JP3297814B2 - 適応雑音低減型の音声入力装置 - Google Patents

適応雑音低減型の音声入力装置

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JP3297814B2
JP3297814B2 JP23904492A JP23904492A JP3297814B2 JP 3297814 B2 JP3297814 B2 JP 3297814B2 JP 23904492 A JP23904492 A JP 23904492A JP 23904492 A JP23904492 A JP 23904492A JP 3297814 B2 JP3297814 B2 JP 3297814B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、適応雑音低減型の音
声入力装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、適応型雑音低減装置として、図5
に示すような回路が知られている。図5において、1は
主要入力端子、2は参照入力端子であって、主要入力端
子1を通じて入力された信号は遅延回路3を介して合成
回路4に供給される。また、参照入力端子2を通じて入
力された信号は、適応フィルタ回路5を介して合成回路
4に供給され、遅延回路3からの信号から減算される。
この合成回路4の出力は、適応フィルタ回路5に帰還さ
れると共に、出力端子6に導出される。
【0003】この雑音低減装置においては、主要入力端
子1には、希望信号sと、これとは無相関の不要音声信
号(雑音)n0 とが加算されたものが入力される。一
方、参照入力端子2には、雑音n1 が入力される。この
参照入力の雑音n1は、希望信号sとは無相関である
が、雑音n0 とは相関があるようにされている。
【0004】適応フィルタ回路5は、参照入力雑音n1
を処理して、雑音n0 に近似する信号yを出力する。こ
の適応フィルタ回路5の出力信号yとして、雑音n0 と
逆相、等振幅の信号を得るようにすることもできる。遅
延回路3は、適応フィルタ回路5での処理時間を考慮し
て、減算処理する信号の時間合わせをするためのもので
ある。
【0005】適応フィルタ回路5における適応のアルゴ
リズムは、合成回路4の出力である減算出力(残差出
力)eを最小にするように働く。すなわち、今、s,n
0 ,n1 ,yが統計的に定常であり、平均値が0である
と仮定すると残差出力eは、 e=s+n0 −y となる。これを二乗したものの期待値は、sがn0 と、
また、yと無相関であるから、 E[e2 ]=E[s2 ]+E[(n0 −y)2 ]+2E
[s(n0 −y)]=E[s2 ]+E[(n0 −
y)2 ] となる。適応フィルタ回路5が収束するものとすれば、
適応フィルタ回路5は、E[e2 ]が最小になるように
調整される。このとき、E[s2 ]は影響を受けないの
で、 Emin [e2 ]=E[s2 ]+Emin [(n0 −
y)2 ] となる。
【0006】すなわち、E[e2 ]が最小化されること
によってE[(n0 −y)2 ]が最小化され、適応フィ
ルタ回路5の出力yは、雑音n0 の推定量になる。そし
て、合成回路4からの出力の期待値は、希望信号sのみ
となる。すなわち、適応フィルタ回路5を調整して全出
力パワーを最小化することは、減算出力eが、希望音声
信号sの最小自乗推定値になることに等しい。
【0007】合成回路4が音響合成手段となる場合もあ
る。すなわち、適応フィルタ回路5で、雑音と逆相、等
振幅の雑音打ち消し音声信号−yを形成し、これをスピ
ーカなどに供給して、主要音声に音響的に加算して雑音
を低減する構成とする。この場合の残差eは、残差検出
用マイクロホンで収音することなる。
【0008】なお、適応フィルタ回路5はアナログ信号
処理回路で実現する場合とデジタル信号処理回路で実現
する場合の、いずれでも可能である。適応フィルタ回路
5を、デジタルフィルタを用いて実現した場合の例を図
6に示す。この例では、適応のアルゴリズムとして、い
わゆるLMS(Least Mean Squares;最小平均自乗)法
を使用する。
【0009】図6に示すように、この例では、FIRフ
ィルタ型の適応線形結合器300を使用する。これは、
それぞれ単位サンプリング時間の遅延時間Z-1を有する
複数個の遅延回路DL1,DL2,……DLm(mは正
の整数)と、入力雑音n1 及び各遅延回路DL1,DL
2,……DLmの出力信号と加重係数との掛け算を行う
加重回路(係数乗算器)MX0,MX1,MX2,……
MXmと、加重回路MX0〜MXmの出力を加算する加
算回路301を備える。加算回路310の出力はyであ
る。
【0010】加重回路MX0〜MXmに供給する加重係
数は、例えばマイクロコンピュータからなるLMS演算
回路320で、合成回路4からの残差信号eに基づいて
形成される。このLMS演算回路320で実行されるア
ルゴリズムは、次のようになる。
【0011】今、時刻k における参照入力ベクトルXk
を、図6にも示すように、 Xk =[x0k1k2k ・・・xmkT とし、出力をyk 、加重係数をwjk(j=0,1,2,…m )と
すると、入出力の関係は、次の数1に示すように、
【0012】
【数1】 となる。
【0013】そして、時刻k における加重ベクトルWk
を、 Wk =[w0k1k2k ・・・wmkT と定義すれば、入出力関係は、 yk =Xk T ・Wk … (1) で与えられる。希望の応答をdk とすれば、出力との誤
差ek は次のように表される。 ek =dk −yk =dk −Xk T ・Wk … (2) LMS法では、加重ベクトルの更新を、 Wk+1 =Wk +2μ・ek ・Xk … (3) なる式により行っていく。ここで、μは適応の速度と安
定性を決める利得因子(ステップゲイン)である。
【0014】上記式(3)において、ある時点k での係
数ベクトルWk を修正するベクトルが、式(3)の右辺
の第2項であるが、利得因子μと瞬時誤差ek とはスカ
ラー値で、ともに修正値を直接左右する。同じく参照入
力ベクトルXk も積の形で働くので、これも修正値を左
右する。平均的な収束の時定数τa は、 τa =(n+1)/4μ・trE〔Xi j T 〕 で表される。ここで、nは参照入力ベクトルの次数(F
IRフィルタのタップ数に対応)、trE〔Xi j T
は参照入力の平均パワーである。つまり、FIRフィル
タのタップ数が大きいほど収束速度は遅くなり、利得因
子μが大きいほど収束速度が速くなる。
【0015】定常的な信号の場合、収束速度が速いと最
終的な残留雑音レベルが大きく、逆に収束が緩慢である
と最終的な雑音レベルが小さくなる。しかし、対象とす
る信号が音声のように変動する場合には、収束しきる前
にその性質が変化してしまうため、ある程度収束速度が
速い方がキャンセル量が大きくなる。
【0016】利得因子μの値は、適応フィルタ回路5の
出力yが雑音n0 を打ち消すものに近づき、装置の出力
が希望信号sと同等のものになるように収束するために
は、次の条件を満足する必要がある。 0<μ<(信号の電力)/(FIRフィルタのタップ数
+1)…(4) μが、式(4)の範囲より大きくなると、適応フィルタ
回路5の出力yは発散してしまい、装置の出力として大
きな雑音を発する。
【0017】従来、利得因子μの値は、処理後の信号の
品位に直接に影響する適応フィルタ300のタップ数
と、参照入力信号の大きさ(電力)とを勘案して、上記
の式(4)を満足して適応フィルタ回路5が正常に動作
する(収束する)ように、一定の値に定められている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】ところで、例えば、電
話機には、受話器とは別にマイクロホンとスピーカが設
けられて、受話器を置いたままで通話が可能な、いわゆ
るスピーカホン機能を備えたものがある。この機能を備
えた電話装置では、マイクロホンが送話者の声をキャッ
チし、一方、スピーカから相手の声が聞こえるので、い
わゆるハンドフリーで通話することができて、手がふさ
がっているときや、大勢で相手と話がしたい場合に便利
である。
【0019】また、遠隔の複数地点間での、テレビジョ
ン会議システムでも、各会議室の複数の出席者ごとに、
マイクロホンとスピーカからなる音声端末が設けられ
て、各出席者は、同様にハンドフリーで、相手方の発言
を聞くことができると共に、随時発言することができ
る。
【0020】しかしながら、上述のようなスピーカホン
機能を備えた電話機では、周囲の騒音がマイクロホンに
入って通話を妨げ、また、テレビジョン会議システムの
各音声端末では、同じ会議室の他の出席者の発言が不要
に収音されてしまう。
【0021】また、例えばカメラ一体型VTRの収音用
マイクロホンは、一般に被写体側からの音声のみを収音
し、後方からの音声、例えば撮影者の音声は収音しない
ようにすることが望ましい。
【0022】以上のような目的を達成するために、上述
の適応処理を用いた雑音低減装置を用いることが考えら
れる。すなわち、前述のような適応処理において、不要
信号を参照入力信号として、これを用いて主要入力信号
中の不要信号(雑音)を低減することが考えられる。
【0023】ところが、参照入力収音用のマイクロホン
の指向特性を完全に希望音声信号を収音しないような特
性にすることが困難であるので、希望音声信号が、ある
程度のレベルで参照入力信号中に混入してしまう。
【0024】この状態は、希望音声と参照入力音声の両
入力信号が無相関であるという適応処理の前提条件から
外れており、特に、参照信号中の不要信号(雑音)のレ
ベルがかなり低い場合には、上述のような通常の適応処
理では、希望音声信号自体が低減の対象となってしまう
という問題があった。
【0025】この発明は、以上の点にかんがみ、希望音
声自体の低減を防止することができる雑音低減装置を提
供することを目的とする。
【0026】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、この発明による適応雑音低減型の音声入力装置は、
後述の実施例の参照符号を対応させると、希望音声を収
するための第1のマイクロホン11と、音声入力方向
に応じて互いに逆相の2相の出力信号が得られ、前記第
1のマイクロホンの出力信号とは逆相の出力信号が得ら
れる音声入力方向を希望音声の到来方向に配した第2の
マイクロホン21と、係数乗算器を含み、第2のマイク
ロホンからの音声信号が供給される適応フィルタ手段2
4と、この適応フィルタ手段の出力信号を第1のマイク
ロホンの音声信号から減算する減算手段15とを備え、
この減算手段の出力パワーが最小化されるように適応フ
ィルタ手段を調整すると共に、係数乗算器加重係数W
k が、常にWk ≧0となるように適応フィルタ手段の動
作を制限するようにしたものである。
【0027】また、第2のマイクロホン21を、第1の
マイクロホン11の出力信号と同相の出力信号が得られ
る音声入力方向を上記希望音声の到来方向に配した場合
には、減算手段15の代わりに加算手段を設け、係数乗
算器に供給する加重係数Wkが、常にWk ≦0となるよ
うに適応フィルタ手段の動作を制限するようにするよう
にしてもよい。
【0028】
【作用】上記の構成のこの発明においては、第1のマイ
クロホンからの主要入力音声信号と、第2のマイクロホ
ンの出力音声信号中の希望音声成分とは逆相である。ま
た、第1のマイクロホンからの主要入力音声信号と、第
2のマイクロホンの出力音声信号中の不要音声(雑音)
は同相である。したがって、適応フィルタ手段における
係数乗算器に供給する加重係数Wk が、Wk ≧0である
ならば、減算手段で、主要入力音声信号から適応フィル
タ手段からの参照入力音声信号を減算すると、主要入力
音声中の不要音声が除去されて希望音声のみを得ること
ができる。
【0029】もし、Wk <0となったときには、減算手
段において、主要入力音声信号に対して参照入力信号中
の希望音声が減算されてしまい、希望音声が低減されて
しまう関係になる。この発明においては、常に係数Wk
≧0となるように適応処理が制限されるので、希望音声
が低減されてしまう事態を防止することができる。
【0030】第2のマイクロホン21を、第1のマイク
ロホン11の出力信号と同相の出力信号が得られる音声
入力方向を上記希望音声の到来方向に配し、減算手段1
5の代わりに加算手段を設けた場合には、主要入力音声
信号に対して前記参照入力音声信号中の希望音声成分
と、不要音声成分の位相関係が逆になり、加重係数Wk
が、常にWk ≦0となるように適応フィルタ手段の動作
が制限される。
【0031】
【実施例】以下、図1〜図3を参照しながら、この発明
による適応雑音低減型の音声入力装置の一実施例につい
て説明する。
【0032】図1において、11は希望音声を収音する
ための主要入力用マイクロホン、21は雑音として除去
したい方向の不要音声や周囲騒音を収音するための参照
入力用マイクロホンである。この例は、希望音声の到来
方向は、主として、図2において矢印ARで示すよう
に、図上、上方から下方に向かう方向(以下正面方向と
いう)であり、この方向と逆方向(以下背面方向とい
う)からの不要音を雑音として収音しないようにする雑
音低減型の音声入力装置を実現する例である。
【0033】この例の場合には、主要入力用マイクロホ
ン11は、図2に示すように、希望音声到来方向に感度
が高く、背面方向に感度が低い単一指向性のマイクロホ
ンで構成される。一方、参照入力用マイクロホン21
は、図2に示すように、希望音声到来方向及び背面方向
に感度が高い双指向性(8字型指向性)のマイクロホン
で構成される。
【0034】そして、双指向性の参照入力用マイクロホ
ン21は、この例では、音声入力方向に応じて、正相及
び逆相の2相の出力信号が得られる、いわば、双極性の
ものであるが、正相及び逆相の感度は必ずしも等しくな
くてもよい。そして、この実施例では、この参照入力用
マイクロホン21は、逆相の出力信号が得られる音声入
力方向を希望音声の到来方向に向けて配設される。ま
た、主要入力用マイクロホン11は、正相の出力信号が
得られるものである。
【0035】主要入力用マイクロホン11により収音さ
れ、電気信号に変換されて得られた音声信号は、増幅器
12を介してA−D変換器13に供給されて、デジタル
信号に変換され、遅延回路14を介して減算回路15に
供給される。また、参照入力用マイクロホン21により
収音され、電気信号に変換されて得られた音声信号は、
増幅器22を介してA−D変換器23に供給されて、デ
ジタル信号に変換されて、適応フィルタ回路24に供給
される。
【0036】この実施例では、適応フィルタ回路24
は、前述した図6に示すような、FIRフィルタ型の適
応線形結合器300と、この線形結合器300を適応制
御する演算回路(マイクロコンピュータ)320から構
成され、A−D変換器23からのデジタル信号は、演算
回路320に供給されると共に、線形結合器300を介
して減算回路15に供給される。減算回路15の出力信
号は、演算回路320に帰還されると共に、D−A変換
器16によりアナログ信号に戻され、出力端子17に導
出される。
【0037】なお、D−A変換器16を省いて、減算回
路15の出力信号をデジタル信号のままで出力端子17
に導出するようにしてもよい。また、遅延回路14は、
適応フィルタ回路24での伝播時間や適応処理のための
演算に要する時間遅れなどの時間遅延を補償するための
ものである。
【0038】基本的には、適応フィルタ回路24では、
主要入力音声信号中に含まれる雑音に、参照入力音声信
号が近似するように制御される。これにより、主要入力
用マイクロホン11で収音された音声中の希望音声と雑
音とが無相関であるとすると、減算回路15では、主要
入力用マイクロホン11の音声信号から、参照入力用マ
イクロホン21の音声信号(雑音)が減算されて除去さ
れ、減算回路15からは、希望音声信号のみが得られ
る。すなわち、この実施例の基本的構成は、主要入力と
して主要入力用マイクロホン11の出力音声信号が供給
され、参照入力としての雑音として、参照入力用マイク
ロホン21の出力音声信号が供給された適応型雑音低減
システムの構成となっている。そして、出力端子17に
は、雑音、この例では背面方向からの不要音声信号が選
択的に除去されて、結果的には、希望音声信号だけが、
所要の品位で出力される。換言すれば、適応型システム
として、超指向性が実現されたことになる。
【0039】次に、図2及び図3を参照しながら、図1
の実施例の適応フィルタ回路の動作制限について説明す
る。通常の場合、希望音声が図2の矢印ARで示す正面
方向から到来すると共に、低減すべき不要音が背面方向
から到来して、図2に示すような単一指向性の主要入力
用マイクロホン11からは、高レベルの希望音声信号s
11と低レベルの雑音n11とが、いずれも正相で出力され
る。一方、図2に示すような双指向性の参照入力用マイ
クロホン21からは、逆相で高レベルの希望音声信号s
21と、正相で高レベルの雑音n21とが出力される。
【0040】マイクロホン11の出力は、主要入力音声
信号として、減算回路15に供給され、マイクロホン2
1の出力は、参照入力音声信号として、適応フィルタ回
路24に供給される。参照入力音声信号中の雑音成分n
21は、主要入力音声信号中の、希望音声信号s11とは無
相関であるが、雑音成分n11とは相関があるので、適応
フィルタ回路24では、前述のように、主要入力音声信
号中に含まれる雑音に、参照入力音声信号が近似するよ
うに制御され、減算回路15において、適応フィルタ回
路24の出力が主要入力音声信号から減算されて、正相
の主要入力音声信号中の雑音成分n11と、適応処理され
た参照入力音声信号中の正相の雑音成分n21とが相殺さ
れる。
【0041】このような通常の適応処理の場合、前述の
ように、適応線形結合器300の各係数乗算器MX0〜
MXm(図6参照)の加重係数Wjk(j=0,1,2,…m )
は、前出式(3)に従って更新されるが、主要・参照の
両入力音声信号中の、いずれも正相の雑音成分n11,n
21が減算により相殺されるように、加重係数は Wjk≧0 となり、負の値をとることはない。
【0042】また、加重係数が負の値をとらないため、
参照入力音声信号中の逆相の希望音声信号成分s21は、
減算により、主要入力音声信号中の正相の希望音声信号
成分s11に加算されることになる。換言すれば、図2に
示すような双極性かつ双指向性のマイクロホン21を用
いる場合、希望音声に対する、適応型システムとしての
感度が向上する。
【0043】そして、通常の適応処理の場合、適応型シ
ステムとしての指向性は、図3Aに示すようになり、所
期のように、背面方向から到来する不要音が、システム
の低減対象となっている。
【0044】ところで、通常レベルの希望音声が正面方
向から到来しており、背面方向から到来する不要音が微
弱な場合には、図2に示すような双指向性の参照入力用
マイクロホン21から、実質的に、逆相で高レベルの希
望音声信号s21のみが出力される。一方、図2に示すよ
うな単一指向性の主要入力用マイクロホン11からは、
実質的に、正相で高レベルの希望音声信号s11のみが出
力される。
【0045】この状態では、雑音低減システムは減算回
路15の出力パワーを最小化するように働くので、適応
フィルタ回路24の特性は、本来の望ましいものから大
きくずれてしまい、希望音声信号自体を低減するように
動作する状態になる。すなわち、この状態では、適応線
形結合器300の加重係数Wjk(j=0,1,2,…m )は負の
値となり、適応処理された参照入力音声信号は、その極
性が反転されて、希望音声信号成分s21が正相となり、
減算回路15において、主要入力音声信号、即ち、正相
の希望音声信号成分s11から減算されると、希望音声信
号自体が低減されてしまうのである。
【0046】そして、このように加重係数が負となった
場合には、適応型システムとしての指向性は、図3Bに
おいて破線で示すようになり、システムの低減対象方向
が正面方向に移動して、希望音声がシステムの低減対象
となってしまう。
【0047】この実施例では、上述のような希望音声信
号自体の低減を回避するため、次のように、適応フィル
タ回路の動作を制限する。すなわち、適応処理が始まる
と、演算回路320では、前記式(3)に従って、次の
時点での、適応線形結合器300の加重係数が順次演算
され、加重係数が順次更新されるゆく。このとき、演算
により得られた次の時点の加重係数が負の値になるとき
は、この負の加重係数を次の時点の加重係数とすること
なく、適応線形結合器300の加重係数を強制的にゼロ
に更新する。
【0048】この動作制限により、上述のように、低減
されるべき不要音が微弱であって、主要・参照の入力音
声信号が、実質的に、正相,逆相の希望音声信号s11,
s21のみとなっても、加重係数が負の値をとることはな
いので、減算処理により、希望音声信号自体が低減され
ることはない。そして、この加重係数をゼロにした場
合、適応型システムとしての指向性は、図3Bにおいて
実線で示すようになり、正面方向から到来する希望音声
が、システムの低減対象にはなっていない。
【0049】なお、上述の実施例において、参照入力用
マイクロホン21の向きを図2の例とは逆に、主要入力
用マイクロホン11の出力音声信号と同相の出力信号が
得られる音声入力方向を希望音声の到来方向に向けて配
設し、加重係数Wk が常にゼロまたは負の値しかとらな
い(Wk ≦0)ように、適応フィルタ回路の動作を制限
して、希望音声信号自体の低減を回避することもでき
る。参照入力用マイクロホン21の向きを図2の例と逆
向きにする代わりに、参照入力用マイクロホン21の2
相の出力に対してインバータを挿入して位相反転した信
号を参照入力用マイクロホン21の2相の出力信号とす
るようにしてもよい。
【0050】また、上述の実施例では、適応型システム
が主要入力音声と、適応フィルタ回路24の出力との合
成手段として減算回路15を用いたが、適応フィルタ回
路24の出力中の低減対象信号(主要入力中の雑音=不
要信号)が、主要入力用マイクロホン11の出力信号の
位相とは逆相である場合には、適応型システムの合成手
段としては加算回路を使用することができる。
【0051】このように加算回路を使用するときは、参
照入力用マイクロホン21の向きを図2の例と同じに配
置した場合には、加重係数Wk が常にゼロまたは負の値
のみをとる(Wk ≦0)ように、適応フィルタ回路の動
作を制限して、希望音声信号自体の低減を回避すること
ができる。また、参照入力用マイクロホン21を、図2
の例と逆に配置した場合には、加重係数Wk が常にゼロ
または正の値のみをとる(Wk ≧0)ように、適応フィ
ルタ回路の動作を制限して、希望音声信号自体の低減を
回避することができる。
【0052】また、上述の実施例では、前出図2に示す
ように、主要入力用に、正面方向に感度が高い単一指向
性のマイクロホンを使用し、参照入力用には、正面・背
面方向に感度が高い双指向性のマイクロホンを使用して
いるが、図4に示すように、主要・参照入力用として、
互いに逆方向に配置されている1対の単一指向性マイク
ロホン11m,21mを使用することもできる。
【0053】主要・参照入力用に、1対の単一指向性マ
イクロホンを使用する場合、システムの構成は図1と全
く同一であり、両マイクロホンの出力が同一極性である
として、適応型システムが減算回路15を含むときは、
適応線形結合器300の加重係数がゼロまたは正の値の
みをとる(Wk ≧0)ように、適応フィルタ回路24の
動作を制限して、希望音声信号自体の低減を回避するこ
とができる。また、システムが減算回路15の代わりに
加算回路を含むときは、加重係数Wk が常にゼロまたは
負の値のみをとる(Wk ≦0)ように、適応フィルタ回
路の動作を制限して、希望音声信号自体の低減を回避す
ることができる。
【0054】また、主要入力用マイクロホン11mの出
力信号と、参照入力用マイクロホン21mの出力信号と
が逆相(インバータによりマイクロホン出力を逆相にす
る場合を含むものとする)の場合には、適応型システム
が減算回路15を含むときは、適応線形結合器300の
加重係数がゼロまたは負の値のみをとる(Wk ≦0)よ
うに、適応フィルタ回路24の動作を制限して、希望音
声信号自体の低減を回避することができ、また、システ
ムが減算回路15の代わりに加算回路を含むときは、加
重係数Wk が常にゼロまたは正の値のみをとる(Wk
0)ように、適応フィルタ回路の動作を制限して、希望
音声信号自体の低減を回避することができる。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、雑音低減型の音声入力装置において、適応フィルタ
手段の出力信号と、第1のマイクロホンの音声信号との
位相関係に応じて、適応フィルタ手段の係数乗算器の加
重係数がゼロまたは正の値のみ、あるいはゼロまたは負
の値のみをとるように制限するようにしたので、希望音
声自体の低減を防止することができ、低減対象の音声入
力方向からの不要音のみを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による雑音低減型の音声入力装置の一
実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】第1及び第2のマイクロホンの指向性の一例を
示す図である。
【図3】この発明の一実施例の動作を説明するための図
である。
【図4】第1及び第2のマイクロホンの指向性の他の例
を示す図である。
【図5】この発明を説明するための適応型雑音低減装置
の概要を示すブロック図である。
【図6】適応フィルタ回路の構成例を示す図である。
【符号の説明】
11,11m 第1の(主要入力用)マイクロホン 21,21m 第2の(参照入力用)マイクロホン 15 減算回路 24 適応フィルタ回路
フロントページの続き (72)発明者 行徳 薫 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−21000(JP,A) 特開 平6−54394(JP,A) 特開 平3−96999(JP,A) 特開 昭61−194913(JP,A) 特開 平4−178100(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G10L 21/02

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 希望音声を収音するための第1のマイク
    ロホンと、 音声入力方向に応じて互いに逆相の2相の出力信号が得
    られ、前記第1のマイクロホンの出力信号とは逆相の出
    力信号が得られる音声入力方向を上記希望音声の到来方
    向に配した第2のマイクロホンと、 係数乗算器を含み、上記第2のマイクロホンからの音声
    信号が供給される適応フィルタ手段と、 この適応フィルタ手段の出力信号を上記第1のマイクロ
    ホンの音声信号から減算する減算手段と、 この減算手段の出力パワーが最小化されるように上記適
    応フィルタ手段を調整する手段と、 上記係数乗算器加重係数Wk が、常にWk ≧0となる
    ように上記適応フィルタ手段の動作を制限する手段とを
    備えた適応雑音低減型の音声入力装置。
  2. 【請求項2】 希望音声を収音するための第1のマイク
    ロホンと、 音声入力方向に応じて互いに逆相の2相の出力信号が得
    られ、前記第1のマイクロホンの出力信号と同相の出力
    信号が得られる音声入力方向を上記希望音声の到来方向
    に配した第2のマイクロホンと、 係数乗算器を含み、上記第2のマイクロホンからの音声
    信号が供給される適応フィルタ手段と、 この適応フィルタ手段の出力信号を上記第1のマイクロ
    ホンの音声信号から減算する減算手段と、 この減算手段の出力パワーが最小化されるように上記適
    応フィルタ手段を調整する手段と、 上記係数乗算器加重係数Wk が、常にWk ≦0となる
    ように上記適応フィルタ手段の動作を制限する手段とを
    備えた適応雑音低減型の音声入力装置。
  3. 【請求項3】 希望音声を収音するための第1のマイク
    ロホンと、 音声入力方向に応じて互いに逆相の2相の出力信号が得
    られ、前記第1のマイクロホンの出力信号とは逆相の出
    力信号が得られる音声入力方向を上記希望音声の到来方
    向に配した第2のマイクロホンと、 係数乗算器を含み、上記第2のマイクロホンからの音声
    信号が供給される適応フィルタ手段と、 この適応フィルタ手段の出力信号と上記第1のマイクロ
    ホンの音声信号とを加算する加算手段と、 この加算手段の出力パワーが最小化されるように上記適
    応フィルタ手段を調整する手段と、 上記係数乗算器加重係数Wk が、常にWk ≦0となる
    ように上記適応フィルタ手段の動作を制限する手段とを
    備えた適応雑音低減型の音声入力装置。
  4. 【請求項4】 希望音声を収音するための第1のマイク
    ロホンと、 音声入力方向に応じて互いに逆相の2相の出力信号が得
    られ、前記第1のマイクロホンの出力信号と同相の出力
    信号が得られる音声入力方向を上記希望音声の到来方向
    に配した第2のマイクロホンと、 係数乗算器を含み、上記第2のマイクロホンからの音声
    信号が供給される適応フィルタ手段と、 この適応フィルタ手段の出力信号と上記第1のマイクロ
    ホンの音声信号とを加算する加算手段と、 この加算手段の出力パワーが最小化されるように上記適
    応フィルタ手段を調整する手段と、 上記係数乗算器加重係数Wk が、常にWk ≧0となる
    ように上記適応フィルタ手段の動作を制限する手段とを
    備えた適応雑音低減型の音声入力装置。
  5. 【請求項5】 希望音声を収音するための第1のマイク
    ロホンと、 この第1のマイクロホンの出力信号と同相の出力信号が
    得られ、上記希望音声の到来方向の感度が低い単一指向
    性の第2のマイクロホンと、 係数乗算器を含み、上記第2のマイクロホンからの音声
    信号が供給される適応フィルタ手段と、 この適応フィルタ手段の出力信号を上記第1のマイクロ
    ホンの音声信号から減算する減算手段と、 この減算手段の出力パワーが最小化されるように上記適
    応フィルタ手段を調整する手段と、 上記係数乗算器の加重係数Wk が、常にWk ≧0となる
    ように適応フィルタ手段の動作を制限する手段とを備え
    た適応雑音低減型の音声入力装置。
  6. 【請求項6】 希望音声を収音するための第1のマイク
    ロホンと、 この第1のマイクロホンの出力信号と同相の出力信号が
    得られ、上記希望音声の到来方向の感度が低い単一指向
    性の第2のマイクロホンと、 係数乗算器を含み、上記第2のマイクロホンからの音声
    信号が供給される適応フィルタ手段と、 この適応フィルタ手段の出力信号と上記第1のマイクロ
    ホンの音声信号とを加算する加算手段と、 この加算手段の出力パワーが最小化されるように上記適
    応フィルタ手段を調整する手段と、 上記係数乗算器の加重係数Wk が、常にWk ≦0となる
    ように適応フィルタ手段の動作を制限する手段とを備え
    た適応雑音低減型の音声入力装置。
  7. 【請求項7】 希望音声を収音するための第1のマイク
    ロホンと、 この第1のマイクロホンの出力信号と逆相の出力信号が
    得られ、上記希望音声の到来方向の感度が低い単一指向
    性の第2のマイクロホンと、 係数乗算器を含み、上記第2のマイクロホンからの音声
    信号が供給される適応フィルタ手段と、 この適応フィルタ手段の出力信号上記第1のマイクロ
    ホンの音声信号から減算する減算手段と、 この減算手段の出力パワーが最小化されるように上記適
    応フィルタ手段を調整する手段と、 上記係数乗算器の加重係数Wk が、常にWk ≦0となる
    ように適応フィルタ手段の動作を制限する手段とを備え
    た適応雑音低減型の音声入力装置。
  8. 【請求項8】 希望音声を収音するための第1のマイク
    ロホンと、 この第1のマイクロホンの出力信号と逆相の出力信号が
    得られ、上記希望音声の到来方向の感度が低い単一指向
    性の第2のマイクロホンと、 係数乗算器を含み、上記第2のマイクロホンからの音声
    信号が供給される適応フィルタ手段と、 この適応フィルタ手段の出力信号と上記第1のマイクロ
    ホンの音声信号とを加算する加算手段と、 この加算手段の出力パワーが最小化されるように上記適
    応フィルタ手段を調整する手段と、 上記係数乗算器の加重係数Wk が、常にWk ≧0となる
    ように適応フィルタ手段の動作を制限する手段とを備え
    た適応雑音低減型の音声入力装置。
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