JP3765567B2 - 収音装置、収音方法、収音プログラムおよび記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、講堂や会議室での拡声や、通信会議等に用いられる収音装置、収音方法、収音プログラムおよび記録媒体に係り、特に、ハウリングを防止するものに関する。
【0002】
【従来の技術】
図7は、話者音声をマイクロホンで収音し、スピーカから出力する場合の説明図である。
【0003】
上記の場合、マイクロホン52と、スピーカ54との間における伝達関数P(ω)は、次の式(1)で表される。
【0004】
P(ω)=W(ω)/(1−W(ω)F(ω)) … 式(1)
ただし、W(ω)は、マイクロホン52、スピーカ54間のアンプ、イコライザ等伝達関数であり、F(ω)は、スピーカ52、マイクロホン54間の空間伝達関数(スピーカ、マイクロホンの伝達関数を含む)である。
【0005】
上記式(1)において、ハウリングが生じるのは、分母が0となる場合であり、ハウリングを起こさないための充分条件は、|W(ω)F(ω)|が、全ての周波数において、1未満となることである。
【0006】
従来、ハウリングを防止する場合、遅延和アレーが使用され、この遅延和アレーは、スピーカ52に対する感度を低くすることによって、F(ω)を小さくする遅延和アレーである。
【0007】
図8は、従来の遅延和アレーを説明する図である。
【0008】
従来の遅延和アレーは、マイクロホン111〜11Mと、遅延器611〜61Mと、加算器62とによって構成されている。
【0009】
まず、m番目マイクロホンが位置Pmにあり、目的音源が位置PSにあり、スピーカが位置PNにある場合を仮定する。
【0010】
遅延器611〜61Mには、それぞれ遅延量d1〜dMが設定され、これら遅延量d1〜dMは、目的音源から到来する直接波が同相になるような遅延量であり、次の式(2)によって設定される。
【0011】
dm=D0−|Pm−Ps|/c … 式(2)
ただし、D0は、遅延量が負の値とならないようにするための固定遅延量であり、cは、音速である。
【0012】
次に、1番目マイクロホンに到来した目的音をフーリエ変換したものを、S(ω)とし、1番目マイクロホンに到来したスピーカ音と、上記フーリエ変換したものとを、N(ω)とし、出力をフーリエ変換したものY(ω)を求めれば、次の式(3)になる。
【0013】
【数1】
【0014】
ただし、dNmは、スピーカからm番目マイクロホンまでの遅延量であり、次の式(4)によって表される。
【0015】
dNm=|Pm−PN|/c … 式(4)
次に、目的音源に対する感度を1として正規化した場合に、スピーカに対する相対感度(|F'(ω)|)を求めれば、次の式(5)となる。
【0016】
【数2】
【0017】
マイクロホンが1本だけ設けられている場合の相対感度は、1であるので、上記式(5)が示す相対感度(|F'(ω)|)は、遅延和アレーによって得られたスピーカに対する感度が低下した感度である。上記式(5)は、必ず1以下になるので、マイクロホンが1本だけ設けられている場合よりも、スピーカ、マイクロホン間の空間伝達関数F(ω)が小さくなる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来例では、その減衰量が数dB程度であり、ハウリング防止に対して高い効果を得ることができないという問題がある。
【0019】
上記従来例のハウリング防止方法では、スピーカに対する感度を減衰させる量が少ないので、ハウリング防止に対して高い効果を得ることができないという問題がある。
【0020】
本発明は、スピーカに対する感度を大きく減衰させ、ハウリングを効果的に防止することができる収音装置、収音方法、収音プログラムおよび記録媒体を提供することを目的とするものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明は、等間隔直線配置されているM個(Mは3以上の整数)の収音手段のうちで隣り合う収音手段のペア毎に、収音した収音信号から、目的音方向からの到来音成分が除去されたM−1個の信号を得る目的音除去手段と、目的音方向から第m番目(mは1以上M−1以下の整数)の収音手段への到来時間と、目的音方向から第1番目の収音手段への到来時間との差を与えるフィルタ係数によって、擬似目的音をフィルタリングし、M−1個の信号を生成する擬似目的音生成手段と、M−1個の収音手段のペア毎に、上記目的音除去手段の出力信号と、上記擬似目的音生成手段の出力信号とを加算する加算手段と、上記擬似目的音に固定の遅延を与える遅延手段と、M−1個の収音手段が出力したペア毎の上記加算手段の出力信号をそれぞれ異なるフィルタ係数でフィルタリングし、上記遅延手段の出力信号を、上記M−1個のフィルタリングした信号を加算した信号の所望信号として上記フィルタ係数を学習する適応フィルタと、上記第1〜第M−1番目の収音手段が収音したそれぞれの収音信号を、上記適応フィルタと同じフィルタ係数でフィルタリングした信号を加算して出力するフィルタ部とを有する収音装置である。
【0022】
【発明の実施の形態および実施例】
図1は、本発明の第1の実施例であるハウリング防止装置HPS1を示すブロック図である。
【0023】
ハウリング防止装置HPS1は、マイクロホン111〜11Mと、目的音除去部(NBF:Null Beam Former)121〜12M-1と、擬似目的音生成部13と、加算器141〜14M-1と、適応フィルタ部15と、遅延器16と、減算器17と、学習制御部18と、フィルタ部19とを有する。
【0024】
ハウリング防止装置HPS1は、等間隔直線配置の複数のマイクロホンによって収音された信号を用いて、スピーカ方向の感度が低くなるようなフィルタ係数を、適応的に求めることによって、スピーカ方向の感度を大きく減衰させ、ハウリングを防止するものである。
【0025】
まず、隣接するマイクロホンペア(たとえば、マイクロホン111と112、マイクロホン112と113)毎に、目的音除去部121〜12M-1が設けられ、目的音除去部121〜12M-1は、目的音方向に感度が0(Null)である指向性を有する。なお、目的音除去部121〜12M-1に接続されているマイクペアは、全て等間隔であり、また、目的音除去部121〜12M-1は、隣り合う収音手段毎に設けられ、収音手段数よりも1つ少ない数だけ設けられている。
【0026】
目的音除去部121〜12M-1が形成する死角方向に受話信号の拡声器があることが予め分かっていれば、目的音除去部121〜12M-1を、必ずしも死角方向を制御する必要がない。ただし、拡声器が動いたり、反射音が優勢な場合には、死角方向を制御する必要がある。このために、各マイクロホンからの出力への振幅や、遅延またはフィルタ係数を制御することによって、対応することができる。
【0027】
マイクロホン111〜11Mが収音した信号は、隣接するマイクロホンペア毎に設けた目的音除去部121〜12M-1に入力され、目的音方向から到来する音波が除去される。これによって、目的音源からの直接波を取り除いたM−1個の信号が得られる。
【0028】
擬似目的音生成部13のフィルタ係数g1,g2,…,gM−1は、擬似目的音位置からマイクロホンアレーまでの直接波の伝達関数(マイクロホン間の遅延差のみ)を指す。
【0029】
加算器141〜14M-1が、目的音除去部121〜12M-1の出力信号と、擬似目的音生成部13が生成した擬似目的音とを加算し、この加算した信号を、適応フィルタ部15に入力する。
【0030】
適応フィルタ部15は、擬似目的音生成部13の信号源131に、遅延器16が遅延させた信号を所望信号として、たとえば、次の式(6)に示すNLMSで学習される。
【0031】
h(n+1)=h(n)−α[u(n)e(n)/u(n)Tu(n)]… 式(6)
ただし、記号の意味は以下の通りである。
【0032】
フィルタ係数行列:h(n)=[h1(n),…,h1(n−L+1),h2(n),…,hM-1(n−L+1)]T
適応フィルタ入力信号行列:u(n)={u1(n),…,u1(n−L+1),u2(n),…,uM-1(n−L+1)}T
αは、ステップサイズである。
【0033】
ただし、スピーカ音がない場合には、学習できないので、学習制御部18は、マイクロホンが収音した信号のパワーを監視し、パワーが閾値を超えない場合には、学習を停止する。上記のように学習することによって、目的音源方向に感度を拘束しつつ、目的音除去部の出力信号を最小化するフィルタ部19が形成される。
【0034】
なお、所定ms毎に短時間平均パワーを求め、この平均パワーが所定値以上である場合に、有音であると判断する等、有音無音判定は、他にも、色々な方法が考えられる。
【0035】
次に、マイクロホン111〜11M-1の出力端子に接続されているフィルタ部19に、上記学習されたフィルタ係数をコピーし、出力を求める。これによって、スピーカ音が抑圧された出力信号を得ることができる。
【0036】
図9は、上記実施例において、スピーカ54を用いて拡声する場合における構成を示す図である。
【0037】
直接波のみを考慮すれば、m番目マイクロホン11mで受音される信号Xm(ω)は、次の式(7)で表される。
【0038】
【数3】
【0039】
ただし、S(ω)は、1番目のマイクロホン111で受音される目的音であり、Y(ω)は、スピーカ54から出力されるスピーカ音である。τS、τYは、それぞれ、上記目的音、上記スピーカ音がマイクロホンアレーに到来したときに、隣接マイクロホン間の到来時間差であり、マイクロホン間隔dと、話者方向θSと、スピーカ方向θYと、音速cとを用い、次の式(8)、(9)によって表される。
【0040】
τs=d・sinθs/c … 式(8)
τY=d・sinθY/c … 式(9)
また、τ0は、スピーカから1番目のマイクロホン111まで、音波が到達する時間である。
【0041】
スピーカ出力Y(ω)は、各マイクロホンで受音された信号に、フィルタHm(ω)をかけ、加算したものであり、次の式(10)によって表される。
【0042】
【数4】
【0043】
ただし、bは、スピーカからマイクロホンまでの固定ゲインである。
【0044】
上記式(9)において、固定遅延Dと固定ゲインbだけで、目的音が出力されると、次の式(11)に示す理想的な出力になる。
【0045】
Y(ω)=b・e―jωD・S(ω) … 式(11)
次の式(12)が成立する場合に、上記式(10)に示すスピーカ出力Y(ω)は、理想的な出力信号になる。また、式(10)において、分母が0になると、スピーカ出力Y(ω)が無限大になり、ハウリングが起こる。
【0046】
【数5】
【0047】
次に、上記式(12)を行列で表現すれば、次の式(13)になる。
【0048】
【数6】
【0049】
H(ω)=[H1(ω) … HM-1(ω)]T … 式(16)
ただし、Tは、転置を示す。
【0050】
上記式(13)を、フィルタH(ω)について、最小ノルム解を求めれば、次の式(17)になり、これが最適なフィルタである。
【0051】
H(ω)={aS(ω)aS(ω)*T+b2・aY(ω)aY(ω)*T}-1aS(ω)e-jωD … 式(17)
ただし、*は、共役を表す。
【0052】
次に、ハウリング防止装置HPS1の適応フィルタの収束解を求める。
【0053】
図10は、第1の実施例と第2の実施例とにおける目的音除去部121〜12M-1の構成を示すブロック図である。
【0054】
まず、目的音除去部を、図10に示すように、遅延器121mと減算器122mとによって構成した場合、適応フィルタに入力される信号Um(ω)は、次の式(18)で表される。
【0055】
【数7】
【0056】
ただし、V(ω)は、図1に示す信号源から出力される信号であり、gm(ω)は、擬似的な目的音を生成するフィルタであり、
【0057】
【数8】
【0058】
である。
【0059】
式(17)を行列で表現すれば、次の式(19)になる。
【0060】
【数9】
【0061】
U(ω)=[U1(ω) … UM-1(ω)]T … 式(20)
次に、適応フィルタ部15の誤差信号E(ω)は、V(ω)に遅延Dを与えた所望信号から、適応フィルタ出力を減算した信号であるので、次の式(21)で表される。
【0062】
【数10】
【0063】
NLMSやRLS等の適応アルゴリズムを用いた場合における適応フィルタの収束解は、誤差の2乗平均を最小とするものであるので、式(21)の2乗平均を、フィルタH(ω)で変微分し、0と置いたものを、フィルタH(ω)について解けば、求めることができる。まず、上記式(21)の2乗平均をフィルタH(ω)について変微分したものは、次の式(22)になる。ただし、V(ω)とスピーカ出力Y(ω)とは無相関であるので、
【0064】
【数11】
【0065】
は0になる。
【0066】
【数12】
【0067】
次に、式(15)を、フィルタH(ω)について解けば、次の式(23)になり、この式が、ハウリング防止装置HPS1における適応フィルタの収束解である。
【0068】
【数13】
【0069】
式(17)に示す理論的な最適フィルタH(ω)と、上記式(23)に示すハウリング防止装置HPS1で求められがフィルタH(ω)とを比較するとaY(ω)aY(ω)*Tの前に乗算されている重みが異なっている点だけが、上記両フィルタの間における違いである。
【0070】
上記違いの物理的意味は、スピーカから出力される音と、話者音声のパワースペクトルとが異なっていることであり、話者位置に対して感度拘束し、スピーカに対して感度を低くすることに変わりはない。
【0071】
したがって、上記実施例では、話者位置に対して感度拘束し、スピーカに対して感度を低くするフィルタを得ることができる。
【0072】
図11は、上記実施例の有効性を示すために行ったシミュレーションの結果を示す図である。
【0073】
上記シミュレーションの条件は、
・サンプリング周波数:16kHz
・目的音:音声
・擬似目的音:白色雑音
・受話音:上記実施例の出力(音声)
・学習時間:10s
・フィルタ長:128タップ
・学習アルゴリズム:NLMS
である。
【0074】
図11に示すシミュレーション結果は、5素子を2cm間隔の等間隔で直線状に配置したマイクロホンを用い、スピーカと目的音方向とを、それぞれ25度、155度とした場合の結果である。図11には、従来例である遅延和アレーの結果も合わせて示してある。
【0075】
ハウリング防止装置HPS1のシミュレーション結果では、300Hz〜8kHzの帯域で、スピーカに対する感度が20dB以上減衰し、有効性を確認することができる。また、従来例の遅延和アレーと比べた場合、上記実施例では、15dB程度、減衰が大きく、遅延和アレーよりも、効果が高いことを確認することができる。
【0076】
上記のように、上記実施例では、スピーカに対する感度を大きく減衰させることができ、ハウリング防止について高い効果を有することが確認された。
【0077】
なお、上記実施例において、フィルタ部19は、最も端の収音手段を除いた各収音手段(マイクロホン)が収音した各収音信号を、適応フィルタ部15と同じフィルタ係数でフィルタリングするものである。
【0078】
つまり、上記実施例は、擬似目的音源(Nチャネル)を参照信号とし、M個の収音手段からのN個の入力チャネルの組で形成される死角方向(NBF)からの成分を加え、Nチャネルの擬似目的音源を入力信号とし、N個の適応フィルタを動作させ、求められたN個の適応フィルタ係数を、N個の可変フィルタにセットし、M個のうちで、N個の収音手段からの信号に作用し、そのN個の出力を加算する例である。ただし、Nチャネル擬似目的音源と、N個の収音手段とは、一意に対応し、必ず各入力チャネルに属するものが用いられる。
【0079】
図2は、本発明の第2の実施例であるハウリング防止装置HPS2を示すブロック図である。
【0080】
ハウリング防止装置HPS2は、第1の実施例であるハウリング防止装置HPS1において、マイクロホン111〜11Mと、フィルタ部19との間に、目的音強調部(FBF:Fixed Beam Former)211〜21M-1を設けた装置である。
【0081】
目的音強調部211〜21M-1は、隣り合うマイクロホン毎に設けられ、目的音を強調する。これによって、ハウリング防止装置HPS1よりも高いハウリング防止効果を得ることができる。
【0082】
まず、適応フィルタの収束解は、ハウリング防止装置HPS1と同じであり、上記式(22)で表される。
【0083】
次に、目的音強調部211〜21M-1が、各マイクロホンで受音された信号について、その目的音方向の成分を強調した後、フィルタHm(ω)をかけて、加算された信号が、スピーカ出力Y(ω)であるので、次の式(24)によって、スピーカ出力Y(ω)が表される。
【0084】
【数14】
【0085】
図12は、ハウリング防止装置HPS2における目的音強調部21mの構成を示す図である。
【0086】
目的音強調部21mは、図12に示すように、遅延器211mと、減算器212mと、ゲイン213mとによって構成されている。
【0087】
ハウリング防止装置HPS1におけるスピーカ出力を示す式(10)と、ハウリング防止装置HPS2におけるスピーカ出力を示す式(24)とを比較すると、式(24)の分母だけに、
【0088】
【数15】
【0089】
の項が存在することが分かる。式(24)において、分母が0になった場合に、ハウリングが生じるので、
【0090】
【数16】
【0091】
が小さいほど、ハウリング防止効果が高い。
【0092】
また、
【0093】
【数17】
【0094】
の絶対値は、必ず1以下の値をとるので、ハウリング防止装置HPS1におけるハウリング防止効果よりも、ハウリング防止装置HPS2におけるハウリング防止効果が高い。
【0095】
ハウリング防止装置HPS2において、これら以外の部分の説明は、ハウリング防止装置HPS1における説明と同じであるので、その説明を省略する。
【0096】
なお、目的音除去部121〜12M-1に接続されているマイクペアは、全て等間隔であり、また、目的音除去部121〜12M-1は、隣り合う収音手段毎に設けられ、収音手段数よりも1つ少ない数だけ設けられている。また、フィルタ部19は、最も端の収音手段を除いた各収音手段が収音した各収音信号を、適応フィルタ部15と同じフィルタ係数でフィルタリングするものである。
【0097】
図3は、本発明の第3の実施例であるハウリング防止装置HPS3を示すブロック図である。
【0098】
ハウリング防止装置HPS3は、ハウリング防止装置HPS1において、マイクロホン111〜11Mが、複数のサブマイクロホンアレー111〜11Mに置き換わり、目的音除去部311〜31Mが、サブマイクロホンアレー毎に設けられている装置である。
【0099】
図13は、ハウリング防止装置HPS3における複数のサブマイクロホンアレーを示す図である。
【0100】
ハウリング防止装置HPS3は、図13に示すように、同じマイクロホン配置を持つ複数のサブマイクロホンアレーを用い、マイクロホンを任意配置で用いることができる点のみが、ハウリング防止装置HPS1とは異なる。
【0101】
つまり、サブマイクロホンアレーを構成するマイクロホンは、全て同じ配置である必要がある。
【0102】
図14は、ハウリング防止装置HPS3において、サブマイクロホンアレー11m1と、目的音除去部31mとの関係を示す図である。
【0103】
各サブマイクロホンアレー11m1に設けられている目的音除去部311〜31Mは、図14に示すように、複数のフィルタ31m1〜31mNと加算器32mとによって構成され、各フィルタには、目的音方向に対して指向性の死角を形成するフィルタ係数が設定されている。
【0104】
次に、フィルタ31m1〜31mNの具体的なフィルタ設計方法について説明する。
【0105】
まず、感度を制御するためのR個の方向を設定し(たとえば5度間隔で72方向等)、その方向から到来する音波のうちで、目的音方向からの音波に対する感度のみが1となるように、フィルタQ’(ω)を求める。これは、式(25)の最小ノルム解を求めることによって得られる。
【0106】
次に、フィルタQ’(ω)によって形成される指向性と、逆の指向性を持つフィルタ係数Q(ω)とを、式(30)によって求める。この求められたフィルタ係数Q(ω)を、目的音除去部の各フィルタのフィルタ係数とすることによって、目的音方向に死角を持つ目的音除去部311〜31Mが実現する。
【0107】
【数18】
【0108】
ただし、τS,nは、目的音方向から各マイクロホンに音波が到来したときにおける、1番目マイクロホンと、n番目マイクロホンとの間の音波到来時間差である。τY,l,nは、l番目の設定方向から各マイクロホンに音波が到来したときにおける、1番目マイクロホンと、n番目マイクロホンとの間の音波到来時間差である。それぞれ、目的音、スピーカ音が、マイクロホンアレーに到来するときにおける隣接マイクロホン間の到来時間差である。
【0109】
この目的音除去部311〜31Mによって、目的音を除去したM個の信号が得られる。M個の適応フィルタを、ハウリング防止装置HPS1の場合と同様に学習し、各サブマイクロホンアレーの1番目マイクロホンに接続されているフィルタ部19に、学習されたフィルタ係数をコピーし、出力を求める。
【0110】
これによって、ハウリング防止装置HPS1、PS2のように、等間隔直線でマイクロホンを配置しなくても、ハウリング防止装置HPS3では、ハウリングを防止することができる。
【0111】
その他の部分については、ハウリング防止装置HPS1と同じであるので、その説明を省略する。
【0112】
なお、目的音除去部121〜12M-1に接続されているマイクペアは、全て等間隔であり、また、目的音除去部121〜12M-1は、隣り合う収音手段毎に設けられ、収音手段数よりも1つ少ない数だけ設けられている。また、フィルタ部19は、最も端の収音手段を除いた各収音手段が収音した各収音信号を、適応フィルタ部15と同じフィルタ係数でフィルタリングするものである。
【0113】
図4は、本発明の第4の実施例であるハウリング防止装置HPS4を示すブロック図である。
【0114】
ハウリング防止装置HPS4は、ハウリング防止装置HPS3において、サブマイクロホンアレー111〜11Mとフィルタ部19との間に、目的音強調部411〜41M-1が挿入されている装置である。
【0115】
目的音強調部411〜41M-1は、サブマイクロホンアレー毎に設けられ、目的音を強調する。これによって、ハウリング防止装置HPS3よりも高いハウリング防止効果を、ハウリング防止装置HPS4が得ることができる。
【0116】
図15は、ハウリング防止装置HPS4において、サブマイクロホンアレー11m1と、目的音除去部41mとの関係を示す図である。
【0117】
目的音強調部411〜41M-1は、図15に示すように、複数のフィルタ41m1〜41mNと加算器42mとによって構成され、各フィルタには、目的音方向に対して感度が高くなるようなフィルタ係数Q’(ω)が設定されている。
【0118】
次に、フィルタ41m1〜41mNの具体的な、フィルタ設計方法について説明する。
【0119】
まず、感度を制御するためのL個の方向を設定し、その方向から到来する音波のうちで、目的音方向からの音波に対する感度のみが1になるように、フィルタQ’(ω)を求める。これは、上記式(24)の最小ノルム解を求めることによって得られる。
【0120】
上記のように、ハウリング防止装置HPS4において、ハウリング防止装置HPS3に目的音強調部411〜41M-1を付け加えることによって、目的音強調部411〜41M-1によってスピーカ方向に対する感度が低下した分、ハウリングを防止する能力が高くなる。
【0121】
その他の部分については、ハウリング防止装置HPS3と同じであるので、その説明を省略する。
【0122】
なお、目的音除去部121〜12M-1に接続されているマイクペアは、全て等間隔であり、また、目的音除去部121〜12M-1は、隣り合う収音手段毎に設けられ、収音手段数よりも1つ少ない数だけ設けられている。また、サブマイクロホンアレーを構成するマイクロホンは、全て同じ配置である必要がある。さらに、フィルタ部19は、最も端の収音手段を除いた各収音手段が収音した各収音信号を、適応フィルタ部15と同じフィルタ係数でフィルタリングするものである。
【0123】
図5は、本発明の第5の実施例であるハウリング防止装置HPS5を示すブロック図である。
【0124】
ハウリング防止装置HPS5は、ハウリング防止装置HPS1において、マイクロホン111〜11Mが任意配置になり、適応フィルタ部15とフィルタ部19との間に、フィルタ係数変換部59を挿入した装置である。
【0125】
ハウリング防止装置HPS5においては、目的音方向に死角が向いていれば、マイクロホンの組が隣接している必要はなく、3本以上の組でもよい。
【0126】
図6は、ハウリング防止装置HPS5におけるフィルタ係数変換部59を示すブロック図である。
【0127】
フィルタ係数変換部59は、図6に示すように、指向特性計算部591と、指向特性変換部592と、フィルタ係数計算部593とを有する。
【0128】
まず、方向θに対する指向特性Pθ(ω)は、次の式(31)によって計算することができる。
【0129】
【数19】
【0130】
ただし、τS,mは、m番目の目的音除去部12mを、図10に示す構成とした場合に、遅延器に与える遅延量であり、τθ,mは、方向θから各マイクロホンに音波が到来したときにおいて、1番目マイクロホンと、n番目マイクロホンと間の音波到来時間差である。
【0131】
指向性特性計算部591は、まず、感度を制御するためのφ個の方向θ1〜θφを設定する。ただし、これらの方向には、目的音方向が含まれない(たとえば5度間隔で、目的音方向を除いた71方向等)。
【0132】
次に、上記式(31)によって、各方向θφに対する指向特性
【0133】
【数20】
【0134】
を、全ての設定方向について計算する。
【0135】
次に、指向特性変換部592は、目的音方向θSに対する指向性を、振幅1で固定遅延量Dになるように、次の式(32)に示すように設定し、指向特性計算部591によって計算された指向特性と合わせて、次の式(33)の目標の指向特性行列を設定する。
【0136】
このように設定された指向性は、スピーカ方向に対して感度を低くし、目的音方向に対して感度が1になるような指向性になる。
【0137】
【数21】
【0138】
フィルタ係数計算部593は、各マイクロホンに接続されたフィルタ部19によって形成される指向特性が、指向特性変換部592で設定された目標の指向特性P(ω)とできるだけ近い指向特性になるように、フィルタ係数H’(ω)を求める。
【0139】
まず、フィルタ部19によって形成される指向特性は、マイクロホン間の音波到来時間差行列A(ω)と、フィルタ係数H’(ω)とによって求められる。この指向特性が、目標の指向特性P(ω)と等しくなる式は、次の式(34)で表され、最小ノルム解を、次の式(35)によって求めることによって、目標の指向特性にできるだけ近い指向性を形成するフィルタ係数を得ることができる。
【0140】
A(ω)H’(ω)=P(ω) … 式(34)
H’(ω)=(A(ω)TA(ω))-1A(ω)TP(ω) … 式(35)
ただし、式(34)、式(35)に含まれる記号は、下式で表される。
【0141】
【数22】
【0142】
このようにして、求められたフィルタ係数を用い、フィルタ部で出力信号を求めることによって、任意配置のマイクロホンでも、スピーカ音を抑圧した信号を得ることができ、ハウリングを防止することができる。
【0143】
その他の部分については、ハウリング防止装置HPS4と同じであるので、その説明を省略する。
【0144】
つまり、上記実施例は、等間隔直線配置されている複数の収音手段のそれぞれが収音した収音信号のうちで、目的音方向から到来する音成分を除去する目的音除去手段と、擬似目的音を生成する擬似目的音生成手段と、上記目的音除去手段の各出力信号と、上記擬似目的音生成手段の各出力信号とをそれぞれ加算する加算手段と、上記加算手段の出力信号を、それぞれ異なるフィルタ係数でフィルタリングする適応フィルタと、上記擬似目的音に固定の遅延を与える遅延手段と、上記各収音手段が収音したそれぞれの収音信号を、上記適応フィルタと同じフィルタ係数でフィルタリングするフィルタ部とを有する収音装置の例である。
【0145】
この場合、隣り合う上記収音手段毎に設けられ、しかも、上記収音手段と上記フィルタ部との間に設けられ、目的音を強調する目的音強調部を有する。また、上記収音装置が、複数のサブマイクロホンアレーであり、また、上記目的音除去手段が、上記サブマイクロホンアレー毎に設けられている手段である。
【0146】
さらに、上記サブマイクロホンアレー毎に設けられ、しかも、上記サブマイクロホンアレーと上記フィルタ部との間に設けられ、目的音を強調する目的音強調部を有する。そして、上記収音手段は、任意配置されることもある手段であり、上記適応フィルタ部と上記フィルタ部との間に、フィルタ係数変換部が設けられている。
【0147】
また、上記実施例を、方法の発明として把握することができ、つまり、上記実施例は、等間隔直線配置されている複数の収音手段のそれぞれが収音した収音信号のうちで、目的音方向から到来する音成分を除去する目的音除去段階と、擬似目的音を生成する擬似目的音生成段階と、上記目的音除去段階で出力された各出力信号と、上記擬似目的音生成段階で出力された各出力信号とをそれぞれ加算する加算段階と、上記加算段階で出力された出力信号を、それぞれ異なるフィルタ係数で適応フィルタがフィルタリングする第1のフィルタリング段階と、上記擬似目的音に固定の遅延を与える遅延段階と、上記各収音段階で収音したそれぞれの収音信号を、上記適応フィルタと同じフィルタ係数でフィルタ部がフィルタリングする第2のフィルタリング段階とを有する収音方法である。
【0148】
さらに、上記方法をコンピュータに実行させる収音プログラムとして、上記実施例を把握することができ、また、上記方法をコンピュータに実行させる収音プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体として、上記実施例を把握することができる。
【0149】
つまり、上記方法をコンピュータに実行させる収音プログラムを、通信回線に送出するようにしてもよく、また、CD、MD、DVD、HD、半導体メモリ等の記録媒体に記録し、これら記録媒体を介して、計算機等のCPUにインストールし、実現するようにしてもよい。
【0150】
【発明の効果】
本発明によれば、複数の収音手段を用いて、スピーカに対する感度を、適応的に小さくするので、スピーカに対する感度が大きく減衰し、したがって、ハウリングを防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例であるハウリング防止装置HPS1を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施例であるハウリング防止装置HPS2を示すブロック図である。
【図3】本発明の第3の実施例であるハウリング防止装置HPS3を示すブロック図である。
【図4】本発明の第4の実施例であるハウリング防止装置HPS4を示すブロック図である。
【図5】本発明の第5の実施例であるハウリング防止装置HPS5を示すブロック図である。
【図6】ハウリング防止装置HPS5におけるフィルタ係数変換部59を示すブロック図である。
【図7】話者音声をマイクロホンで収音し、スピーカから出力する説明図である。
【図8】従来の遅延和アレーを説明する図である。
【図9】上記実施例において、スピーカ54を用いて拡声する場合における構成を示す図である。
【図10】上記実施例とにおける目的音除去部121〜12M-1の構成を示すブロック図である。
【図11】上記実施例の有効性を示すために行ったシミュレーションの結果を示す図である。
【図12】ハウリング防止装置HPS2における目的音強調部21mの構成を示す図である。
【図13】ハウリング防止装置HPS3における複数のサブマイクロホンアレーを示す図である。
【図14】ハウリング防止装置HPS3において、サブマイクロホンアレー11m1と、目的音除去部31mとの関係を示す図である。
【図15】ハウリング防止装置HPS4において、サブマイクロホンアレー11m1と、目的音除去部41mとの関係を示す図である。
【符号の説明】
111〜11M、1111〜11MN、52…マイクロホン、
121〜12M-1、311〜31M…目的音除去部、
121m、16、211m、611〜61M…遅延器、
122m…減算器、
13…擬似目的音生成部、
131…信号源、
1321〜132M-1…空間特性フィルタ部、
141〜14M-1、152、17、192、212m、32m、42m、62…加算器、
15…適応フィルタ部、
151〜15M-1…適応フィルタ、
18…学習制御部、
181…パワー計算部、
182…閾値比較部、
19…フィルタ部、
1911〜191M-1、31m1〜31mN、41m1〜41mN…フィルタ、
211〜21M-1、411〜41M…目的音強調部、
213m、72…ゲイン、
111〜11M…サブマイクロホンアレー、
51…目的音、
53…アンプ、イコライザ等の伝達関数、
54…スピーカ、
59…フィルタ係数変換部、
591…指向特性計算部、
592…指向特性変換部、
593…フィルタ係数計算部、
71…本発明のハウリング防止装置、
91…相対感度を示す図。
Claims (12)
- 等間隔直線配置されているM個(Mは3以上の整数)の収音手段のうちで隣り合う収音手段のペア毎に、収音した収音信号から、目的音方向からの到来音成分が除去されたM−1個の信号を得る目的音除去手段と;
目的音方向から第m番目(mは1以上M−1以下の整数)の収音手段への到来時間と、目的音方向から第1番目の収音手段への到来時間との差を与えるフィルタ係数によって、擬似目的音をフィルタリングし、M−1個の信号を生成する擬似目的音生成手段と;
M−1個の収音手段のペア毎に、上記目的音除去手段の出力信号と、上記擬似目的音生成手段の出力信号とを加算する加算手段と;
上記擬似目的音に固定の遅延を与える遅延手段と;
M−1個の収音手段が出力したペア毎の上記加算手段の出力信号をそれぞれ異なるフィルタ係数でフィルタリングし、上記遅延手段の出力信号を、上記M−1個のフィルタリングした信号を加算した信号の所望信号として上記フィルタ係数を学習する適応フィルタと;
上記第1〜第M−1番目の収音手段が収音したそれぞれの収音信号を、上記適応フィルタと同じフィルタ係数でフィルタリングした信号を加算して出力するフィルタ部と;
を有することを特徴とする収音装置。 - 請求項1において、
隣り合う上記収音手段毎に設けられ、しかも、上記収音手段と上記フィルタ部との間に設けられ、目的音を強調したM−1個の信号を得る目的音強調部を有し、
上記フィルタ部は、
上記M−1個の目的音強調部の出力信号を、上記適応フィルタと同じフィルタ係数でフィルタリングした信号を加算して出力する
ことを特徴とする収音装置。 - 同一の収音手段の配置を持ち、等間隔直線配置されているM個(Mは2以上の整数)のサブマイクロホンアレーのうちで隣り合うサブマイクロホンアレー毎に、収音した収音信号から、目的音方向からの到来音成分が除去されたM個の信号を得る目的音除去手段と;
目的音方向から第m番目(mは1以上M以下の整数)の収音手段への到来時間と、目的音方向から第1番目の収音手段への到来時間との差を与えるフィルタ係数によって、擬似目的音をフィルタリングし、M個の信号を生成する擬似目的音生成手段と;
M個のサブマイクロホンアレー毎に、上記目的音除去手段の出力信号と、上記擬似目的音生成手段の出力信号とを加算する加算手段と;
上記擬似目的音に固定の遅延を与える遅延手段と;
M個のサブマイクロホンアレーが出力したペア毎の上記加算手段の出力信号をそれぞれ異なるフィルタ係数でフィルタリングし、上記遅延手段の出力信号を、上記M個のフィルタリングした信号を加算した信号の所望信号として上記フィルタ係数を学習する適応フィルタと;
上記M個のサブマイクロホンアレー中の特定位置の収音手段が収音したそれぞれの収音信号を、上記適応フィルタと同じフィルタ係数でフィルタリングした信号を加算して出力するフィルタ部と;
を有することを特徴とする収音装置。 - 請求項3において、
上記サブマイクロホンアレー毎に設けられ、しかも、上記サブマイクロホンアレーと上記フィルタ部との間に設けられ、目的音を強調したM個の信号を得る目的音強調部を有し、
上記フィルタ部は、
上記M個の目的音強調部の出力信号を、上記適応フィルタと同じフィルタ係数でフィルタリングした信号を加算して出力
することを特徴とする収音装置。 - 請求項1において、
上記収音手段は、任意配置されることもある手段であり、
上記適応フィルタ部と上記フィルタ部との間に、フィルタ係数変換部が設けられていることを特徴とする収音装置。 - 等間隔直線配置されているM個(Mは3以上の整数)の収音手段のうちで隣り合う収音手段のペア毎に、収音した収音信号から、目的音方向からの到来音成分が除去されたM−1個の信号を得る目的音除去段階と;
目的音方向から第m番目(mは1以上M−1以下の整数)の収音手段への到来時間と、目的音方向から第1番目の収音手段への到来時間との差を与えるフィルタ係数によって、擬似目的音をフィルタリングし、M−1個の信号を生成する擬似目的音生成段階と;
M−1個の収音手段のペア毎に、上記目的音除去段階での出力信号と、上記擬似目的音生成段階での出力信号とを加算する加算段階と;
上記擬似目的音に固定の遅延を与える遅延段階と;
M−1個の収音手段が出力したペア毎の上記加算段階での出力信号をそれぞれ異なるフィルタ係数でフィルタリングし、上記遅延段階での出力信号を、上記M−1個のフィルタリングした信号を加算した信号の所望信号として上記フィルタ係数を学習する適応フィルタと;
上記第1〜第M−1番目の収音手段が収音したそれぞれの収音信号を、上記適応フィルタと同じフィルタ係数でフィルタリングした信号を加算して出力するフィルタ段階と;
を有することを特徴とする収音方法。 - 請求項6において、
隣り合う上記収音手段毎に設けられ、しかも、上記収音手段と上記フィルタ部との間に設けられ、目的音を強調したM−1個の信号を得る目的音強調段階を有し、
上記フィルタ段階は、
上記M−1個の目的音強調部の出力信号を、上記適応フィルタと同じフィルタ係数でフィルタリングした信号を加算して出力する
ことを特徴とする収音方法。 - 同一の収音手段の配置を持ち、等間隔直線配置されているM個(Mは2以上の整数)のサブマイクロホンアレーのうちで隣り合うサブマイクロホンアレー毎に、収音した収音信号から、目的音方向からの到来音成分が除去されたM個の信号を得る目的音除去段階と;
目的音方向から第m番目(mは1以上M以下の整数)の収音手段への到来時間と、目的音方向から第1番目の収音手段への到来時間との差を与えるフィルタ係数によって、擬似目的音をフィルタリングし、M個の信号を生成する擬似目的音生成段階と;
M個のサブマイクロホンアレー毎に、上記目的音除去手段の出力信号と、上記擬似目的音生成手段の出力信号とを加算する加算段階と;
上記擬似目的音に固定の遅延を与える遅延段階と;
M個のサブマイクロホンアレーが出力したペア毎の上記加算手段の出力信号をそれぞれ異なるフィルタ係数でフィルタリングし、上記遅延段階での出力信号を、上記M個のフィルタリングした信号を加算した信号の所望信号として上記フィルタ係数を学習する適応フィルタ段階と;
上記M個のサブマイクロホンアレー中の特定位置の収音手段が収音したそれぞれの収音信号を、上記適応フィルタと同じフィルタ係数でフィルタリングした信号を加算して出力するフィルタ段階と;
を有することを特徴とする収音方法。 - 請求項8において、
上記サブマイクロホンアレー毎に設けられ、しかも、上記サブマイクロホンアレーと上記フィルタ部との間に設けられ、目的音を強調したM個の信号を得る目的音強調段階を有し、
上記フィルタ段階は、
上記M個の目的音強調部の出力信号を、上記適応フィルタと同じフィルタ係数でフィルタリングした信号を加算して出力することを特徴とする収音方法。 - 請求項6において、
上記収音手段は、任意配置されることもある手段であり、
上記適応フィルタ段階と上記フィルタ段階との間で、フィルタ係数変換が行われることを特徴とする収音方法。 - 請求項6〜請求項10のいずれか1項に記載の方法をコンピュータに実行させる収音プログラム。
- 請求項6〜請求項10のいずれか1項に記載の方法をコンピュータに実行させる収音プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
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