JPH021902B2 - - Google Patents
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- JPH021902B2 JPH021902B2 JP56010823A JP1082381A JPH021902B2 JP H021902 B2 JPH021902 B2 JP H021902B2 JP 56010823 A JP56010823 A JP 56010823A JP 1082381 A JP1082381 A JP 1082381A JP H021902 B2 JPH021902 B2 JP H021902B2
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- Arc Welding In General (AREA)
Description
本発明は、溶接時の耐高温割れ性、溶接部靭性
及び耐食性に優れたフエライトステンレス鋼に関
するものである。 ステンレス鋼は大きく分けてフエライト系とオ
ーステナイト系とがあるが、オーステナイト系は
耐食性、加工性、溶接性、高温強度などに優れる
ため、巾広い用途を有する。しかし、Cl-イオン
の存在する環境下においてしばしば応力腐食割れ
が発生するという欠点をもつ。 フエライトステンレス鋼には、オーステナイト
ステンレス鋼の一大欠点があるこの応力腐食割れ
は発生しない。しかし、例えばフエライトステン
レス鋼の代表的鋼種であるSUS430を例にとる
と、苛酷な環境に対し耐食性がないとか、溶接が
施されると高温において生成するγ相が常温に持
ち来たされて、Cの富化されたマルテンサイトと
なり、このマルテンサイトに起因する溶接部の靭
性の低下及び溶接熱影響部に粒界腐食を来すなど
の欠点を有する。耐食性を改善するためには、
Cr含有量の増量とかMoの添加などが有効である
ことは既に周知の事で、現にMo添加鋼としては
JISにSUS434が規格されている。 しかし、Cr、Moの増量は、材料自身の靭性を
阻害するとともに、溶接時のように高温に材料が
さらされるとき、γ相の析出が少なく結晶粒の粗
大化を来すなどの理由から溶接部の靭性を著しく
損い、用途面での問題を惹起する。この含Mo高
Cr鋼の靭性はC、Nを低減させることで改善し
うることが知られている。しかもこのC、Nの低
減は、最近の製鋼技術の進歩によつて工業的規模
で可能となつてきた。 しかし、C、Nの低減にも自ら限界があり、ス
テンレス鋼の不可欠な要素である粒界腐食に対す
る抵抗性が充分な程には低減しえない。この粒界
腐食性に対するC、Nの弊害は、C、Nをゲツタ
リングしうるTi或はNbなどの安定化元素を単独
或は複合で添加することで解消しうることも周知
の事実である。 これらの技術的背景をもとにして、耐食性、靭
性に優れた含Mo高Cr鋼が提唱され、現に低炭
素、低窒素18Cr−2Mo−Nb/Ti鋼がSUS304な
どで、応力腐食割れを惹起する環境において使用
され始めている。 しかし、この18Cr−2Mo−Nb/Ti鋼にもいく
つかの短所をもつ。例えば、2%ものMoを含有
するため、価格の高い材料となり工業的に安定供
給しがたいこと、Tiを含有する系においては表
面疵が出現し美麗な肌のステンレス鋼板が得がた
く、かつ薄板の場合などはこの表面疵を起点とし
て加工時に割れが発生しやすいこと、Nbを含有
する系においては耐食性、溶接時の耐高温割れ、
溶接部靭性などが、含有Nb量やC、N、Sなど
の微量元素の含有量に著しく影響されるなどであ
る。 本発明者は、これらの問題に取り組み、鋭意研
究を重ねた結果、貴重な資源であるMoを低減さ
せ、しかも18Cr−2Mo−Nb鋼と同等以上の諸特
性を有する鋼を見つけ出すことに成功した。 本発明は 1 重量パーセントで、Cr:20.0%を越え25.0
%、Mo:0.3以上1.5%未満、Mn:0.2%を越え
0.5%未満、Nb:0.1〜0.6%、C:0.03%以下、
N:0.03%以下、Si:0.7%以下、P:0.03%以
下、S:0.01%以下を含み、C+N0.04%、
Nb12(C+N)であり、残部は実質的に鉄か
らなる溶接部靭性に優れた耐食性フエライトス
テンレス鋼; 2 重量パーセントでCr:20.0%を越え25.0%、
Mo:0.3以上1.5%未満、Mn:0.2%を越え0.5
%未満、Nb:0.1〜0.6%、C:0.03以下、N:
0.03%以下、Si:0.7%以下、P:0.03%以下、
S:0.01%以下を含み、C+N0.04%、Nb
12(C+N)であり、さらに希土類金属
(REM):0.0005〜0.01%を含み、残部は実質的
に鉄からなる溶接時の耐高温割れ性及び溶接部
靭性に優れた耐食性フエライトステンレス鋼、 3 重量パーセントでCr:20.0%を越え25.0%、
Mo:0.3以上1.5%未満、Mn:0.2%を越え0.5
%未満、Nb:0.1〜0.6%、C:0.03%以下、
N:0.03%以下、Si:0.7%以下、P:0.03%以
下、S:0.01%以下、Sol.Al:0.01〜0.10%を
含み、C+N0.04%、Nb12(C+N)であ
り、残部は実質的に鉄からなる溶接時の耐高温
割れ性及び溶接部靭性に優れた耐食性フエライ
トステンレス鋼、 4 重量パーセントでCr:20.0%を越え25.0%、
Mo:0.3以上1.5%未満、Mn:0.2%を越え0.5
%未満、Nb:0.1〜0.6%及びTi:0.15%以下、
C:0.03%以下、N:0.03%以下、Si:0.7%以
下、P:0.03%以下、S:0.01%以下を含み、
C+N0.04%、Nb+Ti12(C+N)であ
り、残部は実質的に鉄からなる溶接時の耐高温
割れ性及び溶接部靭性に優れた耐食性フエライ
トステンレス鋼、 を提供するもので、成分を上記のように限定した
理由は下記の通りである。 Cr:Crは耐食性を高める主要元素であり、さら
にMoと組み合わせることによつてその効果は
相乗的に上昇するが、20%以下ではMo添加量
の増加を余儀なくされるので20%を越えとす
る。一方、Crの増加量は母材および溶接部の
靭性を低下させ、工業的規模で到達しうるC、
Nレベルのもとで必要な靭性を確保することが
困難であること、またCr量を徒に増してもそ
れに見合つた耐食性改善効果が得られないこと
から25%を上限とする。 Mo:MoはCrとともに耐食性を高める有効な元
素であり、その効果はCr量が増すにつれて大
きくなる。しかしながら高価でかつ安定供給が
難かしく、省資源が叫ばれている折、多量の使
用は好ましくない。本発明鋼のCr量レベルに
おいては0.3以上1.5%未満の添加でオーステナ
イトステンレス鋼SUS304あるいはSUS316と
同等もしくはそれ以上の耐食性を得ることがで
きる。 C、N:C、Nは低い程溶接部の靭性に対し好ま
しいが、C、Nを低減させるためには吹錬時間
が長くなり生産性を阻害し製造コストの上昇を
招き現実的でない。これはC、Nの安定化元素
であるNbを有効利用し適量添加することで溶
接部の粒界腐食を阻止しうるので、C0.03
%、N0.03%でかつC+N0.04%とする。 Si:Siは溶接時の高温割れや溶接部靭性に有害で
あるので低い方が好ましく上限を0.7%とする。 Mn:Mnは鋼中に微量に存在するSと結合し、
可溶性硫化物であるMnSを形成し耐食性を劣
化させるので、この面からは低い方が望ましい
が、あまり低いと溶接時の高温割れ感受性が強
くなる欠点があるので0.2%を越えて含まれる
必要がある。本発明鋼はMnSの影響をうけに
くく、Mnの0.5%以下までの含有ならば許容し
うる。 P:Pは母材および溶接部靭性を著しく害するの
で低い方が望ましいが、含Cr鋼の脱Pは困難
でありかつ製造コストの上昇を招くので上限を
0.03%とする。ただし、特に溶接部靭性を重視
する場合には0.01%以下とする。 S:Sは耐食性および溶接時の高温割れに悪影響
を及ぼすためできるだけ低い方が望ましいが、
本発明鋼のように低C、低Nとするためには製
鋼吹錬時に一たんCを高める必要がありその際
加炭剤を投入する。この加炭剤にはSが含有さ
れているために、Sを低減させることが通常よ
りも困難となりかつ製造コストの上昇を来すこ
とになる。本発明鋼の耐食性におよぼすSの悪
影響の程度は、18Cr−2Mo−Nb鋼よりも小さ
いので0.01%まで許容される。 Nb:Nbは本発明鋼のC量レベルのフエライトス
テンレス鋼の欠点である粒界腐食を防止するの
に不可欠の元素である。18Cr系鋼ではC、N
の固定に必要な量以上にNbを含有すると耐食
性に悪影響をうけるが、本発明鋼では耐食性の
面からのNb量の影響をうけないが、多すぎる
と溶接部靭性を阻害するので0.6%を上限とす
る。なお、下限は粒界腐食を防止する観点から
Nb12(C+N)の条件により設定され、0.1
%以上とする。 REM:REM(希土類金属)は溶接時の高温割れ
性、溶接部靭性の改善に有効であるので、特に
溶接性を重視する場合に添加する。多すぎると
鋼の清浄度をかえつて悪くし耐食性、その他機
械特性を害するので上限を0.01%とする。ま
た、添加量が0.0005%以下であるとその効果は
充分ではない。 Sol.Al:Sol.Al(可溶性アルミニウム)は溶接部
靭性の改善に有効であるが、多すぎると素材の
表面品質を劣化させるので上限を0.1%とし、
また0.01%未満ではその効果が少いので、特に
溶接部靭性を重視する必要のある時は0.01%以
上とする。 Ti:Tiは溶接部靭性の改善に有効であるので、
溶接部靭性を重視する場合には少量添加する。
ただしTi含有量が0.15%以上となると素材の表
面品質を劣化させるので上限を0.15%とする。
またTiはこの他、C、Nを固定する作用も有
するのでTiを添加する場合はNb+Ti12(C
+N)が条件となる。 以下、実施例に基づき本発明の内容を詳細に説
明する。表1は検討した本発明鋼及び比較鋼の化
学成分を示す。比較鋼としてはSUS304、
SUS316、18Cr−Mo鋼、及び本発明の組成に近
似し、しかし本発明の要件を満たさない鋼を用い
た。
及び耐食性に優れたフエライトステンレス鋼に関
するものである。 ステンレス鋼は大きく分けてフエライト系とオ
ーステナイト系とがあるが、オーステナイト系は
耐食性、加工性、溶接性、高温強度などに優れる
ため、巾広い用途を有する。しかし、Cl-イオン
の存在する環境下においてしばしば応力腐食割れ
が発生するという欠点をもつ。 フエライトステンレス鋼には、オーステナイト
ステンレス鋼の一大欠点があるこの応力腐食割れ
は発生しない。しかし、例えばフエライトステン
レス鋼の代表的鋼種であるSUS430を例にとる
と、苛酷な環境に対し耐食性がないとか、溶接が
施されると高温において生成するγ相が常温に持
ち来たされて、Cの富化されたマルテンサイトと
なり、このマルテンサイトに起因する溶接部の靭
性の低下及び溶接熱影響部に粒界腐食を来すなど
の欠点を有する。耐食性を改善するためには、
Cr含有量の増量とかMoの添加などが有効である
ことは既に周知の事で、現にMo添加鋼としては
JISにSUS434が規格されている。 しかし、Cr、Moの増量は、材料自身の靭性を
阻害するとともに、溶接時のように高温に材料が
さらされるとき、γ相の析出が少なく結晶粒の粗
大化を来すなどの理由から溶接部の靭性を著しく
損い、用途面での問題を惹起する。この含Mo高
Cr鋼の靭性はC、Nを低減させることで改善し
うることが知られている。しかもこのC、Nの低
減は、最近の製鋼技術の進歩によつて工業的規模
で可能となつてきた。 しかし、C、Nの低減にも自ら限界があり、ス
テンレス鋼の不可欠な要素である粒界腐食に対す
る抵抗性が充分な程には低減しえない。この粒界
腐食性に対するC、Nの弊害は、C、Nをゲツタ
リングしうるTi或はNbなどの安定化元素を単独
或は複合で添加することで解消しうることも周知
の事実である。 これらの技術的背景をもとにして、耐食性、靭
性に優れた含Mo高Cr鋼が提唱され、現に低炭
素、低窒素18Cr−2Mo−Nb/Ti鋼がSUS304な
どで、応力腐食割れを惹起する環境において使用
され始めている。 しかし、この18Cr−2Mo−Nb/Ti鋼にもいく
つかの短所をもつ。例えば、2%ものMoを含有
するため、価格の高い材料となり工業的に安定供
給しがたいこと、Tiを含有する系においては表
面疵が出現し美麗な肌のステンレス鋼板が得がた
く、かつ薄板の場合などはこの表面疵を起点とし
て加工時に割れが発生しやすいこと、Nbを含有
する系においては耐食性、溶接時の耐高温割れ、
溶接部靭性などが、含有Nb量やC、N、Sなど
の微量元素の含有量に著しく影響されるなどであ
る。 本発明者は、これらの問題に取り組み、鋭意研
究を重ねた結果、貴重な資源であるMoを低減さ
せ、しかも18Cr−2Mo−Nb鋼と同等以上の諸特
性を有する鋼を見つけ出すことに成功した。 本発明は 1 重量パーセントで、Cr:20.0%を越え25.0
%、Mo:0.3以上1.5%未満、Mn:0.2%を越え
0.5%未満、Nb:0.1〜0.6%、C:0.03%以下、
N:0.03%以下、Si:0.7%以下、P:0.03%以
下、S:0.01%以下を含み、C+N0.04%、
Nb12(C+N)であり、残部は実質的に鉄か
らなる溶接部靭性に優れた耐食性フエライトス
テンレス鋼; 2 重量パーセントでCr:20.0%を越え25.0%、
Mo:0.3以上1.5%未満、Mn:0.2%を越え0.5
%未満、Nb:0.1〜0.6%、C:0.03以下、N:
0.03%以下、Si:0.7%以下、P:0.03%以下、
S:0.01%以下を含み、C+N0.04%、Nb
12(C+N)であり、さらに希土類金属
(REM):0.0005〜0.01%を含み、残部は実質的
に鉄からなる溶接時の耐高温割れ性及び溶接部
靭性に優れた耐食性フエライトステンレス鋼、 3 重量パーセントでCr:20.0%を越え25.0%、
Mo:0.3以上1.5%未満、Mn:0.2%を越え0.5
%未満、Nb:0.1〜0.6%、C:0.03%以下、
N:0.03%以下、Si:0.7%以下、P:0.03%以
下、S:0.01%以下、Sol.Al:0.01〜0.10%を
含み、C+N0.04%、Nb12(C+N)であ
り、残部は実質的に鉄からなる溶接時の耐高温
割れ性及び溶接部靭性に優れた耐食性フエライ
トステンレス鋼、 4 重量パーセントでCr:20.0%を越え25.0%、
Mo:0.3以上1.5%未満、Mn:0.2%を越え0.5
%未満、Nb:0.1〜0.6%及びTi:0.15%以下、
C:0.03%以下、N:0.03%以下、Si:0.7%以
下、P:0.03%以下、S:0.01%以下を含み、
C+N0.04%、Nb+Ti12(C+N)であ
り、残部は実質的に鉄からなる溶接時の耐高温
割れ性及び溶接部靭性に優れた耐食性フエライ
トステンレス鋼、 を提供するもので、成分を上記のように限定した
理由は下記の通りである。 Cr:Crは耐食性を高める主要元素であり、さら
にMoと組み合わせることによつてその効果は
相乗的に上昇するが、20%以下ではMo添加量
の増加を余儀なくされるので20%を越えとす
る。一方、Crの増加量は母材および溶接部の
靭性を低下させ、工業的規模で到達しうるC、
Nレベルのもとで必要な靭性を確保することが
困難であること、またCr量を徒に増してもそ
れに見合つた耐食性改善効果が得られないこと
から25%を上限とする。 Mo:MoはCrとともに耐食性を高める有効な元
素であり、その効果はCr量が増すにつれて大
きくなる。しかしながら高価でかつ安定供給が
難かしく、省資源が叫ばれている折、多量の使
用は好ましくない。本発明鋼のCr量レベルに
おいては0.3以上1.5%未満の添加でオーステナ
イトステンレス鋼SUS304あるいはSUS316と
同等もしくはそれ以上の耐食性を得ることがで
きる。 C、N:C、Nは低い程溶接部の靭性に対し好ま
しいが、C、Nを低減させるためには吹錬時間
が長くなり生産性を阻害し製造コストの上昇を
招き現実的でない。これはC、Nの安定化元素
であるNbを有効利用し適量添加することで溶
接部の粒界腐食を阻止しうるので、C0.03
%、N0.03%でかつC+N0.04%とする。 Si:Siは溶接時の高温割れや溶接部靭性に有害で
あるので低い方が好ましく上限を0.7%とする。 Mn:Mnは鋼中に微量に存在するSと結合し、
可溶性硫化物であるMnSを形成し耐食性を劣
化させるので、この面からは低い方が望ましい
が、あまり低いと溶接時の高温割れ感受性が強
くなる欠点があるので0.2%を越えて含まれる
必要がある。本発明鋼はMnSの影響をうけに
くく、Mnの0.5%以下までの含有ならば許容し
うる。 P:Pは母材および溶接部靭性を著しく害するの
で低い方が望ましいが、含Cr鋼の脱Pは困難
でありかつ製造コストの上昇を招くので上限を
0.03%とする。ただし、特に溶接部靭性を重視
する場合には0.01%以下とする。 S:Sは耐食性および溶接時の高温割れに悪影響
を及ぼすためできるだけ低い方が望ましいが、
本発明鋼のように低C、低Nとするためには製
鋼吹錬時に一たんCを高める必要がありその際
加炭剤を投入する。この加炭剤にはSが含有さ
れているために、Sを低減させることが通常よ
りも困難となりかつ製造コストの上昇を来すこ
とになる。本発明鋼の耐食性におよぼすSの悪
影響の程度は、18Cr−2Mo−Nb鋼よりも小さ
いので0.01%まで許容される。 Nb:Nbは本発明鋼のC量レベルのフエライトス
テンレス鋼の欠点である粒界腐食を防止するの
に不可欠の元素である。18Cr系鋼ではC、N
の固定に必要な量以上にNbを含有すると耐食
性に悪影響をうけるが、本発明鋼では耐食性の
面からのNb量の影響をうけないが、多すぎる
と溶接部靭性を阻害するので0.6%を上限とす
る。なお、下限は粒界腐食を防止する観点から
Nb12(C+N)の条件により設定され、0.1
%以上とする。 REM:REM(希土類金属)は溶接時の高温割れ
性、溶接部靭性の改善に有効であるので、特に
溶接性を重視する場合に添加する。多すぎると
鋼の清浄度をかえつて悪くし耐食性、その他機
械特性を害するので上限を0.01%とする。ま
た、添加量が0.0005%以下であるとその効果は
充分ではない。 Sol.Al:Sol.Al(可溶性アルミニウム)は溶接部
靭性の改善に有効であるが、多すぎると素材の
表面品質を劣化させるので上限を0.1%とし、
また0.01%未満ではその効果が少いので、特に
溶接部靭性を重視する必要のある時は0.01%以
上とする。 Ti:Tiは溶接部靭性の改善に有効であるので、
溶接部靭性を重視する場合には少量添加する。
ただしTi含有量が0.15%以上となると素材の表
面品質を劣化させるので上限を0.15%とする。
またTiはこの他、C、Nを固定する作用も有
するのでTiを添加する場合はNb+Ti12(C
+N)が条件となる。 以下、実施例に基づき本発明の内容を詳細に説
明する。表1は検討した本発明鋼及び比較鋼の化
学成分を示す。比較鋼としてはSUS304、
SUS316、18Cr−Mo鋼、及び本発明の組成に近
似し、しかし本発明の要件を満たさない鋼を用い
た。
【表】
【表】
第1表に記載の組成の各鋼試料を常法によつて
溶製し、下記の諸試験用の試片を製作した。 第一に隙間腐食試験を次のようにして行なつ
た。表1に示した試料L〜Qの鋼を31mm×29mmお
よび31mm×15mmで厚さ各1.0mmの大小2枚の板の
中央に直径4mmの穴をあけ、重ね合せてテフロン
のボルトとナツトで固定し、2%のH2O2を含む
5%NaCl水溶液に40℃で24時間浸漬し前後の重
量減少を測定した。試料L、M、Nは25Cr鋼で
あり、O、P、Qは20Cr鋼であるが、Mo以外の
成分はほぼ一定である。該重量減少をCrおよび
Moの含量との関係において捕えた結果を第1図
に示す。この図から、CrとMoを増せば耐隙間腐
食性が改善され、とくにMoの効果が著しいこと
が分る。図中2本の点線はSUS304および316の
腐食減量を示す。この図に示されるようにCr量
が20〜25%の場合、0.3〜1.5%のMoの添加によ
り、オーステナイト鋼SUS304あるいはSUS316
と同等以上の耐隙間腐食性を得る。 次に溶接部の粒界腐食性とNb量およびC+N
量の関係を検討するために表1に示す種々の鋼A
〜Qを20mm×55mm、板厚1.0mmに切り出し、板中
央にTIG溶接を2回繰り返して溶接部を硫酸−硫
酸鋼試験(JISG0575)によつて試験した。その
結果を第2図に示す。この図からNb量0.1%以上
で、Nb12(C+N)の条件下で溶接部の粒界腐
食割れが起らないことが分かる。 さらにNbを含む本発明鋼および比較鋼の耐孔
食性に対するSの影響を調べた。即ち鋼試料A〜
Hと18Cr−2Mo−Nb系鋼(S量;0.0020〜
0.0117%)と、18Cr−1Mo−Nb系鋼(S量;
0.0023〜0.0126%)を10mm×10mm、板厚1.0mmに切
り出し、熱硬化性樹脂に埋め込み、導線を半田付
けしたものを試験片とし、これらの試料を80℃の
1000ppmのCl-イオン(NaClとして)含む脱イオ
ン水からなる試験液中で孔食電位を測定した。そ
の結果をS含有量との関係において第3図に示し
た。そこに示されているように、18Cr−1Mo−
Nb系鋼も18Cr−2Mo−Nb系鋼もともにその耐
孔食性が含有されるSの量に影響されるのに対
し、本発明鋼はS量0.01%以下では殆んどその影
響を受けず、高い耐孔食性を維持することが示さ
れる。ただしS含有量の許容含有量は溶接時の高
温割れの面から制約を受ける。 本発明者等は、さらにNbを含む本発明鋼およ
び比較鋼(試料A〜Gおよび18Cr−1Mo−Nb系
鋼(固溶Nb:0.054〜0.45%)と18Cr−2Mo−
Nb系鋼(固溶Nb:0.06〜0.42%))の耐孔食性に
対する固溶Nb量との関係を検討した。これらの
鋼から29mm×31mm、板厚0.4mmの試験片を切り出
し、2%のH2O2を含む5%NaCl水溶液に40℃で
24時間浸漬し、前後の重量減少を測定した。その
結果を固溶Nb量と腐食度の関係として第4図に
示した。この結果から分かるように、18Cr−
1Mo−Nbおよび18Cr−2Mo−Nb系鋼の孔食度
は固溶Nb量(〔Nb〕%)の影響を受けるのに対
して、本発明鋼は固溶Nb量に対して感受性が鈍
く、多量の固溶Nb量まで許容しうることが判る。
この事実は18Cr−1Mo−Nb、18Cr−2Mo−Nb
系鋼、本発明鋼などの系統の合金鋼の製造面で重
要なことである。すなわち、本系統の材料におい
ては粒界腐食を防止するために、前記のようにす
くなくともC+N量の12倍以上のNb量を必要と
する。一方材料自身の靭性その他の特性を改善す
るためには、C、Nの固定に要するNb量は
(Nb)%≒7(C+N)%と設定される((Nb)
は結合Nbの濃度)。それ故、固溶Nbの量は
〔Nb〕%=Nb/CC%+Nb/NN%となる(〔Nb〕は 固溶Nbの濃度)。一般にC+Nレベルが高いほ
ど、この固溶Nb量を高くしなければ粒界腐食を
防止しえず、一方では固溶Nb量が高いと耐食性
が悪くなるという欠点を生ずるが、本発明鋼でこ
の相予盾した影響を受けにくいという利点を有す
る。したがつて鋼の設計上の成分配分上の制約は
緩やかとなり、低コストで製造容易な鋼の設計の
可能性が拡大される。 さらに本発明者等は溶接熱影響部の靭性を調べ
るために、先と同様にして溶接した試片を、−20
℃で、JISZ3112、「溶接金属の衝撃試験方法」を
溶接熱影響部に準用して、衝撃値を求めた。その
結果は第5図にまとめてある。この図に示される
ように、C+Nが低レベル即ちC+N≒0.015%
の方が高い衝撃値を有するが、この場合Nb量が
0.6%を越えると衝撃値の急激な低下が見られる。
一方C+N≒0.03%レベルでは、少くともNb0.6
%までは、Nb量の増加につれて衝撃値は向上す
る。C+Nレベルを低下することは鋼の性質にと
つて好ましいことであるが、そうすることは当然
に製錬時間の延長と製造コストの上昇となる。そ
れ故C+N濃度は許容できる限り高い方が好まし
い。この点を考慮して本発明ではC+N≦0.04%
と限定したが、この条件下でC+Nレベルに関係
なく、溶接部靭性を得るためには、Nb含有量の
上限が0.6%となることが理解されよう。またC
+Nが0.04%に近い場合、溶接部の靭性を確保す
るためには、Nb量をある程度高くする必要があ
る。ところで、Nb量の下限は、先に述べた耐粒
界腐食性に関する条件Nb%12(C+N)%から
規定され、C+N=0.03%ではNb0.36%となり
充分な溶接部靭性が確保される。 第5図において、C+N≒0.03%レベルの鋼で
もAl、あるいはTiを添加した実施例(B、G)
はいずれも高い衝撃値を示している。 以上述べたように、本発明は高価な資源である
Moを低減して、18Cr−2Mo−Nb系鋼と同等以
上の諸特性を有する鋼を開発することに成功した
ものである。しかも本発明鋼は18Cr−2Mo−Nb
系鋼のように耐食性がSや固溶Nb量の影響をつ
よく受けないので、製造が容易で、信頼性の高い
ことを特徴としている。本発明の鋼は、18Cr−
2Mo−Nb系鋼が用いられている用途のうち、温
水用機器材料として非常に有益である。
溶製し、下記の諸試験用の試片を製作した。 第一に隙間腐食試験を次のようにして行なつ
た。表1に示した試料L〜Qの鋼を31mm×29mmお
よび31mm×15mmで厚さ各1.0mmの大小2枚の板の
中央に直径4mmの穴をあけ、重ね合せてテフロン
のボルトとナツトで固定し、2%のH2O2を含む
5%NaCl水溶液に40℃で24時間浸漬し前後の重
量減少を測定した。試料L、M、Nは25Cr鋼で
あり、O、P、Qは20Cr鋼であるが、Mo以外の
成分はほぼ一定である。該重量減少をCrおよび
Moの含量との関係において捕えた結果を第1図
に示す。この図から、CrとMoを増せば耐隙間腐
食性が改善され、とくにMoの効果が著しいこと
が分る。図中2本の点線はSUS304および316の
腐食減量を示す。この図に示されるようにCr量
が20〜25%の場合、0.3〜1.5%のMoの添加によ
り、オーステナイト鋼SUS304あるいはSUS316
と同等以上の耐隙間腐食性を得る。 次に溶接部の粒界腐食性とNb量およびC+N
量の関係を検討するために表1に示す種々の鋼A
〜Qを20mm×55mm、板厚1.0mmに切り出し、板中
央にTIG溶接を2回繰り返して溶接部を硫酸−硫
酸鋼試験(JISG0575)によつて試験した。その
結果を第2図に示す。この図からNb量0.1%以上
で、Nb12(C+N)の条件下で溶接部の粒界腐
食割れが起らないことが分かる。 さらにNbを含む本発明鋼および比較鋼の耐孔
食性に対するSの影響を調べた。即ち鋼試料A〜
Hと18Cr−2Mo−Nb系鋼(S量;0.0020〜
0.0117%)と、18Cr−1Mo−Nb系鋼(S量;
0.0023〜0.0126%)を10mm×10mm、板厚1.0mmに切
り出し、熱硬化性樹脂に埋め込み、導線を半田付
けしたものを試験片とし、これらの試料を80℃の
1000ppmのCl-イオン(NaClとして)含む脱イオ
ン水からなる試験液中で孔食電位を測定した。そ
の結果をS含有量との関係において第3図に示し
た。そこに示されているように、18Cr−1Mo−
Nb系鋼も18Cr−2Mo−Nb系鋼もともにその耐
孔食性が含有されるSの量に影響されるのに対
し、本発明鋼はS量0.01%以下では殆んどその影
響を受けず、高い耐孔食性を維持することが示さ
れる。ただしS含有量の許容含有量は溶接時の高
温割れの面から制約を受ける。 本発明者等は、さらにNbを含む本発明鋼およ
び比較鋼(試料A〜Gおよび18Cr−1Mo−Nb系
鋼(固溶Nb:0.054〜0.45%)と18Cr−2Mo−
Nb系鋼(固溶Nb:0.06〜0.42%))の耐孔食性に
対する固溶Nb量との関係を検討した。これらの
鋼から29mm×31mm、板厚0.4mmの試験片を切り出
し、2%のH2O2を含む5%NaCl水溶液に40℃で
24時間浸漬し、前後の重量減少を測定した。その
結果を固溶Nb量と腐食度の関係として第4図に
示した。この結果から分かるように、18Cr−
1Mo−Nbおよび18Cr−2Mo−Nb系鋼の孔食度
は固溶Nb量(〔Nb〕%)の影響を受けるのに対
して、本発明鋼は固溶Nb量に対して感受性が鈍
く、多量の固溶Nb量まで許容しうることが判る。
この事実は18Cr−1Mo−Nb、18Cr−2Mo−Nb
系鋼、本発明鋼などの系統の合金鋼の製造面で重
要なことである。すなわち、本系統の材料におい
ては粒界腐食を防止するために、前記のようにす
くなくともC+N量の12倍以上のNb量を必要と
する。一方材料自身の靭性その他の特性を改善す
るためには、C、Nの固定に要するNb量は
(Nb)%≒7(C+N)%と設定される((Nb)
は結合Nbの濃度)。それ故、固溶Nbの量は
〔Nb〕%=Nb/CC%+Nb/NN%となる(〔Nb〕は 固溶Nbの濃度)。一般にC+Nレベルが高いほ
ど、この固溶Nb量を高くしなければ粒界腐食を
防止しえず、一方では固溶Nb量が高いと耐食性
が悪くなるという欠点を生ずるが、本発明鋼でこ
の相予盾した影響を受けにくいという利点を有す
る。したがつて鋼の設計上の成分配分上の制約は
緩やかとなり、低コストで製造容易な鋼の設計の
可能性が拡大される。 さらに本発明者等は溶接熱影響部の靭性を調べ
るために、先と同様にして溶接した試片を、−20
℃で、JISZ3112、「溶接金属の衝撃試験方法」を
溶接熱影響部に準用して、衝撃値を求めた。その
結果は第5図にまとめてある。この図に示される
ように、C+Nが低レベル即ちC+N≒0.015%
の方が高い衝撃値を有するが、この場合Nb量が
0.6%を越えると衝撃値の急激な低下が見られる。
一方C+N≒0.03%レベルでは、少くともNb0.6
%までは、Nb量の増加につれて衝撃値は向上す
る。C+Nレベルを低下することは鋼の性質にと
つて好ましいことであるが、そうすることは当然
に製錬時間の延長と製造コストの上昇となる。そ
れ故C+N濃度は許容できる限り高い方が好まし
い。この点を考慮して本発明ではC+N≦0.04%
と限定したが、この条件下でC+Nレベルに関係
なく、溶接部靭性を得るためには、Nb含有量の
上限が0.6%となることが理解されよう。またC
+Nが0.04%に近い場合、溶接部の靭性を確保す
るためには、Nb量をある程度高くする必要があ
る。ところで、Nb量の下限は、先に述べた耐粒
界腐食性に関する条件Nb%12(C+N)%から
規定され、C+N=0.03%ではNb0.36%となり
充分な溶接部靭性が確保される。 第5図において、C+N≒0.03%レベルの鋼で
もAl、あるいはTiを添加した実施例(B、G)
はいずれも高い衝撃値を示している。 以上述べたように、本発明は高価な資源である
Moを低減して、18Cr−2Mo−Nb系鋼と同等以
上の諸特性を有する鋼を開発することに成功した
ものである。しかも本発明鋼は18Cr−2Mo−Nb
系鋼のように耐食性がSや固溶Nb量の影響をつ
よく受けないので、製造が容易で、信頼性の高い
ことを特徴としている。本発明の鋼は、18Cr−
2Mo−Nb系鋼が用いられている用途のうち、温
水用機器材料として非常に有益である。
第1図は本発明鋼と比較鋼の隙間腐食試験にお
けるMo含有量と腐食減量の関係を示す。第2図
は本発明鋼および比較鋼の溶接部の粒界腐食割れ
に対するC+N含有量とNb量の関係を示す図で
ある。第3図は本発明鋼と比較鋼のS含有量と耐
孔食性の関係を示す図である。第4図は本発明鋼
と比較鋼の固溶Nb濃度と耐孔食性の関係を示す
図である。第5図は本発明鋼と比較鋼のNb含有
量とC+N含有量と溶接部耐衝撃性値の関係を示
す図である。
けるMo含有量と腐食減量の関係を示す。第2図
は本発明鋼および比較鋼の溶接部の粒界腐食割れ
に対するC+N含有量とNb量の関係を示す図で
ある。第3図は本発明鋼と比較鋼のS含有量と耐
孔食性の関係を示す図である。第4図は本発明鋼
と比較鋼の固溶Nb濃度と耐孔食性の関係を示す
図である。第5図は本発明鋼と比較鋼のNb含有
量とC+N含有量と溶接部耐衝撃性値の関係を示
す図である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 重量パーセントで、 Cr:20.0%を越え25.0%、 Mo:0.3%以上1.5%未満、 Mn:0.2%を越え0.5%未満、 Nb:0.1〜0.6%、 C:0.03%以下、 N:0.03%以下、 Si:0.7%以下、 P:0.03%以下、 S:0.01%以下を含み、 C+N≦0.04%、Nb≧12(C+N)であり、 残部は実質的に鉄からなる溶接部靭性に優れた
耐食性フエライトステンレス鋼。 2 重量パーセントで、 Cr:20.0%を越え25.0%、 Mo:0.3%以上1.5%未満、 Mn:0.2%を越え0.5%未満、 Nb:0.1〜0.6%、 C:0.03%以下、 N:0.03%以下、 Si:0.7%以下、 P:0.03%以下、 S:0.01%以下を含み、 C+N≦0.04%、Nb≧12(C+N)であり、さ
らに 希土類金属(REM):0.0005〜0.01%を含み、 残部は実質的に鉄からなる溶接時の耐高温割れ
性及び溶接部靭性に優れた耐食性フエライトステ
ンレス鋼。 3 重量パーセントで、 Cr:20.0%を越え25.0%、 Mo:0.3%以上1.5%未満、 Mn:0.2%を越え0.5%未満、 Nb:0.1〜0.6%、 C:0.03%以下、 N:0.03%以下、 Si:0.7%以下、 P:0.03%以下、 S:0.01%以下、 Sol.Al:0.01〜0.1%を含み、 C+N≦0.04%、Nb≧12(C+N)であり、 残部は実質的に鉄からなる溶接時の耐高温割れ
性及び溶接部靭性に優れた耐食性フエライトステ
ンレス鋼。 4 重量パーセントで、 Cr:20.0%を越え25.0%、 Mo:0.3%以上1.5%未満、 Mn:0.2%を越え0.5%未満、 Nb:0.1〜0.6%及び Ti:0.15%以下、 C:0.03%以下、 N:0.03%以下、 Si:0.7%以下、 P:0.03%以下、 S:0.01%以下を含み、 C+N≦0.04%、Nb+Ti≧12(C+N)であ
り、 残部は実質的に鉄からなる溶接時の耐高温割れ
性及び溶接部靭性に優れた耐食性フエライトステ
ンレス鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1082381A JPS57126954A (en) | 1981-01-29 | 1981-01-29 | Corrosion-resistant ferritic stainless steel |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1082381A JPS57126954A (en) | 1981-01-29 | 1981-01-29 | Corrosion-resistant ferritic stainless steel |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS57126954A JPS57126954A (en) | 1982-08-06 |
JPH021902B2 true JPH021902B2 (ja) | 1990-01-16 |
Family
ID=11761070
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1082381A Granted JPS57126954A (en) | 1981-01-29 | 1981-01-29 | Corrosion-resistant ferritic stainless steel |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS57126954A (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS644458A (en) * | 1987-06-26 | 1989-01-09 | Nippon Yakin Kogyo Co Ltd | Ferrite stainless steel quenched thin strip having excellent toughness |
JP2739531B2 (ja) * | 1991-09-17 | 1998-04-15 | 日新製鋼株式会社 | 溶接部耐食性に優れるフェライト系ステンレス鋼 |
WO2017209282A1 (ja) * | 2016-06-03 | 2017-12-07 | 日新製鋼株式会社 | Tig溶接ステンレス鋼管の製造方法、tig溶接ステンレス鋼管、およびtig溶接ステンレス部材 |
JP6407357B2 (ja) | 2016-06-03 | 2018-10-17 | 日新製鋼株式会社 | Tig溶接ステンレス鋼管の製造方法、tig溶接ステンレス鋼管、およびtig溶接ステンレス部材 |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS511312A (ja) * | 1974-06-22 | 1976-01-08 | Nippon Steel Corp | Kotaishokuseifueraitosutenresuko |
JPS5389816A (en) * | 1977-01-14 | 1978-08-08 | Thyssen Edelstahlwerke Ag | Ferriteebased corrosionnresistant chromee molybdenummnickel steel |
JPS5399024A (en) * | 1977-02-10 | 1978-08-30 | Kawasaki Steel Co | Ferritic stainless steel giving tenacious welded zone |
JPS53149111A (en) * | 1977-06-02 | 1978-12-26 | Kawasaki Steel Co | Ultralowwcarbon nitrogen ferritic stainless steel with good toughness and processability of weld zone |
JPS5521102A (en) * | 1978-08-01 | 1980-02-15 | Toshiba Corp | Semiconductor memory cell |
-
1981
- 1981-01-29 JP JP1082381A patent/JPS57126954A/ja active Granted
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS511312A (ja) * | 1974-06-22 | 1976-01-08 | Nippon Steel Corp | Kotaishokuseifueraitosutenresuko |
JPS5389816A (en) * | 1977-01-14 | 1978-08-08 | Thyssen Edelstahlwerke Ag | Ferriteebased corrosionnresistant chromee molybdenummnickel steel |
JPS5399024A (en) * | 1977-02-10 | 1978-08-30 | Kawasaki Steel Co | Ferritic stainless steel giving tenacious welded zone |
JPS53149111A (en) * | 1977-06-02 | 1978-12-26 | Kawasaki Steel Co | Ultralowwcarbon nitrogen ferritic stainless steel with good toughness and processability of weld zone |
JPS5521102A (en) * | 1978-08-01 | 1980-02-15 | Toshiba Corp | Semiconductor memory cell |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS57126954A (en) | 1982-08-06 |
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