JPH06133388A - マイクロホン装置 - Google Patents

マイクロホン装置

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JPH06133388A
JPH06133388A JP21850192A JP21850192A JPH06133388A JP H06133388 A JPH06133388 A JP H06133388A JP 21850192 A JP21850192 A JP 21850192A JP 21850192 A JP21850192 A JP 21850192A JP H06133388 A JPH06133388 A JP H06133388A
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microphone
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adaptive
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徹 佐々木
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仁 大久保
Takayuki Mizuuchi
崇行 水内
Kaoru Gyotoku
薫 行徳
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 小型のマイクロホン装置で、所望方向から入
射する音のみを収音し、それ以外の音を適切に抑圧す
る。 【構成】 希望音声を収音するための第1のマイクロホ
ン11と、希望音声の到来方向の感度が低い指向性の第
2のマイクロホン12とを近接して配置し、第2のマイ
クロホン21の出力信号S21を、適応フィルタ回路24
を介して、減算手段15に供給して、減算手段では、第
1のマイクロホンの出力信号S11から適応フィルタ手段
の出力信号を減算する。減算手段の出力パワーが最小化
されるように適応フィルタ手段を調整すると共に、両マ
イクロホンの出力信号のレベル比S21/S11を検出する
レベル比検出手段51の出力に基づいて、適応フィルタ
手段の動作を制限する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、マイクロホン装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、カメラ一体型VTRでは、被写
体を撮影しながら、この被写体の周囲の音声を同時に録
音するようにしている。この録音に当たっては、一般
に、被写体の方向、即ち、カメラの正面方向からの音声
のみを主として収音するような指向性を有するマイクロ
ホン装置が用いられる。
【0003】この種のマイクロホン装置の一例として、
高次音圧傾度型、いわゆるガンマイクと呼ばれるものが
知られている。図10に示すように、このガンマイク
は、振動板1の前方(図の右側)に、パイプ部2が同軸
に配設され、パイプ部2の側壁に多数の透孔3が設けら
れて構成される。
【0004】図10Aに示すように、マイクロホンの前
方から到来する音波に対しては、各透孔3を経て振動板
1に到達するまでの経路長が、パイプ部2の先端からの
経路長と同一となり、各経路の音波が、同位相で加算さ
れて、互いに強め合う。一方、図10B,Cに示すよう
に、マイクロホンの側方または後方から到来する音波に
対しては、各透孔3から振動板1までの経路長が異な
り、各経路の音波が異なる位相で加算されて、全体とし
て弱められる。
【0005】こうして、前方からの音に対して感度が高
く、側方及び後方からの音に対して感度が低い、単一指
向性のマイクロホンが得られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
ようなマイクロホンは、長いパイプ部を必要とし、大型
になる欠点がある。また、前述のような単一指向性では
あっても、カメラの近傍で発せられた不要の音声は、例
えば、側方ないし後方から入射しても大きく収音されて
しまうという問題があった。
【0007】この発明は、以上の点にかんがみ、小型で
あって、しかも希望方向から入射する音のみを収音し、
それ以外の音を適切に抑圧することができるマイクロホ
ン装置を提供することを第1の目的とする。また、この
発明は、希望方向からの入射音に歪みが生じないように
することを第2の目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、この発明によるマイクロホン装置は、後述の実施例
の参照符号を対応させると、希望音声を収音するための
第1のマイクロホン11と、希望音声の到来方向の感度
が低い指向性の第2のマイクロホン21と、この第2の
マイクロホンからの音声信号が供給される適応フィルタ
手段24と、この適応フィルタ手段の出力信号を第1の
マイクロホンの音声信号から減算する減算手段15と、
第1及び第2のマイクロホンの音声信号のレベル比を検
出するレベル比検出手段51とを備え、減算手段の出力
パワーが最小化されるように適応フィルタ手段を調整す
る《と共に、レベル比検出手段の出力に基づいて、適応
フィルタ手段の動作を制限》するようにしたことを特徴
とする。
【0009】
【作用】かかる構成によれば、希望音声到来方向の感度
が低い第2のマイクロホン21からの音声信号は、第1
のマイクロホン11からの希望音声とは相関が少なく、
この発明のマイクロホン装置は、適応型雑音低減システ
ムの構成となり、減算手段の出力パワーが最小化される
と、第2のマイクロホン21の音声信号が第1のマイク
ロホン11からの音声信号から除去されて、希望音声の
みが出力される。
【0010】また、第2のマイクロホン21の音声信号
が所定のレベルより低いときは、適応処理が制限され
る。これにより、第2のマイクロホンの入力レベルが小
さい場合であっても、希望方向の入射音に歪みが生じる
のを防止することができる。すなわち、この発明のマイ
クロホン装置は、希望音声到来方向にのみ感度を有し、
それ以外の方向から入射する音を適切に抑圧する。
【0011】
【実施例】以下、図1〜図4を参照しながら、この発明
によるマイクロホン装置の一実施例について説明する。
【0012】図1において、11は希望音声を収音する
ための主要入力用マイクロホン、21は雑音として除去
したい方向の不要音声や周囲騒音を収音するための参照
入力用マイクロホンである。この例は、希望音声の到来
方向は、主として、図2において矢印ARで示すよう
に、図上、上方から下方に向かう方向(以下正面方向と
いう)であり、この方向と逆方向(以下背面方向とい
う)からの音を雑音として収音しないようにするマイク
ロホン装置を実現する例である。
【0013】この例の場合には、主要入力用マイクロホ
ン11は、図2に示すような無指向性のマイクロホンで
構成される。一方、参照入力用マイクロホン21は、図
2に示すように、希望音声到来方向に感度を有せず、背
面方向にのみ感度を有する単一指向性のマイクロホンで
構成される。
【0014】そして、主要入力用マイクロホン11によ
り収音され、電気信号に変換されて得られた音声信号
は、増幅器12を介してA−D変換器13に供給され
て、デジタル信号に変換され、遅延回路14を介して減
算回路15に供給される。また、参照入力用マイクロホ
ン21により収音され、電気信号に変換されて得られた
音声信号は、増幅器22を介してA−D変換器23に供
給されて、デジタル信号に変換され、適応フィルタ回路
24に供給される。
【0015】この実施例では、適応フィルタ回路24
は、図3に示すような、FIRフィルタ型の適応線形結
合器300と、この線形結合器300を適応制御する演
算回路、この例ではLMS演算回路320から構成さ
れ、A−D変換器23からのデジタル信号は、線形結合
器300を介して減算回路15に供給される。この適応
フィルタ回路24は、マイクロプロセッサからなるDS
P(デジタルシグナルプロセッサ)により構成すること
ができる。
【0016】減算回路15の出力信号は、この適応フィ
ルタ回路24の演算回路320に帰還されると共に、D
−A変換器16によりアナログ信号に戻され、出力端子
17に導出される。
【0017】さらに、この実施例では、レベル比検出回
路51が設けられ、このレベル比検出回路51には、増
幅器12,22とA−D変換器13,23を介して、各
マイクロホン11,21からの音声信号S11,S21が供
給されて、主要・参照の両入力音声信号のレベルが比較
される。レベル比検出回路51の出力信号が、制御信号
として、適応フィルタ回路24の演算回路320に供給
される。
【0018】なお、D−A変換器16を省いて、減算回
路15の出力信号をデジタル信号のままで出力端子17
に導出するようにしてもよい。また、遅延回路14は、
適応フィルタ回路24での伝播時間や適応処理のための
演算に要する時間遅れなどの時間遅延を補償するための
ものである。
【0019】適応フィルタ回路24では、後述するよう
に、主要入力音声信号中に含まれる雑音成分に、参照入
力音声信号が近似するように制御される。これにより、
主要入力用マイクロホン11で収音された音声中の希望
音声と雑音とが無相関であるとすると、減算回路15で
は、主要入力用マイクロホン11の音声信号から、参照
入力用マイクロホン21の音声信号(雑音)が減算され
て除去され、減算回路15からは、希望音声信号のみが
得られる。すなわち、この実施例の構成は、主要入力と
して主要入力用マイクロホン11の出力音声信号が供給
され、参照入力としての雑音として参照入力用マイクロ
ホン21の出力音声信号が供給された適応型雑音低減シ
ステムの構成となっている。 まず、このシステムの基
本動作を説明する。この場合、A−D変換器13からの
主要入力音声信号は、矢印ARの正面方向からの希望音
声信号sと、これと無相関と考えられる背面方向からの
雑音n0 とが加算されたものである。一方、A−D変換
器23からの参照入力音声信号を、n1 とすると、上記
の説明から明らかなように、この参照入力音声信号n1
は、希望音声信号とは無相関であるが、雑音n0 とは相
関がある。適応フィルタ回路24は、参照入力音声信号
n1 をフィルタリングして信号yを出力し、適応のアル
ゴリズムは、減算回路15の出力である減算誤差eを最
小にするように働く。
【0020】今、s,n0 ,n1 ,yが統計的に定常で
あり、平均値が0であると仮定すると出力は、 e=s+n0 −y となる。これを二乗したものの期待値は、sがn0 と、
また、yと無相関であるから、 E[e2 ]=E[s2 ]+E[(n0 −y)2 ]+2E[s(n0 −y)] =E[s2 ]+E[(n0 −y)2 ] となる。適応フィルタ回路30が収束するものとすれ
ば、適応フィルタ回路30は、E[e2 ]が最小になる
ように調整される。このとき、E[s2 ]は影響を受け
ないので、 Emin [e2 ]=E[s2 ]+Emin [(n0 −y)2 ] となる。すなわち、E[e2 ]が最小化されることによ
ってE[(n0 −y)2]が最小化され、適応フィルタ
回路30の出力yは、雑音n0 の推定量になる。そし
て、減算回路15からの出力の期待値は、希望信号のみ
となる。すなわち、適応フィルタ回路30を調整して全
出力パワーを最小化することは、減算出力eが、希望音
声信号sの最小二乗推定値になることに等しい。
【0021】適応フィルタ回路30の一実施例を、適応
のアルゴリズムとして、いわゆるLMS(最小平均自
乗)法のアルゴリズムを使用した場合の例を図3に示
す。
【0022】図3に示すように、この例では、FIRフ
ィルタ型の適応線形結合器300を使用する。これは、
それぞれ単位サンプリング時間の遅延時間Z-1を有する
複数個の遅延回路DL1,DL2,……DLm(mは正
の整数)と、入力信号n1 及び各遅延回路DL1,DL
2,……DLmの出力信号と加重係数との掛け算を行う
加重回路MX0,MX1,MX2,……MXmと、加重
回路MX0〜MXmの出力を加算する加算回路310を
備える。加算回路310の出力はyである。
【0023】加重回路MX0〜MXmに供給する加重係
数は、例えばマイクロコンピュータからなるLMS演算
回路320で、減算回路15からの残差信号eから形成
される。このLMS演算回路320で実行されるアルゴ
リズムは、次のようになる。
【0024】今、時刻k における入力ベクトルXk を、
図3にも示すように、 Xk =[x0k1k2k ・・・xmkT とし、出力をyk 、加重係数をwjk(j=0,1,2,…m )と
すると、入出力の関係は、次の数1に示すように、
【0025】
【数1】 となる。
【0026】そして、時刻k における加重ベクトルWk
を、 Wk =[w0k1k2k ・・・wmkT と定義すれば、入出力関係は、 yk =Xk T ・Wk で与えられる。希望の応答をdk とすれば、出力との誤
差ek は次のように表される。 ek =dk −yk =dk −Xk T ・Wk LMS法では、加重ベクトルの更新を、 Wk+1 =Wk +2μ・ek ・Xk なる式により行っていく。ここで、μは適応の速度と安
定性を決める利得因子(ステップゲイン)である。
【0027】こうして、出力端子17には、雑音、この
例では背面方向からの不要音声信号が選択的に除去され
て、結果的に、希望音声信号が残って出力される。換言
すれば、実質的に超指向性が実現されたことになる。し
かも、正面方向以外の方向から、近傍で音声を発して
も、適切に抑圧されるので、さらに良好な収音品質が得
られる。
【0028】ところで、上述のように適応処理により参
照入力を用いて主要入力中の雑音を低減するには、前述
したように、希望音声と参照雑音とは無相関である必要
がある。このため、従来、この種の適応型雑音低減シス
テムでは、参照入力としては希望音声を収音しないよう
に、参照入力用マイクロホンに防音の工夫を凝らした
り、雑音源のできるだけ近くに設置し、主要入力用マイ
クロホンから離しておくなどの対策を取ることが行われ
ている。しかし、これではシステムが大きくなり、移動
も困難である。
【0029】これに対して、この発明の場合、音声の到
来方向によって希望音声と雑音とを区別する。そして、
主要入力用マイクロホン11は、希望音声到来方向から
の音声を収音できる指向特性(無指向性を含む)を有す
るような構成とすると共に、参照入力用マイクロホン2
1は、希望音声到来方向に感度を有しない、あるいは低
い感度の指向性とする構成として、主要入力用マイクロ
ホン11で収音された音声中の希望音声と、参照入力用
マイクロホン21で収音された雑音とは無相関となるよ
うにしている。
【0030】したがって、この発明の場合には、主要入
力用マイクロホンと参照入力用マイクロホンの指向性の
みを考えればよく、両マイクロホンを近接して配置する
ことも可能であり、従来のマイクロホンシステムに比べ
て、小型にできる。
【0031】そして、この発明の構成により、雑音信号
は主要入力から良好に除去され、その結果、雑音入力到
来方向に感度の低い、あるいは感度がない指向性のマイ
クロホン装置を簡単に実現することができる。図4は、
この例の場合の効果を実験的に確認したものを示すため
の図である。
【0032】すなわち、この実験装置は、図2に示すよ
うに、希望音声到来方向を矢印ARの方向として、主要
入力用マイクロホン11と、参照入力用マイクロホン2
1とを、主要入力用マイクロホン11を前として、希望
音声到来方向に沿って前後に配置する。そして、例えば
1kHzの正弦波信号を希望音声として、矢印ARの方
向から到来させ、また、背面方向と例えば30°の方向
から600Hzの正弦波を雑音として到来させるように
して、音声の収音を行う。
【0033】この例の場合、全指向性の主要入力用マイ
クロホン11の感度は0dB、参照入力用マイクロホン
21は、正面からの音声に対しては−20dB、背面方
向の感度は0dB、背面から30°の方向から入力する
音声に対する感度は−0.7dBとされている。
【0034】このとき、主要入力用マイクロホン11の
入力波形は、図4Aに示すように、1kHzの正弦波
と、600Hzの正弦波の合成されたものとなるが、出
力端子17に得られた出力音声波形は図4Bに示すよう
になり、図4Cに示す出力理想波形の1kHzの正弦波
に近似している。これにより、この発明によるマイクロ
ホン装置の基本的効果が確認できた。
【0035】ところで、上述のように適応処理により参
照入力を用いて主要入力中の雑音を低減するには、前述
したように、参照入力は、希望音声とは無相関で、しか
もある程度のレベルで存在することが前提となってい
る。しかし、例えば正面方向前方の楽器演奏者による演
奏を収音するような状況の場合には、演奏会などでは、
周囲で雑音が生じないようにした環境で収音するため、
前記の参照入力のレベルがかなり低い、あるいは希望音
声のみで、実質的に参照入力がない状態となる場合が考
えられる。このような場合、参照入力には微少な残留雑
音が入力されたと等価になり、適応フィルタ回路24の
特性は、本来の望ましいものから大きくずれてしまう。
前述のように、雑音低減システムはその出力パワーを最
小化するように働くので、希望音声信号も何らかの歪を
受けてしまうことになる。
【0036】これを改善するため、この実施例では、レ
ベル比検出回路51を設けて、主要入力音声信号と参照
入力音声信号(雑音)とのレベルを比較し、主要入力に
比較して参照入力のレベルが低下したときには、適応処
理を制限するようにする。
【0037】すなわち、主要入力信号に対する参照入力
信号のレベル比(S21/S11)が所定値以上であれば
(つまり、不要信号があるレベル以上入射している場
合)、適応フィルタ回路24では、上述のような通常の
適応処理を行なうようにする。
【0038】そして、この入力信号レベル比(S21/S
11)が所定値より小さくなった場合には、レベル比検出
回路51の出力により、適応フィルタ回路24の加重係
数の更新について制限を加える。この制限の方法として
は、次の3種がある。 (1)ステップゲインμ=0とする。
【0039】(2)ステップゲインμを、通常の値より
小さくする。例えば1/10にする。
【0040】(3)ステップゲインμ=0とすると共
に、フィルタ係数値を予め用意したデフォルト値にセッ
トする。
【0041】(1)、(2)の方法は、適応フィルタ回
路24での係数更新を停止または抑制することで、不要
信号が適性であった時点の係数を、レベル比(S21/S
11)が適正な値になるまで保持して動作させるものであ
る。この方法により、希望信号と残留雑音による適応フ
ィルタの大幅な変化を抑えることができる。
【0042】(3)の方法では、例えば指向性として単
一指向性を形成するような係数を適応フィルタにセット
して、不要信号の平均的抑圧を行うものである。
【0043】以上の適応動作の制限により、参照入力の
レベル低下時に希望音声信号が歪んでしまうのを回避す
ることができると共に、参照入力のレベル回復後には、
適応フィルタ回路24において通常の適応処理が行なわ
れて、主要入力音声信号中の雑音を適切に低減すること
ができる。
【0044】次に、図5〜図8を参照しながら、この発
明によるマイクロホン装置の他の実施例について説明す
る。この発明の他の実施例の要部の構成を図5に示す。
【0045】図5において、30及び31は、それぞれ
無指向性のマイクロホンユニットであって、図6に示す
ように、距離dだけ離れて配置される。両マイクロホン
ユニット33,31の出力信号が、1対の減算回路とし
ての、オペアンプ32,33の各非反転入力端子にそれ
ぞれ供給されると共に、オペアンプ32の反転入力端子
には、マイクロホンユニット31の出力信号がフィルタ
回路34を介して供給され、また、オペアンプ33の反
転入力端子には、マイクロホンユニット31の出力信号
がフィルタ回路35を介して供給される。
【0046】この例では、フィルタ回路34は、抵抗器
34rとコンデンサ34cとから低域通過型に構成さ
れ、他方のフィルタ回路35も同様に構成される。そし
て、抵抗器34r,35rの抵抗値をR1 、コンデンサ
34c,35cの容量をC1 としたとき、 C1 ・R1 =d/c (ただし、cは音速である)となるように抵抗値R1 及
び容量C1 が選定されている。
【0047】そして、この例では、オペアンプ32,3
3の出力信号は、周波数特性を平坦にするための積分器
などの周波数特性補正回路36,37を介して、1対の
出力端子38,39に導出される。そして、この出力端
子38,39に得られる信号は、等価的には、後述のよ
うな1対の単一指向性マイクロホンからの主要入力音声
信号及び参照入力音声信号(雑音)として、前述した図
1のA−D変換器13,23にそれぞれ供給される。そ
の余の構成は前記の図1の例と同様である。
【0048】図5の実施例では、以下に説明するよう
に、オペアンプ32,33において、1対の無指向性の
マイクロホンユニット30,31の一方の出力信号か
ら、フィルタ回路34または35を経た他方のマイクロ
ホンユニットの出力信号を減算することにより、それぞ
れが単一指向性の1対のマイクロホンを実現している。
【0049】図6に示すように、2個のマイクロホンユ
ニット30,31の配列方向に対してθなる角度の方向
に音源があって、これら2個のマイクロホンユニット3
0,31に入射しているとした場合に、各ユニット3
0,31の出力をP0 ,P1 とすると、出力P1 は、 P1 =P0 ε−jω(d/c)cosθ となる。なお、ωは角周波数である。
【0050】マイクロホンユニット31の出力はフィル
タ回路34を通じて一方の減算回路32に供給されるの
で、減算回路32の出力信号Paは、次の数2に示すよ
うなものとなる。
【0051】
【数2】 なお、数2において、Aはフィルタ回路34のフィルタ
関数を表わし、また、ω・d/c<<1である。
【0052】そして、数2において、このフィルタ関数
Aが次の数3を満足すれば、出力Paは単一指向性を示
すものとなる。
【0053】
【数3】 つまり、フィルタ関数Aがこの数3の式を満足すると、
前記数2は、 Pa=P0 ・jω(d/c)(1+cosθ) となり、θ=0゜での最大値からθ=180゜での最小
値まで、角度θに関して単調に変化する。即ち、減算回
路32の出力信号Paは、角度θに関して単一指向性と
なる。
【0054】ところで、フィルタ回路34のフィルタ関
数Aは、上記の例の場合、 A=1/(1+jωC1 ・R1 ) で表され、C1 ・R1 =d/cとなるように構成されて
いるので、 A=1/(1+jωd/c) となり、数3と等しくなる。上述の説明から、図5の実
施例では、一方の減算回路32の出力信号が単一指向性
を呈することは明らかである。
【0055】同様に、他方の減算回路33の出力信号も
単一指向性を呈するが、図5から明かなように、この減
算回路33には、減算回路32とは逆の関係で、マイク
ロホンユニット30,31の出力信号P0 ,P1 が供給
されているので、両減算回路32,33の出力信号は、
互いに逆向きの単一指向性を呈する。
【0056】ただし、上述の減算回路の出力信号Pa
は、角度θに関する係数に周波数因子ωを含んでおり、
その周波数特性は右上がり(高域ほどレスポンスが大)
の特性になる。この例では、周波数特性補正回路36,
37が、この右上がりの特性を平坦に補正するために設
けられている。
【0057】こうして、図5の実施例では、1対の無指
向性のマイクロホンユニット30,31を用いながら、
等価的には、図8に示すように、互いに逆方向に配置さ
れた1対の単一指向性マイクロホンを実現している。
【0058】なお、図5の例において、フィルタ回路3
4,35や、減算回路32,33、さらには周波数特性
補正回路36,37は、デジタルフィルタや処理プログ
ラム(ソフトウエア)によっても実現することができ
る。例えば、フィルタ回路34,35は、図7のよう
に、加算器41と、遅延回路42と、伝達関数Aの帰還
アンプ43とからなるデジタルフィルタで構成すること
ができる。
【0059】図5の実施例の場合、等価的には、図1の
例の主要入力用マイクロホン11と、参照入力用マイク
ロホン21とが、図8に示すように、それぞれ単一指向
性のものとされ、主要入力用マイクロホン11を前とし
て、希望音声到来方向に沿って前後に配置したものとな
る。この図5の例の場合、主要入力用マイクロホン11
は、正面方向に最も高い感度の方向を向けて配置され、
また、参照入力用マイクロホン21は、例えば背面方向
に最も高い感度の方向を向けて配置される。つまり、参
照入力用マイクロホン21は、希望音声の到来方向の感
度が低く、この例の場合の雑音の到来方向とされた背面
方向の感度が高い。
【0060】したがって、この例の場合も、主要入力音
声中の希望音声と、参照入力として収音された雑音とが
無相関となり、前述のような適応処理により、雑音を選
択的に低減することができて、希望音声のみを出力とし
て得るマイクロホン装置を実現することができる。
【0061】主要入力信号に対する参照入力信号のレベ
ル比(S21/S11)が所定値以上であれば、適応フィル
タ回路24(図1参照)では、前述のような通常の適応
処理が行なわれる。この例の場合、雑音の到来方向が、
背面方向からおよそ90度の範囲であるとすれば、この
範囲では主要入力用マイクロホン11の感度が低いの
で、主要入力中の雑音レベルは低くなる。したがって、
主要入力用マイクロホン11、それ自体で雑音低減効果
がある。
【0062】そして、この実施例でも、入力信号レベル
比(S21/S11)が所定値より低下した時には、前述の
ような適応動作の制限の(1),(2),(3)の方
法、つまり加重係数更新の休止ないしは抑制による対処
方法や、適応フィルタ回路24の各加重回路MX0〜M
Xmにデフォルト(既定)の加重係数を設定する方法に
より、主要入力中の希望音声が歪むのが防止される。そ
して、この例の場合、前記(3)の方法を採用するとき
は、適応フィルタ回路24の伝達特性が[0.5]とな
るような加重係数をロードすることにより、図8に示す
ような、互いに逆方向に配置されている1対の単一指向
性マイクロホン11,21から、ハイパーカーディオイ
ドの指向性が形成される。
【0063】これにより、参照入力のレベル低下時に
も、希望音声信号の歪を回避しながら雑音を平均的に低
減することができると共に、参照入力のレベル回復後に
は、適応フィルタ回路24において通常の適応処理が行
なわれて、主要入力音声信号中の雑音を適切に低減する
ことできる。
【0064】ちなみに、ハイパーカーディオイドのマイ
クロホンは、その指向性指数が−6dBであって、−5
DBの単一指向性マイクロホンよりも鋭い指向性を備え
ており、前述のような高次音圧傾度型を除けば、指向性
が最も鋭いといえる。ここに、指向性指数(directivity
index) とは、指向効率(directive efficiency)を常
用対数で表したものである。指向効率は、次の数4で定
義される。
【0065】
【数4】 ここで、D(Ω)は角度Ωにおける入射波にたいする出
力電圧と、Ω=0のそれに対する比を、dΩは角度Ωの
方向の微小立体角を表す。
【0066】この指向効率は、すべての方向から等しい
確率でランダムに入射する音に対する、指向性マイクロ
ホンのエネルギーレスポンスと、正面感度が等しい無指
向性マイクロホンのエネルギーレスポンスとの比を表
す。指向効率の常用対数である指向性指数は、指向性が
鋭くなるほどマイナスの数値が大きくなり、特に拡散音
場で意味を持つものである。
【0067】また、この実施例では、レベル比検出回路
51を設けて、1対の単一指向性マイクロホン11,2
1の出力信号のレベルを比較しているが、正面方向から
の希望音声が主体で入射しているときは、両信号のレベ
ル比が(S21/S11)<1となり、対数で表わせばマイ
ナスとなる。逆に、背面方向からの不要音が主体で入射
しているときは、両信号のレベル比が(S21/S11)>
1となり、対数で表わせばプラスとなる。したがって、
この信号レベル比(S21/S11)を監視することによ
り、主体となる音波が正面方向からのものであるか、背
面方向からのものであるかを容易に推定することができ
る。
【0068】上述の各実施例では、図2,図8に示すよ
うに、参照入力用として、背面方向に感度が高い指向性
のマイクロホンユニットを使用したが、除去したい雑音
の到来方向を希望音声到来方向の90度方向付近に制限
したり、90度方向の参照入力用マイクロホン感度をよ
り高くしたい場合には、図9に示すように、参照用マイ
クロホン21の指向特性が、双指向性(8字型指向性)
とされる。この図9の場合、主要入力用マイクロホン1
1は、図8の例と同様に、希望音声方向を最も感度が高
くなるように配置された単一指向性のものとされるが、
図1の例と同様に、無指向性であってもよい。
【0069】なお、上述の各実施例では、カメラ一体型
VTRの収音マイクロホン装置の場合として、この発明
のマイクロホン装置を説明したが、この発明は、この例
に限らず、単体のマイクロホン装置はもちろんのこと、
業務用ビデオカメラや、測定用マイクロホン装置など、
すべてのマイクロホン装置に適用可能である。
【0070】また、上述の各実施例では、適応フィルタ
回路はデジタル回路で構成したので、全体としてデジタ
ル回路の構成としたが、適応フィルタ回路をアナログ回
路の構成として、全体としてアナログ回路の構成とする
ことも可能であり、あるいは、適応フィルタ回路部分の
みをデジタル構成とすることもできる。さらに、参照入
力のレベル低下時には、適応フィルタ回路の加重係数に
よる各種の対処方法を組み合わせて用いてもよい。
【0071】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、希望音声を収音するための第1のマイクロホンと、
希望音声の到来方向の感度が低い指向性の第2のマイク
ロホンとを近接して配置し、第2のマイクロホンの出力
信号を、適応フィルタ回路を介して、減算手段に供給し
て、減算手段では、第1のマイクロホンの出力信号から
適応フィルタ手段の出力信号を減算し、減算手段の出力
パワーが最小化されるように適応フィルタ手段を調整す
ると共に、両マイクロホンの出力信号のレベル比を検出
するレベル比検出手段の出力に基づいて、適応フィルタ
手段の動作を制限するようにしたので、小型で、所望方
向から入射する音のみを収音し、それ以外の音を適切に
抑圧することができるマイクロホン装置を実現すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるマイクロホン装置の一実施例の
構成を示すブロック図である。
【図2】第1及び第2のマイクロホンの指向性の一例を
示す図である。
【図3】図1の例の適応フィルタ回路の一例を示す図で
ある。
【図4】この発明によるマイクロホン装置の動作の説明
のための図である。
【図5】複数個のマイクロホンユニットによりマイクロ
ホンを構成する例を示す図である。
【図6】複数個のマイクロホンユニットによりマイクロ
ホンを構成する例を説明するための図である。
【図7】図5の例の一部の他の構成例を示す図である。
【図8】第1及び第2のマイクロホンの指向性の他の例
を示す図である。
【図9】第1及び第2のマイクロホンの指向性のさらに
他の例を示す図である。
【図10】従来のマイクロホン装置の一例を説明するた
めの図である。
【符号の説明】
11,21 マイクロホン 15 減算回路 24 適応フィルタ回路 51 レベル比検出回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 行徳 薫 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 希望音声を収音するための第1のマイク
    ロホンと、 上記希望音声の到来方向の感度が低い指向性の第2のマ
    イクロホンと、 この第2のマイクロホンからの音声信号が供給される適
    応フィルタ手段と、 この適応フィルタ手段の出力信号を上記第1のマイクロ
    ホンの音声信号から減算する減算手段と、 この減算手段の出力パワーが最小化されるように上記適
    応フィルタ手段を調整する手段と、 上記第1及び第2のマイクロホンの音声信号のレベル比
    を検出するレベル比検出手段と、 このレベル比検出手段の出力に基づいて、上記適応フィ
    ルタ手段の適応動作を制限する手段とを備えたマイクロ
    ホン装置。
  2. 【請求項2】 上記適応フィルタ手段の適応動作の制限
    が加重係数の更新休止である請求項1記載のマイクロホ
    ン装置。
  3. 【請求項3】 上記適応フィルタ手段の適応動作の制限
    が加重係数の更新ためのステップデインを小さくするこ
    とである請求項1に記載のマイクロホン装置。
  4. 【請求項4】 上記適応フィルタ手段の適応動作の制限
    が加重係数の既定値への切り換えである請求項1に記載
    のマイクロホン装置。
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