JPH0631282B2 - Wf―20714物質 - Google Patents

Wf―20714物質

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JPH0631282B2
JPH0631282B2 JP60076093A JP7609385A JPH0631282B2 JP H0631282 B2 JPH0631282 B2 JP H0631282B2 JP 60076093 A JP60076093 A JP 60076093A JP 7609385 A JP7609385 A JP 7609385A JP H0631282 B2 JPH0631282 B2 JP H0631282B2
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正信 向坂
啓造 吉田
隆尚 大塚
剛 安藤
文章 西川
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、血小板凝集抑制作用を有する新規なWF-207
14物質に関するものであり、医療の分野で利用される。
〔発明の目的〕
この発明は、新規なWF-20714物質に関する。さらに詳細
には、この発明は血小板凝集抑制作用を有する新規なWF
-20714物質およびその塩を提供するものである。
〔発明の構成〕
この発明は、下記の理化学的性質を有するWF-20714物質
およびその塩よりなる。
WF-20714物質の理化学的性質 色および性状:無色板状結晶 塩基性,酸性,中性の区別:両性物質 融点:261〜263℃(分解) 比旋光度:〔α〕▲20 D▼=+0.8゜(c=1.0 H2O) 元素分析値:C,44.28%;H,5.57%;N,22.86% 質量分析値(SIMS):m/z=243(M+1) 紫外線吸収スペクトル: 赤外線吸収スペクトル: 1H−核磁気共鳴吸収スペクトル: δ(重水;内部標準テトラメチルシラン): 3.06(1H,dd,J=13.2,5.6Hz),3.08(2H,d,J=6.9Hz),3.12(1
H,dd,J=13.2,6.9Hz),3.51(1H,t,J=6.9Hz),3.81(1H,dd,J
=6.9,5.6Hz),7.24(1H,d,J=1.3Hz),8.45(1H,d,J=1.3Hz)p
pm13 C−核磁気共鳴吸収スペクトル: δ(重水;内部標準テトラメチルシラン): 28.4(t),47.6(t),54.2(d),63.4(d),117.2(d),130.8(s),
134.2(d),173.4(s),178.9(s)ppm 溶解性: 可溶:水 不溶:メタノール,エタノール,アセトン,酢酸エチル 呈色反応: 陽性:ニンヒドリン,ヨウ素,リンモリブデン酸,過マ
ンガン酸カリウム,パウリ試薬 陰性:硝酸銀,塩化第二鉄,モーリッシユ反応,2,4−
ジニトロフェニルヒドラジン,ドラゲンドルフ試薬 薄層クロマトグラフィー:Rf値 この発明のWF-20714物質は、例えばミロセシウム属に属
するWF-20714物質生産菌のようなWF-20714物質生産菌を
培地に培養し、得られる培養物からWF-20714物質を分離
採取することにより製造することができる。
この発明で使用するWF-20714物質生産菌のうち、この発
明者等が鹿児島県屋久島等で採取した土壌試料から新た
に分離採取した菌株(F-20714株と番号を付す)は、以
下に示すような菌学的性質を有する。
種々の培地上での特徴 麦芽エキス寒天培地およびバレイショ・ブドウ糖寒天培
地上、25℃で2週間培養したときの生育状態の特徴を表
1に示す。色名は、日本色採研究所の「色の標準」を使
用した。
生理学的特徴 F-20714株は5〜31℃の範囲で生育可能で、最適生育温
度は22〜27℃である。また、本菌株の生育pH範囲はpH4
〜10、最適生育pHはpH5〜6である。
F-20714株は、種々の培地上で、有性生殖形態は観察さ
れなかつたが、菌糸がマット状に密集した分生子座から
なる無性生殖形態が豊富に形成された。分生子柄は分生
子座の上部に層をなし、分生子形成様式は内分芽型のフ
ィアロ型である。この形態的特徴からF-20714株は、不
完全菌類ミロセシウム属に所属すると思われる。
分生子座は密集した栄養菌糸からなり、大きさは不均一
で直径50〜500μm、高さ50〜100μm、隣り合う分生子
座が集合してさらに大型化(直径1mm以上)する。分生
子柄は分生子座の上部に並列に形成され、無色、滑面、
2〜4本の分枝を数回繰り返して生ずる。分生子柄の頂
端部は、おのおのの分枝に3〜5本のフィアライドが輪
生し、全体としては樹状である。フィアライドは無色、
滑面、円筒形または倒桿棒形で短い頚部をもつことがあ
り、長さ10〜15μm、幅2〜3.5μmである。分生子は
淡緑色、滑面、舟形からレンズ形で先端はやや尖頭状、
基部は乳頭状の切断痕があり、長さ6〜8μm、幅2.5
〜4μm、1〜2個の液胞をもつ。隣り合うフィアライ
ドから形成された分生子は集合して分生子塊となり、最
終的に分生子座上に、暗緑色で直径0.5〜3mmの集塊を
生ずる。栄養菌糸は無色、滑面、分枝はするがやや少な
く、隔壁をもつ。菌糸細胞は桿形または円筒形で幅1〜
3.5μm。厚膜胞子は形成されない。
これらの特徴から、F-20714株は、エリス(M.B.Ellis)
著のデマチアセウス・ヒホマイセテス(Dematiaceous H
yphomycetes,C.M.I.,Kew,1971)の第555頁記載の分類基
準に従えば、ミロセシウム・ベルルカリア・アルベルデ
ィニ・エト・シュヴァイニッツ・ディットマー・エクス
・フリース(Myrothecium verrucaria(Albertini et S
chweinitz)Ditmar ex Fries)と思われる。そこで上記
の本菌株の特徴をエリス、松島〔イコネス・マイクロフ
ァンゴラム・ア・マツシマ・レクトラム(Icones Micro
fungorum A Matsushima Lectorum,1975)第100頁〕、宇
田川〔菌類図鑑(下),講談社,東京、1978、第1071
頁〕等の記載と比較した結果、ほぼ一致したので、本菌
株をミロセシウム・ベルルカリアの一菌株と同定し、ミ
ロセシウム・ベルルカリア・F-20714(Myrothecium ver
rucaria F-20714)と命名した。
このミロセシウム・ベルルカリア・F-20714株は、工業
技術院微生物工業技術研究所に微工研菌寄第8174号とし
て昭和60年4月5日に寄託されている。
この発明で使用するWF-20714物質生産菌は、例えばX
線、紫外線等の照射処理、例えばナイトロジエン・マス
タード、アザセリン、亜硝酸、2−アミノプリン、N−
メチル−N′−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NT
G)等の変異誘起剤による処理、ファージ接触、形質転
換、形質導入、接合等の通常用いられる菌種変異処理方
法により、WF-20714物質の生産能を高めることができ
る。
ミロセシウム属に属するWF-20714物質生産菌を培地に培
養することにより行なわれるWF-20714物質の生産は原則
的には一般微生物の培養方法に準ずるが、通常は液体培
地による深部培養法が有利である。培養に用いられる培
地としては、ミロセシウム属に属するWF-20714物質生産
菌が利用する栄養源を含有する培地であればよい。すな
わち、合成培地、半合成培地あるいは天然培地が用いら
れ、培地組成は炭素源としては、例えばグルコース、シ
ユークロース、マルトース、グリセリン、でん粉、液化
でん粉等が用いられ、窒素源として、例えば肉エキス、
カゼイン加水分解物、ペプトン、グルテンミール、コー
ンミール、綿実粉、大豆粉、コーン・スチープ・リカ
ー、ピーナツパウダー、小麦胚芽、乾燥酵母、酵母エキ
ス、尿素、りん酸アンモニウム等が用いられる。このほ
か、例えばりん酸水素二ナトリウム、りん酸二水素カリ
ウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カル
シウム、ヨウ化ナトリウム、塩化コバルト6水塩等の無
機塩も必要に応じて培地に添加される。
また培養中発泡の著しい時には、例えば大豆油、亜麻仁
油等の植物油、オクタデカノール、テトラデカノール、
ヘプタノール等の高級アルコール類、シリコン化合物等
の消泡剤を適宜添加すればよい。
培養温度は25〜30℃前後が適当であり、培養容量の増大
に従つて適宜種培養を行なうと好結果が得られることが
多い。本培養の培養時間は50〜300時間位が適当であ
り、培地が濃厚になるのに従つて、培養時間をさらに延
長してもよい。
以上述べた培養条件は使用生産菌株の特性に応じてそれ
ぞれに最適の条件を選択して適用される。
次に、培養により生成したWF-20714物質は通常、培養物
中のろ液内に蓄積されることが多いので、一般には遠心
分離、ろ過等の手段により、菌体およびろ液(上澄液)
に分離した後ろ液から一般抗生物質の製造に用いられる
手段により分離、精製および採取される。すなわち、液
性変換、例えば陰イオン交換樹脂、陽イオン変換樹脂、
非イオン性吸着樹脂等の樹脂による処理、例えば活性
炭、けい酸、シリカゲル、アルミナ、セルロース等の吸
着剤による処理、結晶化、再結晶等の手段を任意の順序
に組み合わせまたは反復して適用することにより、目的
物質であるWF-20714物質を分離、精製することができ
る。
遊離の形で得られたWF-20714物質は、塩基(例えば、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、
炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミ
ン、ジシクロヘキシルアミン等)または酸(例えば、塩
酸、硫酸、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、マレイン酸
等)を作用させて所望に塩に導くことができる。
〔発明の効果〕
この発明の目的物質であるWF-20714物質および医薬とし
て許容されるその塩は、以下の試験から明らかなよう
に、血小板凝集抑制作用を有し、人および動物の医薬と
して有用である。
試験(血小板凝集抑制作用試験): (a)試験方法 家兎の洗浄血小板懸濁液(血小板数:5×105個/μ
)〔ブリティシュ・ジャーナル・オブ・ヘマトロジー
(British Journal of Haematology)第19巻,第7〜17
頁(1970)記載の方法により調整したもの〕に所定量の
WF-20714物質を加え撹拌しながら、血小板凝集剤である
ホスフォリパーゼC(PLC)を、PLCの濃度が0.08unit/m
lとなるように加えた。血小板凝集を濁度法により、凝
集中の洗浄血小板懸濁液の光透過度の変化を記録するこ
とにより測定した。
WF-20714物質の活性をIC50値、すなわち血小板凝集を50
%阻止するのに必要な濃度として表わした。
(b)試験結果 IC50:1.1μg/ml この発明の目的物質であるWF-20714物質および医薬とし
て許容される塩は、経口用、非経口用あるいは外用に適
した有機もしくは無機の固体状または液状の慣用担体と
混合して、慣用の医薬製剤、例えばカプセル剤、錠剤、
顆粒剤もしくは坐剤のような固形製剤、軟膏のような半
固形製剤または液剤もしくふは乳剤のような液状製剤の
形で使用され得る。
なお、上記製剤中には、安定化剤、湿潤剤、乳化剤等の
慣用の添加剤が適宜含まれていてもよい。
WF-20714物質および医薬として許容される塩の投与量は
患者の年令、体重、症状等にもよるが通常一回約0.1mg
ないし1000mgの範囲で投与される。
〔実施例〕
以下実施例によりこの発明を説明する。
実施例1 可溶性デンプン1.0%、コーン・スターチ1.0%、グルコ
ース1.0%、綿実粉1.0%、乾燥酵母1.0%、コーン・ス
チープ・リカー1.0%および炭酸カルシウム0.2%(pH6.
0)から成る種培養培地を500ml容三角フラスコ4本に10
0mlずつ入れ、120℃で30分間滅菌する。これらにミロセ
シウム・ベルルカリア・F-20714株(微工研菌寄第8174
号)をスラントから1白金耳ずつ植菌し、25℃で4日間
振とう培養する。
可溶性デンプン2.0%、グルコース2.0%、コーン・スチ
ープ・リカー2.0%、ピーナツパウダー0.5%、ペプトン
0.5%、乾燥酵母0.5%および炭酸カルシウム0.2%(pH
6.5)からなる生産培地を30容ジャーファメンター4
基に20ずつ入れ、120℃で30分滅菌する。これらに上
記種培養液を1.6%ずつ植菌し、25℃で5日間培養する
(通気量20/分、内圧1.0Kg/cm2、撹拌250rpm)。
得られた培溶液をラジオライト(商品名:昭和化学工業
社製)を用いて過し、液(38)を得る。液をSK
-1B(H+型)樹脂(商品名:三菱化成工業社製)(8
)に吸着させ、水(24)で洗浄後、1Mピリジン水
溶液(32)で溶出する。溶出液をそのままジエチルア
ミノエチル−セファデックス(DEAE-Sephadex)A−25
(OH-型)(商品名:ファインケミカル社製)(3)
に吸着させ、水(15)で洗常後、0.1N塩酸で溶出分
取する。目的物質を含む画分を合わせ、6N水酸化ナト
リウム水溶液で中和した後、カルボキシメチル−セファ
デックス(CM-Sephadex)C−25(H+型)(商品名:フ
ァインケミカル社製)(1.5)に吸着させ水(4.5)
および0.01N塩酸(4.5)で順次洗浄した後、0.03N
塩酸(3)で溶出する。溶出液を1N水酸化ナトリウ
ム水溶液でpH9.0に調整し、活性炭カラム(1)に付
す。水で溶出分取し、目的物質を含む画分を合わせて20
mlまで減圧濃縮する。90℃に加温しながらエタノール
(20ml)を加え、析出した結晶を取し乾燥して、WF-2
0714物質(1.53g)を得る。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の理化学的性質を有するWF-20714物質
    およびその塩類。 色および性状:無色板状結晶 塩基性,酸性,中性の区別:両性物質 融点:261〜263℃(分解) 比旋光度:[α]▲20 D▼=+0.8゜(c=1.0 H
    2O) 元素分析値:C,44.28%;H,5.57%;N,22.86
    % 質量分析値(SIMS):m/z=243(M+1) 紫外線吸収スペクトル: 赤外線吸収スペクトル: 1H−核磁気共鳴吸収スペクトル: δ(重水;内部標準テトラメチルシラン): 3.06(1H,dd,J=13.2,5.6Hz),3.08(2H,d,J=6.9Hz),3.12(1
    H,dd,J=13.2,6.9Hz),3.51(1H,t,J=6.9Hz),3.81(1H,dd,J
    =6.9,5.6Hz),7.24(1H,d,J=1.3Hz),8.45(1H,d,J=1.3Hz)p
    pm 13C−核磁気共鳴吸収スペクトル: δ(重水;内部標準テトラメチルシラン): 28.4(t),47.6(t),54.2(d),63.4(d),117.2(d),130.8(s),
    134.2(d),173.4(s),178.9(s)ppm 溶解性: 可溶:水 不溶:メタノール,エタノール,アセトン,酢酸エチル 呈色反応: 陽性:ニンヒドリン,ヨウ素,リンモリブデン酸,過マ
    ンガン酸カリウム,パウリ試薬 陰性:硝酸銀,塩化第二鉄,モーリッシユ反応,2,4−
    ジニトロフェニルヒドラジン,ドラゲンドルフ試薬
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