JP3433819B2 - 適応信号処理装置 - Google Patents
適応信号処理装置Info
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- JP3433819B2 JP3433819B2 JP9723593A JP9723593A JP3433819B2 JP 3433819 B2 JP3433819 B2 JP 3433819B2 JP 9723593 A JP9723593 A JP 9723593A JP 9723593 A JP9723593 A JP 9723593A JP 3433819 B2 JP3433819 B2 JP 3433819B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えばカメラ一体型
VTRの音声収音装置などに用いて好適な適応信号処理
装置に関する。
VTRの音声収音装置などに用いて好適な適応信号処理
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、この種の適応信号処理装置と
して、図6に示すような適応雑音キャンセラーが知られ
ている。
して、図6に示すような適応雑音キャンセラーが知られ
ている。
【0003】図6は、この適応雑音キャンセラーの基本
的構成を示すもので、1は主要入力端子、2は参照入力
端子である。主要入力端子1を通じて入力された主要入
力信号は遅延回路3を介して合成回路4に供給される。
また、参照入力端子2を通じて入力された参照入力信号
は、適応フィルタ回路5を介して合成回路4に供給さ
れ、遅延回路3からの信号から減算される。この合成回
路4の出力は、適応フィルタ回路5に帰還されると共
に、出力端子6に導出される。
的構成を示すもので、1は主要入力端子、2は参照入力
端子である。主要入力端子1を通じて入力された主要入
力信号は遅延回路3を介して合成回路4に供給される。
また、参照入力端子2を通じて入力された参照入力信号
は、適応フィルタ回路5を介して合成回路4に供給さ
れ、遅延回路3からの信号から減算される。この合成回
路4の出力は、適応フィルタ回路5に帰還されると共
に、出力端子6に導出される。
【0004】この適応雑音キャンセラーにおいては、主
要入力信号としては、希望信号sと、これと無相関の雑
音信号n0 とが加算されたものが入力される。一方、参
照入力信号としては、雑音信号n1 が入力される。参照
入力の雑音信号n1 は、希望信号sとは無相関である
が、雑音信号n0 とは相関があるようにされている。
要入力信号としては、希望信号sと、これと無相関の雑
音信号n0 とが加算されたものが入力される。一方、参
照入力信号としては、雑音信号n1 が入力される。参照
入力の雑音信号n1 は、希望信号sとは無相関である
が、雑音信号n0 とは相関があるようにされている。
【0005】適応フィルタ回路5は、参照入力雑音信号
n1 をフィルタリングして、雑音信号n0 に近似する信
号yを出力する。この場合は、適応フィルタ回路5にお
いては、所定の適応のアルゴリズムにより、合成回路4
の減算出力(残差出力)eのパワーが最小になるよう
に、参照入力雑音信号n1 のフィルタリングのフィルタ
係数を更新してゆく。
n1 をフィルタリングして、雑音信号n0 に近似する信
号yを出力する。この場合は、適応フィルタ回路5にお
いては、所定の適応のアルゴリズムにより、合成回路4
の減算出力(残差出力)eのパワーが最小になるよう
に、参照入力雑音信号n1 のフィルタリングのフィルタ
係数を更新してゆく。
【0006】この適応フィルタ回路5の出力信号yとし
て、雑音信号n0 と逆相、等振幅の信号を得るようにす
ることもできる。遅延回路3は、適応フィルタ回路5で
の演算処理に要する時間遅れや適応フィルタでの伝播時
間その他を補償して、減算処理する信号との時間合わせ
をするためのものである。
て、雑音信号n0 と逆相、等振幅の信号を得るようにす
ることもできる。遅延回路3は、適応フィルタ回路5で
の演算処理に要する時間遅れや適応フィルタでの伝播時
間その他を補償して、減算処理する信号との時間合わせ
をするためのものである。
【0007】以下に、適応雑音キャンセラーの原理につ
いて説明する。
いて説明する。
【0008】今、希望信号s,雑音n0 ,雑音n1 ,出
力信号yが統計的に定常であり、平均値がゼロであると
仮定すると残差出力eは、 e=s+n0 −y となる。これを二乗したものの期待値は、希望信号sが
雑音n0 及び出力yと無相関であるから、 E[e2 ]=E[s2 ]+E[(n0 −y)2 ] +2E[s(n0 −y)] =E[s2 ]+E[(n0 −y)2 ] となる。
力信号yが統計的に定常であり、平均値がゼロであると
仮定すると残差出力eは、 e=s+n0 −y となる。これを二乗したものの期待値は、希望信号sが
雑音n0 及び出力yと無相関であるから、 E[e2 ]=E[s2 ]+E[(n0 −y)2 ] +2E[s(n0 −y)] =E[s2 ]+E[(n0 −y)2 ] となる。
【0009】適応フィルタ回路5が収束するものとすれ
ば、この適応フィルタ回路5は、E[e2 ]が最小にな
るように、フィルタ係数を更新するものである。このと
き、E[s2 ]は影響を受けないので、 Emin [e2 ]=E[s2 ] +Emin [(n0 −y)2 ] となる。
ば、この適応フィルタ回路5は、E[e2 ]が最小にな
るように、フィルタ係数を更新するものである。このと
き、E[s2 ]は影響を受けないので、 Emin [e2 ]=E[s2 ] +Emin [(n0 −y)2 ] となる。
【0010】すなわち、E[e2 ]が最小化されること
によってE[(n0 −y)2 ]が最小化され、適応フィ
ルタ回路5の出力yは、雑音信号n0 の推定量になる。
そして、合成回路4からの出力の期待値は、希望信号s
のみとなる。すなわち、適応フィルタ回路5を調整して
全出力パワーを最小化することは、減算出力eが、希望
音声信号sの最小二乗推定値になることに等しい。
によってE[(n0 −y)2 ]が最小化され、適応フィ
ルタ回路5の出力yは、雑音信号n0 の推定量になる。
そして、合成回路4からの出力の期待値は、希望信号s
のみとなる。すなわち、適応フィルタ回路5を調整して
全出力パワーを最小化することは、減算出力eが、希望
音声信号sの最小二乗推定値になることに等しい。
【0011】出力eは、一般に、信号sに多少の雑音が
残ったものになるが、出力雑音は(n0 −y)で与えら
れるからE[(n0 −y)2 ]を最小化することは、出
力の信号対雑音比を最大化することに等しい。
残ったものになるが、出力雑音は(n0 −y)で与えら
れるからE[(n0 −y)2 ]を最小化することは、出
力の信号対雑音比を最大化することに等しい。
【0012】合成回路4が音響合成手段となる場合もあ
る。すなわち、適応フィルタ回路5で、雑音と逆相、等
振幅の雑音打ち消し音声信号−yを形成し、これをスピ
ーカなどに供給して、主要音声に音響的に加算して雑音
を低減する構成とする。この場合の残差eは、残差検出
用マイクロホンで収音することとなる。
る。すなわち、適応フィルタ回路5で、雑音と逆相、等
振幅の雑音打ち消し音声信号−yを形成し、これをスピ
ーカなどに供給して、主要音声に音響的に加算して雑音
を低減する構成とする。この場合の残差eは、残差検出
用マイクロホンで収音することとなる。
【0013】なお、適応フィルタ回路5はアナログ信号
処理回路で実現する場合とデジタル信号処理回路で実現
する場合の、いずれでも可能であるが、一般的には、D
SP(デジタルシグナルプロセッサ)を用いたデジタル
処理回路の構成とされる。デジタル処理回路の構成とし
た場合の適応フィルタ回路5の一例の構成を図7に示
す。
処理回路で実現する場合とデジタル信号処理回路で実現
する場合の、いずれでも可能であるが、一般的には、D
SP(デジタルシグナルプロセッサ)を用いたデジタル
処理回路の構成とされる。デジタル処理回路の構成とし
た場合の適応フィルタ回路5の一例の構成を図7に示
す。
【0014】適応フィルタ回路5は、この例において
は、FIRフィルタ型の適応型線形結合器100と、フ
ィルタ係数更新演算手段110とからなっている。この
適応フィルタ回路5は、マイクロコンピュータを搭載す
るDSPにより、ソフトウエアとして構成することがで
きる。フィルタ係数の更新のアルゴリズムは、この例で
は、計算量が少なく、実用的であるため多用されている
LMS(Least Mean Squares;最小平均自乗)法を用い
た場合として説明する。
は、FIRフィルタ型の適応型線形結合器100と、フ
ィルタ係数更新演算手段110とからなっている。この
適応フィルタ回路5は、マイクロコンピュータを搭載す
るDSPにより、ソフトウエアとして構成することがで
きる。フィルタ係数の更新のアルゴリズムは、この例で
は、計算量が少なく、実用的であるため多用されている
LMS(Least Mean Squares;最小平均自乗)法を用い
た場合として説明する。
【0015】LMS法について、図7を参照しながら説
明する。図7に示すように、適応型線形結合器100
は、それぞれ単位サンプリング時間の遅延時間Z-1を有
する複数個の遅延回路DL1,DL2,……DLm(m
は正の整数)と、入力雑音n1 及び各遅延回路DL1,
DL2,……DLmの出力信号と加重係数(フィルタ係
数)との掛け算を行う加重回路MX0,MX1,MX
2,……MXmと、加重回路MX0〜MXmの出力を加
算する加算回路101を備える。加算回路101の出力
は、図6で説明した信号yである。
明する。図7に示すように、適応型線形結合器100
は、それぞれ単位サンプリング時間の遅延時間Z-1を有
する複数個の遅延回路DL1,DL2,……DLm(m
は正の整数)と、入力雑音n1 及び各遅延回路DL1,
DL2,……DLmの出力信号と加重係数(フィルタ係
数)との掛け算を行う加重回路MX0,MX1,MX
2,……MXmと、加重回路MX0〜MXmの出力を加
算する加算回路101を備える。加算回路101の出力
は、図6で説明した信号yである。
【0016】加重回路MX0〜MXmに供給する加重係
数は、フィルタ係数演算回路110で、LMSアルゴリ
ズムにより、合成回路4からの残差信号eと、参照入力
n1とに基づいて形成される。このフィルタ係数演算回
路110で実行されるアルゴリズムは、次のようにな
る。
数は、フィルタ係数演算回路110で、LMSアルゴリ
ズムにより、合成回路4からの残差信号eと、参照入力
n1とに基づいて形成される。このフィルタ係数演算回
路110で実行されるアルゴリズムは、次のようにな
る。
【0017】今、時刻k における入力ベクトルXk を、
図7にも示すように、 Xk =[x0k x1k x2k ・・・xmk]T とし、出力をyk 、加重係数をwjk(j=0,1,2,…m )と
すると、入出力の関係は、次の数1に示すように、
図7にも示すように、 Xk =[x0k x1k x2k ・・・xmk]T とし、出力をyk 、加重係数をwjk(j=0,1,2,…m )と
すると、入出力の関係は、次の数1に示すように、
【0018】
【数1】
となる。
【0019】そして、時刻k における加重ベクトルWk
を、 Wk =[w0k w1k w2k ・・・wmk]T と定義すれば、入出力関係は、 yk =Xk T ・Wk … (1) で与えられる。ここで、希望の応答をdk とすれば、残
差ek は、 ek =dk −yk =dk −Xk T ・Wk …(2) で表される。
を、 Wk =[w0k w1k w2k ・・・wmk]T と定義すれば、入出力関係は、 yk =Xk T ・Wk … (1) で与えられる。ここで、希望の応答をdk とすれば、残
差ek は、 ek =dk −yk =dk −Xk T ・Wk …(2) で表される。
【0020】LMS法では、加重ベクトルの更新を、
Wk+1 =Wk +2μ・ek ・Xk … (3)
なる式(3)により順次行っていく。加重係数の初期値
は、一定値あるいはランダムな値に設定される。ここ
で、μは適応の速度と安定性を決める利得因子(ステッ
プゲイン)である。
は、一定値あるいはランダムな値に設定される。ここ
で、μは適応の速度と安定性を決める利得因子(ステッ
プゲイン)である。
【0021】上記式(3)において、ある時点k での係
数ベクトルWk を修正するベクトルが、式(3)の右辺
の第2項であるが、利得因子μと瞬時誤差ek とはスカ
ラー値で、ともに修正値を直接左右する。同じく参照入
力ベクトルXk も積の形で働くので、これも修正値を左
右する。平均的な収束の時定数τa は、 τa =(n+1)/4μ・trE〔Xi Xj T 〕 で表される。ここで、nは参照入力ベクトルの次数(F
IRフィルタのタップ数に対応)、trE〔Xi Xj T 〕
は参照入力の平均パワーである。つまり、FIRフィル
タのタップ数が大きいほど収束速度は遅くなり、利得因
子μが大きいほど収束速度が速くなる。雑音が定常的な
信号の場合、収束速度が速いと最終的な残留雑音レベル
が大きく、逆に収束が緩慢であると最終的な雑音レベル
が小さくなる。
数ベクトルWk を修正するベクトルが、式(3)の右辺
の第2項であるが、利得因子μと瞬時誤差ek とはスカ
ラー値で、ともに修正値を直接左右する。同じく参照入
力ベクトルXk も積の形で働くので、これも修正値を左
右する。平均的な収束の時定数τa は、 τa =(n+1)/4μ・trE〔Xi Xj T 〕 で表される。ここで、nは参照入力ベクトルの次数(F
IRフィルタのタップ数に対応)、trE〔Xi Xj T 〕
は参照入力の平均パワーである。つまり、FIRフィル
タのタップ数が大きいほど収束速度は遅くなり、利得因
子μが大きいほど収束速度が速くなる。雑音が定常的な
信号の場合、収束速度が速いと最終的な残留雑音レベル
が大きく、逆に収束が緩慢であると最終的な雑音レベル
が小さくなる。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】上述したような適応雑
音キャンセラーにおいては、通常、可聴周波数の全範囲
の雑音を対象にするため、適応フィルタ回路のFIRフ
ィルタの収束にある程度の時間が必要であった。このた
め、雑音が定常的な信号の場合には、効果的に雑音低減
することができるが、対象とする雑音信号が非定常の信
号、例えば音声のように周波数特性が刻一刻と変化する
ような信号の場合には、収束しきる前にその性質が変化
してしまうため、処理が適応しきれず、結果的に不要信
号を低減できないという不都合を生じる。
音キャンセラーにおいては、通常、可聴周波数の全範囲
の雑音を対象にするため、適応フィルタ回路のFIRフ
ィルタの収束にある程度の時間が必要であった。このた
め、雑音が定常的な信号の場合には、効果的に雑音低減
することができるが、対象とする雑音信号が非定常の信
号、例えば音声のように周波数特性が刻一刻と変化する
ような信号の場合には、収束しきる前にその性質が変化
してしまうため、処理が適応しきれず、結果的に不要信
号を低減できないという不都合を生じる。
【0023】上述したように、ステップゲインμを大き
くすれば、適応の収束速度を速くすることができるが、
主要入力中の希望音声と参照入力とを完全に無相関にす
ることは、一般的には困難であるので、ステップゲイン
μを大きくすると、適応処理により、雑音だけでなく、
希望信号も影響を受け、出力信号としての希望信号が歪
んでしまうという不都合を生じる。
くすれば、適応の収束速度を速くすることができるが、
主要入力中の希望音声と参照入力とを完全に無相関にす
ることは、一般的には困難であるので、ステップゲイン
μを大きくすると、適応処理により、雑音だけでなく、
希望信号も影響を受け、出力信号としての希望信号が歪
んでしまうという不都合を生じる。
【0024】この発明は、以上の点にかんがみ、希望信
号に歪みを生じることなく、音声などの非定常の信号に
対しても低減量を大きくすることができる適応信号処理
装置を提供することを目的とする。
号に歪みを生じることなく、音声などの非定常の信号に
対しても低減量を大きくすることができる適応信号処理
装置を提供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、この発明による適応信号処理装置は、希望音声と雑
音信号とを含む主要入力信号中の雑音信号と相関のある
雑音信号が参照入力信号として供給されるアナログ回路
構成のゲイン調整回路と、前記主要入力信号から前記ゲ
イン調整回路の出力信号を減算処理する第1の合成手段
と、前記主要入力信号の低域成分のみを抽出する第1の
帯域制限手段と、前記第1の帯域制限手段と同一の周波
数特性を有し、前記参照入力信号の低域成分のみを抽出
する第2の帯域制限手段と、前記第2の帯域制限手段の
出力信号が供給される適応フィルタ手段と、前記第1の
帯域制限手段の出力信号から前記適応フィルタ手段の出
力信号を減算処理する第2の合成手段と、前記第2の合
成手段の出力パワーを最小化するように、前記適応フィ
ルタ手段の加重係数を適応的に更新すると共に、求めら
れた前記適応フィルタ手段の加重係数の値に対応して前
記ゲイン調整回路のゲインを制御する制御手段と、を備
えることを特徴とする。
め、この発明による適応信号処理装置は、希望音声と雑
音信号とを含む主要入力信号中の雑音信号と相関のある
雑音信号が参照入力信号として供給されるアナログ回路
構成のゲイン調整回路と、前記主要入力信号から前記ゲ
イン調整回路の出力信号を減算処理する第1の合成手段
と、前記主要入力信号の低域成分のみを抽出する第1の
帯域制限手段と、前記第1の帯域制限手段と同一の周波
数特性を有し、前記参照入力信号の低域成分のみを抽出
する第2の帯域制限手段と、前記第2の帯域制限手段の
出力信号が供給される適応フィルタ手段と、前記第1の
帯域制限手段の出力信号から前記適応フィルタ手段の出
力信号を減算処理する第2の合成手段と、前記第2の合
成手段の出力パワーを最小化するように、前記適応フィ
ルタ手段の加重係数を適応的に更新すると共に、求めら
れた前記適応フィルタ手段の加重係数の値に対応して前
記ゲイン調整回路のゲインを制御する制御手段と、を備
えることを特徴とする。
【0026】
【作用】上記の構成のこの発明によれば、適応フィルタ
手段では、帯域制限された参照入力信号から主要入力信
号中の雑音に近似する信号を形成するように加重係数
(フィルタ係数)が更新される。この適応フィルタ手段
における適応処理で決定される加重係数の値に対応して
ゲイン調整回路のゲインが制御される。第1の合成手段
では、ゲイン調整回路の出力が主要入力信号から減算さ
れる。この第1の合成手段の出力信号がシステム出力と
して導出される。
手段では、帯域制限された参照入力信号から主要入力信
号中の雑音に近似する信号を形成するように加重係数
(フィルタ係数)が更新される。この適応フィルタ手段
における適応処理で決定される加重係数の値に対応して
ゲイン調整回路のゲインが制御される。第1の合成手段
では、ゲイン調整回路の出力が主要入力信号から減算さ
れる。この第1の合成手段の出力信号がシステム出力と
して導出される。
【0027】
【実施例】以下、図を参照しながら、この発明による適
応型雑音低減システムの一実施例について説明する。図
1〜図4は、この発明の実施例を、より理解し易くする
ための説明のための構成図である。図5は、この発明に
よる実施例を示す図である。
応型雑音低減システムの一実施例について説明する。図
1〜図4は、この発明の実施例を、より理解し易くする
ための説明のための構成図である。図5は、この発明に
よる実施例を示す図である。
【0028】図1において、11は希望音声を収音する
ための主要入力用マイクロホン、21は雑音として除去
したい方向の不要音声や周囲騒音を収音するための参照
入力用マイクロホンである。この例は、希望音声の到来
方向は、主として、図2において矢印ARで示すよう
に、図上、上方から下方に向かう方向であり、カメラ一
体型VTRでは正面方向となる。そして、この例は、こ
の方向と逆方向(背面方向)からの音声を雑音として収
音しないようにする装置を実現する例である。
ための主要入力用マイクロホン、21は雑音として除去
したい方向の不要音声や周囲騒音を収音するための参照
入力用マイクロホンである。この例は、希望音声の到来
方向は、主として、図2において矢印ARで示すよう
に、図上、上方から下方に向かう方向であり、カメラ一
体型VTRでは正面方向となる。そして、この例は、こ
の方向と逆方向(背面方向)からの音声を雑音として収
音しないようにする装置を実現する例である。
【0029】この例の場合には、主要入力用マイクロホ
ン11は、図2に示すような無指向性のマイクロホンで
構成される。一方、参照入力用マイクロホン21は、図
2に示すように、希望音声到来方向に感度が低く、背面
方向に感度が高い単一指向性のマイクロホンで構成され
る。また、この例の場合においては、これらマイクロホ
ン11、21は、矢印ARの方向に沿って近接して並べ
られる。
ン11は、図2に示すような無指向性のマイクロホンで
構成される。一方、参照入力用マイクロホン21は、図
2に示すように、希望音声到来方向に感度が低く、背面
方向に感度が高い単一指向性のマイクロホンで構成され
る。また、この例の場合においては、これらマイクロホ
ン11、21は、矢印ARの方向に沿って近接して並べ
られる。
【0030】そして、主要入力用マイクロホン11によ
り収音され、電気信号に変換されて得られた音声信号
は、可聴周波数帯域の全帯域用のA/Dコンバータ12
に供給されて、デジタル信号に変換される。また、参照
入力用マイクロホン21により収音され、電気信号に変
換されて得られた音声信号は、可聴周波数帯域の全帯域
用のA/Dコンバータ22に供給されて、デジタル信号
に変換される。この場合、A/Dコンバータ12及び2
2でのサンプリング周波数(標本化周波数)は、可聴周
波数帯域の全帯域をカバーするように、48kHzとさ
れる。
り収音され、電気信号に変換されて得られた音声信号
は、可聴周波数帯域の全帯域用のA/Dコンバータ12
に供給されて、デジタル信号に変換される。また、参照
入力用マイクロホン21により収音され、電気信号に変
換されて得られた音声信号は、可聴周波数帯域の全帯域
用のA/Dコンバータ22に供給されて、デジタル信号
に変換される。この場合、A/Dコンバータ12及び2
2でのサンプリング周波数(標本化周波数)は、可聴周
波数帯域の全帯域をカバーするように、48kHzとさ
れる。
【0031】そして、A/Dコンバータ12の出力デジ
タル信号は減算回路13に供給される。また、A/Dコ
ンバータ22の出力デジタル信号は、図7に示した適応
型線形結合器(FIRフィルタ)23に供給される。こ
の適応型線形結合器23の加重係数(フィルタ係数)
は、フィルタ係数演算回路35から供給されるが、その
フィルタ係数の値は、後述のようにして求められる。
タル信号は減算回路13に供給される。また、A/Dコ
ンバータ22の出力デジタル信号は、図7に示した適応
型線形結合器(FIRフィルタ)23に供給される。こ
の適応型線形結合器23の加重係数(フィルタ係数)
は、フィルタ係数演算回路35から供給されるが、その
フィルタ係数の値は、後述のようにして求められる。
【0032】適応型線形結合器23の出力信号は、A/
Dコンバータ12の出力信号中の雑音信号としての不要
信号に近似した信号となり、これが減算回路13に供給
されて、A/Dコンバータ12の出力信号から減算され
る。この減算回路13の出力信号は、サンプリング周波
数が48kHzのD/Aコンバータ14に供給されて、
アナログ信号に戻され、出力端子15にシステム出力と
して導出される。
Dコンバータ12の出力信号中の雑音信号としての不要
信号に近似した信号となり、これが減算回路13に供給
されて、A/Dコンバータ12の出力信号から減算され
る。この減算回路13の出力信号は、サンプリング周波
数が48kHzのD/Aコンバータ14に供給されて、
アナログ信号に戻され、出力端子15にシステム出力と
して導出される。
【0033】適応型線形結合器23のフィルタ係数は、
次のようにしてフィルタ係数演算回路35において決定
される。すなわち、A/Dコンバータ12からの主要入
力信号のデジタル信号は、例えばカットオフ周波数が2
50Hzのデジタルローパスフィルタ31に供給され
て、帯域制限され、減算回路32に供給される。また、
A/Dコンバータ22からの参照入力信号のデジタル信
号は、同じくカットオフ周波数が250Hzのデジタル
ローパスフィルタ33に供給されて、帯域制限されて適
応型線形結合器34及びフィルタ係数演算回路35に供
給される。
次のようにしてフィルタ係数演算回路35において決定
される。すなわち、A/Dコンバータ12からの主要入
力信号のデジタル信号は、例えばカットオフ周波数が2
50Hzのデジタルローパスフィルタ31に供給され
て、帯域制限され、減算回路32に供給される。また、
A/Dコンバータ22からの参照入力信号のデジタル信
号は、同じくカットオフ周波数が250Hzのデジタル
ローパスフィルタ33に供給されて、帯域制限されて適
応型線形結合器34及びフィルタ係数演算回路35に供
給される。
【0034】ローパスフィルタ31及び33は、A/D
コンバータ12及び22の出力デジタル信号から、適
宜、カットオフ周波数に応じてサンプルを間引き処理す
ることにより実現できる。このローパスフィルタ31及
び33の出力信号のサンプリング周波数(標本化周波
数)は、250Hzまでの帯域を再現することが可能な
周波数、つまりカットオフ周波数(制限された帯域の最
高周波数)の2倍以上の周波数で、例えば600Hzと
される。
コンバータ12及び22の出力デジタル信号から、適
宜、カットオフ周波数に応じてサンプルを間引き処理す
ることにより実現できる。このローパスフィルタ31及
び33の出力信号のサンプリング周波数(標本化周波
数)は、250Hzまでの帯域を再現することが可能な
周波数、つまりカットオフ周波数(制限された帯域の最
高周波数)の2倍以上の周波数で、例えば600Hzと
される。
【0035】適応型線形結合器34は、ローパスフィル
タ33の出力信号から、ローパスフィルタ31の出力中
の不要信号に近似する信号を形成する。そして、減算回
路32において、適応型線形結合器34の出力信号が、
ローパスフィルタ31からの信号から減算され、その減
算出力がフィルタ係数演算回路35に供給される。
タ33の出力信号から、ローパスフィルタ31の出力中
の不要信号に近似する信号を形成する。そして、減算回
路32において、適応型線形結合器34の出力信号が、
ローパスフィルタ31からの信号から減算され、その減
算出力がフィルタ係数演算回路35に供給される。
【0036】そして、前述したように、フィルタ係数演
算回路35では、ローパスフィルタ33の出力信号と、
減算回路32からの減算出力(残差信号)とから、残差
信号の出力パワーが最小になるように、適応型線形結合
器34に供給するフィルタ係数の更新値を決定する。決
定されたフィルタ係数は、適応型線形結合器23にも、
そのフィルタ係数として供給される。
算回路35では、ローパスフィルタ33の出力信号と、
減算回路32からの減算出力(残差信号)とから、残差
信号の出力パワーが最小になるように、適応型線形結合
器34に供給するフィルタ係数の更新値を決定する。決
定されたフィルタ係数は、適応型線形結合器23にも、
そのフィルタ係数として供給される。
【0037】この場合に、フィルタ係数演算回路35で
求められたフィルタ係数は、適応型線形結合器34に供
給されるものであるので、サンプリング周波数が600
Hzと低く、単位時間当たりの標本数が少ないデジタル
信号に対応している。したがって、このままでは、サン
プリング周波数が48kHzで、単位時間当たりの標本
数の多い適応型線形結合器23での取扱い信号に適合し
ない。このため、適応型線形結合器23に供給されるフ
ィルタ係数は、前記のようにして求められた係数値に対
して補間処理(例えば前値ホールド)が施されて、48
kHzのサンプリング周波数に対応するようにされてい
る。
求められたフィルタ係数は、適応型線形結合器34に供
給されるものであるので、サンプリング周波数が600
Hzと低く、単位時間当たりの標本数が少ないデジタル
信号に対応している。したがって、このままでは、サン
プリング周波数が48kHzで、単位時間当たりの標本
数の多い適応型線形結合器23での取扱い信号に適合し
ない。このため、適応型線形結合器23に供給されるフ
ィルタ係数は、前記のようにして求められた係数値に対
して補間処理(例えば前値ホールド)が施されて、48
kHzのサンプリング周波数に対応するようにされてい
る。
【0038】なお、図1において、実線で囲んで示す適
応型線形結合器23及び34と、フィルタ係数演算回路
35の部分は、マイクロコンピュータを備えるDSP
(デジタルシグナルプロセッサ)により構成することが
できる。
応型線形結合器23及び34と、フィルタ係数演算回路
35の部分は、マイクロコンピュータを備えるDSP
(デジタルシグナルプロセッサ)により構成することが
できる。
【0039】このような構成にすれば、マイクロホン2
1の指向特性から、その収音音声には、希望音の成分は
殆ど含まれず、このためマイクロホン21からの参照入
力信号は、マイクロホン11の出力(主要入力)中の希
望音とは無相関の信号となり、主要入力中の不要信号
(雑音成分)と相関を有する信号となる。
1の指向特性から、その収音音声には、希望音の成分は
殆ど含まれず、このためマイクロホン21からの参照入
力信号は、マイクロホン11の出力(主要入力)中の希
望音とは無相関の信号となり、主要入力中の不要信号
(雑音成分)と相関を有する信号となる。
【0040】したがって、適応型線形結合器23から得
られる信号は、主要入力中の不要信号に近似する信号で
あり、これが減算回路13において、主要入力から減算
されるので、減算回路13からは希望信号成分のみが得
られる。すなわち、主要入力中に含まれる不要信号成分
は適応的にキャンセルされ、出力端子15には希望音信
号のみが得られるものである。
られる信号は、主要入力中の不要信号に近似する信号で
あり、これが減算回路13において、主要入力から減算
されるので、減算回路13からは希望信号成分のみが得
られる。すなわち、主要入力中に含まれる不要信号成分
は適応的にキャンセルされ、出力端子15には希望音信
号のみが得られるものである。
【0041】以上のようにして、適応雑音キャンセラー
を用いて、参照入力用の単一指向性マイクロホン21の
感度最小の方向に対して鋭い指向性を持つ超指向性のマ
イクロホン装置を実現することができる。
を用いて、参照入力用の単一指向性マイクロホン21の
感度最小の方向に対して鋭い指向性を持つ超指向性のマ
イクロホン装置を実現することができる。
【0042】そして、上記の例では、適応型線形結合器
34を含む適応雑音キャンセラーで取り扱う信号は、主
要入力及び参照入力を帯域制限したことにより、可聴周
波数帯域全体の信号に比べて、より定常の信号として扱
うことができる。しかも、一般に人声信号は、低域側に
パワーが集中している。このため、ローパスフィルタ3
1及び33により主要入力及び参照入力を帯域制限し
て、そのパワーの大きい成分に対して適応処理を施す
と、前述したように、適応処理は、パワーの大きい信号
に対して有効かつ迅速に働くので、この適応型線形結合
器34を含む適応雑音キャンセラーの系は、適応の収束
速度が速くなると共に、雑音低減量も大きくなる。
34を含む適応雑音キャンセラーで取り扱う信号は、主
要入力及び参照入力を帯域制限したことにより、可聴周
波数帯域全体の信号に比べて、より定常の信号として扱
うことができる。しかも、一般に人声信号は、低域側に
パワーが集中している。このため、ローパスフィルタ3
1及び33により主要入力及び参照入力を帯域制限し
て、そのパワーの大きい成分に対して適応処理を施す
と、前述したように、適応処理は、パワーの大きい信号
に対して有効かつ迅速に働くので、この適応型線形結合
器34を含む適応雑音キャンセラーの系は、適応の収束
速度が速くなると共に、雑音低減量も大きくなる。
【0043】そして、この系のフィルタ係数が、適応型
線形結合器23のフィルタ係数としても利用されるか
ら、出力端子15に得られるシステム出力も雑音低減量
が大きくなる。
線形結合器23のフィルタ係数としても利用されるか
ら、出力端子15に得られるシステム出力も雑音低減量
が大きくなる。
【0044】また、適応型線形結合器34及びフィルタ
係数演算回路35は、制限された帯域に対応するもので
よいため、取り扱う標本数が少なくなり、低速のDSP
で実現することができ、汎用のマイクロプロセッサを用
いることが可能になる。適応型線形結合器23には、フ
ィルタ係数をコピーするだけであるので、適応型線形結
合器23も同様に構成することができ、システム全体し
ての構成が簡単になり、ハードウエアの規模が小さくな
り、また、コストの削減が計れる。
係数演算回路35は、制限された帯域に対応するもので
よいため、取り扱う標本数が少なくなり、低速のDSP
で実現することができ、汎用のマイクロプロセッサを用
いることが可能になる。適応型線形結合器23には、フ
ィルタ係数をコピーするだけであるので、適応型線形結
合器23も同様に構成することができ、システム全体し
ての構成が簡単になり、ハードウエアの規模が小さくな
り、また、コストの削減が計れる。
【0045】以上のようにして、上述の例の構成によれ
ば、音声などの非定常の信号に対する適応動作が従来の
適応雑音低減システムよりも速くなり、その結果、雑音
低減量が大きくなる。
ば、音声などの非定常の信号に対する適応動作が従来の
適応雑音低減システムよりも速くなり、その結果、雑音
低減量が大きくなる。
【0046】図3は、上述の例の場合の効果を実験によ
り確認した結果を示す図で、希望信号として正面方向か
ら女性の音声が到来し、雑音として除去する不要音声と
して側方から男性の音声が到来した場合の、従来システ
ムと、以上説明した例のシステムとのシステム出力の比
較を示すものである。
り確認した結果を示す図で、希望信号として正面方向か
ら女性の音声が到来し、雑音として除去する不要音声と
して側方から男性の音声が到来した場合の、従来システ
ムと、以上説明した例のシステムとのシステム出力の比
較を示すものである。
【0047】図3Aは、側方からの男性音声のみの波
形、図3Bは、従来の適応雑音低減システムで、この側
方からの男性の音声の低減除去を行ったときの出力波
形、図3Cは、この発明の装置で、この側方からの男性
の音声の低減除去を行ったときの出力波形、のそれぞれ
について、音声の立ち上がりの部分を切り出したもので
ある。この図3から、この発明の装置によれば、従来の
システムに比して、素早く適応し不要音声が低減されて
いる様子を観察することができる。因みに、図3Aの男
性音声の従来システムによる低減量は、−13.0d
B、この発明の装置による低減量は、−16.3dBで
あった。
形、図3Bは、従来の適応雑音低減システムで、この側
方からの男性の音声の低減除去を行ったときの出力波
形、図3Cは、この発明の装置で、この側方からの男性
の音声の低減除去を行ったときの出力波形、のそれぞれ
について、音声の立ち上がりの部分を切り出したもので
ある。この図3から、この発明の装置によれば、従来の
システムに比して、素早く適応し不要音声が低減されて
いる様子を観察することができる。因みに、図3Aの男
性音声の従来システムによる低減量は、−13.0d
B、この発明の装置による低減量は、−16.3dBで
あった。
【0048】図1の例では、帯域制限用のローパスフィ
ルタをデジタル処理回路(例えば間引き処理回路)で構
成したが、帯域制限回路はアナログ回路とすることもで
きる。図4は、その場合の一実施例のブロック図であ
る。
ルタをデジタル処理回路(例えば間引き処理回路)で構
成したが、帯域制限回路はアナログ回路とすることもで
きる。図4は、その場合の一実施例のブロック図であ
る。
【0049】すなわち、この例においては、主要入力用
マイクロホン11の出力信号はカットオフ周波数が25
0Hzのローパスフィルタ41を介してA/Dコンバー
タ42に供給される。そして、このA/Dコンバータ4
2において、サンプリング周波数600Hzでサンプリ
ングされ、そのサンプリング値がデジタル信号に変換さ
れ、減算回路32に供給される。
マイクロホン11の出力信号はカットオフ周波数が25
0Hzのローパスフィルタ41を介してA/Dコンバー
タ42に供給される。そして、このA/Dコンバータ4
2において、サンプリング周波数600Hzでサンプリ
ングされ、そのサンプリング値がデジタル信号に変換さ
れ、減算回路32に供給される。
【0050】また、参照入力用マイクロホン21の出力
信号は同じく250Hzのローパスフィルタ43を介し
てA/Dコンバータ44に供給され、サンプリング周波
数600Hzでサンプリングされ、そのサンプリング値
がデジタル信号に変換される。そして、A/Dコンバー
タ44の出力デジタル信号が適応型線形結合器34及び
フィルタ係数演算回路35に供給される。その他の構成
は、図1の例と全く同様である。
信号は同じく250Hzのローパスフィルタ43を介し
てA/Dコンバータ44に供給され、サンプリング周波
数600Hzでサンプリングされ、そのサンプリング値
がデジタル信号に変換される。そして、A/Dコンバー
タ44の出力デジタル信号が適応型線形結合器34及び
フィルタ係数演算回路35に供給される。その他の構成
は、図1の例と全く同様である。
【0051】なお、D/Aコンバータ14を省いて、減
算回路13の出力信号をデジタル信号のままで出力端子
15に導出するようにしてもよい。
算回路13の出力信号をデジタル信号のままで出力端子
15に導出するようにしてもよい。
【0052】図5は、この発明の実施例である。この例
においては、帯域制限して適応処理を行い、適応型線形
結合器34のフィルタ係数をフィルタ係数演算回路35
で求めるのは、図1あるいは図4の例と同様である(図
5では、図4の例に対応している)が、全帯域の信号処
理は、アナログ信号のままで行うものである。
においては、帯域制限して適応処理を行い、適応型線形
結合器34のフィルタ係数をフィルタ係数演算回路35
で求めるのは、図1あるいは図4の例と同様である(図
5では、図4の例に対応している)が、全帯域の信号処
理は、アナログ信号のままで行うものである。
【0053】すなわち、マイクロホン11からの主要入
力信号は、帯域制限用のローパスフィルタ41に供給さ
れると共に、デジタル信号に変換されずに、減算回路1
6に供給される。また、マイクロホン21からの参照入
力信号は、帯域制限用のローパスフィルタ43に供給さ
れると共に、デジタル信号に変換されずに、アナログ構
成のゲイン調整回路24に供給される。そして、このゲ
イン調整回路24の出力信号が減算回路16に供給さ
れ、減算回路16から出力端子17が導出されて、この
出力端子17にシステム出力が得られるようにされる。
力信号は、帯域制限用のローパスフィルタ41に供給さ
れると共に、デジタル信号に変換されずに、減算回路1
6に供給される。また、マイクロホン21からの参照入
力信号は、帯域制限用のローパスフィルタ43に供給さ
れると共に、デジタル信号に変換されずに、アナログ構
成のゲイン調整回路24に供給される。そして、このゲ
イン調整回路24の出力信号が減算回路16に供給さ
れ、減算回路16から出力端子17が導出されて、この
出力端子17にシステム出力が得られるようにされる。
【0054】この例の場合には、主要及び参照の入力信
号の低域成分用の適応型線形結合器34の各タップの加
重係数の値と、ゲイン調整回路24のゲインの値とが、
予め特定のルールで関係付けられており、フィルタ係数
演算回路35は、求めた加重係数に応じてゲイン調整回
路24のゲイン値を制御する。フィルタ係数演算回路3
5には、例えば適応型線形結合器34の各タップの加重
係数の値と、ゲイン調整回路24のゲインの値との対応
テーブルが用意されている。
号の低域成分用の適応型線形結合器34の各タップの加
重係数の値と、ゲイン調整回路24のゲインの値とが、
予め特定のルールで関係付けられており、フィルタ係数
演算回路35は、求めた加重係数に応じてゲイン調整回
路24のゲイン値を制御する。フィルタ係数演算回路3
5には、例えば適応型線形結合器34の各タップの加重
係数の値と、ゲイン調整回路24のゲインの値との対応
テーブルが用意されている。
【0055】この例においては、上述と同様の効果が得
られると共に、主要及び参照の全帯域の信号は、アナロ
グ信号処理とされ、デジタルフィルタに代えて、ゲイン
調整回路が用いられることで、さらにハードウエアの規
模の削減とコスト削減が可能になる。
られると共に、主要及び参照の全帯域の信号は、アナロ
グ信号処理とされ、デジタルフィルタに代えて、ゲイン
調整回路が用いられることで、さらにハードウエアの規
模の削減とコスト削減が可能になる。
【0056】なお、以上の例では、主要入力信号及び参
照入力信号を帯域制限するに当たって、ローパスフィル
タを使用したが、例えば上述の例において、100Hz
以下を対象外とするようにバンドパスフィルタを使用す
ることもできる。要は、適応信号処理の対象信号の、例
えばパワーが主として存在するような特定の帯域の成分
を抽出して適応処理を行い、その際に得られた加重係数
を、全帯域用の適応フィルタの加重係数としてコピー
し、あるいはゲイン調整回路のゲインをその加重係数に
応じて制御するようにすればよい。
照入力信号を帯域制限するに当たって、ローパスフィル
タを使用したが、例えば上述の例において、100Hz
以下を対象外とするようにバンドパスフィルタを使用す
ることもできる。要は、適応信号処理の対象信号の、例
えばパワーが主として存在するような特定の帯域の成分
を抽出して適応処理を行い、その際に得られた加重係数
を、全帯域用の適応フィルタの加重係数としてコピー
し、あるいはゲイン調整回路のゲインをその加重係数に
応じて制御するようにすればよい。
【0057】なお、以上の例は、この発明をマイクロホ
ン装置に適用した場合であるが、この発明は、上述の例
に限らず、非定常の信号を取り扱う適応信号処理のすべ
てに適用可能であることはいうまでもない。
ン装置に適用した場合であるが、この発明は、上述の例
に限らず、非定常の信号を取り扱う適応信号処理のすべ
てに適用可能であることはいうまでもない。
【0058】また、適応処理の際の加重係数の更新のア
ルゴリズムは、LMS法に限らず、例えば学習同定法、
その他のアルゴリズムを用いることができることはもち
ろんである。
ルゴリズムは、LMS法に限らず、例えば学習同定法、
その他のアルゴリズムを用いることができることはもち
ろんである。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、主要入力信号及び参照入力信号を帯域制限して適応
信号処理を行い、その際に得られた加重係数に応じてゲ
イン調整回路のゲインを制御するようにしたので、音声
などの非定常信号に対しても適応動作が速くなり、その
結果、雑音低減量も大きくなる。
ば、主要入力信号及び参照入力信号を帯域制限して適応
信号処理を行い、その際に得られた加重係数に応じてゲ
イン調整回路のゲインを制御するようにしたので、音声
などの非定常信号に対しても適応動作が速くなり、その
結果、雑音低減量も大きくなる。
【0060】また、主要入力及び参照入力の低域成分の
みを適応演算処理するだけで、実現できるので、A/D
変換時のサンプリング周波数を下げることができ、この
ため、ハードウエアの規模及びコストを削減することが
できる。また、低速のDSPで、適応演算処理を行うこ
とができるので、低価格の汎用のDSPを使用すること
ができる。
みを適応演算処理するだけで、実現できるので、A/D
変換時のサンプリング周波数を下げることができ、この
ため、ハードウエアの規模及びコストを削減することが
できる。また、低速のDSPで、適応演算処理を行うこ
とができるので、低価格の汎用のDSPを使用すること
ができる。
【0061】さらに、図5の例のように、全帯域の信号
の処理のために、アナログ回路であるゲイン調整回路を
用いることで、さらにハードウエアの規模とコストの削
減が可能になる。
の処理のために、アナログ回路であるゲイン調整回路を
用いることで、さらにハードウエアの規模とコストの削
減が可能になる。
【図1】この発明の実施例の説明のための適応信号処理
装置の一例のブロック図である。
装置の一例のブロック図である。
【図2】図1の例のマイクロホン11及び21の指向特
性を説明するための図である。
性を説明するための図である。
【図3】この発明の効果を従来との比較において説明す
るための図である。
るための図である。
【図4】この発明の実施例の説明のための適応信号処理
装置の他の例のブロック図である。
装置の他の例のブロック図である。
【図5】この発明による適応信号処理装置の一実施例の
ブロック図である。
ブロック図である。
【図6】適応雑音キャンセラーの概要を示すブロック図
である。
である。
【図7】適応フィルタ回路の一例のブロック図である。
11 主要入力用マイクロホン
12、22 全帯域用A/Dコンバータ
13、16、32 減算回路
21 参照入力用マイクロホン
23 適応型線形結合器
24 ゲイン調整回路
31、33 デジタルローパスフィルタ
34 適応型線形結合器
35 フィルタ係数演算回路
41、43 アナログローパスフィルタ
42、44 制限された帯域用のA/Dコンバー
タ
タ
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 大久保 仁
東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ
ニー株式会社内
(72)発明者 行徳 薫
東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ
ニー株式会社内
(56)参考文献 特開 平4−216599(JP,A)
特開 平5−22392(JP,A)
Claims (2)
- 【請求項1】希望音声と雑音信号とを含む主要入力信号
中の雑音信号と相関のある雑音信号が参照入力信号とし
て供給されるアナログ回路構成のゲイン調整回路と、 前記主要入力信号から前記ゲイン調整回路の出力信号を
減算処理する第1の合成手段と、 前記主要入力信号の低域成分のみを抽出する第1の帯域
制限手段と、 前記第1の帯域制限手段と同一の周波数特性を有し、前
記参照入力信号の低域成分のみを抽出する第2の帯域制
限手段と、 前記第2の帯域制限手段の出力信号が供給される適応フ
ィルタ手段と、 前記第1の帯域制限手段の出力信号から前記適応フィル
タ手段の出力信号を減算処理する第2の合成手段と、 前記第2の合成手段の出力パワーを最小化するように、
前記適応フィルタ手段の加重係数を適応的に更新すると
共に、求められた前記適応フィルタ手段の加重係数の値
に対応して前記ゲイン調整回路のゲインを制御する制御
手段と、 を備えることを特徴とする適応信号処理装置。 - 【請求項2】請求項1に記載の適応信号処理装置におい
て、 前記適応フィルタ手段が、デジタル回路で構成されると
共に、 前記第1の帯域制限手段により帯域制限されて得られる
前記主要入力信号の低域成分は、デジタル信号に変換さ
れて前記第2の合成手段に供給され、 前記第2の帯域制限手段により帯域制限されて得られる
前記参照入力信号の低域成分は、デジタル信号に変換さ
れて前記適応フィルタ手段に供給されることを特徴とす
る適応信号処理装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9723593A JP3433819B2 (ja) | 1993-03-31 | 1993-03-31 | 適応信号処理装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9723593A JP3433819B2 (ja) | 1993-03-31 | 1993-03-31 | 適応信号処理装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06292292A JPH06292292A (ja) | 1994-10-18 |
JP3433819B2 true JP3433819B2 (ja) | 2003-08-04 |
Family
ID=14186962
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9723593A Expired - Fee Related JP3433819B2 (ja) | 1993-03-31 | 1993-03-31 | 適応信号処理装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3433819B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20030018106A (ko) * | 2001-08-27 | 2003-03-06 | 컬쳐콤. 테크놀로지(마카오) 리미티드 | 사운드 신호 처리 방법 |
JP2010245629A (ja) * | 2009-04-01 | 2010-10-28 | Mitsubishi Electric Corp | 適応等化器および適応等化方法 |
CN111208328A (zh) * | 2018-11-22 | 2020-05-29 | 钜泉光电科技(上海)股份有限公司 | 一种检测电路和基于此电路的电能计量芯片及设备 |
-
1993
- 1993-03-31 JP JP9723593A patent/JP3433819B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06292292A (ja) | 1994-10-18 |
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