JPH06306548A - 熱間加工性に優れた耐硝酸オーステナイト系ステンレス鋼 - Google Patents

熱間加工性に優れた耐硝酸オーステナイト系ステンレス鋼

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JPH06306548A
JPH06306548A JP9989293A JP9989293A JPH06306548A JP H06306548 A JPH06306548 A JP H06306548A JP 9989293 A JP9989293 A JP 9989293A JP 9989293 A JP9989293 A JP 9989293A JP H06306548 A JPH06306548 A JP H06306548A
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JP
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nitric acid
stainless steel
austenitic stainless
hot workability
corrosion
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Shioo Nakada
潮雄 中田
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱間加工性に優れ、Cr6+イオンを含む高温
硝酸中で優れた耐食性を有し、特に加工フロー腐食に優
れたオーステナイト系ステンレス鋼を提供する。 【構成】 重量%で、C:0.015%以下、Si:
0.5%以下、Mn:2%以下、P:0.015%以
下、Cr:15〜30%、Ni:10〜22%、Al:
0.01%以下、Ca:0.002〜0.010%を含
み、残部はFeおよび不可避不純物からなるオーステナ
イト系ステンレス鋼。必要に応じてさらにNbを0.0
5〜0.3%を含み得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は加工性に優れた耐硝酸オ
ーステナイト系ステンレス鋼に関するものである。
【0002】
【従来技術】使用済核燃料再処理設備のような、高温の
硝酸溶液を扱う機器の材料としては、C量が0.020
%以下のR−SUS304ULC、R−SUS316U
LC、R−SUS310ULCおよびR−SUS310
Nbが規格化されている。この中で、25Cr−20N
i系のR−SUS310ULCや310Nbは特に高温
でかつ高濃度環境に適用される。しかし、硝酸中に酸化
力の高いCr6+イオンが存在すると、粒界腐食が促進さ
れ、特に圧延方向と垂直な断面に加工フロー腐食または
トンネル腐食と呼ばれる局部的な腐食が生じる場合があ
り、この耐加工フロー腐食性に優れたステンレス鋼が望
まれている。また、耐硝酸性に対してCrは有効な元素
であるが、その添加量と共に熱間加工性が悪くなり、製
造時の連続鋳造や熱間加工時に割れが生じ易い等の難点
がある。特に、Nbを添加した310Nbは熱間加工性
が悪く製造し難い。25Cr−20Ni系鋼の熱間加工
性の改善としてURANUS65(商品名)の成分例に
示されるように、Ce+Laが添加されているが、耐硝
酸性、特に加工フロー腐感受性を高くする傾向がある。
【0003】一方、耐硝酸性の向上方法としては、Cの
低減に加え、特公昭58−37380号公報ではSi量
の低減が、特開昭59−222559号公報ではさらに
Pの低減が有効であることが示されている。また、Si
については逆に2%以上添加した耐硝酸ステンレス鋼が
特開昭54−124820号公報等で開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、熱間加工性
に優れ、Cr6+イオンを含む高温硝酸液中で優れた耐食
性を有し、特に耐加工フロー腐食性に優れたオーステナ
イト系ステンレス鋼を提供することを目的とするもので
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、特に高Cr
−Ni−Nb系のオーステナイト系ステンレス鋼の熱間
加工性とCr6+イオンを添加した硝酸中における特に耐
加工フロー腐食性を向上するには、Si、P量に加えて
Al量を規制し、さらにCaを適量添加することが有効
であることを見出した。
【0006】本発明の要旨とするところは、重量%に
て、C:0.015%以下、Si:0.5%以下、M
n:2%以下、P:0.015%以下、Cr:15〜3
0%、Ni:10〜22%、Al:0.01%以下、C
a:0.002〜0.010%および必要に応じてさら
に耐硝酸性を高めるためにNb:0.05〜0.3%を
含み、残部はFeおよび不可避不純物からなることを特
徴とする熱間加工性に優れた耐硝酸オーステナイト系ス
テンレス鋼にある。
【0007】
【作用】以下本発明のオーステナイト系ステンレス鋼の
成分について説明する。Cは、溶接時などにCrと炭化
物を形成して粒界に析出して耐粒界腐食性を劣化させる
ことから、できる限り低減させることが望ましい。 図
1は、C量を変化させた25Cr−20Ni鋼におけ
る、650℃×2時間保定後空冷の鋭敏化熱処理材の腐
食速度を示す図である。8N硝酸にCr6+イオンを1g
/l添加した沸騰溶液で、24hrを1バッチとして4
バッチ行った結果である。この結果、C量が0.015
%を超えると腐食速度が大きくなり耐食性が劣化するた
め、C量は0.015%以下とする。
【0008】Siは、耐硝酸性に対して数%の範囲で添
加する場合を除いては、できるだけ低くすることが望ま
しい。しかし、脱酸剤として有効なため0.5%以下を
含有させる。Mnは特に耐硝酸性に影響がないため、S
US304やSUS310などの規格範囲内の2%以下
を含有させる。
【0009】図2は、C量約0.015%の25Cr−
20Ni鋼における、鋭敏化熱処理材のP量と腐食速度
および加工フロー腐食発生個数との関係を示す。8N硝
酸にCr6+を1g/l添加した沸騰溶液中で1バッチ2
4時間で4バッチの腐食試験結果である。P量が0.0
15%を超えると腐食速度が大きくなると共に、加工フ
ロー腐食発生数も多くなる。Pは粒界偏析することが知
られており、このためにP量の増加により耐硝酸性が劣
化するものとみられる。また、Pは耐硝酸性に有害であ
ると共に熱間加工性を劣化させる。このことから、P量
は0.015%以下とした。
【0010】Crは、耐硝酸性を高めるのに有効な元素
である。図3は、鋭敏化熱処理したC量約0.015
%、P量約0.010%のオーステナイト系ステンレス
鋼におけるCrおよびNi量と腐食速度の関係を示した
図で、8N硝酸にCr6+イオン1g/l添加した沸騰溶
液中で1バッチ24時間で4バッチの腐食試験結果であ
る。Cr量の増加と共に腐食速度は著しく減少し、特に
Cr15%以上で優れた耐硝酸性を示すが、それを超え
て添加してもその効果は飽和する。その挙動はNi量が
14%、20%の場合において同じである。Cr量を高
くするとそれに従ってオーステナイト相を確保するに要
するNiの添加量が高くなるため、30%を上限とし
た。
【0011】Niはオーステナイト相とするために必要
な10〜22%を添加する。NbはCを固定する効果に
よって耐硝酸性を向上させるが、C量が0.015%の
25%Cr−20%Ni鋼の鋭敏化熱処理材における8
N硝酸にCr6+イオン1g/l添加した沸騰溶液中の腐
食速度および加工フロー腐食の発生数を示す図4からも
明らかなように、Nbは0.3%までは耐硝酸性の向上
がみられるが、それを超えて添加してもその効果が小さ
いこと、また図5に示す1200℃での熱間引張試験に
おいて、0.3%を超えると絞り値が急激に小さくな
り、熱間加工性が著しく低下することから、Nb量は
0.3%を上限とした。
【0012】Alは、脱酸剤として添加するが、多くな
ると次に述べる耐食性の劣化を来す。図6は、C量が
0.015%の25%Cr−20%Ni鋼の鋭敏化熱処
理材における8N硝酸にCr6+を1g/l添加した沸騰
溶液中での加工フロー腐食発生数におよぼすAl量の影
響を示すが、Al量が0.01%を超えると耐食性が劣
化する。このAlによる加工フロー腐食感受性の増加は
Al酸化物の生成によるものであり、これを抑制するた
めにAlは0.01%以下とした。
【0013】CaはREM(Ce+La)と共に熱間加
工性を向上させる有効な元素である。図7は、Nbを
0.18%添加した25%Cr−20%Ni鋼の120
0℃での熱間引張試験における絞り値とCa量を示す
が、Ca量が0.002%以上で絞り値は著しく高くな
り、目標の60%以上が得られる。しかし、耐硝酸性に
対しては、図8に8N硝酸のCr6+イオンを1g/l添
加した溶液による腐食試験結果が示すように、Ca量が
0.010%を超えると介在物起因の加工フロー腐食が
生じやすくなる。このため、Ca添加量は0.002〜
0.010%の範囲とした。
【0014】以上の鋼成分の組み合わせと限定により、
加工性が良く、かつ耐硝酸性で特に耐加工フロー腐食性
に優れたオーステナイト系ステンレス鋼が得られる。
【0015】
【実施例】本発明を実施例に基づいて説明する。表1、
表2(表1のつづき)に示す成分のオーステナイト系ス
テンレス鋼を供試材として、1100℃×3分加熱後水
冷の固溶化熱処理を行った後、溶接時の熱影響を想定し
て650℃×2時間加熱後空冷の鋭敏化熱処理を行っ
た。腐食試験に当たって#500のエメリー研磨仕上げ
を行った。耐硝酸性の評価は、8N硝酸にCr6+イオン
を1g/l添加した沸騰溶液で24時間を1バッチとす
る4バッチ行い、腐食速度と圧延横断面の加工フロー腐
食の発生個数を測定した。また、熱間加工性は1200
℃における絞り値で評価した。
【0016】表2に示す如く、本発明鋼はCr6+イオン
を含む硝酸中で、目標とする腐食速度が5mm/yea
r以下で、かつ加工フロー腐食の発生もなく優れた耐硝
酸性を示すと共に、目標の絞り値60%以上を有し熱間
加工性も優れている。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】
【発明の効果】以上の如く本発明鋼はCr6+イオンを含
む酸化性の高い硝酸溶液中で加工フロー腐食の発生もな
く優れた耐硝酸性を有すると共に、熱間加工性にも優れ
ており、使用済核燃料再処理設備や硝酸を取り扱う分野
に好適なオーステナイト系ステンレス鋼であり、工業的
な利益は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】耐硝酸性におよぼすC量の影響を示す図であ
る。
【図2】耐硝酸性におよぼすP量の影響を示す図であ
る。
【図3】耐硝酸性におよぼすCr、Ni量の影響を示す
図である。
【図4】耐硝酸性におよぼすNb量の影響を示す図であ
る。
【図5】熱間引張試験1200℃における絞り値におよ
ぼすNb量の影響を示す図である。
【図6】耐硝酸性におよぼすAl量の影響を示す図であ
る。
【図7】熱間引張試験1200℃における絞り値におよ
ぼすCa量の影響を示す図である。
【図8】耐硝酸性におよぼすCa量の影響を示す図であ
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.015%以下、S
    i:0.5%以下、Mn:2%以下、P:0.015%
    以下、Cr:15〜30%、Ni:10〜22%、A
    l:0.01%以下、Ca:0.002〜0.010%
    を含み、残部がFeおよび不可避不純物からなることを
    特徴とする熱間加工性に優れた耐硝酸オーステナイト系
    ステンレス鋼。
  2. 【請求項2】 さらに重量%で、Nbを0.05〜0.
    3%を含むことを特徴とする請求項1記載の熱間加工性
    に優れた耐硝酸オーステナイト系ステンレス鋼。
JP9989293A 1993-04-26 1993-04-26 熱間加工性に優れた耐硝酸オーステナイト系ステンレス鋼 Withdrawn JPH06306548A (ja)

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Cited By (3)

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