JP2007180896A - 音声信号処理装置および音声信号処理方法 - Google Patents

音声信号処理装置および音声信号処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】指向特性を狭い角度範囲で高いものとすることが可能な音声信号処理装置を提供すること。
【解決手段】第1のマイクロフォン(マイクロフォン11)と、第1のマイクロフォンと近接して配置されるとともに、第1のマイクロフォンとは異なる指向性を有する第2のマイクロフォン(マイクロフォン12)と、第1のマイクロフォンおよび/または第2のマイクロフォンの信号から、所定の相関を有する信号を抽出する抽出手段(係数固定フィルタ21、減算回路22、係数可変フィルタ23、減算回路24、フィードバック回路25)と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、音声信号処理装置および音声信号処理方法に関する。
本願発明者は、特許文献1において、2つのマイクロフォンから出力される信号に基づいて、特定の角度範囲またはその一部からの音波の成分を抽出する音声信号処理装置に関する発明を開示している。
特許文献1に示す発明では、方向によって位相特性が異なる無指向性および双方向性のマイクロフォンを使用し、これらのマイクロフォンからの出力信号の位相差に応じて、特定の角度範囲またはその一部からの音波の成分を抽出する。
特開2005−72642号公報(要約書、特許請求の範囲)
ところで、マイクロフォンの位相特性は、周波数によって異なる。抽出しようとする成分が音声信号である場合、音声信号には複数の周波数の成分が含まれていることから、位相特性に依存する特許文献1に開示される発明では、音声信号を必ずしも効率よく抽出できない場合があるという問題点がある。
また、双指向性特性またはカージオイド特性を有するマイクロフォンでは、特定の角度を境として位相特性が急激に変化する。このため、当該特定の角度付近では周波数に応じて位相特性が大きく異なり、これに起因して、当該特定の角度付近から入力される音声が、例えば、断続的に抽出され、不自然な印象を与える場合があるという問題点がある。
本発明は、上記の事情に基づきなされたもので、その目的とするところは、指向特性を狭い角度範囲で高いものとすることが可能な音声信号処理装置および音声信号処理方法を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明の音声信号処理装置は、第1のマイクロフォンと、第1のマイクロフォンと近接して配置されるとともに、第1のマイクロフォンとは異なる指向性を有する第2のマイクロフォンと、第1のマイクロフォンおよび/または第2のマイクロフォンの信号から、所定の相関を有する信号を抽出する抽出手段と、を有する。
また、他の発明の音声信号処理装置は、上述の発明に加えて、抽出手段が、目標音源の信号を第1のマイクロフォンおよび/または第2のマイクロフォンの信号から削除し、目標音源以外の信号を生成する目標音源信号削除手段と、第1のマイクロフォンおよび/または第2のマイクロフォンの信号から目標音源信号削除手段で生成された信号を用いて目標音源以外の成分を除去する目標音源信号抽出手段と、を有するようにしいている。
また、他の発明の音声信号処理装置は、上述の発明に加えて、第1のマイクロフォンと第2のマイクロフォンが、音波の入射角による位相特性または遅延特性がさらに異なるようにしている。
また、他の発明の音声信号処理装置は、上述の発明に加えて、目標音源信号削除手段が、第1のマイクロフォンまたは第2のマイクロフォンの出力信号の一方に対して所定の振幅特性および位相特性を有するフィルタ処理を施し、第1のマイクロフォンまたは第2のマイクロフォンの出力信号の他方から、フィルタ処理によって得られた信号を減算して出力するようにしている。
また、他の発明の音声信号処理装置は、上述の発明に加えて、フィルタ処理が、目標音源からの音波に対応する出力信号の実効値が最小になるようにフィルタ係数を学習するようにしている。
また、他の発明の音声信号処理装置は、上述の発明に加えて、目標音源信号抽出手段が、目標音源信号削除手段の出力信号に対して所定の振幅特性および位相特性を有するフィルタ処理を施し、第1のマイクロフォンおよび/または第2のマイクロフォンの出力信号から、フィルタ処理によって得られた信号を減算して出力するようにしている。
また、他の発明の音声信号処理装置は、上述の発明に加えて、フィルタ処理が、目標音源信号抽出手段の出力信号の実効値が最小となるように妨害音源の変化に追随してフィルタ係数が設定されるようにしている。
また、他の発明の音声信号処理装置は、上述の発明に加えて、目標音源からの音波に対応する信号のレベルと、妨害音源からの音波に対応する信号のレベルを比較し、前者が後者よりも所定レベル以上大きい場合には、フィルタ係数の設定を中止し、それ以前の値を用いるようにしている。
また、本発明の音声信号処理方法は、第1のマイクロフォンからの信号と、第1のマイクロフォンと近接して配置されるとともに、第1のマイクロフォンとは異なる指向性を有する第2のマイクロフォンからの信号を入力し、第1のマイクロフォンおよび/または第2のマイクロフォンの信号から、所定の相関を有する信号を抽出する、ようにしている。
本発明は、指向特性を狭い角度範囲で高いものとすることが可能な音声信号処理装置および音声信号処理方法を提供することができる。
以下、本発明の一実施の形態について図に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る音声信号処理装置の構成例を示す図である。なお、本発明の実施の形態に係る音声信号処理方法については、音声信号処理装置の動作として説明する。この図に示すように、本発明の実施の形態に係る音声信号処理装置は、マイクロフォン11,12、アンプ13,14、係数固定フィルタ21、減算回路22、係数可変フィルタ23、減算回路24、および、フィードバック回路25を主要な構成要素とする。
第1のマイクロフォンとしてのマイクロフォン11は、例えば、双指向性マイクロフォンである。双指向性マイクロフォンの指向特性は、図2(A)となっている。また、双指向性マイクロフォンでは、図中Aの角度を境に、正面側の180度の角度範囲から入射した音波に対する出力信号の位相と、背面側の180度の角度範囲から入射した音波に対する出力信号の位相とは、180度異なる。なお、双指向性マイクロフォンとしては、速度型マイクロフォンがあり、リボン型マイクロフォンなどで実現される。
速度型マイクロフォンは、振動板の周囲が開放された構造を有する。振動板の周囲が開放されている場合、振動板の大きさが音波の波長に対して十分小さければ、振動板の正面側の気圧と背面側の気圧は同じになり、振動板は、気圧の変化ではなく、空気の直接的な動きに従って動く。したがって、速度型マイクロフォンでは、振動板の正面側から音波が入射する場合と、振動板の背面側から音波が入射する場合とでは、振動板の振動方向が逆になる。これにより、速度型マイクロフォンでは、マイクロフォンから見た音源の方向が正面側にある場合と背面側にある場合とでは、出力信号の位相が反転する。
また、第2のマイクロフォンとしてのマイクロフォン12は、マイクロフォン11に近接して(例えば両者間の間隙が1センチメートル未満で)配置される。マイクロフォン11とは異なる特性を有している。すなわち、マイクロフォン11,12は、互いに近接して配置され、入射する音波に対して互いに異なる振幅および位相の出力信号を出力する。
本発明の実施の形態では、マイクロフォン12は、無指向性マイクロフォンである。無指向性マイクロフォンの指向特性は、図2(B)となっている。無指向性マイクロフォンからは、全角度範囲において同一の位相の出力信号が出力される。なお、無指向性マイクロフォンとしては、圧力型マイクロフォンがあり、ダイナミック型マイクロフォン、コンデンサ型マイクロフォン、エレクトレットコンデンサ型マイクロフォンなどで実現される。
圧力型マイクロフォンは、振動板の正面側が開放され、背面側がハウジングで密閉された構造を有する。圧力型マイクロフォンの場合、背面側が密閉されているので、振動板の背面側の気圧は一定となり、正面側の気圧の変化によって振動板が動かされる。これにより、圧力型マイクロフォンは、マイクロフォンの配置場所における気圧の変化に従った波形信号を出力する。また、マイクロフォンの周囲の気圧変化は、マイクロフォンから見た音源の方向によらないので、音源の方向に拘わらず、感度が一定であり、出力信号の位相も一定である。
近接した無指向性マイクロフォンと双指向性マイクロフォンが同一音源からの音波を同一のタイミングで感受した場合、双指向性マイクロフォンの正面側の180度の角度範囲から入射した音波に対する出力信号の位相は、無指向性マイクロフォンの出力信号の位相とほぼ同位相となる。また、双指向性マイクロフォンの背面側の180度の角度範囲から入射した音波に対する出力信号は、無指向性マイクロフォンの出力信号の位相とほぼ逆位相となる。
アンプ13は、マイクロフォン11から出力される信号を所定のゲインで増幅して出力信号S1として出力する。アンプ14は、マイクロフォン12から出力される信号を所定のゲインで増幅して出力信号S2として出力する。
抽出手段の一部および目標音源信号削除手段の一部としての係数固定フィルタ21は、アンプ14の出力信号S2に対して、予め定められたフィルタ係数によりフィルタ処理を実行し、得られた信号S3を出力する。係数固定フィルタ21は、例えば、FIR(Finite Impulse Response)フィルタによって構成される。係数固定フィルタ21および減算回路22は、妨害音源からの音波に対応する信号をマイクロフォン11の出力信号から抽出する抽出手段を構成する。なお、本明細書において、「妨害音源」とは、目標音源以外の音源としての、例えば、ノイズ音源をいう。また、「目標音源」とは、抽出しようとする目標の音源であり、例えば、話者の発話をいう。具体的には、本実施の形態は、例えば、自動車等の車両内に配置されるカーナビゲーション装置の音声認識装置の入力装置として使用され、目標音源は運転者としての話者の発話をいい、妨害音源はエンジン音、ロードノイズ、風切り音等である。
係数固定フィルタ21は、後述するように、最初に使用する際に、妨害音源からの音波が存在しない状態(例えば、自動車のエンジンが停止された状態)において、目標音源からの音波を発生させ(例えば、運転者に発話を行わせ)、減算回路22からの出力信号の実効値が最小となるようにフィルタ係数を設定する。すなわち、係数固定フィルタ21は、最初に使用する際には、いわゆる適応フィルタとして動作する。
抽出手段の一部および目標音源信号削除手段の一部としての減算回路22は、アンプ13の出力信号S1から係数固定フィルタ21の出力信号S3を減算し、出力信号S4として出力する。
抽出手段の一部および目標音源信号抽出手段の一部としての係数可変フィルタ23は、減算回路22の出力信号S4に対して、リアルタイムで更新されるフィルタ係数によりフィルタ処理を実行し、出力信号S5として出力する。係数可変フィルタ23は、係数固定フィルタ21と同様に、例えば、FIRフィルタによって構成される。係数可変フィルタ23および減算回路24は、妨害音源からの音波に対応する信号をマイクロフォン11の出力信号S1から除去し、目標音源からの音波に対応する信号を得る除去手段を構成する。
係数可変フィルタ23のフィルタ係数は、後述するように、実際の使用時(すなわち、自動車の運転時等)において、減算回路24の出力信号S6の実効値が最小となるように、フィードバック回路25によってフィードバックされる値に応じてリアルタイムで設定される。すなわち、係数可変フィルタ23は、いわゆる適応フィルタとして動作する。
抽出手段の一部および目標音源信号抽出手段の一部としての減算回路24は、アンプ13の出力信号S1から係数可変フィルタ23の出力信号S5を減算し、出力信号S6として出力する。
抽出手段の一部および目標音源信号抽出手段の一部としてのフィードバック回路25は、減算回路24の出力信号S6を係数可変フィルタ23にフィードバックする回路である。係数可変フィルタ23は、フィードバックされた値に基づいて、出力信号S6の実効値が最小となるように、フィルタ係数をリアルタイムで設定する。
つぎに、以上の実施の形態の動作について説明する。
まず、音声信号処理装置を自動車に搭載した後に、最初に使用する際において、係数固定フィルタ21のフィルタ係数を決定する際の動作について説明する。
図3は、係数固定フィルタ21のフィルタ係数を設定する場合における構成例を示すブロック図である。この例では、図1の場合と比較して、フィードバック回路30が新たに追加されている。それ以外は、図1の場合と同様である。ここで、フィードバック回路30は、減算回路22の出力信号S4を、係数固定フィルタ21にフィードバックする回路である。
図3に示す回路において、係数固定フィルタ21のフィルタ係数を設定する場合、まず、エンジンを停止した状態(妨害音源の影響が少ない状態)とする。そして、自動車の場合には、運転者が運転席に着座し、運転時と同様の体勢(例えば、ハンドルを握った状態)において、例えば、10秒間程度発話を行う。なお、発話を行う代わりに、例えば、ホワイトノイズを発生する装置(例えば、選局していない状態のラジオ受信機等)を、運転者の口の位置に掲げるようにしてもよい。ホワイトノイズには全ての周波数成分が含まれているので、そのような装置を使用することでも、係数固定フィルタ21の係数を設定することができる。
運転者またはホワイトノイズ発生装置から放射された音波は、空間を伝搬し、マイクロフォン11およびマイクロフォン12に到達する。マイクロフォン11,12は、音波を対応する電気信号に変換して出力する。マイクロフォン11,12から出力された電気信号は、アンプ13,14でそれぞれ所定のゲインで増幅され、出力信号S1,S2としてそれぞれ出力される。
係数固定フィルタ21は、予め設定されているデフォルトの係数に基づいてフィルタリング処理を実行し、出力信号S3として出力する。減算回路22は、アンプ13の出力信号S1から、係数固定フィルタ21の出力信号S3を減算して出力信号S4として出力する。フィードバック回路30は、減算回路22の出力信号S4を係数固定フィルタ21にフィードバックする。係数固定フィルタ21は、フィードバック回路30によってフィードバックされる値の実効値が最小となるように、適応アルゴリズムに基づいて係数を設定する。なお、適応アルゴリズムとしては、例えば、学習同定法、LMS(Least Mean Square)法、MSE(Mean Square Error)法、射影法等がある。
このような適応アルゴリズムに基づいて、係数固定フィルタ21の係数を設定することにより、運転者とマイクロフォン11,12の位置関係、マイクロフォン11,12の特性(位相差等)、および、その他の音響条件(例えば、自動車の室内の反射特性および残響特性等)に適合した係数が設定される。すなわち、減算回路22の出力信号S4から、運転者の音声信号が高い割合で除外された状態となるように、係数が設定される。
図4は、マイクロフォン11,12の指向特性および減算回路22の出力における指向特性を示す図である。特性曲線d1は、マイクロフォン11の指向特性を示している。この図に示すように、マイクロフォン11は双指向性を有している。特性曲線d2は、マイクロフォン12の指向特性を示している。この図に示すように、マイクロフォン12は、無指向性を有している。特性曲線d3は、減算回路22の出力における指向特性を示している。この図に示すように、減算回路22の出力における指向特性は、話者の方向の感度が減衰した状態となっている。前述の処理により、係数固定フィルタ21の係数を設定することにより、図4に示す減衰位置が話者の方向に対応するように設定されるとともに、減衰率がより大きくなるように設定される。
以上の処理により、係数固定フィルタ21の係数が設定される。なお、このような設定処理は、音声信号処理装置を初めて使用する際に実行すればよい。すなわち、以上のようにして設定された係数は、固定値として記憶され、次回以降の処理においても使用されるので、それ以降は設定する必要がない。設定が完了すると、フィードバック回路30は除外される。
つぎに、係数固定フィルタ21の係数が設定された後の通常状態における動作を説明する。
通常の状態とは、音声信号処理装置が設置された自動車が、例えば、走行している状態をいう。この場合、図4に示すように、話者である運転者が発話すると、話者からの音声とともに、自動車の各部から発生するノイズがマイクロフォン11,12に入力される状態となる。
マイクロフォン11,12は、図4に示す指向特性に応じて、運転者の音声およびノイズを感受し、電気信号に変換して出力する。アンプ13,14は、マイクロフォン11,12の出力信号をそれぞれ所定のゲインで増幅して出力信号S1,S2としてそれぞれ出力する。係数固定フィルタ21は、前述した処理によって係数が予め設定されているので、当該係数を用いてアンプ14からの出力信号S2に対してフィルタ処理を施し、出力信号S3として出力する。減算回路22は、アンプ13の出力信号S1から係数固定フィルタ21の出力信号S3を減算して出力する。
ここで、アンプ13,14の出力信号S1,S2の離散時系列信号をS1(n),S2(n)とし、減算回路22の出力信号S4の離散時系列信号をS4(n)とし、係数固定フィルタ21のインパルス応答をh1とすると、S1(n),S2(n),S4(n)の間には、以下の関係が成立する。
Figure 2007180896
なお、h1は、FIRである係数固定フィルタ21の係数であり、前述の適応処理により設定されたものである。前述のように、当該係数は、話者の音声を高い割合で除去するように設定されていることから、減算回路22の出力信号の離散時間信号系列S4(n)からは、話者の音声が高い割合で除去され、ノイズ成分が多く含まれた信号となる。
係数可変フィルタ23は、減算回路22の出力信号S4に対して所定のフィルタ係数を用いてフィルタ処理を施し、出力信号S5として出力する。なお、フィルタ係数については、後述するように、フィードバック回路25のフィードバック値を参照して、係数可変フィルタ23がリアルタイムで設定する。
減算回路24は、アンプ13の出力信号S1から係数可変フィルタ23の出力信号S5を減算し、出力信号S6として出力する。
フィードバック回路25は、減算回路24の出力信号S6をフィードバックする。係数可変フィルタ23は、フィードバックされた出力信号S6の実効値が最小となるように、係数をリアルタイムで設定する。すなわち、係数可変フィルタ23は、出力信号S6の実効値が最小となるように、適応アルゴリズムである学習同定法、LMS法、MSE法、または、射影法等に基づいて、フィルタ係数を設定する。このように、出力信号S6の実効値が最小となるようにフィルタ係数を設定することで、ノイズ成分を高い割合で除去し、話者の音声信号を効率よく抽出することができる。
ここで、アンプ13の出力信号の離散系列信号をS1(n)とし、減算回路22の出力信号S4の離散時系列信号をS4(n)とし、減算回路24の出力信号S6の離散時系列信号をS6(n)とし、係数可変フィルタ23のインパルス応答をh2とすると、S1(n),S4(n),S6(n)の間には、以下の関係が成立する。
Figure 2007180896
ところで、係数固定フィルタ21の係数は固定であるが、係数可変フィルタ23の係数はリアルタイムで更新される。これは、目標音源である話者とマイクロフォン11,12との位置関係は通常は変化しないが、妨害音源であるノイズ源は、音源の位置、音量、および、音質(周波数特性)等が時々刻々と変化することに起因する。ノイズ成分を効率よく除去するためには、これらの変化に対応してフィルタ係数を変化させ、ノイズ成分の振幅特性および位相特性等を調整することで、減算回路24でノイズ成分を効率よく相殺させる必要がある。
すなわち、係数可変フィルタ23のインパルス応答特性であるh2は、その時々におけるノイズ源の状態に即して設定される。係数可変フィルタ23は、減算回路24から出力される、主にノイズ成分から構成される信号の振幅特性および位相特性を調整し、減算回路24において、アンプ13の出力信号S1からノイズ成分が高い割合で除去されて、音声信号が確実に抽出されるように設定する。
以上の処理により、目標音源である話者の音声信号を、妨害音源のノイズ成分から抽出して出力することができる。すなわち、本発明の実施の形態に係る音声信号処理装置では、マイクロフォン11および/またはマイクロフォン12の信号から、所定の相関を有する目標音源である話者の音声信号を抽出することができる。
なお、係数可変フィルタ23は、話者の音声信号と、ノイズ信号とを比較し、前者が後者に比べて十分に小さくない場合には、係数の更新を停止し、それ以前の値を用いるようにしてもよい。すなわち、話者の音声信号がノイズ信号と比較して、十分に小さい場合には、減算回路22の出力信号S3はほぼノイズ信号だけとなるので、ノイズ信号が高い割合で除去されるようにフィルタ係数が設定される。一方、話者の音声信号がノイズ信号に比較して十分に小さくない場合には、減算回路22の出力信号S4には、話者の音声信号も含まれた状態となる。その場合、実効値が最小となるように係数を設定したのでは、当該話者信号についても除去するように設定がなされてしまう。このため、話者の音声信号の出力レベルが低下してしまう。また、そのような場合には、目的としない信号を対象として係数が設定されることから、適応アルゴリズムによる係数の設定が意図しない方向に推移してしまう。
そこで、話者の音声信号と、ノイズ信号とを比較し、前者が後者に比べて十分に小さくない場合(例えば、音声信号がノイズ信号よりも所定レベル以上大きい場合)には、係数の更新を停止し、それ以前の値(例えば、直前の値)を用いることにより、前述のような不具合の発生を回避することができる。なお、話者の音声信号と、ノイズ信号とを比較する方法としては、例えば、減算回路22の出力信号S4の実効値(ノイズ信号に対応する信号)と、フィードバック回路25によるフィードバック値(音声信号に対応する信号)とを比較すればよい。
なお、上述の実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
例えば、以上の実施の形態では、係数固定フィルタ21の係数については、最初に使用する際に設定するようにしたが、話者とマイクロフォン11,12との位置関係は、概略決まっている場合が多いので、当該位置関係に基づいてデフォルト値として予め設定しておき、必要に応じて当該係数を変更するようにしてもよい。
また、以上の実施の形態では、係数固定フィルタ21および係数可変フィルタ23としては、ともにFIRフィルタを使用するようにしたが、例えば、これらの一方または双方にIIR(Infinite Impulse Response)フィルタを用いるようにしてもよい。また、以上の実施の形態では、係数固定フィルタ21および係数可変フィルタ23の係数の次数はMで同じとしたが、これらが異なるようにしてもよい。
また、以上の実施の形態では、出力信号S6を得るために、減算回路24において、マイクロフォン11の出力信号S1から係数可変フィルタ23の出力信号S5を減算するようにしたが、例えば、マイクロフォン12の出力信号S2から係数可変フィルタ23の出力信号S5を減算して出力信号S6を得るようにしてもよい。あるいは、マイクロフォン11,12の出力信号S1,S2を混合した信号から係数可変フィルタ23の出力信号S5を減算したり、マイクロフォン11,12の出力信号S1,S2の少なくとも一方に対してフィルタ処理を施した後に混合して得られた信号から係数可変フィルタ23の出力信号S5を減算し、出力信号S6を得るようにしたりしてもよい。
また、マイクフォン11としては、双指向性マイクロフォンを用い、また、マイクロフォン12としては無指向性マイクロフォンを用いるようにしたが、これら以外のマイクロフォンの組み合わせとしてもよい。例えば、マイクロフォン11,12としてそれぞれ無指向性マイクロフォンを用いて、話者からの音波の到達時間の差に基づいて、話者の音声を相殺するようにしてもよい。なお、マイクロフォン11,12としては、少なくとも振幅特性が異なるものであればよい。また、位相特性および遅延特性が異なるものであってもよい。
また、以上の実施の形態では、音声信号処理装置を自動車に搭載する場合(カーナビゲーション装置の音声認識装置の入り口として使用する場合)を想定して説明したが、例えば、携帯電話機等に本発明の音声信号処理装置を使用するようにしてもよい。
本発明は、例えば、カーナビゲーション装置または携帯電話機に利用することができる。
本発明の実施の形態に係る音声信号処理装置の構成例を示すブロック図である。 図1に示すマイクロフォンの指向特性を示す図であり、(A)は双指向性マイクロフォンの指向特性を示し、(B)は無指向性マイクロフォンの指向特性を示す図である。 図1に示す音声信号処理装置を最初に使用する場合の構成例を示すブロック図である。 図1に示す2つのマイクロフォンのそれぞれの指向特性と、2つのマイクロフォンの差分の指向特性を示す図である。
符号の説明
11 マイクロフォン(第1のマイクロフォン),12 マイクロフォン(第2のマイクロフォン),21 係数固定フィルタ(抽出手段の一部、目標音源信号削除手段の一部),22 減算回路(抽出手段の一部、目標音源信号削除手段の一部),23 係数可変フィルタ(抽出手段の一部、目標音源信号抽出手段の一部),24 減算回路(抽出手段の一部、目標音源信号抽出手段の一部),25 フィードバック回路(抽出手段の一部、目標音源信号抽出手段の一部)

Claims (9)

  1. 第1のマイクロフォンと、
    上記第1のマイクロフォンと近接して配置されるとともに、上記第1のマイクロフォンとは異なる指向性を有する第2のマイクロフォンと、
    上記第1のマイクロフォンおよび/または上記第2のマイクロフォンの信号から、所定の相関を有する信号を抽出する抽出手段と、
    を備えたことを特徴とする音声信号処理装置。
  2. 前記抽出手段は、
    目標音源の信号を前記第1のマイクロフォンおよび/または前記第2のマイクロフォンの信号から削除し、上記目標音源以外の信号を生成する目標音源信号削除手段と、
    前記第1のマイクロフォンおよび/または前記第2のマイクロフォンの信号から上記目標音源信号削除手段で生成された信号を用いて上記目標音源以外の成分を除去する目標音源信号抽出手段と、
    を有することを特徴とする請求項1記載の音声信号処理装置。
  3. 前記第1のマイクロフォンと前記第2のマイクロフォンは、音波の入射角による位相特性または遅延特性がさらに異なることを特徴とする請求項2記載の音声信号処理装置。
  4. 前記目標音源信号削除手段は、前記第1のマイクロフォンまたは前記第2のマイクロフォンの出力信号の一方に対して所定の振幅特性および位相特性を有するフィルタ処理を施し、前記第1のマイクロフォンまたは前記第2のマイクロフォンの出力信号の他方から、上記フィルタ処理によって得られた信号を減算して出力することを特徴とする請求項2記載の音声信号処理装置。
  5. 前記フィルタ処理は、前記目標音源からの音波に対応する出力信号の実効値が最小になるようにフィルタ係数を学習することを特徴とする請求項4記載の音声信号処理装置。
  6. 前記目標音源信号抽出手段は、前記目標音源信号削除手段の出力信号に対して所定の振幅特性および位相特性を有するフィルタ処理を施し、前記第1のマイクロフォンおよび/または前記第2のマイクロフォンの出力信号から、上記フィルタ処理によって得られた信号を減算して出力することを特徴とする請求項2記載の音声信号処理装置。
  7. 前記フィルタ処理は、前記目標音源信号抽出手段の出力信号の実効値が最小となるように前記妨害音源の変化に追随して前記フィルタ係数が設定されることを特徴とする請求項6記載の音声信号処理装置。
  8. 前記目標音源からの音波に対応する信号のレベルと、前記妨害音源からの音波に対応する信号のレベルを比較し、前者が後者よりも所定レベル以上大きい場合には、前記フィルタ係数の設定を中止し、それ以前の値を用いることを特徴とする請求項7記載の音声信号処理装置。
  9. 第1のマイクロフォンからの信号と、上記第1のマイクロフォンと近接して配置されるとともに、上記第1のマイクロフォンとは異なる指向性を有する第2のマイクロフォンからの信号を入力し、
    上記第1のマイクロフォンおよび/または上記第2のマイクロフォンの信号から、所定の相関を有する信号を抽出する、
    ことを特徴とする音声信号処理方法。
JP2005376867A 2005-12-28 2005-12-28 音声信号処理装置および音声信号処理方法 Pending JP2007180896A (ja)

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