JPH06293174A - 孔版印刷装置における製版装置 - Google Patents

孔版印刷装置における製版装置

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JPH06293174A
JPH06293174A JP8356093A JP8356093A JPH06293174A JP H06293174 A JPH06293174 A JP H06293174A JP 8356093 A JP8356093 A JP 8356093A JP 8356093 A JP8356093 A JP 8356093A JP H06293174 A JPH06293174 A JP H06293174A
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Kazuyoshi Kobayashi
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 製版手段に塵埃の進入がない孔版印刷装置に
おける製版装置を提供する。 【構成】 ロール状の感熱性孔版印刷用マスタ1を貯蔵
するマスタロール1Rと、マスタロール1Rから引き出
されたマスタをサーマルヘッド3とこれにマスタを介し
て当接するプラテンローラ3とにより製版する製版手段
と、製版手段の下流側に配設されていて製版済マスタ1
aを所定位置で切断するカット部材4a,4bとを有す
る孔版印刷装置における製版装置100において、マス
タ搬送路Pの送出口12を除き、少なくともマスタロー
ル1R及び製版手段を覆う下カバー8と下カバー8に対
して開閉自在な上カバー7とから成る収納手段を有す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、孔版印刷装置における
製版装置に関する。
【0002】
【従来の技術】孔版印刷装置に用いられる感熱性孔版印
刷用原紙は、非常に薄い2乃至4μm程度のポリエステ
ル等の熱可塑性合成樹脂フィルム(以下、単に「フィル
ム」という)と、多孔質の可撓性の支持体として合成繊
維や和紙、或いは和紙及び合成繊維を混抄したものとを
貼り合わせて、その厚さが40乃至50μmのラミネー
ト構造となっている。この原紙のフィルムの表面には、
通常、サーマルヘッド等に備えられた発熱素子との溶着
を防止するためのシリコーン類の剥離剤及び界面活性剤
等の帯電防止剤から成るオーバーコート層が形成されて
いる。この原紙のフィルム部をサーマルヘッド等の発熱
素子で加熱穿孔し、原紙を自動搬送して多孔性円筒状の
版胴の外周面に自動的に巻き付け、その原紙に対してプ
レスローラ等の押圧手段が印刷用紙を連続的に押し付け
て、版胴に設けられた開孔部さらに原紙の穿孔部よりイ
ンキを滲み出させて、印刷を行っている。
【0003】上記用途に用いられる原紙は、その支持体
として和紙等を使用しているため和紙繊維とかその混抄
体が複雑に絡み合った部分とか、或いは加熱穿孔した部
分にそれらの繊維が横切っている部分においては、イン
キの通過が阻害されインキが印刷用紙に転移されずにベ
タ部に繊維模様があらわれたり、細線等がかすれたり切
れたりする俗に繊維目と言われる不具合が発生する。そ
こで、支持体となる和紙等を使用しないでフィルムのみ
から成るマスタで印刷を行い、繊維目の無い印刷を行う
方法が試みられている。従来、フィルムのみから成るマ
スタを使用し、上述した不具合の解消を図った本格的な
技術は未だないが、例えば実公平3−31574号公報
に示されているように、芯管に巻き付ける張力を管理す
ることによりロール状に巻き取られた原紙の表面の硬さ
を一定範囲にして巻きぐせによるカール、しわを減少さ
せる技術が提案されている。また、特開昭63−302
95号公報に示されているように、製版装置の複雑化及
び大型化を解消し、剥離剤の管理、取り扱いを簡単にす
ると共に、サーマルヘッドへの原紙溶融物の融着を防止
し、解像度を向上させることのできる感熱孔版原紙のパ
ッケージ及び製版装置を提供する技術が提案されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者に
おいては、ロール状原紙の製版装置への装着やその取り
扱い時に、ロール状原紙の表層部の巻き付きが多少ゆる
んだり、ほどけてしまっても原紙が約50μmと厚く腰
が強いため手操作により再度巻き戻して使用することが
できるが、フィルムのみから成るマスタの場合は、その
巻き戻した部分に空気が入り込み微小な凹凸が発生して
しまうため、製版時にプラテンローラとサーマルヘッド
との間でフィルムに生じた微小な凹凸が押しつぶされ、
しわが発生する問題がある。後者においては、その第1
図からも明確なように、パッケージの外にサーマルヘッ
ドが配置されていて、そのサーマルヘッドがプラテンロ
ーラの上部に配設してある場合には、原紙のフィルム部
分が上面になるため、放置中にフィルム上面に付着した
塵埃によりサーマルヘッドの発熱素子部とそのフィルム
とに隙間が生じて加熱穿孔が不安定となり、画像不良が
発生する問題がある。
【0005】したがって、本発明はかかる問題点を解決
するために、製版手段に塵埃の進入がない孔版印刷装置
における製版装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述した目的
を達成するために、請求項1記載の発明は、ロール状の
感熱性孔版印刷用マスタを貯蔵するマスタ貯蔵手段と、
上記マスタ貯蔵手段から引き出された上記マスタをサー
マルヘッドとこれに上記マスタを介して当接するプラテ
ンローラとにより製版する製版手段と、該製版手段の下
流側に配設されていて製版済マスタを所定位置で切断す
るカット手段とを有する孔版印刷装置における製版装置
において、マスタ搬送路の送出口を除き、少なくとも上
記マスタ貯蔵手段及び上記製版手段を覆う下カバーと該
下カバーに対して開閉自在な上カバーとから成る収納手
段を有する構成としている。
【0007】請求項2記載の発明は、請求項1記載の孔
版印刷装置における製版装置において、上記収納手段内
に空気を送風する送風手段を有する構成としている。
【0008】
【作用】請求項1記載の発明によれば、マスタ搬送路の
送出口を除き、少なくともマスタ貯蔵手段及び製版手段
が下カバーとこれに対して開閉自在な上カバーとから成
る収納手段で覆われる。
【0009】請求項2記載の発明によれば、収納手段内
に送風手段により清浄な空気が送風されるので、収納手
段内の空気圧が外気圧よりも高くなる。
【0010】
【実施例】以下、添付図面を参照して本発明の実施例に
ついて詳述する。
【0011】まず、図1及び図2を参照して本発明の一
実施例を示す製版装置の要部構成について説明する。両
図において、符号100は製版装置を示す。製版装置1
00は、ロール状の感熱性孔版印刷用マスタ1を貯蔵す
るマスタ貯蔵手段としてのマスタロール1Rと、マスタ
ロール1Rから引き出されたマスタ1を製版するサーマ
ルヘッド3とこれにマスタ1を介して当接するプラテン
ローラ2と、プラテンローラ2及びサーマルヘッド3の
下流側に配設されていてマスタ1を所定位置で切断する
カット手段としての上下一対のカッタ部材4a,4b
と、カッタ部材4a,4bの下流側に配設されプラテン
ローラ2で搬送された製版済マスタ1aをさらに下流側
へ搬送する上下一対の送りローラ6a,6bと、送りロ
ーラ対6a,6bの下流側に位置するマスタ搬送路Pの
送出口12を除いて、マスタロール1R、プラテンロー
ラ2、サーマルヘッド3、カッタ部材4a,4b及び送
り対ローラ6a,6bを覆う、収納手段としての下カバ
ー8とこの下カバー8に対して開閉自在な上カバー7
と、上カバー7及び下カバー8で形成された収納空間S
内に空気aを送風する送風手段としての送風装置9とか
ら主に構成されている。ここで、製版手段は、プラテン
ローラ2及びサーマルヘッド3から構成される。
【0012】図3に示すように、マスタ1は熱可塑性合
成樹脂でできた芯管1dの外周に巻き付けられていて、
ポリエステルの熱可塑性合成樹脂フィルム1b(以下、
単に「フィルム1b」という)から成り、フィルム1b
の表面側(図中梨地の模様で示す)、すなわちフィルム
1bの片面側にはサーマルヘッド等との融着を防止する
ための剥離剤及び/又は界面活性剤等の帯電防止剤から
成るオーバーコート剤1cがコーター等によって塗布さ
れている。芯管1dの長さLはマスタ1の幅Bよりも長
く形成されており、芯管1dは、図2に示す下カバー8
のマスタロール収納部7Pの両側壁の内側に突出したU
字状部の段溝7jに回転自在に支持されるようになって
いる。
【0013】上記剥離剤によるオーバーコート剤1cの
形成方法としては、例えば、特公平3−52353号公
報に示されているように、ポリテトラフルオロエチレ
ン、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロ
エチレン−ヘキサフルオロプロピレン重合体、ポリフッ
化ビニリデン、ポリフッ化ビニル等、これらのフッ素系
樹脂を、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等により変性し
たもの等のフッ素樹脂の水性サスペンジョン、溶剤系サ
スペンジョン、又は極性溶剤の溶液をフィルム1b上へ
塗布する技術を使用している。
【0014】また、界面活性剤等の帯電防止剤によるオ
ーバーコート剤1cの形成方法としては、例えば、特公
平4−61799号公報に示されているように、リン酸
エステル型界面活性剤より成るスティック防止層のフィ
ルム1bに対する形成は、上記界面活性剤を適当な溶媒
例えば水、エタノール、メタノール、酢酸エチル、メチ
ルエチルケトン等の有機溶媒に溶解し、フィルム1b上
に塗布する公知の技術によって得られる。このリン酸エ
ステル型界面活性剤はきわめて少量の付着量で高いステ
ィック防止効果を示し、その付着量は0.01〜0.5
g/m2好ましくは0.05〜0.3g/m2で充分であ
る。またこの場合、溶媒中のリン酸エステル型界面活性
剤濃度は0.1〜5重量%好ましくは0.5〜3重量%
程度であるものを使用している。
【0015】マスタロール1Rは、フィルム1bの表面
(片面)に塗布された上記剥離剤の溶媒及び上記帯電防
止剤の溶媒が完全に飛ばないうちに、すなわち完全に乾
燥しないうちに芯管1dの外周にロール状に次々と巻き
付けることで形成されていて、その表面、裏面のフィル
ム1bの間に上記剥離剤及び帯電防止剤が付着し、その
溶媒の粘着力及び表面張力でフィルム1bは密着した状
態で保持されている。したがって、マスタロール1R
は、あたかも取り扱い時にぜんまいばねがゆるむ現象の
ように、手操作によるその取り扱い時にその自重でマス
タロール1Rの巻きがゆるんだり、帯状に徐々にずれて
外れてしまうことが防止されるので巻き戻しを行う必要
がなく、このため巻き戻しによりマスタ1の表面と裏面
との重合部分に空気が入り込み微小な凹凸を発生させて
しまうこともない。また、マスタロール1Rに巻かれた
状態にあるマスタ1は、フィルム1bとこの片面に形成
されたオーバーコート剤1cのみから成ることにより、
従来の原紙のようにロール巻形成時に多孔質の可撓性支
持体としての和紙等の形成面とフィルム1b面とが当接
せず、和紙繊維の凹凸がフィルム1b面に転写されるこ
とがないので、和紙繊維の凹凸によるサーマルヘッドと
の密着不良、すなわちマスタ1の穿孔不良が発生しない
利点がある。なお、上記溶媒は、マスタロール1Rから
マスタ1を引き出した直後、すなわちロール状に巻かれ
ていたマスタ1の表面及び裏面が剥離した直後に瞬間的
に蒸発し発散する、例えばメチルエチルケトンのような
ものが望ましい。
【0016】図4にマスタロール1Rからマスタ1を引
き出した状態のマスタ1を示す。上述したように、フィ
ルム1bの表面にオーバーコート剤1cが塗布されて未
乾燥状態でフィルム1bが巻かれてマスタロール1Rが
形成されている。したがって、図4に示すように、マス
タロール1Rから引き出されたマスタ1のフィルム1b
の表面及び裏面には、オーバーコート剤1cが付着して
いることとなる。
【0017】フィルム1bの片面へのオーバーコート剤
1cの塗布は、上記実施例のようにフィルム1bの表面
側に限らず、フィルム1bの裏面側であっても良く、ま
たその塗布方法はコーター塗布に限らず、噴霧シャワー
等によって塗布しても良い。
【0018】図1及び図2において、プラテンローラ2
は、その軸2sと実質一体的に取り付けられていて、軸
2sと平行な方向に延在して設けられている。プラテン
ローラ2の軸2sは、下カバー8の各側壁に開けられた
孔から外側へ挿通され図示しない孔版印刷装置の側板に
回転自在に支持されている。プラテンローラ2は軸2s
の一端に設けられたプラテンローラプーリとモータプー
リとの間に掛け渡された無端ベルト(共に図示せず)及
びステップモータMにより図示矢印方向に回転駆動され
る。サーマルヘッド3は、プラテンローラ2の上方に位
置し、プラテンローラ2の軸2sと平行に延在して、図
示を省略した支持機構によって下カバー8内に設けられ
ている。サーマルヘッド3は、図示しない孔版印刷装置
の原稿読取部に設けられたA/D変換部及び製版制御部
(共に図示せず)で処理されて送出されるデジタル画像
情報に基づき図示しない発熱素子が選択的に発熱するこ
とによりマスタ1の所定位置を溶融し穿孔する周知の機
能を有する。カッタ部材4a,4bは、楔状の刃を有す
るギロチンタイプのものであって、プラテンローラ2の
軸2sと平行に延在していて、ソレノイド及びカム等
(共に図示せず)から成る昇降駆動機構により互いに当
接するように、昇降自在に下カバー8内に設けられてい
る。送りローラ6a,6bは、各軸6as,6bsと実
質一体的に取り付けられていて、プラテンローラ2の軸
2sと平行な方向に延在して下カバー8内に設けられて
いる。各軸6as,6bsは、下カバー8の各側壁に開
けられた孔から外側へ挿通され図示しない孔版印刷装置
の側板に回転自在に支持されている。送りローラ対6
a,6bは、送りローラ6bが軸6bsの一端に設けら
れた回転伝達機構及びステップモータ(共に図示せず)
により回転駆動されることにより、互いに圧接して図示
矢印方向に回転駆動される。
【0019】下カバー8は、ケース状をなし、図示しな
い孔版印刷装置の側板に固定されている。上カバー7は
透明な合成樹脂で、下カバー8は板金でそれぞれ一体成
形されていて、上カバー7はマスタ収納部7pの右側近
傍に形成されたヒンジ11を介して下カバー8に対して
開閉自在に設けられている。上カバー7の下端面の全周
及び下カバー8の上端面の全周には互いに当接し合う当
接面が形成されている。サーマルヘッド3側寄りのマス
タ収納部7P上方の上カバー7には、送風装置9の送風
ファン9fで形成された清浄な空気aを送風するための
送風口7aが開けられており、送風口7aを覆う形で送
風装置9が設けられている。送風装置9の図において右
側の空気吸入口側には、吸入空気に含まれている製版装
置100の動作に有害な塵埃を除去するためのフィルタ
10が設けられている。送出口12は、送りローラ対6
a,6bの下流側のマスタ搬送路P上に位置する下カバ
ー8の図において左端壁に開けられていて、送風装置9
により送風された空気aを僅かずつ逃がしつつ製版済マ
スタ1aを図示しない版胴に設けられた開閉自在なマス
タ係止部材(図示せず)へと導く機能をも有する。
【0020】プラテンローラ2とカッタ部材4bとの間
のマスタ搬送路Pの下方には製版済のマスタ1aを案内
するための、板金製平板状の前案内板5aが、カッタ部
材4bと送りローラ5bとの間のマスタ搬送路Pの下方
には上流側の前端部が僅かに下方に傾斜した、製版済の
マスタ1aを案内するための板金製の後案内板5bがプ
ラテンローラ2の軸2s方向にそれぞれ延在して配設さ
れていて、前案内板5a及び後案内板5bの各端部は下
カバー8の各側壁にそれぞれ取り付けられている。
【0021】次に、この製版装置100の動作について
以下に記す。図1及び図2において、マスタ1は、通
常、マスタ搬送路P下流側の送出口12よりも僅かに突
出した位置において、その先端がプラテンローラの軸2
sと略平行な方向に揃えられた状態で待機している。図
示しない製版スタートキーを押すと、そのオン信号が図
示しない製版制御部に送出され、この製版制御部(図示
せず)から送風装置9に駆動電流が送出されることによ
って送風ファン9fが回転し、送風口7aから清浄な空
気aが収納空間S内に送風されることにより収納空間S
内の空気圧が外気圧よりもごく僅かに高くなる。同時に
製版スタートキーの製版オン信号が図示しないA/D変
換部及び製版制御部に送出され、このA/D変換部及び
製版制御部において処理されて送出されるデジタル画像
情報の信号によってサーマルヘッド3の発熱素子が選択
的に発熱されてマスタ1が穿孔製版されると共に、図示
しない製版制御部からの駆動信号によりステップモータ
Mが回転され、この回転力がプラテンローラ2に伝達さ
れる。そして、プラテンローラ2の回転により製版済マ
スタ1aが前案内板5a上へ搬送される。
【0022】次いで、製版済マスタ1aは、カッタ部材
4a,4bを経て後案内板5bに案内されつつ送りロー
ラ対6a,6bに搬送され、さらに送りローラ対6a,
6bにより送出口12からマスタ搬送路Pの下流側、す
なわち版胴上の拡開したマスタ係止部材(図示せず)に
向かって送出される。製版済マスタ1aは、マスタ係止
部材(図示せず)の閉動作によってその先端部が挟持さ
れて、製版済マスタ1aが版胴(図示せず)の外周面上
に巻き付けられることとなる。次いで、製版済マスタ1
aの搬送量が所定の送り量に達すると、カッタ部材4
a,4bが動作して製版済マスタ1aが所定の位置で切
断される。同時に、プラテンローラ2の回転が停止する
ことにより、所定の製版が完了し待機状態となる。
【0023】図5に上記実施例の変形実施例を示す。こ
の実施例は、上記実施例に対して、マスタロール1Rか
らのマスタ1の引き出し方向が反対であること、すなわ
ちマスタロール1Rにおけるマスタ1の引き出し方向に
関係無くセットし、使用できることのみ相違する。この
実施例によれば、マスタ収納部7Pへマスタロール1R
をセットするときに、マスタロール1Rから引き出され
たマスタ1のフィルム1bの表面及び裏面には、上述し
たようにオーバーコート剤1cが付着しているので、従
来の原紙のように和紙等の多孔質の可撓性支持体側の面
をプラテンローラ側に、フィルム1b側をサーマルヘッ
ド側になるようにマスタロール1Rからのマスタ1の引
き出し方向に注意して交換やセットする必要がなく、マ
スタロール1Rをセットしやすいと共に使い勝手も良く
なる利点がある。
【0024】上カバー7及び下カバー8で収納空間Sを
形成する範囲は、上記実施例に限定されることなく、廻
りの塵埃が製版装置の製版手段部分に進入するのを防止
するために、マスタ搬送路Pの送出口を避けて、マスタ
貯蔵手段としてのマスタロール1R、製版手段としての
プラテンローラ2及びサーマルヘッド3を少なくとも覆
っていれば良い。すなわち、製版済マスタ1aが所定の
位置でカッタ部材4a,4bで切断され、その位置で製
版済マスタ1aの先端が停止しているときは送りローラ
対6a,6bまで覆う必要は特にない。また、カッタ部
材4a,4bで切断した後、そこから製版済マスタ1a
の先端を上流側に引き戻す動作をさせる場合、カッタ部
材4a,4bを覆う必要もない。
【0025】図6に本発明の別の実施例を示す。この実
施例に示す製版装置100Aは、上記実施例の製版装置
100に対して、上カバー7をケース状に形成して上カ
バー7Aとし、この上カバー7A側にサーマルヘッド3
及び送りローラ6aを設けることによりサーマルヘッド
3をプラテンローラ2に対して、送りローラ6aを送り
ローラ6b対してそれぞれ接離自在にし、上カバー7A
及び下カバー8Aの形状を変更したことのみ相違する。
製版装置100Aによれば、マスタロール1Rのマスタ
収納部7pへのセット・交換する空間を広く使うことが
できるので、マスタロール1Rのセット・交換や製版装
置内部の清掃・保守点検等の作業性が向上する。なお、
図6においては、この実施例の特徴を明確にするために
製版装置100A内のマスタロール1R及びサーマルヘ
ッド3等の構成要素の図示は省略してある。
【0026】図7に本発明のさらに別の実施例を示す。
この実施例に示す製版装置100Bは、上記実施例の製
版装置100Aに対して、上カバー7Aの両側壁を削除
して上カバー7Bに、下カバー8Aの両側壁を削除して
下カバー8Bにすると共に、下カバー8Bの両側端部を
挟んで孔版印刷装置に設けられた板金製の側板対13
R,13Lに取り付けたことのみ相違する。側板対13
R,13Lの各内壁に対する上カバー7B閉時の塵埃進
入防止のためのシールは、例えば、側板対13R,13
Lの各内壁の所定位置にその内側方向に突出したゴム片
を貼り付けたりして適切なシール構造が採用されている
ことは言うまでもない。なお、図7において、図におい
て左側の側板13Lの図示は省略してある。
【0027】上カバー7,7A及び下カバー8,8Aの
開閉合わせ部の構造は、上記実施例に限らず、上カバー
7,7Aの下端面の全周及び下カバー8,8Aの上端面
の全周が互いに重合するような段付きの合わせ構造であ
っても良い。
【0028】また、送風手段としての送風装置9の取り
付け位置は、上記実施例に限らず、送風装置9を上カバ
ー7,7A,7Bから離間した図示しない孔版印刷装置
の不動部材に取り付けて、送風装置9と上カバー7,7
A,7Bの送風口7aとをフレキシブルなエアホース
(図示せず)で接続連通させて送風しても良い。
【0029】また、下カバーに対して開閉自在な上カバ
ーは、上記実施例に限らず、例えば箱型状の収納手段の
上壁面に設けられたスライド自在なスライドドア(共に
図示せず)でも良い。
【0030】すなわち、請求項1記載の発明は、マスタ
搬送路の送出口を除き、少なくともマスタ貯蔵手段及び
製版手段を覆う下カバーとこの下カバーに対して開閉自
在な上カバーとから成る収納手段を有していれば良い。
また、請求項2記載の発明は、該収納手段内に空気を送
風する送風手段を有していれば良い。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発
明によれば、マスタ搬送路の送出口を除き、少なくとも
マスタ貯蔵手段及び製版手段が下カバーとこれに対して
開閉自在な上カバーとから成る収納手段で覆われるの
で、収納手段内への塵埃の進入を防止することができ
る。
【0032】請求項2記載の発明によれば、収納手段内
に送風手段により清浄な空気が送風されることにより収
納手段内の空気圧が外気圧よりも高くなるので、収納手
段内への塵埃の進入防止効果を上記効果よりもさらに高
めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す製版装置の断面図であ
る。
【図2】図1の斜視図である。
【図3】図1のマスタロールの構成を示す斜視図であ
る。
【図4】図3のマスタロールから引き出されたマスタの
構成を示す断面図である。
【図5】図1の変形実施例を示す製版装置の要部の断面
図である。
【図6】本発明の別の実施例を示す製版装置の要部の斜
視図である。
【図7】本発明のさらに別の実施例を示す製版装置の要
部の断面図である。
【符号の説明】
P マスタ搬送路 S 収納空間 1 感熱性孔版印刷用マスタ 1a 製版済マスタ 1b 熱可塑性合成樹脂フィルム 1c オーバーコート剤 1d 芯管 1R マスタ貯蔵手段としてのマスタロール 2 製版手段を構成するプラテンローラ 3 製版手段を構成するサーマルヘッド 4a,4b カット手段としてのカッタ部材 7,7A,7B 収納手段を構成する上カバー 8,8A,8B 収納手段を構成する下カバー 9 送風手段としての送風装置 9f 送風手段を構成する送風ファン 10 送風手段を構成するフィルタ 11 ヒンジ 12 マスタ搬送路の送出口 100,100A,100B 製版装置

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ロール状の感熱性孔版印刷用マスタを貯蔵
    するマスタ貯蔵手段と、上記マスタ貯蔵手段から引き出
    された上記マスタをサーマルヘッドとこれに上記マスタ
    を介して当接するプラテンローラとにより製版する製版
    手段と、該製版手段の下流側に配設されていて製版済マ
    スタを所定位置で切断するカット手段とを有する孔版印
    刷装置における製版装置において、 マスタ搬送路の送出口を除き、少なくとも上記マスタ貯
    蔵手段及び上記製版手段を覆う下カバーと該下カバーに
    対して開閉自在な上カバーとから成る収納手段を有する
    ことを特徴とする孔版印刷装置における製版装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の孔版印刷装置における製版
    装置において、 上記収納手段内に空気を送風する送風手段を有すること
    を特徴とする孔版印刷装置における製版装置。
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