JPH06323424A - 動力車両の変速装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】この発明は、動力車両の変速装置に関し、異常
内容の把握とチェックを迅速に行なえる装置を提供せん
とする。 【構成】変速スイッチを操作すると電気信号によって駆
動されるアクチュエ−タによりシフタ−が操作されて変
速がなされる動力車両において、シフト出力に応じてシ
フタ−が所定の位置に移動したか否かを検出する自己診
断機能を持たせ、この自己診断の切替を、チェックスイ
ッチと増速側の変速スイッチが同時に押されたときに切
り替わるように制御する制御部を設けている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、電気信号によってア
クチュエ−タを作動させ、シフタ−を移動させて変速を
行なう動力車両の自動変速装置に関するものである。

【０００２】

【従来技術及び発明が解決しようとする課題】トラクタ
−等の動力車両の変速装置を電気的にコントロ−ルする
ものが知られている。本出願人が以前に提案したもの
は、主副変速装置の切替時に、まず、油圧クラッチで構
成された前後進切替装置を中立に保ち、その後、主副変
速装置を切り替え、再び前後進切替装置の油圧クラッチ
を接続するようにしたものである。

【０００３】しかしながら、この種の変速装置は変速ス
イッチや変速位置を確認するための多くのセンサを必要
とし、切替は全て電気的制御で行なわれるために、セン
サの故障やハ−ネスが断線したときには装置が正常に作
動しないばかりか、どの部分が異常なのか判断に困るこ
とが多く、オペレ−タはテスタ等の計測機を持って故障
個所と思われるところを全てチェックしなければなら
ず、異常内容の判定に手間取る不具合があった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】この発明は前記問題点に
鑑みて提案するものであり、次のような技術的手段を講
じた。即ち、変速位置を指定する変速スイッチと、変速
位置を検出する変速位置センサを備え、変速スイッチを
操作すると電気信号によって駆動されるアクチュエ−タ
によりシフタ−が操作されて複数段の変速が行なえるよ
うに構成された動力車両において、シフト出力に応じて
シフタ−が所定の変速位置に移動したか否かを検出する
自己診断機能を備えていることを特徴とする動力車両の
変速装置とする。

【０００５】

【実施例】以下、図面に示す実施例に基づいて、この発
明の実施例を説明する。まず、構成から説明すると、１
はトラクタ−、２は前輪、３は後輪である。トラクタ−
の機体前部にはエンジン４を搭載し、エンジン４の後部
にはメインクラッチ５を収容しているクラッチハウジン
グ６、変速装置を収容しているミッションケ−ス８を連
設している。ミッションケ−ス８内には、機体の進行す
る向きを変更する前後進切替装置９と、４段の変速が可
能な主変速装置１０と、同じく４段の変速が可能な副変
速装置１１が設けられている。

【０００６】変速レバ−１２の把手部分には速度増減用
のボタン式変速スイッチ１４が設けられ、これを増速側
あるいは減速側に操作して主変速装置１０を１速から４
速まで切り替える。変速レバ−１２は前後及び左右方向
の２軸を中心として揺動可能に構成されており、横方向
外側に倒すと、まず変速感知センサ１５がＯＮとなり、
この状態を維持しつつ変速レバ−１２を前後方向に揺動
させると副変速装置１１が機械的にＬＬ、Ｌ、Ｍ、Ｈの
４速の範囲で切り替えられる。

【０００７】主変速装置１０、及び副変速装置１１は共
にシンクロメッシュ式の変速装置で構成され、前後進切
替装置９のみ油圧クラッチで構成されている。変速を行
なう場合であって、主変速装置１０が切り替えられると
きには、まず、前後進切替装置９の油圧クラッチがＯＦ
Ｆに切り替えられ、ついで主変速装置１０のシフタ−を
操作するアクチュエ−タ１６が油圧によって移動させら
れる。シフタ−が所定の変速位置に達すると変速位置を
検出する主変速位置センサ１９がそれを検知し、再び前
後進切替装置９の油圧クラッチが接続される。一方、副
変速装置１１が切り替えられるときには、先に述べたよ
うに前後進切替装置９の油圧クラッチがまず切られ、変
速レバ−１２を移動させた後、変速感知センサ１５が変
速レバ−１２の復帰（変速レバ−１２が横方向内側に倒
された状態）を検出すると共に副変速位置センサ２０が
変速完了を検出すると、前記油圧クラッチが再び接続さ
れるように構成している。これらの切り替えは全て電気
的に制御される。２２は前後進切替用操作レバ−であ
り、前側に操作すると、前進側スイッチ２３がＯＮとな
って前後進切替装置９の前進側ソレノイド２３ａが励磁
され、反対に後側に前後進切替レバ−２２を操作する
と、後進側スイッチ２４がＯＮとなって後進側ソレノイ
ド２４ａが励磁されるように構成している。

【０００８】図２は制御系のブロック図である。マイコ
ンからなる制御部３０の入力側にはエンジン回転センサ
３７、後輪３の回転数を検出する車輪回転センサ３８、
前後進切替スイッチ２３、２４、主変速装置１０の変速
位置を検出する主変速位置センサ１９、副変速装置２０
の変速位置を検出する副変速位置センサ２０、主変速ス
イッチ１４、変速感知センサ１５が接続されている。更
に、電源投入用のキ−スイッチ２７、センサ類のチェッ
ク時に押すチェックスイッチ２８が接続されている。

【０００９】制御部３０の出力側には、前後進切替装置
９の昇圧ソレノイド４０、前進用ソレノイド２３ａ、後
進用ソレノイド２４ａ、主変速装置１０のアクチュエ−
タを移動させる１速から４速までの各ソレノイド４２、
４３、４４、４５、ブザ−４７、変速位置を表示するモ
ニタ−ランプ４９が接続されている。なお、図３におけ
る図中符号５０は油圧ポンプ、５１は減圧弁、５２はパ
ワ−ステアリング装置である。

【００１０】次に図４乃至図６に示すフロ−チャ−トに
基づいて作用を説明する。まず最初にセンサ類やスイッ
チ類の読み込みがなされ（ステップＳ１）、キ−スイッ
チ２７による電源投入操作があったかどうかが判断され
る（ステップＳ２）、キ−スイッチ２７操作があり、し
かもチェックスイッチ２８と変速スイッチ１４の増速側
ボタンが同時に押されたときには自己診断モ−ドに入っ
たことを報知するためにブザ−４７を一定時間だけ鳴動
させる（ステップＳ４）。続いてニュ−トラルチェック
を図４のフロ−チャ−トにしたがって行なう。このニュ
−トラルチェックは変速装置を操作するシフタ−が中立
位置に復帰しているかどうかを判別するための制御フロ
−であって、一定時間タイマ−をセットし、その間、シ
フタ−をＯＦＦ位置に保持するように制御部３０から指
令が出される（ステップ♯３）。タイマ−が切れた状態
で全てのシフタ−が中立位置に復帰していれば正常と見
做し、１速から４速までの変速シフタ−のいずれかが中
立位置に復帰していない場合には、ＯＮになっているシ
フタ−の異常フラグを立てる（ステップ♯６）。図３の
メインフロ−チャ−トにおけるステップＳ６乃至Ｓ９は
主変速装置１０のシフタ−が正常に作動するかどうかを
判別するためのチェック内容を示すものであり、１速の
場合を図５のフロ−チャ−トにより説明すると、まず、
タイマ−をセットし、その間、１速のシフトを行なうよ
うに制御部３０から出力指令を出す（ステップＴ４）。

【００１１】このとき、主変速位置センサ１９が変速さ
れたことを検知すると正常と判断し（ステップＴ６）、
１速を指示したにも拘らず、ＯＮしないとか、他のシフ
タ−が動作したといった場合にはその異常内容に応じて
フラグを立てる（ステップＴ７）。このようにして１速
から４速までのシフタ−の動作状況をチェックするので
あり、ニュ−トラルチェックや変速シフタ−の動作チェ
ックを行なって異常があれば一定時間だけブザ−４７を
鳴らす（ステップＳ１１）。異常がなければ、３回ブザ
−４７を鳴らす（ステップＳ１９）。そして、異常個所
に応じて１速から４速までの該当するランプを点灯させ
る（ステップＳ１３、Ｓ１４、Ｓ１５、Ｓ１６）。この
ように、この実施例では、シフト変更時に目的とする位
置に変速できないときに、エンジン４を始動してチェッ
クスイッチ２８と増速側の変速スイッチ１４を同時に押
すだけで自己診断モ−ドに移ることができ、このモ−ド
にすれば異常内容が即座に判るため、修理や点検作業が
容易になる。しかも、チェックは１速から４速まで順次
連続的に行なわれるので操作が簡単であり、短時間のう
ちにチェックを完了できる。なお、チェックはオペレ−
タの操作と連動して１行程毎に行なう構成としてもよ
い。

【００１２】次に図７、図８の比較例を簡単に説明す
る。従来は目的とするシフト位置に変速されない場合に
は変速動作自体を禁止させるようにしていたが、このよ
うな従来構成の場合、変速装置が中立位置に保持される
ことになり、動力伝達が出来ない状態のまま放置される
ので坂道等で機体が暴走する恐れが生じて危険である。
しかも、誤配線等があった場合、シフト行為そのものを
禁止すると、シフトできないだけでなく、どのような誤
配線によってシフトできないのか後から判別するのに困
り、その配線の数が多くなるとその確認作業がきわめて
面倒である。この比較例では、目的とするシフト位置に
変速できなくても他のシフト位置にシフタ−が動いて変
速できたときには、正常時と同じようにシフト出力を継
続して出し、但し、異常であるからブザ−４７は鳴らし
てオペレ−タにそれを報知するようにしたものである。

【００１３】まず、センサ類やスイッチ類の状態が読み
込まれ（ステップＵ１）、主変速装置１０に対して変速
要求があった場合、現在のシフト位置が記憶される（ス
テップＵ４）。同時に現在のシフト位置から一旦中立に
すべく出力ＯＦＦの指令が出され（ステップＵ５）、中
立状態にならなければ一定時間後にシフト異常フラグを
セットする（ステップＵ６、Ｕ７、Ｕ８）。中立状態に
戻り、新たに変速を行なうべく変速出力要求があり（ス
テップＵ９）、目標位置にシフトされた場合は完了フラ
グを立てる（ステップＳ１１）。目標とするシフト位置
に入らずに、他のシフト位置に入ったことが主変速位置
センサ１９で確認されると、入った位置に応じて異常状
態フラグを立てる（ステップＵ１２、Ｕ１３）。このと
き、シフトが入らない場合には一定時間経過後に再びシ
フトすべくシフトリトライ出力を出す（ステップＵ１
４、Ｓ１５）。このような構成を採用すると、シフト操
作が行なわれずに中立状態となって機体が坂道等で暴走
してしまう不具合を解消することができる。更に、１速
に変速したのに２速に入ってしまうといった場合に、そ
の誤配線等を後で容易に知ることができ、異常のあった
個所を迅速に知ることができて便利である。

【００１４】

【発明の効果】この発明は前記の如く、変速位置を指定
する変速スイッチと、変速位置を検出する変速位置セン
サを備え、変速スイッチを操作すると電気信号によって
駆動されるアクチュエ−タによりシフタ−が操作されて
複数段の変速が行なえるように構成された動力車両にお
いて、シフト出力に応じてシフタ−が所定の変速位置に
移動したか否かを検出する自己診断機能を備えているこ
とを特徴とする動力車両の変速装置であるからシフト変
更ができないときの異常内容の把握が容易であり、故障
時に即座に対応できる特徴を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】トラクタ−の全体側面図である。

【図２】制御系を示すブロック図である。

【図３】油圧回路図である。

【図４】メインフロ−チャ−トである。

【図５】サブル−チンのフロ−チャ−トである。

【図６】サブル−チンのフロ−チャ−トである。

【図７】比較例のフロ−チャ−トである。

【図８】比較例のサブル−チンのフロ−チャ−トであ
る。

【符号の説明】

１ トラクタ− ２ 前輪 ３ 後輪 ４ エンジン ９ 前後進切替装置 １０ 主変速装置 １１ 副変速装置 １２ 変速レバ− １６ アクチュエ−タ １９ 主変速位置センサ ２０ 副変速位置センサ ３０ 制御部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】変速位置を指定する変速スイッチと、変速
   位置を検出する変速位置センサを備え、変速スイッチを
   操作すると電気信号によって駆動されるアクチュエ−タ
   によりシフタ−が操作されて複数段の変速が行なえるよ
   うに構成された動力車両において、シフト出力に応じて
   シフタ−が所定の変速位置に移動したか否かを検出する
   自己診断機能を備えていることを特徴とする動力車両の
   変速装置。