが挙げられる。
【0023】芳香族エステルとしては、ジブチルフタレ
ート、ジオクチルフタレート、ジヘプチルフタレート、
ジ2エチルヘキシルフタテート、ジシクロヘキシルフタ
レート、ブチルラウリルフタレート、ジイソオクチルフ
タレート、ブチルココナッツアルキルフタレート、ジト
リデシルフタレート、ジラウリルフタレート、ジイソデ
シルフタレート、ブチルベンジルフタレート、オクチル
デカノイルフタレート、ジメチルグリコールフタレー
ト、エチルフタリルエチレングリコレート、メチルフタ
リルエチレングリコレート、ブチルフタリルブチレング
リコレート、ジノニルフタレート、ジヘプチルフタレー
ト、オクチルデシルフタレート、ジトリデシルフタレー
ト、ジカプリルフタレート、ジ3,5,5トリメチルヘ
キシルフタレート、イソオクチルイソデシルフタレー
ト、ジメトキシエチルフタレート、ジブトキシジエチル
フタレート、ビス(ジエチレングリコールモノメチルエ
ーテル)フタレート、ベンゾフェノールなどが挙げられ
る。
【0024】脂肪族エステルとしては、多価アルコール
(2価、3価あるいはそれ以上の多価アルコール)と高
級脂肪酸(炭素数8以上好適には8〜30の高級脂肪
酸)とのモノエステル、ジエステル、あるいはそれ以上
のエステル)、たとえばグリセリンモノステアレート、
グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレー
トがあげられ、さらにはポリプロピレンアジペート、ジ
イソデシルアジペート、ジ2メチルヘキシルアジペー
ト、ジカプリルアジペート、ジイソオクチルアジペー
ト、オクチルデシルアジペート、イソオクチルイソデシ
ルアジペート、ジブチルフマレート、ジオクチルフマレ
ート、トリエチルシトレート、アセチルトリエチルシト
レート、トリブチルシトレート、アセチルトリブチルシ
トレート、アセチルトリ−2−エチルヘキシルシトレー
トなどがあげられる。またリン酸エステルとしては、ト
リクレジルホスヘート、フェニルジクレジフフォスフェ
ート、キシレニルジクレシルフォスヘート、クレジルジ
キシレニルフォスフェート、トリフェニルフォスフェー
ト、トリブチルフォスフェート、トリクロルエチルフォ
スフェート、トリオクチルフォスフェート、トリブチル
フォスフェート、トリクロルエチルフォスフェート、ト
リオクチルフォスフェート、トリエチルフォスフェー
ト、アリールアルキルフォスフェート、ジフェニルモノ
オルソキセニルフォスフェートなどがあげられる。
【0025】またエポキシ系化合物としては、エポキシ
モノエステル、ブチルエポキシステアレート、オクチル
エポキシステアレート、エポキシブチルオレエート、エ
ポキシ化オレイン酸ブチル、エポキシ化ダイズ油、エポ
キシ化アマニ油、エポキシ化アルキルフオイル、エポキ
シ化アルキルオイルアルコールエステルなどが挙げられ
る。中でもグリセリンモノステアレート、グリセリント
リステアレート、ベンゾフェノール、ブチルベンジルフ
タレート、エポキシ化ダイズ油、エポキシ化アマニ油、
ジネチルヘキシルアジペート、ジイソオクチルアジペー
ト、ジブチルフタレート、ジエチルフタレート、ジ2エ
チルヘキシルフタレート、メチルフタリルエチレングリ
コレートなどが好適に用いられる。化合物(B)として
は前記した化合物の1種または2種以上が使用される。
化合物(B)の配合量としては、EVOH(A)100
重量部に対し0.1〜30重量部であり、更に好ましく
は1〜20重量部である。
【0026】一方、上記化合物(B)とは別に化合物
(B)とEVOH(A)との相溶性、熱安定性を改善す
る為に、例えば、U.S.P.4613644(特開昭
60−199040号公報)に記載されているような相
溶性、熱安定性改善剤を添加併用することができる。こ
れら化合物(B)と併用して用いられる添加剤として
は、芳香族カルボン酸、脂肪族カルボン酸、リン酸また
はその金属塩、あるいは金属錯体、金属酸化物などが挙
げられる。これらの添加剤は少なくとも一種が使用され
る。該添加剤はEVOH(A)100重量部に対し0.
001〜1重量部用いることが好ましく、更に好適に
は、0.01〜1重量部、最適には0.01〜0.5重
量部である。また用いる金属イオンとしてはアルカリ金
属系、アルカリ土金属系、両性金属系の金属が好適であ
る。これら添加剤としては、例えば、酢酸カルシウム、
酢酸ナトリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カリウム、酢
酸亜鉛、酢酸リチウム、リン酸カルシウム、リン酸カリ
ウム、リン酸マグネシウム、リン酸リチウム、リン酸ナ
トリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カル
シウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸マグネシ
ウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム、エチ
レンジアミン四酢酸のナトリウム塩、酸化カルシウム、
酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト系化合物などが
挙げられる。なかでも、ステアリン酸ナトリウム、ステ
アリン酸カルシウム、ステアリン酸カリウム、ステアリ
ン酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸ナトリウム、
酢酸マグネシウム、ハイドロタルサイト系化合物{例:
Mg6Al2(OH)16CO3・4H2O}などが好適であ
る。これらの添加剤を併用することにより高温度、長時
間連続で溶融成形した場合、ゲル等の熱劣化物の発生を
防ぐことができ、また延伸性、熱収縮性も改善すること
ができる。これらの添加剤は化合物(B)を含有しない
EVOH(A)に配合して使用することも可能である。
【0027】本発明の多層フィルムは少なくともEVO
H(A)層および/または組成物層(C){以下これら
の層を層(G)と総称する。}及び樹脂層(D)から成
るが、層(G)及び樹脂層(D)はそれぞれ2層以上あ
っても良い。層(G)及び樹脂層(D)がそれぞれ2層
以上有する場合、各層を構成する樹脂組成は、それぞれ
同一であっても、又異なっていても良い。但し、少なく
とも一つの樹脂層(D)は層(G)に直接接している事
が好適である。本発明の多層フィルムは少なくとも層
(G)と樹脂層(D)との2層が必要であるが、種々の
機能を付加する為に更に他の熱可塑性樹脂を積層するこ
とが出来る。樹脂層(D)は式(v)を満足する事が重
要であり、これを満す樹脂層(D)をもちいることによ
り樹脂層(D)と接する層(G)中の化合物(B)が延
伸後に樹脂層(D)に移行し、ガスバリアー性が回復す
る。
【0028】樹脂層(D)の樹脂としては、熱収縮性の
熱可塑性樹脂であることが重要であり、オレフィン系樹
脂が好適なものとしてあげられる。オレフィン樹脂とし
ては、エチレンとビニルエステル単量体との共重合体、
例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、EVAと
略称する)、脂肪族不飽和カルボン酸、脂肪族不飽和カ
ルボン酸エステルより選ばれる単量体とエチレンとの共
重合体(例えばアクリル酸、アクリル酸エステル、メタ
クリル酸、メタクリル酸エステル等から選ばれた単量体
とエチレンとの共重合体)、アイオノマー樹脂、線状低
密度ポリエチレン(以下LLDPEと記す。)、LLD
PEとEVAとの混合樹脂、密度0.91g/cm3
下でビカット軟化点(ASTM D−1525により測
定)95℃以下、好ましくは85℃以下の超低密度ポリ
エチレン(以下、VLDPEと略称する)、VLDPE
と少量のLLDPEの混合樹脂、結晶性プロピレン−エ
チレン共重合体とポリプロピレン系エラストマーの混合
樹脂が好ましい。
【0029】EVAとしては酢酸ビニル含量が3〜19
重量%のものが好ましい。LLDPEとEVAの混合樹
脂中のEVAの割合は少なくとも55重量%を含有して
いることが延伸性の見地から好ましい。LLDPEとし
ては、エチレンと少量のブテン−1、ペンテン−1、4
メチル−ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等
の炭素数4〜18のα−オレフィンとの共重合体で結晶
融点118〜125℃のものが好ましい。アイオノマー
樹脂としては、エチレン、プロピレン等のα−オレフィ
ンとアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸などの不飽
和カルボン酸及び不飽和カルボン酸エステルとの共重合
体の一部を鹸化したものの共重合体の陰イオン部分をN
a、K、Mg、Ca、Zn等の金属イオンで一部を中和
したイオン架橋物が用いられる。通常、Na、およびZ
nが用いられる。2価の金属イオンで一部中和してなる
アイオノマー樹脂にポリアミドオリゴマーが含まれてい
るものでも良い。
【0030】また樹脂層(D)として、接着性樹脂とし
て用いられる、例えば、不飽和カルボン酸又はその無水
物(無水マレイン酸など)をオレフィン系重合体または
共重合体[ポリエチレン{低密度ポリエチレン(LLD
PE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超
低密度ポリエチレンLLDPE)}、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル
(メチルエステル、またはエチルエステル)共重合体]
にグラフトしたものも、好適にもちいられる。
【0031】また本発明においては樹脂層(D)以外の
他の樹脂層を設けることができるが、他の樹脂として
は、ポリアミド樹脂(PA)があげられる。PAとして
は、ナイロン6、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン
12、ナイロン66、ナイロン69、ナイロン611、
ナイロン612の単量体の二元以上の共重合体、及びナ
イロン6、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、
ナイロン66、ナイロン69、ナイロン611、ナイロ
ン612があげられる。又、ガスバリヤー性上記ナイロ
ンより優れた芳香族系ナイロン、例えば、アジピン酸と
メタキシリレンジアミンとの重合体、ヘキサメチレンジ
アミンとm,p−フタル酸との共縮合体、あるいはこれ
らと上記PA樹脂との共縮合体、あるいは溶融ブレンド
物などからなるものが好ましい。
【0032】これらの樹脂層(D)は層(G)の片面ま
たは両面に直接接触して積層することが好ましいが、前
記したオレフィン系樹脂層またはPA層などの樹脂層
(D)を層(G)に直接接しない位置に設ける事も出
来、回収再使用品などを含む樹脂層を他の構成層として
一層あるいはそれ以上設ける事も出来る。また層
(G)、樹脂層(D)およびその他の構成層には延伸
性、ガスバリヤー性を阻害しない範囲で、無機フィラ
ー、顔料などの無機添加物および/または有機添加物、
およびフィルム製造時などで発生するトリム、屑などの
回収再使用品などを添加することができる。
【0033】本発明の多層フィルム中の樹脂層(D)の
厚み(延伸後の厚み)は耐熱性の点から3μ以上、延伸
性、寸法安定性の点から1000μ以下が好ましい。さ
らに好適には5〜500μである。又層(G)の厚みは
ガスバリヤー性と延伸性のバランスから3〜20μが好
ましく、3〜15μである事が更に好ましい。また樹脂
層(D)の厚みは層(G)の厚みよりも厚い事が好まし
く、層(G)及び樹脂層(D)がそれぞれ2層以上ある
場合は、樹脂層(D)の合計厚みが層(G)の合計厚み
よりも厚い事が好ましい。多層フィルムの全体の厚みは
6〜1200μが好ましく、さらに好適には10〜10
00μである。
【0034】多層フィルムの構成としては、(1)層
(G)/樹脂層(D)/樹脂層(D)、(2)樹脂層
(D)/樹脂層(D)/層(G)/樹脂層(D)/樹脂
層(D)、(3)樹脂層(D)/樹脂層(D)/層
(G)/樹脂層(D)/接着樹脂層/樹脂層(D)、
(4)/樹脂層(D)/層(G)/樹脂層(D)/樹脂
層(D)、(5)樹脂層(D)/樹脂層(D)/層
(G)/樹脂層(D)/樹脂層(D)/接着樹脂層/樹
脂層(D)、(6)層(G)/樹脂層(D)などが代表
的なものとしてあげられる。樹脂層(D)としては該樹
脂は異なっていてもよいし、また同じものでもよい。
【0035】次に本発明の熱収縮性フィルム、特に多層
フィルムを製造する方法を以下に述べる。層(G)、樹
脂層(D)及び他の任意の構成層を押出ラミネート法、
ドライラミネート法、共押ラミネート法、共押出シート
成形法、共押出インフレ成形法、溶液コート法などによ
り積層して積層体を得る。このとき押出成形された積層
物は直ちに冷水、冷風、冷却ロールへの密着等の方法で
可能な限り急冷し実質上非晶質にすることが好ましい。
【0036】次いで、該積層体をEVOH(A)の融点
以下の範囲で再過熱し、ロール延伸法、パンタグラフ式
延伸法、あるいはインフレ延伸法などにより一軸延伸、
好ましくは二軸延伸する。延伸に先立ち、該積層体に放
射線、電子線、紫外線などを照射し、層(G)、樹脂層
(D)、特に層(D)がポリオレフィン樹脂層である場
合は、この層を架橋すること、あるいは押出成形時、化
学架橋剤を添加し化学架橋すること、あるいは架橋ポリ
オレフィン樹脂層に層(G)を積層した多層構造体を用
いる事は延伸成形性がより改善されるのでより好適であ
る。延伸倍率として縦あるいは/および横それぞれ1.
3〜9倍、好ましくは1.5〜4倍が好ましく、面積倍
率としては2〜36倍が好ましい。又延伸加熱温度とし
ては、50〜140℃、好ましくは60〜100℃があ
げられる。加熱温度が50℃未満では延伸性が悪くな
り、寸法変化も大きくなる。また、加熱温度が140℃
を越えると所望の熱収縮率が得られない。得られたフィ
ルムはより好適な熱収縮性を付与されるために短時間
(例えば1〜30秒)、前記延伸加熱温度よりも若干高
い温度で熱固定されることがる。また、本発明におい
て、(G)の含水率については、特に限定するものでは
ないが、0.001〜10重量%以内である事が好適で
ある。
【0037】次に、熱収縮性フィルムで留意する項目と
して、フィルムの熱収縮に際して、熱収縮がフィルムの
各部分で均一に生じる必要がある事があげられる。すな
わち、不均一な熱収縮は内容物に局部的な変形、ゆが
み、つぶれが生じ外観上、好ましくない。一般的には、
熱収縮性フィルム製造時の延伸ムラが、熱収縮時に上記
異常を発現すると考えられる。前記のような延伸条件に
より得られた本発明の熱収縮性フィルム(多層フィルム
も含まれる)は均一な延伸性を有しており、X2=最大
厚み−最小厚み/平均厚みで表わされる値は1以下、と
くに0.9以下、さらには0.8以下を示し、前記のよ
うな熱収縮時の異常の発現が抑えられる。さらに均一延
伸性を示す他の目安として、延伸前原反を用い、二軸延
伸した場合の厚みムラの変化率(式ii)が30以下、好
適には20以下である事が好ましい。変化率Xを低く
し、均一延伸する為には延伸倍率をあげる、延伸スピー
ドをあげる、延伸温度を下げる方向が好ましいが、逆に
フィルムの破れ等が発生し、生産性が大きく低下する。
これらの要因は主として、使用する原料、特に延伸性の
悪いEVOHにある。ところが、本発明の前記G(層)
を用いる事により上記問題点を大きく改善すること、特
に低テンション下においても延伸性が優れていることを
見出だした事は驚くべき事である。
【0038】さらに、熱収縮時の局所的不均一収縮を全
て上記延伸ムラでは理解出来ない場合がある。すなわ
ち、変化率Xは小さくても、熱収縮後の外観にシワ状の
ムラが生じる場合がある。原因は定かではないが、局所
的に収縮力が変動、すなわち異方性がフィルムに生じて
いることが原因となっていると推定される。本発明の熱
収縮性フィルムは均一な収縮性を有しており、Y2=最
大厚み−最小厚み/平均厚みで表わされる値は3以下、
とくに2.5以下、さらに2以下を示し、前記のような
熱収縮後のシワ状のムラの発現が抑えられる。
【0039】さらに均一性の目安として熱収縮後のフィ
ルム厚みムラ変化率Y(iii)を定義した場合、外観良
好、均一収縮が生じる為には変化率Yが5以下、好適に
は4以下である事が好ましく、この場合においても、熱
収縮性の低いEVOHではこの条件を満足するのは困難
である。ところが、本発明の前記G層を用いる事によ
り、上記問題点を大きく改善し、外観良好な収縮品が出
来上がる事は予想外の事であった。 X=X2/X1・・・・・・・・・(ii) 但し X1=(最大厚み−最小厚み)/平均厚み (延伸前) X2= 〃 (延伸後) Y=Y2/Y1・・・・・・・・・(iii) 但し Y1=(最大厚み−最小厚み)/平均厚み (熱収縮前) Y2= 〃 (熱収縮後)
【0040】なお、本発明のフィルムおよび多層フィル
ムを90℃熱水中に一分間浸漬した時の縦および/また
は横のそれぞれの収縮率は、10%以上、好ましくは1
5%以上、さらには30%以上である。この様にして得
られた本発明のフィルムまたは多層フィルムは熱収縮性
に優れており、90℃熱水中に一分間浸漬した時の面積
収縮率(この定義は表3の注3に記載)は10%以上、
好適には20%以上、さらには25%以上、好適には3
0%以上、最適には50%以上であり、また上限は90
%である。面積収縮率が10%未満では包装品の表面に
フィルムのしわが発生し、内容物と包装フィルムとの密
着性が損なわれ、商品の外観が劣る。特に、30%以上
のもの、さらには50%以上のものは生肉包装用の熱収
縮性フィルムとしてとくに優れている。以下、実施例に
より本発明をさらに説明するが、本発明はこれによりな
んら限定されるものではない。
【0041】
【実施例】
実施例1 エチレン含有量38モル%、けん化度99.5モル%、
メルトインデックス(MI)(190℃、2160g荷
重下で測定)5.5g/10min.のEVOH(a)
50重量部、およびエチレン含有量48モル%、けん化
度96.4モル%、メルトインデックス(MI)(19
0℃、2160g荷重下で測定)5.8g/10mi
n.のEVOH(b)50重量部をハイドロタルサイト
1000ppm/{(a)+(b)}を分散したメタノ
ール/水混合溶剤(85/15重量部)下溶液ブレンド
し、溶剤除去後、乾燥しEVOH組成物(A)を得た。
該EVOH(A)を用いて3種5層共押出装置にかけ、
5℃に維持された冷却ニップロールで急冷して多層シー
トを作成した。シートの構成は両最外層エチレン−酢酸
ビニル共重合体(EVA)樹脂層(D)(三井デュポン
ポリケミカル:エバフレックスEV−340)が各30
0μまた接着性樹脂層(D)(三井石油化学:アドマー
VF−600)が各50μ、さらに中間層には上記EV
OH組成物(A)層50μである。得られたシートをパ
ンタグラフ式二軸延伸機にかけ、70℃で延伸倍率3×
3倍で同時二軸延伸を行った。得られた多層熱収縮フィ
ルムはクラック、ムラ、偏肉も少なく、外観、透明性も
比較的良好であった。このフィルムを20℃−100%
RHに調湿し、酸素バリアー性を測定した所(モコン社
製10/50型)、30cc.20μ/m2.24h
r.atmと良好なガスバリアー性を示した。また、9
0℃の熱水中で1分間浸漬したときの熱収縮性を測定し
た所、60%の面積収縮率を示した。また、上記多層熱
収縮フィルムを2枚に折り畳み2方向(両サイド)をヒ
ートシールして袋を作成し、生肉を投入後、真空下で投
入口をヒートシールした。その後、該真空包装袋を80
℃温水に15秒間浸漬しフィルムを熱収縮させた。その
結果、生肉に密着したフィルムの外観はおれじわ、内容
物の異常変形も少なく比較的良好であった。さらに、上
記多層シートの厚み構成を、両最外層EVA樹脂層を各
30μまた接着性樹脂層を各5μ、中間層を上記EVO
H(A)層10μに変更し、得られたシートをスキンパ
ック包装機(ムルチバック社製)にかけスキンパック包
装を実施した。その結果、包装フィルムの外観は折れジ
ワ、内容物のツブレも少なく、比較的良好であった。
【0042】実施例2 エチレン含有量38モル%のエチレン−酢酸ビニル共重
合体50重量部、およびエチレン含有量48モル%、ビ
ニルトリメトキシシラン含有量0.015モル%、のエ
チレン−酢酸ビニル共重合体50重量部、をメタノール
溶剤下、溶液ブレンドし(溶液濃度=10重量%)、煮
沸下、メタノール蒸気を吹き込みつつ、苛性ソーダのメ
タノール溶液(苛性ソーダモル比=0.15)を滴下
し、酢酸ビニル部分の鹸化を実施した。溶剤除去後、水
洗、乾燥しEVOH組成物(A)を得た。得られたEV
OH(A)は実施例1と同様の方法により熱収縮性多層
フィルムを、同様の方法により性能評価を行った。その
結果を表1〜表3に示す。
【0043】実施例5 エチレン含有量44モル%、けん化度96.5モル%、
メルトインデックス(MI)(190℃、2160g荷
重下で測定)5.5g/10min.のEVOH(a)
50重量部、エチレン含有量48モル%、けん化度9
9.6モル%、メルトインデックス(MI)(190
℃、2160g荷重下で測定)5.8g/10min.
のEVOH(b)50重量部に対しハイドロタルサイト
1000ppmおよび化合物(B)(フタノール酸ジエ
チル)4重量部をドライブレンドし、30φ二軸押出機
を用い、220℃にてペレット化しEVOH組成物
(A)を得た。前記EVOH樹脂組成物(A)を用い、
3種5層共押出装置にて、両最外層がそれぞれ300μ
のEVA樹脂層(三井デュポリケミカル:エバフレック
スEV−340)、中間層が50μの前記EVOH組成
物(A)層であり、EVA樹脂層(D)とEVOH組成
物層との間にそれぞれ50μの接着性樹脂層(D)(三
井石油化学 アドマーVF−600、EVA樹脂の無水
マレイン酸変性物)を有する5層構成のシートを5℃に
維持された冷却ニップロールで急冷下製膜した。得られ
たシートをパンタグラフ式二軸延伸機にかけ、70℃で
延伸倍率3×3倍で同時二軸延伸を行った。次いで延伸
後のフィルム放置寸法安定化の為、75℃−5秒間の熱
固定を行なった。得られた多層熱収縮性フィルムは伸び
ムラも無く良好な外観を示した。得られた多層熱収縮フ
ィルムはクラック、ムラ、偏肉も少なく、外観(透明
性、ゲル、ブツ)も比較的良好であった。このフィルム
を20℃−100%RHに調湿し、酸素バリアー性を測
定した所(モコン社製10/50型)、31cc.20
μ/m2.24hr.atmと良好なガスバリアー性を
示した。また、90℃での熱収縮性を測定した所、67
%の面積収縮率を示した。さらに、上記延伸フィルムを
一ケ月放置(乾燥状態)した後、ガスバリアー性(20
℃−100%RHに調湿)を測定した結果、20cc.
20μ/m2.24hr.atmとさらに良好なガスバ
リアー性を示した。また、上記5層構成シートの厚み構
成を両最外層EVA樹脂層が各30μまた接着性樹脂層
が各5μ、中間層にはEVOH樹脂組成物(A)層が1
0μと変更した以外は同様にして多層熱収縮フィルムを
作成した。得られたシートをスキンパック包装機(ムル
チバック社製)にかけスキンパック包装を実施した。そ
の結果、包装フィルムの外観は折れジワ、内容物のツブ
レも少なく比較的良好であった。結果を表1〜表3に示
した。
【0044】実施例8 エチレン含有量48モル%のエチレン−酢酸ビニル共重
合体70重量部、およびエチレン含有量52モル%、ビ
ニルトリメトキシシラン含有量0.015モル%、のエ
チレン−酢酸ビニル共重合体30重量部、をメタノール
溶剤下、溶液ブレンドし(溶液濃度=10重量%)、煮
沸下、メタノール蒸気を吹き込みつつ、苛性ソーダのメ
タノール溶液(苛性モル比=0.15)を滴下し酢酸ビ
ニル部分の鹸化を実施した。溶剤除去後、水洗、乾燥し
て得られたEVOHに対し、ハイドロタルサイト100
0ppmおよび化合物(B)(グリセリンモノステアレ
ート)4重量部をドライブレンドし、30φ二軸押出機
を用い、220℃にてペレット化しEVOH組成物
(A)を得た。得られたEVOH(A)は実施例5と同
様の方法により熱収縮性多層フィルムを得、同様の方法
により性能評価を行った。その結果を表1〜表3に示
す。
【0045】実施例9 延伸前の原反多層フィルムに電子線5Mradを照射し
た以外は、実施例5に記載と同様にして層熱収縮性多層
フィルムを作成し、実施例5と同様の性能評価を行い、
その結果を表1〜表3に示した。
【0046】実施例3,7,10,11、比較例3,4 表1〜2に示す以外は実施例2と同様の条件で熱収縮性
多層フィルムを得た。その結果を表1〜表3に示す。
【0047】実施例4、比較例1,2 表1〜2に示す以外は実施例1と同様の条件で熱収縮性
多層フィルムを得た。その結果を表1〜3に示す。
【0048】実施例6 表1〜2に示す以外は実施例5と同様の条件で熱収縮性
フィルムを得た。その結果を表1〜3に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
【発明の効果】本発明のフィルム、とくに多層フィルム
は、優れた延伸性および熱収縮性を有しており、さらに
熱収縮操作時、内容物との密着性も優れている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08J 5/18 CER 9267−4F C08K 5/04 KEK 7167−4J C08L 23/08 LDJ 7107−4J // B29K 29:00 B29L 7:00 4F 9:00 4F C08L 29:04

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(i)を満足し、かつ平均エチレ
    ン含有量20〜60モル%のエチレン−ビニルアルコー
    ル共重合体(A){EVOH(A)}層を少なくとも一
    層有し、かつ90℃の熱水中に一分間浸漬したときの面
    積収縮率が10%以上である熱収縮性フィルムまたは多
    層フィルム。 1≦│{T(1)−T(2)}−{t(1)−t(2)}│≦20・・・(i) ただしT(1)=T(2)およびt(1)=t(2)の
    場合 1≦│t(1)−T(1)│≦20 式中、走査型差動熱量計(DSC)測定においてEVO
    H(A)の最高温度側のピーク温度をT(1)℃、最低
    温度側のピーク温度をT(2)℃とする。また、EVO
    H(A)を塩基性溶剤で処理した時のDSC測定値にお
    いて、EVOHのT(1)に由来するピーク温度をt
    (1)℃,T(2)に由来するピーク温度をt(2)℃
    とする。
  2. 【請求項2】 90℃の熱水中に1分間浸漬したときの
    面積収縮率が30%以上である請求項1記載の熱収縮性
    フィルムまたは多層フィルム。
  3. 【請求項3】 EVOH(A)100重量部に対し、下
    記式(iv)〜(v)を満足する化合物(B)を0.1
    〜30重量部含有してなる組成物層(C)と、下記式
    (v)を満足する少なくとも1層の樹脂層(D)を有す
    る請求項1記載の熱収縮性多層フィルム。 5.5≧19−CH(A)×0.1−SP(B)≧1.5・・(iv) −1≦SP(B)−SP(D)≦3.5 ・・(v) 式中、CH(A)はEVOH(A)の平均エチレン含量
    率(モル%)を、SP(B)は化合物(B)の溶解性パ
    ラメーター(Fedorsの式)をSP(D)は樹脂層
    (D)を構成する樹脂(D)の溶解性パラメーター(F
    edorsの式)を示す。
  4. 【請求項4】 式(iv)〜(v)を満足する化合物
    (B)が疎水性可塑剤である請求項3記載の熱収縮性多
    層フィルム。
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