JP3647537B2 - 樹脂組成物、食品包装材、その製法およびそれを用いた包装体 - Google Patents

樹脂組成物、食品包装材、その製法およびそれを用いた包装体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品などの保存性に優れた食品包装材に適する樹脂組成物に関し、耐熱水性、ガスバリア性、ロングラン成形性に優れた、加熱殺菌、特にレトルト処理に適した食品包装材、その製法およびそれを用いた包装体に関する。
【0002】
【従来の技術】
エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下EVOH)は酸素透過量が小さいことから食品包装その他の包装用材として使用されているが、耐熱性、耐熱水性が小さいという問題点があった。
【0003】
また、かかる耐熱水性等を改善するためにEVOHに架橋を施すという技術に関しては従来から種々の方法が提案されているが、多大な設備を必要とせず、かつ高速度で工業的に有利に架橋させる上で様々な問題があった。
【0004】
特開昭56−49734号公報には、EVOHフィルムを水と接触させて含水状態にして電子線を照射することにより架橋せしめる方法が提案されている。しかしながらこの方法の場合には、フィルムを電子線照射により架橋可能な含水率にせしめるために、長時間該フィルムを水中に浸漬しなければならないので、作業工程が煩雑で高速生産が困難であるという問題があった。
【0005】
また、特開平6−143507号公報には、EVOHフィルムを溶液コート法にて形成し、乾燥途上(溶媒残存量:10重量%程度以上)の膨潤状態で電子線照射することにより、架橋せしめる方法が提案されている。しかしながらこの方法の場合、溶媒残存量を10重量%程度以上にコントロールすることが困難であり、乾燥途中の半製品を放置することもできず、生産プロセスが大きく制限されるものとなってしまう。また、溶剤が有機溶剤である場合には、電子線照射時に揮発する溶媒の存在によって照射装置内で爆発する危険性をも有するという欠点があった。
【0006】
また、特開平5−271498号公報には、EVOHに対し、架橋剤として多官能アリル系、多官能(メタ)アクリル系化合物等を溶融混練せしめた後に電子線照射し、EVOHを架橋せしめる方法が提案されている。しかしながらそれらの架橋剤は熱的に不安定なものが多く、溶融混練時の加熱によって分解することも多く、また、混練の段階でEVOHと反応してしまい、ゲル化してしまう問題があり、長期間の運転には問題があった。
【0007】
また、特開昭62−252409号公報には架橋剤として特にトリアリルシアヌレート(TAC)およびトリアリルイソシアヌレート(TAIC)を使用し、これらをEVOHと溶融混練せしめた後に電子線照射し、EVOHを架橋せしめる方法が提案されている。しかしながらTAC、TAICについても混練の段階でEVOHと反応してしまい、ゲル化してしまう問題があると同時にEVOHと溶融混練した際に熱分解し、有毒ガスが生成する可能性があるという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来技術の欠点を解決するために創案されたものであり、耐熱水性、ガスバリア性、ロングラン成形性に優れた、加熱殺菌、特にレトルト処理に適した樹脂組成物、食品包装材、その製法およびそれを用いた包装体を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、エチレン−ビニルアルコール共重合体にアリルエーテル基を分子内に2つ以上有する架橋剤を含有する樹脂組成物を提供することにより達成され、エチレン−ビニルアルコール共重合体にアリルエーテル基を分子内に2つ以上有する架橋剤を含有し、かつ水(10重量%)−フェノール(90重量%)の混合溶媒中での不溶解率が1%以上である食品包装材を提供することによっても達成される。
【0010】
また、エチレン−ビニルアルコール共重合体にアリルエーテル基を分子内に2つ以上有する架橋剤を添加した組成物を溶融成形した後に電離性放射線を照射し、架橋せしめることを特徴とする食品包装材の製法を提供することによっても効果的に達成される。
さらに、上記食品包装材に内容物を充填し、加熱殺菌した包装体を提供することによっても効果的に達成される。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のエチレン−ビニルアルコール共重合体(以下EVOHと略す)はエチレンとビニルエステルの共重合体をケン化することによって得られる。ビニルエステルとしては酢酸ビニルが代表的なものとしてあげられるが、その他の脂肪酸ビニルエステル(プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなど)も使用できる。
【0012】
本発明で使用されるEVOHのエチレン含有量は10〜70モル%であり、好適には20〜60モル%、更に好適には25〜58モル%である。エチレン含量が10モル%以下では耐水性に劣り、70モル%以上ではガスバリア性に劣る。また、EVOHのケン化度は90モル%以上が好ましく、98モル%以上がより好ましく、99モル%以上が特に好ましい。ケン化度が90モル%以下ではガスバリア性に劣る。
【0013】
またEVOHには、本発明の目的が阻害されない範囲で他の単量体を少量共重合することもできる。共重合できる単量体の例としては、プロピレン、ブテン、イソブテン、4−メチルペンテン−1、ヘキセン、オクテンなどのα−オレフィン、イタコン酸、メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸、その塩、その部分または完全エステル、そのニトリル、そのアミド、その無水物、ビニルトリメトキシシランなどのビニルシラン系化合物、不飽和スルホン酸、その塩、アルキルチオール類、ビニルピロリドンなどがあげられる。
【0014】
なかでも、EVOHに共重合成分としてビニルシラン化合物0.0002〜0.2モル%を含有する場合は共押し出しする際の基材樹脂との溶融粘性の整合性が改善され、均質な共押し出し多層フィルムの製造が可能なだけでなく、EVOH同士をブレンドに使用する際の分散性が改善され成形性などの改善の面でも有効である。ここで、ビニルシラン系化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルメトキシシラン等が挙げられる。なかでも、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが好適に用いられる。
【0015】
また、本発明に用いるEVOHの好適なメルトインデックス(MI)(210℃、2160g荷重下で測定した値)は0.1〜100g/10min.、最適には0.5〜50g/10min.である。
【0016】
本発明に使用される架橋剤はアリルエーテル基を2個以上有する化合物であり、具体的にはペンタエリスリトールトリアリルエーテル{HO−CH2−C(CH2−O−CH2−CH=CH23}、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサアリルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタアリルエーテル、トリエチレングリコールジアリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、ジグリセリントリアリルエーテル、ジグリセリンジアリルエーテルなどが挙げられる。
【0017】
上記添加する架橋剤の量は、EVOH100重量部に対して0.01〜20重量部の範囲が好ましく、より好適には0.1〜15重量部、特に好適には0.5〜10重量部である。架橋剤量が0.01重量部よりも少ないと、照射線量を大きくしても照射組成物の水(10重量%)−フェノール(90重量%)混合溶媒不溶解率(以下、不溶解率と記す)が上昇せず、レトルト処理時のEVOH層の白化、保存時の白身残留、形態変形、ガスバリアー性悪化などの異常が改善できないだけでなく、フィルム強度の大幅低下、着色などの問題が発生しやすい。一方、架橋剤量が20重量部を越えるとEVOHと架橋剤との分散性が悪化し、透明、均質なフィルムが得られにくい。
【0018】
架橋剤が添加されたEVOHには、本発明の目的が損なわれない範囲で他の熱可塑性樹脂あるいは安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤等の各種の添加剤を添加することができる。
【0019】
上記他の熱可塑性樹脂としては各種ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体、ポリオレフィンと無水マレイン酸との共重合体、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、またはこれらを不飽和カルボン酸またはその誘導体でグラフト変性した変性ポリオレフィンなど)、各種ナイロン(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6/66共重合体など)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリアセタールおよび変性ポリビニルアルコール樹脂などが用いられる。また、エチレン含量、ケン化度等の異なる別種のEVOHを配合しても良い。
【0020】
また、上記各種の添加剤としては、以下のようなものが挙げられる。
安定剤:酢酸カルシウム、酢酸ナトリウム、酢酸亜鉛、酢酸マグネシウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ハイドロタルサイト類、エチレンジアミン四酢酸の金属塩など。
酸化防止剤:2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4´−チオビス−(6−tブチルフェノール)、2,2´−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、オクタデシル−3−(3´,5´−ジ−t−ブチル−4´−ヒドロキシルフェニル)プロピオネート、4,4´−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)など。
【0021】
紫外線吸収剤:エチル−2−シアノ−3.3−ジフェニルアクリレート、2−(2´−ヒドロキシ−5´−メチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2´ヒドロキシ−3´−t−ブチル−5´−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2´−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノンなど。
可塑剤:フタール酸ジエチル、フタール酸ジメチル、フタール酸ジオクチル、ワックス、流動パラフィン、リン酸エステルなど。
【0022】
帯電防止剤:ペンタエリスリットモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、硫酸化オレイン酸、ポリエチレオキシド、カーボワックスなど。
滑剤:エチレンビスステアロアミド、ブチルステアレートなど。
着色剤:カーボンブラック、フタロシアニン、キナクリドン、アゾ系顔料、酸化チタン、ベンガラなど。
充填剤:グラスファイバー、アスベスト、マイカ、セリサイト、タルクガラスフレーク、バッラストナイト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、酸化ケイ素、モンモリロナイトなど。
【0023】
このうちで、マイカ、タルク、セリサイト、モンモリロナイトなどから選ばれる粉体1〜60重量%と上記の樹脂ブレンド組成物99〜40重量%との組成物はガスバリアー性が向上することにより、主としてカップ、トレーなどの容器に応用可能である。
【0024】
本願発明の包装材は、上記のような樹脂組成物から成形されてなるものである。成形方法は特に限定されるものではないが、本願架橋剤は、溶融成形によって成形したときでも熱分解しにくく有毒ガスも発生しないので、長時間の溶融安定性(ロングラン性)を保つことができる。かかる理由から、特に溶融成形するときに本願発明の効果が顕著である。溶融成形の方法は特に限定されるものではなく、通常の溶融成形法が採用され、フィルム、シート、容器等に成形される。
【0025】
このようにして得られた組成物(ペレットなど)から得られたフィルム、シートまたは容器は水−フェノール混合溶媒の不溶解率が1重量%以上であることが重要であり、好適には5重量%以上、さらには10重量%以上である。
【0026】
ここで水−フェノール混合溶媒の不溶解率とは水(10重量%)−フェノール(90重量%)の混合溶媒100gに本願包装材料試料を1g入れ、70℃、3時間加熱溶解した後、濾紙を用いて瀘過し、さらに各10gの混合溶媒で2回濾紙を洗浄し、得られた瀘液および洗液を集めて蒸発乾固して残った固形分量{(a)g}から測定されるものであり、下記式により算出される。
{1−(a)}×100(%)
この不溶解率が1重量%未満の場合は本発明の目的であるレトルト時の白化、融着、ガスバリアー性の劣化を防止する効果が少なくなる。
【0027】
このような不溶解率を付与する方法としては、フィルム、シート、または容器を電離性放射線照射する方法が採用される。
電離性放射線としては電子線が好適に用いられ、その照射量は0.1〜100Mradが好ましい。さらには0.5〜60Mradが好ましい。照射量が100Mradを越えるとEVOHの分解が生じることに伴い、フィルム強度の大幅低下、着色等の問題が発生するため好ましくない。また照射量が0.1Mradを下回ると、不溶解率が上昇せずレトルト処理時のEVOH層の白化、形態変形、ガスバリア性悪化などの以上が改善できない。
【0028】
他の照射条件は広範囲に変更可能であり、照射温度は室温以上、より好適には40〜80℃であり、雰囲気としては、特に限定されないが、窒素などの不活性雰囲気中で行うことが望ましい。
【0029】
ところでEVOHに電子線照射した場合、通常、樹脂の分解、重合度の低下を示し、かつ融点が下がる傾向にある。一方EVOHに該架橋剤等を添加すると、左記の含水フェノール不溶解率が増加し、本発明のレトルト時の白化、バリアー性悪化を大幅に改善するが、含水フェノール可溶分のEVOHについては溶液粘度、すなわち重合度が低下しており、照射により架橋と分解が同時に進行していることがわかる。また照射品の融点は上記同様未照射品と比較して低下する傾向にある。
【0030】
このようにして得られた本発明の食品包装材は通常、他の熱可塑性樹脂との多層構成で使用される。ガスバリアー性を担う該組成物層の厚みは5〜250μ、通常10〜100μの範囲から選ばれる。一方、内外層に使用する熱可塑性樹脂は任意のものが採用され、特に制限はないが、用途および要求される透湿性、耐熱性、ヒートシール性、透明性などの性能を考慮して内外層を選択することにより優れた包装材を得ることが出来る。
【0031】
内外層として用いられる樹脂としては、ポリプロピレン、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂および照射架橋したポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンー酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸系共重合体、エチレン−アクリル酸エステル系共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル系共重合体などが挙げられ、これらの樹脂が単独あるいは積層して使用される。
【0032】
多層構造体は次のような各種の積層方法によって製造可能であり、共押出法、ドライラミネート法、サンドラミネート法、押出ラミネート法、共押出ラミネート法、溶液コート法などがある。
【0033】
共押出法とは熱可塑性樹脂、接着性樹脂、EVOH組成物(アリルエーテル基を2つ以上有する架橋剤添加品)などを押出機より溶融状態下に積層し、ダイス出口よりフィルム状に製膜する方法であり、製膜した後、電離性放射線照射による架橋を行い、さらに必要に応じて延伸、熱成形が行われる。
【0034】
かかる共押出法にて製膜する場合、EVOH組成物層と熱可塑性樹脂層を接着性樹脂をはさんで積層する方法が好ましい。接着性樹脂としてはカルボキシル基あるいはエポキシ基を含有するポリオレフィンを用いることが好ましい。かかる樹脂が、EVOH層と他の樹脂層との接着性に優れているからである。
【0035】
ここで、カルボキシル基を含有するポリオレフィン系樹脂としては、無水マレイン酸やイタコン酸でグラフト変性されたポリオレフィン、あるいはアクリル酸やメタクリル酸を共重合したポリオレフィンなどが挙げられる。また、アイオノマーに代表されるようにポリオレフィン中に含有されるカルボキシル基の全部あるいは一部が金属塩の形で存在していてもよい。また、エポキシ基を含有するポリオレフィン系樹脂としては、グリシジルメタクリレート共重合ポリエチレン等が挙げられる。これらカルボキシル基あるいはエポキシ基を含有するポリオレフィン系樹脂のうちでも、無水マレイン酸等の酸無水物で変性されたポリオレフィン、特にポリエチレンが接着性に優れる点から好ましい。
【0036】
また、ドライラミネート法としてはあらかじめ製膜しておいたEVOH組成物(アリルエーテル基を分子内に2つ以上有する架橋剤添加品)単層を、電離性放射線照射により架橋を行い、その後、接着剤をコートした熱可塑性樹脂層を熱ロールで接着多層化するか、あるいは、左記方法で多層化したフィルムに電離性放射線照射により架橋を行い必要に応じて延伸、熱成形を行なう方法があげられる。ドライラミネートなどに使用されるフィルムとしてはナイロンフィルム(CN、ON)、ポリプロピレンフィルム(CPP、OPP)、ポリエチレンフィルム(PE、架橋PE)、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム(EVA、架橋EVA)などが挙げられる。
【0037】
なお、本願発明の組成物からなるフイルムに電離性放射線を照射してから積層するかわりに、積層体を製造してから全体に電離性放射線を照射しても良い。
【0038】
このようにして得られた多層構造体は食品包装材、とりわけ加熱殺菌用なかんずくレトルト用包装材として使用した時、最もその特徴が発揮される。食品包装材の用途としては、ふた材、パウチ類、真空包装、スキンパック、深絞り包装、ロケット包装などが好適であるが、さらに、フィルム包装以外にカップあるいはトレー型の容器としても優れた性能を発揮する。また、ボトル形状あるいはチューブ状となすことも出来る。
【0039】
本発明の食品包装材に内容物を充填し、加熱殺菌、とくにボイル殺菌またはレトルト殺菌することにより、保存性の優れた包装体を得ることができる。レトルト処理は回収式、置換式、蒸気式、シャワー式、スプレー式など各種の方法が採用される。レトルト処理を実施した直後は本発明の包装材でも白色不透明になる場合があるが、包装材の表面水を除去した後、しばらく放置することで透明化する。より確実に透明化、ガスバリアー性の回復を望む場合には、40〜150℃、1〜120分間熱風で乾燥することが好適である。また他の加熱殺菌法としては熱間充填法などもあげられる。
【0040】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。なお、評価は以下の方法によって行った。
[レトルト適性]
架橋EVOHフィルムを120℃、2kg/cm2の熱水下で30分処理した後のフィルムの様子を次のように評価した。
○・・・・全体的にフィルムの溶解がない。
△・・・・一部溶解。
×・・・・全体的にフィルムが溶解し、形状を残さない。
【0041】
実施例1
エチレン含量27モル%、ケン化度99.5%、メルトインデックス(MI210℃)3.0g/10minのEVOH100重量部に架橋剤としてペンタエリスリトールトリアリルエーテル(PETAE)1重量部とをドライブレンドし、25φ二軸押出機、230℃にてペレット化を行い、EVOH組成物を得た。
【0042】
次いで、該EVOH組成物を20φ一軸押出機、230℃にて20μmの単層製膜を連続6時間運転を実施した。連続運転中、不均一な相分離異物は生成しなかった。またこの単層フィルムに電子線照射装置(キュアトロン:日新ハイボルテージ製)に導入して10Mrad(加速電圧200kv)の電子線を照射してEVOHフィルムを架橋させた。この時、水/フェノール=10/90重量比混合溶媒、70℃、3時間加熱溶解試験による該フィルムの不溶解分の含量、即ち、不溶解率は30%であった。
【0043】
実施例2〜5 比較例1〜4
EVOHのエチレン含量、架橋剤の種類および量を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様の条件でフィルムを得た。その結果を表1にまとめて示す。
【0044】
【表1】
Figure 0003647537
【0045】
実施例6
実施例1で得られた照射フィルムを多層化するため、延伸ナイロンフィルム(ON)および、延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)をアンカーコート用接着剤を介してEVOH組成物層の両側にドライラミネートした。該多層フィルムを製袋機にかけ、袋状のパウチを作り食品充填後、真空下で投入口をヒートシールした。その後120℃、30分間レトルト殺菌処理した結果、フィルム形態は良好であり、処理直後は多少白味を帯びていたが、3時間放置後には透明であった。この時のガスバリアー性は35cc・20μ/m2・24hr・atmと比較的良好なガスバリアー性を示した。
【0046】
実施例7
実施例2で得られた未照射フィルムを多層化するため、延伸ナイロンフィルム(ON)および、延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)をアンカーコート用接着剤を介してEVOH組成物層の両側にドライラミネートした。その後、加速電圧200KVの電子線で10Mradの照射を行った。該照射フィルムの20℃、100%RH下でのガスバリアー性は18cc・20μ/m2・24hr・atmであ った。該多層フィルムを製袋機にかけ袋状のパウチを作り食品充填後、真空下で投入口をヒートシールした。その後、120℃、30分間レトルト殺菌処理した結果、フィルム形態は良好であり、処理直後は多少白味を帯びていたが、3時間放置後には透明であった、この時のガスバアリアー性は28cc・20μ/m2 ・24hr・atmと比較的良好なガスバリアー性を示した。
【0047】
実施例8
実施例1で得られたEVOHと架橋剤(ペンタエリスリトールトリアリルエーテル)のブレンドフィルム(未照射品)を多層化する為、延伸ナイロンフィルム(ON)および、延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)をアンカーコート用接着剤を介してEVOH組成物層の両側にドライラミネートした。その後、加速電圧200KVの電子線で10Mradの照射を行った。
【0048】
該照射フィルムの20℃、100%RH下でのガスバリアー性は19cc・20μ/m2・24hr・atmであった。該多層フィルムを製袋機にかけ袋状のパウチを作り食品充填後、真空下で投入口をヒートシールした。その後、120℃、30分間レトルト殺菌処理した結果、フィルム形態は良好であり、処理直後は多少白味を帯びていたが、3時間放置後には透明であった。この時のガスバアリアー性は32cc・20μ/m2・24hr・atmと比較的良好なガスバリアー性を示した。
【0049】
実施例9
実施例1で得たEVOH100重量部とペンタエリスリトールトリアリルエーテル1重量部からなるEVOH組成物を、3種5層共押出装置にかけ多層シートを作成した。シートの構成は両最外層EVA樹脂層(三井デュポンケミカル;エバフレックスP1403)が各300μ、また接着性樹脂層(三井石油化学;アドマーVF−600、EVA樹脂の無水マレイン酸変性物)各50μm、さら内層中央には上記EVOH組成物層50μmである。その後、加速電圧200kVの電子線で10Mradの照射を行ない、得られたシートをパンタグラフ式二軸延伸機にかけ90℃で延伸倍率3×3倍で同時二軸延伸を行った。
【0050】
得られた多層熱収縮フィルムはクラック、ムラ、偏肉も少なく外観、透明性も比較的良好であった。このフィルムを20℃、100%RHに調湿し、ガスバリアー性を測定した所、15cc・20μ/m2・24hr・atmと良好なガスバリアー性を示した。また90℃での熱収縮性を測定したところ、65%の面積収縮率を示した。該延伸フィルムを120℃、30分間レトルト殺菌処理した結果、処理直後は多少白味を帯びていたが、3時間放置後には透明であった。この時のガスバリアー性は24cc・20μ/m2・24hr・atmと、比較的良好なガスバリアー性を示した。
【0051】
一方、上記多層シートの厚み構成を両最外層EVA樹脂層が各30μmまた接着性樹脂層が各5μm、最内層中央には上記EVOH層10μmに変更し、得られたシートをスキンパック包装機(ムルチバック社製;180℃)にかけスキンパック包装を実施した。その結果、包装フィルムの外観は折れジワ、内容物のつぶれもなく良好であった。また、該スキンパック包装袋を120℃、30分間レトルト殺菌処理した結果、処理直後は多少白味を帯びていたが、1時間放置後には透明であった。この時のガスバリアー性は29cc・20μ/m2・24hr・atmと比較的良好なガスバリアー性を示した。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、耐熱水性、ガスバリア性、ロングラン成形性に優れた、加熱殺菌、特にレトルト処理に適した樹脂組成物、食品包装材、その製法およびそれを用いた包装体が提供される。

Claims (4)

  1. エチレン−ビニルアルコール共重合体に、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサアリルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタアリルエーテル、トリエチレングリコールジアリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、ジグリセリントリアリルエーテルおよびジグリセリンジアリルエーテルから選ばれる少なくとも1種の、アリルエーテル基を分子内に2つ以上有する架橋剤を含有する樹脂組成物。
  2. エチレン−ビニルアルコール共重合体に、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサアリルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタアリルエーテル、トリエチレングリコールジアリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、ジグリセリントリアリルエーテルおよびジグリセリンジアリルエーテルから選ばれる少なくとも1種の、アリルエーテル基を分子内に2つ以上有する架橋剤を含有し、かつ水(10重量%)−フェノール(90重量%)の混合溶媒中での不溶解率が1%以上である食品包装材。
  3. エチレン−ビニルアルコール共重合体に、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサアリルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタアリルエーテル、トリエチレングリコールジアリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、ジグリセリントリアリルエーテルおよびジグリセリンジアリルエーテルから選ばれる少なくとも1種の、アリルエーテル基を分子内に2つ以上有する架橋剤を添加した組成物を溶融成形した後に電離性放射線を照射し、架橋せしめることを特徴とする食品包装材の製法。
  4. 請求項2に記載の食品包装材に内容物を充填し、加熱殺菌した包装体。
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