JPH063061Y2 - 屋根パネルの換気構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 【技術分野】

本考案は、パネル本体の上面に瓦を予め葺設された屋根
パネルを屋根部分に載置することによって簡単に屋根を
構築することができるようにしたものにおいて、換気を
行わせるための構造に関する。

【背景技術】

従来の屋根構造は、屋根面に配設された野地板の上にル
ーフィングを敷き、その上に瓦を一枚一枚葺設してい
た。したがって、在来工法により屋根を構築する場合に
は、屋根上作業が多く、作業手間がかかり、施工時間も
長くなるという問題があった。 そこで、屋根の構築作業を簡単にするため、パネル本体
の上にルーフィングなどを敷き、その上に瓦を葺いて予
め一体に形成された屋根パネルを工場などで生産し、こ
の一体物の屋根パネルを現場へ運び、家屋骨組の棟木と
梁との間に屋根パネルを載置し、屋根上では隣合う屋根
パネル同士を接続するだけにした工法が開発されてい
る。 しかして、このような新しい工法では、屋根パネル同士
の接続部での水漏りをいかに防止するかという点と、水
漏れを防止しつつどのように屋根裏換気を行うかという
ことが、新たな技術的課題となっている。

【考案の目的】

本考案は叙上のような技術的背景に鑑みて為されたもの
であり、その目的とするところは屋根パネルの接続部に
おいて、水漏れを確実に防止しつつ屋根裏換気を行うよ
うにすることにある。

【考案の開示】

本考案屋根パネルの換気構造は、パネル本体１の上面に
葺設された瓦２とパネル本体１との間に水切り板３を挿
入し、間隙４を隔てて側面を対向させられたパネル本体
１の上面間に跨がらせるように前記水切り板３を載置
し、この水切り板３の下面に突部６を突設して水切り板
３の下面をパネル本体１上面から浮かせると共に突部６
間に通気部７を形成し、前記水切り板３の上面において
瓦２の端部同士を小間隙５をあけて対向させ、水切り板
３の上面に前記小間隙５から流入した水を排水するため
の排水路８を設けて成ることを特徴とするものである。
而して、屋根裏の湿気を含んだ熱気はパネル本体１間の
間隙４を通って水切り板３の下面に上昇し、突部６間の
通気部７を通って水切り板３の外へ流れ、間隙４間の小
間隙５から屋外の大気中へ排出され、確実に屋根裏換気
を行うことができ、屋根裏空間の保護を図れるのであ
る。しかも、瓦２間の小間隙５の下には水切り板３が配
設され、水切り板３の上面には排水路８が形成されてい
るので、たとえ小間隙５から雨水が浸入しても浸入した
雨水は水切り板３の上に落ち、排水路８に沿って排水さ
れ、パネル本体１などを濡らすことがないものである。 以下本考案の実施例を添付図に基いて詳述する。屋根パ
ネルＡは、パネル本体１の上面にルーフィング９を敷
き、その上に瓦２を葺設したものであり、第３図にはそ
の一例を示してある。パネル本体１は木材により組まれ
ており、野地板部１０の裏面には軒棟方向に沿って複数
本の垂木材１１が一体に取着されており、垂木材１１と
直角に母屋材（図示せず）が取着されている。また、野
地板部１０の両側縁は、段落とし状に表面が低くなった
水切り板挿入部１２となっていて水切り板挿入部１２と
瓦２との間に水切り板３を挿入するための隙間１３を形
成できるようになっている。瓦２はスレート系や石綿セ
メント系などのもので、パネル本体１と等しい幅を有し
ており、上下方向に一部を重ねて葺かれている。また、
瓦２の一側はパネル本体１の端よりも引っ込められてお
り、その分だけ瓦２の他側はパネル本体１の端よりも突
出させられている。従って、この屋根パネルＡを屋根部
分に配設し、隣合う屋根パネルＡ同士を接続した状態で
は、瓦２の突出した部分が隣の屋根パネルＡのパネル本
体１の露出した部分の上に重なり、瓦２と水切り板挿入
部１２との間に隙間１３が形成されることになるのであ
る。 第２図に水切り板３を示す。水切り板３は合成樹脂成形
品などであり、パネル本体１の上下方向の全長に亘る長
尺物である。水切り板３の両側縁には垂直な縁片１４が
設けられていて水切り板３は断面略Ｈ形に形成されてお
り、縁片１４の上面及び下面には夫々突部６が一定間隔
ごとに突出させられていて突部６間には通気部７が形成
されている。又、水切り板３の上面には縁片１４に囲ま
れた排水路８が形成されている。 しかして、この水切り板３は、第１図のように屋根パネ
ルＡ同士を接続する際に、両屋根パネルＡ間において水
切り板挿入部１２と瓦２との間の隙間１３に沿って挿入
されるのである。この水切り板３は、両屋根パネルＡの
水切り板挿入部１２を跨ぐように配設されてパネル本体
１間の間隙４を覆う。しかも、水切り板３は両屋根パネ
ルＡの瓦２間に配設され、瓦２間の小間隙５の下に水切
り板３の排水路８が位置するように配置される。更に、
水切り板３の上面側の突部６が瓦２の下面に当接してお
り、瓦２の片持状に突出した部分を下から支えて瓦２の
踏み割れを防止している。また、水切り板３の下面側の
突部６間と通気部７との間では空気が通過できるように
なっており、一方水切り板３の上面側の突部６間の通気
部７と瓦２下面との間も空気が通過できるようになって
いる。したがって、屋根裏の湿気を含んだ熱気はパネル
本体１間の間隙４を通って水切り板３の下面へ上昇し、
水切り板３の下面を横に流れて通気部７から水切り板３
の外へ流出する。更に熱気は上の通気部７を通って水切
り板３の上面へ至り、瓦２間の小間隙５から大気中へ排
出されるのである。このように、小間隙５から熱気を排
出することができるものでありながら、小間隙５から内
部に雨水が流入しても雨水は排水路８内を流れて軒先の
軒樋内などへ排水されるのである。 第４図に示すものは本考案の他例であり、水切り板３の
形状の異なるものである。即ち、縁片１４は水切り板３
の上面側へのみ立ちあげて水切り板３の上面に排水路８
を形成し、突部６を下面側へのみ突出させて水切り板３
の下面側にのみ通気部７を形成したものである。この実
施例では、水切り板３の上面側には通気部７は形成され
ていないが、第４図に矢印で示すように熱気は瓦２の段
差の隙間から大気中へ排出されるのである。

【考案の効果】

本考案は叙述のごとく構成されているから、屋根裏の湿
気を含んだ熱気は、パネル本体間の間隙を通って水切り
板の下面に上昇し、突部間の通気部を通って水切り板の
外へ流れ、間隙間の小間隙から屋外の大気中へ排出さ
れ、確実に屋根裏換気を行うことができ、屋根裏空間の
保護を図れるのである。しかも、瓦間の小間隙の下には
水切り板が配設され、水切り板の上面には排水路が形成
されているので、たとえ小間隙から雨水が浸入しても浸
入した雨水は水切り板の上に落ち、排水路に沿って排水
され、パネル本体などを濡らすことがないものである。
従って、本考案は屋根パネルを用いた屋根工法におい
て、屋根パネル間の接続部で屋根裏の換気を行えると共
に屋根パネルの接続部から水が浸入してパネル本体など
を濡らして傷めるのを防止することができるものであ
る。また、換気構造は屋根パネル間の接続部に形成され
ているので、屋根パネルそのものに換気装置を設ける必
要がなく、屋根パネルの構造を簡単にすることができる
ものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の一部分を示す断面図、第２
図は同上の水切り板の一部破断した斜視図、第３図は同
上の屋根パネルを示す一部破断した斜視図、第４図は本
考案の他例を示す断面図である。 １…パネル本体、２…瓦、３…水切り板、４…間隙、５
…小間隙、６…突部、７…通気部、８…排水路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】パネル本体の上面に葺設された瓦とパネル
   本体との間に水切り板を挿入し、間隙を隔てて側面を対
   向させられたパネル本体の上面間に跨がらせるように前
   記水切り板を載置し、この水切り板の下面に突部を突設
   して水切り板の下面をパネル本体上面から浮かせると共
   に突部間に通気部を形成し、前記水切り板の上面におい
   て瓦の端部同士を小間隙をあけて対向させ、水切り板の
   上面に前記小間隙から流入した水を排水するための排水
   路を設けて成る屋根パネルの換気構造。