JPH09273072A - 高嵩高吸水性ドライ感触織編物の製造方法 - Google Patents

高嵩高吸水性ドライ感触織編物の製造方法

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JPH09273072A
JPH09273072A JP8083922A JP8392296A JPH09273072A JP H09273072 A JPH09273072 A JP H09273072A JP 8083922 A JP8083922 A JP 8083922A JP 8392296 A JP8392296 A JP 8392296A JP H09273072 A JPH09273072 A JP H09273072A
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JP
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dry
polyester
fiber
strip
woven
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JP8083922A
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Masao Matsuda
全央 松田
Ryoji Nakamura
良司 中村
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 ドライ感触と吸水性を併せ持つ点で優れると
同時に適度のハリコシとふくらみを表現しうるシルキー
風合いを有するポリエステル系高嵩高吸水性ドライ感触
織編物を経済的かつ効率的に製造する。 【解決手段】 繊維断面の外周に沿って3個以上の短冊
型凹部を有し、該短冊型凹部にはポリエステル系繊維成
分より溶解速度が10倍以上速い易溶解性の成分が接合
され、該短冊型凹部の幅が0.5〜2ミクロン、深さが
2〜10ミクロンで、繊維の中空率が5〜20%、構造
一体性パラメーターが0.1以上0.6以下の中空複合
繊維(A)と、切断伸度が25以上40%以下、沸水収
縮率が12以上60%以下、乾熱収縮応力の最大値が
0.2g/d以上で最大ピーク温度が100℃以上のポ
リエステル系高収縮繊維(B)を混繊後、製編織し、ポ
リエステルに対してキャリヤー能を有する有機化合物溶
液中で処理した後、乾熱120℃以上190℃以下で処
理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、衣料用繊維として
ソフトでふくらみがあり、且つドライな感触と吸水性に
優れ、適度のハリコシを表現しうるシルキー風合いを有
する高嵩高吸水性ドライ感触織編物の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル繊維は取り扱いやすく、適
度の着用耐久性があり、さらに価格の面でも他の合成繊
維に比べて有利であり衣料用繊維として極めて広い用途
を有している。しかしながら、それらポリエステル繊維
は均一が故にいくつかの欠点も有しており種々の改善努
力がなされてきた。その一つに合成繊維特有のぬめり感
がある。即ち、通常のポリエステル繊維は均一で繊維表
面が滑らかであるためポリエステル繊維で作られた布帛
はつるつるしており絹や木綿のような温かみのある感触
とはかけ離れた感触でしかない。この欠点を改善するた
め、微細孔形成剤を添加することにより繊維表面を粗面
化する技術(特開昭54−120728号公報)、低温
プラズマ処理でポリエステル繊維表面の粗面化と親水性
を同時に付与する技術、繊維表面に易溶出成分を楔状に
複合し、その後溶出して繊維外周を鋸歯状にしてキシミ
感や絹なり効果を付与する技術(特開昭63−1900
38号公報)、更に微細孔形成剤を含有するポリエステ
ルで中空糸を作り、アルカリ処理により繊維表面に微細
孔を形成せしめて吸水性を付与する技術(特開昭56−
20612号公報)もある。しかしながら、上記技術の
いずれにおいても、吸水性、ドライ感、ハリコシ、嵩高
性を同時に満足することは不可能である。
【0003】また、嵩高性を付与した布帛を作る方法の
一つとして異収縮混繊技術があるが、これはポリエステ
ル繊維の製造工程において延伸時の熱セット温度の違い
により繊維の収縮率が変化することを利用したものであ
り、例えば別個に延伸熱セットした2種類のフィラメン
トを延伸機上または、延伸後に混繊することにより得ら
れる。この混繊糸を製編織後に布帛状で熱処理すること
により収縮差に応じた糸長差が発現し布帛にふくらみが
生じる。
【0004】しかしながら、この手法では収縮時の布帛
拘束力が大きく十分な糸長差が出ないために目標とする
風合いを得るには至っていない。そこで、さらに大きな
ふくらみ、ソフトさを得るための方法として、高収縮糸
と加熱下で伸長する自己伸長糸を混繊する方法がある。
【0005】自己伸長糸に関しては、ポリエチレンテレ
フタレートポリマーを紡糸、延伸して得られる糸を収縮
処理する(特公昭41−1205号公報、特公昭43−
28262号公報、特公平4−018051号公報)、
あるいはポリエステル未延伸糸を収縮熱処理し、ついで
延伸する(特公昭46−3372号公報、特公昭63−
372号公報)、ポリエステル半延伸糸を弛緩熱処理す
る(特公平2−293410号公報)、ポリエステルマ
ルチフィラメント部分配向未延伸糸を他のマルチフィラ
メントと混繊し次いで弛緩熱処理する(特開平6−29
9430号公報)などがあるが、いずれも従来の完成糸
を製造する工程に加え、延伸、熱処理等の糸加工の手間
がかかり経済面、作業面、共に改善が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来技術
の有する問題点を克服し、且つ従来の方法では製造する
ことが困難とされたドライな感触、吸水性、ハリコシに
加え、より高度の嵩高性を付与することにより吸水性と
いう機能に加え、ハリコシのある風合いとふくらみに富
んだドライでエアリーな独特の触感を有する高嵩高吸水
性ドライ感触織編物を経済的かつ効率的に製造すること
を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意検討を重ねた結果本発明に到達し
た。即ち本発明は、繊維断面の外周に沿って3個以上の
短冊型凹部を有し、該短冊型凹部にはポリエステル系繊
維を構成する成分より溶解速度が10倍以上速い易溶解
性の成分が充填接合されており、該短冊型凹部の幅が
0.5〜2ミクロン、深さが2〜10ミクロンであり、
繊維の中空率が5〜20%、構造一体性パラメーターが
0.1〜0.6の中空複合繊維(A)と、切断伸度が2
5〜40%、沸水収縮率が12〜60%、乾熱収縮応力
の最大ピーク値が0.2g/d以上で最大ピーク温度が
100℃以上のポリエステル系高収縮繊維(B)とから
なる混繊糸を用いて製編織し、次いでキャリヤー能を有
する有機化合物を含む溶液中で、到達温度が70℃〜1
00℃となる条件で処理した後、120℃〜190℃で
乾熱処理し、次いで上記易溶解性の成分を溶出除去する
ことを特徴とする高嵩高吸水性ドライ感触織編物の製造
方法であり、好ましくは混繊後の工程で70℃を超える
工程を経由することなくキャリヤー処理工程に供するこ
とを特徴とする上記の高嵩高吸水性ドライ感触織編物の
製造方法、キャリヤー能を有する有機化合物が0.5〜
20%owfの濃度で溶液中に含有されてなることを特
徴とする上記の高嵩高吸水性ドライ感触織編物の製造方
法、ポリエステル系高収縮繊維(B)が繊維断面の外周
に沿って3個以上の短冊型凹部を有し、該短冊型凹部に
はポリエステル系繊維を構成する成分より溶解速度が1
0倍以上速い易溶解性の成分が充填接合されており、該
短冊型凹部の幅が0.5〜2ミクロン、深さが2〜10
ミクロンであり、繊維の中空率が5〜20%であること
を特徴とする上記の高嵩高吸水性ドライ感触織編物の製
造方法である。中空複合繊維(A)を形成するポリエス
テル成分中に1〜3重量%の無機微粒子が含有されてい
ることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高
嵩高吸水性ドライ感触織編物の製造方法。
【0008】本発明におけるポリエステルとは繊維形成
性のポリエステルであれば特に限定はされないが、例え
ばテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジ
カルボン酸を主たるカルボン酸成分とし、エチレングリ
コール、プロピレングリコールもしくはテトラメチレン
グリコールを主たるグリコール成分とするポリエチレン
テレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブ
チレンテレフタレート、あるいはポリエチレン2,6−
ナフタレート等の線状ポリエステルを主成分としたもの
が好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好まし
い。
【0009】また、これらは用途によっては難燃性、易
染性、制電性等の機能性の化合物が共重合していても、
ダル剤、無機粒子及び種々の機能性微粒子等の添加剤が
含まれていても構わない。
【0010】本発明の複合繊維(A)を構成する溶出成
分は、主成分のポリエステルより10倍以上の溶出速度
をもつものであれば良く、イソフタル酸、アジピン酸、
スルホイソフタル酸等を5モル%以上共重合した変性ポ
リエステルが使用できるが、経済性の点よりポリエステ
ルに分子量が10,000以上のポリアルキレングリコ
ールをブレンドしたものが好ましく、ブレンド量は5〜
15wt%が良い。5wt%未満では溶出速度が不足
し、15wt%以上では、粘度の低下が著しく複合糸の
断面形状のコントロールが困難となる。基質のポリエス
テルはエチレングリコール、プロピレングリコール、ト
リエチレングリコール等のグリコール成分と、テレフタ
ル酸、アジピン酸、イソフタル酸、スルホイソフタル酸
などのジカルボン酸成分の1種または2種の酸成分とを
重合したポリエステルを用いることができ、この場合は
90モル%以上がエチレンテレフタレート単位よりなる
ポリエステルであることが経済性の面で好ましい。
【0011】本発明はポリエステルとそれよりも10倍
速い溶出速度を有するポリエステルもしくはそのブレン
ド物よりなる中空の複合繊維(A)を1成分とする混繊
糸であり、複合繊維の実断面形状を図1〜3に示す。外
周形状は丸でも多葉形でも良く、中空繊維であれば良
い。その中空率はハリコシと弾発性を付与する事から5
%以上が必要であり、5%未満になると断面2次モーメ
ントが小さすぎて十分な効果が得られない。中空率は高
い方が好ましいが20%を超えると紡糸時に糸切れが多
くなったり中空の破裂繊維が発生するなど製糸性に問題
が発生し経済的に好ましくない。
【0012】短冊型の溶出成分の配置数は3個以上が良
く吸水性を上げることやドライ感を高める意味で多い方
が好ましいが、多くなりすぎると溶出成分比が高くなる
ことから、得られる布帛の強力は低下してしまう。よっ
て、実用限界から6個以下が好ましく、より好ましくは
4個以下である。溶出成分の短冊型の大きさは幅が0.
5ミクロンで深さが2〜10ミクロンとすることが好ま
しい。幅は毛管現象による吸水性を高める意味で細い方
が好ましいが、紡糸時の複合形状の安定性を考慮すると
0.5ミクロンが限界である。また、溝幅が2ミクロン
を超えると吸水性能が低下し目的を達しない。
【0013】本発明に用いる複合繊維(A)はポリエス
テルを例えば紡糸捲取速度2500から4000m/m
in.の範囲で溶融紡糸することにより得られ、構造一
体性パラメーターが0.1以上0.6以下のものであ
る。ここで言う構造一体性パラメーターとは湿熱80
℃、0.2g/dの荷重下で30秒処理したときの伸長
率であり、丸断面の時は複屈折(以後Δnとする)で代
用しても構わない。その場合は、Δnは30×10-3
60×10-3のものが好ましい。ここでのΔnは、ベレ
ックコンペンセーターを装着した偏光顕微鏡によりレタ
デーションを測定し、レタデーションと繊維径より求め
られるものである。
【0014】構造一体性パラメーターが0.6を超える
と配向性が不十分でキャリヤー処理時に結晶化が不十分
であり、収縮が大きく伸長性が得られない。また、0.
1未満であるとキャリヤー処理時に表層の結晶化が大き
く同様に伸長性が得られない。従って、0.15〜0.
4が好ましく、さらには0.2〜0.3がより好まし
い。
【0015】他方、混繊相手として用いる高収縮糸
(B)は、高配向未延伸糸(A)と同種の複合糸断面で
あっても他の断面形状で単一ポリマーより形成された繊
維であっても良く、切断伸度が25以上40%以下、沸
水収縮率が12以上60%以下、乾熱収縮応力の最大ピ
ーク値が0.2g/d以上で最大ピーク温度が100℃
以上のものである。
【0016】切断伸度が40%を超えると得られる布帛
の寸法安定性が不良で実用性がない。また、25%未満
であると延伸操業性が低下し好ましくないうえ、製編織
時の工程通過性を考慮すると切断伸度は25%以上とす
ることが必要である。
【0017】沸水収縮率が12%未満であると自己伸長
糸との糸長差が不足して嵩高効果が不十分となり、60
%を超える繊維は工業的に安定に製造することが難し
い。好ましくは15〜30%である。また、乾熱収縮応
力の最大ピーク値が0.2g/d未満であると、拘束力
の大きい布帛中での収縮が不足し、糸長差が不十分とな
り嵩高性が出ない。好ましくは0.3g/d以上であ
る。さらに、最大ピーク温度が100℃未満であると、
キャリヤー処理時に熱セットされ、収縮の発現が少なく
なり、糸長差が小さく嵩高性に欠ける。好ましくは15
0℃以下である。
【0018】また、少なくとも伸長性の複合繊維の本体
には1〜3%の無機微粒子が含まれていることが、減量
加工時に繊維表面及び溶出により形成される溝内に微細
な凹凸を形成し、触感効果や吸水効果を高めることから
好ましい。勿論、伸長性の複合繊維(A)と高収縮繊維
(B)の双方に無機微粒子が含まれていることはより好
ましく、無機微粒子として酸化チタン、カオリナイト、
タルク、炭酸カルシウム、マイカ等任意に選択できる
が、いずれの場合も微粒子の1次粒子径は0.1から
0.3ミクロンとすることがより好ましい。粒子の添加
量は1〜3%が触感効果や吸水効果を高める上でより好
ましいが3%を超えると微粒子の分散性が低下し、紡糸
時にフィルター詰まりが生じ、長期生産できない。1%
以下になると触感効果や吸水効果が薄れる。
【0019】両者を混繊した後製編織するが、例えば糊
付け工程やウォータージェットルームでの乾燥工程等の
後述するキャリヤー処理工程に至るまでの工程で70℃
を超える熱履歴を与えないことが重要であり、その理由
はキャリヤー処理前に収縮応力を発現させないためであ
る。
【0020】本発明におけるポリエステルに対してキャ
リヤー能を有する有機化合物とは安息香酸、安息香酸エ
ステル等の安息香酸誘導体、サリチル酸、サリチル酸エ
ステル等のサリチル酸誘導体、フェノール、m−クレゾ
ール等のフェノール類、モノクロロベンゼン、トリクロ
ロベンゼン等のハロゲン化芳香族類、アセトフェノン等
のケトン類、ハロゲン化フェノール類、フェニルフェノ
ール類、アソニール等のエーテル類、ジ−およびトリフ
ェニルメタン類、ジフェニル誘導体、メチルナフタレ
ン、ナフトール等のナフタレン類、アニリン類等の主に
芳香族系の有機化合物誘導体のいずれか1種又は2種以
上の混合物をいう。
【0021】これら、ポリエステルに対してキャリヤー
能を有する有機化合物は、水系、有機溶剤系のいずれで
も良い。また、ポリエステルに対してキャリヤー能を有
する有機化合物以外に乳化剤、精練剤、分散剤、均染
剤、PH緩衝剤等各種助剤および各種染料を場合によっ
ては数種含んでいても良い。
【0022】これらの処理は、処理自体単独で行うこと
も、精練工程、染色工程等と同時に行うこともでき、処
理方法としては、精練浴と共に処理する、染色浴と共に
処理する等の方法がある。また、単独で行う場合は本発
明の処理方法以前にポリエステルのガラス転移点以上の
温度がかからなければ、どの時点で行っても構わない。
【0023】これらの処理は中空複合繊維(A)のガラ
ス転移点以下で開始すことが重要である。すなわち、ガ
ラス転移点以上で処理を開始すると、処理液による収縮
抑制機能が働く前に、原糸の収縮が生じ伸長しない。ゆ
えに、製品自体に欠点が多く発生し、風合いも硬くな
り、ふくらみもでない。従って、キャリヤー能を有する
0.5以上20%owf以下の濃度の有機化合物を含む
溶液中で、ガラス転移点以下の温度で処理を開始し最終
到達温度が70℃以上100℃以下になるようにして収
縮を抑制、その後の工程にて乾熱120℃以上190℃
以下で処理することにより自発伸長を発現させる。
【0024】処理工程の作業性、コストからは、開始温
度はガラス転移点以下でできるだけ高い方が望ましく、
処理時間も短くすることができる。有機化合物の濃度に
関しても、高い方が望ましいが、20%owfを超える
と溶液との相溶性、安全性、処理液コスト等に問題が生
じてくる。逆に0.5%owf未満であると収縮抑制の
効果が小さく、後の乾熱処理時の伸長性が低下する。好
ましくは4以上15%owf以下である。
【0025】キャリヤー処理最終温度が100℃を超え
ると、高圧処理釜が必要でコストが高くなり、70℃未
満であると結晶化による低収縮化不十分で乾熱処理時の
伸長性が低下する。
【0026】上記の方法で伸長処理された製品は伸長し
た時点で安定であり、その後の精練、セット、減量、染
色、加工等の工程ではなんら問題を生じない。
【0027】以下、実施例により本発明を説明する。
【実施例】以下実施例により本発明を説明する。尚、本
発明の評価に用いた測定方法は以下の通りである。
【0028】(処理後収縮、伸長率の測定方法)d(デ
ニール)×1/30gに相当する荷重を加え、原糸5
0.0cmの長さにあらかじめ印を付けておきガーゼに
包んだ後、織物サンプルと一緒にキャリヤー能を有する
処理液中に入れ、処理後風乾した後、引き続き160℃
のオーブンで30分間処理し、処理後に同荷重を加えて
印の間の長さ(W)を測定した。それぞれの値は以下の
式で算出した。 伸長率(%)=100×(W−50)/50 収縮率(%)=100×(50−W)/50
【0029】(吸水速度の測定方法)仕上がり布帛を1
0cm角にカットし3枚重ねて水平面に置き、中心部に
30マイクロリットルの純水を滴下し、布面より消失す
るまでの時間を計測する。 (溶出速度)90℃の30g/lのNaOH水溶液に試
料を約10分間浸漬した前後の重量から算出する。
【0030】(溝寸法の測定方法)仕上がり布帛の断面
を走査型電子顕微鏡で5000倍で観察し、50個の繊
維断面中の溝の幅と深さを計測して平均値で評価する。 (沸水収縮率(SHW))d(デニール)×1/30g
に相当する荷重を加え、原糸50.0cmの長さにあら
かじめ印を付けておきガーゼに包んだ後、沸水中に30
分間浸漬し、風乾した後同荷重を加えて印の間の長さ
(L)を測定し、以下の式で算出した。 SHW(%)=100×(50−L)/50 (乾熱収縮応力の最大ピーク値と最大ピーク温度)0.
05g/dの初荷重を加え、室温から300℃まで20
℃/分の昇温速度で昇温した時の収縮応力の変化を測定
し、その最大ピーク値と最大ピーク温度を各々の値とし
た。 (密度)n−ヘプタンと四塩化炭素からなる密度勾配管
を用いて30℃で測定した。
【0031】実施例、比較例に用いたポリマーA、B、
CおよびDは以下の通りである。
【0032】(ポリマーA)固有粘度が(30℃ フェ
ノール/テトラクロロエタン=6/4の溶媒で測定)が
0.63で平均等価球形が0.25ミクロンの酸化チタ
ンを0.35重量%含有するポリエステル(溶出速度1
wt%/分)。
【0033】(ポリマーB)固有粘度が(30℃ フェ
ノール/テトラクロロエタン=6/4の溶媒で測定)が
0.63で平均等価球形が0.30ミクロンのカオリナ
イトを2.0重量%含有するポリエステル(溶出速度1
wt%/分)。
【0034】(ポリマーC)固有粘度が(30℃ フェ
ノール/テトラクロロエタン=6/4の溶媒で測定)が
0.63で平均等価球形が0.25ミクロンの酸化チタ
ンを2.50重量%含有するポリエステル(溶出速度1
wt%/分)。
【0035】(ポリマーD)固有粘度が(30℃ フェ
ノール/テトラクロロエタン=6/4の溶媒で測定)が
0.62で平均等価球形が0.25ミクロンの酸化チタ
ンを0.35重量%含有し、イソフタル酸を10モル%
共重合したポリエステルに9重量%のポリエチレングリ
コール(分子量#20,000)をブレンドしたポリマ
ー(溶出速度1wt%/分)。
【0036】(実施例1)短冊型易溶出ポリマーとして
ポリマーDを、複合糸の本体としてポリマーBを用いて
紡糸温度280℃で紡糸し、3000m/min.で捲
き取り、30デニール12フィラメントの高配向未延伸
糸Iを得た。この時のポリマーDとポリマーBの複合比
は1/9とした。一方、該高配向未延伸糸を80℃のホ
ットローラーのみで1.5倍に延伸して20デニール1
2フィラメントの高収縮糸iを得た。これらの糸を交絡
ノズルを用いて流体交絡混繊を行い、得られた混繊糸に
1200回/mのS撚を付与して70℃で熱セットし、
これを経糸及び緯糸として用い、これらを2本交互に打
ち込んだ平組織の織物をなし、得られた織物に処理を施
した。処理方法は以下に示す。
【0037】織物サンプル5.0gをオルト−フェニル
フェノール系のキャリヤーであるテトロシンOEN(山
川薬品(株))が2g/lの濃度(キャリヤー濃度10
%owf相当、有機物質濃度約6.0%owf相当)に
分散し、調整されたエマルジョンの処理液250mlに
入れ(浴比1:50)、ミニカラー染色機にて処理温度
30℃で開始し、撹拌しながら1℃/min.の速度で
昇温していき、浴温度を80℃まで昇温した後、20分
撹拌を行い、冷却して取り出した。処理後、洗浄および
乾燥を行い、続いて精練、乾熱リラックス、プレセット
の後、50g/lの苛性ソーダ溶液で処理し、30wt
%減量した後ファイナルセットして仕上げ布を得た。得
られた製品の触感はポリエステル織物の風合い評価の経
験の長い染色加工技術者3名によって判定した。ドライ
で薄起毛調の触感と弾発性とふくらみに富む風合い優れ
た吸水速度を兼ね備えた新規な布帛が得られた。
【0038】(実施例2)ポリマーBをポリマーCに置
き換え紡糸温度を283℃として高配向未延伸糸IIを紡
糸した以外は実施例1と全く同法にて布帛を得た。この
布帛はよりドライ感が強く乾いた触感とダル調の光沢を
示すこと以外は実施例1と同等の物が得られた。
【0039】(実施例3)高収縮糸iに変え、ポリマー
Aより得た30デニール5フィラメントの高収縮糸iiと
する以外は実施例1と全く同法にて布帛を得た。
【0040】(比較例1、2)高配向未延伸糸Iの溶融
紡糸時の捲取り速度を2000および4500m/mi
n.として高配向未延伸糸III およびIVを紡糸した以外
は実施例1と全く同法にて布帛を得た。得られた布帛は
ふくらみに欠け、薄起毛調の触感も劣っていた。また、
若干ながら吸水速度にも低下が見られた。
【0041】(比較例3)高収縮糸iを作るときの延伸
条件を80℃のホットローラーと100℃のホットプレ
ートを用いる方法に変えて延伸糸iii を得たこと以外は
実施例1と同法にて布帛を得た。得られた布帛はふくら
みに欠け、薄起毛調の触感も劣っていた。また、若干な
がら吸水速度にも低下が見られた。
【0042】(比較例4)短冊型易溶出ポリマーによる
溝の数を2個として易溶出ポリマーDの複合比を5%と
して高配向未延伸糸Vを紡糸した以外は実施例1と全く
同法にて布帛を得た。得られた布帛はふくらみ、薄起毛
調の触感は優れたものであったが吸水速度がやや低くな
った。またドライ感も劣っていた。
【0043】(比較例5)中空率を0、即ち中実として
高配向未延伸糸VIを紡糸した以外は実施例1と全く同
法にて布帛を得た。得られた布帛はふくらみ、ドライ感
は優れていたが薄起毛調の触感は得られず、吸水速度も
劣っていた。
【0044】(比較例6)複合紡糸ノズルの分散板のス
リット寸法を変え、溶出後にできる溝の寸法を太く、浅
く変えて高配向未延伸糸VII を紡糸したた以外は実施例
1と全く同法にて布帛を得た。得られた布帛はふくら
み、薄起毛調の触感は優れたものであったが吸水速度が
やや低くなった。
【0045】(比較例7)キャリヤー浴中での最終処理
温度を50℃とした以外は実施例1と全く同法にて布帛
を得た。得られた布帛はふくらみに欠け、薄起毛調の触
感も劣っていた。また、若干ながら吸水速度に低下がみ
られた。
【0046】上記実施例、比較例の延伸糸の構成と得ら
れた布帛の評価について下記表1〜3に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
【発明の効果】本発明によれば高配向未延伸糸を延撚、
延伸仮撚、弛緩熱処理等の工程を経由せずして自己伸長
性させることが可能となり、この技術を中空複合繊維の
混繊糸布帛に応用することによって、特有の断面形状効
果と糸長差によりドライで薄起毛調の感触とふくらみと
弾発性に富む風合い、断面形状効果と糸長差に起因する
高い吸水性を同時に満足する製品を低コストでかつ効率
的に製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様を示す繊維の断面図であ
る。
【図2】本発明の一実施態様を示す繊維の断面図であ
る。
【図3】本発明の一実施態様を示す繊維の断面図であ
る。
【符号の説明】
1はポリエステル系成分よりなる繊維の本体、2は易溶
解性の成分からなる短冊型凹部、3は中空部を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D03D 15/00 D03D 15/00 B H D D06M 11/38 D06M 5/02 F

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維断面の外周に沿って3個以上の短冊
    型凹部を有し、該短冊型凹部にはポリエステル系繊維を
    構成する成分より溶解速度が10倍以上速い易溶解性の
    成分が充填接合されており、該短冊型凹部の幅が0.5
    〜2ミクロン、深さが2〜10ミクロンであり、繊維の
    中空率が5〜20%、構造一体性パラメーターが0.1
    〜0.6の中空複合繊維(A)と、切断伸度が25〜4
    0%、沸水収縮率が12〜60%、乾熱収縮応力の最大
    ピーク値が0.2g/d以上で最大ピーク温度が100
    ℃以上のポリエステル系高収縮繊維(B)とからなる混
    繊糸を用いて製編織し、次いでキャリヤー能を有する有
    機化合物を含む溶液中で、到達温度が70℃〜100℃
    となる条件で処理した後、120℃〜190℃で乾熱処
    理し、次いで上記易溶解性の成分を溶出除去することを
    特徴とする高嵩高吸水性ドライ感触織編物の製造方法。
  2. 【請求項2】 混繊後の工程で70℃を超える工程を経
    由することなくキャリヤー処理工程に供することを特徴
    とする請求項1記載の高嵩高吸水性ドライ感触織編物の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 キャリヤー能を有する有機化合物が0.
    5〜20%owfの濃度で溶液中に含有されてなること
    を特徴とする請求項1又は2記載の高嵩高吸水性ドライ
    感触織編物の製造方法。
  4. 【請求項4】 ポリエステル系高収縮繊維(B)が繊維
    断面の外周に沿って3個以上の短冊型凹部を有し、該短
    冊型凹部にはポリエステル系繊維を構成する成分より溶
    解速度が10倍以上速い易溶解性の成分が充填接合され
    ており、該短冊型凹部の幅が0.5〜2ミクロン、深さ
    が2〜10ミクロンであり、繊維の中空率が5〜20%
    であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載
    の高嵩高吸水性ドライ感触織編物の製造方法。
  5. 【請求項5】 中空複合繊維(A)を形成するポリエス
    テル成分中に1〜3重量%の無機微粒子が含有されてい
    ることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高
    嵩高吸水性ドライ感触織編物の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002339169A (ja) * 2001-05-17 2002-11-27 Toray Ind Inc 潜在捲縮発現性を有するポリエステル複合糸およびその製造方法、パッケージ
CN103572620A (zh) * 2012-08-07 2014-02-12 中国人民解放军总后勤部军需装备研究所 一种涤纶、涤纶混纺或涤纶交织色织针织物的染整方法
JP2019065413A (ja) * 2017-09-29 2019-04-25 ユニチカトレーディング株式会社 熱収縮性複合糸及びその製造方法

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