JP4159694B2 - 繊維糊剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はビニルアルコール系重合体からなる繊維糊剤に関する。さらに詳しくは、生分解性が優れ、かつ製織性が良好な繊維糊剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、織物の経糸糊剤としてはポリビニルアルコール(以下、PVAと略記することがある)が最も多く使用され、糊付工程で糊付された糊剤は製織後は染色工程の最初の工程で洗浄除去される。また糊抜き時に発生するPVAを含む廃水の処理は通常活性汚泥処理されるが、その生分解性は充分でなく、年々厳しくなる排水規制に対応するのが困難な状況にある。また、繊維糊剤としてエチレンなどのオレフインで変性したPVAも知られている(特開平8−260355号公報、同9−31849号公報)が、この繊維糊剤も、生分解性、製織性に優れているものの、いまだ充分とは言えない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の従来技術の欠点を解消するためになされたものであり、生分解性が優れた、かつ製織性が良好な繊維糊剤を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、エチレン単位の含有量2〜19モル%、重合度200〜2000、けん化度80.0〜99.99モル%およびカルボン酸とラクトン環の合計含有量0.020〜0.40モル%であるビニルアルコール系重合体からなる繊維糊剤を提供することにより達成される。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明のビニルアルコール系重合体は、エチレン単位を有していることが必須である。エチレン単位の含有量としては、2〜19モル%であることが必須であり、2.5〜17モル%が好ましく、3〜15モル%がさらに好ましく、3.5〜13モル%が特に好ましい。エチレン単位の含有量が2モル%未満の場合には、水溶液の低温放置安定性および生分解性の向上の程度が小さい。エチレン単位の含有量が19モル%より大の場合には、PVAの最大の特徴である水溶性が低下する。
【0006】
本発明のビニルアルコール系重合体のエチレン単位の含有量は、該ビニルアルコール系重合体の前駆体であるエチレン単位を含有するポリビニルエステルのプロトンNMRから求めた。すなわち、得られたポリビニルエステルをn−ヘキサン/アセトンで再沈精製を3回以上十分に行った後、80℃での減圧乾燥を3日間して分析用のポリビニルエステルを作成した。該ポリマーをDMSO−D6に溶解し、500MHzのプロトンNMR(JEOL GX−500)を用いて80℃で測定した。ビニルエステルの主鎖メチンに由来するピーク(4.7〜5.2ppm)とエチレン、ビニルエステルおよび第3成分の主鎖メチレンに由来するピーク(0.8〜1.6ppm)を用いてエチレン単位の含有量を算出した。
【0007】
本発明のビニルアルコール系重合体の粘度平均重合度(以下、重合度と略記する)は200〜3000であり、220〜2500が好ましい。重合度が200未満の場合は、製織性が充分でないし、3000より大きい場合は、水溶液の粘度が高くなり、製織性も悪くなる。
【0008】
PVA系重合体の重合度(P)は、JIS−K6726に準じて測定される。すなわち、PVA系重合体を再けん化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度[η](dl/g)から次式により求められるものである。
P=([η]×103/8.29)(1/0.62)
【0009】
本発明のビニルアルコール系重合体のけん化度は80〜99.99モル%であり、84〜99.9モル%が好ましく、87〜99.7モル%がより好ましく、90〜99.5モル%が特に好ましい。けん化度が80モル%未満の場合は水溶性、生分解性が充分でない。
【0010】
本発明のビニルアルコール系重合体のカルボン酸とラクトン環の合計含有量は0.020〜0.40モル%であり、0.022〜0.37モル%が好ましく、0.024〜0.33モル%がより好ましく、0.025〜0.30モル%が特に好ましい。本発明におけるカルボン酸はそのアルカリ金属塩を包含し、アルカリ金属としてはカリウム、ナトリウムなどがあげられる。
カルボン酸とラクトン環の合計含有量が0.020モル%未満の場合には、生分解性が充分でない。一方、カルボン酸とラクトン環の合計含有量が0.40モル%を超える場合には、生分解性が低下する場合がある。
【0011】
さらにカルボン酸とラクトン環の合計含有量が下記の数3を満足する場合には、本発明の効果は著しく高くなることを見出した。
【0012】
【数3】
【0013】
(ここで、含有量(単位:モル%)はカルボン酸とラクトン環の合計含有量を表し、Pはビニルアルコール系重合体の粘度平均重合度を表す。)
【0014】
エチレン単位を特定量有し、かつカルボン酸およびラクトン環を有するビニルアルコール系重合体の製法としては、▲1▼酢酸ビニルなどのビニルエステル系単量体とカルボン酸およびラクトン環を生成する能力を有する単量体とを共重合して得られたビニルエステル系重合体を、アルコールあるいはジメチルスルホキシド溶液中でけん化する方法、▲2▼メルカプト酢酸、3−メルカプトプロピオン酸などのカルボン酸を含有するチオール化合物の存在下で、ビニルエステル系単量体を重合した後それをけん化する方法、▲3▼酢酸ビニルなどのビニルエステル系単量体を重合する際に、ビニルエステル系単量体およびビニルエステル系重合体のアルキル基への連鎖移動反応を起こし、高分岐ビニルエステル系重合体を得た後にけん化する方法、▲4▼エポキシ基を有する単量体とビニルエステル系単量体との共重合体をカルボキシル基を有するチオール化合物と反応させた後けん化する方法、▲5▼PVAとカルボキシル基を有するアルデヒド類とのアセタール化反応による方法などが挙げられる。
【0015】
ビニルエステル系単量体としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニルおよびバーサティック酸ビニル等が挙げられ、これらの中でもPVAを得る点からは酢酸ビニルが好ましい。
本発明のカルボン酸およびラクトン環を生成する能力を有する単量体としては、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸または無水イタコン酸等に由来するカルボキシル基を有する単量体、アクリル酸およびその塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸およびその塩、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル等のメタクリル酸エステル類、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド等のアクリルアミド誘導体、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド等のメタクリルアミド誘導体が挙げられる。
【0016】
ビニルアルコール系重合体のカルボン酸とラクトン環の合計含有量はプロトンNMRのピークから求めることができる。ビニルアルコール系重合体をけん化度99.95モル%以上に完全にけん化後、十分にメタノール洗浄を行い、次いで90℃減圧乾燥を2日間して分析用のビニルアルコール系重合体を作成した。
上記▲1▼の場合、作成した分析用のビニルアルコール系重合体をDMSO−D6に溶解し、500MHzのプロトンNMR(JEOL GX−500)を用いて60℃で測定した。アクリル酸、アクリル酸エステル類、アクリルアミドおよびアクリルアミド誘導体の単量体は、主鎖メチンに由来するピーク(2.0ppm)を用いて、メタクリル酸、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミドおよびメタクリルアミド誘導体の単量体は、主鎖に直結するメチル基に由来するピーク(0.6〜1.1ppm)を用いて、常法により含有量を算出した。フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸または無水イタコン酸等に由来するカルボキシル基を有する単量体は、作成した分析用PVAをDMSO−D6に溶解後トリフルオロ酢酸を数滴加え、500MHzのプロトンNMR(JEOL GX−500)を用いて60℃で測定した。定量は4.6〜5.2ppmに帰属されるラクトン環のメチンピークを用いて常法により含有量を算出した。
▲2▼および▲4▼の場合、硫黄原子に結合するメチレンに由来するピーク(2.8ppm)を用いて含有量を算出した。
▲3▼の場合、作成した分析用PVAをメタノール−D4/D2O=2/8に溶解し、500MHzのプロトンNMR(JEOL GX−500)を用いて80℃で測定した。末端のカルボン酸もしくはそのアルカリ金属塩のメチレン由来ピーク(下記の化1および化2)は2.2ppm(積分値A)および2.3ppm(積分値B)に帰属し、末端のラクトン環のメチレン由来ピークは(下記の化3)は2.6ppm(積分値C)、ビニルアルコール単位のメチン由来ピークは3.5〜4.15ppm(積分値D)に帰属し、下記の化3でカルボン酸およびラクトン環の含有量を算出する。ここで△は変性量(モル%)を表す。
カルボン酸およびラクトン環の含有量(モル%)=50×(A+B+C)×(100−△)/(100×D)
【0017】
【化1】
【0018】
【化2】
【0019】
【化3】
【0020】
▲5▼の場合、作成した分析用PVAをDMSO−D6に溶解し、500MHzのプロトンNMR(JEOL GX−500)を用いて60℃で測定した。アセタール部分のメチンに由来するピーク4.8〜5.2ppm(下記の化4)を用いて、定法により含有量を算出した。
【0021】
【化4】
【0022】
本発明の効果を損なわない範囲であれば、ビニルアルコール単位、エチレン、ビニルエステル単位および前述のカルボン酸およびラクトン環を生成する能力を有する単量体以外の単量体単位を含有していてもよい。このような単位としては、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセン等のα−オレフィン類、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド等のアクリルアミド誘導体、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド等のメタクリルアミド誘導体、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、エチレングリコールビニルエーテル、1,3−プロパンジオールビニルエーテル、1,4−ブタンジオールビニルエーテル等のヒドロキシ基含有のビニルエーテル類、アリルアセテート、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、ヘキシルアリルエーテル等のアリルエーテル類、オキシアルキレン基を有する単量体、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、酢酸イソプロペニル、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、7−オクテン−1−オール、9−デセン−1−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オール等のヒドロキシ基含有のα−オレフィン類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等に由来するスルホン酸基を有する単量体;ビニロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、ビニロキシブチルトリメチルアンモニウムクロライド、ビニロキシエチルジメチルアミン、ビニロキシメチルジエチルアミン、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、3−(N−メタクリルアミド)プロピルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドジメチルアミン、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、メタアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルアミン、アリルエチルアミン等に由来するカチオン基を有する単量体が挙げられる。これらの単量体の含有量は、使用される目的や用途等によって異なるが通常20モル%以下、好ましくは10モル%以下である。
【0023】
本発明のビニルアルコール系重合体は、前述のカルボン酸を有するメルカプタンを除く2−メルカプトエタノール、n−ドデシルメルカプタンなどのチオール化合物の存在下で、酢酸ビニルなどのビニルエステル系単量体を、エチレンと共重合し、それをけん化することによって得られる末端変性物でもよい。
【0024】
ビニルエステル系単量体とエチレンとの共重合の方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの公知の方法が挙げられる。その中でも、無溶媒あるいはアルコールなどの溶媒中で重合する塊状重合法や溶液重合法が通常採用される。
【0025】
溶液重合時に溶媒として使用されるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどの低級アルコールが挙げられる。
【0026】
共重合に使用される開始剤としては、α,α'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−バレロニトリル)、過酸化ベンゾイル、n−プロピルパーオキシジカーボネートなどのアゾ系開始剤または過酸化物系開始剤などの公知の開始剤が挙げられる。重合温度については特に制限はないが、0℃〜150℃の範囲が適当である。
【0027】
本発明のビニルアルコール系重合体は生分解性を有しており、活性汚泥処理あるいは土壌に埋めておくと分解されて水と二酸化炭素になる。該PVAを活性汚泥で連続処理すると2日間で完全に分解される。生分解性の点からも該ビニルアルコール系重合体は水溶性もしくは水分散性であることが必要であり、該ビニルアルコール系重合体の1,2−グリコール結合含有量は1.2〜2.0モル%であり、1.25〜1.95モル%が好ましく、1.3〜1.9モル%がより好ましい。該ビニルアルコール系重合体の1,2−グリコール結合含有量が1.2モル%未満の場合には、前述の該ビニルアルコール系重合体の生分解性が悪くなる。
【0028】
ビニルアルコール系重合体の1,2−グリコール結合含有量は、エチレンカーボネートを代表とする共重合および重合温度によってコントロールすることができる。PVAの1,2−グリコール結合含有量はNMRのピークから求めることができる。けん化度99.9モル%以上にけん化後、十分にメタノール洗浄を行い、次いで90℃減圧乾燥を2日間したPVAをDMSO−D6に溶解し、トリフルオロ酢酸を数滴加えた試料を500MHzのプロトンNMR(JEOL GX−500)を用いて80℃で測定する。
ビニルアルコール単位のメチン由来ピークは3.2〜4.0ppm(積分値A)、1,2−グリコール結合の1つのメチン由来のピークは3.25ppm(積分値B)に帰属され、次式で1,2−グリコール結合含有量を算出できる。ここで△はエチレン変性量(モル%)を表す。
1,2−グリコール結合含有量(モル%)=B(100−△)/A
【0029】
本発明において、ビニルアルコールユニットに対するトライアッド表示による水酸基3連鎖の中心水酸基とは、PVAのDMSO−D6溶液での500 MHzプロトンNMR(JEOL GX-500)装置、65℃測定による水酸基プロトンのトライアッドのタクティシティを反映するピーク(I)を意味する。
ピーク(I)はPVAの水酸基のトライアッド表示のアイソタクティシティ連鎖(4.54ppm)、ヘテロタクティシティ連鎖(4.36ppm)およびシンジオタクティシティ連鎖(4.13ppm)の和で表わされ、全てのビニルアルコールユニットにおける水酸基に由来するピーク(II)はケミカルシフト4.05ppmから4.70ppmの領域に現れることから、本発明のビニルアルコールユニットに対するトライアッド表示による水酸基3連鎖の中心水酸基のモル分率は、100×(I)/(II)で表されるものである。
【0030】
本発明においては、水酸基3連鎖の中心水酸基の量を制御することで、ビニルアルコール系重合体の生分解性、皮膜強度などをコントロールできる。これはトライアッド表示による水酸基3連鎖の中心水酸基は結晶性に富み、ビニルアルコール系重合体の特長を発現させるためと思われる。
【0031】
本発明のビニルアルコール系重合体のトライアッド表示による水酸基3連鎖の中心水酸基の含有量は65〜98.0モル%であり、70〜97.5モル%が好ましく、72〜97モル%がより好ましく、74〜96モル%がさらに好ましく、75〜95モル%が特に好ましい。
【0032】
さらに本発明のビニルアルコール系重合体が、下記の数4を満足するビニルアルコールユニットに対するトライアッド表示による水酸基3連鎖の中心水酸基のモル分率を有する場合に、本発明の効果は著しく高くなることを見出した。
【0033】
【数4】
【0034】
{ここで、モル分率(単位:モル%)はビニルアルコールユニットに対するトライアッド表示による水酸基3連鎖の中心水酸基のモル分率を表し、Etはビニルアルコール系重合体が含有するエチレン含量(単位:モル%)を表す。}
【0035】
本発明のエチレンを含有するビニルアルコール系重合体組成物では、アルカリ金属を有することにより、水溶性、製織性をより向上させることができる。ビニルアルコール系重合体(A)100重量部に対するアルカリ金属(B)の含有割合は、アルカリ金属(B)がナトリウム換算で0.0003〜1重量部であり、0.0003〜0.8重量部が好ましく、0.0005〜0.6重量部がより好ましく、0.0005〜0.5重量部が特に好ましい。アルカリ金属としては、カリウム、ナトリウム等が挙げられ、それらは主として酢酸やプロピオン酸などの低級脂肪酸の塩、本発明のカルボン酸を特定量含有するPVAのカルボン酸の塩および共重合単量体中に含まれるスルホン酸の塩として存在し、さらには添加剤中に存在する場合も一向に差し支えない。
【0036】
本発明において、特定量のアルカリ金属(B)をビニルアルコール系重合体中に含有させる方法は特に制限されず、いったんビニルアルコール系重合体を得た後にアルカリ金属含有の化合物を添加する方法、ビニルエステルの重合体を溶媒中においてけん化するに際し、けん化触媒としてアルカリ金属を含有するアルカリ性物質を使用することによりビニルアルコール系重合体中にアルカリ金属を配合し、けん化して得られたビニルアルコール系重合体を洗浄液で洗浄することにより、ビニルアルコール系重合体中に含まれるアルカリ金属を制御する方法などが挙げられるが後者のほうが好ましい。
アルカリ金属の含有量は、原子吸光法で求めることができる。
【0037】
本発明の特定のエチレンを有するビニルアルコール系重合体の製法としては、エチレンと前述のビニルエステル系単量体とを共重合して得られたビニルエステル系重合体を、アルコールあるいはジメチルスルホキシド溶液中でけん化する方法などの公知の方法が挙げられる。
【0038】
けん化触媒として使用するアルカリ性物質としては、水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムがあげられる。けん化触媒に使用するアルカリ性物質のモル比は、酢酸ビニル単位に対して0.004〜0.5が好ましく、0.005〜0.05が特に好ましい。けん化触媒は、けん化反応の初期に一括添加しても良いし、けん化反応の途中で追加添加しても良い。
けん化反応の溶媒としては、メタノール、酢酸メチル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。これらの溶媒の中でもメタノールが好ましく、含水率を0.001〜1重量%に制御したメタノールがより好ましく、含水率を0.003〜0.9重量%に制御したメタノールがより好ましく、含水率を0.005〜0.8重量%に制御したメタノールが特に好ましい。けん化反応の温度としては、5〜80℃が好ましく、20〜70℃がより好ましい。けん化時間としては5分間〜10時間が好ましく、10分間〜5時間がより好ましい。けん化方法としてはバッチ法や連続法など公知の方法が適用可能である
【0039】
洗浄液としては、メタノール、アセトン、酢酸メチル、酢酸エステル、ヘキサン、水などがあげられ、これらの中でもメタノール、酢酸メチル、水の単独もしくは混合液がより好ましい。
洗浄液の量としてはアルカリ金属(B)の含有割合を満足するように設定されるが、通常、PVA100重量部に対して、30〜10000重量部が好ましく、50〜3000重量部がより好ましい。洗浄温度としては、5〜80℃が好ましく、20〜70℃がより好ましい。洗浄時間としては20分間〜10時間が好ましく、1時間〜6時間がより好ましい。洗浄方法としてはバッチ法や交流洗浄法など公知の方法が適用可能である。
【0040】
本発明で得られる特定のエチレン変性量、重合度、けん化度、カルボン酸およびラクトン環量、1,2−グリコール結合量、水酸基連鎖を有するビニルアルコール系重合体からなる繊維糊剤は、とくに経糸糊剤として極めて有用である。糊剤の水溶液からなる糊液の樹脂分濃度としては、3〜15%程度が好適である。紡績糸の場合は、合成繊維と天然繊維との組み合わせが多いため、経糸に合った糊液調製が必要であり、フイラメントの場合は、単繊維間の接着による集束が主目的であるので、低粘度、高接着性の糊液調製が必要である。また、繊維に対する糊剤の付着量は織物の種類、使用する織機、糊付機などによって任意に選ばれるが、3〜15%程度が好適である。
【0041】
本発明の繊維糊剤には、本発明の目的を阻害しない範囲で、通常のPVA、澱粉、変性澱粉(加工澱粉)、アクリル系糊剤、水溶性セルロース系化合物(ヒドロキシルセルロース、カルボキシルメチルセルロースなど)、油剤、およびその他の助剤(消泡剤、防黴剤、帯電防止剤、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤など)を併用することもできる。
【0042】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、以下の実施例および比較例において「部」および「%」は、特に断らない限り重量基準を意味する。また、得られたエチレン変性PVAの分析、水溶性、生分解性、製織性を下記の要領で評価した。
【0043】
[エチレン変性PVAの分析方法]
PVAの分析方法は特に記載のない限りはJIS−K6726に従った。
本発明のエチレン変性量は変性ポリビニルエステルを用いて、カルボン酸とラクトン環の合計含有量、1,2−グリコール結合量および水酸基3連鎖の水酸基の含有量は、変性PVAを用いて500 MHz プロトンNMR(JEOL GX-500)装置による測定から前述のとおり求めた。
本発明の変性PVAの融点は、DSC(メトラー社、TA3000)を用いて、窒素中、昇温速度10℃/分で250℃まで昇温後室温まで冷却し、再度昇温速度10℃/分で250℃まで昇温した場合のPVAの融点を示す吸熱ピークのピークトップの温度を調べた。
アルカリ金属の含有量は原子吸光法で求めた。
【0044】
[エチレン変性PVAの水溶性]
溶解濃度が10%になるように、所定量のPVAを蒸留水中に分散させた後、温度95℃で3時間加熱攪拌を行ってPVA水溶液を調製した。次いで20℃に冷却し、目視により評価した。その結果を下記の記号で示す。
【0045】
5:水に完全に溶解し、水溶液は無色透明。
4:水に完全に溶解するが、水溶液は白濁。
3:水にほとんど溶解するが、一部不溶物がある。
2:かなり不溶物がある。
1:まったく溶解しない。
【0046】
[エチレン変性PVA生分解性]
5L曝気槽および2L沈殿槽からなる連続式排水処理試験機を用いて、カルボン酸およびラクトン環を有すエチレン変性PVAの生分解性を評価した。PVAを水に溶解させた後に、PVA、グルコース、L−グルタミン酸、塩化アンモニウム、塩化カリウム、りん酸二すい素カリウム、りん酸すい素二カリウム、塩化カルシウム、硫酸鉄および硫酸マグネシウムを700、360、180、120、8.4、300、300、6.7、1.5、0.7の各濃度(mg/l)で水に溶解し苛性ソーダでpH7に調整した後、殺菌して培地に使用した。汚泥は下水処理場のものを使用し、初期の汚泥濃度を4400ppmとした。曝気槽への培地供給速度は5L/日、曝気量は2L/日、曝気槽からオーバーフローした液は沈殿槽へ移動した後に沈殿物を分離させてから曝気槽へ返送汚泥として供給した。処理温度30℃で連続3日間の処理試験した後に、曝気槽中央部より懸濁した汚泥をピペットで採取した。次いで遠心分離を行った後に、上澄液中のPVA濃度(ppm)をよう素法で求め、これによりPVAの生分解性(%)を求めた。
【0047】
[エチレン変性PVAの製織性]
エチレン変性PVA濃度7%および油剤(ワープセット100;竹本油脂社製)濃度0.7%の水溶液からなる糊剤を調製し、下記の条件で製織した。
(1)織物
経糸:ポリエステル(65%)・綿(35%)混紡 45/1コーマ
緯糸:同上
組織:平織
織機:津田駒社製エアージェツト織機
(3)糊付
糊付機:津田駒社製 2ボックス型
糊付温度:94℃
付着量:12%
糸速度:65ヤード/分
乾燥温度:105〜125℃
(4)製織性は次の基準により評価した。
平均製織効率:
○ 平均製織効率93%より大
△ 平均製織効率85〜93%
× 平均製織効率85%未満
糸切れ:
○ 経糸切れ0.4回/時未満
△ 経糸切れ0.4回〜1回/時
× 経糸切れ1回/時より大
【0048】
実施例1
[エチレン変性PVAの製造]
撹拌機、窒素導入口、エチレン導入口、開始剤添加口およびディレー溶液添加口を備えた250L加圧反応槽に酢酸ビニル107.2kg、メタノール42.8kgおよび無水マレイン酸15.6gを仕込み、60℃に昇温した後30分間窒素バブリングにより系中を窒素置換した。次いで反応槽圧力が5.9Kg/cm2となるようにエチレンを導入仕込みした。開始剤として2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(AMV)をメタノールに溶解した濃度2.8g/L溶液を調整し、窒素ガスによるバブリングを行って窒素置換した。またディレー溶液として無水マレイン酸をメタノールに溶解した濃度5%溶液を調整し、窒素ガスによるバブリングを行って窒素置換した。上記の重合槽内温を60℃に調整した後、上記の開始剤溶液204mlを注入し重合を開始した。重合中はエチレンを導入して反応槽圧力を5.9Kg/cm2に、重合温度を60℃に維持し、上記の開始剤溶液を用いて640ml/hrでAMVを、また上記ディレー溶液を用いて無水マレイン酸を重合系中の酢酸ビニルと無水マレイン酸の比率が一定となるようにしながら連続添加して重合を実施した。4時間後に重合率が30%となったところで冷却して重合を停止した。この時点でディレーにより添加した無水マレイン酸ディレー溶液の総量は1400mlであった。反応槽を開放して脱エチレンした後、窒素ガスをバブリングして脱エチレンを完全に行った。次いで減圧下に未反応酢酸ビニルモノマーを除去しポリ酢酸ビニルのメタノール溶液とした。得られた該ポリ酢酸ビニル溶液にメタノールを加えて濃度が30%となるように調整したポリ酢酸ビニルのメタノール溶液333g(溶液中のポリ酢酸ビニル100g)に、46.5g(ポリ酢酸ビニル中の酢酸ビニルユニットに対してモル比[MR]0.10)のアルカリ溶液(NaOHの10%メタノール溶液)を添加してけん化を行った。アルカリ添加後約1分で系がゲル化したものを粉砕器にて粉砕し、40℃で1時間放置してけん化を進行させた後、酢酸メチル1000gを加えて残存するアルカリを中和した。フェノールフタレイン指示薬を用いて中和の終了を確認後、濾別して得られた白色固体のPVAにメタノール1000gを加えて室温で3時間放置洗浄した。上記洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱液して得られたPVAを乾燥機中70℃で2日間放置して乾燥PVA(PVA−1)を得た。
【0049】
[エチレン変性PVAの分析]
得られたカルボン酸およびラクトン環を有するエチレン変性PVAのけん化度は98.5モル%であった。また該変性PVAを灰化させた後、酸に溶解したものを用いて原子吸光光度計により測定したナトリウムの含有量は、変性PVA100重量部に対して0.36重量部であった。
また、重合後未反応酢酸ビニルモノマーを除去して得られたポリ酢酸ビニルのメタノール溶液をn−ヘキサンに沈殿、アセトンで溶解する再沈精製を3回行った後、80℃で3日間減圧乾燥を行って精製ポリ酢酸ビニルを得た。該ポリ酢酸ビニルをDMSO−D6に溶解し、500MHzのプロトンNMR(JEOL GX−500)を用いて80℃で測定したところ、エチレン単位の含有量は7モル%であった。上記のポリ酢酸ビニルのメタノール溶液をアルカリモル比0.5でけん化した後、粉砕したものを60℃で5時間放置してけん化を進行させた後、メタノールソックスレーを3日間実施し、次いで80℃で3日間減圧乾燥を行って精製されたカルボン酸およびラクトン環を有すエチレン変性PVAを得た。該PVAの平均重合度を常法のJIS K6726に準じて測定したところ1000であった。該精製PVAのカルボン酸およびラクトン環の含有量、1,2−グリコール結合量および水酸基3連鎖の水酸基の含有量を500 MHz プロトンNMR(JEOL GX-500)装置による測定から前述のとおり求めたところ、それぞれ0.246モル%、1.61モル%および87%であった。
さらに該精製された変性PVAの5%水溶液を調整し厚み10ミクロンのキャスト製フィルムを作成した。該フィルムを80℃で1日間減圧乾燥を行った後に、DSC(メトラー社、TA3000)を用いて、前述の方法によりPVAの融点を測定したところ210℃であった。
【0050】
[エチレン変性PVAの水溶性、生分解性および製織性]
上記で得られたエチレン変性PVA(PVA−1)を用いて、前述の方法により水溶性を評価したところ、蒸留水に完全に溶解しており水溶液は無色透明であった。また上記処方にしたがって生分解性および製織性を測定した。その結果を、表13に示す。
【0051】
実施例2〜5、8〜11、12および16〜17
表1および表2に示す条件に変更した以外は実施例1と全く同様にしてビニルエステル系重合体を合成した。引き続き該ビニルエステル系重合体を表3および表4に示す条件に変更した以外は実施例1と全く同様にしてPVA系重合体を合成した。得られたPVA系重合体のエチレン含有量、重合度、けん化度、カルボン酸およびラクトン環含有量、1,2−グリコール結合量、ビニルアルコールユニットに対するトライアッド表示による水酸基3連鎖の中心水酸基の量およびPVA系重合体100重量部に対するナトリウム換算したアルカリ金属の含有量を表5および表6に示す。得られたPVA系重合体の水溶性、生分解性および製織性を表13および表14に示す。
【0052】
比較例1〜4、6〜11および13〜15
重合時の圧力を変更する(エチレンを含有しないPVA系重合体を合成する際には窒素シールの状態で重合した。)など、表7および表8に示す条件に変更した以外は実施例1と全く同様にしてビニルエステル系重合体を合成した。引き続き該ビニルエステル系重合体を、表9および表10に示す条件に変更した以外は実施例1と全く同様にしてPVA系重合体を合成した。得られたPVA系重合体のエチレン含有量、重合度、けん化度、カルボン酸およびラクトン環含有量、1,2−グリコール結合量、ビニルアルコールユニットに対するトライアッド表示による水酸基3連鎖の中心水酸基の量およびPVA系重合体100重量部に対するナトリウム換算したアルカリ金属の含有量を表11および表12に示す。得られたPVA系重合体の水溶性、生分解性および゛製織性を表15および表16に示す。
【0053】
表13から表16に示すように、PVAの水溶性、生分解性および製織性の評価において、いずれも良好な結果を示すのは本発明の所定の範囲の物性を有するもののみであり、比較例として挙げたものはいずれも水溶性、生分解性あるいは製織性のいずれかが悪い結果であった。
【0054】
実施例6および比較例5
実施例6は、攪拌機、窒素導入口、エチレン導入口および開始剤添加口を備えた250L加圧反応槽に、酢酸ビニル76.6kg、メタノール73.3kgおよびアリルグリシジルエーテル217gを仕込み、実施例1と全く同様にして系中を窒素置換した。次いで反応槽圧力、AMV量、コモノマーであるアリルグリシジルエーテルを連続添加しないなど表1に示す条件に変更した以外は実施例1と全く同様にしてアリルグリシジルエーテルを含有するビニルエステル系重合体を重合した。3時間後に重合率が20%となったところで冷却して重合を停止し、反応槽を開放して脱エチレンした後、窒素ガスをバブリングして脱エチレンを完全に行った。次いで減圧下に未反応酢酸ビニルモノマーを除去しポリ酢酸ビニルのメタノール溶液とした。得られた該ポリ酢酸ビニル溶液にメタノールを加えて濃度が35%となるように調整したポリ酢酸ビニルのメタノール溶液286g(溶液中のポリ酢酸ビニル100g)に、0.54gの3−メルカプトプロピオン酸と0.1gの酢酸ナトリウムを加えて50℃で2時間攪拌を行った後、46gのアルカリ溶液(NaOHの10%メタノール溶液)を添加してけん化を行った。アルカリ添加後約1分で系がゲル化したものを粉砕器にて粉砕し、40℃で1時間放置してけん化を進行させた後、酢酸の1%メタノール溶液1000gを加えて残存するアルカリを中和した。フェノールフタレイン指示薬を用いて中和の終了を確認後、濾別して得られた白色固体のPVAにメタノール1000gを加えて室温で3時間放置洗浄した。上記洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱液して得られたPVAを乾燥機中70℃で2日間放置して乾燥したカルボン酸を有するエチレン変性PVA(PVA−6)を得た。該エチレン変性PVAの分析結果および評価結果を表5および表13に示す。
比較例5は、エチレン加圧での重合を窒素シールの状態で重合するなど、表7および表9に示す条件に変更した以外は実施例6と全く同様にしてカルボン酸変性PVA(PVA−34)を得た。該PVAの分析結果および評価結果を表11および表15に示す。
【0055】
実施例7
実施例7は、PVA−2の100gを蒸留水に溶解した10%水溶液に濃塩酸を加えて水溶液のpHが1となるように調整したものに、4−オキソ−ブタン酸0.52gを加えて50℃で2時間攪拌した後反応溶液をNaOH溶液で中和して溶液のpHを7とし、該水溶液をMeOHに投じて析出したPVAを濾別し、3日間ソックスレー抽出(MeOH)を行ったものを乾燥機中70℃で2日間放置して乾燥したカルボン酸を有するエチレン変性PVA(PVA−7)を得た。それぞれのPVAの分析結果を表5および表11に、評価結果を表13および表15にそれぞれ示す。
【0056】
表5に示すように、実施例6のごとくエポキシ基を有するポリ酢酸ビニルとカルボン酸を有するチオールとの反応物をけん化した場合や、PVAにカルボン酸を有するアルデヒド化合物をアセタール化により付加反応させた場合においても、全く問題なくカルボン酸およびラクトン環をPVAに導入することができることがわかる。また表13の実施例6および実施例7に示すとおり、このような手法を用いて導入されたカルボン酸およびラクトン環は、共重合などの手法により導入された場合と全く相違ない機能を有することがわかる。
【0057】
実施例16および比較例12
コモノマーであるエチルビニルエーテルあるいはビニルトリメトキシシランを重合仕込み操作時に添加するのみで、重合中に連続添加しないことおよび表2、表4、表8、表10に示す条件に変更した以外は実施例1と全く同様にして三元共重合変性PVA(PVA−15、PVA−41)を得た。それぞれのPVAの分析結果を表6および表12に、評価結果を表14および表16にそれぞれ示す。
【0058】
実施例13、14および比較例16、17
実施例13および14は、実施例2においてPVA−2を合成する際に重合して得られたPVAcペーストを用いて、表4に示すPVAの洗浄方法の変更以外は実施例2と全く同様にして、アルカリ金属含有量の異なるPVA(PVA−13、PVA−14)を得た。比較例16および17は、表8および表10に示す条件により、PVA−45およびPVA−46を得た。それぞれのPVAの分析結果を表6および表12に、評価結果を表14および表16にそれぞれ示す。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
【表4】
【0063】
【表5】
【0064】
【表6】
【0065】
【表7】
【0066】
【表8】
【0067】
【表9】
【0068】
【表10】
【0069】
【表11】
【0070】
【表12】
【0071】
【表13】
【0072】
【表14】
【0073】
【表15】
【0074】
【表16】
【0075】
【発明の効果】
本発明の繊維糊剤は、生分解性が優れ、かつ製織性が良好である。
Claims (3)
- エチレン単位の含有量2〜19モル%、重合度200〜3000、けん化度80.0〜99.99モル%、カルボン酸とラクトン環の合計含有量0.020〜0.40モル%、1,2−グリコール結合の含有量1.2〜2.0モル%、ビニルアルコールユニットに対するトライアッド表示による水酸基3連鎖の中心水酸基のモル分率65〜98.0モル%、融点が161℃以上であるビニルアルコール系重合体からなる繊維糊剤であって、ビニルアルコール系重合体100重量部に対して、ナトリウム換算で0.0003〜1重量部のアルカリ金属を含有する繊維糊剤。
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