JPH06292291A - マイクロホン装置 - Google Patents

マイクロホン装置

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JPH06292291A
JPH06292291A JP9529493A JP9529493A JPH06292291A JP H06292291 A JPH06292291 A JP H06292291A JP 9529493 A JP9529493 A JP 9529493A JP 9529493 A JP9529493 A JP 9529493A JP H06292291 A JPH06292291 A JP H06292291A
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microphone
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Takayuki Mizuuchi
崇行 水内
Toru Sasaki
徹 佐々木
Hitoshi Okubo
仁 大久保
Kaoru Gyotoku
薫 行徳
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 小型で、超指向性を得ることができ、かつ、
希望音声信号の歪みを軽減できるマイクロホン装置を実
現する。 【構成】 第1のマイクロホン11の出力信号が供給さ
れるフィルタ手段21と、第2のマイクロホン12の出
力信号から上記フィルタ手段21の出力信号を減算する
減算手段15と、主要入力信号に含まれる雑音成分を、
参照入力信号に基づいて適応的に低減するようにする適
応雑音キャンセラー10とを備える。フィルタ手段15
の特性は、作成したい指向性方向から同定用信号を入射
して第1及び第2のマイクロホン11及び12で収音し
たときに、減算手段15の出力がゼロになるように同定
した結果の特性とされる。第1のマイクロホン11の出
力信号が主要入力信号として適応雑音キャンセラー10
に供給されると共に、減算手段15の出力信号が参照入
力として適応雑音キャンセラー10に供給される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、適応雑音キャンセラ
ーを用いた、いわゆる超指向性のマイクロホン装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】例えば、カメラ一体型VTRでは、被写
体を撮影しながら、この被写体の周囲の音声を同時に記
録するようにしている。この音声の収音に当たっては、
一般に、被写体の方向からの音声のみを収音するように
考慮されている。すなわち、例えばカメラの前方からの
音声のみを収音するような指向特性を有するマイクロホ
ン装置を用いている。
【0003】これ種のマイクロホン装置の一例として、
例えばいわゆるガンマイクと呼ばれるものが知られてい
る。これは、振動板の前方に伸びるパイプ部を備えてい
る。そして、このパイプ部の側壁には、多数の貫通穴が
設けられて、このパイプ部の中心線方向の前方(振動板
とは反対方向)からの音声に対して高い感度を有する指
向性を有するように構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このマ
イクロホンは長いパイプ部を必要とし、大型になる欠点
がある。また、マイクロホンの前方にのみ高い感度を有
する単一指向性であり、固定的な指向性しか得られな
い。このため、希望音声到来方向からの音声だけでな
く、例えばカメラ周囲の側方からの音声をも収音したい
場合などに対応することが困難であり、指向性の方向に
自由度がない。
【0005】そこで、出願人は、特願平4−14320
9号として、適応雑音キャンセラーを応用して、小型に
して超指向特性を有するように構成することができるマ
イクロホン装置を提案している。
【0006】図4は、適応雑音キャンセラーの基本的構
成を示すもので、先ず、この適応雑音キャンセラーにつ
いて説明する。
【0007】図4において、1は主要入力端子、2は参
照入力端子であって、主要入力端子1を通じて入力され
た主要入力信号は遅延回路3を介して合成回路4に供給
される。また、参照入力端子2を通じて入力された参照
入力信号は、適応フィルタ回路5を介して合成回路4に
供給され、遅延回路3からの信号から減算される。この
合成回路4の出力は、適応フィルタ回路5に帰還される
と共に、出力端子6に導出される。
【0008】この適応雑音キャンセラーにおいては、主
要入力信号としては、希望信号sと、これと無相関の雑
音信号n0 とが加算されたものが入力される。一方、参
照入力信号としては、雑音信号n1 が入力される。参照
入力の雑音信号n1 は、希望信号sとは無相関である
が、雑音信号n0 とは相関があるようにされている。
【0009】適応フィルタ回路5は、参照入力雑音信号
n1 をフィルタリングして、雑音信号n0 に近似する信
号yを出力する。この場合は、適応フィルタ回路5にお
いては、所定の適応のアルゴリズムにより、合成回路4
の減算出力(残差出力)eが最小になるように、参照入
力雑音信号n1 のフィルタリングのフィルタ係数を更新
してゆく。
【0010】この適応フィルタ回路5の出力信号yとし
て、雑音信号n0 と逆相、等振幅の信号を得るようにす
ることもできる。遅延回路3は、適応フィルタ回路5で
の演算処理に要する時間遅れや適応フィルタでの伝播時
間その他を補償して、減算処理する信号との時間合わせ
をするためのものである。
【0011】以下に、適応雑音キャンセラーの原理につ
いて説明する。
【0012】今、希望信号s,雑音n0 ,雑音n1 ,出
力信号yが統計的に定常であり、平均値がゼロであると
仮定すると残差出力eは、 e=s+n0 −y となる。これを二乗したものの期待値は、希望信号sが
雑音n0 及び出力yと無相関であるから、 E[e2 ]=E[s2 ]+E[(n0 −y)2 ] +2E[s(n0 −y)] =E[s2 ]+E[(n0 −y)2 ] となる。適応フィルタ回路5が収束するものとすれば、
適応フィルタ回路5は、E[e2 ]が最小になるよう
に、適応フィルタ係数を更新するものである。このと
き、E[s2 ]は影響を受けないので、 Emin [e2 ]=E[s2 ] +Emin [(n0 −y)2 ] となる。
【0013】すなわち、E[e2 ]が最小化されること
によってE[(n0 −y)2 ]が最小化され、適応フィ
ルタ回路5の出力yは、雑音信号n0 の推定量になる。
そして、合成回路4からの出力の期待値は、希望信号s
のみとなる。すなわち、適応フィルタ回路5を調整して
全出力パワーを最小化することは、減算出力eが、希望
音声信号sの最小二乗推定値になることに等しい。
【0014】出力eは、一般に、信号sに多少の雑音が
残ったものになるが、出力雑音は(n0 −y)で与えら
れるからE[(n0 −y)2 ]を最小化することは、出
力の信号対雑音比を最大化することに等しい。
【0015】合成回路4が音響合成手段となる場合もあ
る。すなわち、適応フィルタ回路5で、雑音と逆相、等
振幅の雑音打ち消し音声信号−yを形成し、これをスピ
ーカなどに供給して、主要音声に音響的に加算して雑音
を低減する構成とする。この場合の残差eは、残差検出
用マイクロホンで収音することとなる。
【0016】なお、適応フィルタ回路5はアナログ信号
処理回路で実現する場合とデジタル信号処理回路で実現
する場合の、いずれでも可能であるが、一般的には、D
SP(デジタルシグナルプロセッサ)を用いたデジタル
処理回路の構成とされる。デジタル処理回路の構成とし
た場合の適応フィルタ回路5の一例の構成を図6に示
す。
【0017】適応フィルタ回路5は、この例において
は、FIRフィルタ型の適応型線形結合器100と、フ
ィルタ係数更新演算手段110とからなっている。この
適応フィルタ回路5は、マイクロコンピュータを搭載す
るDSPにより、ソフトウエアとして構成することがで
きる。フィルタ係数の更新のアルゴリズムは、この例で
は、計算量が少なく、実用的であるため多用されている
LMS(Least Mean Squares;最小平均自乗)法を用い
た場合として説明する。
【0018】LMS法について、図6を参照しながら説
明する。図6に示すように、この場合、FIRフィルタ
型の適応型線形結合器100を使用する。この適応型線
形結合器100は、それぞれ単位サンプリング時間の遅
延時間Z-1を有する複数個の遅延回路DL1,DL2,
……DLm(mは正の整数)と、入力雑音n1 及び各遅
延回路DL1,DL2,……DLmの出力信号と加重係
数(フィルタ係数)との掛け算を行う加重回路MX0,
MX1,MX2,……MXmと、加重回路MX0〜MX
mの出力を加算する加算回路101を備える。加算回路
101の出力は、図4で説明した信号yである。
【0019】加重回路MX0〜MXmに供給する加重係
数は、フィルタ係数演算回路110で、LMSアルゴリ
ズムにより、合成回路4からの残差信号eと、参照入力
n1とに基づいて形成される。このフィルタ係数演算回
路110で実行されるアルゴリズムは、次のようにな
る。
【0020】今、時刻k における入力ベクトルXk を、
図6にも示すように、 Xk =[x0k1k2k ・・・xmkT とし、出力をyk 、加重係数をwjk(j=0,1,2,…m )と
すると、入出力の関係は、次の数1に示すように、
【0021】
【数1】 となる。
【0022】そして、時刻k における加重ベクトルWk
を、 Wk =[w0k1k2k ・・・wmkT と定義すれば、入出力関係は、 yk =Xk T ・Wk … (1) で与えられる。ここで、希望の応答をdk とすれば、残
差ek は、 ek =dk −yk =dk −Xk T ・Wk …(2) で表される。
【0023】LMS法では、加重ベクトルの更新を、 Wk+1 =Wk +2μ・ek ・Xk … (3) なる式(3)により順次行っていく。加重係数の初期値
は、一定値あるいはランダムな値に設定される。ここ
で、μは適応の速度と安定性を決める利得因子(ステッ
プゲイン)である。
【0024】先に提案したマイクロホン装置は、以上説
明したような適応雑音キャンセラーを用いて構成する。
すなわち、図4に示すように、主要入力収音用の第1の
マイクロホン7と、参照入力収音用の第2のマイクロホ
ン8を設け、第1のマイクロホン7の出力信号を、主要
入力端子1に入力し、第2のマイクロホン8の出力信号
を参照入力端子2に入力する。
【0025】そして、この場合に、希望音声到来方向を
ARとしたときに、主要入力用マイクロホン7は、図5
に示すような無指向性のマイクロホンを用いる。あるい
は、単一指向性のマイクロホンを、その主指向軸を希望
音声到来方向に向けて配置する。
【0026】また、参照入力用マイクロホン8は、図5
に示すように、単一指向性のマイクロホンを、排除した
い音声入力方向に感度を有し、希望音声到来方向ARが
指向性のヌル方向となるように配置して使用する。排除
したい音声の到来方向が希望音声到来方向に対して90
度の方向の場合には、双指向性マイクロホンを、希望音
声到来方向ARが指向性のヌル方向となるように配置し
て使用するようにしてもよい。
【0027】このような構成にすれば、参照入力信号に
は、希望音声信号は殆ど含まれず、このため参照入力信
号は、希望音声とは無相関の信号となり、主要入力中の
不要信号(雑音成分)と相関を有する信号となる。した
がって、参照入力収音用の第2のマイクロホン8が、低
減したい不要信号の到来方向に所定の感度を有するよう
に構成されていれば、主要入力中に含まれる不要信号成
分は適応的にキャンセルされ、出力端子には希望音声信
号のみが得られるものである。
【0028】以上のようにして、適応雑音キャンセラー
を用いて、参照入力用の単一指向性マイクロホン8の感
度最小の方向に対して鋭い指向性を持つ超指向性のマイ
クロホン装置を実現することができる。
【0029】しかしながら、実際問題としては、参照入
力収音用のマイクロホンの指向特性を完全に希望音声信
号を収音しない(感度ゼロとする)ような特性にするこ
とが困難である。このため、希望音声信号が、ある程度
のレベルで参照入力信号中に混入してしまうことは避け
られない。
【0030】この状態は、希望音声と参照入力音声の両
入力信号が無相関であるという適応処理の前提条件から
外れており、特に、参照入力の不要信号(雑音)のレベ
ルがかなり低い場合には、上述のような通常の適応処理
では、希望音声信号自体が低減の対象となってしまい、
希望音声信号が劣化してしまうという問題がある。
【0031】この発明は、以上の点にかんがみ、適応雑
音キャンセラーを用いたマイクロホン装置であって、希
望音声信号の劣化を軽減することができるマイクロホン
装置を提供することを目的とする。
【0032】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、この発明によるマイクロホン装置は、後述の実施例
の参照符号を対応させると、第1及び第2のマイクロホ
ンと、上記第1のマイクロホンの出力信号が供給される
フィルタ手段と、上記第2のマイクロホンの出力信号か
ら上記フィルタ手段の出力信号を減算する減算手段と、
主要入力信号に含まれる雑音成分を、参照入力信号に基
づいて適応的に低減するようにする適応雑音キャンセラ
ーとを備え、上記フィルタ手段の特性は、作成したい指
向性方向から同定用信号を入射して上記第1及び第2の
マイクロホンで収音したときに、上記減算手段の出力が
ゼロになるように同定した結果の特性とされ、上記第1
のマイクロホンの出力信号が上記主要入力信号として上
記適応雑音キャンセラーに供給されると共に、上記減算
手段の出力信号が参照入力として上記適応雑音キャンセ
ラーに供給されたことを特徴とする。
【0033】
【作用】上記の構成のこの発明においては、減算手段の
出力信号の特性は、作成したい指向性方向からの、すな
わち、希望音声方向からの信号に対して最低感度(ゼ
ロ)になるような特性となる。つまり、減算手段から
は、希望音声方向の感度がゼロとなるマイクロホンで収
音したのと等価の信号が得られる。したがって、適応雑
音キャンセラーの参照入力となる減算手段の出力に、希
望音声が混入するのが避けられる。
【0034】
【実施例】以下、この発明によるマイクロホン装置の一
実施例を図1を参照しながら説明する。この例は、適応
雑音キャンセラーの適応フィルタ回路がデジタル構成の
場合の例である。
【0035】図1において、11及び12は第1及び第
2のマイクロホンで、この例では、共に無指向性マイク
ロホンで構成される。また、10は、適応雑音キャンセ
ラーで、その適応フィルタ回路5は、前述したように、
適応型線形結合器100と、フィルタ係数演算回路11
0とで構成されている。
【0036】第1のマイクロホン11により収音され、
電気信号に変換されて得られた音声信号は、A/Dコン
バータ13においてデジタル信号に変換され、主要入力
信号として適応雑音キャンセラー10の主要入力端子1
に供給される。
【0037】一方、第2のマイクロホン12により収音
され、電気信号に変換されて得られた音声信号は、A/
Dコンバータ14においてデジタル信号に変換され、減
算回路15に供給される。この減算回路15には、A/
Dコンバータ13からの第1のマイクロホン11の出力
のデジタル信号が、適応型線形結合器100と同様の構
成とされるFIRフィルタ回路21を介して供給され
る。
【0038】そして、減算回路15では、A/Dコンバ
ータ14からのデジタル信号からFIRフィルタ回路2
1からの信号が減算され、その減算出力が参照入力とし
て、適応雑音キャンセラー10の参照入力端子2に供給
される。適応雑音キャンセラー10の出力信号は、D/
Aコンバータ16によりアナログ信号に戻され、出力端
子17に導出される。
【0039】FIRフィルタ回路21のフィルタ係数
は、フィルタ係数演算供給回路22から供給される。フ
ィルタ係数演算供給回路22は、適応雑音キャンセラー
10のフィルタ係数演算回路110と同様にDSPで構
成することができる。また、適応雑音キャンセラー10
のフィルタ係数演算回路110と兼用することも可能で
ある。
【0040】このフィルタ係数の値は、後述するように
して求められるが、作成したい指向性方向から同定用信
号を入射して第1及び第2のマイクロホン11及び12
で収音したときに、減算回路15の出力がゼロになるよ
うに同定した結果のフィルタ係数の値である。
【0041】フィルタ係数演算供給回路22には、スイ
ッチSW1を介してA/Dコンバータ13からの第1の
マイクロホン11の出力のデジタル信号が供給されると
共に、スイッチSW2を介して減算回路15の出力信号
が供給される。スイッチSW1及びSW2は、FIRフ
ィルタ回路21に供給するフィルタ係数を求めるときに
オンとされる。そして、フィルタ係数が求められた後
は、これらスイッチSW1及びSW2は、オフとされ
て、求められたフィルタ係数がFIRフィルタ回路21
のフィルタ係数値として固定される。
【0042】フィルタ係数演算供給回路22の動作及び
FIRフィルタ回路21のフィルタ係数の決定方法につ
いて説明する。先ず、スイッチSW1及びSW2をオン
にする。そして、この例のマイクロホン装置として作成
したい指向性方向から、つまり最高感度を得たい希望音
声到来方向から同定用信号を入射させる。その他の信号
の入射はない、あるいは無視できるようなものとする。
この状態では、適応雑音キャンセラー10の前段の部分
の構成は、図2のように、同定用信号を雑音としてキャ
ンセルするように働く適応雑音キャンセラー20とな
る。
【0043】すなわち、この適応雑音キャンセラー20
は、減算回路15と、FIRフィルタ回路21と、フィ
ルタ係数演算供給回路22とで構成され、主要入力がA
/Dコンバータ14の出力、参照入力がA/Dコンバー
タ13の出力、残差出力が減算回路15の出力とされ
る。この状態で適応雑音キャンセラー20で適応動作が
行われると、フィルタ係数演算供給回路22は、減算回
路15の出力パワーがゼロとなるように、FIRフィル
タ回路21のフィルタ係数の更新を行う。
【0044】そして、適応処理が収束するような所定時
間、適応雑音キャンセラー20で適応処理動作を継続
し、前記所定時間が経過したらスイッチSW1及びSW
2をオフにする。このスイッチオフは、例えばタイマー
を用いて自動的に行うことができる。フィルタ係数演算
供給回路22は、この収束時のフィルタ係数をそのメモ
リに記憶する。このメモリとしては、電池バックアップ
のRAMを含む不揮発性メモリを用いることができる。
【0045】したがって、その後は、FIRフィルタ回
路21のフィルタ係数は、同定用信号の入射に対して減
算回路15の出力がゼロになるようなフィルタ係数に固
定される。
【0046】このことは、減算回路15の出力の指向特
性が、同定用信号の到来方向、すなわち、希望音声到来
方向の感度がゼロになるような超指向特性になっている
ことを示している。つまり、希望音声到来方向の感度が
最小の超指向性のマイクロホンで収音したものに等し
い。
【0047】図1の構成は、この減算回路15の出力が
参照入力として適応雑音キャンセラー10の参照入力端
子2に供給され、A/Dコンバータ13からの第1のマ
イクロホン11の出力のデジタル信号が主要入力として
適応雑音キャンセラー10の主要入力端子1に供給され
るので、希望音声が参照入力に漏出する量が少なくな
り、希望音声の劣化を防止して、希望音声到来方向以外
の方向からの不要信号を、適応的にキャンセルすること
ができる。
【0048】しかも、図1の例においては、希望音声方
向から同定用信号を入射させ、スイッチSW1,SW2
をオン、オフする操作を行うだけで、任意の方向を希望
音声方向として適応雑音キャンセルを行い、その希望音
声方向を指向性方向とする超指向性のマイクロホン装置
を実現することができる。
【0049】また、図1の例においては、無指向性のマ
イクロホンを2個用いて、主要入力としての無指向性、
参照入力としての単一指向性を作り出しているので、無
指向性マイクロホンと単一指向性のマイクロホンとを使
用する場合に比べて、特性のばらつきや感度差が少な
く、また、安価になる。
【0050】もっとも、同じ無指向性マイクロホンを使
用するとはいっても、筐体などの影響で、特性あるいは
感度などについてある程度のばらつきは必ず存在する。
しかしながら、以上の例においては、2つのマイクロホ
ン11及び12の特性差、感度差をもまとめて補正する
ので、マイクロホンユニットの特性のばらつきを考慮す
る必要はない。
【0051】ところで、図1の例において、減算回路1
5の出力は、単体のマイクロホン11の出力に対して周
波数及び位相などの点で特性差を有してしまう。適応雑
音キャンセラー10では、参照入力の、この特性差を補
償して、主要入力中の不要信号(雑音信号)に近似する
信号を形成して、前記不要信号を除去するように働く
が、参照入力が単一指向性のマイクロホンからの信号で
ある場合に比べて、適応フィルタ回路5では、その特性
差の補償動作の分だけ負担が重くなる。
【0052】図3の例は、この点を考慮したもので、減
算回路15の出力信号は、特性差の補償のためのイコラ
イザ回路23を介して適応雑音キャンセラー10の参照
入力端子2に供給される。その他の構成は、図1と全く
同様である。なお、イコライザ回路23は、デジタルフ
ィルタで構成することができる。
【0053】この例によれば、イコライザ回路23で周
波数、位相、振幅などの前記特性差が補償されるので、
その分だけ、適応雑音キャンセラー10の適応フィルタ
回路5の負担が軽くなり、良好に適応雑音低減動作が行
われ、高精度の超指向性マイクロホン装置を実現するこ
とができる。
【0054】なお、例えばカメラ一体型VTRのよう
に、希望音声方向が定まっている場合には、FIRフィ
ルタ回路21には、例えば不揮発性メモリからフィルタ
係数を供給するような構成とし、工場での製造工程にお
いて、図2のようにして同定用信号を希望音声方向から
入射させると共に、適応動作を行って、最適なフィルタ
係数を求め、求めた最適のフィルタ係数をその不揮発性
メモリに記憶することで、目的のマイクロホン装置を実
現することができる。
【0055】また、フィルタ係数演算供給回路22をフ
ィルタ係数のレジスタと、フィルタ係数演算回路とに分
離すると、このフィルタ係数演算回路22のフィルタ係
数演算回路の部分は、マイクロコンピュータにより構成
できることは前述した通りであり、適応雑音キャンセラ
ー10を構成するマイクロコンピュータに、そのフィル
タ係数演算回路の役割を持たせることが可能である。こ
のフィルタ係数演算供給回路22のフィルタ係数演算回
路は、前述もしたように、マイクロホン装置の使用に先
立ち動作し、あるいは、製造工程においてのみ動作する
ので、マイクロホン装置の適応雑音低減処理には、なん
ら負担とならない。
【0056】なお、フィルタ係数の更新のアルゴリズム
としては、上述のLMS法に限らず、例えば学習同程法
やその他のアルゴリズムを用いることができることはい
うまでもない。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、2個のマイクロホンの出力をフィルタ回路を介して
合成し、かつ、フィルタ回路のフィルタ係数を希望音声
方向を最小感度とするように決定しておくことにより、
参照入力として最適な単一指向性の出力信号を得ること
ができる。したがって、参照入力への希望音声の漏出を
押さえることができ、希望音声信号の劣化が少なく、よ
り精度の高い超指向性マイクロホン装置を実現すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるマイクロホン装置の一実施例の
ブロック図である。
【図2】図1の例の要部の動作の説明のための図であ
る。
【図3】この発明によるマイクロホン装置の他の実施例
のブロック図である。
【図4】適応雑音キャンセラーの概要を説明するための
図である。
【図5】適応フィルタ回路の一例のブロック図である。
【符号の説明】
11 第1のマイクロホン 12 第2のマイクロホン 15 減算回路 21 FIRフィルタ回路 22 フィルタ係数演算供給回路 23 イコライザ回路 100 適応型線形結合器 110 フィルタ係数演算手段
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年10月13日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるマイクロホン装置の一実施例の
ブロック図である。
【図2】図1の例の要部の動作の説明のための図であ
る。
【図3】この発明によるマイクロホン装置の他の実施例
のブロック図である。
【図4】適応雑音キャンセラーの概要を説明するための
図である。
【図5】マイクロホンの指向特性の一例を示す図であ
る。
【図6】 適応フィルタ回路の一例のブロック図である。
【符号の説明】 11 第1のマイクロホン 12 第2のマイクロホン 15 減算回路 21 FIRフィルタ回路 22 フィルタ係数演算供給回路 23 イコライザ回路 100 適応型線形結合器 110 フィルタ係数演算手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H04R 1/40 320 Z (72)発明者 行徳 薫 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1及び第2のマイクロホンと、 上記第1のマイクロホンの出力信号が供給されるフィル
    タ手段と、 上記第2のマイクロホンの出力信号から上記フィルタ手
    段の出力信号を減算する減算手段と、 主要入力信号に含まれる雑音成分を、参照入力信号に基
    づいて適応的に低減するようにする適応雑音キャンセラ
    ーとを備え、 上記フィルタ手段の特性は、作成したい指向性方向から
    同定用信号を入射して上記第1及び第2のマイクロホン
    で収音したときに、上記減算手段の出力がゼロになるよ
    うに同定した結果の特性とされ、 上記第1のマイクロホンの出力信号が上記主要入力信号
    として上記適応雑音キャンセラーに供給されると共に、
    上記減算手段の出力信号が参照入力として上記適応雑音
    キャンセラーに供給されたことを特徴とするマイクロホ
    ン装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のマイクロホン装置にお
    いて、 上記減算手段の出力がイコライザを介して参照入力とし
    て適応雑音キャンセラーに供給されることを特徴とする
    マイクロホン装置。
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