JPH06297078A - 異種金属による象嵌品の製造方法 - Google Patents

異種金属による象嵌品の製造方法

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JPH06297078A
JPH06297078A JP8990593A JP8990593A JPH06297078A JP H06297078 A JPH06297078 A JP H06297078A JP 8990593 A JP8990593 A JP 8990593A JP 8990593 A JP8990593 A JP 8990593A JP H06297078 A JPH06297078 A JP H06297078A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本体部と装飾部とで渾然一体の模様を形成す
るような象嵌品の製造方法。 【構成】 本体部と装飾部とを備える指輪の原型を銀に
より作成する工程S1と、前記銀の原型から同一形状の
ワックスパターンを少なくとも2個作成する工程S3
と、それぞれのワックスパターンから銀の鋳造品を作成
する工程S4と、一方の鋳造品からゴム型を作成する工
程S5と、他方の鋳造品を本体部と装飾部とに分離し、
装飾部を加工して装飾部の原型を作成する工程S6と、
この装飾部の原型から同一形状のワックスパターンを作
成する工程S8と、この装飾部のワックスパターンから
高融点の白金を用いて装飾部の鋳造品を作成する工程S
9と、この装飾部の鋳造品を前記ゴム型にセットし、鋳
造品の付いたワックスパターを作成する工程S10と、
この鋳造品の付いたワックスパターンから上記装飾部の
鋳造品より低融点の18金を用いて指輪を鋳造する工程
S11とからなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、異種金属を用いた象嵌
品の製造方法に係り、特に指輪やイヤリング等の装身具
における象嵌品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の象嵌品の製造方法として
は、例えば特開平4−253545号公報に記載のもの
が知られている。この製造方法の特徴は、ワックス原型
に予め高融点の装飾部品を嵌め込み、このワックス原型
の周囲に石膏を流し込んで硬化させたのち焼成し、装飾
部品を残置した状態でワックスを蒸発させ、この石膏内
に装飾部品より低融点の金属からなる基材を鋳込んで硬
化させることにより装飾部品と基材とを一体化する点に
ある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来における象嵌品の製造方法にあっては、基材と装飾部
品とを強固に結合することができるといった利点がある
ものの、装飾部品を直接ワックス原型に嵌め込みその状
態で石膏型を取る形式であるために、装飾部品に細かな
加工を施すことができず、基材と装飾部品とが渾然一体
をなすような模様を表現するのは困難であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明が解決し
ようとする課題は、本体部と装飾部とが渾然一体をなる
ような模様を簡易な手段で表現することのできる象嵌品
の製造方法を提供することにある。
【0005】即ち、本発明に係る象嵌品の製造方法は、
本体部と装飾部とを備える象嵌製品の原型を金属により
作成する工程と、前記金属の原型から同一形状のワック
スパターンを少なくとも2個作成する工程と、それぞれ
のワックスパターンから鋳造品を作成する工程と、一方
の鋳造品からゴム型を作成する工程と、他方の鋳造品を
本体部と装飾部とに分離し、装飾部を加工して装飾部の
原型を作成する工程と、この装飾部の原型から同一形状
のワックスパターンを作成する工程と、この装飾部のワ
ックスパターンから高融点金属を用いて装飾部の鋳造品
を作成する工程と、この装飾部の鋳造品を前記ゴム型に
セットし、鋳造品の付いたワックスパターを作成する工
程と、この鋳造品の付いたワックスパターンから上記装
飾部の鋳造品より低融点の金属を用いて象嵌製品を鋳造
する工程とを備えることを特徴とする。
【0006】
【実施例】以下添付図面に基づいて本発明の実施例を詳
細に説明する。図1は本発明に係る製造方法によって作
成した指輪1の一実施例を、また図2は前記指輪1を本
体部2と装飾部3とに分離した状態を、更に図3はロス
トワックス法におけるゴム型を、そして図4はこの実施
例に係る指輪1の製造工程を示したものである。以下こ
れらの図に基づいて指輪1の製造方法を説明する。
【0007】先ず、材料として銀を用いて指輪1の原型
を製造する(S1)。この製造段階では材料となる銀を
切削、研磨などして指輪1の本体部2と装飾部3とを一
体に成形する。そして、この銀原型が仕上がったらその
周りにシリコンゴムを流し込み、固まったのちに切り開
いて上記銀原型を取り出す。これにより図3に示したよ
うな、銀原型に相当する空隙部5を有するゴム型4を製
造する(S2)。
【0008】次に、このゴム型4の空隙部5内に高温に
溶けたワックスを湯口6から注入して銀原型と同一形状
のワックスパターンを製造する。このワックスパターン
は前述のゴム型4を用いて2個製造する(S3)。
【0009】更に、このワックスパターンの周囲に石膏
を流し込んで乾燥させる。そして、その後石膏を焼成し
内部のワックスを溶出させて石膏型を製造する。ワック
スを取り除くことで石膏型の内部には上記銀原型と同一
形状の空隙が形成されることになる。次に、この石膏型
の空隙内に加熱溶融した銀を鋳込む。そして、鋳込んだ
銀が十分に冷えて固まったのち、石膏型を壊して銀の鋳
込み原型を取り出す(S4)。なお、上記石膏型および
銀の鋳込み原型は2個のワックスパターンに対してそれ
ぞれ製造する。
【0010】前記(S4)で製造した2個の鋳込み原型
の内、一方はその周囲にシリコンゴムを流し込んで、上
述と同様に銀の鋳込み原型に相当する空隙部を有するゴ
ム型を製造する(S5)。また、他方の鋳込み原型は、
図2に示したように、装飾部3を本体部2から切り離
し、この装飾部3に切削、研磨、穿孔7など様々な加工
を施して装飾部3の原型を製造する。次に、この装飾部
3だけの原型の周りにシリコンゴムを流し込む。そし
て、固化させたのちに切り開いて装飾部3の原型を取り
出し、これにより装飾部3だけの原型に相当するゴム型
を製造する(S7)。
【0011】次に、このゴム型の空隙部に高温に溶けた
ワックスを注入して装飾部3の原型と同一形状からなる
装飾部3だけのワックスパターンを製造する(S8)。
そして、このワックスパターンを保持した状態でその周
囲に石膏を流し込んで乾燥させ、次いでこの石膏を焼成
し内部のワックスを溶出させることで装飾部3の石膏型
を製造する。この石膏型の内部には装飾部3の原型と同
一の空隙が形成されるから、この石膏型内に鋳込み材料
として用いた白金を加熱溶融して注入する。そして、鋳
込んだ白金が十分に冷えて固まったのち、石膏型を壊し
て白金の鋳込み原型を取り出す(S9)。
【0012】白金で製造した装飾部の鋳込み原型を、前
述の(S5)で製造したゴム型にセットする。このゴム
型の内部には、指輪1の本体部2と装飾部3に対応した
空隙部分が形成されていることから、装飾部3に相当す
る空隙部分に前述の白金で製造した装飾部3の鋳込み原
型をセットする。そしてセット後、ゴム型の空隙部内に
高温に溶けたワックスを注入する。ワックスは指輪1の
本体部2に相当する空隙部分および装飾部3に形成した
穿孔7内に充填される。冷却後ゴム型からワックスを取
り出すと、本体部2を構成するワックスに装飾部3を構
成する白金が取り付けられた白金付きワックスパターン
が製造される(S10)。なお、この実施例では白金で
製造した装飾部3の鋳込み原型を、ステップ(S2)で
製造したゴム型4にはセットせずにステップ(S5)で
製造した同一形状のゴム型の方にセットしている。これ
はステップ(S7)で装飾部3のゴム型を別途作ったこ
とで、本体部2と装飾部3の間で収縮の程度に相違が生
ずるのを防止するためである。
【0013】次に、このワックスパターンを保持した状
態でその周囲に石膏を流し込んで乾燥させ、次いでこの
石膏を焼成し内部のワックスを溶出させて再び石膏型を
製造する。石膏型の内部には白金で鋳造した装飾部3が
そのまま残り、ワックスに相当する部分が空隙として形
成される。次いで、この石膏型内に白金より溶融温度の
低い金属である18金を加熱溶融して鋳込む。この18
金は指輪1の本体部2に相当する空隙部に充填されると
共に、装飾部3に形成した穿孔7の中にも充填される。
【0014】鋳込んだ18金が十分に冷えて固まってか
ら、石膏型を壊して中から鋳造品を取り出す。この鋳造
品は、18金でできた本体部2と白金でできた装飾部3
とが一体に結合したものであると共に、装飾部3の穿孔
7部分には18金が充填されており、両者が渾然一体と
なった模様を形成している。なお、石膏型から取り出し
た指輪1は、最後に表面研磨などの処理を施して仕上げ
る。
【0015】上述のように、白金の溶融温度が18金よ
り高いので、18金を鋳込む際に装飾部3の白金が変形
したり溶けてしまうといったことがないのは勿論、製造
工程の途中で装飾部3の原型に加工を施してワックスが
充填された所には細部に亘って18金が鋳込まれるの
で、図1に示したように、本体部2と装飾部3の模様が
渾然一体となったような指輪1も容易に作り出すことが
できる。
【0016】なお、上記実施例では溶融温度の異なる貴
金属として白金と18金とを例にして説明したが、これ
以外の貴金属であっても互いに融点の異なる2種類の金
属であれば種々のものを用いることができる。また、上
記実施例では、指輪1を例にして説明したが、イヤリン
グその他の装身具は勿論のこと、種々の象嵌品の製造方
法に本発明を適用することが可能である。
【0017】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る異種
金属による象嵌品の製造方法によれば、高融点金属をゴ
ム型にセットし、このゴム型にワックスを注入すること
で高融点金属の付いたワックスパターンを作成するため
に、注入されたワックスが高融点金属の細部にまで充填
されることになる。そして、このワックス充填部分は結
果的に低融点金属で置き換えてしまうために、低融点金
属が高融点金属の細部にまで入り込み、高融点金属と低
融点金属とが渾然一体となった象嵌品の製造が可能とな
った。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る象嵌品の製造方法によって製造し
た指輪の一実施例を示す断面図である。
【図2】製造工程において指輪の原型を本体部と装飾部
とに分離した状態を示す断面図である。
【図3】製造工程におけるゴム型の一実施例を示す斜視
図である。
【図4】上記実施例に係る指輪の製造工程を示すフロー
チャートである。
【符号の説明】
1 指輪(象嵌品) 2 本体部 3 装飾部
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B22D 25/02 G 8926−4E

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 本体部と装飾部とを備える象嵌製品の原
    型を金属により作成する工程と、 前記金属の原型から同一形状のワックスパターンを少な
    くとも2個作成する工程と、 それぞれのワックスパターンから鋳造品を作成する工程
    と、 一方の鋳造品からゴム型を作成する工程と、 他方の鋳造品を本体部と装飾部とに分離し、装飾部を加
    工して装飾部の原型を作成する工程と、 この装飾部の原型から同一形状のワックスパターンを作
    成する工程と、 この装飾部のワックスパターンから高融点金属を用いて
    装飾部の鋳造品を作成する工程と、 この装飾部の鋳造品を前記ゴム型にセットし、鋳造品の
    付いたワックスパターを作成する工程と、 この鋳造品の付いたワックスパターンから上記装飾部の
    鋳造品より低融点の金属を用いて象嵌製品を鋳造する工
    程と、 からなることを特徴とする異種金属による象嵌品の製造
    方法。
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