JPH06299587A - 水洗式便器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】構造の簡単な水洗式便器で、優れた洗浄機能を
発揮させる。 【構成】便器のリム通水路１に無底リム領域１ａを設
け、この無底リム領域１ａ内に便鉢１０内の溜水２０が
旋回する方向へ洗浄水を噴出する噴出ノズル２を配設す
る。給水管３を通じて供給された洗浄水は、噴出ノズル
２から噴出して、便鉢１０表面を洗浄すると共に、溜水
２０を旋回流動させる。 【効果】構造が簡単でありながら、優れた排出機能を発
揮し且つ洗浄騒音が小さいという利点を有する。しか
も、便鉢洗浄力が従来よりも向上し、使用水量の低減化
も図っている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、通常の水洗式便器の構
造で、優れた洗浄機能を発揮させることを目的とするも
のである。

【０００２】

【従来の技術とその課題】従来、便鉢内に貯留させた溜
水に旋回流動を与えることにより、強い排出力を発揮さ
せる方式の便器がある。

【０００３】しかしながら、上記従来式便器は、便鉢内
の溜水に旋回流動を与えるため、リム通水路下方位置に
水洗孔を開けることが必要である。それ故、生産性が悪
く、価格も高くなるという欠点を持っている。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、便器自体の構
造を簡略化でき、しかも高い洗浄能力を発揮し得る便器
構造を提供するものであって、その特徴とするところ
は、便器の便鉢面上部に便鉢内の溜水が旋回する方向へ
洗浄水を噴出する噴出ノズルを配設したことである。

【０００５】また、上記噴出ノズルを配設するにあた
り、便器のリム通水路の一部に無底領域を設け、当該無
底リム領域と他の有底リム領域とを区画し、当該無底リ
ム領域内に噴出ノズルを配設するようにすることも可能
である。

【０００６】あるいは、リム通水路の全部を無底リムと
成し、この無底リム内に複数個の噴出ノズルを配設する
ようにしてもよい。

【０００７】さらに、噴出ノズルから噴出する洗浄水に
気泡を混入させるようにすれば、泡による汚物の粉砕効
果により、洗浄能力の一層の向上を見込むことができ
る。

【０００８】

【作用】本発明に係る便器は、便鉢面上部又は無底リム
領域内に噴出ノズルを配設し、この噴出ノズルから洗浄
水を噴出させて便鉢内の溜水に旋回流動を与えることに
より、通常の水洗式便器であっても、優れた排出機能を
発揮し且つ洗浄騒音は小さいという利点を有することに
なる。

【０００９】なお、噴出ノズルから噴出する洗浄水は、
溜水に旋回流動を与えるだけではなく、便鉢面の洗浄を
同時に行うが、通常のリム通水孔から吐出させる場合と
比べて洗浄水の流勢が強いから、本発明に係る便器は洗
浄力が向上する。

【００１０】

【実施例】図１は、本発明に係る水洗式便器Ａの一実施
例を示すものである。同実施例では、便器Ａのリム通水
路１の一部に無底リム領域１ａを設けると共に、この無
底リム領域１ａと残りの有底リム領域１ｂとを隔壁１ｃ
で区画してある。そして、無底リム領域１ａ内には、洗
浄水の噴出ノズル２が配設され、この噴出ノズル２は、
給水管３により、フラッシュバルブ等の適宜給水バルブ
４を介して水道管等の適宜給水源（図示せず）と配管接
続されている。また、給水管３は、途中で分岐され、そ
の分岐端部３ａが便器Ａの有底リム領域１ｂに接続され
ている。

【００１１】上述の如く構成された便器Ａで洗浄操作を
行うと、給水バルブ４が開いて、洗浄水が、噴出ノズル
２から無底リム領域１ａ内へ、給水管の分岐端部３ａか
ら有底リム領域１ｂ内へ、それぞれ供給される。噴出ノ
ズル２の洗浄水噴出方向は、便鉢１０面に沿うほぼ水平
方向又はやや下方向に設定されているから、無底リム領
域１ａ内へ噴出された洗浄水は、便鉢１０の表面を、太
矢印に示すような旋回方向へ流動しつつ流下することに
なる。このため、旋回方向に流動する洗浄水の流入によ
り、便鉢１０内に貯留されている溜水２０に同方向への
流動力が付与され、その結果、細矢印に示すような旋回
流動が溜水２０に生ずることとなる。これと同時に、有
底リム領域１ｂ内にも、給水管３の分岐端部３ａから洗
浄水が供給され、この洗浄水は、リム通水孔１ｄから便
鉢１０内へ吐出されて溜水２０の水量を一時的に増大さ
せ、便鉢１０と排水路との間に水位差を生じさせるの
で、サイホン作用の発生が促される。こうして、溜水２
０が旋回流動することと相俟って、強力な排出作用が営
まれるにもかかわらず洗浄騒音が少ないという洗浄機能
が発揮される。

【００１２】なお、図１に示す実施例では、噴出ノズル
２から噴出させた洗浄水により、便鉢１０表面において
最も汚れが付着しやすい箇所の洗浄を行っており、その
他の汚れが比較的付着しにくい箇所は、有底リム領域１
ｂから通水孔１ｄを通じて吐出される洗浄水で洗浄する
ように構成してある。噴出ノズル２から噴出される洗浄
水の流勢は、リム通水孔１ｄから吐出される洗浄水の流
勢よりも強いから、汚れやすい箇所を洗浄するには好適
である。けれども、リム通水路１において無底リム領域
１ａを形成する場所は、前記に必ずしも限定されるので
はなく、溜水２０に旋回流動を生ぜしめることが出来る
のであれば、必要に応じ適宜変更しても差し支えない。

【００１３】図２は、本発明の別態様の実施例を示すも
のである。この実施例は、リム通水路１の全部を無底リ
ムとすると共に、このリム通水路１内に複数個の洗浄水
噴出ノズル２を配設したところに特色を有している。図
示した実施例では、３個の噴出ノズル２を適当間隔に配
設し、各噴出ノズル２における洗浄水の噴出方向を、溜
水２０の旋回流動方向（図面では反時計回り）となるよ
うに設定してある。従って、本実施例では、各噴出ノズ
ル２から噴出される洗浄水で、溜水２０を旋回流動させ
る以外に、便鉢１０の洗浄を行うことになる。しかも、
噴出ノズル２から噴出される洗浄水は流勢が強いから、
通常のリム通水孔を通じて洗浄水を吐出する場合に比
べ、洗浄力の向上がもたらされる。

【００１４】ところで、前記実施例では、噴出ノズル２
の配設を無底のリム通水路領域内としたが、リム通水路
に無底領域を設けない場合は、図３に示す如く、噴出ノ
ズル２の位置を便鉢１０上部のリム直下とすることも可
能である。

【００１５】さらに、図示は省略したが、噴出ノズル２
から噴出させる洗浄水中に気泡を混入させるようにすれ
ば、泡による汚物の粉砕効果を利用できるから、洗浄能
力の一層の向上を図ることができる。

【００１６】その他、本発明は、実施の態様に応じた種
々の変更を妨げるものではない。

【００１７】

【発明の効果】本発明によれば、通常の水洗式便器の構
造であっても、噴出ノズルを設けることによって、優れ
た洗浄機能を発揮させることができる。しかも、本発明
による構造は、従来式便器に比べるとはるかに簡単であ
るから、製造コストを低く抑えることができる。

【００１８】また、噴出ノズルから噴出される洗浄水は
流勢が強いから、汚物等を洗い流す力が大きく、依っ
て、洗浄能力の向上がもたらされると共に、洗浄水の使
用量の低減化も図っている。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る水洗式便器の一実施例を示すもの
であって、（Ａ）は平面断面図、（Ｂ）は（Ａ）のＸ−
Ｘ線における正面断面図である。

【図２】本発明に係る水洗式便器の異なる実施例を示す
平面断面図である。

【図３】本発明に係る水洗式便器のさらに異なる実施例
を示す正面断面図である。

【符号の説明】

Ａ 便器 １ リム通水路 １ａ 無底リム領域 １ｂ 有底リム領域 １ｃ 隔壁 １ｄ リム通水孔 ２ 噴出ノズル ３ 給水管 ４ 給水バルブ １０ 便鉢 ２０ 溜水

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 淳 愛知県常滑市鯉江本町５丁目１番地 株式 会社イナックス内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 便器の便鉢面上部に、便鉢内の溜水が旋
   回する方向へ洗浄水を噴出する噴出ノズルを配設したこ
   とを特徴とする水洗式便器。
2. 【請求項２】 便器のリム通水路の一部に無底領域を設
   け、当該無底リム領域を有底リム領域と区画し、当該無
   底リム領域内に便鉢内の溜水が旋回する方向へ洗浄水を
   噴出する噴出ノズルを配設したことを特徴とする水洗式
   便器。
3. 【請求項３】 便器のリム通水路の全部を無底リムと成
   し、当該無底リム内に便鉢内の溜水が旋回する方向へ洗
   浄水を噴出する噴出ノズルを複数個配設したことを特徴
   とする水洗式便器。
4. 【請求項４】 前記噴出ノズルは、洗浄水に気泡を混入
   させて噴出するものである請求項１，２又は３に記載の
   水洗式便器。