JP2001123369A - 水解性不織布およびその製造方法 - Google Patents

水解性不織布およびその製造方法

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JP2001123369A
JP2001123369A JP29792599A JP29792599A JP2001123369A JP 2001123369 A JP2001123369 A JP 2001123369A JP 29792599 A JP29792599 A JP 29792599A JP 29792599 A JP29792599 A JP 29792599A JP 2001123369 A JP2001123369 A JP 2001123369A
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water
pva
mol
polyvinyl alcohol
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Takanori Isozaki
孝徳 磯崎
Naoki Fujiwara
直樹 藤原
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 湿潤時の強度が高く、水流中での水解性が高
く。しかもパイプ等が目詰まりする恐れも少ない水解性
不織布を提供すること。 【解決手段】 水溶性ポリビニルアルコール系不織布と
オキシカルボン酸等の電解質とからなる水解性不織布。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水流によって容易
に分散するポリビニルアルコール系水解性の不織布およ
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】人間のおしり等を拭くために、あるいは
トイレ周辺の清掃のために繊維シートが用いられてい
る。この繊維シートは、トイレにそのまま流し捨てるこ
とができるように、水解性のものが好ましく用いられ
る。しかし、トイレ等に流し捨てた場合、水解性の良い
ものでなければ浄化槽で分散されるのに時間がかかって
しまう。また、トイレ等の排水溝を詰まらせてしまう危
険性がある。一般に清浄薬液等で湿らせた状態で包装さ
れる繊維シートは、洗浄薬液等が含浸した状態では拭き
取り作業に耐えるだけの充分な強度が必要であり、かつ
トイレに流し捨てたときは容易に水解することが必要で
ある。したがって、水解性が良く、かつ使用に耐えられ
る強度を持つ水解性の繊維シートが求められている。
【0003】従来の水解性繊維シートは、木材パルプ等
の天然繊維やポリプロピレン等の化学繊維とPVAのバ
インダーおよび洗浄薬液で形成されていた。バインダー
に各種の添加剤を加えることにより、少量の水分を含む
湿潤時には強度を有し、トイレ等に廃棄された場合には
水流で水解する工夫がなされている。しかし、繊維シー
トの主成分が水不溶性の成分であるため、湿潤時の強度
は高いが、水解性が充分ではなく、分散するのに時間が
かかったり、トイレの排水溝を詰まらせたりする問題が
あった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の欠点を解消するためになされたものであり、少量の
水分を含む湿潤時の強度が高く、水流中での水解性が高
く、かつパイプ等が目詰まりする恐れの少ない水解性不
織布を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、電解質が
PVAを塩析させる効果に注目し、水溶性PVA系不織
布に電解質を含有させることにより、湿潤時の強度と、
水流中での水解性の良好な水解性不織布が得られること
を見出した。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明に使用する電解質として
は、PVAに塩析効果のある化合物であればとくに限定
されないが、オキシカルボン酸塩が、より優れた湿潤時
の強度を付与し、さらに優れた水解性も付与すること、
さらには皮膚刺激性も少ないことから、好ましい。この
中でも、とくに炭素数4〜6のオキシカルボン酸塩が好
ましい。オキシカルボン酸塩としては、酒石酸ナトリウ
ム、酒石酸カリウム、クエン酸カリウム、クエン酸ナト
リウム、リンゴ酸ナトリウムおよびリンゴ酸カリウムか
らなる群から選ばれる少なくとも一種のオキシカルボン
酸塩が用いられる。なかんずく、酒石酸塩、例えば酒石
酸ナトリウム、酒石酸カリウムが好ましい。
【0007】不織布に電解質を含有させる方法として
は、例えば、不織布を電解質濃度が1重量%以上である
水溶液に浸漬する方法が好適である。その他、繊維を製
造する際に電解質を紡糸原液に配合する方法、さらには
不織布を製造する際に電解質を使用する方法なども挙げ
られる。
【0008】電解質水溶液の濃度と不織布への含有量に
ついては、PVA系不織布の水溶性と要求される水解性
のレベルに応じて選択される。電解質水溶液の濃度につ
いては、例えば、不織布の水溶性が高い場合には電解質
濃度を上げ、水溶性が低い場合には電解質濃度が低くて
も構わないが、濃度1〜30重量%の水溶液で使用する
ことが好適である。また含浸量については、PVA系不
織布100重量部に対して、電解質が1重量部以上、好ま
しくは3重量部以上、さらに好ましくは5重量部以上で
ある。上限については、250重量部以下、さらには1
50重量部以下、さらに好ましくは100重量部以下、
さらには50重量部以下である。本発明で用いる不織布
としては、メルトブローン不織布あるいはスパンボンド
不織布などの直接紡糸による不織布が好適であるので、
以下これらの不織布に適するPVAについても説明す
る。
【0009】本発明に用いられるPVAの粘度平均重合
度(以下、重合度と略記する)は200〜4000であ
り、好ましくは230〜2500、さらに好ましくは2
50〜2000である。重合度が200より小さいと不
織布の強度が充分ではなく、重合度が4000より大き
いと水解性が不充分となる。ただし、直接紡糸法で不織
布を製造する場合には重合度は200〜500、さらに
は230〜470であることが直接紡糸不織布の平均繊
維径が太くなりすぎず、また繊維が部分的にコイル状あ
るいは鞠状の固まりとなりにくく、またザラついた手触
りの不織布になりにくいため、好適である。
【0010】なお、PVAの重合度(P)はJIS−K
6726に準じて測定される。すなわち、PVAを再鹸
化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度
[η](dl/g)から次式により求められるものであ
る。 P=([η]×1000/8.29)(1/0.62) 重合度が上記範囲にある時、本発明の目的がより好適に
達せられる。
【0011】本発明に使用されるPVAの鹸化度は90
〜99.99モル%であることが好ましく、92〜9
9.98モル%がさらに好ましく、93〜99.97モ
ル%がより好ましく、94〜99.96モル%が特に好
ましい。鹸化度が90モル%未満の場合にはPVAの熱
安定性が悪く、熱分解やゲル化によって満足な直接紡糸
を行うことができないのみならず、後述する共重合モノ
マーの種類によってはPVAの水溶液への溶解性が低下
し、本発明で目的とする水溶性不織布を得ることができ
ない場合がある。一方、鹸化度が99.99モル%より
も大きいPVAでは安定に繊維化することが難しくな
る。
【0012】本発明に使用されるPVAのトライアッド
表示による水酸基3連鎖の中心水酸基の含有量は66〜
99.9モル%であり、70〜99モル%が好ましく、
74〜97モル%がより好ましく、75〜96モル%が
さらに好ましく、76〜95モル%が特に好ましい。P
VAのトライアッド表示による水酸基3連鎖の中心水酸
基の含有量が66モル%未満の場合には、ポリマーの結
晶性が低下し、溶融紡糸時の曳糸性が乏しく直接紡糸に
よる不織布が満足に得られないし、また、水崩壊性不織
布が得られない場合がある。PVAのトライアッド表示
による水酸基3連鎖の中心水酸基の含有量が99.9モ
ル%より大きい場合には、ポリマーの融点が高いため溶
融成形温度を高くする必要があり、その結果、ポリマー
溶融成形時の熱安定性が悪く、分解、ゲル化および着色
等のトラブルが発生する。
【0013】ここで、トライアッド表示による水酸基3
連鎖の中心水酸基とは、PVAのd6−DMSO溶液で
の500MHz H1−NMR(JEOLGX−50
0)装置、65℃測定による水酸基プロトンのトライア
ッドのタクティシティを反映するピーク(I)を意味す
る。ピーク(I)はPVAの水酸基のトライアッド表示
のアイソタクティシティ連鎖(4.54ppm)、ヘテ
ロタクティシティ連鎖(4.36ppm)およびシンジ
オタクティシティ連鎖(4.13ppm)の和で表さ
れ、全てのビニルアルコールユニットにおける水酸基に
由来するピーク(II)はケミカルシフト4.05ppm
から4.70ppmの領域に現れることから、本発明の
ビニルアルコールユニットに対するトライアッド表示に
よる水酸基3連鎖の中心水酸基のモル分率は、100×
(I)/(II)で表されるものである。
【0014】本発明においては、上記で求められる水酸
基3連鎖の中心水酸基の量を制御することで、PVAの
水溶性、吸湿性、耐水性など水に関わる諸物性、強度、
伸度、弾性率など繊維に関わる諸物性、融点、溶融粘
度、溶融粘性など溶融成形に関わる諸物性をコントロー
ルできる。
【0015】本発明に使用されるPVAの融点は160
〜230℃であることが好ましく、170〜227℃が
さらに好ましく、175〜224℃がより好ましく、1
80〜220℃が特に好ましい。融点が160℃未満の
場合には、PVAの結晶性が低下し十分な強度を有する
繊維が得られないと同時に、ブローン時に十分な曳糸性
が得られず、ウェブ中に玉状の樹脂塊が多数混在してし
まい、いわゆる直接紡糸不織布としての性能を保持でき
ないウェブになってしまい、さらには、ウェブ化できな
い場合もある。一方、融点が230℃を越えるとブロー
ン温度が高くなり、ブローン温度とPVAの分解温度が
近づくためにPVA系直接紡糸不織布を安定に製造する
ことができない。
【0016】PVAの融点は、DSCを用いて、窒素
中、昇温速度10℃/分で250℃まで昇温後、室温ま
で冷却し、再度昇温速度10℃/分で250℃まで昇温
した場合のPVAの融点を示す吸熱ピークのピークトッ
プの温度を意味する。
【0017】本発明で使用されるPVAは、ビニルエス
テル系重合体のビニルエステル単位を鹸化することによ
り得られる。ビニルエステル単位をポリマー中に導入す
るためのビニル化合物単量体としては、ギ酸ビニル、酢
酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カ
プリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニ
ル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニルおよびバーサテ
ィック酸ビニル等が挙げられ、これらの中でもPVAを
得る点からは酢酸ビニルが好ましい。
【0018】本発明の不織布を構成するPVAは、ビニ
ルアルコール単位及びビニルエステル単位以外の単量体
単位を含有している事が好ましい。このような単位とし
ては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテ
ン、1−ヘキセン等のα−オレフィン類、アクリル酸お
よびその塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、ア
クリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル等のア
クリル酸エステル類、メタクリル酸およびその塩、メタ
クリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n
−プロピル、メタクリル酸i−プロピル等のメタクリル
酸エステル類、アクリルアミド、N−メチルメタクリル
アミド、n−エチルメタクリルアミド等のメタクリルア
ミド誘導体、メチルビニルエーテル、エチルビニルエー
テル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニ
ルエーテル、n−ブチルビニルエーテル等のビニルエー
テル類、エチレングリコールビニルエーテル、1,3−
プロパンジオールビニルエーテル、1,4−ブタンジオ
ールビニルエーテル等のヒドロキシ基含有のビニルエー
テル類、アリルアセテート、プロピルアリルエーテル、
ブチルアリルエーテル、ヘキシルアリルエーテル等のア
リルエーテル類、オキシアルキレン基を有する単量体、
ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、酢酸イ
ソプロペニル、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン
−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、7−オクテ
ン−1−オール、9−デセン−1−オール3−メチル−
3−ブテン−1−オール等のヒドロキシ基含有のα−オ
レフィン類、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、無
水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸また
は無水イタコン酸等に由来するカルボキシル基を有する
単量体;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタ
アリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプ
ロパンスルホン酸等に由来するスルホン酸基を有する単
量体;ビニロキシエチルトリメチルアンモニウムクロラ
イド、ビニロキシメチルジエチルアミン、N−アクリル
アミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−
アクリルアミドジメチルアミン、アリルトリメチルアン
モニウムクロライド、メタアリルトリメチルアンモニウ
ムクロライド、ジメチルアリルアミン、アリルエチルア
ミン等に由来するカチオン基を有する単量体が挙げられ
る。これらの単量体の含有量は、通常25モル%以下で
ある。
【0019】これらの単量体の中でも、入手のしやすさ
などからエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテ
ン、1−ヘキセン等のα−オレフィン類、メチルビニル
エーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニル
エーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビ
ニルエーテル等のビニルエーテル類、エチレングリコー
ルビニルエーテル、1,3−プロパンジオールビニルエ
ーテル、1,4−ブタンジオールビニルエーテル等のヒ
ドロキシ基含有のビニルエーテル類、アリルアセテー
ト、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、
ヘキシルアリルエーテル等のアリルエーテル類、オキシ
アルキレン基を有する単量体、3−ブテン−1−オー
ル、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オ
ール、7−オクテン−1−オール、9−デセン−1−オ
ール、3−メチル−3−ブテン−1−オール等のヒドロ
キシ基含有のα−オレフィン類に由来する単量体が好ま
しい。
【0020】中でも共重合性、ブローン時の曳糸性、繊
維の水溶解性、吸水性、水膨潤性等水に対して優れた親
和性を示す水崩壊性の観点から、エチレン、プロピレ
ン、1−ブテン、イソブテンの炭素数4以下のα−オレ
フィン類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテ
ル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニル
エーテル、n−ブチルビニルエーテル等のビニルエーテ
ル類がより好ましい。炭素数4以下のα−オレフィン類
および/またはビニルエーテル類に由来する単位は、P
VA中に0.1〜25モル%存在していることが好まし
く、0.2〜20モル%、さらには0.2〜15モル%
が好ましく、0.3〜13モル%が特に好ましい。さら
に、α−オレフィンがエチレンである場合は、ブローン
時の曳糸性が良好となり、平均繊維径20μm以下のブ
ローン繊維が安定して形成されることから、特にエチレ
ン単位が3〜20モル%、より好ましくは6〜13モル
%導入された変性PVAを使用することが好ましい。ま
た、本発明に用いられるPVAには、末端変性、後反応
により官能基を導入した変性PVAも含まれる。
【0021】本発明で使用されるPVAの重合方法とし
ては、溶液重合、バルク重合、パール重合、乳化重合等
をあげることができる。その中でも、無溶媒あるいはア
ルコールなどの溶媒中で重合する塊状重合法や溶液重合
法が通常採用される。溶液重合時に溶媒として使用され
るアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアル
コール、プロピルアルコールなどの低級アルコールが挙
げられる。共重合に使用される開始剤としては、α,α'
-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス
(2,4−ジメチル−バレロニトリル)、過酸化ベンゾ
イル、n−プロピルパーオキシジカーボネートなどのア
ゾ系開始剤または過酸化物系開始剤などの公知の開始剤
が挙げられる。重合温度については特に制限はないが、
0℃〜200℃の範囲が適当である。
【0022】本発明で使用されるPVAにおけるアルカリ
金属イオン(B)の含有割合は、PVA(A)100重
量部に対して0.0003〜1重量部であることが好ま
しく、0.0003〜0.8重量部がさらに好ましく、
0.0005〜0.6重量部がより好ましく、0.00
05〜0.5重量部が特に好ましい。アルカリ金属イオ
ンの含有割合が0.0003重量部未満の場合には、ブ
ローン時にゲル化しやすく繊維化しにくいばかりでな
く、十分な水溶性が得られず未溶解物が残る場合があ
る。また、アルカリ金属イオンの含有量が1重量部より
多い場合にはブローン時の分解及びゲル化が著しく繊維
化することができない。アルカリ金属イオンとしては、
カリウムイオン、ナトリウムイオン等が挙げられる。
【0023】本発明において、特定量のアルカリ金属イ
オン(B)をPVA中に含有させる方法は特に制限され
ず、一旦PVAを得た後にアルカリ金属イオン含有の化
合物を添加する方法、ビニルエステルの重合体を溶媒中
において鹸化するに際し、鹸化触媒としてアルカリイオ
ンを含有するアルカリ性物質を使用することによりPV
A中にアルカリ金属イオンを配合し、鹸化して得られた
PVAを洗浄液で洗浄することにより、PVA中に含ま
れるアルカリ金属イオンを制御する方法などが挙げられ
るが後者の方が好ましい。尚、アルカリ金属イオンの含
有量は、原子吸光法で求めることができる。
【0024】鹸化触媒として使用するアルカリ性物質と
しては、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムが挙げら
れる。鹸化触媒に使用するアルカリ性物質のモル比は、
酢酸ビニル単位に対して0.004〜0.5が好まし
く、0.005〜0.05が特に好ましい。鹸化触媒
は、鹸化反応の初期に一括添加しても良いし、鹸化反応
の途中で追加添加しても良い。鹸化反応の溶媒として
は、メタノール、酢酸メチル、ジメチルスルホキシド、
ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。これらの溶媒
の中でもメタノールが好ましく、含水率を0.001〜
1重量%に制御したメタノールがより好ましく、含水率
を0.003〜0.9重量%に制御したメタノールがよ
り好ましく、含水率を0.005〜0.8重量%に制御
したメタノールが特に好ましい。洗浄液としては、メタ
ノール、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、ヘキサ
ン、水などがあげられ、これらの中でもメタノール、酢
酸メチル、水の単独もしくは混合液がより好ましい。洗
浄液の量としてはアルカリ金属イオン(B)の含有割合
を満足するように設定されるが、通常、PVA100重
量部に対して、300〜5000重量部がより好まし
い。洗浄温度としては、5〜80℃が好ましく、20〜
70℃がより好ましい。洗浄時間としては20分間〜1
0時間が好ましく、1時間〜6時間がより好ましい。
【0025】さらに、本発明に用いられるPVAには、
溶融粘度を下げるためや不織布の柔軟性を付与する可塑
剤を添加してもよい。可塑剤としては、PVAのガラス
転移点や溶融粘度を低下させうる化合物であれば特に制
限はないが、例えば、水、エチレングルコール及びその
オリゴマー、ポリエチレングリコール、プロピレングリ
コール、およびそのオリゴマー、ポリグリセリンやグリ
セリン等にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド
等が付加したグリセリン誘導体、ソルビトール、ペンタ
エリスリトール等が挙げられる。中でもグリセリン、エ
チレングルコール、プロピレングリコール、ソルビトー
ル、ペンタエリストール等の多価アルコール及びその誘
導体が好適に使用される。可塑剤の添加量に制限はない
が、PVA100重量部に対して、0.01〜10重量
部の範囲で可塑剤を添加することが好ましい。
【0026】また本発明の目的や効果を損なわない範囲
で、必要に応じて銅化合物等の安定剤、着色剤、紫外線
吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、
可塑剤、潤滑剤、結晶化速度遅延剤を重合反応時、また
はその後の工程で添加する事ができる。特に熱安定剤と
してヒンダードフェノール等の有機系安定剤、ヨウ化銅
等のハロゲン化銅化合物、ヨウ化カリウム等のハロゲン
化アルカリ金属化合物を添加すると、繊維化の際の溶融
滞留安定性が向上するので好ましい。
【0027】さらに、必要に応じて平均粒子径が500
nm以下の微粒子を0.1〜5重量%、重合反応時、ま
たはその後の工程で添加することができる。微粒子の種
類は特に限定されず、例えばシリカゲル(コロイダルシ
リカ)、乾式法シリカ、酸化アルミニウムを含有する乾
式法シリカ、粒子表面にアルキル基を有しかつ粒子表面
にシラノール基を封鎖した乾式法シリカ、アルミナゾル
(コロイダルアルミナ)、酸化チタン、炭酸カルシウム
およびそのゾル(コロイダル炭酸カルシウム)等の不活
性微粒子;リン化合物と金属化合物とをPVAの重合反
応系で反応析出せしめた内部析出微粒子などをあげるこ
とができる。特に平均粒子径が15〜70nmシリカが
好ましく、溶融紡糸性が向上する。
【0028】本発明に用いるメルトブローン不織布は、
例えば、インダストリアル・アンド・エンジニアリング
・ケミストリー,48巻,第8号(p1342〜p13
46),1956年において既に公知のメルトブローン
装置を用いて製造することができる。すなわち、溶融押
出機でPVAペレットを溶融混練し、溶融したポリマー
をギヤポンプで計量し、メルトブローン紡糸ノズルに導
いて吐出させ、これを加熱した空気流で吹き飛ばすこと
で紡糸し、これを捕集装置上に堆積させ不織布化し、こ
れを巻き取る事で得られる。また、必要に応じて、ノズ
ル直下において、約40℃以下の冷風をメルトブローン
繊維流中に吹き付ける事により、不織布内の繊維接着程
度を最小限に抑えることで、できた不織布をより柔軟な
ものとすることができる。
【0029】本発明における直接紡糸不織布、とくにメ
ルトブローン法による不織布化条件として、ブローン温
度をポリマーの融点Tmに対して、(Tm+10℃)〜
(Tm+80℃)で紡糸することが好適である。ブロー
ン温度が(Tm+10℃)より低いとポリマーの溶融粘
度が高すぎて、高速ブローンエアによる樹脂の細化がで
きず、非常に粗な不織布になってしまう。また、(Tm
+80℃)を越えるとPVAの熱分解が起こり安定した
紡糸ができない。
【0030】本発明におけるPVAの融点Tmとは、示
差走査熱量計(DSC:例えばMettler社TA3000)で観
察される主吸熱ピークのピーク温度である。
【0031】また、本発明の直接紡糸不織布は、必要に
応じて、一部あるいは全ての繊維を熱圧着することによ
り繊維間の接着力を向上し、不織布強度の向上を行って
も良い。本発明の直接紡糸不織布を構成する繊維は、そ
のウェブ形成時の繊維同士の接着度合いが低いため、ウ
ェブの繊維が引き抜かれる形で破断する場合がある。そ
こで、例えば熱エンボス加工や熱カレンダー等によって
繊維同士を部分的にあるいは全面に渡って熱圧着し固定
することでウェブ強度を向上させ、実用性を向上させた
方がよい。熱圧着処理における加熱ロールの温度、圧
力、処理速度、エンボスロール模様等は目的に応じて適
宜選択することができる。本発明における不織布を構成
するPVA系繊維は、水に対して活性であって水の存在
下では見かけの融点が低下することから、水を付与した
後で熱圧処理を行う場合には、加熱ロールの温度を下げ
ることが可能である。
【0032】このようにして得られる本発明の熱可塑性
PVA系直接紡糸不織布は、保水性の点から、不織布を
構成する繊維の平均繊維径が20μm以下であることが
好ましく、10μm以下がさらに好ましい。また、不織
布の単位目付当りの通気度は200cc/cm2/秒以下で
あることが好ましく、100cc/cm2/秒以下がさら
に好ましい。平均繊維径が20μmを超えたり、通気度
が200cc/cm2/秒を超えるものは、保水性が乏しく
なり、お尻拭きなどの用途に適さなくなる場合がある。
また、本発明の不織布は、水溶解性、吸水性、水膨潤性
など水に対して強い親和性を示す水崩壊性であり、5℃
という冷水に対しても良好な水崩壊性、特に水溶解性を
示す不織布とすることができるので、5℃〜30℃とい
う通常の環境温度範囲の水で充分処理が可能である。水
解性速度としては水解性を有すれば特に制限はないが、
JIS−P4501のトイレットペーパーほぐれ易さ試
験に準じた試験を実施したときに30秒以下であること
が好ましく、10秒以下であることがさらに好ましい。
【0033】このようにして得られた直接紡糸不織布
は、このままで水解性を有する不織布であるが、より高
温で水解性を発現する必要がある場合、該不織布を熱処
理する事で調整が可能である。これは、熱処理によって
繊維を形成している樹脂の結晶化を促進することによ
る。熱処理そのものは、不織布製造工程中でも良いし、
一旦巻き取った後に改めて熱処理する方法でも差し支え
ない。
【0034】また、熱処理の方法は、水浴のように水に
直接不織布を晒す方法以外で有ればよく、熱風、熱板、
熱ローラー等によって行うことができるが、工業的に連
続処理のしやすい熱ローラーを用いて処理する方法が好
ましい。この熱ローラーを用いる場合は、不織布を熱ロ
ーラーにタッチさせる方法を用いる。この熱処理は、不
織布の片面のみ熱処理しても良いし、両面を処理しても
良い、また、必要に応じて熱だけでなく圧力をも同時に
加えてもよい。目的に応じて、カレンダー処理やエンボ
ス処理を行ってもよい。そして、不織布の水に対する溶
解温度は、原料ポリマーの仕様以外に、ブローン温度、
ブローンエア量等のブローン条件や不織布にしてからの
熱処理温度あるいは熱処理時間等の熱履歴によって、冷
水で溶解する不織布から沸騰水でようやく溶解する不織
布まで、自由に変えることができる。
【0035】本発明のPVA不織布の製造法は従来公知
の方法が用いられる。溶融成形法によるメルトブローン
やスパンボンド法などの直接不織布化や、乾式押出法や
湿式押出法や溶融紡糸法でポリビニルアルコール繊維を
形成した後に、従来公知の方法で不織布化しても構わな
い。特に通気度を容易に調整できる点から、直接紡糸法
が好ましい。この様にして得たPVA不織布は水溶性で
あることが重要であり、ここで水溶性とは不織布を20
℃の水中にて24時間浸漬させた時、溶解度が50%以
上、好適には70%以上さらに好適には80%以上を示
すものである。溶解度は、浸漬前不織布乾燥重量をA、
浸漬後不織布乾燥重量をBとすると、{(A−B)/
A}×100(%)の計算式から求められる。
【0036】本発明に使用する電解質水溶液には、本発
明の効果を妨げない範囲でその他の物質を添加すること
ができる。例えば、界面活性剤、殺菌剤、保存剤、消臭
剤、保湿剤、アルコール等を含有させることができる。
【0037】このようにして得られた本発明の不織布は
水に容易に分散する水解性である。ここで、不織布の水
解性とは、冷水、温水、熱水のいずれかにおいて、不織
布が元のシートの形態をとどめない状態になることを言
い、典型的には水によって不織布が溶解してしまうこ
と、不織布を構成する繊維同士の結合がはずれてシート
の形態をとどめない状態、場合によっては吸水、膨潤な
どにより収縮、湾曲、シワなどの歪みにより塊状になる
ことを言う。
【0038】本発明の水解性不織布は、お尻拭きなどの
人体の肌に使用するウエットティッシュとして、またト
イレ周りの清掃用などとして使用することができる。本
発明の水解性不織布を予め湿らせた製品として用いる場
合、不織布が乾燥しないように密封包装して販売され
る。また、本発明の水解性不織布は乾燥した状態で販売
されるものであっても良い。例えばPVA系不織布に電
解質の水溶液を含浸させた後、乾燥し、使用時に水や薬
液を含浸させて使用するものであっても良い。
【0039】このような本発明の水解性不織布は、PV
Aの選択及び不織布製造時の条件設定等により、用途に
応じた水溶性ないしは崩壊性を付与することができる。
また、電解質の種類や量を適宜選択することにより、目
的に応じた水解性不織布として好適に用いられる。
【0040】
【実施例】次に本発明を具体的に実施例で説明するが、
本発明はこれら実施例に限定されるものではない。な
お、実施例中の部及び%は断りのない限り重量に関する
ものである。
【0041】PVAの分析方法及びPVAのトライアッ
ド表示による3連鎖の水酸基の割合及びPVAの融点は
の測定法は前述した通りである。
【0042】[通気度の測定]JIS L1096
「一般織物試験方法」のA法に準拠して、フラジール試
験機にて測定した。
【0043】[平均繊維径の測定]走査型電子顕微鏡を用
いて、不織布の表面を1000倍に拡大した写真を撮影
し、この写真に2本の対角線を引き、この対角線と交わ
った繊維の太さを倍率換算した値を用いた。そして、そ
れら繊維の100本の平均値を平均繊維径として用い
た。ただし、該当する繊維が不鮮明であったり、複数本
重なるなどして1本の繊維径を測定できない場合は、測
定対象から除外した。
【0044】[水解性試験]JIS−P4501のトイレ
ットペーパーほぐれ易さ試験に準じて、水解性の試験を
行い、マグネティックスターラーの回転子の回転数が5
40rpmに回復するまでの時間(秒)で示した。20
℃の水300mlを300mlビーカーに入れ、直径3
5mm、厚さ12mmの円盤状の回転子をマグネティッ
クスターラーで600回転で撹拌する。目付30g/m
2で114mm角の不織布の試験片を加えると回転子の
撹拌数が試験片の抵抗で一旦低下し、試験片がほぐれる
に従い回転数が上昇して540rpmに回復するまでの
時間を求める。
【0045】実施例1 攪拌機、窒素導入口、エチレン導入口および開始剤添加
口を備えた100L加圧反応槽に酢酸ビニル29.0k
gおよびメタノール31.0kgを仕込み、60℃に昇
温した後30分間窒素バブリングにより系中を窒素置換
した。次いで反応槽圧力が5.9kg/cm2となるよ
うにエチレンを導入仕込みした。開始剤として2,2’
−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニ
トリル)(AMV)をメタノールに溶解した濃度2.8
g/L溶液を調整し、窒素ガスによるバブリングを行っ
て窒素置換した。上記の重合槽内温を60℃に調整した
後、上記開始剤溶液170mlを注入し重合を開始し
た。重合中はエチレンを導入して反応槽圧力を5.9k
g/cm2に、重合温度を60℃に維持し、上記の開始
剤溶液を用いて610ml/hrでAMVを連続添加し
て重合を実施した。10時間後に重合率が70%となっ
たところで冷却して重合を停止した。反応槽を解放して
脱エチレンした後、窒素ガスをバブリングして脱エチレ
ンを完全に行った。次いで減圧下に未反応酢酸ビニルモ
ノマーを除去し、ポリ酢酸ビニルのメタノール溶液とし
た。得られた該ポリ酢酸ビニル溶液にメタノールを加え
て濃度が50%となるように調整したポリ酢酸ビニルの
メタノール溶液200g(溶液中の酢酸ビニルユニット
に対してモル比(MR)0.10)のアルカリ溶液(N
aOHの10%メタノール溶液)を添加して鹸化を行っ
た。アルカリ添加後約2分の後、系がゲル化したものを
粉砕器にて粉砕し、60℃で1時間放置して鹸化を進行
させた後、酢酸メチル1000gを加えて残存するアル
カリを中和した。フェノールフタレイン指示薬を用いて
中和の終了を確認後、濾別して得られた白色固体のPV
Aにメタノール1000gを加えて室温で3時間放置洗
浄した。上記洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱液し
て得られたPVAを乾燥機中70℃で2日間放置して乾
燥PVAを得た。
【0046】得られたエチレン変性PVAの鹸化度は9
8.4モル%であった。また、該変性PVAを灰化させ
た後、酸に溶解したものを用いて原子吸光光度計により
測定したナトリウムの含有量は、変性PVA100重量
部に対して0.03重量部であった。また、重合後未反
応酢酸ビニルモノマーを除去して得られたポリ酢酸ビニ
ルのメタノール溶液をn−ヘキサンに添加して沈殿させ
たポリ酢酸ビニルを採取した後、該ポリ酢酸ビニルをア
セトンに溶解させ、再度n−ヘキサンに添加して沈殿さ
せる再沈精製を3回行った後、80℃で3日間減圧乾燥
を行って精製ポリ酢酸ビニルを得た。該ポリ酢酸ビニル
をd6−DMSOに溶解し、500MHzプロトンNM
R(JEOL GX−500)装置を用いて80℃で測
定したところ、エチレンの含有量は10モル%であっ
た。上記のポリ酢酸ビニルのメタノール溶液をアルカリ
モル比0.5で鹸化した後、粉砕したものを60℃で5
時間放置して鹸化を進行させた後、メタノールソックス
レーを3日間実施し、次いで80℃で3日間減圧乾燥を
行って精製されたエチレン変性PVAを得た。該PVA
の平均重合度を常法のJIS K6726に準じて測定
したところ330であった。該精製PVAの1,2−グ
リコール結合量および水酸基3連鎖の水酸基の含有量を
500MHzプロトンNMR(JEOL GX−50
0)装置による測定から前述の通り求めたところ、それ
ぞれ1.50モル%および83モル%であった。さら
に、該精製された変性PVAの5%水溶液を調整し厚み
10μmのキャスト製フィルムを作成した。該フィルム
を80℃で1日間減圧乾燥を行った後に、DSC(メト
ラー社、TA3000)を用いて、前述の方法によりP
VAの融点を測定したところ206℃であった。結果を
表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】上記で得られたPVAを溶融押出機を用い
て250℃で溶融混練し、溶融したポリマー流をメルト
ブローダイヘッドに導き、ギヤポンプで計量し、直径
0.3mmφの孔を0.75mmピッチで一列に並べた
メルトブローンノズルから吐出させ、同時にこの樹脂に
250℃の熱風を噴射して吐出した繊維を成形コンベア
上に捕集し、目付50g/m2のメルトブローン不織布を
得た。このときの樹脂の単孔吐出量は0.2g/分/孔
であり、熱風量は0.15Nm3/分/cm幅であり、
ノズルと捕集コンベア間の距離は15cmであった。ま
た、この時メルトブローン装置のノズル直下に二次エア
吹き付け装置を設置した設備を用いて、メルトブロー繊
維流中に、1m3/分/cm幅の流量で、15℃の空気流
を吹き付けた。
【0049】得られたメルトブローン不織布は、繊維径
9.6μm、通気度140cc/cm2/秒を有する不織布と
なった。その他、ブローン状態、得られた不織布の状態
や通気度の評価結果はまとめて表2に記載した。
【0050】
【表2】
【0051】なお、表中の記号の意味は次の通り。 ◎:極めて良好 ○:良好 △:やや難あり ×:不良
【0052】得られた不織布100重量部に対して、酒
石酸ナトリウムの10%の水溶液を200重量部含浸
(不織布100重量部に対して酒石酸ナトリウム20重
量部含有)し、乾燥後にJIS−P4501のトイレッ
トペーパーほぐれ易さ試験に準じて水解性の試験を行っ
た。また、酒石酸ナトリウムを含浸して乾燥前に湿潤時
の強度を測定した。湿潤強度の測定は20℃の環境下で
オートグラフを用いて、幅2.5cmのサンプルをチャ
ック間隔50mm、引張速度500mm/minで測定
した。強度の計算に必要な不織布の厚みは、サンプルサ
イズ10cm×10cmの乾燥した不織布の重量と密度
から体積(cm3)を求め、その体積をサンプルサイズ
(10×10)で割ることにより便宜的に求めた。結果
を表3に記載した。
【0053】
【表3】
【0054】実施例2〜14 実施例1で用いたPVAの代わりに表1に示すPVAを
用い、表2に示した紡糸温度以外は実施例1と全く同じ
条件下にてPVAメルトブローン不織布を得た。これら
のブローン状態、得られた不織布の状態、通気度等の評
価結果はまとめて表2に記載した。得られた不織布10
0重量部に対して、酒石酸ナトリウムの10%の水溶液
を200重量部含浸(不織布100重量部に対して酒石
酸ナトリウム20重量部含有)し、乾燥後にJIS−P
4501のトイレットペーパーほぐれ易さ試験に準じ
て、水解性の試験を行った。また、酒石酸ナトリウムを
含浸して乾燥前に湿潤時の強度を測定した。結果を表3
に記載した。なお、実施例1〜14で得られた不織布を
20℃の水中にて24時間浸漬させた時の溶解度は、1
00%であった。
【0055】比較例1〜2 比較例1および比較例2では、紡糸性は良好であり、不
織布の状態も良好であったが、表3に示すように、使用
した不織布が水不溶性(溶解度0%)であるため、水解
性が不足していて不適であった。
【0056】実施例15〜17 実施例1で得たPVAメルトブローン不織布を、圧着面
積率20%の丸い凸部を有する金属製彫刻ロールとフラ
ットな金属ロールとの間で熱圧着エンボス加工し、エン
ボス不織布を得た。このときの彫刻ロール、フラットロ
ールの表面温度は表4に記載の通りであり、線圧は35
kg/cmL、速度は5m/分であった。この不織布の
通気度については、表4に記載した。得られた不織布1
00重量部に対して、酒石酸ナトリウムの10%の水溶
液を200重量部含浸し(不織布100重量部に対して
酒石酸ナトリウム20重量部含有)、乾燥後にJIS−
P4501のトイレットペーパーほぐれ易さ試験に準じ
て、水解性の試験を行った。また、酒石酸ナトリウムを
含浸して乾燥前に湿潤時の強度を測定した。結果を表4
に記載した。なお、実施例15〜17で得られた不織布
の水中溶解度は、99.8モル%(実施例15)、9
9.9モル%(実施例16)、99.7モル%(実施例
17)であった。
【0057】
【表4】
【0058】比較例3〜5 実施例1で得たPVAメルトブローン不織布を、圧着面
積率20%の丸い凸部を有する金属製彫刻ロールとフラ
ットな金属ロールとの間で熱圧着エンボス加工し、エン
ボス不織布を得た。このときの彫刻ロール、フラットロ
ールの表面温度は表4に記載の通りであり、線圧は35
kg/cmL、速度は5m/分であった。この不織布の
通気度については、実施例15〜17と同様であった。
得られた不織布100重量部に対して、蒸留水を200
重量部含浸したところ、約3分後には不織布の一部が溶
解した。この不織布は強度が低く水中から取り出すこと
が困難であり、そのため水解性の試験および湿潤時の強
度測定は出来なかった。
【0059】
【発明の効果】本発明の水解性不織布は、湿潤時の強度
が高く、水流中での水解性が高く、さらにパイプ等が目
詰まりする恐れも少ない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // D01F 6/14 D01F 6/14 Z

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶性ポリビニルアルコール系不織布に
    電解質を含有させた水解性不織布。
  2. 【請求項2】 電解質が、オキシカルボン酸塩である請
    求項1記載の水解性不織布。
  3. 【請求項3】 水溶性ポリビニルアルコールが、炭素数
    4以下のαオレフィン単位及び/またはビニルエーテル
    単位を0.1〜25モル%含有する変性ポリビニルアル
    コールである請求項1または2記載の水解性不織布。
  4. 【請求項4】 水溶性ポリビニルアルコールが、エチレ
    ン単位を3〜20モル%含有する変性ポリビニルアルコ
    ールである請求項3記載の水解性不織布。
  5. 【請求項5】 水溶性ポリビニルアルコール系不織布
    が、 粘度平均重合度200〜500、鹸化度90〜9
    9.99モル%、ビニルアルコールユニットに対するト
    ライアッド表示による水酸基3連鎖の中心水酸基のモル
    分率66〜99.9モル%、融点160〜230℃のポ
    リビニルアルコールからなり、かつ前記ポリビニルアル
    コール(A)100重量部に対してアルカリ金属イオン
    (B)が0.0003〜1重量部含有されている、直接
    紡糸法による不織布である請求項1〜4のいずれかに記
    載の水解性不織布。
  6. 【請求項6】 直接紡糸法による不織布が、メルトブロ
    ーン不織布またはスパンボンド不織布である請求項5記
    載の水解性不織布。
  7. 【請求項7】 エンボス処理またはカレンダー処理され
    ている請求項1〜6のいずれかに記載の水解性不織布。
  8. 【請求項8】 粘度平均重合度200〜500、鹸化度
    90〜99.99モル%であり、エチレン単位を3〜2
    0モル%含有するポリビニルアルコールからなる不織布
    を、電解質水溶液に浸漬する請求項1〜7のいずれかに
    記載の水解性不織布の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7476631B2 (en) 2003-04-03 2009-01-13 The Procter & Gamble Company Dispersible fibrous structure and method of making same
EP4321667A1 (en) * 2022-08-13 2024-02-14 Aquapak IP Limited Polyvinyl alcohol fibres and meltblown fibrous products

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