JPH06280157A - 調湿性繊維およびその製造方法 - Google Patents

調湿性繊維およびその製造方法

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JPH06280157A
JPH06280157A JP8684693A JP8684693A JPH06280157A JP H06280157 A JPH06280157 A JP H06280157A JP 8684693 A JP8684693 A JP 8684693A JP 8684693 A JP8684693 A JP 8684693A JP H06280157 A JPH06280157 A JP H06280157A
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正彦 南條
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 (A)20℃、湿度65%での平衡水分率が3.3%
以上のポリアミド;(B)スルホイソフタル酸塩を0.5〜
3モル%共重合したポリエステル;及び(C)アルカリ溶
解度定数がポリエステル(B)の25倍以上のポリエステル
よりなり、且つ繊維横断面においてポリアミド(A)とポ
リエステル(B)とが貼合構造をなしている3成分複合繊
維、該3成分複合繊維或いはそれからなる糸又は布帛を
アルカリ処理してポリエステル(C)を溶解除去して調湿
性の繊維、糸又は布帛を製造する方法。 【効果】 高吸湿性で、且つ湿度変化に応じて繊維径及
び繊維表面積が可逆的に変化し、被服等にした際に発汗
により被服内の湿度が上昇すると繊維径が大きくなって
放湿面積が増し被服内に滞留する水分を効果的に放出
し、一方発汗が停止して被服内の湿度が下がると繊維径
が小さくなり放湿面積が減少して水分の過剰な放散によ
る寒気を抑制する、快適な着心地を与える調湿性繊維、
糸及び布帛を短いアルカリ処理時間で高生産性で効率よ
く得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は湿度変化に対応して繊維
径が可逆的に変化する調湿性繊維、糸および布帛、並び
にその製造方法に関する。詳細には、例えば被服などに
用いた場合に、発汗により被服内の湿度が上昇すると繊
維径が拡がり放湿面積が大きくなって被服内に滞留する
水分を効果的に放出し、一方発汗が停止して被服内の湿
度が下降しはじめると繊維径が小さくなって放湿面積が
小さくなり水分の過剰な放散による寒気を抑制し、常に
着心地の快適な被服などを提供できる調湿性繊維、糸お
よび布帛、並びにその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル、ポリアミド等の合成繊維
は、イージーケア性をはじめとして多くの優れた特性を
有しており、多方面に用いられているが、その反面、疎
水性であることにより吸水性および吸湿性が低く、衣服
などに使用した場合に吸汗性や吸湿性が小さく、綿、
麻、羊毛などの天然繊維と比較して着心地が劣ってい
る。
【0003】ポリエステル繊維などの合成繊維の上記欠
点を改良するために種々の提案がなされており、例えば
繊維を構成するポリエステルに親水性化合物をグラフト
重合させる方法、ポリエステル中に親水性化合物を練り
込む方法、繊維表面に親水性化合物を塗布する方法など
が知られている。しかし、親水性化合物をグラフト重合
させる方法の場合は繊維に十分な親水性を与えるために
親水性化合物を多量に導入するとポリエステル繊維の持
つ本来の特性が失われ、また親水性化合物を練り込む方
法の場合は繊維の風合、特に肌ざわりが不良になり易
く、更に親水性化合物を塗布する方法の場合は摩擦や洗
濯などにより親水性化合物が繊維表面から脱落して耐久
性がないという欠点を有している。
【0004】また、別の方法として、疎水性重合体と親
水性重合体とから複合繊維を形成することが提案されて
おり、その一例として疎水性ポリエステルと吸湿性ポリ
アミドとを貼合型に複合した偏平複合繊維が知られてい
る。しかし、この偏平複合繊維の場合は延伸処理、仮撚
加工、製織工程などの後加工工程時に繊維断面が変形し
たり貼合せ部分が剥離するなどの欠点があり、実用的で
はない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、吸湿
性や吸水性に優れ、例えば衣服などに使用した場合に、
発汗してもむれ感や悪寒を感じさせない快適性に優れた
調湿能のある合成繊維、並びにそれからなる糸および布
帛を提供することである。更に、本発明の課題は取り扱
い性に優れ、後加工工程などにおいて、繊維断面の変形
や貼合せ部分の剥離を生じない調湿性合成繊維、並びに
それからなる糸および布帛を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らが上記の課題
を解決すべく検討を重ねた結果、吸湿性の高いポリアミ
ドと該ポリアミドに対して親和性を有するポリエステル
とを貼合構造で複合させ、更にそれをアルカリ溶解性の
極めて大きなポリエステルで保護するようにして3者の
複合繊維を形成し、その複合繊維またはそれを用いて作
製した糸または布帛をアルカリ処理してアルカリ溶解性
のポリエステルを溶解除去すると、調湿性に優れ、しか
も後加工工程で変形や貼合部分の剥離などの生じない良
好な繊維や布帛などが得られることを見出して本発明を
完成した。
【0007】すなわち、本発明は、(A)温度20℃、
湿度65%での平衡水分率が3.3%以上のポリアミ
ド;(B)スルホイソフタル酸塩を0.5〜3モル%共
重合したポリエステル;および(C)アルカリ溶解度定
数がポリエステル(B)の25倍以上であるポリエステル
よりなり、且つ繊維横断面においてポリアミド(A)とポ
リエステル(B)とが貼合構造をなしている3成分複合繊
維であって、該3成分複合繊維、該複合繊維よりなる糸
または布帛をアルカリ処理してポリエステル(C)を溶解
除去することを特徴とする調湿性繊維、糸または布帛の
製造方法である。更に、本発明は、上記したポリエステ
ル(A)、ポリエステル(B)およびポリエステル
(C)よりなる、アルカリ処理する前の3成分複合繊
維、該複合繊維よりなる糸または布帛を包含する。
【0008】吸水性や吸湿性を有する繊維形成性重合体
としては種々のものがあるが、吸湿時膨潤性を有してい
て、それが用いられる環境下での湿度の多少に応じて繊
維径を変化させて湿分の放出などを調節できるという点
で吸湿性のポリアミドが好ましく、本発明ではそのよう
なポリアミドのうちで、温度20℃、湿度65%での平
衡水分率が3.3%以上のポリアミド(以下「ポリアミ
ド(A)」という)を上記3成分複合繊維の一成分として
用いるものである。このポリアミド(A)を使用した場合
には、本発明により得られる複合繊維の吸湿率が高くな
り、快適な着心地を与える衣服などが得られなくなる。
ポリアミド(A)としては、平衡水分率が6%以上のもの
を使用するのがより好ましい。なお、本発明でいう「温
度20℃、湿度65%での平衡水分率」とは、次のよう
にして求めた時の値をいう。
【0009】温度20℃、湿度65%での平衡水分率
筒編地を作製し、常法で精練、リラックス、プリセット
したものをサンプルとし、温度20℃で10時間以上真
空乾燥後秤量(G0)したサンプルを、温度20℃、湿
度65%で10時間以上調湿して再秤量(G)し、下記
の式(iii)で求めた。
【0010】
【数2】 平衡水分率(%)={(G/G0)−1}×100 ・・・(iii)
【0011】本発明では、上記のポリアミド(A)とし
て、温度20℃、湿度65%での平衡水分率が3.3%
以上の繊維形成性のポリアミドであればいずれも使用で
き特に制限されない。そのような吸湿性ポリアミドの例
としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、
ナイロン46などの単独または共重合体からなるポリア
ミドをベースにして、それに更にペオ酸、ピペラジン、
ポリエーテル、ポリアミン、スルホン酸塩基などの吸湿
性の基やセグメントの少なくとも1種を共重合単位とし
て含有させたもの、上記のナイロン中にポリエーテル、
ポリアミン、スルホン酸塩などの吸湿性物質を練り込ん
だものなどを挙げることができる。ポリアミドにポリエ
ーテルやその他の吸湿性成分を共重合させてその平衡水
分率を3.3%以上にしたものでは、吸湿性の共重合成
分は主鎖に導入されていても、または側鎖に導入されて
いてもよく、特に側鎖に導入したものはより高い吸湿性
を有している。
【0012】また、高吸湿性のポリアミドとしては、例
えば米国特許第4,281,105号明細書に記載され
た方法で製造され得るナイロン4が知られている。ナイ
ロン4は、温度20℃、湿度65%での平衡水分率が
8.5〜9%であり、木綿の7〜8%よりも高く、本発
明ではポリアミド(A)としてそのような高吸湿性のナイ
ロン4を使用することもできる。更に、限定されるもの
ではないが、ポリアミド(A)としては、極限粘度が0.
8〜1.4のものを使用するのが、紡糸性などの点から
好ましい。
【0013】そして本発明では、上記したポリアミド
(A)に対して疎水性ポリエステルを貼合構造で複合させ
ることが必要であり、ポリアミド(A)と疎水性ポリエス
テルとを偏平状態の2層貼合構造で複合させるのがより
好ましい。上記のポリアミド(A)に対して疎水性ポリエ
ステルを貼合構造で複合させることによって、上記した
3隰分複合繊維からアルカリ溶解性のポリエステルを溶
解除去した後に得られるポリアミド(A)と疎水性ポリエ
ステルとの複合繊維がその吸湿量に応じて繊維径を可逆
的に変化させることが可能になり、例えば衣服に用いた
場合にむれ感や悪寒を効果的に抑制することができる。
具体的に説明すると、例えば発汗して衣服内の湿度が高
くなると複合繊維が吸湿した湿分を外部に放出しながら
繊維径を増加してその湿分放出面積を拡大させて湿分を
積極的に外部に放出し、その結果、むれ感が抑制され
る。一方、発汗の停止などによって衣服内の湿度が低下
すると繊維がその吸湿していた湿分を徐々に放出しなが
ら繊維径を減少させるために繊維表面性が縮小して湿分
放出面積が小さくなり、湿分の放出が抑制され、その結
果気化時の潜熱によって体熱が奪われなくなり悪寒を防
止できる。
【0014】ポリアミド(A)と疎水性ポリエステルとの
複合繊維が吸湿/湿分放散の多数回の繰り返しにもその
性能を失わず、その繊維径を長期に亙って可逆的に減少
/増加させ得るためには、ポリアミド(A)と疎水性ポリ
エステルとの貼合面に剥離が生じず、両者が強固な貼合
構造を保ち得ることが必要であり、そのために、本発明
ではポリアミド(A)と貼合せる疎水性ポリエステルとし
て、ポリアミドとの親和性の高い、スルホイソフタル酸
塩を0.5〜3モル%共重合した上記のポリエステル
(以下「ポリエステル(B)」という)を用いることが必
要である。
【0015】ポリエステル(B)中におけるスルホイソフ
タル酸塩の共重合割合が0.5モル%未満であるとポリ
アミド(A)との貼合部分での剥離が生じ易くなり、紡糸
性、その後の加工工程での取り扱い性が低下し、しかも
上記した良好な可逆的調湿性能を繊維に付与できなくな
る。一方、ポリエステル(B)中におけるスルホイソフタ
ル酸塩の共重合割合が3モル%を超えると、重合体の粘
度が高くなり過ぎて、紡糸が困難になる。ポリエステル
(B)中のスルホイソフタル酸塩の共重合割合が1.5〜
2.5モル%であるのが、より好ましい。
【0016】ポリエステル(B)としては、テレフタル酸
またはそのエステル形成性誘導体から主としてなる酸成
分(好ましくはテレフタル酸またはそのエステル形成性
誘導体の割合が80モル%以上である酸成分)と、少な
くとも1種のグリコール成分、好ましくはエチレングリ
コール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリ
コールなどのアルキレングリコールの1種または2種以
上(より好ましくはエチレングリコールの割合が80モ
ル%以上であるグリコール成分)とから製造され、且つ
スルホイソフタル酸塩が0.5〜3モル%共重合されて
いるポリエステルを使用するのがよく、特にスルホイソ
フタル酸塩を0.5〜3モル%共重合させたポリエチレ
ンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレート、
あるいはそれらに10モル%以下のネオペンチルグリコ
ール、シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸、ス
ルホイソフタル酸などの他の成分を共重合させたものが
好ましい。しかし、ポリエステル(B)は上記のものに限
定されるものではなく、スルホイソフタル酸塩を0.5
〜3モル%共重合させた繊維形成性のポリエステルはい
ずれも使用可能である。
【0017】ポリエステル(B)中に共重合させるスルホ
イソフタル酸塩としては、5−ナトリウムスルホイソフ
タル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸、5−リチウ
ムスルホイソフタル酸などのスルホン酸金属塩基を有す
るイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムスルホ
イソフタル酸、5−エチルトリブチルホスホニウムスル
ホイソフタル酸などのスルホン酸ホスホニウム塩基を有
するイソフタル酸などを挙げることができ、これらのス
ルホイソフタル酸塩はポリエステル(B)中に1種類のみ
を共重合させても、2種以上を共重合させてもよく、特
に5−ナトリウムスルホイソフタル酸を共重合させたも
のが好ましい。
【0018】また、ポリエステル(B)としては、良好な
繊維物性を発揮させるために、その極限粘度が0.5以
上のものを用いるのが好ましく、0.6以上が特に好ま
しい。更に、ポリエステル(B)に疎水性成分としての機
能を十分に発揮させるために、ポリエステル(B)とし
て、温度20℃、湿度65%での平衡水分率が2%以下
のものを用いるのが好ましい。また、ポリエステル(B)
の製造方法は特に限定されず、例えばエステル交換反応
とそれに続く重縮合反応、または直接エステル化反応と
それに続く重縮合反応により製造することができ、その
際にスルホイソフタル酸塩からなる共重合成分はエステ
ル交換反応時、直接エステル化反応時または重縮合反応
時の任意の段階で反応系に添加することができる。
【0019】そして、本発明では、3成分複合繊維およ
び該3成分複合繊維からポリエステル(C)をアルカリ処
理で溶解除去した後に得られる複合繊維中において、ポ
リアミド(A):ポリエステル(B)の複合比率が、重量
で、40〜80:60〜20になるようにするのが好ま
しい。ポリアミド(A)の割合が上記よりも少ないと、ポ
リエステル(C)を溶解除去した後に得られる複合繊維の
吸湿性が低下し、目的とする調湿性繊維が得られにくく
なり、一方ポリアミド(A)の割合が上記よりも多いと、
吸湿性は高くなるものの、ポリエステルによる高ヤング
率の寄与が少なくなって低ヤング率の繊維となり、濡れ
たときにベトツキ感を生じ易くなる。吸湿性およびヤン
グ率等の点から、ポリアミド(A):ポリエステル(B)の
複合割合を重量で50〜70:50〜30にするのがよ
り好ましい。
【0020】本発明では、アルカリ処理を施す前の繊維
として、上記したポリアミド(A)およびポリエステル
(B)と共に更にアルカリ溶解度定数がポリエステル(B)
の25倍以上であるポリエステル(C)(以下「アルカ
リ溶解性ポリエステル(C)」という)とが複合した3成
分複合繊維を用いる。アルカリ溶解性ポリエステル(C)
のアルカリ溶解度定数がポリエステル(B)の25倍以上
であることにより、3成分複合繊維をアルカリ処理した
際に、アルカリ溶解性ポリエステル(C)のみが選択的に
溶解除去され、ポリエステル(B)やポリアミド(A)がア
ルカリによって侵されたり、溶解されることがなくな
り、且つポリアミド(A)とポリエステル(B)との剥離も
生じず、良好な繊維物性を保持したポリアミド(A)とポ
リエステル(B)との複合繊維を得ることができる。それ
に対して、アルカリ溶解性ポリエステル(C)のアルカリ
溶解度定数がポリエステル(B)のそれの25倍未満であ
ると、3成分複合繊維をアルカリ処理してアルカリ溶解
性ポリエステル(C)を溶解除去する際に、ポリエステル
(B)の侵食や溶解も同時に進行して、最終的に得られる
ポリアミド(A)とポリエステル(B)の複合繊維の物性低
下や両者の剥離を生ずるようになる。なお、本発明でい
うアルカリ溶解度定数(k)は、下記の式(iv)により求
められる。
【0021】
【数3】 k=(10−R1/2)×{r0/(10t)} ・・・(iv) [式中、k=アルカリ溶解度定数(cm/秒) R=アルカリ液中浸漬t秒後の不溶解分の重量% r0=アルカリ液浸漬直後(t=0)の時の繊維の半径
(cm) t=アルカリ浸漬時間(秒) 但し、r0は(dr/π・f・ρ・9000)1/2より求め
た値であり、ここdr=糸のデニール、ρ=比重(=
1.388)、f=糸のフィラメント数である]
【0022】また、ポリエステル(B)とアルカリ溶解性
ポリエステル(C)とのアルカリ溶解度定数の比は、ポリ
エステル(B)とアルカリ溶解性ポリエステル(C)とを各
々単独で用いて75d/24fのフィラメント糸を紡糸
・延伸により製造し、それを筒編地にしたものを175
℃で1分間熱処理した後、水酸化ナトリウムの2%水溶
液を用いて液温98℃でアルカリ減量処理を行い、各々
のフィラメント糸について上記式(iv)によりアルカリ溶
解度定数を求めて、両者のアルカリ溶解度定数の比を求
めることにより行う。
【0023】3成分複合繊維におけるポリアミド
(A)、ポリエステル(B)およびアルカリ溶解性ポリ
エステル(C)の複合構造としては、アルカリ処理によっ
てアルカリ溶解性ポリエステル(C)を溶解除去した後
に、ポリアミド(A)とポリエステル(B)とが貼合わ
された複合繊維が得られる限り特に限定されないが、最
終的に得られるポリアミド(A)とポリエステル(B)との
複合繊維が上記した良好な可逆的調湿能を有するために
は、ポリアミド(A)とポリエステル(B)とが各々1
層づつの合計2層で貼合わさった複合繊維が得られるよ
うな複合構造とするのが好ましく、そのような複合構造
が屈曲したまたは屈曲していない偏平な貼合構造となっ
ているのがより好ましい。
【0024】そして、3成分複合繊維においては、アル
カリ溶解性ポリエステル(C)は、ポリアミド(A)とポリ
エステル(B)とからなるそのような貼合構造部分を一部
または全体的に包囲または接触させて複合するのがよ
く、それによって3成分複合繊維の紡糸時や延伸時、更
には捲縮加工、交絡加工、製編織加工、染色加工などの
加工工程時に、ポリアミド(A)とポリエステル(B)とか
らなる複合部分の著しい変形や損傷、両重合体間の剥離
などのトラブルが生じないようにアルカリ溶解性ポリエ
ステル(C)による保護が行われる。また、アルカリ溶解
性ポリエステル(C)は、アルカリ処理によって最終的に
除去される成分であるから、アルカリ溶解性ポリエステ
ル(C)のアルカリ除去が容易なように、3成分複合繊維
の表面の少なくとも一部にアルカリ溶解性ポリエステル
(C)が露出していることが必要であり、3成分複合繊維
の表面の約2〜40%がアルカリ溶解性ポリエステル
(C)により形成されているようにするのが望ましい。
【0025】また、限定されるものではないが、3成分
複合繊維における{ポリアミド(A)+ポリエステル
(B)}:アルカリ溶解性ポリエステル(C)の複合割合
は、重量で約40〜80:60〜20程度にしておくの
が、紡糸時の工程性、アルカリ処理の容易性、形態安定
性などの点から好ましい。
【0026】3成分複合繊維におけるポリアミド(A)、
ポリエステル(B)およびアルカリ溶解性ポリエステル
(C)の好ましい複合形態を繊維の横断面図で示すと、例
えば図1〜図3のものを挙げることができる。図1〜図
3において、(イ)はいずれもアルカリ処理前の3成分
複合繊維を示し、(ロ)はアルカリ処理によってアルカ
リ溶解性ポリエステル(C)を溶解除去した後に得られる
ポリアミド(A)とポリエステル(B)との複合繊維を示
し、Aはポリアミド(A)を、Bはポリエステル(B)をそ
してCはアルカリ溶解性ポリエステル(C)を示す。しか
しながら、3成分複合繊維における各重合体の複合形態
は図1〜図3のものに限定されず、最終的にポリアミド
(A)とポリエステル(B)との貼合構造を有する複合繊維
が得られるものであればいずれでもよい。
【0027】そして、アルカリ溶解性ポリエステル(C)
としては、そのアルカリ溶解度定数がポリエステル(B)
の25倍以上のポリエステルであればいずれでもよく、
特に制限されないが、繊維形成性であり且つアルカリ溶
解性が極めて高く、ポリエステル(B)の侵食や脆化など
を引き起こさずに短時間で速やかにアルカリ処理を円滑
に行い得るという点で、アルカリ溶解性ポリエステル
(C)として、 (a)下記の式(I);
【0028】
【化4】 (式中、Arは3価の芳香族基、Mは金属原子を示す)
で表されるジカルボン酸単位を一部含有するジカルボン
酸単位; (b)下記の式(II);
【0029】
【化5】−O−(R1−O)m− (II) (式中、R1はアルキレン基、mは10〜100の数を
示す)で表されるジオール単位;および (c)下記の式(III);
【0030】
【化6】 (式中、R2はアルキレン基、R3は炭素数1〜18の炭
化水素基、nは10〜100の数、xおよびyはそれぞ
れ0または1を示す)で表される側鎖単位;を含有する
共重合ポリエステルであって、式(I)で表されるジカル
ボン酸単位を共重合ポリエステルを構成する全酸成分の
0.5〜10モル%、式(II)で表されるジオール単位お
よび式(III)で表される側鎖単位をそれぞれ共重合ポリ
エステルの重量に基づいて1〜49重量%有し、且つ式
(II)で表されるジオール単位と式(III)で表される側鎖
単位の含有率の合計が共重合ポリエステルの重量に基づ
いて2〜50重量%である共重合ポリエステル[以下
「共重合ポリエステル(C)」という]を、アルカリ溶解
性ポリエステル(C)の好ましい例として挙げることがで
きる。
【0031】共重合ポリエステル(C)においては、それ
を構成するジカルボン酸単位として、上記の式(I)で表
されるジカルボン酸単位[以後「ジカルボン酸単位
(I)」という]を、共重合ポリエステル(C)を構成する
全酸成分の0.5〜10モル%の割合で含むのが好まし
く、1〜7モル%がより好ましい。ジカルボン酸単位
(I)の共重合割合が0.5モル%未満であるとアルカリ
処理の際に共重合ポリエステル(C)が溶解しにくくな
り、一方10モル%を超えるとその金属スルホネート成
分のイオン相互作用により該共重合ポリエステル(C)を
製造するための重縮合反応中に増粘が起こり、共重合ポ
リエステル(C)が所望の極限粘度になるまで重縮合反応
を継続することが困難になる。
【0032】ジカルボン酸単位(I)においては、Arが
3価の芳香族基であり、Mは金属原子であり、基Arと
しては1,3,5−ベンゼントリイル基、1,2,3−
ベンゼントリイル基、1,2,4−ベンゼントリイル基
などのベンゼントリイル基、1,3,6−ナフタレント
リイル基、1,3,7−ナフタレントリイル基、1,
4,5−ナフタレントリイル基、1,4,6−ナフタレ
ントリイル基などのナフタレントリイル基などを挙げる
ことができ、また金属原子Mはナトリウム、カリウム、
リチウムなどのアルカリ金属原子であるのが望ましい。
共重合ポリエステル(C)は、1種類のジカルボン酸単位
(I)のみを有していてもまたは2種以上のジカルボン酸
単位(I)を有していてもよい。
【0033】共重合ポリエステル(C)を構成するジカル
ボン酸単位(I)以外のカルボン酸単位としては、テレフ
タル酸、イソフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン
酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタ
レンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、
4,4’−ビフェニルジカルボン酸、3,3’−ビフェ
ニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカ
ルボン酸、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸、
4,4’−ジフェニルイソプロピリデンジカルボン酸、
1,2−ジフェノキシエタン−4',4”−ジカルボン
酸、2,5−アントラセンジカルボン酸、2,6−アン
トラセンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸
などの芳香族ジカルボン酸;β−ヒドロキシエトキシ安
息香酸、p−オキシ安息香酸などの芳香族ヒドロキシカ
ルボン酸;またはそれらのエステル形成性誘導体から誘
導された芳香族ジカルボン酸単位を挙げることができ、
これらの芳香族ジカルボン酸単位は1種類のみまたは2
種以上含まれていてもよい。
【0034】上記した芳香族ジカルボン酸単位と共に、
アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの脂肪族ジ
カルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族
ジカルボン酸やそのエステル形成性誘導体から誘導され
た単位を含んでいてもよいが、共重合ポリエステル(C)
を構成する全酸成分単位の70モル%以上が芳香族ジカ
ルボン酸単位、特にテレフタル酸単位からなるのが望ま
しい。
【0035】また、共重合ポリエステル(C)は上記の式
(II)で表されるジオール単位[以後「ジオール単位(I
I)」という]を、共重合ポリエステル(C)の重量に基づ
いて1〜49重量%含有していることがよく、ジオール
単位(II)の割合が1重量%未満であると、共重合ポリエ
ステル(C)のアルカリ溶解性が低下し、一方49重量%
を超えると紡糸が困難になる。
【0036】ジオール単位(II)において、R1は炭素数
1〜4のアルキレン基であるのが好ましく、エチレン基
またはプロピレン基であるのがより好ましく、R1がエ
チレン基であるのがアルカリ溶解性などの点から特に好
ましい。ジオール単位(II)ではエチレン基とプロピレン
基が同じ分子中に存在していてもよい。また、ジオール
単位(II)において、そのオキシアルキレン単位の重合度
を示すmは上記したように10〜100の範囲内の数で
あり、mが20〜80の範囲の数であるのが好ましい。
ジオール単位(II)において、mが10よりも小さいとア
ルカリ溶解性が小さくなり、一方mが100を超えても
アルカリ溶解性はさして向上せず、むしろ着色などを生
じ易くなる。ジオール単位(II)の例としては、mが上記
10〜100の範囲内であるポリオキシエチレングリコ
ール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエ
チレン/ポリオキシプロピレングリコール等から誘導さ
れた単位を挙げることができ、共重合ポリエステル(C)
においてジオール単位(II)は1種のみまたは2種以上含
まれていてもよい。
【0037】また、共重合ポリエステル(C)は、上記し
たジオール単位(II)以外の他のジオール単位を更に有し
ているのがよく、該他のジオール単位としては、エチレ
ングリコール、プロピレングリコール、トリメチレング
リコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレン
グリコール、ヘキサメチレングリコール、ノナメチレン
グリコール、3−メチルペンタン−1,5−ジオール、
2−メチルオクタン−1,8−ジオール、ジエチレング
リコール等の脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノ
ールなどの脂環族ジオールなどから誘導される単位を挙
げることができ、これらのジオール単位は1種類のみ含
まれていてもまたは2種類以上含まれていてもよい。複
合繊維を製造する際の繊維形成性などの点から、該他の
ジオール単位の70モル%以上が、エチレングリコー
ル、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコー
ル、ペンタメチレングリコールおよびヘキサメチレング
リコールなどの炭素数2〜6の直鎖状アルキレングリコ
ールから誘導された単位であるのが好ましい。
【0038】そして、共重合ポリエステル(C)は更に上
記の式(III)で表される側鎖単位[以後「側鎖単位(II
I)」という]を共重合ポリエステル(C)の重量に基づい
て1〜49重量%有していることのがよく、側鎖単位(I
II)の割合が1重量%未満であると、アルカリ溶解性が
低下し、一方49重量%を超すと紡糸が困難になる。
【0039】側鎖単位(III)は、例えば下記の式(I
V);
【0040】
【化7】 [式中、Dはジカルボン酸成分やジオールなどと反応し
て、共重合ポリエステル(C)の主鎖に対して、上記した
式(III)で示される側鎖単位(III)を導入し得る基であ
り、R2、R3およびnは上記と同じ基、数を示す]で表
される化合物を共重合ポリエステル(C)の製造時に反応
させることにより共重合ポリエステル(C)中に導入する
ことができる。
【0041】上記式(IV)で表される化合物において、
エステル形成性の基Dの例としては、例えば下記の式;
【0042】
【化8】 で表されるグリシジル基、または下記の式;
【0043】
【化9】 で表される2,3−ジヒドロキシプロピル基などを挙げ
ることができる。
【0044】側鎖単位(III)において、R2は炭素数1〜
4のアルキレン基であるのが好ましく、エチレン基また
はプロピレン基であるのがより好ましく、エチレン基が
特に好ましい。また、R3の具体例としてはメチル、エ
チル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、se
c−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−オ
クチル、2−エチルヘキシル、n−ドデシル、n−ステ
アリルなどのアルキル基;シクロヘキシルなどの炭素数
3〜18のシクロアルキル基;フェニル、ノニルフェニ
ルなどの炭素数6〜18のアリール基を挙げることがで
きる。
【0045】側鎖単位(III)ではエチレン基とプロピレ
ン基が同じ分子中に存在してもよい。また、側鎖単位(I
II)において、そのオキシアルキレン単位の重合度を示
すnは上記したように10〜100の範囲内の数であ
り、nが20〜80の範囲の数であるのが好ましい。n
が10よりも小さいとアルカリ溶解性が低下し、一方1
00を超えてもアルカリ溶解性はそれほど向上せず、着
色の原因となる。
【0046】側鎖単位(III)の具体例としては、ポリオ
キシエチレングリコール−メチル−グリシジルエーテ
ル、ポリオキシエチレングリコール−メチル−2,3−
ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキシエチレング
リコール−エチル−グリシジルエーテル、ポリオキシエ
チレングリコール−エチル−2,3−ジヒドロキシプロ
ピルエーテル、ポリオキシエチレングリコール−n−プ
ロピル−グリシジルエーテル、ポリオキシエチレングリ
コール−n−プロピル−2,3−ジヒドロキシプロピル
エーテル、ポリオキシエチレングリコール−t−ブチル
−グリシジルエーテル、ポリオキシエチレングリコール
−t−ブチル−2,3−ジヒドロキシプロピルエーテ
ル、ポリオキシエチレングリコール−n−オクチル−グ
リシジルエーテル、ポリオキシエチレングリコール−n
−オクチル−2,3−ジヒドロキシプロピルエーテル、
ポリオキシエチレングリコール−2−エチルヘキシル−
グリシジルエーテル、ポリオキシエチレングリコール−
2−エチルヘキシル−2,3−ジヒドロキシプロピルエ
ーテル、ポリオキシエチレングリコール−n−ドデシル
−グリシジルエーテル、ポリオキシエチレングリコール
−n−ドデシル−2,3−ジヒドロキシプロピルエーテ
ル、ポリオキシエチレングリコール−n−ステアリル−
グリシジルエーテル、ポリオキシエチレングリコール−
n−ステアリル−2,3−ジヒドロキシプロピルエーテ
ル、ポリオキシエチレングリコール−フェニル−グリシ
ジルエーテル、ポリオキシエチレングリコール−フェニ
ル−2,3−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキ
シエチレングリコール−ノニルフェニル−グリシジルエ
ーテル、ポリオキシエチレングリコール−ノニルフェニ
ル−2,3−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキ
シエチレングリコール−シクロヘキシル−グリシジルエ
ーテル、ポリオキシエチレングリコール−シクロヘキシ
ル−2,3−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキ
シエチレン/ポリオキシプロピレングリコール共重合体
のメチルグリシジルエーテル、ポリオキシエチレン/ポ
リオキシプロピレングリコール共重合体のメチル−2,
3−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキシエチレ
ン/ポリオキシプロピレングリコール共重合体のn−プ
ロピル−グリシジルエーテル、ポリオキシエチレン/ポ
リオキシプロピレングリコール共重合体のn−プロピル
−2,3−ジヒドロキシプロピルエーテルなどから誘導
された単位を挙げることができ、これらの単位は共重合
ポリエステル(C)中に単独で含まれていてもまたは2種
以上含まれていてもよい。
【0047】そして、共重合ポリエステル(C)において
は、ジオール単位(II)と側鎖単位(III)を合計した含有
率が共重合ポリエステル(C)の重量に基づいて2〜50
重量%であることがよく、特に5〜30重量%であるの
が望ましい。ジオール単位(II)および側鎖単位(III)の
合計含有率が2重量%よりも少ないと、アルカリ溶解性
が低下し、一方50重量%を超えると紡糸が困難にな
る。
【0048】また、共重合ポリエステル(C)は、上記し
た単位以外にも、例えばグリセリン、トリメチロールプ
ロパンなどのトリオール;ペンタエリスリトールなどの
テトラオール;トリメリット酸、トリメシン酸などのト
リカルボン酸;ピロメリット酸などのテトラカルボン酸
などの4価以上のポリカルボン酸などの多官能成分から
誘導された共重合単位をポリエステルの溶融紡糸や溶融
成形が可能な範囲内で少量含んでいてもよい。
【0049】そして、共重合ポリエステル(C)は、フェ
ノールとテトラクロロエタンの等重量混合溶媒中、30
℃で測定した極限粘度が0.5dl/g以上、好ましく
は0.55〜1.5dl/g、特に0.6〜1.0dl
/gであるのが、紡糸時の工程性などの点から好まし
い。
【0050】共重合ポリエステル(C)は、上記した各単
位を共重合ポリエステル(C)中に導入し得るジカルボン
酸成分、ジオール成分、上記の式(IV)で示した側鎖単
位(III)用化合物等を用いて常法により重合反応を行わ
せることにより製造することができる。例えば、第一段
階でまずそれらの原料成分を用いて、エステル化反応ま
たはエステル交換反応を行って低重合体を生成させ、次
いで第二段階でその低重合体を重合触媒の存在下減圧下
に加熱して所望の重合度になるまで重縮合させることに
より製造することができるが、勿論この方法に限定され
ない。その際に、重縮合反応の前のエステル化反応また
はエステル交換反応工程で、ポリエステルの製造に際し
て使用される公知のエステル化触媒およびエステル交換
反応触媒を必要に応じて使用することができる。
【0051】ポリアミド(A)、ポリエステル(B)および
アルカリ溶解性ポリエステル(C)とからなる3成分複合
繊維は、その横断面が円形;三葉形〜八葉形などの多葉
形、T字形、V字形、偏平形、方形などの異形の任意の
断面形状であることができ、また中実繊維に限らず中空
繊維や多孔質繊維であってもよい。それらのうちでも、
アルカリ処理後に得られるポリアミド(A)とポリエステ
ル(B)との複合繊維の損傷、貼合面における剥離などが
生じないようにするために、円形、楕円形、方形などの
異形化度の少ない横断面形状とするのが好ましい。ま
た、3成分複合繊維の太さは特に限定されず、任意の太
さにすることができるが、アルカリ処理後にソフトな風
合の繊維や布帛等が得られるようにする点から、3成分
複合繊維複合の単繊維繊度を約1.5〜5.0デニール
程度にしておくのが好ましい。
【0052】3成分複合繊維においては、ポリアミド
(A)、ポリエステル(B)およびアルカリ溶解性ポリエス
テル(C)の1つまたは2つ以上が、必要に応じて、その
種の繊維に対して通常用いられる酸化防止剤、着色防止
剤、耐熱性改善剤、蛍光漂白剤、難燃剤、艶消剤、着色
剤、無機微粒子などを含有していてもよく、特に共重合
ポリエステル(C)部分に亜リン酸エステル系酸化防止剤
を配合しておくと色調の改善効果があり、またヒンダー
ドフェノール系酸化防止剤を含有させておくと、共重合
ポリエステル(C)中のポリオキシアルキレン鎖の酸化分
解が防止される。
【0053】3成分複合繊維の製造法は特に限定され
ず、例えば、低速または中速で溶融紡糸した後に延伸す
る方法、高速による直接紡糸延伸法、紡糸後に延伸と仮
撚を同時にまたは続いて行う方法などの任意の製糸方法
で製造することができる。
【0054】そして、本発明では、上記の3成分複合繊
維、またはそれを用いて製造された糸あるいは布帛をア
ルカリ処理して、3成分複合繊維のうちのアルカリ溶解
性ポリエステル(C)部分を溶解して除去して、ポリアミ
ド(A)とポリエステル(B)が貼合型で複合している複合
繊維を得る。アルカリ処理は、3成分複合繊維またはそ
れよりなる糸に直接施しても、それらから製造した布帛
に施してもよく、特に3成分複合繊維やその糸から編織
布、不織布などの布帛を形成しその布帛をアルカリ処理
するのが、処理の容易性、得られる製品の物性や風合な
どの点から好ましい。その場合の布帛は、3成分複合繊
維単独で形成されていても、または3成分複合繊維と天
然繊維または他の合成繊維などの併用により形成されて
いてもよい。例えば織物の場合はタテ糸およびヨコ糸の
両方が3成分複合繊維からなっていても、いずれか一方
のみが3成分複合繊維からなっていてもよい。また、布
帛は、3成分複合繊維のフィラメントから形成されてい
ても、短繊維、紡績糸、混紡糸等から形成されていても
よい。
【0055】アルカリ処理を行うに当たっては、3成分
複合繊維を構成するアルカリ溶解性ポリエステル(C)の
アルカリ溶解度などに応じてより適したアルカリ濃度や
強度採用するのが好ましい。そして、アルカリ溶解性ポ
リエステル(C)として上記した共重合ポリエステル(C)
を用いる場合は、そのアルカリ処理を、強アルカリ性
物質を単独で含有する処理液を用いる方法、弱アルカ
リ性物質を単独で含有する処理液を使用する方法、また
は強アルカリ性物質と弱アルカリ性物質の両方を含有
する処理液を使用する方法のいずれで行ってもよい。
【0056】上記の方法による場合は、強アルカリ性
物質として水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸
三ナトリウムなどを使用するのがよく、処理液中におけ
る強アルカリ性物質の濃度を約2〜40g/リットル程
度、好ましくは5〜20g/リットル程度にしておくの
がよい。この方法の場合に、強アルカリ性物質の濃度が
2g/リットルよりも低いと複合繊維中の共重合ポリエ
ステル(C)部分の溶解速度や溶解の程度が小さくなり、
アルカリ減量処理を短時間に行うのが困難になる。一
方、強アルカリ性物質の濃度が40g/リットルよりも
高いと、ポリエステル(B)の劣化を引き起こして、繊
維、糸または布帛の強力が大幅に低下する。
【0057】また、上記の方法による場合は、弱アル
カリ性物質として炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、
ケイ酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムなどを使用
するのがよく、処理液中における弱アルカリ性物質の濃
度を約5〜100g/リットル程度、好ましくは5〜6
0g/リットル程度にしておくのがよい。この方法の場
合に、弱アルカリ性物質の濃度が5g/リットルよりも
低いと複合繊維中の共重合ポリエステル(C)部分の溶解
速度や溶解の程度が小さくなり、アルカリ減量処理を短
時間に行うのが困難になり、一方、弱アルカリ性物質の
濃度が100g/リットルよりも高いと、上記の場合
と同様に、ポリエステル(B)の劣化を引き起こして、繊
維、糸または布帛の強力が大幅に低下し易くなる。
【0058】更に、上記の方法による場合は、強アル
カリ性物質と弱アルカリ性物質とを下記の式(v)およ
び式(vi)を満足する割合で処理液中に含有させるのが
よい。
【0059】
【数4】S<−0.8W+15 ・・・(v) 2≦W<5 ・・・(vi) [式中、S=強アルカリ性物質の濃度(g/リットル) W=弱アルカリ性物質の濃度(g/リットル)]
【0060】強アルカリ性物質と弱アルカリ性物質とを
併用する上記の方法による場合に、上記式(v)およ
び(vi)を満足するように両方のアルカリ性物質を使用
することによって、強アルカリ性物質の濃度が小さくて
も、アルカリ溶解性ポリエステル(C)のみを効率よくが
溶解除去することができ、ポリエステル(B)部分を溶解
することなく残留させることができる。このの方法に
よる場合に、弱アルカリ性物質の濃度が2g/リットル
よりも少なくなると強アルカリ性物質を上記式よりも
高濃度にすることが必要になり、ポリエステル(B)へ
のアルカリの侵食が大きくなって、天然繊維に似たソフ
トな風合が得られにくくなり、しかもポリエステル
(B)の劣化を引き起こし、繊維、糸または布帛の強力
が低下する。また、強アルカリ性物質の濃度が−0.8
W+15(g/リットル)以上になると、アルカリ溶解
性ポリエステル(C)部分だけでなく、ポリエステル
(B)部分も溶解されて繊維の強力が著しく低下する。
【0061】上記〜のいずれ方法の場合も、そのア
ルカリ処理を75〜130℃の温度で行うのがよく、9
0〜120℃の温度で行うのがより好ましい。温度が7
5℃よりも低いとアルカリ減量処理に時間がかかるよう
になり、一方130℃を超えるとアルカリ溶解性ポリエ
ステル(C)のみならずポリエステル(B)部分の侵食、
劣化を生じやすくなる。
【0062】本発明のアルカリ処理は、布帛等の精練、
糊抜き、プリント仕上げ時に同時に行っても、またはそ
れらの前または後に行ってもよいが、精練、糊抜き、ま
たはプリント仕上げと同時に行うと、処理工程数が少な
くすることができる。また、アルカリ処理を静的状態で
行っても動的状態で行ってもよく、特にアルカリ処理液
を繊維、糸、布帛等に衝突させたり、アルカリ処理液や
被処理繊維や布帛などを撹拌しながら行う動的状態を採
用した場合には、3成分複合繊維におけるアルカリ溶解
性ポリエステル(C)の溶解除去を一層速やかに行うこと
ができ、そのようなアルカリ処理は例えば高圧液流式装
置や高圧ワッシャー装置などを使用して実施することが
できる。
【0063】また、アルカリ処理を非イオン系界面活性
剤、アニオン系界面活性剤などの存在下に行うのが好ま
しく、それにより複合繊維の膨潤、軟化、複合繊維への
アルカリの浸透等が促進されて、処理を速やかに行うこ
とができると共に繊維全体に良好なふくらみ感が付与さ
れ、しかも繊維や布帛等から脱落した糊剤等が再付着す
るのを防止することができる。その際の非イオン系界面
活性剤としては、例えばポリオキシエチレン多価アルコ
ールアルキルエステル類、ポリオキシエチレンアルキル
エーテル、ポリエチレングリコールアルキルエステル類
などを、またアニオン系界面活性剤としてはセッケン、
高級アルコール系界面活性剤などを挙げることができ
る。アルカリ処理温度が100℃以上の場合には、起泡
性の点から、ポリエチレングリコール/ポリプロピレン
オキサイド付加物系の界面活性剤が好ましい。
【0064】そして、本発明ではポリアミド(A)、ポリ
エステル(B)およびアルカリ溶解性ポリエステル(C)か
らなる3成分複合繊維、該繊維を少なくとも一部に用い
た糸、またはそれらの繊維や糸からなる布帛を上記のよ
うにしてアルカリ処理することにより、それが用いられ
る周囲環境の湿度の多少に応じて繊維径が可逆的に変化
し、その吸湿および湿分の放出を可逆的に且つ極めて適
性に行うポリアミド(A)とポリエステル(B)との貼合構
造を有する複合繊維を得ることができる。この調湿性複
合繊維、またはそれから得られた糸および布帛は、天然
繊維に劣らない優れた調湿能と共に、ソフトな優れた風
合、表面状態および外観を有し、特にアルカリ溶解性ポ
リエステル(C)として上記した共重合ポリエステル(C)
を用いた場合には、そのアルカリ処理を従来のこの種の
アルカリ処理技術に比べて極めて短い時間で効率よく行
うことができる。
【0065】更に、その際に、アルカリ処理により得ら
れたポリアミド(A)とポリエステル(B)との貼合型複合
繊維が、下記の式(i)および(ii);
【0066】
【数5】 1.1≦L100/L65≦2.5 ・・・(i) 0.5≦ L0/L65 ≦0.9 ・・・(ii) (式中、L0=温度20℃で10時間以上真空乾燥した
時の複合繊維横断面の所定箇所の長さ、L65=温度20
℃、湿度65%の雰囲気下に10時間以上放置した時の
0相当部の長さ、そしてL100=温度20℃の飽和蒸気
圧下に10時間以上放置した時のL0相当部の長さであ
る)を満足するようにして、ポリアミド(A)およびポリ
エステル(B)の種類、その貼合構造の形状、寸法(厚
さ、幅等)などを特に選ぶと、上記した可逆的な調湿能
に一層優れた複合繊維を得ることができ、本発明の要件
を満足する上記のポリアミド(A)、ポリエステル(B)お
よびポリエステル(C)からなる3成分複合繊維を用いて
アルカリ処理を行った場合には、通常上記の式(i)お
よび(ii)を満足する優れた調湿性複合繊維を得ること
ができる。
【0067】ここで、上記のL0、L65およびL100の長
さの測定法を図1の(ロ)で得られた複合繊維を例に挙
げて図4により具体的に説明する。図1の(ロ)で得ら
れた湾曲複合繊維は、温度20℃で10時間以上真空乾
燥した時には吸湿している湿分が極めて少なくなり、ポ
リアミド(A)層を内側にして図4の(イ)に示すように
強く丸まった状態になっており、この時にLとして例
えばその直径を測定する。そして、この複合繊維を温度
20℃、湿度65%の雰囲気下に10時間以上放置した
時には内側のポリアミド(A)層が吸湿して伸びること
により図4の(ロ)に示した状態になるので、このときに
図4の(イ)のL0に相当する部分の長さをL65として測
定する。また、この複合繊維を更に温度20℃の飽和蒸
気圧下に10時間以上放置した時には、内側のポリアミ
ド(A)層の吸湿が極めて大きくなってポリアミド(A)層
が伸びることにより図4の(ハ)のような状態になるの
で、図4の(イ)のL0に相当する部分の長さをL100
して測定する。この図4に示した以外の複合繊維につい
ても同様にして測定が可能であり、L0、L65およびL
100の測定はいずれも光学顕微鏡等を使用して行うこと
ができる。
【0068】アルカリ処理によって得られるポリアミド
(A)とポリエステル(B)との貼合型複合繊維では、L
100/L65が1.3〜2.2であるのがより好ましく、
100/L65が上記の式(i)から外れて1.1よりも
小さいと、吸湿時の複合繊維表面の増加の程度が小さ
く、大量発汗により激増した衣服内の水分を外部に円滑
に放湿できず、一方L100/L65が2.5よりも大きい
と、複合繊維の貼合面での剥離が生じやすくなる。ま
た、 L0/L65 が0.5よりも小さいと、放湿した
後でも繊維径が元に戻りにくくなり、一方L0/L65
0.9よりも大きいと放湿時の繊維表面積の縮小量が小
さく、寒冷時の保温性が十分に得られにくくなる。
【0069】本発明の方法により得られた繊維、糸また
は布帛は、高い吸湿性および保温性を要求される肌着、
外衣、シーツ、タオル、スポーツ衣料などの種々の繊維
製品に用いるのに極めて適している。
【0070】
【実施例】以下に本発明を実施例などにより具体的に説
明するが、本発明はそれにより限定されない。記の例中
における重合体の極限粘度[η](dl/g)はテトラ
クロロエタン:フェノール=1:1(重量割合)の混合
溶媒を用いて30℃で測定したときの値であり、また例
中のd/fはデニール/フィラメント数を示す。
【0071】《実施例1〜7》 (1) ポリアミド(A)として、極限粘度[η]=1.
4(dl/g)のナイロン6にポリオキシエチレンジア
ミン(分子量2000)をナイロン6の重量に基づいて
20重量%ブロック共重合させた温度20℃、湿度65
%での平衡水分率が8.5%の吸湿性ポリアミドを準備
した。 (2) ポリエステル(B)として、下記の表1に示す割
合でスルホイソフタル酸ナトリウムを共重合した極限粘
度[η]=0.68(dl/g)のポリエチレンテレフ
タレート(PET)を準備した。各ポリエステルのアル
カリ溶解度定数は下記の表1に示すとおりであった。
【0072】(3) アルカリ溶解性ポリエステル(C)
として、5−ナトリウムスルホイソフタル酸を下記の表
1に示した割合(モル%)で含有するテレフタル酸と5
−ナトリウムスルホイソフタル酸とのジカルボン酸混合
物とエチレングリコールとを、1:1.25のモル比で
エステル化反応器に仕込んで、230℃、2.5kg/
cmの圧力下で2時間エステル化反応を行った。次い
で、得られた反応生成物(低重合体)を予め230℃に
加熱してある重縮合器に移し、これに分子量2000の
ポリエチレングリコールと下記の式(V);
【0073】
【化10】 で表されるポリオキシエチレングリシジルエーテルを、
下記の表1に示した量で添加し、更に、ポリエチレング
リコールとポリオキシエチレングリシジルエーテルの合
計量に対して、5重量%の1,3,5−トリス(4−t
−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジ
ル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,
3H,5H)−トリオン(アメリカンサイアナミッド社
製;サイアノックス1790)を加えて、温度を230
℃から280℃まで45分かけて昇温しながら徐々に
0.1mmHgまで減圧にし、以後280℃で系の溶融
粘度が、極限粘度0.7dl/gのポリエチレンテレフ
タレートの280℃における溶融粘度にほぼ一致する時
点まで重縮合反応を継続して得られた共重合ポリエステ
ル(C)を準備した。各共重合ポリエステル(C)のアル
カリ溶解度定数は表1に示すとおりであった。
【0074】(4) 上記(1)〜(3)で準備したポ
リアミド(A)、ポリエステル(B)および共重合ポリエス
テル(C)を表1に示した割合(重量比)で使用して、
295℃で溶融複合紡糸した後延伸して、図1の(イ)
に示す横断面形状を有する3成分複合繊維のフィラメン
ト糸(75d/24f)を製造した。 (5) 上記(4)で製造した複合フィラメント糸を用
いて編地を作製し、得られた編地を水酸化ナトリウムの
2%水溶液を用いて液温95℃で8分間減量処理して共
重合ポリエステル(C)を完全に溶解させて、図1の
(ロ)に示す貼合型の複合繊維を得た。 (6) 上記(5)で得られた複合繊維のL0、L65
よびL100を測定して、L 100/L65およびL0/L65
値を求めたところ、表1に示すとおりであり、また得ら
れた複合繊維の温度20℃、湿度65%における平衡水
分率は表1のとおりであった。
【0075】《比較例1〜2》実施例1〜7で用いたポ
リアミド(A)の代わりに、ナイロン6(温度20℃、湿
度65%での平衡水分率2.4%)を使用した以外は実
施例1〜7と同様にして3成分複合繊維を製造し、同様
にしてアルカリ処理を行ってナイロン6とポリエステル
(B)の複合繊維を製造して、同様にしてその物性を調べ
た。その結果を表1に示す。
【0076】《比較例3〜4》アルカリ溶解性ポリエス
テル(C)として、アルカリ溶解度定数がポリエステル
(B)のそれの25倍よりも小さい表1に示す共重合ポリ
エステルを用いた以外は実施例1〜7と同様にして3成
分複合繊維を製造し、同様にしてアルカリ処理を行って
ポリアミド(A)とポリエステル(B)の複合繊維を製造し
て、同様にしてその物性を調べた。その結果を表1に示
す。
【0077】《比較例 5》下記の表1に示すように、
アルカリ溶解性ポリエステル(C)を用いずにポリアミド
(A)とポリエステル(B)とから湾曲していない偏平な貼
合型複合繊維(75d/24f)を溶融紡糸・延伸して
製造し、得られた複合繊維を仮撚加工した。この複合繊
維の温度20℃、湿度65%における平衡水分率を測定
したところ、表1に示すとおりであった。
【0078】
【表1】
【0079】上記表1の結果から、本発明の要件を満足
するポリアミド(A)、ポリエステル(B)およびアルカリ
溶解性ポリエステル(C)により形成された3成分複合繊
維から製造された布帛をアルカリ処理している実施例1
〜7の場合には、温度20℃、湿度65%における平衡
水分率が高く吸湿性に優れ、しかもL100/L65および
0/L65の値がそれぞれ上記した式(i)および(i
i)の範囲に包含され、湿分の多少に応じてその繊維径
および繊維表面積が可逆的に変化して良好な調湿作用を
示す優れた布帛が得られることがわかる。それに対し
て、本発明の要件のうちの一つまたは2つ以上を満足し
ない複合繊維またはそれからなる布帛を使用している比
較例1〜6の場合には、温度20℃、湿度65%におけ
る平衡水分率が低く吸湿性に劣り、しかもL100/L65
およびL0/L65の値がそれぞれ上記した式(i)およ
び(ii)の範囲から外れる、そのような可逆的調湿性に
劣った繊維または布帛しか得られないことがわかる。
【0080】
【発明の効果】本発明による場合は、吸湿性が高く、し
かも湿度変化に対応して繊維径および繊維表面積が可逆
的に変化し、例えば被服などに用いた場合に、発汗によ
り被服内の湿度が上昇すると繊維径が広がり放湿面積が
大きくなって被服内に滞留する水分を効果的に放出し、
一方発汗が停止して被服内の湿度が下降しはじめると繊
維径が小さくなり放湿面積が小さくなって水分の過剰な
放散による寒気を抑制し、常に着心地の快適な被服など
を提供できる調湿性繊維、糸および布帛を短いアルカリ
処理時間で高い生産性で効率よく得ることができる。更
に、本発明による場合は、ポリアミド(A)とポリエステ
ル(B)との貼合構造体をアルカリによる溶解度の極めて
大きいアルカリ溶解性ポリエステル(C)で保護した3成
分複合繊維を用いているので、該3成分複合繊維の紡糸
時の工程性や後加工処理時の工程性が良好であり、しか
もアルカリ溶解性ポリエステル(C)が速やかにアルカリ
により溶解するため、ポリアミド(A)およびポリエステ
ル(B)がアルカリによって損傷を受けたり、両者の複合
面が剥離したりすることがなく、繊維物性に優れたポリ
アミド(A)とポリエステル(B)の貼合型複合繊維を得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の3成分複合繊維およびそれをアルカリ
処理して得られた複合繊維の横断面構造の一例を示す図
である。
【図2】本発明の3成分複合繊維およびそれをアルカリ
処理して得られた複合繊維の横断面構造の別の例を示す
図である。
【図3】本発明の3成分複合繊維およびそれをアルカリ
処理して得られた複合繊維の横断面構造の更に別の例を
示す図である。
【図4】本発明におけるL0、L65およびL100の測定法
を示す図である。
【符号の説明】
A ポリアミド(A) B ポリエステル(B) C アルカリ溶解性ポリエステル(C)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)温度20℃、湿度65%での平衡
    水分率が3.3%以上のポリアミド;(B)スルホイソ
    フタル酸塩を0.5〜3モル%共重合したポリエステ
    ル;および(C)アルカリ溶解度定数がポリエステル
    (B)の25倍以上であるポリエステルよりなり、且つ繊
    維横断面においてポリアミド(A)とポリエステル(B)と
    が貼合構造をなしている3成分複合繊維、該3成分複合
    繊維よりなる糸または布帛をアルカリ処理してポリエス
    テル(C)を溶解除去することを特徴とする調湿性繊維、
    糸または布帛の製造方法。
  2. 【請求項2】 複合繊維におけるポリアミド(A):ポリ
    エステル(B)の複合比率が重量で40〜80:60〜2
    0である請求項1の製造方法。
  3. 【請求項3】 アルカリ処理後の複合繊維が下記の式
    (i)および(ii)を満足する請求項1または2の製造
    方法。 【数1】 1.1≦L100/L65≦2.5 ・・・(i) 0.5≦ L0/L65 ≦0.9 ・・・(ii) (式中、L0=温度20℃で10時間以上真空乾燥した
    時の複合繊維横断面の所定箇所の長さ、L65=温度20
    ℃、湿度65%の雰囲気下に10時間以上放置した時の
    0相当部の長さ、そしてL100=温度20℃の飽和蒸気
    圧下に10時間以上放置した時のL0相当部の長さであ
    る)
  4. 【請求項4】 ポリエステル(C)が、 (a)下記の式(I); 【化1】 (式中、Arは3価の芳香族基、Mは金属原子を示す)
    で表されるジカルボン酸単位を一部含有するジカルボン
    酸単位; (b)下記の式(II); 【化2】−O−(R1−O)m− (II) (式中、R1はアルキレン基、mは10〜100の数を
    示す)で表されるジオール単位;および (c)下記の式(III); 【化3】 (式中、R2はアルキレン基、R3は炭素数1〜18の炭
    化水素基、nは10〜100の数、xおよびyはそれぞ
    れ0または1を示す)で表される側鎖単位;を含有する
    共重合ポリエステルであって、式(I)で表されるジカル
    ボン酸単位を共重合ポリエステルを構成する全酸成分の
    0.5〜10モル%、式(II)で表されるジオール単位お
    よび式(III)で表される側鎖単位をそれぞれ共重合ポリ
    エステルの重量に基づいて1〜49重量%有し、且つ式
    (II)で表されるジオール単位と式(III)で表される側鎖
    単位の含有率の合計が共重合ポリエステルの重量に基づ
    いて2〜50重量%である共重合ポリエステルである請
    求項1〜3のいずれか1項の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項の方法によ
    り製造された繊維、糸または布帛。
  6. 【請求項6】 (A)温度20℃、湿度65%での平衡
    水分率が3.3%以上のポリアミド;(B)スルホイソ
    フタル酸塩を0.5〜3モル%共重合したポリエステ
    ル;および(C)アルカリ溶解度定数がポリエステル
    (B)の25倍以上であるポリエステルよりなり、且つ繊
    維横断面においてポリアミド(A)とポリエステル(B)と
    が貼合構造をなしている3成分複合繊維、該3成分複合
    繊維よりなる糸または布帛。
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