JP3657562B2 - 水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール繊維 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は特定の組成からなる水溶性の熱可塑性ポリビニルアルコール繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリビニルアルコール(以下、PVAと略称することもある)系水溶性繊維としては、1)原液溶媒と固化浴のいずれもが水系である湿式・乾湿式紡糸法による繊維、2)原液溶媒が水系である乾式紡糸法による繊維、3)原液溶媒と固化浴のいずれもが非水溶媒系の湿式・乾湿式紡糸(ゲル紡糸)法による繊維が知られている。
【0003】
これらのPVA系水溶性繊維は、ステープルまたはショートカット繊維として乾式不織布や紡績糸、製紙分野などで用いられたり、マルチフィラメントとして織物や編物に用いられている。特に80℃〜90℃の熱水に可溶のショートカット繊維は繊維状バインダーとして製紙工業において重要な位置を占め、マルチフィラメントもケミカルレースの基布として多く用いられている。また近年の環境問題において、環境にやさしい生分解性繊維としても注目されている。
【0004】
しかしながら、一般的にこれらの紡糸方法では、例えば、500m/分を超えるような高速紡糸が困難であること、繊維断面の形状を自由にコントロールすることが困難であること、紡糸工程で使用される各種溶剤の回収のための設備が必要であることなどの点において、溶融紡糸法に比較すると種々の制限を受け、特別な配慮が必要であることは否めなかった。
【0005】
一方、PVA系水溶性繊維を溶融紡糸によって得る方法も行われているが、PVAは熱安定性、曳糸性に乏しくゲル化などの問題がある。これを改善するためグリセリン、ジグリセリン等の可塑剤をPVAに配合し、流動性を上げることで紡糸温度を下げる工夫がなされている。しかしながら、グリセリン、ジグリゼリン等の可塑剤は、それ自身の熱安定性が低いため、繊維化工程で熱分解を起こし、可塑性、紡糸性の低下を招く。このような現象は分子量の低いグリセリンやグリセリンのエチレンオキサイド反応付加物を用いた場合に起こり易い。更に、PVA系水溶性繊維をゲル化等の問題なく溶融紡糸するために、PVAとの相溶性及び可塑化能に優れ、熱安定性の良好な可塑剤を開発するにあたり、ソルビトールに特定量のエチレンオキサイドを反応させた化合物が相溶性、可塑化能及び熱安定性の点でいずれも優れ、PVAに配合する提案がなされている。(特開2001−089932)しかしながら、長期生産性においてゲル化を抑制することが不十分であり、短期間で機台分解清掃を実施しなければならない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、PVA系水溶性繊維をゲル化等の問題なく長期間溶融紡糸するために、PVAとの相溶性及び可塑化能に優れ、熱安定性の良好な可塑剤ソルビトールに特定量のエチレンオキサイドを反応させた化合物をPVAに配合させ、なおかつPVAの流動性を向上させる滑剤として脂肪酸誘導体及び低分子量ポリオレフィンを配合することで、本発明に到達した。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、粘度平均重合度が200〜500、ケン化度が90〜99.99モル%、ビニルアルコールユニットに対するトライアッド表示による水酸基3連鎖の中心水酸基のモル分率が70〜99.9モル%であり、融点が160℃〜230℃であるポリビニルアルコール系重合体であって、かつアルカリ金属イオンを当量のナトリウムに換算した値で0.0003〜1質量部含有する水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール系重合体(A)と、可塑剤(B)と、滑剤(C)とからなる組成物を少なくとも一成分として含む水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール繊維であって、該滑剤(C)が脂肪酸誘導体あるいは分子量500〜10000の低分子量ポレオレフィンであり、かつ該組成物中に可塑剤(B)が1〜30質量%、滑剤(C)が0.05〜5質量%含有されていることを特徴とする水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール繊維である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明において用いられる水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール(以下単にPVAと略すこともある)とは、ポリビニルアルコールのホモポリマーは勿論のこと、例えば、共重合、末端変性、および後反応により官能基を導入した変性ポリビニルアルコールも包含するものである。
【0009】
本発明に用いられるPVAの粘度平均重合度(以下、単に重合度と略記する)は200〜500であり、230〜470が好ましく、250〜450が特に好ましい。重合度が200未満の場合には紡糸時に十分な曳糸性が得られず、繊維化できない。重合度が500を越えると溶融粘度が高すぎて、紡糸ノズルからポリマーを吐出することができない。また重合度500以下のいわゆる低重合度のPVAを用いることにより、水溶液で繊維を溶解するときに溶解速度が速くなるばかりでなく繊維が溶解する時の収縮率を小さくすることができる。
【0010】
PVAの重合度(P)は、JIS−K6726に準じて測定される。すなわち、PVAを再鹸化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度[η](dl/g)から次式により求められるものである。
P=([η]×103/8.29)(1/0.62)
重合度が上記範囲にある時、本発明の目的がより好適に達せられる。
【0011】
本発明のPVAの鹸化度は90〜99.99モル%でなければならない。93〜99.98モル%が好ましく、94〜99.97モル%がより好ましく、96〜99.96モル%が特に好ましい。鹸化度が90モル%未満の場合には、PVAの熱安定性が悪く熱分解やゲル化によって満足な溶融紡糸を行うことができないのみならず、後述する共重合モノマーの種類によってはPVAの水溶性が低下し、本発明の繊維を得ることができない場合がある。一方、鹸化度が99.99モル%より大きいPVAは安定に製造することができず、安定した繊維化もできない。
【0012】
本発明において、トライアッド表示による水酸基3連鎖の中心水酸基とは、PVAのd6−DMSO溶液での500MHz プロトンNMR(JEOL GX−500)装置、65℃測定による水酸基プロトンのトライアッドのタクティシティを反映するピーク(I)を意味する。ピーク(I)はPVAの水酸基のトライアッド表示のアイソタクティシティ連鎖(4.54ppm)、ヘテロタクティシティ連鎖(4.36ppm)およびシンジオタクティシティ連鎖(4.13ppm)の和で表わされ、全てのビニルアルコールユニットにおける水酸基のピーク(II)はケミカルシフト4.05ppm〜4.70ppmの領域に現れることから、本発明のビニルアルコールユニットに対するトライアッド表示による水酸基3連鎖の中心水酸基のモル分率は、100×(I)/(II)で表わされるものである。
【0013】
本発明においては、水酸基3連鎖の中心水酸基の量を制御することで、PVAの水溶性、吸湿性など水に関わる諸物性、強度、伸度、弾性率など繊維に関わる諸物性、融点、溶融粘度など溶融紡糸性に関わる諸物性をコントロールできる。これはトライアッド表示による水酸基3連鎖の中心水酸基は結晶性に富み、PVAの特長を発現させるためと思われる。
【0014】
本発明の繊維におけるPVAのトライアッド表示による水酸基3連鎖の中心水酸基の含有量は70〜99.9モル%であり、72〜99モル%が好ましく、74〜97モル%がより好ましく、75〜96モル%がさらに好ましく、76〜95モル%が特に好ましい。PVAのトライアッド表示による水酸基3連鎖の中心水酸基の含有量が70モル%未満である場合には、ポリマーの結晶性が低下し、繊維強度が低くなると同時に、溶融紡糸時に繊維が膠着して巻取り後に巻き出しできない場合がある。また本発明で目的とする繊維が得られない場合がある。PVAのトライアッド表示による水酸基3連鎖の中心水酸基の含有量が99.9モル%より大の場合には、ポリマーの融点が高いため溶融紡糸温度を高くする必要があり、その結果、溶融紡糸時のポリマーの熱安定性が悪く、分解、ゲル化、ポリマーの着色が起こる。
【0015】
また、本発明のPVAがエチレン変性のPVAである場合、下記式を満足することで本発明の効果は更に高くなるものである。
−1.5×Et+100≧モル分率≧−Et+85
ここで、モル分率(単位:モル%)はビニルアルコールユニットに対するトライアッド表示による水酸基3連鎖の中心水酸基のモル分率を表し、Etはビニルアルコール系共重合体が含有するエチレン含量(単位:モル%)を表す。
【0016】
本発明に用いられるPVAの融点(Tm)は160〜230℃であり、170〜227℃が好ましく、175〜224℃がより好ましく、180〜220℃が特に好ましい。融点が160℃未満の場合にはPVAの結晶性が低下し繊維強度が低くなると同時に、PVAの熱安定性が悪くなり、繊維化できない場合がある。一方、融点が230℃を越えると溶融紡糸温度が高くなり紡糸温度とPVAの分解温度が近づくために目的とする繊維を安定に製造することができない。
【0017】
速度10℃/分で250℃まで昇温した場合のPVAの融点を示す吸熱ピークのピークトップの温度を意味する。
【0018】
PVAは、ビニルエステル単位を鹸化することにより得られる。ビニルエステル単位を形成するためのビニル化合物単量体としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニルおよびバーサティック酸ビニル等が挙げられ、これらの中でもPVAを得る点からは酢酸ビニルが好ましい。
【0019】
本発明の繊維を構成するPVAは、ポリビニルアルコールのホモポリマーであっても共重合単位を導入した変性PVAであつてもよいが、溶融紡糸性、水溶性、繊維物性の観点からは、共重合単位を導入した変性ポリビニルアルコールを用いることが好ましい。共重合単量体の種類としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキサン等のα−オレフィン類、アクリル酸およびその塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸およびその塩、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル等のメタクリル酸エステル類、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド等のアクリルアミド誘導体、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド等のメタクリルアミド誘導体、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、エチレングリコールビニルエーテル、1,3−プロパンジオールビニルエーテル、1,4−ブタンジオールビニルエーテル等のヒドロキシ基含有のビニルエーテル類、アリルアセテート、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、ヘキシルアリルエーテル等のアリルエーテル類、オキシアルキレン基を有する単量体、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル類、酢酸イソプロペニル、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、7−オクテン−1−オール、9−デセン−1−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オール等のヒドロキシ基含有のα−オレフィン類、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−2−カプロラクタム、N−ビニル−2−ピロリドンなどのN−ビニルアミド類、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸または無水イタコン酸等に由来するカルボキシル基を有する単量体;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等に由来するスルホン酸基を有する単量体;ビニロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、ビニロキシブチルトリメチルアンモニウムクロライド、ビニロキシエチルジメチルアミン、ビニロキシメチルジエチルアミン、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドジメチルアミン、アクリルトリメチルアンモニウムクロライド、メタアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルアミン、アリルエチルアミン等に由来するカチオン基を有する単量体が挙げられる。これらの単量体の含有量は、通常20モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下である。
【0020】
これらの単量体の中でも、入手のしやすさなどから、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセン等のα−オレフィン類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、エチレングリコールビニルエーテル、1,3−プロパンジオールビニルエーテル、1,4−ブタンジオールビニルエーテル等のヒドキシ基含有のビニルエーテル類、アリルアセテート、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、ヘキシルアリルエーテル等のアリルエーテル類、オキシアルキレン基を有する単量体、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、7−オクテン−1−オール、9−デセン−1−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オール等のヒドロキシ基含有のα−オレフィン類に由来する単量体が好ましい。
【0021】
特に、共重合性、溶融紡糸性の観点からエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテンの炭素数4以下のα−オレフィン類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類がより好ましい。炭素数4以下のα−オレフィン類および/またはビニルエーテル類に由来する単位は、PVA中に0.1〜20モル%存在していることが好ましく、さらに4〜15モル%が好ましく、6〜13モル%が特に好ましい。さらに、α−オレフィンがエチレンである場合において、繊維物性が高くなることから、特にエチレン単位が4〜15モル%、より好ましくは6〜13モル%導入された変性PVAを使用することが好ましい。
【0022】
本発明で使用されるPVAは、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの公知の方法が挙げられる。その中でも、無溶媒あるいはアルコールなどの溶媒中で重合する塊状重合法や溶液重合法が通常採用される。溶液重合時に溶媒として使用されるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどの低級アルコールが挙げられる。共重合に使用される開始剤としては、α,α’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−バレロニトリル)、過酸化ベンゾイル、n−プロピルパーオキシカーボネートなどのアゾ系開始剤または過酸化物系開始剤などの公知の開始剤が挙げられる。重合温度については特に制限はないが、0℃−150℃の範囲が適当である。
【0023】
本発明の繊維におけるPVA中のアルカリ金属イオンの含有割合は、PVA100質量部に対してナトリウムイオン換算で0.0003〜1質量部であり、0.0003〜0.8質量部が好ましく、0.0005〜0.6質量部がより好ましく、0.0005〜0.5質量部が特に好ましい。アルカリ金属イオンの含有割合が0.0003質量部未満の場合には、得られた繊維が十分な水溶性を示さない場合がある。またアルカリ金属イオンの含有量が1質量部より多い場合には溶融紡糸時の分解及びゲル化が著しく繊維化することができない。アルカリ金属イオンとしては、カリウムイオン、ナトリウムイオン等があげられる。
【0024】
本発明において、特定量のアルカリ金属イオンをPVA中に含有させる方法は特に制限されず、PVAを重合した後にアルカリ金属イオン含有の化合物を添加する方法、ビニルエステルの重合体を溶媒中において鹸化するに際し、鹸化触媒としてアルカリイオンを含有するアルカリ性物質を使用することによりPVA中にアルカリ金属イオンを配合し、鹸化して得られたPVAを洗浄液で洗浄することにより、PVA中に含まれるアルカリ金属イオン含有量を制御する方法などが挙げられるが後者のほうが好ましい。なお、アルカリ金属イオンの含有量は、原子吸光法で求めることができる。
【0025】
鹸化触媒として使用するアルカリ性物質としては、水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムがあげられる。鹸化触媒に使用するアルカリ性物質のモル比は、酢酸ビニル単位に対して0.004〜0.5が好ましく、0.005〜0.05が特に好ましい。鹸化触媒は、鹸化反応の初期に一括添加しても良いし、鹸化反応の途中で追加添加しても良い。鹸化反応の溶媒としては、メタノール、酢酸メチル、ジエチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどがあげられる。これらの溶媒の中でもメタノールが好ましく、含水率を0.001〜1質量%に制御したメタノールがより好ましく、含水率を0.003〜0.9質量%に制御したメタノールがより好ましく、含水率を0.005〜0.8質量%に制御したメタノールが特に好ましい。洗浄液としては、メタノール、アセトン、酢酸メチル、酢酸エステル、ヘキサン、水などがあげられ、これらの中でもメタノール、酢酸メチル、水の単独もしくは混合液がより好ましい。洗浄液の量としてはアルカリ金属イオンの含有割合を満足するように設定されるが、通常、PVA100質量部に対して、300〜10000質量部が好ましく、500〜5000質量部がより好ましい。洗浄温度としては、5〜80℃が好ましく、20〜70℃がより好ましい。洗浄時間としては20分間〜10時間が好ましく、1時間〜6時間がより好ましい。
【0026】
また本発明の目的や効果を損なわない範囲で、必要に応じて銅化合物等の安定剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤、潤滑剤、結晶化速度遅延剤を重合反応時、またはその後の工程で添加することができる。特に熱安定剤としてヒンダードフェノール等の有機系安定剤、ヨウ化銅等のハロゲン化銅化合物、ヨウ化カリウム等のハロゲン化アルカリ金属化合物を添加すると、繊維化の際の溶融滞留安定性が向上するので好ましい。
【0027】
また必要に応じて平均粒子径が0.01μm以上5μm以下の微粒子を0.05質量%以上10質量%以下、重合反応時、またはその後の工程で添加することができる。微粒子の種類は特に限定されず、たとえばシリカ、アルミナ、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の不活性微粒子を添加することができ、これらは単独で使用しても2種以上併用しても良い。特に平均粒子径が0.02μm以上1μm以下の無機微粒子が好ましく、紡糸性、延伸性が向上する。以上、説明したPVAを用いることが、本発明の重要な要件である。
【0028】
さらに、本発明の繊維においては、可塑剤(B)と滑剤(C)が特定量含有されていることが重要である。
使用される可塑剤(B)の種類は特に限定されないが、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールおよびそのオリゴマー、ブチレングリコール及びそのオリゴマー、ポリグリセリン誘導体やグリセリン等にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドが付加したグリセリン誘導体、ソルビトールにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドが付加した誘導体、ペンタエリスリトール等の多価アルコール及びその誘導体、PO/EOランダム共重合物などがあげられる。可塑剤の添加量としては1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%の割合でPVAに配合することが曳糸性向上の点から好ましい。なかでも、繊維化工程で熱分解が起こりにくく、良好な可塑化性、紡糸性を得るためには、ソルビトールのアルキレンオキサイド付加物、ポリグリセリンアルキルモノカルボン酸エステル、PO/EOランダム共重合物などの可塑剤を1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%配合することが好ましく、特にソルビトール1モルにエチレンオキサイドを1〜30モル付加した化合物が好ましい。エチレンオキサイドの平均付加モル数が1未満では、相溶性は問題ないが、分子量が低いため、熱安定性に難がある。またエチレンオキサイドの平均付加モル数が30を超えると、SP値が低下するため、PVAとの相溶性が悪化し、繊維化工程性に悪影響を及ぼすようになる。なお、付加モル数は、平均したものであって、付加モル数に分布があってもよいが、30モル以上の付加物が50重量%以上混入することは好ましくない。
本発明の繊維には、可塑剤である該化合物(B)が組成物中に1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%含有されている。含有量が1質量%未満では可塑化性が不十分であり、30質量%を超えると繊維強度が低下する問題が起こる。また、該化合物(B)の平均分子量は約200〜1500であることが好ましい。
【0029】
一方、滑剤(C)としては、飽和脂肪族アミド(例えばステアリン酸アミド等)、不飽和脂肪酸アミド(例えばオレフィン酸アミド等)、ビス脂肪酸アミド(例えばエチレンビスステアリン酸アミド等)、脂肪酸金属塩(例えばステアリン酸カルシウム等)等の脂肪酸誘導体や、分子量500〜10000程度の低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン等の低分子量ポリオレフィンが挙げられる。本発明においては、滑剤(C)が組成物中に0.05質量%〜5質量%、好ましくは0.1〜1質量%含有されている。含有量が0.05質量%未満ではPVAの流動性が上がらず可塑剤のみの場合と大差が無く長時間の連続運転が不可能である。5質量%を超えると繊維化工程性が悪化し、繊維強度が低下する。
【0030】
可塑剤である該化合物(B)、滑剤である該化合物(C)をPVA(A)に添加する方法としては、特に制限はないが、二軸押出機を用いて、マスターチップ化する方法が、可塑剤を均一分散させるという点で好ましい。本発明のPVAからなる繊維の製造にあたっては、公知の溶融紡糸装置を用いることができる。すなわち、溶融押出機でPVAペレットを溶融し、溶融ポリマーを紡糸頭に導き、ギヤポンプで計量し、ノズルから吐出させた糸条を巻き取ることで得られる。紡糸ノズルから吐出された糸条は延伸せずにそのまま高速で巻き取るか必要に応じて延伸される。延伸は破断伸度(HDmax)×0.55〜0.9倍の延伸倍率でガラス転移点(Tg)以上の温度で延伸される。延伸倍率がHDmax×0.55未満では十分な強度を有する繊維が安定して得られず、HDmax×0.9を越えると断糸しやすくなる。延伸は紡糸ノズルから吐出された後に一旦巻き取ってから延伸する場合と、延伸に引き続いて施される場合があるが、本発明においてはいずれでもよい。延伸は通常熱延伸され、熱風、熱板、熱ローラー、水浴等のいずれを用いて行ってもよい。
【0031】
紡糸された繊維には、通常油剤が付与されるが、本発明で使用されるPVAは水溶性であり、吸湿性も高いので、水を含まないストレート油剤を付与することが好ましい。油剤成分は水を含まない制電剤成分と平滑剤成分とからなるが、たとえば、ポリオキシエチレンラウリルホスフェートジエタノールアミン塩、ポリオキシエチレンセチルホスフェートジエタノールアミン塩、アルキルイミダゾリウムエトサルフェート、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテルカチオン化物、モノステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンモノステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレントリステアリン酸ソルビタン、ステアリン酸グリセライド、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリエチレングリコールステアレート、ポリエチレングリコールアルキルエステル、ポリオキシエチレンカスターワックス、プロピオンオキサイド/エチレンオキサイド(PO/EO)ランダムエーテル、PO/EOブロックエーテル、PO/EO変性シリコーン、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド、高分子アマイド、ブチルセロソルブ、鉱物油、中性油から選んで配合したものを用いることができる。油剤を付与する方法は、通常行われているローラータッチ、烏口による方法でよい。
【0032】
紡出糸条の引取り速度は、一旦巻き取ってから延伸処理を行う場合、紡糸直結延伸の一工程で紡糸延伸して巻き取る場合、延伸を行わずに高速でそのまま巻き取る場合で異なるが、大凡500m/分から7000m/分の範囲で繊維化が可能である。500m/分未満で紡糸できないことはないが、生産性の点からは意味が少ない。一方、7000m/分を越えるような超高速では、繊維の断糸が起こりやすい。また、本発明におけるPVA繊維は、上記下組成物を一成分として含むものであれば、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン等の他の熱可塑性ポリマーをブレンドして紡糸したり、また、各種複合形態とした複合繊維としても差し支えない。さらに、繊維の断面形状は、丸断面のみならず3葉形、T形、4葉形、5葉形、6葉形、7葉形、8葉形等多葉形や十字形等各種の形状にすることが可能である。
【0033】
上記のようにして得られる本発明のPVA繊維は優れた水溶性を示すものであり、その水溶性は、繊維1gと100gの水を容器に入れ、90℃の温度で1時間攪拌処理し、処理液を濾紙を用いて濾過した後、濾紙上の未溶解物を絶乾させて量を測り、溶解率を求めた場合に、80%以上の溶解率を示す点に特徴を有するものである。さらに、本発明のPVA繊維は溶解処理によって未溶解物として残るものが殆どないため、処理容器や被処理物への付着がなく、後工程でのトラブルを防ぐことができるという特徴をも有するものである。
【0034】
【実施例】
以下に本発明を具体的に実施例で説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部及び%はことわりのない限り質量に関するものである。
【0035】
[PVAの分析方法]
PVAの分析方法は特に記載のない限りはJIS−K6726に従った。変性量は変性ポリビニルエステルあるいは変性PVAを用いて500MHzプロトンNMR(JEOL GX−500)装置による測定から求めた。アルカリ金属イオンの含有量は原子吸光法で求めた。
【0036】
[PVAのトライアッド表示による3連鎖の水酸基の割合]
PVAを鹸化度99.5モル%以上に鹸化後、十分にメタノール洗浄を行い、次いで90℃減圧乾燥を2日間したPVAを用いて、d6−DMSOに溶解した後、500MHz プロトンNMR(JEOL GX−500)装置により65℃測定を行った。PVA中のビニルアルコールユニットの水酸基由来のピークはケミカルシフト4.05ppmから4.70ppmの領域に現れ、この積分値をビニルアルコールユニット量(II)とする。PVAのトライアッド表示による水酸基3連鎖の中心水酸基はそれぞれアイソタクティシティ連鎖の場合4.54ppm、ヘテロタクティシティ連鎖の場合4.36ppmおよびシンジオタクティシティ連鎖の場合は4.13ppmに現れる。この3者の積分値の和をトライアッド表示による水酸基3連鎖の中心水酸基量(I)とする。本発明のPVAのビニルアルコールユニットに対するトライアッド表示による水酸基3連鎖の中心水酸基のモル分率は、100×(I)/(II)で表される。
【0037】
[融点]
PVAの融点は、DSC(メトラー社、TA3000)を用いて、窒素中、昇温速度10℃/分で250℃まで昇温後室温まで冷却し、再度、昇温速度10℃/分で250℃まで昇温した場合のPVAの融点を示す吸熱ピークのピークトップの温度で表した。
【0038】
[繊維化工程性評価]
100kgの繊維を紡糸する際に何回断糸するかによって、次のように評価した。
○:3回以内/100kg
△:4回〜7回/100kg
×:8回以上/100kg
【0039】
[繊維化工程連続ランニング性評価]
80kg/dayで繊維を紡糸する際に何回断糸するかによって、次のように評価した。
○:7日間の断糸回数が7回以内
△:7日間の断糸回数が7回〜20回
×:7日以内で断糸多発
【0040】
[繊維強度]
JIS−L1013に準じて測定した。
【0041】
[水溶性]
得られた繊維1gと100gの水を容器に入れ、90℃の温度で1時間攪拌処理し、処理液を濾紙を用いて濾過した後、濾紙上の未溶解物を絶乾させて量を測り、次式により溶解率を求めて評価した。また、容器中への付着物の量についても目視判断し、評価基準とした。
(1)溶解率=(1−X)×100(%)
X:絶乾した未溶解物の量(g)
○:溶解率80%以上
△: 〃 50%以上80%未満
×: 〃 50%未満
(2)容器中への付着物の量
○:全く無し
△:若干有り
×:非常に多い
【0042】
実施例1
[エチレン変性PVAの製造]
攪拌機、窒素導入口、エチレン導入口および開始剤添加口を備えた100L加圧反応槽に酢酸ビニル29.0kgおよびメタノール31.0kgを仕込み、60℃に昇温した後30分間窒素バブリングにより系中を窒素置換した。次いで反応槽圧力が5.9kg/cm2となるようにエチレンを導入仕込みした。開始剤として2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(AMV)をメタノールに溶解した濃度2.8g/L溶液を調整し、窒素ガスによるバブリングを行って窒素置換した。上記の重合槽内温を60℃に調整した後、上記の開始剤溶液170mlを注入し重合を開始した。重合中はエチレンを導入して反応槽圧力を5.9kg/cm2に、重合温度を60℃に維持し、上記の開始剤溶液を用いて610ml/hrでAMVを連続添加して重合を実施した。10時間後に重合率が70%となったところで冷却して重合を停止した。反応槽を開放して脱エチレンした後、窒素ガスをバブリングして脱エチレンを完全に行った。次いで減圧下に未反応酢酸ビニルモノマーを除去しポリ酢酸ビニルのメタノール溶液とした。得られた該ポリ酢酸ビニル溶液にメタノールを加えて濃度が50%となるように調整したポリ酢酸ビニルのメタノール溶液200g(溶液中のポリ酢酸ビニル100g)に、46.5g(ポリ酢酸ビニルの酢酸ビニルユニットに対してモル比(MR)0.10)のアルカリ溶液(NaOHの10%メタノール溶液)を添加して鹸化を行った。アルカリ添加後約2分で系がゲル化したものを粉砕器にて粉砕し、60℃で1時間放置して鹸化を進行させた後、酢酸メチル1000gを加えて残存するアルカリを中和した。フェノールフタレイン指示薬を用いて中和の終了を確認後、濾瀘別して得られた白色固体のPVAにメタノール1000gを加えて室温で3時間放置洗浄した。上記洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱液して得られたPVAを乾燥機中70℃で2日間放置して乾燥PVAを得た。
【0043】
得られたエチレン変性PVAの鹸化度は98.4モル%であった。また該変性PVAを灰化させた後、酸に溶解したものを用いて原子吸光光度計により測定したナトリウムの含有量は、変性PVA100質量部に対して0.03質量部であった。また、重合後未反応酢酸ビニルモノマーを除去して得られたポリ酢酸ビニルのメタノール溶液をn−ヘキサンに沈殿、アセトンで溶解する再沈精製を3回行った後、80℃で3日間減圧乾燥を行って精製ポリ酢酸ビニルを得た。該ポリ酢酸ビニルをDMSO−d6に溶解し、500MHzプロトンNMR(JEOLGX−500)を用いて80℃で測定したところ、エチレンの含有量は10モル%であった。上記のポリ酢酸ビニルのメタノール溶液をアルカリモル比0.5で鹸化した後、粉砕したものを60℃で5時間放置して鹸化を進行させた後、メタノールソックスレーを3日間実施し、次いで80℃で3日間減圧乾燥を行って精製されたエチレン変性PVAを得た。該PVAの平均重合度を常法のJIS K6726に準じて測定したところ330であった。該精製PVAの1,2−グリコール結合量および水酸基3連鎖の水酸基の含有量を500MHzプロトンNMR(JEOL GX−500)装置による測定から前述のとおり求めたところ、それぞれ1.50モル%および83%であった。さらに該精製された変性PVAの5%水溶液を調整し厚み10ミクロンのキャスト製フィルムを作成した。該フィルムを80℃で1日間減圧乾燥を行った後に、DSC(メトラー社、TA3000)を用いて、前述の方法によりPVAの融点を測定したところ206℃であった(表1)。
【0044】
次に、ソルビトール1モルに対してエチレンオキサイドを2モル付加した化合物(可塑剤)とエチレンビスステアリン酸アミド(滑剤)とを二軸押出機を用いて上記で得られた変性PVAに前者を5質量%、後者を0.1質量%添加、混合し変性PVA組成物を作成した。得られた変性PVA組成物を溶融紡糸機により240℃で丸孔ノズルより吐出し紡糸した。該紡糸原糸をローラープレート方式で通常の条件により延伸し、75d/36fのマルチフィラメントを得た。紡糸性、連続ランニング性、延伸性は良好で全く問題がなかった。また、水溶性についても90℃の水中で1時間処理した結果、96%の溶解率となり、容器への未溶解物の付着も認められなかった(表2)。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
実施例2〜5
実施例1で用いたPVAの代わりに表1に示すPVAを用いること以外は実施例1と同様の方法でマルチフィラメントを得た。紡糸性、延伸性は良好であり、水溶性についても問題なかった。
【0048】
実施例6〜8
表1に示すようにソルビトール/エチレンオキサイドの組成比及びその添加量を変更すること以外は実施例1と同様の方法でマルチフィラメントを得た。紡糸性、連続ランニング性、延伸性共に問題なく、水溶性も良好であった。
【0049】
実施例9〜11
表1で示すように脂肪酸誘導体(滑剤)の種類を変更すること以外は実施例1と同様の方法でマルチフィラメントを得た。紡糸性、連続ランニング性、延伸性共に問題なく、水溶性も良好であった。
【0050】
実施例12〜13
表1で示すように脂肪酸誘導体(滑剤)の添加量を変更すること以外は実施例1と同様の方法でマルチフィラメントを得た。紡糸性、連続ランニング性、延伸性共に問題なく、水溶性も良好であった。
【0051】
実施例14
表1で示すように滑剤を分子量6500の低分子ポリエチレンに変更すること以外は実施例1と同様の方法でマルチフィラメントを得た。紡糸性、連続ランニング性、延伸性共に問題なく、水溶性も良好であった。
【0052】
実施例15〜16
表1で示すように可塑剤の種類をポリグリセリンラウリン酸エステル、PO/EOランダム共重合物に変更すること以外は実施例1と同様の方法でマルチフィラメントを得た。紡糸性、連続ランニング性、延伸性共に問題なく、水溶性も良好であった。
【0053】
比較例1〜6
実施例1で用いたPVAの代わりに表1に示すPVAを用いること以外は実施例1と同様に紡糸を実施した。比較例1はPVAの溶融粘度が高すぎて巻取り不可であった。比較例2はPVAの溶融粘度が低すぎて曳糸性不良となり、単糸切れが頻発した。比較例3及び6はPVAが熱分解、ゲル化を起こして紡糸性が悪く巻き取れなかった。比較例4は、PVAの結晶性が低下しているためと推定される糸の膠着が起こり、解舒することが安定してできず、延伸性不良であった。比較例5は、紡糸性、延伸性は問題なかったが、90℃の水中で1時間処理しても、未溶解物が多く残り、水溶性不良であった。
【0054】
比較例7〜8
表1に示すようにソルビトール/エチレンオキサイドの組成比及びその添加量を変更すること以外は実施例1と同様に紡糸を実施した。比較例7は可塑剤の量が少ないため、予想される可塑効果が得られず長時間紡糸においてゲル化の問題が生じた。比較例8は、紡糸性、延伸性に問題はなかったが、繊維強度が低く、実用性のないものであった。
【0055】
比較例9〜11
表1で示すように脂肪酸誘導体の添加量を変更すること以外は実施例1と同様に紡糸を実施した。比較例9は脂肪酸誘導体を添加していないため短期間の繊維化工程性は良好であったが、連続ランニング4日目から断糸が多発した。比較例10は脂肪酸誘導体の添加量が少ないため、比較例9と同様連続ランニング4日目から断糸が多発した。比較例11は、脂肪酸誘導体の添加量が多いため、巻取り工程で糸が滑り耳落ちが激しく長時間の巻取りができなかった。
【0056】
【発明の効果】
本発明においては、特定の可塑剤を添加した特定組成のポリビニルアルコールを用いることにより、水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール繊維の繊維化工程性、連続ランニング性を大きく向上させることができる。また、得られた繊維は優れた水溶性を示すため、未溶解物が溶解処理系内に残り容器や被処理物に付着するという問題も殆どない。
Claims (4)
- 粘度平均重合度が200〜500、ケン化度が90〜99.99モル%、ビニルアルコールユニットに対するトライアッド表示による水酸基3連鎖の中心水酸基のモル分率が70〜99.9モル%であり、融点が160℃〜230℃であるポリビニルアルコール系重合体であって、かつアルカリ金属イオンを当量のナトリウムに換算した値で0.0003〜1質量部含有する水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール系重合体(A)と、可塑剤(B)と、滑剤(C)とからなる組成物を少なくとも一成分として含む水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール繊維であって、該滑剤(C)が脂肪酸誘導体あるいは分子量500〜10000の低分子量ポレオレフィンであり、かつ該組成物中に可塑剤(B)が1〜30質量%、滑剤(C)が0.05〜5質量%含有されていることを特徴とする水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール繊維。
- ポリビニルアルコール系重合体が、炭素数4以下のαオレフィン単位、ビニルエーテル単位及びN-ビニルアミド単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の単位を0.1〜20モル%含有する変性ポリビニルアルコールである請求項1記載の繊維。
- エチレン単位を4〜15モル%含有する変性ポリビニルアルコールである請求項2記載の繊維。
- 可塑剤(B)が、ソルビトール1モルに対してエチレンオキサイドを1〜30モル付加した化合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維。
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