JPH06292293A - マイクロホン装置 - Google Patents

マイクロホン装置

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JPH06292293A
JPH06292293A JP9723693A JP9723693A JPH06292293A JP H06292293 A JPH06292293 A JP H06292293A JP 9723693 A JP9723693 A JP 9723693A JP 9723693 A JP9723693 A JP 9723693A JP H06292293 A JPH06292293 A JP H06292293A
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JP
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sound
microphone
adaptive
signal
circuit
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JP9723693A
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Inventor
Takayuki Mizuuchi
崇行 水内
Toru Sasaki
徹 佐々木
Hitoshi Okubo
仁 大久保
Kaoru Gyotoku
薫 行徳
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 小型で、超指向性を得ることができ、かつ、
音の入射方向に関係なく、適応速度、雑音低減量共に、
優れた超指向性マイクロホンを実現する。 【構成】 主要音を収音し、主要入力信号を得るための
マイクロホンM1、M3と、希望音の到来方向の感度が
低い指向性を有し、参照入力信号を得るためのマイクロ
ホンM3と、適応フィルタ回路15と、減算回路14と
を備える適応雑音キャンセラーを設ける。前記主要入力
信号を適応雑音キャンセラーの主要入力とし、前記参照
入力信号を適応雑音キャンセラーの参照入力として、そ
れぞれ供給する。音の入射方向を検出する検出手段21
を設け、適応フィルタ手段15の適応演算部の利得因子
パラメータ2を、検出手段21で検出された音の入射方
向に応じて制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、適応雑音キャンセラ
ーを用いた、いわゆる超指向性のマイクロホン装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】例えば、カメラ一体型VTRでは、被写
体を撮影しながら、この被写体の周囲の音を同時に記録
するようにしている。この収音に当たっては、一般に、
被写体の方向からの音のみを収音するように考慮されて
いる。すなわち、例えばカメラの前方からの音のみを収
音するような指向特性を有するマイクロホン装置を用い
ている。
【0003】これ種のマイクロホン装置の一例として、
例えばいわゆるガンマイクと呼ばれるものが知られてい
る。これは、振動板の前方に伸びるパイプ部を備えてい
る。そして、このパイプ部の側壁には、多数の貫通穴が
設けられて、このパイプ部の中心線方向の前方(振動板
とは反対方向)からの音に対して高い感度を有する指向
性を有するように構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このマ
イクロホンは長いパイプ部を必要とし、大型になる欠点
がある。また、マイクロホンの前方にのみ高い感度を有
する単一指向性であり、固定的な指向性しか得られな
い。このため、希望音到来方向からの音だけでなく、例
えばカメラ周囲の側方からの音をも収音したい場合など
に対応することが困難であり、指向性の方向に自由度が
ない。
【0005】そこで、出願人は、特願平4−14320
9号として、適応雑音キャンセラーを応用して、小型に
して超指向特性を有するように構成することができるマ
イクロホン装置を提案している。
【0006】図9は、その基本的構成を示すもので、先
ず、適応雑音キャンセラーについて説明する。
【0007】図9において、10は適応雑音キャンセラ
ーで、1はその主要入力端子、2はその参照入力端子で
あって、主要入力端子1を通じて入力された主要入力信
号は遅延回路3を介して合成回路4に供給される。ま
た、参照入力端子2を通じて入力された参照入力信号
は、適応フィルタ回路5を介して合成回路4に供給さ
れ、遅延回路3からの信号から減算される。この合成回
路4の出力は、適応フィルタ回路5に帰還されると共
に、出力端子6に導出される。
【0008】この適応雑音キャンセラーにおいては、主
要入力信号としては、希望信号sと、これと無相関の雑
音信号n0 とが加算されたものが入力される。一方、参
照入力信号としては、雑音信号n1 が入力される。参照
入力の雑音信号n1 は、希望信号sとは無相関である
が、雑音信号n0 とは相関があるようにされている。
【0009】適応フィルタ回路5は、参照入力雑音信号
n1 をフィルタリングして、雑音信号n0 に近似する信
号yを出力する。この場合は、適応フィルタ回路5にお
いては、所定の適応のアルゴリズムにより、合成回路4
の減算出力(残差出力)eが最小になるように、参照入
力雑音信号n1 のフィルタリングのフィルタ係数を更新
してゆく。
【0010】この適応フィルタ回路5の出力信号yとし
て、雑音信号n0 と逆相、等振幅の信号を得るようにす
ることもできる。遅延回路3は、適応フィルタ回路5で
の演算処理に要する時間遅れや適応フィルタでの伝播時
間その他を補償して、減算処理する信号との時間合わせ
をするためのものである。
【0011】以下に、適応雑音キャンセラーの原理につ
いて説明する。
【0012】今、希望信号s,雑音n0 ,雑音n1 ,出
力信号yが統計的に定常であり、平均値がゼロであると
仮定すると残差出力eは、 e=s+n0 −y となる。これを二乗したものの期待値は、希望信号sが
雑音n0 及び出力yと無相関であるから、 E[e2 ]=E[s2 ]+E[(n0 −y)2 ] +2E[s(n0 −y)] =E[s2 ]+E[(n0 −y)2 ] となる。適応フィルタ回路5が収束するものとすれば、
適応フィルタ回路5は、E[e2 ]が最小になるよう
に、適応フィルタ係数を更新するものである。このと
き、E[s2 ]は影響を受けないので、 Emin [e2 ]=E[s2 ] +Emin [(n0 −y)2 ] となる。
【0013】すなわち、E[e2 ]が最小化されること
によってE[(n0 −y)2 ]が最小化され、適応フィ
ルタ回路5の出力yは、雑音信号n0 の推定量になる。
そして、合成回路4からの出力の期待値は、希望信号s
のみとなる。すなわち、適応フィルタ回路5を調整して
全出力パワーを最小化することは、減算出力eが、希望
音声信号sの最小二乗推定値になることに等しい。
【0014】出力eは、一般に、信号sに多少の雑音が
残ったものになるが、出力雑音は(n0 −y)で与えら
れるからE[(n0 −y)2 ]を最小化することは、出
力の信号対雑音比を最大化することに等しい。
【0015】合成回路4が音響合成手段となる場合もあ
る。すなわち、適応フィルタ回路5で、雑音と逆相、等
振幅の雑音打ち消し信号−yを形成し、これをスピーカ
などに供給して、主要信号に音響的に加算して雑音を低
減する構成とする。この場合の残差eは、残差検出用マ
イクロホンで収音することとなる。
【0016】なお、適応フィルタ回路5はアナログ信号
処理回路で実現する場合とデジタル信号処理回路で実現
する場合の、いずれでも可能であるが、一般的には、D
SP(デジタルシグナルプロセッサ)を用いたデジタル
処理回路の構成とされる。
【0017】デジタル処理回路の構成とした場合の適応
フィルタ回路5の一例の構成を図11に示す。
【0018】適応フィルタ回路5は、この例において
は、FIRフィルタ型の適応型線形結合器100と、フ
ィルタ係数更新演算手段110とからなっている。この
適応フィルタ回路5は、マイクロコンピュータを搭載す
るDSPにより、ソフトウエアとして構成することがで
きる。フィルタ係数の更新のアルゴリズムは、この例で
は、計算量が少なく、実用的であるため多用されている
LMS(Least Mean Squares;最小平均自乗)法を用い
た場合として説明する。
【0019】LMS法について、図11を参照しながら
説明する。図11に示すように、この場合、FIRフィ
ルタ型の適応型線形結合器100を使用する。この適応
型線形結合器100は、それぞれ単位サンプリング時間
の遅延時間Z-1を有する複数個の遅延回路DL1,DL
2,……DLm(mは正の整数)と、入力雑音n1 及び
各遅延回路DL1,DL2,……DLmの出力信号と加
重係数(フィルタ係数)との掛け算を行う加重回路MX
0,MX1,MX2,……MXmと、加重回路MX0〜
MXmの出力を加算する加算回路101を備える。加算
回路101の出力は、図9で説明した信号yである。
【0020】加重回路MX0〜MXmに供給する加重係
数は、フィルタ係数演算回路110で、LMSアルゴリ
ズムにより、合成回路4からの残差信号eと、参照入力
n1とに基づいて形成される。このフィルタ係数演算回
路110で実行されるアルゴリズムは、次のようにな
る。
【0021】今、時刻k における入力ベクトルXk を、
図11にも示すように、 Xk =[x0k1k2k ・・・xmkT とし、出力をyk 、加重係数をwjk(j=0,1,2,…m )と
すると、入出力の関係は、次の数1に示すように、
【0022】
【数1】 となる。
【0023】そして、時刻k における加重ベクトルWk
を、 Wk =[w0k1k2k ・・・wmkT と定義すれば、入出力関係は、 yk =Xk T ・Wk … (1) で与えられる。ここで、希望の応答をdk とすれば、残
差ek は、 ek =dk −yk =dk −Xk T ・Wk …(2) で表される。
【0024】LMS法では、加重ベクトルの更新を、 Wk+1 =Wk +2μ・ek ・Xk … (3) なる式(3)により順次行っていく。加重係数の初期値
は、一定値あるいはランダムな値に設定される。ここ
で、μは適応の速度と安定性を決める利得因子(ステッ
プゲイン)である。
【0025】上記式(3)において、ある時点k での係
数ベクトルWk を修正するベクトルが、式(3)の右辺
の第2項であるが、利得因子μと瞬時誤差ek とはスカ
ラー値で、ともに修正値を直接左右する。同じく参照入
力ベクトルXk も積の形で働くので、これも修正値を左
右する。平均的な収束の時定数τa は、 τa =(n+1)/4μ・trE〔Xi j T 〕 で表される。ここで、nは参照入力ベクトルの次数(F
IRフィルタのタップ数に対応)、trE〔Xi j T
は参照入力の平均パワーである。つまり、FIRフィル
タのタップ数が大きいほど収束速度は遅くなり、利得因
子μが大きいほど収束速度が速くなる。
【0026】定常的な信号の場合、収束速度が速いと最
終的な残留雑音レベルが大きく、逆に収束が緩慢である
と最終的な雑音レベルが小さくなる。しかし、対象とす
る信号が音声のように変動する場合には、収束しきる前
にその性質が変化してしまうため、ある程度収束速度が
速い方がキャンセル量が大きくなる。
【0027】利得因子μの値は、適応フィルタ回路5の
出力yが雑音n0 を打ち消すものに近づき、かつ、装置
の出力が希望信号sと同等のものになるように収束する
ためには、次の条件を満足する必要がある。 0<μ<(信号の電力)/(FIRフィルタのタップ数
+1)…(4) μが、式(4)の範囲より大きくなると、適応フィルタ
回路5の出力yは発散してしまい、装置の出力として大
きな雑音を発する。
【0028】従来、利得因子μの値は、処理後の信号の
品位に直接に影響する適応フィルタのタップ数(フィル
タ次数)と、参照入力信号の大きさ(電力)とを勘案し
て、上記の式(4)を満足して適応フィルタ回路5が正
常に動作する(収束する)ように、一定の値に定められ
ている。一般的には、システムの安定性を補償するた
め、参照入力の最大パワーから算出される。
【0029】先に提案したマイクロホン装置は、以上説
明したような適応雑音キャンセラーを用いて構成する。
すなわち、図9に示すように、主要入力収音用の第1の
マイクロホン7と、参照入力収音用の第2のマイクロホ
ン8を設け、第1のマイクロホン7の出力信号を、主要
入力端子1に入力し、第2のマイクロホン8の出力信号
を参照入力端子2に入力する。
【0030】そして、この場合に、図10に示すよう
に、希望音到来方向を矢印ARの方向としたときに、主
要入力用マイクロホン7は無指向性のマイクロホンを用
いる。あるいは、単一指向性のマイクロホンを、その主
指向軸を希望音到来方向に向けて配置する。
【0031】また、参照入力用マイクロホン8は、図1
0に示すように、単一指向性のマイクロホンを、排除し
たい雑音としての不要音の入射方向に感度を有し、希望
音到来方向ARが感度最小の方向となるように配置して
使用する。排除したい雑音の到来方向が希望音到来方向
に対して90度の方向の場合には、双指向性マイクロホ
ンを、希望音到来方向ARが指向性のヌル方向となるよ
うに配置して使用するようにしてもよい。
【0032】このような構成にすれば、参照入力信号に
は、希望音の成分は殆ど含まれず、このため参照入力信
号は、希望音とは無相関の信号となり、主要入力中の不
要信号(雑音成分)と相関を有する信号となる。したが
って、参照入力収音用の第2のマイクロホン8が、低減
したい不要信号の到来方向に所定の感度を有するように
構成されていれば、主要入力中に含まれる不要信号成分
は適応的にキャンセルされ、出力端子には希望音信号の
みが得られるものである。
【0033】以上のようにして、適応雑音キャンセラー
を用いて、参照入力用の単一指向性マイクロホン8の感
度最小の方向に対して鋭い指向性を持つ超指向性のマイ
クロホン装置を実現することができる。
【0034】しかしながら、先に提案した上述のマイク
ロホン装置においては、音の到来方向により雑音低減量
が異なることが判明した。特に、人声信号のなどの非定
常信号のときに、大きな低減量が得られない問題があっ
た。
【0035】この発明は、以上の点にかんがみ、音の到
来方向の関係なく、適切な雑音低減量を得ることができ
るマイクロホン装置を提供することを目的とする。
【0036】
【課題を解決するための手段】この発明の発明者等は、
上記の問題点は、適応雑音キャンセラーの適応フィルタ
回路の係数更新のためのステップゲインμを音の到来方
向に関係なく一定にしているためであることを発見し
た。
【0037】図5は、前述した先に提案したマイクロホ
ン装置の指向軸の方向(最高感度の方向)を正面方向
(0度方向)に向けた場合に、他の方向から入射する音
(例えば人声)の低減量とステップゲインパラメータの
関係の実験データである。これは、音の入射方向が正面
方向に対して90度方向の場合と、180度方向(背面
方向)の場合についての実験結果である。
【0038】この図5から明らかなように、音の入射方
向によって、最大の低減量が得られるステップゲインμ
の値が異なることが判明した。したがって、音の到来方
向に無関係に一定のステップゲインパラメータで適応処
理を行った場合、音の到来方向によって適応速度がまち
まちになり、音の到来方向によって雑音低減量が異なっ
てしまうのである。
【0039】この発明は、以上の点を考慮して、音の到
来方向(入射方向)に応じて最適なステップゲインパラ
メータを設定するようにしたことを特徴とする。
【0040】すなわち、この発明によるマイクロホン装
置は、後述の実施例の参照符号を対応させると、希望音
を収音するための第1のマイクロホンM1、M3と、前
記希望音の到来方向の感度が低い指向性の第2のマイク
ロホンM3と、前記第2のマイクロホンの出力信号が供
給される適応フィルタ手段15と、前記第1のマイクロ
ホンの出力信号から、前記適応フィルタ手段の出力信号
を減算する合成手段14と、音の入射方向を検出する検
出手段21とを備え、前記適応フィルタ手段15は、前
記合成手段14の出力パワーが最小化されるように、そ
の出力信号を調整するものであるが、適応演算部110
の利得因子パラメータμが、前記検出手段で検出された
音の入射方向に応じて制御されるようになされたことを
特徴とする。
【0041】
【作用】上記の構成のこの発明においては、適応フィル
タ手段の適応演算部の利得因子(ステップゲイン)パラ
メータが、音の入射方向の検出手段21により検出され
た方向に応じて、その方向に最も適した値に選定され
る。
【0042】
【実施例】以下、この発明によるマイクロホン装置の一
実施例を図1を参照しながら説明する。この例は、適応
雑音キャンセラーの適応フィルタ回路がデジタル構成の
場合の例である。
【0043】図1において、M1、M2、M3は第1、
第2及び第3のマイクロホンで、この例では、共に単一
指向性マイクロホンで構成される。これらマイクロホン
M1〜M3の配置を図2に示し、これらマイクロホンM
1〜M3として用いられる単一指向性マイクロホンの指
向パターン(ポーラパターン)を図3に示す。
【0044】図3に示すように、この単一指向性マイク
ロホンは、最大感度を「1」とした場合、この最大感度
の方向に対して±90度の方向の感度は「0.5」、最
大感度の方向に対して180度の方向の感度は「0」と
されている。
【0045】そして、希望音到来方向を、図2におい
て、0度方向としたとき、第1のマイクロホンM1は、
その主指向軸方向(図2の指向パターンに重ねて矢印で
示す最大感度方向、以下同じ)を0度方向に向けて配置
し、第2のマイクロホンM2は、その主指向軸方向を9
0度方向に向けて配置し、第3のマイクロホンM3は、
その主指向軸方向を180度方向に向けて配置してい
る。つまり、第1〜第3のマイクロホンM1〜M3は、
互いに主指向軸方向が直交する向きに配置されている。
【0046】第1のマイクロホンM1の出力信号と、第
3のマイクロホンM3の出力信号は、加算回路11に供
給され、加算される。この加算回路11の出力信号は、
互いに180度異なる方向を主指向軸方向とするマイク
ロホンの加算信号であるから、無指向性となる。これ
は、前述した図9の主要入力用マイクロホン7の出力特
性に等しい。この加算回路11の出力信号は、A/Dコ
ンバータ12でデジタル信号に変換され、減算回路14
に供給される。
【0047】また、第3のマイクロホンM3は、前述し
た参照入力用マイクロホン8に対応している。この第3
のマイクロホンM3の出力は、A/Dコンバータ13で
デジタル信号に変換され、適応フィルタ回路15に供給
される。この適応フィルタ回路15は、図10に示した
ものと同様に、適応型線形結合器100と、フィルタ係
数の更新のアルゴリズムとして例えばLMS法を用いる
フィルタ係数演算回路110とからなる。
【0048】そして、適応型線形結合器100の出力信
号が減算回路14に供給されて、A/Dコンバータ12
からの信号から減算される。この減算回路14の出力信
号は適応フィルタ回路15のフィルタ係数演算回路11
0にフィールドバックされると共に、D/Aコンバータ
16によりアナログ信号に戻され、出力端子17に導出
される。
【0049】減算回路14と、適応フィルタ回路15と
は、適応雑音キャンセラーを構成し、フィルタ係数演算
回路110は、前記(3)式にしたがい、フィルタ係数
の更新を行う。ただし、この場合、以下に説明するよう
に、前記(3)式の更新式のステップゲインμは、信号
到来方向に応じて最適な値に設定されるように制御され
る。
【0050】すなわち、第1〜第3のマイクロホンM1
〜M3の出力信号は、方向検知及びパラメータ制御回路
21に供給される。
【0051】図2に示したように3個の単一指向性マイ
クロホンM1〜M3を配置すると、これら3個のマイク
ロホンM1〜M3に対して、音信号の到来方向によって
図4に示すような感度マトリクスを得ることができる。
一般に、マイクロホンの感度は、その出力信号レベルに
比例するから、図2を参照すると、これら3個のマイク
ロホンM1〜M3の出力信号レベルの大小関係から、音
の入射方向を求めることができる。そこで、この制御回
路21は、3個のマイクロホンM1〜M3の出力信号の
レベルの大小を比較することにより、音の入射方向を検
知する。
【0052】また、この制御回路21には、予め、実験
などにより、音の入射方向と、最適ステップゲインμの
値の対応テーブルが作成され、メモリに記憶されてい
る。制御回路21では、この対応テーブルを参照して、
検知した音の入射方向に対する最適ステップゲインの値
が求められる。そして、この最適ステップゲインの値
が、パラメータとしてフィルタ係数演算回路110に供
給される。
【0053】したがって、適応フィルタ回路15は、常
に、そのときの音の入射方向に最適なステップゲインの
値でフィルタ係数を更新する適応処理が行われ、その結
果、適応速度、雑音低減量共に、より優れた超指向性マ
イクロホン装置を実現することができる。
【0054】なお、図1の例においては、3個のマイク
ロホンM1〜M3の出力の全てを音の入射方向の検知に
使用したが、図4から明らかなように、マイクロホンM
1とマイクロホンM2、あるいはマイクロホンM2とマ
イクロホンM3との組み合わせの2個のマイクロホンの
出力から音の入射方向の検知を行うことができる。ま
た、この場合に、2個のマイクロホンは、互いに直交す
る方向に主指向軸の方向を向ける必要はなく、互いの主
指向軸の方向が交差するように配置されていれば、音の
入射方向の検知を行うことができる。
【0055】次に、図6は、この発明によるマイクロホ
ン装置の他の実施例のブロック図である。この例は、3
個の無指向性マイクロホンM11、M12、M13を用い、こ
れら3個のマイクロホンM11、M12、M13の出力に基づ
いて、いわゆる2次元の音響インテンシティを算出して
音の入射方向を検知するようにした場合の例である。
【0056】音響インテンシティとは、音の進行方向に
垂直な単位面積を単位時間当たりに通過したエネルギー
量で定義されるもので、 (音圧)×(粒子速度) [W/m2 ] で表される。音響インテンシティの計測は、音の進行方
向と平行に並んだ2つのマイクロホンを用いて行うこと
ができ、その音圧値の差分から音の粒子速度を近似し、
同様に音圧値より前記2つのマイクロホン間の中点にお
ける音圧を推定することができる。
【0057】したがって、互いに例えば直交する方向に
それぞれ2個のマイクロホンを並べて2次元の音響イン
テンシティを計測すれば、それぞれの2個のマイクロホ
ン配列方向の音響インテンシティベクトルの合成により
音の到来方向を検知することができる。
【0058】この例は以上の点を踏まえたもので、図7
に示すように、90度方向(x方向)に、マイクロホン
M11とマイクロホンM12とを所定の距離dだけ離して配
置すると共に、0度方向(y方向)にマイクロホンM11
とマイクロホンM13とを同じ距離dだけ離して配置す
る。そして、これら3個のマイクロホンM11、M12、M
13の出力信号が、方向検知及びパラメータ制御回路22
に供給される。
【0059】そして、制御回路22では、マイクロホン
M11とマイクロホンM12の出力からx方向の音響インテ
ンシティベクトルが求められ、また、マイクロホンM11
とマイクロホンM13の出力からy方向の音響インテンシ
ティベクトルが求められる。そして、これら2次元の音
響インテンシティベクトルから、その瞬間の音のエネル
ギーの流れ、すなわち、音の到来方向が検知される。
【0060】この例においても、制御回路22は、音の
入射方向と、最適ステップゲインμの値との対応テーブ
ルが記憶されているメモリを有しており、この対応テー
ブルを参照して、検知した音の入射方向に対する最適ス
テップゲインの値を求める。そして、求めた最適ステッ
プゲインの値が、パラメータとしてフィルタ係数演算回
路110に供給される。
【0061】また、この例の場合には、マイクロホンM
11の出力信号がA/Dコンバータ11に供給され、その
デジタル出力信号が主要入力として減算回路14に供給
される。また、マイクロホンM11の出力信号からマイク
ロホンM13の出力信号が減算回路18で減算されて、こ
の減算回路18から最高感度の方向が希望音方向に対し
て反対の180度方向となる単一指向性の信号が得られ
る。この減算回路18の出力信号は、A/Dコンバータ
13に供給され、その出力デジタル信号が参照入力とし
て適応フィルタ回路15に供給される。そして、前述し
た音の入射方向に応じた最適のステップゲインμの状態
で適応処理が行われ、雑音低減処理がなされる。
【0062】なお、図8に示すように、双指向性のマイ
クロホンM21とマイクロホンM22とを、その主指向軸の
方向が互いに90度異なる方向を向くように配置するこ
とにより、上述と同様にして2次元の音響インテンシテ
ィベクトルを求めることができるので、これら2個のマ
イクロホンM21、M22の出力を用いて音の到来方向を検
知するようにしてもよい。
【0063】なお、2次元の音響インテンシティベクト
ルの方向は、互いに直交する方向である必要はなく、互
いに交差する方向であればよい。
【0064】フィルタ係数の更新のアルゴリズムとして
は、上述のLMS法に限らず、例えば学習同程法やその
他のアルゴリズムを用いることができることはいうまで
もない。
【0065】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、適応雑音キャンセラーを用いた超指向性マイクロホ
ン装置において、音の到来方向により最適のステップゲ
インが異なることを踏まえて、音の到来方向を検知し、
その検知した音の到来方向に応じて最適のステップゲイ
ンを設定するようにしたので、適応速度、雑音低減量共
に、優れた超指向性マイクロホンを実現することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるマイクロホン装置の一実施例の
ブロック図である。
【図2】図1の例のマイクロホンの配置例を示す図であ
る。
【図3】図1の例のマイクロホンの指向特性のポーラパ
ターンを示す図である。
【図4】図1の例の音の入射方向の検知方法の説明のた
めの図である。
【図5】音の到来方向に対するステップゲインと、信号
低減量との関係を示す図である。
【図6】この発明によるマイクロホン装置の他の実施例
のブロック図である。
【図7】図6の例のマイクロホンの配置例を示す図であ
る。
【図8】この発明によるマイクロホン装置における音の
到来方向検知のための複数個のマイクロホンの配置の他
の例を示す図である。
【図9】適応雑音キャンセラーの概要を説明するための
図である。
【図10】先に提案されたマイクロホン装置に使用され
たマイクロホンの指向特性を説明するための図である。
【図11】適応フィルタ回路の一例のブロック図であ
る。
【符号の説明】
M1〜M3、M11〜M13 マイクロホン 14 減算回路 15 適応フィルタ回路 21、22 方向検知及びパラメータ制
御回路 100 適応型線形結合器 110 フィルタ係数演算手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 行徳 薫 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 希望音を収音するための第1のマイクロ
    ホンと、 前記希望音の到来方向の感度が低い指向性の第2のマイ
    クロホンと、 前記第2のマイクロホンの出力信号が供給される適応フ
    ィルタ手段と、 前記第1のマイクロホンの出力信号から、前記適応フィ
    ルタ手段の出力信号を減算する合成手段と、 音の入射方向を検出する検出手段とを備え、 前記適応フィルタ手段は、前記合成手段の出力パワーが
    最小化されるように、その出力信号を調整するものであ
    るが、適応演算部の利得因子パラメータが、前記検出手
    段で検出された音の入射方向に応じて制御されるように
    なされたマイクロホン装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のマイクロホン装置にお
    いて、 前記検出手段は、複数個のマイクロホンで構成され、こ
    れら複数個のマイクロホンの出力のレベル比によって音
    の入射方向を判別するようにしたことを特徴とするマイ
    クロホン装置。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のマイクロホン装置にお
    いて、 前記検出手段は、前記第1及び第2のマイクロホンの受
    音点における、互いに交差する方向の音響インテンシテ
    ィベクトルを計測する手段で構成され、この互いに交差
    する方向の音響インテンシティベクトルから音の入射方
    向を判別するようにしたことを特徴とするマイクロホン
    装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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