JPH0690493A - 音声入力装置及びこれを用いた撮像装置 - Google Patents

音声入力装置及びこれを用いた撮像装置

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JPH0690493A
JPH0690493A JP4266521A JP26652192A JPH0690493A JP H0690493 A JPH0690493 A JP H0690493A JP 4266521 A JP4266521 A JP 4266521A JP 26652192 A JP26652192 A JP 26652192A JP H0690493 A JPH0690493 A JP H0690493A
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徹 佐々木
Hitoshi Okubo
仁 大久保
Takayuki Mizuuchi
崇行 水内
Kaoru Gyotoku
薫 行徳
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 雑音低減型の音声入力装置において、不要信
号の抑圧量を制御して、音声ズーミング機能を実現す
る。 【構成】 主要・参照の両音声を収音するための1対の
マイクロホン11,21と、適応フィルタ24を含む雑
音低減回路とを組み合わせて、希望音声信号のみが出力
されるようにする。無相関信号発生回路31から主要及
び参照の両音声信号と相関がない無相関信号を参照入力
に加算して、不要信号の抑圧処理を制限する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、音声入力装置及びこ
の音声入力装置を使用するカメラ一体型VTRなどの撮
像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、カメラ一体型VTRにおいて
は、被写体を撮影しながら、この被写体の周囲の音声を
同時に録音するようにしている。この録音に当たって
は、一般に、カメラのレンズが向いている被写体の方
向、即ち、カメラの正面方向からの音声のみを収音する
ように、鋭い指向性を有する音声入力装置を使用するこ
とが望ましい。
【0003】この種の指向性の鋭い音声入力装置の例と
しては、例えばガンマイクと通称される、長管の側壁に
多数の小孔を穿設して、側方及び後方からの音声に対し
て感度が低く、前方からの音声に対して高い感度を有す
るものが知られている。
【0004】また、カメラ一体型VTRにおいては、一
般的にズームレンズが使用され、望遠から広角まで、撮
影者の希望に応じた画角での撮影が可能である。しか
も、最近は、ズームレンズの高倍率化が進んでいる。こ
れに対して、音声の収音手段が一定の指向性のままであ
ると、映像との整合性が悪くなる場合がある。そこで、
映像の倍率に応じて音声入力装置の指向性を変える要望
が強い。
【0005】このためには、指向性の広い状態から狭い
状態にまで渡って指向特性を可変にすることができるズ
ーム機能を備える音声入力装置が必要になる。このズー
ム機能を実現する方法としては、従来から種々提案され
ており、例えば上記の指向性の鋭いマイクロホンと、通
常の無指向性あるいは単一指向性のマイクロホンとの出
力信号を、演算手段に入力し、この演算手段で複数個の
信号を演算処理して適当に混合することによりズーム特
性を得ることができるようにする方法が提案されてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ガンマ
イクは、長管の使用によって、必然的に大型になり、上
記のカメラ一体型VTRの小型化が困難であるという問
題があった。しかも、指向性を鋭くしても、マイクロホ
ン近傍で発せられた音声は、それが感度の低い主軸外方
向から入射しても、大きく収音されてしまう欠点があっ
た。
【0007】また、ズーム機能を備える音声入力装置
を、上記のように、指向性の鋭いマイクロホンの出力信
号と、通常の無指向性あるいは単一指向性のマイクロホ
ンの出力信号とを混合する装置の場合には、上記と同様
に、大型になってしまうと共に、構成が複雑になり、さ
らには、その制御が複雑化する欠点がある。また、複数
のマイクロホン出力の混合量を変化させる時には、従
来、可変抵抗器をモータによって回転するようにしてい
るため、機械的騒音を収音しやすいという問題もあっ
た。
【0008】この発明は、上記の点にかんがみ、小型化
が容易で、音声ズーミングを簡単に行なうことができ
る、音声入力装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、この発明による雑音低減型の音声入力装置は、後述
の実施例の参照符号を対応させると、希望音声を収音す
るための第1のマイクロホン11と、希望音声の到来方
向の感度が低い指向性の第2のマイクロホン21と、こ
の第2のマイクロホンの音声信号が供給される適応フィ
ルタ手段24と、この適応フィルタ手段の出力信号と上
記第1のマイクロホンの音声信号とを合成する合成手段
15と、この合成手段15の出力パワーが最小化される
ように適応フィルタ手段24を調整する手段と、第1及
び第2のマイクロホン11及び21の音声信号とは相関
がない無相関信号を発生する信号発生手段31と、無相
関信号を第2のマイクロホン21の音声信号に加算する
加算手段25とを備えることを特徴とするものである。
【0010】
【作用】かかる構成によれば、希望音声到来方向の感度
が低い第2のマイクロホン21からの参照音声信号は、
第1のマイクロホン11からの希望音声信号とは相関が
少なく、この発明の音声入力装置は、適応型雑音低減シ
ステムの構成となり、減算手段の出力パワーが最小化さ
れると、参照音声信号が第1のマイクロホン11からの
音声信号から除去されて、希望音声信号のみが出力され
る。したがって、希望音声方向に鋭い指向性を有する音
声入力装置が実現される。
【0011】また、主要・参照の両音声信号に相関がな
い無相関信号を参照音声信号に加算することにより、参
照音声の低減処理が制限される。これにより、音声に対
するズーム機能が実現される。
【0012】
【実施例】先ず、この発明による音声入力装置の一実施
例を図を参照しながら説明するが、この発明において
は、適応雑音低減処理の考えを使用するので、この発明
の一実施例を説明する前に、この適応雑音低減処理につ
いて説明する。
【0013】図3は、適応雑音低減処理システムの基本
的構成のブロック図で、1は主要入力端子、2は参照入
力端子であって、主要入力端子1を通じて入力された主
要入力信号は遅延回路3を介して合成回路4に供給され
る。遅延回路3は、主要入力端子1に入力される主要入
力信号と、参照入力端子2に入力される参照入力信号と
の間に時間遅延が無いとした場合に、適応フィルタ回路
5での時間遅延分を補正するためのものであり、この遅
延回路3は設けなくてもよい。
【0014】そして、参照入力端子2を通じて入力され
た信号は適応フィルタ回路5を介して合成回路4に供給
され、遅延回路3からの信号から減算される。そして、
この合成回路4の出力は、適応フィルタ回路5に帰還さ
れると共に、出力端子6に導出される。
【0015】この雑音低減装置においては、主要入力端
子1には、希望信号sと、これと無相関の雑音n0 とが
加算されたものが入力される。一方、参照入力端子2に
は、雑音n1 が入力される。この参照入力の雑音n1
は、希望信号とは無相関であるが、雑音n0 とは相関が
あるようにされる。
【0016】適応フィルタ回路5は、参照入力雑音n1
をフィルタリングして、雑音n0 に近似する信号、すな
わち、雑音n0 と同相、等振幅の信号yを出力する。こ
の適応フィルタ回路5の出力信号として、雑音n0 と逆
相、等振幅の信号−yを得るようにすることもできる。
合成回路4では、遅延回路3の出力信号から適応フィル
タ回路5の出力信号を減算(出力信号が、雑音n0 と逆
相の信号−yの場合には加算)する処理が行なわれる。
【0017】適応フィルタ回路5における適応のアルゴ
リズムは、合成回路4の出力である減算出力(残差出
力)eを最小にするように働く。すなわち、今、s,n
0 ,n1 ,yが統計的に定常であり、平均値が0である
と仮定すると残差出力eは、 e=s+n0 −y となる。これを二乗したものの期待値は、sがn0 と、
また、yと無相関であるから、 E[e2 ]=E[s2 ]+E[(n0 −y)2 ] +2E[s(n0 −y)] =E[s2 ]+E[(n0 −y)2 ] となる。適応フィルタ回路5が収束するものとすれば、
適応フィルタ回路5は、E[e2 ]が最小になるように
調整されるものである。このとき、E[s2 ]は影響を
受けないので、 Emin [e2 ]=E[s2 ]+Emin [(n0 −y)2 ] となる。すなわち、E[e2 ]が最小化されることによ
ってE[(n0 −y)2]が最小化され、適応フィルタ
回路5の出力yは、雑音n0 の推定量になる。そして、
合成回路4からの出力の期待値は、希望信号sのみとな
る。すなわち、適応フィルタ回路5を調整して全出力パ
ワーを最小化することは、減算出力eが、希望音声信号
sの最小二乗推定値になることに等しい。
【0018】残差出力eは、一般に、信号sに多少の雑
音が残ったものとなるが、出力雑音は、n0 −yで与え
られるから、E[(n0 −y)2 ]を最小化すること
は、出力の信号対雑音比を最大化することに等しい。
【0019】なお、適応フィルタ回路5はアナログ信号
で実現する場合とデジタル信号処理回路で実現する場合
の、いずれでも可能である。適応フィルタ回路5を、デ
ジタルフィルタを用いて実現した場合の例を図4に示
す。この例は、適応のアルゴリズムとして、いわゆるL
MS(最小平均自乗)法を使用した場合の例である。
【0020】図4に示すように、この例では、FIRフ
ィルタ型の適応線形結合器300を使用する。これは、
それぞれ単位サンプリング時間の遅延時間Z-1を有する
複数個の遅延素子DL1,DL2,……DLm(mは正
の整数)と、入力雑音n1 及び各遅延素子DL1,DL
2,…,DLmの出力信号と加重係数との掛け算を行う
加重回路MX0,MX1,MX2,…,MXmと、加重
回路MX0〜MXmの出力を加算する加算回路310を
備える。加算回路310の出力はy(あるいは−y)で
ある。
【0021】加重回路MX0〜MXmに供給する加重係
数は、例えばマイクロコンピュータからなるLMS演算
回路320で、合成回路4からの残差信号eに基づいて
形成される。このLMS演算回路320で実行されるア
ルゴリズムは、次のようになる。
【0022】今、時刻k における入力ベクトルXk を、
図4にも示すように、 Xk =[x0k1k2k ・・・xmkT とし、出力をyk 、加重係数をwjk(j=0,1,2,…m )と
すると、入出力の関係は、次の数1に示すようになる。
【0023】
【数1】 そして、時刻k における加重ベクトルWk を、 Wk =[w0k1k2k ・・・wmkT と定義すれば、入出力関係は、 yk =Xk T ・Wk で与えられる。ここで、希望の応答をdk とすれば、残
差ek は次のように表される。 ek =dk −yk =dk −Xk T ・Wk LMS法では、加重ベクトルの更新を、 Wk+1 =Wk +2μ・ek ・Xk ……(a) なる式により順次行っていく。ここで、μは適応の速度
と安定性を決める利得因子(ステップゲイン)である。
【0024】次に、以上説明した適応雑音低減処理を使
用したこの発明による音声入力装置の一実施例のブロッ
ク図を図1に示す。この例では、適応フィルタ回路は、
デジタルフィルタを用いたものを使用するが、合成回路
4としては、減算回路が用いられる。
【0025】図1において、11は希望音声を収音する
ための主要入力用マイクロホンであり、21は雑音とし
て除去したい方向の不要音声や周囲騒音を収音するため
の参照入力用マイクロホンである。この例は、希望音声
の到来方向は、主として、図2において矢印ARで示す
ように、図上、上方から下方に向かう方向(以下正面方
向という)であり、この方向と逆方向(以下背面方向と
いう)からの不要音などを雑音として収音しないように
するマイクロホン装置を実現する例である。
【0026】この例の場合には、主要入力用マイクロホ
ン11は、図2に示すような全指向性のマイクロホンで
構成される。一方、参照入力用マイクロホン21は、図
2に示すように、希望音声到来方向に感度を有せず、背
面方向にのみ感度を有する単一指向性のマイクロホンで
構成される。この1対のマイクロホン11,21は、装
置の小形化を実現するため、近接して配置される。
【0027】上述のような両マイクロホン11,21の
配置により、主要入力用マイクロホン11には、希望音
声も不要音声も混合されて入力される。一方、参照入力
荷は、不要信号は入力されるが、単一指向性の作用によ
り、希望音声は殆ど入力されない。希望音声と参照音声
(不要音声)は到来方向が異なり、また、音源が異なる
ので、一般に、無相関である。
【0028】そして、主要入力用マイクロホン11によ
り収音され、電気信号に変換されて得られた音声信号
は、増幅器12を介してA−D変換器13に供給され
て、デジタル信号に変換され、遅延回路14を介して減
算回路15に供給される。また、参照入力用マイクロホ
ン21により収音され、電気信号に変換されて得られた
不要音声信号は、増幅器22と加算回路25を介してA
−D変換器23に供給されて、デジタル信号に変換さ
れ、適応フィルタ回路24に供給される。
【0029】この実施例では、適応フィルタ回路24
は、前出図4に示したような、FIRフィルタ型の適応
線形結合器300と、この線形結合器300を適応制御
する演算回路(マイクロコンピュータ)320から構成
され、A−D変換器23からのデジタル信号は、線形結
合器300を介して減算回路15に供給される。減算回
路15の出力信号は、演算回路320に帰還されると共
に、D−A変換器16によりアナログ信号に戻され、出
力端子17に導出される。
【0030】なお、D−A変換器16を省いて、減算回
路15の出力信号をデジタル信号のままで出力端子17
に導出するようにしてもよい。また、遅延回路14は、
適応フィルタ回路24での伝播時間や適応処理のための
演算に要する時間遅れなどの時間遅延を補償するための
ものである。
【0031】基本的に、適応フィルタ回路24では、主
要入力音声信号中に含まれる不要音声信号に、参照入力
音声信号が近似するように制御される。これにより、主
要入力用マイクロホン11で収音された音声中の希望音
声と不要音声とが無相関であるとすると、減算回路15
では、主要入力用マイクロホン11の音声信号から、参
照入力用マイクロホン21の不要音声信号が減算されて
除去され、減算回路15からは、希望音声信号のみが得
られる。
【0032】すなわち、この実施例の基本的構成は、主
要入力として主要入力用マイクロホン11の出力音声信
号が供給され、参照入力としての雑音(不要音声信号)
として、参照入力用マイクロホン21の出力音声信号が
供給された適応型雑音低減システムの構成となってい
る。そして、出力端子17には、雑音、この例では背面
方向からの不要音声信号が選択的に除去されて、結果的
には、希望音声信号だけが、所要の品位で出力される。
【0033】上述のように、この実施例では、音声の到
来方向によって希望音声と雑音とを区別する。そして、
主要入力用マイクロホン11は、希望音声到来方向から
の音声を収音できる指向特性(無指向性を含む)を有す
るような構成とすると共に、参照入力用マイクロホン2
1は、希望音声到来方向に感度を有しない、あるいは低
い感度の指向性とする構成として、主要入力用マイクロ
ホン11で収音された音声中の希望音声と、参照入力用
マイクロホン21で収音された雑音とは無相関となるよ
うにしている。
【0034】したがって、この実施例では、主要入力用
マイクロホンと参照入力用マイクロホンの指向性のみを
考えればよく、両マイクロホンを近接して配置すること
も可能であり、従来のマイクロホンシステムに比べて、
小型化することができる。
【0035】さらに、この実施例では、音声のズーミン
グのために、無相関信号発生回路31とレベル調整回路
32とが設けられ、発生回路31からの無相関信号が、
レベル調整回路32を介して、参照信号系に介挿された
加算回路25に供給される。レベル調整回路32の減衰
量は、例えば、外部からの制御信号Sczによって制御さ
れる。
【0036】この発生回路31からの無相関信号は、希
望音声、参照音声の両音声信号に相関がないことが必要
であって、例えば、白色雑音,有色雑音などのランダム
雑音が利用される。
【0037】次に、この発明の一実施例の音声ズーミン
グ動作について説明する。適応型雑音低減システムの参
照入力信号のパワースペクトルをΦrr(z)とし、参照
入力信号に加えられる無相関信号のパワースペクトル
(雑音レベルに相当)をΦmm(z)として、両者の比
を、 B(z)=Φmm(z)/Φrr(z) とおくと、システムの出力における希望信号対不要信号
のパワー密度比ρout (z)と、主要入力における希望
信号対不要信号のパワー密度比ρpri (z)は、 ρout (z)/ρpri (z)={B(z)+1}/B(z) で表わされる。
【0038】この式から、適応型雑音低減システムの出
力における希望信号対不要信号のパワー密度比ρout
(z)は、B(z)が大きくなるほど、即ち、参照入力
信号に加える無相関信号のパワースペクトルΦmm(z)
が大きくなるほど、主要入力における希望信号対不要信
号のパワー密度比ρpri (z)に近づいて、システムの
雑音(不要信号)低減能力が制限されることが判る。
【0039】換言すれば、参照入力信号に加える無相関
信号の量を適宜に変化させることにより、不要信号(背
景騒音など)の抑圧量を制御することができて、等価的
に、音声ズーミング機能を実現することができる。
【0040】なお、無相関信号は、出力音声信号中に漏
れて来るが、この無相関信号として、可聴周波数帯域外
の信号を用いれば、問題は生じない。また、可聴周波数
帯域内であっても、単周波数などの信号であれば、トラ
ップ回路を用いて容易に除去することも可能である。
【0041】図5は、以上説明した音声入力装置を、ビ
デオカメラの音声系に適用した場合の一実施例である。
この例の音声系100の構成は、無相関信号発生回路3
1の部分を除けば、図1の例の音声入力装置と全く同様
であるので、図1の例と同一の符号を付して、その説明
を省略する。
【0042】図5の例のビデオ系200においては、被
写体40をズーム光学系41を用いて撮像し、CCD撮
像素子42で、電気信号に変換して、撮像信号を得る。
この撮像信号は、ビデオ信号処理回路43に供給され
て、例えばNTSC方式のカラービデオ信号にされ、記
録系44に供給される。また、音声系100のD−A変
換器16からの音声信号が、この記録系44に供給され
る。そして、この記録系44において、適当な記録信号
処理が施され、例えば磁気テープに、これらビデオ信号
及び音声信号が記録される。
【0043】ズーム光学系41のズーム比は、ズームモ
ータ45が、コントローラ46からのズームコントロー
ル信号により制御されることにより、変えられる。コン
トローラ46は、ズーム操作キー47の操作により、モ
ータ45を制御するズームコントロール信号を発生す
る。
【0044】そして、この例においては、無相関信号と
しては、ビデオカメラの、ビデオ信号処理回路43で得
られる水平同期信号や、記録系44で発生するドラムサ
ーボ信号などの信号源が利用される。この例では、ビデ
オ信号処理回路43からの水平同期信号が、無相関信号
として、レベル調整回路32を介して音声系100の加
算回路25に供給される。そして、レベル調整回路32
が、コントローラ46からのズームコントロール信号に
より、ズームモータ45の制御に連動して、調整制御さ
れる。したがって、画像のズームアップに合わせて、音
声もズームアップすることができる。
【0045】この例の場合、無相関信号は、水平同期信
号であり、周波数が15.75kHzと高いので、目立た
ないが、水平同期信号は、単一周波数の信号であるの
で、D−A変換器16と記録系44との間に、トラップ
回路48を設けて除去することにより、再生音声に問題
は生じない。
【0046】以上のように、上記の例では、ビデオカメ
ラに既存の、水平同期信号やドラムサーボ信号などの信
号源を利用することができるので、新規に、無相関信号
発生回路を設けずともよく、構成が簡単になる。しか
も、これらの信号は周期性信号であり、容易にトラップ
回路を用いて音声信号から除去することができる。
【0047】なお、上述の実施例では、主要入力用マイ
クロホン11を無指向性としたが、図6に示すように、
主要入力用マイクロホン11も単一指向性として、正面
方向に最も高い感度の方向を向けて配置すると共に、単
一指向性の参照入力用マイクロホン21を、例えば背面
方向に最も高い感度の方向を向けて配置するようにして
もよい。
【0048】また、主要入力用マイクロホン11及び参
照入力用マイクロホン21として、上述のような単一指
向性のマイクロホンユニット単体を使用する代わりに、
無指向性のマイクロホンユニットを2個用いたものを使
用することもできる。
【0049】図7及び図8を用いて、無指向性のマイク
ロホンユニットを2個用いて単一指向性のマイクロホン
を実現する例を説明する。図7に示すように、この例で
は、無指向性のマイクロホンユニット30及び31は、
距離dだけ離れて配置される。そして、図8に示すよう
に、一方のマイクロホンユニット30の出力音声信号
は、図示を省略したアンプを介して減算回路32に供給
される。他方のマイクロホンユニット31の出力音声信
号は、同様に図示を省略したアンプ及びフィルタ回路3
3を介して減算回路32に供給される。フィルタ回路3
3は、この例では、抵抗器34とコンデンサ35とから
構成される。そして、抵抗器34の抵抗値をR1 、コン
デンサ35の容量をC1 としたとき、 C1 ・R1 =d/c (ただし、cは音速である)となるように抵抗値R1 及
び容量C1 が選定されている。
【0050】そして、この例では、減算回路32の出力
は、周波数特性を平坦にするための積分器など周波数特
性補正回路36を介して出力端子37に出力音声信号が
導出される。後述するように、この周波数特性補正回路
36は、必要に応じて設けられるものであって、これは
設けなくてもよい。
【0051】この例のマイクロホンの動作について説明
する。図7に示すように、音源が2個のマイクロホンユ
ニット30,31の配列方向に対してθなる角度の方向
にあって、これら2個のマイクロホンユニット30,3
1に入射しているとした場合に、各ユニット30,31
の出力をP0 ,P1 とすると、出力P1 は、 P1 =P0 ε−jω(d/c)cosθ となる。なお、ωは角周波数である。
【0052】マイクロホンユニット31の出力はフィル
タ回路33を通じて減算回路32に供給されるので、減
算回路32の出力信号Paは、次の数2に示すようなも
のとなる。
【0053】
【数2】 なお、数2において、Aはフィルタ回路33のフィルタ
関数を表わし、また、ω・d/c<<1である。
【0054】そして、数2において、次の数3を満足す
れば、出力Paは単一指向性を示すものとなる。
【0055】
【数3】 つまり、次の数3の式を満足すると、前記数2は、 Pa=P0 ・jω(d/c)(1+cosθ) となり、角度θに関して単一指向性となる。
【0056】ところで、フィルタ回路33のフィルタ関
数Aは、上記の例の場合、 A=1/(1+jωC1 ・R1 ) で表され、C1 ・R1 =d/cとなるように構成されて
いるので、 A=1/(1+jωd/c) となり、数3から図7の実施例のマイクロホンは単一指
向性になることは明らかである。ただし、このマイクロ
ホンの周波数特性は右上がり(高域ほどレスポンスが
大)の特性になる。この例では、周波数特性補正回路3
6が、この右上がりの特性を平坦に補正するために設け
られている。
【0057】なお、図8の例において、フィルタ回路3
3、減算回路32、さらには周波数特性補正回路36
は、デジタルフィルタや処理プログラム(ソフトウエ
ア)によっても実現することができる。
【0058】例えば、フィルタ回路33は、図9のよう
に、加算器41と、遅延回路42と、伝達関数Aの帰還
アンプ43とからなるデジタルフィルタで構成すること
ができる。
【0059】なお、以上の例は、カメラ一体型VTRの
収音マイクロホン装置の場合として、この発明の音声入
力装置を説明したが、この発明は、この例に限らず、単
体のマイクロホン装置はもちろんのこと、業務用ビデオ
カメラや、測定用マイクロホン装置など、すべてのマイ
クロホン装置に適用可能である。
【0060】なお、上記の例では適応フィルタ回路24
はデジタル回路で構成したので、全体としてデジタル回
路の構成としたが、適応フィルタ回路24をアナログ回
路の構成として、全体としてアナログ回路の構成とする
ことも可能である。また、適応フィルタ回路部分のみを
デジタル構成とするようにしてもよい。また、さらに、
適応のアルゴリズムとしては、LMS法に限らず、他の
方法、例えば学習同程法などを使用することもできる。
【0061】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、主要・参照の両音声を収音するための1対のマイク
ロホンと、適応フィルタを含む雑音低減回路とを組み合
わせて、希望音声信号のみが出力されるようにすると共
に、主要・参照の両音声信号に相関がない無相関信号を
参照音声信号に加算して、不要音声信号の抑圧処理を制
限するようにしたので、音声ズーミングを簡単に行なう
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による音声入力装置の一実施例の構成
を示すブロック図である。
【図2】第1及び第2のマイクロホンの指向性の一例を
示す図である。
【図3】この発明を説明するための適応型雑音低減装置
の概要を示すブロック図である。
【図4】適応フィルタ回路の構成例を示す図である。
【図5】この発明による撮像装置の一実施例の構成を示
すブロック図である。
【図6】第1及び第2のマイクロホンの指向性の他の例
を示す図である。
【図7】複数個のマイクロホンユニットにより所望の指
向特性のマイクロホンを構成する例を説明するための図
である。
【図8】複数個のマイクロホンユニットにより所望の指
向特性のマイクロホンを構成する例を示す図である。
【図9】図8の例の一部の他の構成例を示す図である。
【符号の説明】
11 第1のマイクロホン 21 第2のマイクロホン 15 減算回路 24 適応フィルタ回路 25 加算回路 31 無相関信号発生回路 32 レベル調整回路 41 ズーム光学系 43 ビデオ信号処理回路 44 記録系 45 ズームモータ 46 コントローラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 行徳 薫 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 希望音声を収音するための第1のマイク
    ロホンと、 上記希望音声の到来方向の感度が低い指向性の第2のマ
    イクロホンと、 この第2のマイクロホンの音声信号が供給される適応フ
    ィルタ手段と、 この適応フィルタ手段の出力信号と上記第1のマイクロ
    ホンの音声信号とを合成する合成手段と、 この合成手段の出力パワーが最小化されるように上記適
    応フィルタ手段を調整する手段と、 上記第1及び第2のマイクロホンの音声信号とは相関が
    ない無相関信号を発生する信号発生手段と、 上記無相関信号を上記第2のマイクロホンの音声信号に
    加算する加算手段とを備える音声入力装置。
  2. 【請求項2】 上記信号発生手段と上記加算手段との間
    にレベル調整回路が設けられ、このレベル調整回路がレ
    ベル調整信号により制御されることにより、上記無相関
    信号の加算量が可変とされた請求項1に記載の音声入力
    装置。
  3. 【請求項3】 ズーム光学系と、 請求項2記載の音声入力装置とを備え、 上記無相関信号の加算量を上記ズーム光学系のズーム比
    の制御と連動して制御するようにした撮像装置。
  4. 【請求項4】 請求項1において、上記無相関信号が周
    期性信号である音声入力装置。
  5. 【請求項5】 請求項3において、上記無相関信号とし
    て、当該撮像装置がが有する信号源の出力を使用するよ
    うにした撮像装置。
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