JP3208684B2 - ズームマイクロホン装置 - Google Patents

ズームマイクロホン装置

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JP3208684B2
JP3208684B2 JP25580492A JP25580492A JP3208684B2 JP 3208684 B2 JP3208684 B2 JP 3208684B2 JP 25580492 A JP25580492 A JP 25580492A JP 25580492 A JP25580492 A JP 25580492A JP 3208684 B2 JP3208684 B2 JP 3208684B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ズームマイクロホン
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、カメラ一体型VTRにおいて
は、一般的にズームレンズが使用され、望遠から広角ま
で、撮影者の希望に応じた画角での撮影が可能である。
しかも、最近は、ズームレンズの高倍率化が進んでい
る。これに対して、音声の収音手段が一定の指向性のま
まであると、映像との整合性が悪くなる場合がある。そ
こで、映像の倍率に応じてマイクロホンの指向性を変え
ることが考えられる。
【0003】このためには、指向性の広い状態から狭い
状態にまで渡って指向特性を可変にすることができるズ
ームマイクロホンが用いられる。このズームマイクロホ
ンとしては、従来から種々提案されているが、一般的に
は、大型のものとなってしまい、カメラ一体型VTRの
ような小型のシステムには不適当である。
【0004】これに対して、複数個のマイクロホンユニ
ットの出力信号を、遅延や重み付けを行った後に、演算
手段に入力し、この演算手段で複数個の信号を演算処理
することによりズーム特性を得ることができるようにす
る方法も提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
方法の場合には、構成が複雑になると共に、所望の指向
性を得るための調整が非常に厄介であった。
【0006】この発明は、以上の点にかんがみ、小型で
あって、しかも、構成が簡単で、所望の指向性を容易に
設定することができるズームマイクロホン装置を提供す
ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、この発明によるズームマイクロホン装置は、後述の
実施例の参照符号を対応させると、主要入力用マイクロ
ホン11と、参照入力用マイクロホン21と、参照入力
用マイクロホン21からの音声信号から主要入力用マイ
クロホン11の出力音声信号中の不要信号成分に近似す
る信号を形成するための適応フィルタ手段24と、主要
入力用マイクロホン11の出力音声信号から、適応フィ
ルタ手段24の出力信号を用いて前記不要信号を低減な
いし除去するための合成手段14と、合成手段14の出
力パワーが最小化されるように適応フィルタ手段24を
調整する手段とを備え、適応フィルタ手段24では、合
成手段14の出力パワーを最小化する適応処理をオン・
オフすることが可能であって、この適応処理のオフ時に
は、適応フィルタ手段24で使用する係数値を、所定の
固定値に選択的に設定するようにしたことを特徴とす
る。
【0008】また、適応フィルタ手段24で適応処理の
オン時には、適応処理のステップゲインが可変に設定さ
れるようにしたことを特徴とする。
【0009】
【作用】上記の構成においては、適応処理のオフのとき
に、加重係数が所定の固定値に設定されることで、主要
入力と参照入力とが前記加重数値に応じた合成比で合
成され、指向特性が可変とされる。
【0010】適応処理のオンのときには、参照入力用マ
イクロホンで収音される音声を主要入力用マイクロホン
の出力音声から除去するようにシステムが動作するの
で、参照入力用マイクロホンの感度の高い方向に感度を
有しない鋭い指向性が得られる。そして、ステップゲイ
ンが変えられることにより、その指向特性が可変され
る。
【0011】
【実施例】以下、この発明によるズームマイクロホン装
置の一実施例を図を参照しながら説明するが、この発明
においては、適応雑音低減処理の考えを使用するので、
この発明の一実施例を説明する前に、この適応雑音低減
処理について説明する。
【0012】図3は、適応雑音低減処理システムの基本
的構成のブロック図で、1は主要入力端子、2は参照入
力端子であって、主要入力端子1を通じて入力された主
要入力信号は遅延回路3を介して合成回路4に供給され
る。遅延回路3は、主要入力端子1に入力される主要入
力信号と、参照入力端子2に入力される参照入力信号と
の間に時間遅延が無いとした場合に、適応フィルタ回路
5での時間遅延分を補正するためのものであり、この遅
延回路3は設けなくてもよい。
【0013】そして、参照入力端子2を通じて入力され
た信号は適応フィルタ回路5を介して合成回路4に供給
され、遅延回路3からの信号から減算される。そして、
この合成回路4の出力は、適応フィルタ回路5に帰還さ
れると共に、出力端子6に導出される。
【0014】この雑音低減装置においては、主要入力端
子1には、希望信号sと、これと無相関の雑音n0 とが
加算されたものが入力される。一方、参照入力端子2に
は、雑音n1 が入力される。この参照入力の雑音n1
は、希望信号とは無相関であるが、雑音n0 とは相関が
あるようにされる。
【0015】適応フィルタ回路5は、参照入力雑音n1
をフィルタリングして、雑音n0 に近似する信号、すな
わち、雑音n0 と同相、等振幅の信号yを出力する。こ
の適応フィルタ回路5の出力信号として、雑音n0 と逆
相、等振幅の信号−yを得るようにすることもできる。
合成回路4では、遅延回路3の出力信号から適応フィル
タ回路5の出力信号を減算(出力信号が、雑音n0 と逆
相の信号−yの場合には加算)する処理が行なわれる。
【0016】適応フィルタ回路5における適応のアルゴ
リズムは、合成回路4の出力である減算出力(残差出
力)eを最小にするように働く。すなわち、今、s,n
0 ,n1 ,yが統計的に定常であり、平均値が0である
と仮定すると残差出力eは、 e=s+n0 −y となる。これを二乗したものの期待値は、sがn0 と、
また、yと無相関であるから、 E[e2 ]=E[s2 ]+E[(n0 −y)2 ] +2E[s(n0 −y)] =E[s2 ]+E[(n0 −y)2 ] となる。適応フィルタ回路5が収束するものとすれば、
適応フィルタ回路5は、E[e2 ]が最小になるように
調整されるものである。このとき、E[s2 ]は影響を
受けないので、 Emin [e2 ]=E[s2 ]+Emin [(n0 −y)2 ] となる。すなわち、E[e2 ]が最小化されることによ
ってE[(n0 −y)2]が最小化され、適応フィルタ
回路5の出力yは、雑音n0 の推定量になる。そして、
合成回路4からの出力の期待値は、希望信号sのみとな
る。すなわち、適応フィルタ回路5を調整して全出力パ
ワーを最小化することは、減算出力eが、希望音声信号
sの最小二乗推定値になることに等しい。
【0017】なお、適応フィルタ回路5はアナログ信号
で実現する場合とデジタル信号処理回路で実現する場合
の、いずれでも可能である。適応フィルタ回路5を、デ
ジタルフィルタを用いて実現した場合の例を図4に示
す。この例は、適応のアルゴリズムとして、いわゆるL
MS(最小平均自乗)法を使用した場合の例である。
【0018】図4に示すように、この例では、FIRフ
ィルタ型の適応線形結合器300を使用する。これは、
それぞれ単位サンプリング時間の遅延時間Z-1を有する
複数個の遅延素子DL1,DL2,……DLm(mは正
の整数)と、入力雑音n1 及び各遅延素子DL1,DL
2,…,DLmの出力信号と加重係数との掛け算を行う
加重回路MX0,MX1,MX2,…,MXmと、加重
回路MX0〜MXmの出力を加算する加算回路310を
備える。加算回路310の出力はy(あるいは−y)で
ある。
【0019】加重回路MX0〜MXmに供給する加重係
数は、例えばマイクロコンピュータからなるLMS演算
回路320で、合成回路4からの残差信号eに基づいて
形成される。このLMS演算回路320で実行されるア
ルゴリズムは、次のようになる。
【0020】今、時刻k における入力ベクトルXk を、
図4にも示すように、 Xk =[x0k1k2k ・・・xmkT とし、出力をyk 、加重係数をwjk(j=0,1,2,…m )と
すると、入出力の関係は、次の数1に示すようになる。
【0021】
【数1】 そして、時刻k における加重ベクトルWk を、 Wk =[w0k1k2k ・・・wmkT と定義すれば、入出力関係は、 yk =Xk T ・Wk で与えられる。ここで、希望の応答をdk とすれば、残
差ek は次のように表される。 ek =dk −yk=dk −Xk T ・Wk LMS法では、加重ベクトルの更新を、 Wk+1 =Wk +2μ・ek ・Xk ……(a) なる式により順次行っていく。ここで、μは適応の速度
と安定性を決める利得因子(ステップゲイン)である。
【0022】次に、以上説明した適応雑音低減処理を使
用したこの発明によるズームマイクロホン装置の一実施
例のブロック図を図1に示す。この例では、適応フィル
タ回路は、デジタルフィルタを用いたものを使用する
が、特にそのタップ数を1としている。また、合成回路
4としては、減算回路が用いられる。
【0023】図1において、11は希望音声を収音する
ための主要入力用マイクロホン、21は雑音として除去
したい方向の不要音声を収音するための参照入力用マイ
クロホンである。この例の場合には、主要入力用マイク
ロホン11及び参照入力用マイクロホン21は、共に、
図2に示すように、単一指向性のマイクロホンで構成さ
れ、その指向特性の感度の低い部分が互いに向き合うよ
うに、近接して配置される。
【0024】そして、主要入力用マイクロホン11によ
り収音され、電気信号に変換されて得られた音声信号
は、アンプ12を介してA/Dコンバータ13に供給さ
れて、デジタル信号に変換され、減算回路14に供給さ
れる。
【0025】また、参照入力用マイクロホン21により
収音され、電気信号に変換されて得られた音声信号は、
アンプ22を介してA/Dコンバータ23に供給され
て、デジタル信号に変換される。このA/Dコンバータ
23からのデジタル信号は、適応フィルタ回路24に供
給される。適応フィルタ回路24は、FIRフィルタ2
41と、LMS法などの演算を行う演算回路242とか
らなるが、この例では、FIRフィルタ241は、1タ
ップの構成であるので、図示のように、1個の加重回路
MXで構成される。この適応フィルタ回路24は、マイ
クロコンピュータにより構成することができる。この例
の場合、適応フィルタ回路24における適応処理は、端
子25からの制御信号により後述するように制御され
る。この制御信号は、例えばカメラ一体型VTRの場合
には、ズームレンズのズーム操作に応じた信号とされ
る。
【0026】そして、この適応フィルタ回路24の出力
信号が減算回路14に供給される。減算回路14の出力
信号は、適応フィルタ回路24に帰還されると共に、D
/Aコンバータ15によりアナログ信号に戻され、出力
端子16に導出される。
【0027】適応フィルタ回路24では、前述したよう
に、主要入力音声中に含まれる雑音としての不要音声
に、参照入力音声が近似するように制御される。これに
より、主要入力用マイクロホン11で収音された音声中
の希望音声と、参照入力(雑音)とが無相関であるとす
ると、減算回路14では、参照入力用マイクロホン21
で収音された雑音信号が主要入力用マイクロホン11か
らの音声信号から減算されて除去され、減算回路14か
らは、希望音声のみが得られるように制御される。
【0028】以上の構成は、主要入力用マイクロホン1
1の出力音声信号が主要入力として入力され、参照入力
用マイクロホン21の出力音声信号が参照入力雑音とし
て供給された適応型雑音低減システムにおいて、適応処
理が端子25からの制御信号により制限及び制御される
構成となっている。このシステムの適応処理の制限及び
制御について次に説明する。
【0029】先ず、この例では、制御信号により適応処
理のオン・オフが行なわれる。適応処理のオンのときに
は、前述したように、減算回路14の残差出力が最小に
なるように、適応フィルタ回路24において、加重係数
の更新が行なわれる。適応処理のオフは、加重係数を更
新せずに、加重係数を所定の値に固定することで、実現
される。この適応処理のオフ時には、加重係数を更新し
ないので、前述した(a)式のステップゲインμは、ど
のような値を取っても差し支えないが、この例では、図
6に示すように、例えばμ=0とする。
【0030】前述したように、制御信号はカメラのズー
ムレンズのズーム操作に応じた信号とされる。この例の
ズーム操作は、広角の短焦点側から所定の中間的な焦点
位置である標準、さらに、標準よりも長焦点の望遠まで
変えられるようにされている。そして、広角側のときに
は、適応処理はオフとされる。
【0031】そして、図5に示すように、適応処理がオ
フのときにおいては、前記所定の値に固定される加重係
数値は、制御信号に応じて−1から0まで可変設定され
るようにされている。すなわち、最も広角側で、加重係
数値が−1とされ、順次、標準に近づくにしたがって加
重係数値が0に近づき、標準のときには、加重係数値が
0とされる。そして、この固定の加重係数値を変えるこ
とで、システム出力を無指向性から単一指向性の間で特
性を変えることができる。
【0032】すなわち、適応処理がオフで、加重係数値
が−1に設定された場合には、減算回路14では、主要
入力と参照入力とが加算されることになる。これは、特
性的にも、図2の向かい合わせの単一指向性を合成した
もので、装置の出力の特性は図7に示すような無指向性
(全指向性)となる。
【0033】また、適応処理がオフで、加重係数値が0
に設定された場合には、適応フィルタ回路24の出力信
号は0(無信号)になるので、この装置の出力の特性
は、主要入力用マイクロホン11の特性となり、図8に
示すような単一指向性を示すものとなる。適応処理がオ
フで、加重係数値が0から−1までの間の値に設定され
た場合には、無指向性と単一指向性の間の特性となり、
−1に近いほど、指向性が広く、0に近いほど、単一指
向性に近づく。こうして、標準より広角側でズーム操作
したときは、無指向性から単一指向性の範囲で指向特性
が可変にされて、レンズ焦点距離に応じた比較的広い指
向特性が得られる。
【0034】次に、標準よりも望遠側にされると、適応
処理がオンとされる。適応処理がオンとされると、図1
の装置は、参照入力音声を主要入力音声から除去・低減
するように動作する。したがって、装置は、等価的に
一指向性よりもさらに鋭い指向性を示すようになる。こ
のときの、適応フィルタ回路24は、加重係数を瞬時に
更新して変更するので、常に装置の出力の特性は変化し
ている。この適応処理オン時の代表的な特性を図9に示
す。なお、図5においては、加重係数値の適応処理オン
のときの変化を点線で示したのは、適応動作中は、加重
係数値は更新されて、瞬時、瞬時で異なり、不定となる
ためである。
【0035】この適応処理オンのときにおいては、ステ
ップゲインμは、予め定めた一定値としてもよいが、こ
の例においては、図6に示すように、ステップゲインμ
は、0から次第に大きくなるようにする。ステップゲイ
ンμが大きくなるにしたがって、等価的に、より鋭い指
向性になる。
【0036】こうして、カメラの広角から望遠までのズ
ーム操作にしたがって、無指向性から単一指向性、さら
により鋭い指向性へと、マイクロホンの指向特性を変え
ることができる。
【0037】なお、上記の例においては、適応処理オフ
時の固定の加重係数は、図5に示したように、広角から
標準に行くにしたがって、すなわち、無指向性から単一
指向性に向かうにしたがって、直線的に変更するように
したが、用途に応じて曲線的に変化させても良い。同様
に、適応処理オン時のステップゲインも図6の例では直
線的に変化させるようにしたが、曲線的に変化させるよ
うにしても良い。
【0038】以上の例は、主要入力用マイクロホン11
及び参照入力用マイクロホン21は、指向特性が単一指
向性のマイクロホンユニット単体を使用した場合である
が、これらのマイクロホン11,21としては、複数個
の無指向性マイクロホンユニットを用いて、希望する指
向性のマイクロホンを実現するタイプのものを使用する
ことができる。無指向性のマイクロホンユニットは、安
価であり、装置に取り付けても特性の変化が少ない利点
がある。
【0039】図10及び図11を用いて、無指向性のマ
イクロホンユニットを2個用いて単一指向性のマイクロ
ホンを実現する例を説明する。図10に示すように、こ
の例では、無指向性のマイクロホンユニット30及び3
1は、距離dだけ離れて配置される。そして、図11に
示すように、一方のマイクロホンユニット30の出力音
声信号は、図示を省略したアンプを介して減算回路32
に供給される。他方のマイクロホンユニット31の出力
音声信号は、同様に図示を省略したアンプ及びフィルタ
回路33を介して減算回路32に供給される。フィルタ
回路33は、この例では、抵抗器34とコンデンサ35
とから構成される。そして、抵抗器34の抵抗値をR1
、コンデンサ35の容量をC1 としたとき、 C1 ・R1 =d/c (ただし、cは音速である)となるように抵抗値R1 及
び容量C1 が選定されている。
【0040】そして、この例では、減算回路32の出力
は、周波数特性を平坦にするための積分器など周波数特
性補正回路36を介して出力端子37に出力音声信号が
導出される。後述するように、この周波数特性補正回路
36は、必要に応じて設けられるものであって、これは
設けなくてもよい。
【0041】この例のマイクロホンの動作について説明
する。図10に示すように、音源が2個のマイクロホン
ユニット30,31の配列方向に対してθなる角度の方
向にあって、これら2個のマイクロホンユニット30,
31に入射しているとした場合に、各ユニット30,3
1の出力をP0 ,P1とすると、出力P1 は、 P1 =P0 ε−jω(d/c)cosθ となる。なお、ωは角周波数である。
【0042】マイクロホンユニット31の出力はフィル
タ回路33を通じて減算回路32に供給されるので、減
算回路32の出力信号Paは、次の数2に示すようなも
のとなる。
【0043】
【数2】 なお、上記(1)式において、Aはフィルタ回路33の
フィルタ関数を表わし、また、ω・d/c<<1であ
る。
【0044】そして、数2において、次の数3を満足す
れば、出力Paは単一指向性を示すものとなる。
【0045】
【数3】 つまり、上記(2)式を満足すると、前記(1)式は、 PaP0 ・jω(d/c)(1+cosθ) となり、角度θに関して単一指向性となる。
【0046】ところで、フィルタ回路33のフィルタ関
数Aは、上記の例の場合、 A=1/(1+jωC1 ・R1 ) で表され、C1 ・R1 =d/cとなるように構成されて
いるので、 A=1/(1+jωd/c) となり、数3の式から図11の実施例のマイクロホンは
単一指向性になることは明らかである。ただし、このマ
イクロホンの周波数特性は右上がり(高域ほどレスポン
スが大)の特性になる。この例では、周波数特性補正回
路36が、この右上がりの特性を平坦に補正するために
設けられている。
【0047】なお、図11の例において、フィルタ回路
33、減算回路32、さらには周波数特性補正回路36
は、デジタルフィルタや処理プログラム(ソフトウエ
ア)によっても実現することができる。例えば、フィル
タ回路33は、図12のように、加算器41と、遅延回
路42と、伝達関数Aの帰還アンプ43とからなるデジ
タルフィルタで構成することができる。
【0048】以上の例では、主要入力用マイクロホン1
1と、参照入力用マイクロホン21とは、共に単一指向
性のマイクロホンユニットを用いるようにしたが、これ
に限定されるものではなく、例えば主要入力用マイクロ
ホン11に無指向性マイクロホンユニットを使用し、参
照入力用マイクロホン21に、前記と同様の単一指向性
マイクロホンユニットを使用するようにしてもよい。
【0049】また、両マイクロホン11,21を、共に
無指向性マイクロホンユニットにより構成することもで
きる。図13は、その場合のこの発明によるズームマイ
クロホン装置の一実施例である。この例の場合には、2
個の無指向性マイクロホン11,21は、図14に示す
ように、距離dだけ隔てて配置される。そして、図13
に示すように、A/Dコンバータ23と、適応フィルタ
回路24との間に遅延回路26を挿入する。
【0050】この例の場合、遅延回路26の遅延量と、
適応フィルタ回路25における線形結合器300での最
大遅延量(遅延素子の単位遅延量τ×単位遅延素子の数
=τ×(タップ数−1))との和は、2つのマイクロホ
ン11,21間の距離dを音が伝播する時間と等しく選
定されている。適応フィルタ回路24が1タップの構成
であれば遅延はないので、遅延回路26の遅延量がd/
cに選定される。その他の構成は、制御信号入力端子2
5からの制御信号による適応フィルタ回路24の制御が
異なることを除けば、図1の例と同様に構成されてい
る。
【0051】この例においても、入力端子25からの制
御信号により適応処理動作は、オン・オフされると共
に、オフ時には、加重係数が固定値に設定され、かつ、
その固定値が焦点位置に応じて変えられる。また、オン
時には、ステップゲインμが焦点位置に応じて変えられ
るのは、図1の例と同様である。
【0052】この場合において、図14において矢印A
Rで示す方向から到来する音声SAは主要入力用マイク
ロホン11と、参照入力用マイクロホン21との両方に
収音されるが、両マイクロホン11,21間の距離d分
の遅延時間(距離dを音が伝播する時間であって、音の
伝播速度をcとすると、d/c)だけ、主要入力用マイ
クロホン11に入力される音声SAに対して、参照入力
用マイクロホン21に入力される音声SAは遅延され
る。
【0053】また、この参照入力用マイクロホン21の
出力音声信号は、遅延回路26及び適応フィルタ回路2
4により、さらに、遅延されるので、主要入力用マイク
ロホン11の出力音声中の音声SAの成分とは無相関に
なる。
【0054】したがって、減算回路14で、主要入力用
マイクロホン11の出力音声信号から適応フィルタ回路
25の出力信号を減算しても、方向ARから到来する音
声SAがキャンセルされてしまうことはない。
【0055】一方、方向ARとは逆方向から到来する音
声SBも参照入力用マイクロホン21と、主要入力用マ
イクロホン21とで収音されるが、主要入力用マイクロ
ホン11と、参照入力用マイクロホン21とは距離dだ
け離れて配置されているので、この音声SBの到来方向
に応じた遅延時間だけ、主要入力用マイクロホン11に
入力される音声SBは、参照入力用マイクロホン21の
音声SBの入力に対して遅延される。しかし、参照入力
用マイクロホン21の出力音声信号は、遅延回路26及
び適応フィルタ回路24により遅延される。
【0056】前述したように、遅延回路26と、適応フ
ィルタ回路24との遅延量の和は、d/cに等しいの
で、主要入力中の信号SB成分と、参照入力中の信号S
B成分との時間ずれが無くなる。
【0057】次に、音声SBが、方向ARに対して斜め
後方から到来する場合には、そのときの音声SBの音声
方向ARに対する入射角度をθとすると、不要音声がマ
イクロホン21に到達してからマイクロホン11に到達
するまでの時間は、d・cosθ/cであるので、方向
ARと全く逆の場合より短くなる。このため、信号SB
成分の主要入力と参照入力との間には、到来方向に応じ
てタイミングずれが生じる。
【0058】以上の点を考慮して、この例の動作につい
て説明すると、適応処理がオフで、加重係数が0に設定
されたときには、出力の指向特性は無指向性になる。ま
た、加重係数が負の値に設定されたときには、指向性
であるが、方向ARと逆方向の指向性が高くなるような
特性となる。
【0059】これに対して、加重係数が1とされると、
方向ARとは正反対の方向にヌル(感度0)を有する単
一指向性を示す。加重係数が正の値であって、1以下で
あるときには、その値に応じて方向ARとは反対方向の
感度が低くなる特性になる。
【0060】また、適応処理動作がオンのときには、単
一指向性、あるいは、等価的に、より鋭い指向性であっ
て、方向ARと反対側から到来する音声の方向をヌルと
する指向性となる。
【0061】したがって、この例の場合においても、ズ
ーム操作に応じて、適応処理動作をオン・オフされると
共に、オフ時には、加重係数値を設定し、オン時には、
ステップゲインを変えることにより、ズームレンズの焦
点距離に応じた音声入力を得ることができる。
【0062】図14の例において、遅延回路26の遅延
量と、適応フィルタ回路24の全タップ数に応じた最大
遅延量との和は、好ましくは、2個のマイクロホン1
1,21間の距離dを音が伝播する時間d/cの2倍以
下であればよい。もっとも、前記遅延量の和は、時間d
/cの2倍以上であっても差し支えない。
【0063】なお、上述の例において、適応フィルタ回
路24のFIRフィルタ241は、1タップのフィルタ
の構成でなく、複数タップのフィルタの構成を用いても
よいことはいうまでもない。
【0064】上記の例では適応フィルタ回路24はデジ
タル回路で構成したので、全体としてデジタル回路の構
成としたが、適応フィルタ回路24をアナログ回路の構
成として、全体としてアナログ回路の構成とすることも
可能である。
【0065】図15は、アナログ構成とした場合の一実
施例のブロック図で、図1の例の1タップの適応フィル
タ回路の例に対応している。この例においては、主要入
力用マイクロホン11の出力音声信号は、差動アンプか
らなる減算回路51の一方の入力端子に供給される。ま
た、参照入力用マイクロホン21の出力音声信号は、電
圧制御アンプ52を介して減算回路51の他方の入力端
子に供給され、主要入力用マイクロホン11の出力音声
信号から減算される。
【0066】減算回路51の出力信号は、出力端子56
に導出されると共に、乗算器53に供給される。この乗
算器53には、また、参照入力用マイクロホン21の出
力音声信号が供給される。そして、この乗算器53の乗
算出力が積分器54及びアンプ55を介して電圧制御ア
ンプ52に、その制御電圧として供給され、電圧制御ア
ンプ52のゲインが制御される。
【0067】このゲインコントロールの動作は、前述し
たLMSアルゴリムの加重係数の更新式(a)にしたが
って行われている。ここで、加重係数は、電圧制御アン
プ52の利得であり、この式(a)の右辺の第2項が、
いわば更新する量を表し、ある時点の加重係数と1サン
プル後の加重係数との差分を表しているので、これをア
ナログ回路で実現するため、積分器54が挿入されるの
である。アンプ55は、式(a)の第2項中のステップ
ゲイン(2μ)を定めるもので、この例では電圧制御ア
ンプで構成される。
【0068】そして、この例においては、制御回路60
が設けられ、ズーム操作に応じた制御信号が、入力端子
61を介してこの制御回路60に供給される。この制御
回路60は、前述の例と同様に、広角から標準までは、
すなわち、無指向性から単一指向性までの間では、乗算
器53の乗算動作を停止させると共に、積分器54の積
分動作を停止させ、乗算器53からは制御信号に応じた
所定の出力電圧が得られる。そして、アンプ55のゲイ
ンGは、例えばG=1とされる。ここまでの動作は、前
述の例において、適応処理オフ、加重係数を更新しない
が、その係数値をズーム量に応じて変化させる動作に対
応している。
【0069】また、制御回路60は、標準から望遠まで
は、すなわち、単一指向性からより鋭い指向性の間で
は、乗算器53の乗算動作を行わせ、また、積分器54
の積分動作を行わせる。さらに、制御回路60は、アン
プ55のゲイン、すなわちステップゲインを、ズーム量
に応じて設定する。この動作も、図1の例の場合と同様
である。
【0070】以上のようにして、アナログ処理により、
この発明のズームマイクロホンを実現することができる
が、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、デジタルシ
グナルプロセッサ、遅延回路などが不要になって、シス
テム全体のコストをさげることができる。しかも、アナ
ログ回路の構成とすることにより、比較的高速の処理が
実現できるものである。
【0071】なお、以上の例では、ズーム操作に応じ
て、この発明のズームマイクロホンの指向特性を自動的
に変更するようにしたが、例えば指向性選択つまみを設
け、このつまみを回動させるなどのマニュアル操作によ
り、無指向性、単一指向性、より鋭い指向性、これらの
中間の指向性を、適宜、選択できるように構成すること
もできる。
【0072】また、以上の例は、カメラ一体型VTRの
収音マイクロホン装置の場合として、この発明のズーム
マイクロホン装置を説明したが、この発明は、この例に
限らず、単体のマイクロホン装置はもちろんのこと、業
務用ビデオカメラや、測定用マイクロホン装置など、す
べてのマイクロホン装置に適用可能である。
【0073】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、適応処理を用いて、簡単な構成で、無指向性の広い
指向性から単一指向性よりも狭い指向性までに渡って指
向性を可変にできるズームマイクロホン装置を構成する
ことができる。しかも、小型に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるズームマイクロホン装置の一実
施例のブロック図である。
【図2】図1の例に使用する2個のマイクロホンの配置
及び指向性を説明するための図である。
【図3】適応雑音低減システムを説明するためのブロッ
ク図である。
【図4】適応雑音低減システムに用いる適応フィルタ回
路の一例のブロック図である。
【図5】この発明の一実施例の要部の動作の説明のため
の図である。
【図6】この発明の一実施例の要部の動作の説明のため
の図である。
【図7】この発明の一実施例で実現される指向特性の一
例を示す図である。
【図8】この発明の一実施例で実現される指向特性の一
例を示す図である。
【図9】この発明の一実施例で実現される指向特性の一
例を示す図である。
【図10】この発明に使用するマイクロホンユニットの
他の例の構成を説明するための図である。
【図11】この発明に使用するマイクロホンユニットの
他の例の構成を示す図である。
【図12】図11の一部の回路の他の例のブロック図で
ある。
【図13】この発明の他の実施例のブロック図である。
【図14】図13の例に用いるマイクロホンの説明のた
めの図である。
【図15】この発明の他の実施例のブロック図である。
【符号の説明】
11 主要入力用マイクロホン 14 減算回路 21 参照入力用マイクロホン 24 適応フィルタ回路 25 制御信号入力端子 241 加重回路 242 LMS演算回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 行徳 薫 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−238778(JP,A) 特開 平4−192797(JP,A) 特開 昭63−62500(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G10K 11/18 H04R 3/00 320

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主要入力用マイクロホンと、 参照入力用マイクロホンと、 前記参照入力用マイクロホンからの音声信号から前記主
    要入力用マイクロホンの出力音声信号中の不要信号成分
    に近似する信号を形成するための適応フィルタ手段と、 前記主要入力用マイクロホンの出力音声信号から、前記
    適応フィルタ手段の出力信号を用いて前記不要信号を低
    減ないし除去するための合成手段と、 前記合成手段の出力パワーが最小化されるように前記適
    応フィルタ手段を調整する手段とを備え、 前記適応フィルタ手段では、前記合成手段の出力パワー
    を最小化する適応処理をオン・オフすることが可能であ
    って、この適応処理のオフ時には、適応フィルタ手段で
    使用する係数値を、所定の固定値に選択的に設定するよ
    うにしたズームマイクロホン装置。
  2. 【請求項2】 前記適応フィルタ手段で適応処理のオン
    時には、適応処理のステップゲインが可変に設定される
    ようにした請求項1記載のズームマイクロホン装置。
  3. 【請求項3】 指向性の広いものから狭いものにまで渡
    って指向性を可変にするズームマイクロホン装置であっ
    て、出力特性が単一指向性となる近傍において、前記適
    応フィルタ手段での適応処理動作のオン・オフを切り換
    えるようにした請求項1記載のズームマイクロホン装
    置。
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