JPH06305677A - ワイヤロープ保護具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 この発明は、ロープの損傷を低減するととも
に、ロープの切断事故を未然に防止できるワイヤロープ
保護具を得ることを目的とする。 【構成】 円弧形状のロープ当接部材１１が、Ｌ形アン
グル１０の外側コーナ部を覆うようにその外側側面と底
面とに溶接されて取り付けられている。さらに、サドル
１２がＬ形アングル１０の外側側面に螺着されている。
そこで、保護具は、サドル１２によりワイヤロープをＬ
形アングル１０に締着してワイヤロープと一体化されて
いる。被懸吊物を吊り上げる際には、ワイヤロープを被
懸吊物に架け渡し、サドル１２による締着を解除してＬ
形アングル１０を被懸吊物に係合させて吊り上げる。こ
の時、ワイヤロープはロープ当接部材１１の円弧形状に
沿って曲げられ、過度の曲がりが防止される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、被懸吊物、例えば鉄
骨やエレベータのかご枠・おもり枠を台付ロープで吊り
上げる際に用いられるワイヤロープ保護具に関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】図６乃至図８はそれぞれ従来の台付ロー
プによるエレベータのかご枠の吊り上げ状態を示す斜視
図、側面図および断面図であり、図において１はワイヤ
ロープとしての台付ロープ、２は被懸吊物としてのエレ
ベータのかご枠の上梁、３は台付ロープ１の接する上梁
２のコーナ部に配設されるウエス（ヤワラ）である。

【０００３】つぎに、上記従来の台付ロープ１によるエ
レベータのかご枠の吊り上げ動作について説明する。ま
ず、台付ロープ１をかご枠（図示せず）の上梁２に架け
渡す。そして、台付ロープ１が接する上梁２のコーナ部
にウエス３を配置し、台付ロープ１を徐々に引き上げて
ウエス３を台付ロープ１と上梁２のコーナ部との間の所
定位置にかませる。その後、台付ロープ１を引き上げて
かご枠を吊り上げ、エレベータの据え付け、改修工事を
行っている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来の台付ロープ１は
以上のようにかご枠の上梁２のコーナ部にウエス３をか
ませて架け渡されているので、吊り上げて台付ロープ１
に負荷がかかるにつれ、台付ロープ１は上梁２のコーナ
部（鋭角部分）で鋭角に曲げられ、ウエス３をかませて
いても繰り返して使用した場合にはロープの損傷が激し
くなるという課題があった。また、その際にウエス３が
台付ロープ１を覆ってしまい、台付ロープ１の損傷状態
を十分に目視確認できず、吊り上げた際にロープの切断
事故が発生するおそれがあるという課題もあった。

【０００５】この発明は、上記のような課題を解決する
ためになされたもので、吊り上げた際にロープの曲がり
を抑えて、ロープの損傷を低減するとともに、ロープを
露呈させてその損傷状態を目視確認可能として、ロープ
の切断事故を未然に防止できるワイヤロープ保護具を得
ることを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明に係るワイヤロ
ープ保護具は、被懸吊物に係合されるＬ形アングルと、
Ｌ形アングルの外側コーナ部を覆うように取り付けられ
た円弧形状のロープ当接部材と、ワイヤロープを締着お
よび締着解除可能にＬ形アングルの外側側面に取り付け
られたサドルとを備えたものである。

【０００７】

【作用】この発明においては、サドルによりワイヤロー
プを締着してワイヤロープ保護具がワイヤロープと一体
として取り扱われる。そして、被懸吊物を吊り上げる際
には、サドルによるワイヤロープの締着を解除してＬ形
アングルを被懸吊物に係合させ、ワイヤロープに負荷が
かかるにつれ、ワイヤロープはロープ当接部材の円弧形
状に沿って曲げられ、過度の曲がりが防止される。

【０００８】

【実施例】以下、この発明の実施例を図について説明す
る。図１および図２はこの発明の一実施例を示すワイヤ
ロープ保護具の斜視図および側面図であり、図において
図６乃至図８に示した従来の台付ロープによるエレベー
タのかご枠の吊り上げ状態と同一または相当部分には同
一符号を付し、その説明を省略する。

【０００９】図において、１０は例えば一辺の幅６５ｍ
ｍ、長さ２００ｍｍ、厚み６ｍｍの鉄製のＬ形アング
ル、１１は例えば直径５５ｍｍ、肉厚２．３ｍｍの中空
の鉄パイプを縦にカットして形成された円弧状のロープ
当接部材、このロープ当接部材１１はその両側面をＬ形
アングル１０の外側側面および底面に溶接されてＬ形ア
ングル１０の外側コーナ部を覆うように取り付けられて
いる。１２はＬ形アングル１０の外側側面にビス１３に
より螺着されたサドルである。

【００１０】つぎに、この実施例によるワイヤロープ保
護具の動作について説明する。まず、台付ロープ１をＬ
形アングル１０の外側側面に添わせ、台付ロープ１を挟
持するようにサドル１２をＬ形アングル１０の外側側面
にビス１３により締着する。このようにして、台付ロー
プ１に一対のＬ形アングル１０を取り付ける。ついで、
エレベータのかご枠の上梁２に台付ロープ１を架け渡
し、ビス１３の締着力を緩めてＬ形アングル１０を移動
させて、上梁２がＬ形アングル１０の内底面上に位置す
るようにセットする。そこで、台付ロープ１を引き上げ
ると、台付ロープ１に負荷がかかるにつれて、台付ロー
プ１はロープ当接部材１１の円弧形状に沿って曲げられ
る。そして、台付ロープ１が緊張されて、図３乃至図５
に示すように、一対のＬ形アングル１０に支えられて上
梁２が台付ロープ１により吊り上げられる。

【００１１】このように、上記実施例によれば、サドル
１２によりワイヤロープ保護具が台付ロープ１に取り付
け固定されているので、ワイヤロープ保護具が台付ロー
プ１に一体化されて、その取り扱いが容易となり、また
その架設が容易となる。

【００１２】また、ロープ当接部材１１が円弧形状に形
成されているので、上梁２を吊り上げた際に台付ロープ
１はロープ当接部材１１の円弧形状に沿って曲げられ
て、過度に、かつ、鋭角に曲げられることがなく、か
つ、ロープにかかる負荷が分散されて、台付ロープ１の
損傷の発生を抑えることができる。

【００１３】また、台付ロープ１が露呈しているので、
台付ロープ１の損傷状態を簡易に目視確認でき、吊り上
げた際の台付ロープ１の切断の発生を未然に防止するこ
とができる。

【００１４】なお、上記実施例では、エレベータのかご
枠の上梁２を吊り上げる場合について説明しているが、
この発明はこれに限定されるものではなく、例えばエレ
ベータのおもり枠、あるいは鉄骨を吊り上げる場合にも
適用できる。

【００１５】

【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、被懸吊
物に係合されるＬ形アングルと、Ｌ形アングルの外側コ
ーナ部を覆うように取り付けられた円弧形状のロープ当
接部材と、ワイヤロープを締着および締着解除可能にＬ
形アングルの外側側面に取り付けられたサドルとを備え
ているので、吊り上げた際にワイヤロープの曲がりを抑
えて、ワイヤロープの損傷を低減するとともに、ワイヤ
ロープを露呈させてその損傷状態を目視確認可能とし
て、ワイヤロープの切断事故を未然に防止できるワイヤ
ロープ保護具が得られる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例を示すワイヤロープ保護具
の斜視図である。

【図２】この発明の一実施例を示すワイヤロープ保護具
の側面図である。

【図３】この発明の一実施例を示すワイヤロープ保護具
の取付状態の斜視図である。

【図４】この発明の一実施例を示すワイヤロープ保護具
の取付状態の側面図である。

【図５】この発明の一実施例を示すワイヤロープ保護具
の取付状態の断面図である。

【図６】従来の台付ロープによるエレベータのかご枠の
吊り上げ状態を示す斜視図である。

【図７】従来の台付ロープによるエレベータのかご枠の
吊り上げ状態を示す側面図である。

【図８】従来の台付ロープによるエレベータのかご枠の
吊り上げ状態を示す断面図である。

【符号の説明】

１ 台付ロープ（ワイヤロープ） ２ 上梁（被懸吊物） １０ Ｌ形アングル １１ ロープ当接部材 １２ サドル

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 被懸吊物に架け渡して該被懸吊物を吊り
   上げるワイヤロープの保護具において、前記被懸吊物に
   係合されるＬ形アングルと、前記Ｌ形アングルの外側コ
   ーナ部を覆うように取り付けられた円弧形状のロープ当
   接部材と、前記ワイヤロープを締着および締着解除可能
   に前記Ｌ形アングルの外側側面に取り付けられたサドル
   とを備えたことを特徴とするワイヤロープ保護具。