JPH06286077A - 新規な帯電防止性アクリル系樹脂積層シート - Google Patents

新規な帯電防止性アクリル系樹脂積層シート

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JPH06286077A
JPH06286077A JP10378693A JP10378693A JPH06286077A JP H06286077 A JPH06286077 A JP H06286077A JP 10378693 A JP10378693 A JP 10378693A JP 10378693 A JP10378693 A JP 10378693A JP H06286077 A JPH06286077 A JP H06286077A
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JP
Japan
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acrylic resin
weight
acid
dicarboxylic acid
vinylidene fluoride
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Application number
JP10378693A
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Inventor
Tadashi Kamei
忠 亀井
Shuji Hoshina
修司 保科
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 アクリル系樹脂基材の表面に、(a)アクリ
ル系樹脂35〜94重量%と、(b)(イ)アミノカル
ボン酸又はラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸と
の塩、(ロ)ポリ(アルキレンオキシド)グリコール及
び(ハ)ジカルボン酸から得られたポリーエーテルエス
テルアミド3〜25重量%と、(c)フッ化ビニリデン
系重合体3〜40重量%とから成る樹脂組成物、又はこ
の(a)と(b)と(c)の合計量100重量部に対
し、(d)有機スルホン酸塩や有機リン酸塩を10重量
部を超えない量で配合して成る樹脂組成物を、3μm以
上の厚さで積層した帯電防止性アクリル系樹脂積層シー
ト。 【効果】 優れた永久帯電防止性を有するとともに、耐
候性が良好であり、各種部品の静電気帯電を防止しうる
材料として好適に用いられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な帯電防止性アク
リル系樹脂積層シート、さらに詳しくは、優れた永久帯
電防止性を有し、かつ耐候性に優れ、例えば照明器具、
機器銘板、メーターカバーをはじめとするエレクトロニ
クス製品、家電製品、OA機器などの各種部品や看板、
店装、ディスプレー、各種機器の前面板における静電気
を防止しうる材料として好適なアクリル系樹脂積層シー
トに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、アクリル系樹脂は優れた透明性と
耐候性、剛性などを有することから、例えばエレクトロ
ニクス製品、家電製品、OA機器などの各種部品や看
板、店装、ディスプレー、各種機器の前面板の素材とし
て幅広く使われている。
【0003】しかしながら、このアクリル系樹脂は表面
固有抵抗が高く摩擦などにより容易に帯電するため、ゴ
ミや埃が付着して外観を損ねたり、あるいは電子機器部
品などでは静電気帯電による好ましくない事態を招来す
るなどの欠点を有している。したがってアクリル系樹脂
の優れた特性を保持するとともに、帯電防止性が付与さ
れた材料の開発が望まれている。
【0004】該アクリル系樹脂に帯電防止性能を付与す
る方法としては、例えば界面活性剤を練り込んだり、表
面に塗布したりする方法が良く知られている。しかし、
このような方法で得られた製品は表面に存在する界面活
性剤が水洗や摩擦などで除去されやすく、永久的な帯電
防止性を付与することは困難である。
【0005】このような欠点を克服して永久的に帯電防
止性を付与する方法としては、例えば(1)ポリオキシ
エチレン鎖及びスルホン酸塩、カルボン酸塩あるいは第
四級アンモニウム塩構造を有するビニル共重合体をアク
リル樹脂に混練する方法などが知られている(特開昭5
5−36237号公報、特開昭63−63739号公
報)。
【0006】しかしながら、前記の方法においては、配
合されるビニル共重合体が特殊なビニルモノマーを用い
るため、これを配合したアクリル樹脂は、製造コストが
高くつくのを免れない上、特に帯電防止性の効果を発揮
させるように、ビニル共重合体の配合量を多くすれば、
アクリル樹脂本来の耐熱性などが低下するなどの欠点が
ある。
【0007】他方、ポリエーテルエステルアミドは、ア
クリル系樹脂に対して優れた帯電防止性能を付与させる
効果があることが知られているが(特開平3−3934
9号公報)、これを配合するとアクリル系樹脂の好まし
い物性がそこなわれる傾向がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、優れた永久帯電防止性を有するととも
に、さらに耐候性にも優れた新規な帯電防止性アクリル
系樹脂積層シートを提供することを目的としてなされた
ものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、永久帯電
防止性及び耐候性に優れた新規なアクリル系樹脂積層シ
ートを開発すべく鋭意研究を重ねた結果、アクリル系樹
脂に対し、特定のポリエーテルエステルアミドとフッ化
ビニリデン系重合体、あるいは、このものにさらに有機
スルホン酸塩や有機リン酸塩を所定の割合で配合した組
成物が永久帯電防止性及び耐候性に優れ、このものをア
クリル系樹脂基材の片面又は両面に一定の厚さ以上に積
層したシートにより前記目的を達成しうることを見出
し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明は、(A)アクリル系樹
脂基材の片面又は両面に、(B)(a)アクリル系樹脂
35〜94重量%と、(b)(イ)炭素数6以上のアミ
ノカルボン酸又はラクタム、あるいは炭素数4以上のジ
アミンとジカルボン酸との塩、(ロ)数平均分子量40
0〜4000のポリ(アルキレンオキシド)グリコール
及び(ハ)炭素数4〜16のジカルボン酸から得られた
ポリエーテルエステルアミド3〜25重量%と、(c)
フッ化ビニリデン系重合体3〜40重量%とから成る樹
脂組成物又はこの(a)と(b)と(c)との合計量1
00重量部に対し、10重量部を超えない割合で、さら
に(D)有機スルホン酸塩及び有機リン酸塩の中から選
ばれた少なくとも1種を配合した樹脂組成物を3μm以
上の厚さで積層させた帯電防止性アクリル系樹脂積層シ
ートを提供するものである。
【0011】本発明の積層シートにおいて、(A)基材
に用いられるアクリル系樹脂、及び(B)樹脂組成物の
(a)成分として用いられるアクリル系樹脂としては、
例えばポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチ
ル、ポリメタクリル酸プロピル、ポリメタクリル酸ブチ
ル、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、メ
タクリル酸メチル‐アクリル酸メチル共重合体、メタク
リル酸メチル‐メタクリル酸エチル共重合体、メタクリ
ル酸メチル‐メタクリル酸ブチル共重合体、メタクリル
酸メチル‐アクリル酸エチル共重合体などの(メタ)ア
クリル酸のメチル、エチル、プロピル、ブチルなどのア
ルキルエステル化合物の単独重合体あるいは共重合体な
どが挙げられる。これらのアクリル系樹脂は単独で用い
てもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。そ
の製造方法については特に制限はなく公知の懸濁重合
法、乳化重合法、バルク重合法などが用いられる。
【0012】樹脂組成物において、(b)成分として用
いられるポリエーテルエステルアミドの構成成分である
(イ)成分の炭素数6以上のアミノカルボン酸又はラク
タム、あるいは炭素数4以上のジアミンとジカルボン酸
との塩としては、例えばω‐アミノカプロン酸、ω‐ア
ミノエナント酸、ω‐アミノカプリル酸、ω‐アミノペ
ルゴン酸、ω‐アミノウンデカン酸、12‐アミノドデ
カン酸などのアミノカルボン酸やカプロラクタム、エナ
ントラクタム、カプリルラクタム及びラウロラクタムな
どのラクタムやヘキサメチレンジアミン‐アジピン酸
塩、ヘキサメチレンジアミン‐セバシン酸塩、ヘキサメ
チレンジアミン‐イソフタル酸塩などのジアミン‐ジカ
ルボン酸の塩などが挙げられ、特にカプロラクタム、1
2‐アミノドデカン酸、ヘキサメチレンジアミン‐アジ
ピン酸塩が好ましい。これらは単独で用いてもよいし、
2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0013】この(イ)成分の炭素数6以上のアミノカ
ルボン酸又はラクタム、あるいは炭素数4以上のジアミ
ンとジカルボン酸との塩は、ポリエーテルエステルアミ
ドの構成単位として10〜70重量%の範囲で用いられ
る。この量が10重量%未満ではポリエーテルエステル
アミドの機械的性質が低下するし、70重量%を超える
と得られる樹脂組成物の帯電防止性が劣化する。
【0014】(b)成分のポリエーテルエステルアミド
における他の構成成分である(ロ)成分のポリ(アルキ
レンオキシド)グリコールとしては、例えばポリエチレ
ングリコール、ポリ(1,2‐プロピレンオキシド)グ
リコール、ポリ(1,3‐プロピレンオキシド)グリコ
ール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポ
リ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオ
キシドとプロピレンオキシドのブロック又はランダム共
重合体及びエチレンオキシドとテトラヒドロフランのブ
ロック又はランダム共重合体などが挙げられる。これら
の中でも、帯電防止性が優れるという理由から、特にポ
リエチレングリコールを用いるのが好ましい。これらの
ポリ(アルキレンオキシド)グリコールは単独で用いて
もよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0015】このポリ(アルキレンオキシド)グリコー
ルの数平均分子量は400〜4000、好ましくは60
0〜2000の範囲で選ばれる。この数平均分子量が4
00未満では得られるポリエーテルエステルアミドの機
械的性質が低くなるし、4000を超えると十分な帯電
防止性が得られない。
【0016】(b)成分のポリエーテルエステルアミド
におけるさらに他の構成成分である(ハ)成分の炭素数
4〜16のジカルボン酸としては、例えばテレフタル
酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン‐2,6‐ジ
カルボン酸、ナフタレン‐2,7‐ジカルボン酸、ジフ
ェニル‐4,6′‐ジカルボン酸、ジフェノキシエタン
ジカルボン酸、3‐スルホイソフタル酸ナトリウムなど
の芳香族ジカルボン酸や、1,4‐シクロヘキサンジカ
ルボン酸、1,2‐シクロヘキサンジカルボン酸、ジシ
クロヘキシル‐4,4′‐ジカルボン酸などの脂環族ジ
カルボン酸や、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバ
シン酸、デカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸
などが挙げられ、特にテレフタル酸、イソフタル酸、
1,4‐シクロヘキサンジカルボン酸、セバシン酸、ア
ジピン酸及びドデカンジカルボン酸が重合性、色調及び
物性の上で好適である。これらのジカルボン酸は単独で
用いてもよいし、2種以上を組み合わせ用いてもよい。
【0017】前記(ロ)成分のポリ(アルキレンオキシ
ド)グリコールと(ハ)成分のジカルボン酸は、反応上
は1:1のモル比で反応するが、使用するジカルボン酸
の種類に応じて、通常仕込比を変えて供給される。
【0018】(b)成分のポリエーテルエステルアミド
の製造方法については特に制限はなく、例えば、(1)
(イ)アミノカルボン酸又はラクタムと(ハ)ジカルボ
ン酸を反応させて、両末端がカルボン酸基のポリアミド
プレポリマーをつくり、これに(ロ)ポリ(アルキレン
オキシド)グリコールを真空下に反応させる方法、
(2)前記(イ)、(ロ)、(ハ)の各化合物を反応槽
に仕込み、水の存在下又は非存在下に高温で加圧反応さ
せることにより、カルボン酸末端のポリアミドプレポリ
マーを生成させ、その後、常圧又は減圧下で重合を進め
る方法、あるいは(3)前記(イ)、(ロ)、(ハ)の
化合物を同時に反応槽に仕込み、溶融混合したのち、高
真空下で一挙に重合を進行させる方法などの公知の方法
を用いることができる。
【0019】本発明においては、この(b)成分のポリ
エーテルエステルアミドとして、ポリエーテルエステル
アミドに1,2‐アルキレンオキシドをグラフトして成
る変性ポリアミドエラストマーを用いることもできる。
また、このポリエーテルエステルアミドは単独で用いて
もよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0020】さらに得られたポリエーテルエステルアミ
ドの熱安定性を高めるために、各種の耐熱老化防止剤、
酸化防止剤などの熱安定剤を用いることができ、これら
は重合の初期、中期、末期のどの段階で添加してもよ
い。また、ポリエーテルエステルアミドをメタクリル系
樹脂と混練する際に添加することもできる。
【0021】この耐熱安定剤としては、例えばN,N′
‐ヘキサメチレンビス(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐
ヒドロキシケイ皮酸アミド)、4,4′‐ビス(2,6
‐ジ‐t‐ブチルフェノール)、2,2′‐メチレンビ
ス(4‐エチル‐6‐t‐ブチルフェノール)、ペンタ
エリスリチル‐テトラキス[3‐(3,5‐ジ‐t‐ブ
チル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロピオネート]など
の各種ヒンダードフェノール類や、N,N′‐ビス(β
‐ナフチル)‐p‐フェニレンジアミン、N,N′‐ジ
フェニル‐p‐フェニレンジアミン、ポリ(2,2,4
‐トリメチル‐1,2‐ジヒドロキノリン)などの芳香
族アミン類や、ジラウリルチオジプロピオネートなどの
硫黄化合物やリン化合物などが用いられる。
【0022】樹脂組成物において、(c)成分として用
いられるフッ化ビニリデン系重合体としては、例えばフ
ッ化ビニリデン重合体、フッ化ビニリデン‐トリフルオ
ロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン‐テトラフルオ
ロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン‐ヘキサフルオ
ロアセトン共重合体、フッ化ビニリデン‐ヘキサフルオ
ロイソブテン共重合体、フッ化ビニリデン‐クロロトリ
フルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン‐ヘキサ
フルオロプロペン共重合体、あるいはフッ化ビニリデン
と前記共重合モノマーとの三元共重合体などが挙げられ
る。各共重合体におけるフッ化ビニリデン単位の含有量
は10〜95モル%の範囲にあるのが望ましい。この
(c)成分のフッ化ビニリデン系重合体は単独で用いて
もよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】この樹脂組成物においては、前記(a)成
分のアクリル系樹脂と(b)成分のポリエーテルエステ
ルアミドと(c)成分のフッ化ビニリデン系重合体は、
それらの合計重量に基づき、それぞれ35〜94重量
%、3〜25重量%及び3〜40重量%、好ましくは6
5〜90重量%、5〜15重量%及び5〜20重量%の
割合で配合することが必要である。(b)成分の量が3
重量%未満では十分な帯電防止効果が得られないし、2
5重量%を超えると剛性が低下する。また、(c)成分
の量が3重量%未満では耐候性が不十分であるし、40
重量%を超えると成形品に濁りや肌荒れが目立つように
なる。
【0024】この樹脂組成物においては、帯電防止効果
をさらに発揮させるために(d)成分として、有機スル
ホン酸塩や有機リン酸塩を用いることができる。この有
機スルホン酸塩や有機リン酸塩としては、例えばドデシ
ルベンゼンスルホン酸、p‐トルエンスルホン酸、ドデ
シルジフェニルエーテルジスルホン酸、ナフタリンスル
ホン酸などの芳香族スルホン酸、ラウリルスルホン酸の
ようなアルキルスルホン酸、亜リン酸ジフェニル、リン
酸ジフェニルなどの有機リン酸のアルカリ金属塩やアル
カリ土類金属塩などが挙げられるが、これらの中でアル
カリ金属塩が好ましく、特にナトリウム塩及びカリウム
塩が好適である。
【0025】この(d)成分は単独で用いてもよいし、
2種以上を組み合わせて用いてもよく、その配合量は前
記(a)成分のアクリル系樹脂と(b)成分のポリアミ
ドエラストマーと(c)成分のフッ化ビニリデン系重合
体との合計量100重量部に対し10重量部を超えない
量、好ましくは0.1〜5重量部の範囲で選ばれる。こ
の量が10重量部を超えると剛性が低下したり、成形品
にした場合表面に肌荒れが生じたり、成形時に着色した
りするなど好ましくない事態を招来する。
【0026】該樹脂組成物を積層部に用いた本発明の積
層シートは、改善された耐候性をもつという予想外の効
果を奏する。したがって屋外での各種用途に使用でき
る。ポリアミドエラストマーは、一般にポリマー鎖に含
まれるポリアミド、ポリエーテル、ポリエステルセグメ
ントなどの影響で耐候性はよくないが、本発明における
樹脂組成物のように、フッ化ビニリデン系重合体を配合
したものは、耐候性の良好な、特に成形品の表面白化
(ヘイズ値の上昇)が著しく抑制されたものを与える。
【0027】本発明の積層シートは、(A)アクリル系
樹脂基材の片面又は両面に、(B)前記のようにして得
られた樹脂組成物を、3μm以上の厚さで積層したもの
であるが、より帯電防止効果を得ようとすれば積層部の
厚みは5μm以上、特に10μm以上が望ましい。厚さ
は最少必要厚さでよく、一般的には10〜200μmの
積層部を有する積層シートとして利用しうるが、積層部
の厚みが積層シート全体に対して30%以内のものが物
性の低下も少なく、好適である。
【0028】本発明の積層シートにおける積層部及び基
材部には、その物性を損なわない範囲で、他の成分、例
えば染料、顔料などの着色剤や、タルク、マイカ、炭酸
カルシウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、硫酸バ
リウム、二酸化ケイ素などの無機系充填剤、ポリメチル
メタクリレート架橋体、メチルメタクリレート‐ブタジ
エン‐スチレン共重合架橋体、多層構造を有するアクリ
ル系架橋弾性体、ポリスチレン架橋体などの有機系添加
剤、各種の紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、滑
剤、可塑剤、離型剤などを混練過程や成形過程のような
任意の過程において添加してもよい。
【0029】本発明の積層シート(フイルムも含む)を
得る方法としては、共押出(Coextrusion)
法とラミネート法を用いることができるが、共押出法は
積層時に両層の流動性を合わせ均一にすることができる
ので、両層の密着性が良く、成形歪も類似になるなどの
点で優れている。共押出法は、通常の押出機を2台以上
用いて行われる。例えば基材部は径が40mm、60m
m、90mmなどの押出機が、また積層部はそれより小
さい、径が20mm、30mm、45mmなどの押出機
が用いられる。積層部に用いる帯電防止性能を有する樹
脂組成物は、前記の(a)成分、(b)成分、(c)成
分及び場合により用いられる(d)成分や他の添加成分
をブレンダーなどを用いて均一に混練したのち、押出機
でペレタイズしたものが使用される。
【0030】一方、ラミネート法の場合は、予め所定の
樹脂組成物から成るフイルムを作成しておき、積層シー
トはこのフイルムを押出機出口にてポリッシングロール
部で基材部シートと重ね合わせることにより作成するこ
とができる。この場合、重ね合わせ時の空気混入防止
と、ロール温度などによる密着性向上などが技術上のポ
イントである。
【0031】なお、本発明の積層体はシートと同様にフ
イルムにも適用できる。積層シート及びフイルムの積層
部及び基材部の厚みのコントロールはシートの場合は2
台以上の押出機の押出量と押出機出口にあるポリッシン
グロールのロールクリアランスで行い、フイルムの場合
は2台以上の押出機の押出量と押出機出口のロールのロ
ール速度で調整できる。
【0032】また、積層シートを作成する場合積層部と
基材部の流動性を合わせることが重要である。これはあ
る程度押出機の温度でも調整することができる。
【0033】押出シートの積層部及び全体の厚みは押出
量でほぼ定量できるが、計器的には厚みが1mm以上の
場合はノギスやマイクロメーターで計り、厚みが1mm
以下の場合はシートの断面を微分干渉顕微鏡又は市販の
膜厚計[例えばビッグ・マリンクロット社製、PIG
Universal(ドライフイルム用膜厚計)]で測
定したり、さらに小さいときは電子顕微鏡でも見ること
ができる。積層部と基材部の界面を明確にし、また積層
部厚みの測定を容易にするために積層部樹脂に予め染料
などの着色剤を微量混合させておくことは都合がよい。
【0034】
【発明の効果】本発明のアクリル系樹脂積層シートは、
アクリル系樹脂と特定のポリエーテルエステルアミドと
フッ化ビニリデン系重合体と場合により有機スルホン酸
塩や有機リン酸とを含有する樹脂組成物を、アクリル系
樹脂基材に積層したものであって、優れた永久帯電防止
性を有するとともに、耐候性がより一層改良されたもの
であり、例えば照明器具、機器銘板、メーターカバーを
はじめとして、エレクトロニクス製品、家電製品、OA
機器などの各種部品の静電気帯電を防止しうる材料とし
て好適に用いられる。
【0035】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの例によてなんら限定される
ものではない。
【0036】なお、積層シートなどの各物性は次に示す
方法に従って評価した。 (1)表面抵抗率 50×50×2mmの成形試料を用い、アデバンテスト
(株)製のエレクトロメーターTR8651と電極及び
安藤電気(株)製のシールドボックスと電極ホルダーを
使用して、500V印加した際の抵抗値を測定して表面
抵抗率を求めた。
【0037】(2)全光線透過率及びヘイズ値 50×50×2mmの成形試料を用い、日本電色工業
(株)製の曇度計を使用して、JISK‐7105の方
法に準じて測定した。
【0038】(3)曲げ弾性率 ASTMD‐790に準じて1/8インチ厚みの試験片
を用いて、23℃、55%RHで測定した。表2ではこ
れを弾性率と記す。
【0039】(4)耐候性の評価 50×50×2mmの成形試料を用い、スガ試験機
(株)製のサンシャインカーボンアークウェザーメータ
ー(以下SWMと略す)を使用して1000時間照射し
た後の試料のヘイズ値を前記(2)の方法で評価した。
【0040】製造例1 ポリエーテルエステルアミド
(B‐1)の製造 カプロラクタム26重量部、数平均分子量が1000の
ポリエチレングリコール73重量部、及びアジピン酸9
重量部をイルガノックス1010(チバガイギー社製酸
化防止剤)0.15重量部及び三酸化アンチモン触媒
0.15重量部と共にヘリカルリボンかくはん翼を備え
た反応容器に仕込み、窒素置換して240℃で60分間
加熱かくはんして透明な均質溶液としたのち、260
℃、0.5mmHg以下の条件で4時間重合し、粘ちょ
うな透明ポリマーを得た。
【0041】ポリマーを冷却ベルト上にガット状に取り
出し、ペレタイズすることによって、ペレット状のポリ
エーテルエステルアミド(B‐1)を得た。
【0042】製造例2 ポリエーテルエステルアミド
(B‐2)の製造 ナイロン6・6塩(AH塩)28重量部、数平均分子量
600のポリエチレングリコール70重量部及びアジピ
ン酸8重量を用い、重合時間を4時間とした以外は、製
造例1と同様にして、ポリエーテルエステルアミド(B
‐2)を製造した。
【0043】実施例1〜8、比較例1〜4 アクリル系樹脂として旭化成アクリル樹脂ペレット80
N(メチルメタクリレートとメチルアクリレートの共重
合体)、及び着色剤として少量の80N色ペレット(色
番号33140)を用いて、表1に示す配合割合でポリ
エーテルエステルアミド(B‐1、2)、フッ化ビニリ
デン系重合体[商品名クレハKFポリマー#1000
(以後、PVDFと示す)、呉羽工業(株)製]及びド
デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(以後DBSと示
す)と混合し、安定剤としてヒンダードアミン系安定剤
(商品名チヌビン770、チバガイギー社製)0.5重
量部、紫外線吸収剤(商品名チヌビンP、チバガイギー
社製)0.3重量部、熱安定剤(商品名イルガフォス1
68、チバガイギー社製)0.2重量部をタンブラーを
用いてブレンドしたのち、べント付き押出機(径40m
m)で樹脂温度250℃にて溶融混練し、ペレタイズし
て樹脂組成物を調製した。
【0044】次に、このようにして得られたペレットを
積層部用として直径20mm、L/D=32の押出機を
用い、一方基材部には旭化成デルペット80Nを直径4
0mm、L/D=32の押出機を用いて共押出を行っ
た。
【0045】ダイは2種2層のフィードブロック式、リ
ップ開度は3.0mmで押出温度は240〜250℃で
行った。積層シートの厚みは主にポリッシングロールの
クリアランスと回転数で2.0mmを目標に調整し、表
層部の厚みは両押出機の吐出量で調整を行った。このよ
うにしてシートの幅50cmのシートを作成した。この
シートの厚みはほぼ2.0mmであり、積層部の厚みは
それぞれ表1に示す。
【0046】また、比較のため実施例1でPVDFを積
層部に含まない厚み2.0ミリの積層シート等を上記と
同様にして作成し、評価した。さらに、実施例1で積層
部に使用した帯電防止性能を有するペレット及びデルペ
ット80Nをそれぞれ単独に用いて厚み2.0ミリの単
層シートを作成しこれも比較のため評価した。結果を表
2に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)アクリル系樹脂基材の片面又は両
    面に、(B)(a)アクリル系樹脂35〜94重量%
    と、(b)(イ)炭素数6以上のアミノカルボン酸又は
    ラクタム、あるいは炭素数4以上のジアミンとジカルボ
    ン酸との塩、(ロ)数平均分子量400〜4000のポ
    リ(アルキレンオキシド)グリコール及び(ハ)炭素数
    4〜16のジカルボン酸から得られたポリエーテルエス
    テルアミド3〜25重量%と、(c)フッ化ビニリデン
    系重合体3〜40重量%とから成る樹脂組成物を3μm
    以上の厚さで積層させた帯電防止性アクリル系樹脂積層
    シート。
  2. 【請求項2】 (A)アクリル系樹脂基材の片面又は両
    面に、(B)(a)アクリル系樹脂35〜94重量%
    と、(D)(イ)炭素数6以上のアミノカルボン酸又は
    ラクタム、あるいは炭素数4以上のジアミンとジカルボ
    ン酸との塩と、(ロ)数平均分子量400〜4000の
    ポリ(アルキレンオキシド)グリコールと(ハ)炭素数
    4〜16のジカルボン酸とから得られたポリエーテルエ
    ステルアミド3〜25重量%と、(c)フッ化ビリデン
    系重合体3〜40重量%及び(d)有機スルホン酸塩及
    び有機リン酸塩の中から選ばれた少なくとも1種を
    (a)と(b)と(c)の合計量100重量部当り10
    重量部を超えない割合で配合して成る樹脂組成物を3μ
    m以上の厚さで積層させた帯電防止性アクリル系樹脂積
    層シート。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013039119A1 (ja) * 2011-09-12 2013-03-21 三菱レイヨン株式会社 積層フィルム及び積層成形品
WO2023100400A1 (ja) * 2021-11-30 2023-06-08 住友化学株式会社 (メタ)アクリル樹脂組成物

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