JP4514499B2 - ポリビニルアルコール系樹脂組成物、それからなる溶融成形物及びその製造方法 - Google Patents

ポリビニルアルコール系樹脂組成物、それからなる溶融成形物及びその製造方法 Download PDF

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本発明は、ビニルアルコール系重合体(以下PVAと略記することがある)及び脂肪酸エステル化合物からなるポリビニルアルコール系樹脂組成物及びその製造方法に関する。また、当該樹脂組成物からなる溶融成形物及び当該樹脂組成物を溶融紡糸してなる繊維に関する。
PVAを熱処理及び熱成形する際には、熱安定性(着色、臭気、粘度等)が極めて重要となる。特に溶融成形に関しては、PVAは熱溶融開始温度と熱分解温度とが非常に接近しており、ポリエチレンやポリプロピレンなどに比べると劣化が激しく、高い温度で連続して成形することが非常に困難であった。またPVAは金属との接着性が高いため、成形時に金属配管内部で滞留を起こし、劣化が促進されるという問題を抱えている。従ってPVAを容易に溶融成形するためにはコモノマーを共重合させる、あるいは可塑剤や水を添加する等の方法によって、融点を下げる、あるいはPVAの流動性を向上させる工夫がなされている。さらに金属セッケン等の滑剤を添加することで成形機の配管内でPVAが金属と接着することを抑え、樹脂滞留部での滑性を向上させるような工夫もなされている。
しかしながら金属セッケン等の滑剤は主にマグネシウム、カルシウム等2価の金属の塩からなり、PVAの分解反応を促進させる結果、成形物の強度が不十分になるという問題を抱えている。さらにこれら滑剤は融点が高いため溶融成形の際、沈積しやすく、ダイライン、ブツ等の原因となり、長期の連続成形を困難としている。また溶融紡糸時にはノズルの汚れの原因となり、断糸が多発し安定な紡糸を行えず、さらなる改善策が必要とされている。
特開平6−271735号公報(特許文献1)には、酢酸アルカリ金属塩含有量が0.1重量%以下であり、かつ一定量の酸を含有するオキシアルキレン基含有PVAに対して、特定の熱安定剤を添加した樹脂組成物が記載されている。当該樹脂組成物において、炭素数10以上の脂肪酸、その塩、そのアミドおよびそのエステルから選択される脂肪酸誘導体を添加することによって、熱安定性を向上させられるとされている。しかしながら、当該公報の明細書に例示されている脂肪酸誘導体や、実施例で使用されている脂肪酸誘導体を用いた場合には、樹脂組成物の熱安定性が未だ不十分であり、溶融紡糸を行う場合など高度な溶融安定性が要求される場合には使用が困難であった。これは、それらの脂肪酸誘導体の有する滑剤としての効果が不十分であるためであると考えられる。
特開2001−72710号公報(特許文献2)には、PVAと多価アルコールのカルボン酸エステルとを加熱して反応させる変性PVAの製造方法が記載されており、当該変性PVAは熱溶融成形が可能である。しかしながら、当該公報の実施例で具体的に使用されているようなカルボン酸エステルを用いた場合、樹脂組成物の熱安定性が未だ不十分であり、高度な溶融安定性が要求される場合には使用が困難であった。また、溶融混練時にカルボン酸エステルとPVAの水酸基とのエステル交換反応が容易に進行して、カルボン酸エステルが滑剤として効果的に作用することが困難であった。
また、特開2001−302868号公報(特許文献3)には、所定の重合度のPVAと多価アルコールのアルキレンオキシド付加物とからなる熱溶融性のPVA系樹脂組成物が記載されている。また、エチレン変性されたPVAを使用した樹脂組成物を溶融紡糸して繊維を製造する方法も記載されている。しかしながら、高温で溶融紡糸する場合など、高度な熱安定性が要求される場合には、その熱安定性は未だ不十分であった。
特開平6−271735号公報(特許請求の範囲、0016欄、0017欄、実施例) 特開2001−72710号公報(特許請求の範囲、実施例) 特開2001−302868号公報(特許請求の範囲)
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、熱安定性に優れ、熱溶融成形に適したポリビニルアルコール系樹脂組成物及びその製造方法を提供することを目的とするものである。また、そのような樹脂組成物からなる、長時間にわたって安定生産の可能な溶融成形物、特に繊維やフィルムを提供することを目的とするものである。
上記課題は、炭素数4以下のα−オレフィン単位を1〜10モル%含有するビニルアルコール系重合体(A)100重量部および脂肪酸ユニットの合計炭素数が36以上の脂肪酸エステル化合物(B)0.01〜10重量部からなり、ビニルアルコール系重合体(A)100重量部に対するアルカリ金属元素の含有量が0.00001〜0.05重量部であるポリビニルアルコール系樹脂組成物を提供することによって解決される。
このとき炭素数4以下のα−オレフィン単位エチレン単位であることが好適である。脂肪酸エステル化合物(B)が完全エステル置換体、特にグリセリンの脂肪酸トリエステルであることも好適である。また、可塑剤(C)を、ビニルアルコール系重合体(A)100重量部に対して1〜30重量部含有することも好ましく、この場合、可塑剤(C)が、3価以上の多価アルコール1モルに対しアルキレンオキシド1〜30モルを付加した化合物であることが好適である。
上記ポリビニルアルコール系樹脂組成物からなる溶融成形物が好適な実施態様である。また、上記ポリビニルアルコール系樹脂組成物を溶融紡糸してなる繊維、特に複合繊維が、好適な実施態様である。
上記課題は、ビニルアルコール系重合体(A)100重量部に対するアルカリ金属元素の含有量が0.00001〜0.05重量部であり炭素数4以下のα−オレフィン単位を1〜10モル%含有するビニルアルコール系重合体(A)100重量部に対し、脂肪酸ユニットの合計炭素数が36以上の脂肪酸エステル化合物(B)0.01〜10重量部を配合するポリビニルアルコール系樹脂組成物の製造方法を提供することによっても解決される。このとき、ビニルアルコール系重合体(A)と脂肪酸エステル化合物(B)とを配合して溶融混練することが好適である。
本発明のポリビニルアルコール系樹脂組成物は、熱安定性に優れているので、熱溶融成形時にゲル化や着色を抑制することができる。特に、長時間にわたって溶融紡糸して繊維を製造したり、長時間にわたって溶融製膜してフィルムを製造したりする際の工程性に優れている。
以下に本発明について詳細に説明する。本発明のポリビニルアルコール系樹脂組成物は、ビニルアルコール系重合体(A)および脂肪酸エステル化合物(B)とからなるものである。
PVA(A)は、ビニルエステルの重合体をけん化することにより得られる。ビニルエステルとしては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどが挙げられるが、工業的には酢酸ビニルが多く用いられる。
PVA(A)の重合度およびけん化度に特に制限はない。しかし、得られる成形物の機械的強度や形態安定性、さらには成形時の粘度安定性等を考えると、重合度100〜2000のものが好ましく用いられ、150〜1500のものがより好ましく、200〜1000のものが特に好ましい。けん化度については、成形時の熱安定性等を考慮すると、けん化度90〜99.99モル%のものが好ましく、さらには95〜99.98モル%のものがより好ましい。重合度は、主として重合率、溶媒量を調整することにより任意に変更できる。また、けん化度については、主として触媒濃度、反応時間、反応温度を調整することにより任意の値のものを得ることができる。
さらにPVA(A)はα−オレフィン単位を含有していてもよい。α−オレフィン単位としては炭素数4以下のものであることが好ましく、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等が挙げられるが、耐水性、吸湿性を考慮すると、エチレンがより好ましい。炭素数が5以上のα−オレフィン単位は生成するPVAの水溶性が低下する点から好ましくない。またβ−オレフィン単位の場合には重合反応性の点で本発明には用いることが困難である。α−オレフィン単位の好適な含有量は、1〜20モル%であり、含有量が20モル%を超える場合には、PVAの最も重要な要件である水溶性という性能が損なわれ、変性PVAの水への溶解性が低下する。
PVA(A)は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、ビニルアルコール単位、ビニルエステル単位、α−オレフィン単位以外の単量体単位を含有していてもよい。このような単位としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸などの不飽和酸類およびその塩またはその炭素数1〜18のアルキルエステル類;アクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその酸塩またはその4級塩などのアクリルアミド類;メタクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその酸塩またはその4級塩などのメタクリルアミド類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドなどのN−ビニルアミド類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アリルアセテート;プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、ヘキシルアリルエーテル等のアリルエーテル類;塩化ビニル、ふっ化ビニル、臭化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;塩化ビニリデン、ふっ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデン類;トリメトキシビニルシランなどのビニルシラン類;ポリオキシアルキレンアリルエーテルなどのオキシアルキレン基を有する単量体;酢酸イソプロペニル;3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、7−オクテン−1−オール、9−デセン−1−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オールなどのヒドロキシ基含有のα−オレフィン類;フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸などに由来するカルボキシル基を有する単量体;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などに由来するスルホン酸基を有する単量体;ビニロキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、ビニロキシブチルトリメチルアンモニウムクロリド、ビニロキシエチルジメチルアミン、ビニロキシメチルジエチルアミン、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロリド、N−アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムクロリド、N−アクリルアミドジメチルアミン、アリルトリメチルアンモニウムクロリド、メタアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルアリルアミン、アリルエチルアミンなどに由来するカチオン基を有する単量体などが挙げられる。
これらの単量体の中でも、入手のしやすさ、共重合性および得られる共重合体の溶融成形性の観点から、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アリルアセテート;プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、ヘキシルアリルエーテルなどのアリルエーテル類;ポリオキシアルキレンアリルエーテルなどのオキシアルキレン基を有する単量体;3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、7−オクテン−1−オール、9−デセン−1−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オールなどのヒドロキシ基含有のα−オレフィン類などが好ましい。
これらの単量体の含有量(共重合割合)は通常20モル%以下であり、10モル%以下が好ましく、5モル%以下がより好ましい。
ビニルエステル重合体の重合方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの公知の方法が挙げられる。その中でも、無溶媒あるいはアルコールなどの溶媒中で重合する塊状重合法や溶液重合法が通常採用される。溶液重合時に溶媒として使用されるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどの低級アルコールが挙げられる。重合に使用される開始剤としては、例えば、α,α’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル、過酸化ベンゾイル、n−プロピルパーオキシカーボネートなどのアゾ系開始剤または過酸化物系開始剤などの公知の開始剤が挙げられる。
ビニルエステル重合体は公知の方法によってけん化される。例えば、アルコールに溶解した状態でけん化される。けん化反応に使用されるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコールなどの低級アルコールが挙げられ、メチルアルコールが特に好適に使用される。特にビニルエステルの重合と得られたビニルエステル重合体のけん化反応を同一溶媒を用いて行うのが好ましく、この点で、溶媒としてメタノールが好適に用いられる。けん化反応に使用されるアルコールには、40重量%以下であれば、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、ベンゼン等の溶剤を含有していてもよい。けん化反応に用いられる触媒としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、ナトリウムメチラートなどのアルカリ触媒、あるいは鉱酸などの酸触媒が用いられる。けん化反応の温度については特に制限はないが、20〜60℃の範囲が適当である。けん化反応の進行に伴って、生成物が析出してくる場合には、その時点で生成物を粉砕し、洗浄後、乾燥することにより、PVA(A)が得られる。
本発明のポリビニルアルコール系樹脂組成物は、PVA(A)100重量部に対して、0.00001〜0.05重量部のアルカリ金属元素を含有する。アルカリ金属元素としては、カリウム、ナトリウムなどが挙げられ、それらは主に酢酸やプロピオン酸などの低級脂肪酸の塩、あるいはPVA(A)の単量体単位中に含まれるカルボキシル基やスルホン酸基などの塩として存在する。PVA(A)100重量部に対するアルカリ金属元素の含有量は、0.00003〜0.03重量部であることが好ましく、0.00005〜0.01重量部であることがより好ましい。アルカリ金属元素の含有量が0.00001重量部未満のものは工業的に製造が困難である。さらに得られた樹脂が十分な水溶性を示さず、未溶解物が残る場合がある。またアルカリ金属元素の含有量が0.05重量部を超える場合には、溶融成形時の分解およびゲル化が激しく成形が困難な場合があり、また得られる成形物やフィルムの着色も著しい。汎用PVAにおけるアルカリ金属元素の含有量は、通常、PVA100重量部に対して0.1〜5重量部の範囲である。したがって、本発明で使用するPVA(A)におけるアルカリ金属元素の含有量は、汎用PVAよりもかなり少ない量である。
特定量のアルカリ金属元素を本発明の樹脂組成物中に含有させる方法については特に制限されるものではない。脂肪酸エステル化合物(B)や可塑剤(C)は通常アルカリ金属元素を含有しないので、樹脂組成物中のアルカリ金属元素は、原料のPVA(A)中に含有していたものであることが好ましい。PVA(A)のアルカリ金属元素含有量を調整する方法としては、一旦PVAを得た後にアルカリ金属を含有する化合物を添加する方法、ビニルエステル系重合体をけん化してPVAを製造するに際し、けん化触媒としてアルカリ金属を含有するアルカリ性物質を使用し、けん化後のPVAを洗浄液で洗浄することによりPVA中に含まれるアルカリ金属元素の量を制御する方法などが挙げられ、後者の方法が工業的製造法としては好ましい。PVA(A)中のアルカリ金属元素の含有量は原子吸光分析で求めることができる。
さらに、本発明の樹脂組成物においては、脂肪酸ユニットの合計炭素数が36以上の脂肪酸エステル化合物(B)を特定量含有することが重要である。ここで、脂肪酸ユニットの合計炭素数とは、脂肪酸エステル化合物(B)を構成する1以上の脂肪酸残基に含まれる炭素数の合計の値である。炭素数36未満の場合には、相溶性は問題ないが、分子量、疎水性共に低いため十分な外部滑性が付与されない。
本発明で使用される脂肪酸エステル化合物(B)は、脂肪酸ユニットの合計炭素数が36以上のものである。その具体例としては、エチレングリコールジステアレート、エチレングリコールジベヘニレート、グリセリントリラウレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、グリセリンジベヘニレート、グリセリントリベヘニレート、ペンタエリスリトールトリラウレート、ペンタエリスリトールテトララウレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールジベヘニレート、ペンタエリスリトールトリベヘニレート、ペンタエリスリトールテトラベヘニレート等の多価アルコールの高級脂肪酸エステルが挙げられ、これらの中でもエチレングリコールジステアレート、エチレングリコールジベヘニレート、グリセリントリラウレート、グリセリントリステアレート、グリセリントリベヘニレート、ペンタエリスリトールテトララウレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘニレート等の完全エステル置換体であることが好ましく、グリセリントリラウレート、グリセリントリステアレート、グリセリントリベヘニレート等のグリセリントリエステルがより好ましい。脂肪酸エステル化合物(B)を構成する脂肪酸としては、炭素数12以上の高級脂肪酸が好ましい。また多価アルコールとしては、エチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の炭素数2〜5のアルコールが好ましい。もちろん本発明では、脂肪酸エステル化合物(B)として、2種以上の脂肪酸エステル化合物(B)を併用してもよい。
本発明の樹脂組成物において、PVA(A)100重量部に対する脂肪酸エステル化合物(B)の配合割合は0.01〜10重量部であり、0.01〜8重量部が好ましく、0.02〜7重量部がより好ましく、0.03〜5重量部が特に好ましい。脂肪酸エステル化合物(B)の配合割合が0.01重量部未満の場合には、成形時の滑性が不十分であり、また脂肪酸エステル化合物(B)の配合割合が10重量部を超える場合には成形物の強度が低下し、硬度、コシおよび形態安定性に欠け、ブロッキング性などにも問題が生じ好ましくない。
本発明の樹脂組成物が、さらに可塑剤(C)を含有することが、成形温度を低くでき、成形時の流動性を向上させられる点から好ましい。可塑剤(C)としては、グリセリン、ジグリセリン、ジエチレングリコールなどの多価アルコール類、これら多価アルコールのアルキレンオキシド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリエーテル類、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどのフェノール誘導体、N−メチルピロリドンなどのアミド化合物、水などが例示される。
これらの可塑剤(C)の中で、3価以上の多価アルコール1モルに対しアルキレンオキシド、特に好ましくはエチレンオキシドを1〜30モル付加させた化合物を添加することが、熱安定性に優れ、PVAとの相溶性に優れる点から好ましい。アルキレンオキシドの平均付加モル数が1未満では、相溶性は問題ないが、分子量が低いため、可塑化効果が低下する。またアルキレンオキシドの平均付加モル数が30を超えると、SP値が低下するため、PVAとの相溶性が低下する。なお、付加モル数は、平均したものであって、付加モル数に分布があってもよいが、30モルを超える付加物が50重量%以上混入することは好ましくない。より好ましくは、エチレンオキシドが1〜10モル%付加した化合物であり、さらに好ましくはエチレンオキシドが1〜4モル%付加した化合物である。可塑剤(C)として用いられ多価アルコールのアルキレンオキシド付加物を構成する多価アルコールとしてはグリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の炭素数3〜6の3〜6価のアルコールが好適なものとして挙げられる。また、可塑剤(C)の平均分子量は200〜1500であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、可塑剤(C)を1〜30重量部含有することが好ましく、2〜20重量部含有することがより好ましい。
また本発明の樹脂組成物においては、脂肪酸エステル化合物(B)の他に、場合によってはPVAの滑剤として一般に用いられているものを、本発明の特性を失わない範囲内で混合して使用することもできる。これらの滑剤としては、ラウリル酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ベヘミン酸アミド、ラウリル酸アミドEO付加物、ステアリン酸アミドEO付加物、ベヘミン酸アミドEO付加物、エチレンビスラウリル酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスベヘミン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミドなどの脂肪酸アミド系化合物、流動パラフィン、ポリエチレンワックスなどの炭化水素系化合物、ブチルステアレート、ライスワックス、硬化ヒマシ油、エチレングリコールモノステアレート等の脂肪酸のアルコールエステル、脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステル化合物、セチルアルコール、ステアリルアルコール等のアルコール系化合物などがこれに含まれる。このとき、脂肪酸エステル化合物(B)以外の滑剤として脂肪酸エステルを用いる場合には、その脂肪酸ユニットの合計炭素数は36未満ということになる。これら滑剤の添加量としては、PVA(A)100重量部に対して0.01〜1重量部が好ましい。
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて充填剤、着色剤、ガラス繊維や炭素繊維等の繊維類、香料、発泡剤、増量剤、剥離剤、紫外線吸収剤などの通常の添加剤を適宜配合しても差し支えない。例えば充填剤としては、無機物粉体を、形態安定性やブロッキング防止、硬度付与剤として添加することができる。例えば、タルク、炭酸カルシウム、クレー、マイカ、酸化チタン等で、平均粒子径は0.2〜10μmが好ましい。また添加量としてはPVA(A)100重量部に対して0〜100重量部であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物の製造方法としては、予めPVA(A)と脂肪酸エステル化合物(B)、場合によっては可塑剤(C)をブレンドした後、溶融混練してペレット化する方法、溶融混練機に別々に一定割合で仕込みながら混練、ペレット化する方法、さらには直接成形用の押出し機にそれぞれを仕込み、混練し、その混練物を繊維やフィルムの形状に押し出し、成形物を得る方法などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物を用いた溶融成形法としては特に限定はなく、Tダイ押出法、インフレーション成形法、ダイレクトブロー成形法、中空成形法等の押出成形法、射出成形法、圧締成形法、溶融紡糸法をはじめ任意の成形法が可能である。他の樹脂と共押出成形したり、紙やフィルム等の他の素材の上に溶融押出によるラミネート加工を行ったりしてもよい。
本発明の変性PVA(A)と脂肪酸エステル化合物(B)、場合によっては可塑剤(C)からなる樹脂組成物は、単独で成形するばかりでなく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド等の他の汎用樹脂とブレンドしたり、積層したり、混合紡糸したりすることができる。このようにして得られた成形物は疎水性樹脂の親水性付与や水に対する濡れ性の改良ができ、さらに成形後PVA樹脂部分を水で溶解、除去することによって中空成形物やポーラスな成形物や、微細な成形物が得られる。例えば、中空状の繊維やあるいは極細繊維の集束体などが得られる。
一例として、本発明の樹脂組成物を用いた繊維の製造にあたっては、公知の溶融紡糸装置を用いることができる。すなわち、溶融押出機で本発明の樹脂組成物ペレットを溶融し、溶融ポリマーを紡糸頭に導き、ギヤポンプで計量し、ノズルから吐出させた糸条を巻き取ることで得られる。
紡糸ノズルから吐出された糸条は延伸せずにそのまま高速で巻き取るか必要に応じて延伸される。延伸は紡糸ノズルから吐出された後一旦巻き取ってから延伸する場合と、延伸に引き続いて施される場合があるが、本発明においてはいずれでもよい。得られた糸条は、必要によりカットされ、ステープルの状態で、あるいはカットされることなく、モノフィラメントあるいはマルチフィラメントの状態で用いられ、織物、編物、不織布あるいはこれらの積層物とされる。染色工程等の熱水で処理する工程においてPVAが除去される場合もある。
特に、本発明の樹脂組成物とPVA以外の熱可塑性樹脂とを紡糸口金直前で合体させ、その状態で押出して紡糸する、いわゆる複合紡糸を行って複合繊維を製造することが好ましい。このような複合繊維を製造する場合には、紡糸パック形状が複雑であるために溶融樹脂の滞留が起こりやすい上に、PVA以外の熱可塑性樹脂の融点に合わせて高温で紡糸する場合も多いことから、PVA樹脂組成物に高度な熱溶融安定性が要求される。したがって、熱安定性に優れた本発明の樹脂組成物を用いることが特に好適である。PVA以外の熱可塑性樹脂としては特に限定されないが、ポリエステル、ポリオレフィンおよびポリアミドが好適なものとして挙げられ、特に融点の高いポリエステルが好適である。
本発明の樹脂組成物は、ゲル化等の問題なく安定に溶融成形することができ、本発明の樹脂組成物から、各種溶融成形物、例えば、繊維や不織布、フィルム、その他の成形物を得ることができる。一例として、他のポリマーと混合又は複合して繊維化又はフィルム化すると、得られた繊維やフィルム等の成形物から該PVA系樹脂組成物を除去することにより、多孔繊維や多孔フィルム、極細繊維等が得られ、保温性や透け防止性に優れた繊維やフィルムとして、極細繊維として衣料や各種包装材料等として使用される。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例において「部」および「%」は、特に断らない限り重量基準を意味する。また、重合度およびけん化度はJIS K6726により測定した。PVA中のα−オレフィン変性量はNMR測定より求めた。さらに、アルカリ金属元素の含有量については変性PVAを灰化させた後、酸に溶解したものを用いて、原子吸光光度計により測定した。
さらに、実施例に記載の色相、フィルム化工程性、繊維化工程性は以下の方法、基準により測定、評価した。
[色相]
滑剤添加ペレットの色相値をSpectro Color Meter(色差計)により測定した。
[フィルム化工程性]
フィルム成形の温度は230℃で、成型時の吐出量1.5kg/h、引き取り速度を調整して40μmの厚さのフィルムに製膜した。フィルム成形を連続24時間行い、24時間後のフィルム(サイズ:20×20cm)中のブツの数(径1mm以上のもの)を測定した。
[繊維化工程性]
PVAとポリエステルをそれぞれ別の押し出し機で溶融混錬して、PVAを鞘側に、ポリエステルを芯側になるように230℃、あるいは270℃の紡糸パックに導き、芯鞘比率1:1の複合繊維を得た。この時の紡糸調子で評価した。
A:全く単糸切れなく、5時間巻き取ることができる。
B:5時間で1回の単糸切れはあるが、マルチフィラメントとして5時間巻き取ることができる。
C:5時間で2回以上の単糸切れが生じるが、マルチフィラメントとして5時間巻き取ることができる。
D:単糸切れが著しく、マルチフィラメントとして約30分程度しか巻き取れない。
E:単糸切れが著しく、マルチフィラメントとして約5分程度しか巻き取れない。
F:単糸切れが著しく、全く巻き取れない。
実施例1
[エチレン変性PVAの製造]
撹拌機、窒素導入口、エチレン導入口、開始剤添加口およびディレー溶液添加口を備えた100L加圧反応槽に酢酸ビニル29.0kg、メタノール31.0kgを仕込み、60℃に昇温した後30分間窒素バブリングにより系中を窒素置換した。次いで反応槽圧力が5.9kg/cmとなるようにエチレンを導入仕込みした。開始剤として2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(AMV)をメタノールに溶解した濃度2.8g/L溶液を調製し、窒素ガスによるバブリングを行って窒素置換した。上記の重合槽内温を60℃に調整した後、上記の開始剤溶液170mLを注入し重合を開始した。重合中はエチレンを導入して反応槽圧力を5.9kg/cmに、重合温度を60℃に維持し、上記の開始剤溶液を用いて610mL/hrでAMVを連続添加して重合を実施した。10時間後に重合率が70%となったところで冷却して重合を停止した。反応槽を開放して脱エチレンした後、窒素ガスをバブリングして脱エチレンを完全に行った。次いで減圧下に未反応酢酸ビニル単量体を除去しポリ酢酸ビニルのメタノール溶液とした。得られた該ポリ酢酸ビニル溶液にメタノールを加えて濃度が50%となるように調整し、該ポリ酢酸ビニルのメタノール溶液200g(溶液中のポリ酢酸ビニル100g)に、46.5g(ポリ酢酸ビニル中の酢酸ビニル単位に対してモル比(MR)0.10)のアルカリ溶液(NaOHの10%メタノール溶液)を添加してけん化を行った。アルカリ添加後約2分で系がゲル化したものを粉砕器にて粉砕し、60℃で1時間放置してけん化を進行させた後、酢酸メチル1000gを加えて残存するアルカリを中和した。フェノールフタレイン指示薬を用いて中和の終了を確認後、濾別して得られた白色固体のPVA系樹脂にメタノール1000gを加えて室温で3時間放置洗浄した。上記洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱液して得られたPVA系樹脂を乾燥機中70℃で2日間放置して乾燥し、エチレン変性されたPVA(A)を得た。
得られたPVA(A)についてJIS K6726に従い分析を行ったところ、重合度330、けん化度98.4モル%、エチレン変性量10モル%であった。また、アルカリ金属元素の含有量はPVA(A)に対し0.0002重量部であった。このPVA(A)の粉末100重量部に、脂肪酸エステル化合物(B)としてグリセリントリステアレート(脂肪酸ユニットの合計炭素数:54)を0.1重量部添加し、更に可塑剤(C)としてソルビトールエチレンオキシド2モル付加物(三洋化成製SE−270)8重量部を一定割合で仕込みながら混錬し、下記の条件で押出することによりペレットを製造した。
(ペレット化条件)
押出機:東洋精機(株)製 ラボプラストミル
スクリュー:2軸同方向、25mmφ、L/D=26
スクリュー回転数:60rpm
設定温度:220℃
吐出量:3.2kg/h
次いでTダイを備えた押出機にペレットを供給しフィルムを成形した。
(フィルム化条件)
成形機:東洋精機(株) ラボプラストミル
(単軸 25mmφ L/D=28 回転数20rpm)
Tダイ:有効幅300mm
リップクリアランス:0.2mm
モーター:200V 定格20A
また押出機にペレットを供給し溶融紡糸した。
(繊維化条件)
複合比:PVA(A)/ポリエステル=50/50
吐出量:29.2g/分
ノズル:芯鞘タイプ、0.24mmφ×24ホール
紡糸ヘッド温度:230℃、270℃
紡速:4000m/分
ペレットの色相、フィルム化工程性および繊維化工程性を表1に示す。着色も少なく、ブツのない良好なフィルムを得た。繊維化においても全く単糸切れが発生せず、安定な工程性を示した。
実施例2および3
表1に示すようにグリセリントリステアレートの添加量を変更したこと以外は実施例1と同様の方法でペレット化、フィルム成形および繊維化試験を行った。評価結果を表1に示す。ブツの発生の少ないフィルム成形が可能であり、紡糸性も良好であった。
比較例1
実施例1において、脂肪酸エステル化合物(B)と可塑剤(C)を全く配合しなかった以外は、実施例1と同様にしてペレット化、フィルム成形、繊維化試験を行った。結果を表1に示す。フィルム化においてはブツの発生が激しく、繊維化工程では断糸多発、連続紡糸不可能であった。
比較例2および3
実施例1の脂肪酸エステル化合物(B)の添加量を変更すること以外は、実施例1と同様にしてペレット化、フィルム成形、繊維化試験を行った。結果を表1に示す。比較例2は脂肪酸エステル化合物(B)の量が少ないため、予想される滑性を十分に付与できずフィルム成形においてはブツの発生が多く問題であった。また繊維化試験においては安定な紡糸が行えなかった。また、比較例3はフィルム成形、紡糸性には問題なかったが、得られたフィルムはブロッキングが激しかった。また強度の低い繊維が得られ、実用性のないものであった。
実施例4および5
実施例1で用いたPVA(A)の代わりに表1に示すPVA(A)を用いる以外は実施例1と同様の方法でペレット化、フィルム成形および繊維化試験を行った。評価試験結果を表1に示す。フィルム成形性、紡糸性に問題はなかった。なお、実施例4及び5で用いたPVA(A)のアルカリ金属元素の含有量はそれぞれ、PVA(A)100重量部に対し0.003、0.02重量部であった。
比較例4
実施例1で用いたPVA(A)の代わりに表1に示すPVAを用いる以外は実施例1と同様の方法でペレット化、フィルム成形および繊維化試験を行った。評価試験結果を表1に示す。フィルム成形においてはブツの発生が多く問題であった。また繊維化試験においては安定な紡糸が行えなかった。なお、用いたPVAのアルカリ金属元素の含有量はPVA(A)100重量部に対し0.09重量部であった。
実施例6〜11
実施例1で用いた脂肪酸エステル化合物(B)の代わりに表1に示す脂肪酸エステル化合物(B)を用いること以外は実施例1と同様の方法でペレット化、フィルム成形および繊維化試験を行った。着色、フィルム成形性、繊維化工程性を表1に示す。いずれの実施例においても、ブツの少ないフィルムが得られ、紡糸性も良好であった。
実施例12
実施例1の可塑剤(C)を全く配合しない他は、実施例1と同様にしてペレット化、フィルム成形、繊維化試験を行った。結果を表1に示す。フィルム成形性、紡糸性に問題はなかった。
実施例13
実施例1で用いた可塑剤(C)の代わりにジグリセリンを用いる以外は実施例1と同様の方法でペレット化、フィルム成形、および繊維化試験を行った。評価試験結果を表1に示す。フィルム成形性、紡糸性に問題はなかった。
実施例14および比較例9
実施例1で用いたPVA(A)の代わりに表1に示すPVA(A)を用いること以外は実施例1と同様の方法でペレット化、フィルム成形および繊維化試験を行った。着色、フィルム成形性、繊維化工程性を表1に示す。フィルム成形性、紡糸性に問題はなかった。
比較例5〜8
実施例1で用いた脂肪酸エステル化合物(B)の代わりに表1に示す化合物を用いること以外は実施例1と同様の方法でペレット化、フィルム成形および繊維化試験を行った。着色、フィルム成形性、繊維化工程性を表1に示す。フィルム成形においてはブツの発生が多かった。繊維化試験においても断糸が多発した。
Figure 0004514499
以上より実施例1〜15では長時間の溶融フィルム成形、溶融紡糸を問題なく行うことができ、好ましくは実施例1、実施例6〜8、実施例10であり、より好ましくは実施例1、6において良好であった。対して比較例1〜8では安定に溶融成形を行うことができず、工程性、得られる成形物の物性等で問題が生じた。

Claims (11)

  1. 炭素数4以下のα−オレフィン単位を1〜10モル%含有するビニルアルコール系重合体(A)100重量部および脂肪酸ユニットの合計炭素数が36以上の脂肪酸エステル化合物(B)0.01〜10重量部からなり、ビニルアルコール系重合体(A)100重量部に対するアルカリ金属元素の含有量が0.00001〜0.05重量部であるポリビニルアルコール系樹脂組成物。
  2. 前記炭素数4以下のα−オレフィン単位がエチレン単位である請求項に記載のポリビニルアルコール系樹脂組成物。
  3. 脂肪酸エステル化合物(B)が完全エステル置換体である請求項1又は2に記載のポリビニルアルコール系樹脂組成物。
  4. 脂肪酸エステル化合物(B)がグリセリンの脂肪酸トリエステルである請求項に記載のポリビニルアルコール系樹脂組成物。
  5. 可塑剤(C)を、ビニルアルコール系重合体(A)100重量部に対して1〜30重量部含有する請求項1〜のいずれかに記載のポリビニルアルコール系樹脂組成物。
  6. 可塑剤(C)が、3価以上の多価アルコール1モルに対しアルキレンオキシド1〜30モルを付加した化合物である請求項に記載のポリビニルアルコール系樹脂組成物。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載のポリビニルアルコール系樹脂組成物からなる溶融成形物。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載のポリビニルアルコール系樹脂組成物を溶融紡糸してなる繊維。
  9. 複合繊維である請求項記載の繊維。
  10. ビニルアルコール系重合体(A)100重量部に対するアルカリ金属元素の含有量が0.00001〜0.05重量部であり炭素数4以下のα−オレフィン単位を1〜10モル%含有するビニルアルコール系重合体(A)100重量部に対し、脂肪酸ユニットの合計炭素数が36以上の脂肪酸エステル化合物(B)0.01〜10重量部を配合するポリビニルアルコール系樹脂組成物の製造方法。
  11. ビニルアルコール系重合体(A)と脂肪酸エステル化合物(B)とを配合して溶融混練する請求項10に記載のポリビニルアルコール系樹脂組成物の製造方法。
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