JP2019065413A - 熱収縮性複合糸及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた透け防止性を有し、且つ濃染性の低下が抑制された熱収縮性複合糸の提供。【解決手段】仮撚中空マルチフィラメントaとポリエステル延伸糸bとを含み、捲縮率が5%以下である熱収縮性複合糸であって、仮撚中空マルチフィラメントaは、無機酸化物微粒子を2超〜10質量%含む第一の樹脂部2と、無機酸化物微粒子を2質量%以下含む第二の樹脂部3とを有しており、仮撚中空マルチフィラメントaを構成する単糸1の横断面において、第二の樹脂部3が単糸の内周表面及び外周表面を含む中空形状を形成し、第一の樹脂部2が第二の樹脂部3中で中空形状の中心側から外周側へ放射状に向かう6〜30個の葉部を含む多葉形状を形成しており、仮撚中空マルチフィラメントaを構成する単糸1が、中空率3〜30%、且つ異形度が20%以下であり、ポリエステル延伸糸bの伸度が15〜40%、且つ沸水収縮率が10〜25%である、熱収縮性複合糸。【選択図】図3

Description

本発明は、透け防止性に優れ、濃染性の低下が抑制された熱収縮性複合糸、及び当該熱収縮性複合糸を熱収縮させた複合糸に関する。更に、本発明は、当該熱収縮性複合糸又は複合糸を使用した織編物に関する。
従来、涼感性や透け防止性を織編物に付与する繊維として、酸化チタン等の無機酸化物微粒子を含有した合成樹脂からなるフィラメントが知られている。例えば、特許文献1には、無機酸化物微粒子を高濃度に含有する部分と無機酸化物微粒子を含有しない部分とからなり、中空部を有し、かつ断面形状を特定のものとした複合繊維が記載されている。この複合繊維は、織編物とした場合に、湿潤時の透け防止性に優れ、更に涼感性及び紫外線防止性を備えさせることができる。
また、特許文献2に記載の様に、特定の中空部を維持する様に得られた仮撚中空マルチフィラメント糸は、光の反射及び屈折が効果的に発現し、防透性に優れる。
一方、特許文献1及び2で提案されている複合繊維は延伸糸(SDY糸)であるが、生産工程の簡略化、コストまたは取扱性の観点から、各種衣料分野においては、SDY糸又はFDY糸に代えて、高配向未延伸糸(POY糸)を用いることが主流になりつつある。
高配向未延伸糸から仮撚加工糸を得る方法としては、一般的に延伸同時仮撚加工法が採用されている。この延伸同時仮撚加工法で得られる仮撚加工糸は、捲縮特性、糸質特性とも一般の延伸糸から得られる仮撚加工糸と遜色がなく、一般衣料用として広く用いられている。また、この延伸同時仮撚加工法における仮撚方式には、一般にスピンドル方式とフリクション方式が採用されている。
ここで、一般的な同時延伸仮撚加工に中空部を有する高配向未延伸中空糸を用いた場合、スピンドル方式及びフリクション方式のどちらの場合でも中空繊維が仮撚時に物理的圧力によって中空部分が潰れてしまう為、目標とする中空率が得られず、中空繊維本来の軽量性等の機能が十分に発揮されないという欠点がある。
また、無機酸化微粒子を含有するフィラメントは濃染性(染料による染色性)に劣る上、このようなフィラメントに上記のような同時延伸仮撚加工を施すと、配向が進行されて、更に濃染性が低下してしまう。
特開2016−113715号公報 特開2016−113714号公報
本発明の目的は、無機酸化物微粒子を含有する仮撚中空マルチフィラメントを含む熱収縮性複合糸であって、当該仮撚中空マルチフィラメントにおける中空部分が維持され、優れた透け防止性を有し、且つ濃染性の低下が抑制された熱収縮性複合糸を提供することである。また、本発明の他の目的は、当該熱収縮性複合糸を熱収縮した複合糸を提供することである。また、本発明の他の目的は、当該熱収縮性複合糸又は複合糸を使用した織編物を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、(i)特定の構造を有する高配向未延伸中空マルチフィラメントaを流体旋回ノズルを使用して所定条件下で仮撚加工して仮撚中空マルチフィラメントaを得る工程、及び(ii)当該仮撚中空マルチフィラメントaと、特定のポリエステル延伸糸bとを流体噴射加工によって複合化する工程を経るにより、中空率が3〜30%に維持された仮撚中空マルチフィラメント糸を含み、捲縮率が5%以下である熱収縮性複合糸が得られることを見出した。また、当該熱収縮性複合糸、及び当該熱収縮性複合糸を熱収縮した複合糸は、優れた透け防止性を有し、しかも無機酸化物微粒子を含んでいながらも濃染性の低下が抑制されていることを見出した。更に、当該熱収縮性複合糸、及び当該熱収縮性複合糸を熱収縮した複合糸を含む織編物は、薄くて軽量であっても、優れた透け防止性を備え得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 仮撚中空マルチフィラメントaとポリエステル延伸糸bとを含み、捲縮率が5%以下である熱収縮性複合糸であって、
前記仮撚中空マルチフィラメントaは、無機酸化物微粒子を2質量%超10質量%以下含む第一の樹脂部と、無機酸化物微粒子を2質量%以下含む第二の樹脂部とを有しており、
前記仮撚中空マルチフィラメントaを構成する単糸の横断面において、前記第二の樹脂部が前記単糸の内周表面及び外周表面を含む中空形状を形成し、前記第一の樹脂部が前記第二の樹脂部中で前記中空形状の中心側から外周側へ放射状に向かう6〜30個の葉部を含む多葉形状を形成しており、前記第一の樹脂部で形成された葉部が単糸の外周表面の一部を形成していてもよい、
前記仮撚中空マルチフィラメントaを構成する単糸が、中空率3〜30%、且つ異形度が20%以下であり、
前記ポリエステル延伸糸bの伸度が15〜40%、且つ沸水収縮率が10〜25%である、
熱収縮性複合糸。
項2. トルクが45T/M以上である、項1に記載の熱収縮性複合糸。
項3. 前記仮撚中空マルチフィラメントaと前記ポリエステル延伸糸bとの質量比率が、(仮撚中空マルチフィラメントa)/(ポリエステル延伸糸)=95/5〜65/35である、項1又は2に記載の熱収縮性複合糸。
項4. 前記仮撚中空マルチフィラメントaにおける前記第一の樹脂部と前記第二の樹脂部との質量比率が、(第一の樹脂部)/(第二の樹脂部)=30/70〜90/10である、項1〜3のいずれかに記載の熱収縮性複合糸。
項5. 前記仮撚中空マルチフィラメントaが鞘側に配され、ポリエステル繊維Bが芯側に配されてなる複合糸であって、
前記仮撚中空マルチフィラメントaは、無機酸化物微粒子を2質量%超10質量%以下含む第一の樹脂部と、無機酸化物微粒子を2質量%以下含む第二の樹脂部とを有しており、
前記仮撚中空マルチフィラメントaを構成する単糸の横断面において、前記第二の樹脂部が前記単糸の内周表面及び外周表面を含む中空形状を形成し、前記第一の樹脂部が前記第二の樹脂部中で前記中空形状の中心側から外周側へ放射状に向かう6〜30個の葉部を含む多葉形状を形成しており、前記第一の樹脂部で形成された葉部が単糸の外周表面の一部を形成していてもよい、
前記仮撚中空マルチフィラメントaを構成する単糸が、中空率3〜30%、且つ異形度が20%以下である、複合糸。
項6. 項1〜4のいずれかに記載の熱収縮性複合糸、又は項5に記載の複合糸を含む、織編物。
項7. 以下の工程(イ)〜(ハ)を含む、項1〜4のいずれかに記載の熱収縮性複合糸の製造方法。
(イ)下記(1)〜(3)を満足する高配向未延伸中空マルチフィラメント糸aと、伸度15〜40%且つ沸水収縮率10〜25%のポリエステル延伸糸bとを準備する工程
(1)無機酸化物微粒子を2質量%超10質量%以下、及びポリエステル含む第一の樹脂部と、無機酸化物微粒子を2質量%以下、及びポリエステル含む第二の樹脂部とを有する。
(2)構成単糸の横断面において、前記第二の樹脂部が前記単糸の内周表面及び外周表面を含む中空形状を形成して、前記第一の樹脂部が前記第二の樹脂部中で前記中空形状の中心側から外周側へ放射状に向かう6〜30個の葉部を含む多葉形状を形成しており、前記第一の樹脂部で形成された葉部が単糸の外周表面の一部を形成していてもよい。
(3)前記単糸は中空部を有し、中空率が3〜30%である。
(ロ)前記高配向未延伸中空マルチフィラメント糸aを、流体旋回ノズルを用いて、仮撚係数20000以下、延伸倍率1.1倍以下、加撚/解撚の張力比1.0〜1.25で、仮撚加工を施して、仮撚中空マルチフィラメント糸aを得る工程、及び
(ハ)前記仮撚中空マルチフィラメント糸aと前記ポリエステル延伸糸bとを、流体噴射加工により複合し、熱収縮性複合糸を得る工程。
項8. 工程(イ)で準備する高配向未延伸中空マルチフィラメント糸aが、更に下記(4)〜(7)を満たす、項7に記載の製造方法。
(4)構成単糸の横断面において、前記葉部の外周側の先端部が曲線形状である。
(5)構成単糸の横断面において、構成単糸の外周長に対する、第一の樹脂部の構成単糸の外周表面への露出長の割合が10%以下である。
(6)構成単糸の横断面において、構成単糸の中心から外周までの距離に対する、構成単糸の外周から前記葉部の端部までの最短距離の割合の平均値が、10%以下である。
(7)伸度が100〜180%である。
項9. 項1〜4のいずれかに記載の熱収縮性複合糸に対して熱収縮処理を行う工程を含む、項5に記載の複合糸を製造する方法。
項10. 以下の工程(i)〜(iii)を含むことを特徴とする、織編物の製造方法。
(i)項1〜4のいずれかに記載の熱収縮性複合糸を準備する工程、
(ii)前記熱収縮性複合糸を製織編して生機を製造する工程、及び
(iii)前記生機に対し熱収縮処理を行い、織編物を得る工程。
本発明の熱収縮性複合糸及び複合糸は、中空部が維持された仮撚中空マルチフィラメント糸を含んでおり、優れた透け防止性を有しており、薄い織編物の製造に用いても、十分な透け防止性を付与することができる。また本発明の熱収縮性複合糸及び複合糸は、糸条の配向度が抑えられて染着性が高まり、濃染性が向上していることから、濃色の衣料等に用いられた場合は高級感を付与することができる。
単糸の横断面の異形度の算出に使用される外接円径(D)及び内接円径(d)を模式的に示した図である。 本発明の熱収縮性複合糸の断面形状の模式図である。 本発明の製造方法に用いられる高配向未延伸中空マルチフィラメント糸Aの長手方向に対する横断面形状の一例を示す模式図である。 本発明において使用される流体旋回ノズルの一例を示す縦断面図である。 本発明の製造方法の一例を示す概略工程図である。 本発明の織編物に含まれる複合糸の横断面形状の模式図である。 実施例1で得られた熱収縮性複合糸の断面写真である(倍率:230倍)。 比較例1で得られた熱収縮性複合糸の断面写真である(倍率:230倍)。
1.熱収縮性複合糸
本発明の熱収縮性複合糸は、仮撚中空マルチフィラメントaとポリエステル延伸糸bとを含むものであり、捲縮率が5%以下である。当該仮撚中空マルチフィラメントaは、無機酸化物微粒子を2質量%超10質量%以下含む第一の樹脂部と、無機酸化物微粒子を2質量%以下含む第二の樹脂部とを有しており、当該仮撚中空マルチフィラメントaを構成する単糸の断面形状において、当該第二の樹脂部が当該単糸の内周及び外周を含む中空形状を形成しており、当該第一の樹脂部が当該第二の樹脂部中で前記中空形状の中心側から外周側へ放射状に向かう6〜30個の葉部を含む多葉形状を形成している。更に、当該仮撚中空マルチフィラメントaの中空率が3〜30%、且つ異形度が20%以下であり、当該ポリエステル延伸糸bの伸度が15〜40%、且つ沸水収縮率が10〜25%である。このような特徴を具備することによって、優れた透け防止性を有すると共に、無機酸化物微粒子を含んでいながらも濃染性の低下を抑制することが可能になる。以下、本発明の熱収縮性複合糸について詳述する。
[仮撚中空マルチフィラメントa]
仮撚中空マルチフィラメント糸aを構成する単糸は、第一の樹脂部と第二の樹脂部を含む中空糸である。仮撚中空マルチフィラメント糸aは、後述する旋回ノズルによって仮撚されていることにより、ポリエステルの配向の進行が極力抑えられ、その結果、優れた濃染性を具備すると共に、中空部が潰れずに維持され、優れた透け防止性を具備することが可能になっている。
仮撚中空マルチフィラメント糸aを構成する単糸の横断面(長さ方向に対して垂直方向の断面)において、第二の樹脂部が前記単糸の内周表面(単糸の外側表面の境界)及び外周表面(単糸の中空部分の境界)を含む中空形状を形成しており、第一の樹脂部が第二の樹脂部中で前記中空形状の中心側から外周側へ放射状に向かう6〜30個の葉部を含む多葉形状を形成している。即ち、第二の樹脂部は、仮撚中空マルチフィラメント糸aを構成する単糸の外形を形成する樹脂部になり、第一の樹脂部は、第二の樹脂部に包埋された状態で、前記多葉形状を形成している。なお、第二の樹脂部は、単糸の断面の外周表面全てを構成していてもよく、また当該外周表面の一部は第二の樹脂部(葉部)によって形成(即ち、葉部の一部が外周表面に露出)していてもよい。
第一の樹脂部によって形成される葉部は、8〜25個であることが好ましい。本発明において、葉部とは、略長方形、略楕円形、略台形等の形状で少なくとも一方の角が曲線であるものをいう。また、第一の樹脂部によって形成される葉部は、例えば、略長方形、略楕円形、又は略台形等のような各辺は、滑らかなものであってもよいが、例えば、微小な凸部及び/又は凹部を有するもの又は波線であってもよい。また、第一の樹脂部によって形成される葉部は、互いに連結していてもよく、また互いに分離していていもよい。また、複数の葉部の内、一部の葉部が連結しており、他の葉部が互いに分離した形状になっていてもよい。仮撚中空マルチフィラメント糸aは、後述する「高配向未延伸中空マルチフィラメント糸a」が仮撚されたものであり、基本的には、仮撚中空マルチフィラメント糸aにおける第一樹脂部及び第二樹脂部の形状は、製造原糸となる高配向未延伸中空マルチフィラメント糸aにおける第一樹脂部及び第二樹脂部の形状を踏襲している。即ち、後述する「高配向未延伸中空マルチフィラメント糸a」の欄で図示する第一の樹脂部と第二の樹脂部の具体的形状は、異形度の点を除いて、基本的には仮撚中空マルチフィラメント糸aにも該当する。
仮撚中空マルチフィラメント糸aを構成する単糸の断面は、葉部が回転対称形であることが好ましい。ここで回転対称形とは、単糸の断面の中心点を軸にして一定角回転させると元の形と重なるものをいう。第一の樹脂部で形成される葉部の形状が回転対称形であることにより、透け防止性に寄与する葉部の遮蔽性に片寄りが生じにくく、すべての角度に対して均一な透け防止性が得られやすくなる。
第一の樹脂部及び第二の樹脂部に含まれる樹脂は、ポリエステルである。ポリエステルの種類については、特に制限されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレート;ポリブチレンサクシネート(PBS)等のバイオマス由来モノマーを化学的に重合してなるバイオマスポリマー等が挙げられる。
上記ポリエステルは、溶融粘度、熱的特性及び相溶性等を踏まえて、必要に応じて、イソフタル酸、又は5−スルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、コハク酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸;エチレングリコール、プロピレングリコール、1、4−ブタンジオール、1、4−シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族ジオール;グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシヘプタン酸、ヒドロキシオクタン酸等のヒドロキシカルボン酸;ε−カプロラクトン等の脂肪族ラクトン等が重合されていてもよい。
第一の樹脂部と第二の樹脂部に使用されるポリエステルは、それぞれ同一のものであってもよく、また相互に異なるものであってもよい。第一の樹脂部と第二の樹脂部に使用されるポリエステルが、相互に異なるものを使用する場合、互いに相溶性に優れるポリエステルの組み合わせであることが好ましい。このように相溶性に優れたポリエステルの組み合せとすることにより、第一の樹脂部と第二の樹脂部とが、製糸工程又は製織編工程において物理的衝撃又は熱的衝撃を受けた場合であっても、剥離しにくくなる。
本発明において、無機酸化物微粒子は、太陽光の遮蔽効果が高いものが好適であり、例えば、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、又は酸化亜鉛等の微粒子が挙げられる。中でも、酸化チタン微粒子が好ましい。第一の樹脂部と第二の樹脂部に使用される無機酸化物微粒子は、それぞれ同一のものであってもよく、また相互に異なるものであってもよい。
無機酸化物微粒子の粒子径については、第一の樹脂部及び第二の樹脂部で分散可能な程度に微細化されているものであればよい。
第一の樹脂部において、無機酸化物微粒子の含有量は2質量%超10質量%以下である。このような含有量を充足することにより、前述する第一の樹脂部の形状と相俟って、優れた透け防止性を獲得でき、更に優れた紫外線防止性を具備することも可能になる。更に、このような含有量を充足することにより、紡糸操業性も良好になる。第一の樹脂部における無機酸化物微粒子の含有量として、好ましくは5質量%以上8質量%以下が挙げられる。
第二の樹脂部において、無機酸化物微粒子の含有量は2質量%以下である。このような含有量を充足することにより、透け防止性を備えつつ、紡糸操業性、製糸工程及び製織編工程における工程通過性を良好にすることができる。透け防止性及び工程通過性を好適に両立させるという観点から、第二の樹脂部における無機酸化物微粒子の含有量として、好ましくは0質量%以上1質量%以下、更に好ましくは0質量%超0.5質量%以下が挙げられる。
また、第一の樹脂部、及び/又は第二の樹脂部には、無機酸化物微粒子以外に、必要に応じて、酸化防止剤等の安定剤や、蛍光剤、顔料、抗菌剤、消臭剤、艶消し剤、強化剤等が含まれていてもよい。
仮撚中空マルチフィラメント糸aを構成する単糸において、第一の樹脂部と第二の樹脂部との質量比(第一の樹脂部/第二の樹脂部)については、特に制限されないが、例えば、30/70〜90/10、好ましくは60/40〜80/20が挙げられる。
上記質量比(第一の樹脂部/第二の樹脂部)が30/70以上であると、透け防止性及び紫外線防止性をより一層向上させることができる。一方、質量比が90/10以下であると、工程通過性がより一層良好になる。とりわけ、質量比(第一の樹脂部/第二の樹脂部)が60/40〜80/20を充足している場合、透け防止性、紫外線防止性、及び工程通過性を格段に向上させることができる。
仮撚中空マルチフィラメント糸aは、構成する単糸の中空率が3〜30%である。このように単糸中空率が保持され、且つ後述する異形度を充足することにより、優れた透け防止性を備えさせ、軽量性を実現することが可能になる。また、中空率が10%以上であると、同一繊度、及び同一フィラメント数を有する原糸に対して嵩高性を有していることになる。透け防止性及び軽量性をより一層向上させるという観点から、当該中空率として、好ましくは5〜25%、更に好ましくは10〜25%が挙げられる。
本発明において、中空率は、以下の測定方法に従って求められる値である。仮撚中空マルチフィラメント糸aの単繊維の長手方向に対する垂直方向の断面を、光学顕微鏡を用い倍率345倍にて断面写真を撮影し、この断面写真から画像処理により、全体の面積と中空部の面積を測定し、全体の面積に対する中空部の面積の割合を中空率(%)として算出する。なお本発明において、中空率は、仮撚中空マルチフィラメント糸から20本の単糸を採取し、これらの平均値を取った値である。
仮撚中空マルチフィラメント糸aを構成する単糸は、異形度が20%以下である。異形度が20%以下であると、単糸の潰れ具合が小さい、即ち単糸中空部が十分に保持されていることなる。透け防止性をより一層向上させるという観点から、当該異形度として、好ましくは15%以下、更に好ましくは2〜10%が挙げられる。
本発明において、異形度は、以下の測定方法に従って求められる値である。先ず、仮撚中空マルチフィラメント糸aの単糸の横断面を580倍に拡大撮影する。得られた拡大写真から、単糸の横断面に外接する真円の径を外接円径(D)、当該横断面に内接する真円の径を内接円径(d)として求める。図1に、外接円径(D)及び内接円径(d)を模式的に表した図を示す。図1では、便宜上、中空部分については割愛している。外接円径(D)及び内接円径(d)の値から、下記式に従って異形度を算出する。本発明において、異形度は、仮撚中空マルチフィラメント糸から20本の単糸を採取し、これらの平均値を取った値である。
異形度(%)=(1−d/D)×100
仮撚中空マルチフィラメント糸aの伸度については、特に制限されないが、例えば、100〜180%、好ましくは120〜160%が挙げられる。伸度がこの範囲であることで、糸条の配向度が抑えることができ、その結果、染着性が高まり、濃染性をより一層向上させることができる。仮撚中空マルチフィラメント糸aの伸度は、JIS L1013 8.5.1に基づいて、定速伸長型の引張り試験機を用いて、試料長200mm、引張り速度200mm/minの条件で引張試験を行うことによって求められる値である。
仮撚中空マルチフィラメント糸aの単糸繊度としては、特に制限されないが、例えば、0.5〜5.0dtex、好ましくは0.8〜4.0dtex、更に好ましくは1.0〜3.0dtexが挙げられる。また、仮撚中空マルチフィラメント糸aの単糸本数についても、特に制限されないが、透け防止性を高める目的から多い方が好ましく、例えば、10〜200本、好ましくは20〜100本が挙げられる。
[ポリエステル延伸糸b]
ポリエステル延伸糸bは、伸度が15〜40%である。このような伸度を充足することにより、織編物の製造工程において、製織編後の後加工(例えば、染色加工等を含む一連の加工)で不可避的に張力が付加されても、物性を安定に維持することができ、織編物の品位品質面でのトラブルを抑制することが可能になる。ポリエステル延伸糸bの伸度として、好ましくは20〜35%が挙げられる。ポリエステル延伸糸bの伸度の測定方法は、仮撚中空マルチフィラメント糸aの伸度の場合と同様である。
また、ポリエステル延伸糸bの沸水収縮率が10〜25%である。このような沸水収縮率を充足していると、後述の熱水収縮処理後の収縮によって、製造される織編物に、優れたハリコシ感、硬くなり過ぎない風合いを付与することが可能になる。ポリエステル延伸糸bの沸水収縮率として、好ましくは12〜23%が挙げられる。本発明において、ポリエステル延伸糸bの沸水収縮率は、JIS L1013 8.18.1に規定されている「かせ寸法変化率(A法)」において、100℃の熱水中で30分間浸漬する条件で測定されるかせ寸法変化率である。また、後述するポリエステル高配向未延伸糸Bの沸水収縮率の測定方法も同様である。
ポリエステル延伸糸bの総繊度としては、特に制限されないが、例えば、20〜70dtex、好ましくは30〜45dtexが挙げられる。また、ポリエステル延伸糸bの単糸本数についても、特に制限されないが、例えば、6〜36本、好ましくは12〜24本が挙げられる。
[熱収縮性複合糸]
本発明の熱収縮性複合糸は、上記仮撚中空マルチフィラメントaと上記ポリエステル延伸糸bとを含む複合糸である。
本発明の熱収縮性複合糸において、仮撚中空マルチフィラメントaとポリエステル延伸糸bとの質量比率(a/b)については、特に制限されないが、例えば、95/5〜65/35、好ましくは85/15〜75/25が挙げられる。質量比率がこの範囲にあると、透け防止性及び風合いをより一層向上させることができる。
本発明の熱収縮性複合糸は、捲縮率は5%以下である。捲縮率が5%以下であると、ポリエステルフィラメント糸のねじれ現象が弱くなり、繊維内部の構造変化(例えば、形態ひずみ)が少なく、しかも断面変形が緩やかなものとなるため、仮撚中空マルチフィラメントaの中空部が潰れずに維持されると共に、仮撚中空マルチフィラメントaの配向の進行が極力抑えられ、優れた濃染性を実現できる。本発明の熱収縮性複合糸の捲縮率として、好ましくは1.0〜2.5%、より好ましくは1.5〜2.5%が挙げられる。
本発明において、熱収縮性複合糸の捲縮率は、以下の方法により測定して得られる値である。まず、枠周1.125mの検尺機を用いて巻き数5回で熱収縮性複合糸をカセ取りした後、カセを室温下フリー状態でスタンドに一昼夜吊り下げる。次に、カセに0.000147cN/dtexの荷重を掛けたまま沸水中に投入し30分間湿熱処理する。その後、カセを取り出し、水分を濾紙で軽く取り、室温下フリー状態で30分間放置する。そして、カセに0.000147cN/dtexの荷重及び0.00177cN/dtex(軽重荷)を掛け、長さXを測定する。続いて、0.000147cN/dtexの荷重は掛けたまま、軽重荷に代えて0.044cN/dtexの荷重(重荷重)を掛け、長さYを測定する。その後、捲縮率(%)=(Y−X)/Y×100なる式に基づき、算出する。捲縮率の測定は、熱収縮性複合糸の5本について行い、それぞれの平均をその糸の捲縮率とする。
本発明の熱収縮性複合糸のトルクについては、特に制限されないが、例えば、下記測定条件にて求められるトルクが、45T/M以上、好ましくは50T/M以上、より好ましくは55以上が挙げられる。当該トルクが45T/M以上であると、ポリエステルフィラメント糸のねじれ現象が弱くなり、繊維内部の構造変化(例えば、形態ひずみ)が少なく、しかも断面変形が緩やかなものとなるため、仮撚中空マルチフィラメントaの中空部が潰れずに維持され易くなると共に、配向の進行が極力抑えられ、濃染性をより一層向上させることができる。また、トルクが高い程、撚りの効果は大きく集束性に優れる織編物を製造することが可能になる。
<トルクの測定条件>
先ず、熱収縮性複合糸200cmを、ピンを支点にU字状に吊り下げる(熱収縮性複合糸の両端が上部、支点となるピンが下部となるように配置)。熱収縮性複合糸の両上端に0.33cN/dtexの初荷重を掛けて固定する。支点となるピンの熱収縮性複合糸部分に0.003cN/dtexの荷重を掛けた後、ピンを外し、懸垂状態で自己旋回させる。自己旋回が止まった時点で検撚し、旋回数を求め、1メートル当たりの撚数をトルク(T/M)として算出する。
[熱収縮性複合糸の製造方法]
本発明の熱収縮性複合糸の製造方法は、以下の工程(イ)〜(ハ)を含む。
(イ)下記(1)〜(3)を満足する高配向未延伸中空マルチフィラメント糸aと、伸度15〜40%且つ沸水収縮率10〜25%のポリエステル延伸糸bとを準備する工程
(1)無機酸化物微粒子を2質量%超10質量%以下、及びポリエステル含む第一の樹脂部と、無機酸化物微粒子を2質量%以下、及びポリエステル含む第二の樹脂部とを有する。
(2)構成単糸の横断面において、前記第二の樹脂部が前記単糸の内周表面及び外周表面を含む中空形状を形成して、前記第一の樹脂部が前記第二の樹脂部中で前記中空形状の中心側から外周側へ放射状に向かう6〜30個の葉部を含む多葉形状を形成しており、前記第一の樹脂部で形成された葉部が単糸の外周表面の一部を形成していてもよい。
(3)前記単糸は中空部を有し、中空率が3〜30%である。
(ロ)前記高配向未延伸中空マルチフィラメント糸aを、流体旋回ノズルを用いて、仮撚係数20000以下、延伸倍率1.1倍以下、加撚/解撚の張力比1.0〜1.25で、仮撚加工を施して、仮撚中空マルチフィラメント糸aを得る工程
(ハ)前記仮撚中空マルチフィラメント糸aと前記ポリエステル延伸糸bとを、流体噴射加工により複合し、熱収縮性複合糸を得る工程
以下、本発明の熱収縮性複合糸の製造方法について、工程毎に具体的に説明する。
[工程(イ)]
工程(イ)では、高配向未延伸中空マルチフィラメント糸aと、ポリエステル延伸糸bとを準備する。
(高配向未延伸中空マルチフィラメント糸a)
本発明の熱収縮性複合糸の製造方法では、高配向未延伸中空マルチフィラメント糸aが、製造後に仮撚中空マルチフィラメントaになる。高配向未延伸中空マルチフィラメント糸aは、無機酸化物微粒子を2質量%超10質量%以下、及びポリエステル含む第一の樹脂部と、無機酸化物微粒子を2質量%以下、及びポリエステル含む第二の樹脂部とを有する。高配向未延伸中空マルチフィラメント糸aにおける第一の樹脂部と第二の樹脂部において、使用される無機酸化物微粒子及びポリエステルの種類や含有量、必要に応じて含有できる他の成分等については、前記仮撚中空マルチフィラメントaの場合と同様である。
高配向未延伸中空マルチフィラメント糸aの構成単糸の横断面において、前記第二の樹脂部が前記構成単糸の外周表面(単糸の外側表面の境界)及び内周表面(単糸の中空部分の境界)を含む中空形状を形成しており、前記第一の樹脂部が前記第二の樹脂部中で前記中空形状の中心側から外周側へ放射状に向かう6〜30個の葉部を含む多葉形状を形成している。即ち、高配向未延伸中空マルチフィラメント糸aの構成単糸は、仮撚中空マルチフィラメント糸aの場合と同様に、第二の樹脂部は、仮撚中空マルチフィラメント糸aの構成単糸の外形を形成する樹脂部になり、第一の樹脂部は、第二の樹脂部に包埋された状態で、前記多葉形状を形成している。なお、第二の樹脂部は、構成単糸の外周表面全てを構成していてもよく、また構成単糸の外周表面の一部が第二の樹脂部で形成(即ち、葉部の一部が外周表面に露出)されていてもよい。このように、高配向未延伸中空マルチフィラメント糸aの構成単糸の断面が6〜30個の葉部を含む多葉形状であることから、得られた熱収縮性複合糸における仮撚中空マルチフィラメントaでも、互いに隣り合う葉部同士の間隔を小さくすることができる。
第一の樹脂部によって形成される葉部は、8〜25個であることが好ましい。本発明において、葉部の形状については、仮撚中空マルチフィラメントaの欄に記載の通りである。
高配向未延伸中空マルチフィラメント糸aの構成単糸の断面形状として、具体的には、図3に示す断面形状が例示される。図3(a)〜(d)に例示するように、第一の樹脂部は単糸の中心側から外周側に放射状に向かう葉部を形成するが、葉部(第一の樹脂)は、第二の樹脂部の中で分離して存在してもよいし(例えば、図3(a)、(c)及び(d))、第二の樹脂部の中で互いに連結してもよい(例えば、図3(b))。また、6〜30個の葉部のうち、一部が連結され、残りが第二の樹脂部によって分離して存在してもよい。
高配向未延伸中空マルチフィラメント糸aの構成単糸の断面が、葉部が回転対称形であることが好ましい。ここで回転対称形とは、単糸の断面の中心点を軸にして一定角回転させると元の形と重なるものをいう。第一の樹脂部で形成される葉部の形状が回転対称形であることにより、紡糸ノズルから紡出された単糸がいわゆる糸曲がりの現象を呈し、安定な紡糸性又は良好な糸質が得られないという問題が発生しにくくなる。また、透け防止性に寄与する葉部の遮蔽性に片寄りが生じにくく、すべての角度に対して均一な透け防止性が得られやすくなる。
第一の樹脂部によって形成される葉部が、互いに分離して存在する場合、隣り合う葉部同士での最短間隔は、0.1〜2.0μmであることが好ましく、0.3〜1.0μmであることが更に好ましい。このような最短間隔を満たすように、第一の樹脂部によって形成される葉部が独立して存在することにより、葉部の一つに入射し拡散反射した太陽光が隣り合う葉部でさらに拡散反射されることが繰り返されやすくなり、中空部を設けることによる効果と相俟って、透け防止性をより一層向上させ得ると推測される。
また、葉部は、外周側の先端部が曲線形状であることが好ましい。先端部が曲線形状であることにより、織編物とした場合に湿潤時の透け防止性をより一層向上させることができる。このような効果は、得られた熱収縮性複合糸における仮撚中空マルチフィラメントaに入射した太陽光が曲線形状である葉部の先端部により拡散反射を起こすことに起因すると推測される。
高配向未延伸中空マルチフィラメント糸aの構成単糸の横断面において、単糸の外周表面は、第二の樹脂部で全て形成されていてもよいが、単糸の外周表面の一部が第一の樹脂部で形成され、残部が第二の樹脂部で形成されていてもよい。単糸の外周表面の一部が第一の樹脂部で形成(即ち、単糸の外周表面の一部に第一の樹脂部が露出)されている場合、単糸の外周長(μm)に対する第一の樹脂部の単糸の外周表面への露出長(第一の樹脂部によって形成されている外周部分の長さ)(μm)の割合(EC)としては、10%以下であることが好ましく、5%以下であることが更に好ましい。割合(EC)を10%以下とすることにより、紡糸操業性、製糸工程及び製織編工程における工程通過性を良好にすることができる。
高配向未延伸中空マルチフィラメント糸aの構成単糸の横断面において、構成単糸の中心(中空部分の中心点)から外周までの距離(μm)に対する、構成単糸の外周から葉部の端部までの最短距離(μm)の比率(DC)の平均値が10%以下であることが好ましく、5%以下であることが更に好ましい。上記平均比率(DC)が10%以下である場合、第二の樹脂部の領域のうち、葉部から単糸外周面まで存在する第二の樹脂部の領域が小さくなり、この領域を太陽光が透過し難くなる。これにより、この領域を透過する太陽光の量が少なくなるので、透け防止性をより一層向上させ、紫外線防止性も良好にすることが可能になる。ここで、比率(DC)の平均値とは、構成単糸の断面に存在する全ての葉部について前記比率(DC)を求め、平均値を算出することによって求められる値である。
上記割合(EC)及び平均比率(DC)は、紡糸ノズルの形状、合成樹脂の粘度、紡糸温度等の紡糸条件を適宜調整することにより制御することができる。
高配向未延伸中空マルチフィラメント糸aの構成単糸の横断面の外周形状は、略真円であり、通常、異形度が3%以下である。高配向未延伸中空マルチフィラメント糸aの構成単糸の異形度の測定方法については、仮撚中空マルチフィラメントaの場合と同様である。
高配向未延伸中空マルチフィラメント糸aの構成単糸は中空部を有し、その中空率は3〜30%であることが必要であり、好ましくは7〜25%、更に好ましくは12〜25%である。また、中空部は、紡糸操業性、又は均一な透け防止性などの観点から、単糸の中心部に配されることが好ましい。高配向未延伸中空マルチフィラメント糸aの構成単糸の中空率の測定方法は、前記前記仮撚中空マルチフィラメントaの場合と同様である。
高配向未延伸中空マルチフィラメント糸aの構成単糸の横断面は、前述したように第一の樹脂部で形成される多葉形状に加え、特定の中空部が設けられる。これにより、得られた熱収縮性複合糸における仮撚中空マルチフィラメントaは、従来の同心円状の複合繊維、直線状の分割型繊維、又は中空部を設けない複合繊維と比較して、透け防止性が向上し、優れた涼感性や紫外線防止性を付与することができる。これは、中空部を更に設けることにより、中空部に含有される空気層の屈折率と第一の樹脂部及び/又は第二の樹脂部との屈折率とが相違するものとなるため、単糸に入射した太陽光が中空部で屈折することに起因することによる相乗的な効果によるものと推測される。
高配向未延伸中空マルチフィラメント糸aの構成単糸の中空率が10%未満であると、単糸の断面に占める中空部が小さいため、空気層と第一の樹脂部及び/又は第二の樹脂部との屈折率差による効果が十分に発現せず、透け防止性が不十分になることがある。また、中空率が30%を超えると、製糸工程や後加工工程での潰れによる中空部の消失、又は中空部の剥離によるフィブリル化若しくは白化を招くため好ましくない。
高配向未延伸中空マルチフィラメント糸aの伸度については、特に制限さればいが、例えば、100〜180%、好ましくは120〜160%が挙げられる。伸度が100%未満であると後述の仮撚工程において、糸切れが多発するおそれがある。一方、180%を超える高配向未延伸糸を得ようとしても、製造時に糸切れや品質低下等が発生して、安定供給が難しくなる傾向が現れる。高配向未延伸中空マルチフィラメント糸aの伸度の測定方法は、前記仮撚中空マルチフィラメント糸aの伸度の場合と同様である。
高配向未延伸中空マルチフィラメント糸aの構成単糸において、第一の樹脂部と第二の樹脂部との質量比(第一の樹脂部/第二の樹脂部)については、特に制限されないが、例えば、30/70〜90/10、好ましくは60/40〜80/20が挙げられる。
高配向未延伸中空マルチフィラメント糸aの単糸繊度としては、例えば、0.5〜5.0dtex、好ましくは0.8〜4.0dtexが挙げられる。
高配向未延伸中空マルチフィラメント糸aの単糸本数は、前記仮撚中空マルチフィラメント糸aの場合と同様である。
高配向未延伸中空マルチフィラメント糸aは、公知の製造方法で得ることができる。
(ポリエステル延伸糸b)
本発明の熱収縮性複合糸の製造方法では、工程(イ)で準備するポリエステル延伸糸bが、そのまま熱収縮性複合糸に含まれるポリエステル延伸糸bになる。即ち、工程(イ)で準備するポリエステル延伸糸bの構成は、前述する通りである。
[工程(ロ)]
工程(ロ)では、前記高配向未延伸中空マルチフィラメント糸aを、流体旋回ノズルを用いて、仮撚係数20000以下、延伸倍率1.1倍以下、加撚/解撚の張力比1.0〜1.25で、仮撚加工を施して、仮撚中空マルチフィラメント糸aを得る。
一般に、高配向未延伸マルチフィラメント糸から仮撚加工糸を得る方法としては、延伸同時仮撚加工法が採用されている。この延伸同時仮撚加工法における仮撚方式には、一般にスピンドル方式とフリクション方式が採用されているが、どちらの方式も延伸倍率を低くするとバルーニングによる糸切れや解撚状態など操業性に影響がある為、ある程度の延伸倍率、及び加工張力が必要とされる。
そのため、中空部を有する前記高配向未延伸中空マルチフィラメント糸aを延伸同時仮撚加工法により加工した場合、仮撚加工時に延伸と同時に撚りを与える必要がある為、単糸形態が崩れ易く、前記高配向未延伸中空マルチフィラメント糸aで有していた単糸中空部も単糸形態が崩れると共に潰れ易くなる。また、延伸同時仮撚加工法では、ある程度の延伸倍率、及び加工張力が必要とされる為、配向が促進され濃染性に劣るものとなる。
本発明では、高配向未延伸中空マルチフィラメントaに対して、流体旋回ノズルを用いて仮撚係数20000以下、延伸倍率1.1以下、解撚/加撚の張力比1.0〜1.25の仮撚条件で仮撚加工することで、中空部を保持した仮撚中空マルチフィラメント糸aを含む複合糸が得られる。なお、流体旋回ノズルとしては、例えば、特開平4−214431号公報の図9に記載された、流体旋回ノズルを用いることができる。
上記条件で仮撚加工することで、高配向未延伸中空マルチフィラメント糸aを加撚、解撚張力を0.05〜0.15g/dの応力値以下とし、実質的に延伸することなく仮撚加工できる。加えて、仮撚係数20000以下での加工が可能な為、加撚による繊維の捩じれ作用を抑制できる。つまり、仮撚加工時の延伸と加撚による糸形態に加わる応力を抑えられるため、中空部を保持した仮撚中空マルチフィラメント糸aを得ることができる。フリクション方式等を用いた通常の仮撚加工では、高配向未延伸中空マルチフィラメントaの中空部が潰れて防透性に劣り、織編物とした場合に厚地となってしまう。
工程(ロ)における仮撚加工条件において、仮撚係数については20000以下であり、15000以下であることが好ましく、10000以下であることがより好ましい。仮撚係数が20000を超えると、加撚による繊維の捩じれ作用が強くなることで、単糸形態が変化し、単糸中空部が潰れ易くなるため、好ましくない。なお、仮撚係数は、仮撚数(単位:T/M)と、糸条繊度T(単位:デニール)を用い、下記式により求められる。
仮撚係数=仮撚数×T1/2
工程(ロ)における仮撚加工条件において、延伸倍率については、1.1以下であることが好ましい。延伸倍率が1.1以上を超えると、単糸形態が変化し、単糸中空部が潰れ易くなるため、好ましくない。
工程(ロ)における仮撚加工条件において、解撚/加撚の張力比については1.0〜1.25であり、1.0〜1.1であることが好ましい。張力比が前記範囲内にあることで、走行糸条が加撚点と解撚点の張力差によって起こる繊維内部の構造変化を最小限に抑えることができる。加撚張力、解撚張力は0.05〜0.15g/dが好ましく、0.05〜0.125g/dが好ましい。
工程(ロ)における仮撚加工条件において、仮撚加工時のヒーター温度については、未延伸糸が融着を起こさない200〜320℃、好ましくは220〜300℃の範囲で採用すればよく、捲縮特性をより高めるには、前記範囲内で高温の方が好ましい。
また、流体旋回ノズルを用いることで、前記高配向未延伸中空マルチフィラメント糸aの延伸が抑制されて、ポリエステルの配向度を過度に進行させるのを抑制できる。
流体旋回ノズルの一例を図4に示す。図4において、糸条供給口16の接線方向に圧縮流体がエアー供給口17から噴出され、走行糸条を加撚する。ここで、上述した加撚/解撚張力比を1.0〜1.25とするためには、糸条供給口16に対してエアー供給口17がほぼ垂直になるように設け、糸条供給口16の糸条入口側と糸条出口側の口径を、同等もしくは糸条出口側から糸条入口側に向かってテーパー状に広くすればよい。そして、加撚張力を解撚張力と同等もしくは若干低く設定するのは、走行糸条が加撚点と解撚点の張力差によって起こる繊維内部の構造変化を最小限に抑えるためである。
[工程(ハ)]
工程(ハ)では、前記仮撚中空マルチフィラメント糸aと前記ポリエステル延伸糸bとを、流体噴射加工により複合し、熱収縮性複合糸を得る。
流体噴射の手法としては、例えば、インターレース、またはタスラン加工を採用して繊維を交絡させる手法が挙げられる。
流体噴射加工の条件としては、オーバーフィード率が1.0〜3.0%であることが好ましい。また、エアー圧が1.5〜5.0kg/cm2であることが好ましい。
工程(ロ)によって得られる仮撚中空マルチフィラメント糸aの伸度は、100〜180%と伸度が高いが、工程(ハ)で伸度40%以下のポリエステル延伸糸bと流体噴射加工により複合糸とすることで、糸条全体としての伸度が低い熱収縮性複合糸が得られる。
[工程(ロ)及び(ハ)の具体的実施態様]
次に、本発明の熱収縮性複合糸の製造方法において、前記工程(ロ)及び(ハ)の具体的実施態様について、図5の工程模式図を参照しながら詳述する。
先ず、上記の高配向未延伸糸中空マルチフィラメント糸a、ポリエステル延伸糸bのパッケージYA、YBをそれぞれクリールに仕掛ける。
次に、ポリエステル延伸糸bを第一供給ローラ6へ導入し、第1引取ローラ11から引き出す。この際の延伸倍率としては、好ましくは0.98〜1.02倍程度である。ここで、延伸倍率とは、第一供給ローラ6の表面速度と第1引取ローラ11の表面速度との比(延伸倍率=第1引取ローラ11の表面速度/第一供給ローラ6の表面速度)をいう。ポリエステル延伸糸bの延伸倍率が0.98倍未満の場合、糸加工時に第一供給ローラ6と第1引取ローラ11間でポリエステル延伸糸bに弛みが発生し、ローラへの糸の巻付きや糸切れの要因となり得る。一方、延伸倍率が1.02倍を超えると、ポリエステル延伸糸bの繊度、伸度等の糸物性が変わる可能性がある。
ここで、ポリエステル延伸糸bは同等の糸質物性を得られるポリエステル高配向未延伸糸を代替し使用しても良い。その際は、第一供給ローラ6と第1引取ローラ11との間で、ヒーターで熱を加えながらポリエステル高配向未延伸糸を延伸する延伸工程を行い、ポリエステル延伸糸bと同等の延伸糸を得る。このときの延伸条件としては、例えば、総繊度54.3dtex、フィラメント数12本で伸度115.4%のポリエステル高配向未延伸糸を用意し、ヒーター温度260℃、延伸倍率1.60倍で熱延伸することで、総繊度33.9dtex、伸度31.0%、沸水収縮率22.8%のポリエステル延伸糸bを得られる。
次に、上記高配向未延伸中空マルチフィラメント糸aを所定条件下で流体旋回ノズルにより仮撚する仮撚工程を行う。すなわち、高配向未延伸中空マルチフィラメント糸aを、仮撚係数20000以下、延伸倍率1.1以下、解撚/加撚の張力比1.0〜1.25の仮撚条件で仮撚する。具体的には、図5に示すように、高配向未延伸中空マルチフィラメント糸aを第二供給ローラ7へ導入し、ヒーター8、クーリングプレート9、流体旋回ノズル10を経て、第二引取ローラ13から引き出すことで、仮撚中空マルチフィラメント糸aを得る。ここで、図5の第二供給ローラ7と第一引取ローラ11との間が仮撚域となる。具体的には、第二供給ローラ7と流体旋回ノズル10との間が加撚域T1となり、流体旋回ノズル10と第一引取ローラ11との間が解撚域T2となる。
仮撚工程の加工速度においては、200〜700m/分が好ましく、加工速度及び延伸倍率等を各々特定することが好ましい。加工速度とは、第一引取ローラ11から糸を引き出すときの糸速をいい、すなわち、第一引取ローラ11の表面速度をいう。
仮撚工程において、延伸倍率は、1.1倍以下とすることが好ましい。ここで、仮撚工程における延伸倍率とは、第二供給ローラ7の表面速度と第一引取ローラ11の表面速度との比(延伸倍率=第一引取ローラ11の表面速度/第二供給ローラ7の表面速度)をいう。延伸倍率が1.1以上を超えると、単糸形態が変化し、単糸中空部が潰れ易くなる為、好ましくない。
仮撚工程の後、仮撚中空マルチフィラメント糸aは、ポリステル延伸糸bとともに引き揃えてインターレースノズル12へ導かれ、インターレースノズル12を用い、エアー圧1.0〜7.0kg/cm2、オーバーフィード率が1.0〜5.0%の条件で混繊交絡し、熱収縮性複合糸とする。オーバーフィード率とは、インターレースノズルへ導入される直前の糸速をV1、インターレースノズルを通過した直後の糸速をV2としたとき、オーバーフィード率=(V1−V2)/V2×100(%)なる式で算出される。図5の場合では、オーバーフィード率=(第一引取ローラ11の表面速度−第二引取ローラ13の表面速度)/第二引取ローラ8の表面速度×100(%)となる式で算出される。
熱収縮性複合糸は、第二引取ローラ13を通過した後、巻取ローラ14によりパッケージ15に捲き取られる。なお、熱収縮性複合糸においては、目安として、交絡数が20〜150個/m程度の範囲にあると、適度な混繊交絡を有しているといえる。
2.複合糸
本発明の複合糸は、上記の仮撚中空マルチフィラメントaと、ポリエステル繊維Bとを含む。本発明の複合糸は、上記の熱収縮性複合糸を、例えば、熱収縮処理して上記のポリエステル延伸糸bを収縮させることにより得られるものであり、前記ポリエステル延伸糸bが熱収縮後にポリエステル繊維Bになる。図6に示すように、本発明の複合糸では、仮撚中空マルチフィラメントaが鞘側に配されると共に、ポリエステル繊維Bが芯側に配される。防透け性に寄与する仮撚中空マルチフィラメントaが比較的鞘側に配されていることにより、優れた防透性を有すると共に、ポリエステル繊維Bによって十分な収縮が発現されていることで、織編物としたときに薄手であっても風合いに優れるものとなる。
本発明の複合糸において、仮撚中空マルチフィラメントaの構成は、前記熱収縮性複合糸における仮撚中空マルチフィラメントaと同じである。
ポリエステル繊維Bは、熱収縮処理によって前記ポリエステル延伸糸bが十分に収縮した状態になっている。
ポリエステル繊維Bの単糸繊度としては、特に制限されないが、例えば、1.0〜5.0dtex、好ましくは1.5〜4.5dtexが挙げられる。ポリエステル繊維Bの総繊度としては、特に制限されないが、例えば、20〜100dtex、好ましくは30〜90dtexが挙げられる。また、ポリエステル繊維Bの単糸本数については、前記熱収縮性複合糸におけるポリエステル延伸糸bと同じである。
複合糸において、仮撚中空マルチフィラメントaとポリエステル繊維Bとの質量比率(a/B)については、特に制限されないが、例えば、95/5〜65/35、好ましくは85/15〜75/25が挙げられる。
本発明の複合糸の捲縮率は5%以下であり、好ましくは1.0〜2.5%、より好ましくは1.5〜2.5%である。捲縮率が5%以下であると、ポリエステルフィラメント糸のねじれ現象が弱くなり、繊維内部の構造変化(例えば、形態ひずみ)が少なく、しかも断面変形が緩やかになるため、中空部が潰れずに維持されると共に、ポリエステルの配向の進行が極力抑えられ、優れた濃染性を実現できる。
本発明の複合糸のトルクについては、特に制限されないが、例えば、前述する測定条件にて求められるトルク45T/M以上、好ましくは50T/M以上、より好ましくは55以上が挙げられる。当該トルクが45T/M以上であると、ポリエステルフィラメント糸のねじれ現象が弱くなり、繊維内部の構造変化(例えば、形態ひずみ)が少なく、しかも断面変形が緩やかなものとなるため、仮撚中空マルチフィラメントaの中空部が潰れずに維持され易くなると共に、ポリエステルの配向の進行が極力抑えられ、濃染性をより一層向上させることができる。また、トルクが高い程、撚りの効果は大きく集束性に優れる織編物を製造することが可能になる。
本発明の複合糸は、フィラメント間の複雑な内部屈折によって外部への乱反射が少なくなくなる上に、仮撚加工糸の有する濃染性との相乗効果により、薄手であっても濃染性に優れた織編物を形成することができる。
本発明の複合糸は、前記熱収縮性複合糸を熱収縮処理することにより得ることができる。前記熱収縮性複合糸を熱収縮処理することにより、図2に示すように熱収縮性複合糸において比較的鞘側に位置していたポリエステル延伸糸bが芯側に移行し、図6に示すように、比較的鞘側に仮撚中空マルチフィラメントaが配されると共に、芯側にポリエステル繊維Bが配されてなる複合糸が得られる。
熱収縮処理としては、具体的には熱水収縮処理が挙げられる。熱水収縮処理の条件としては、ポリエステル延伸糸bを十分に収縮させ得るように適宜設定すればよいが、例えば、80〜130℃で10〜30分間が挙げられる。
[織編物]
本発明の織編物は、前記熱収縮性複合糸又は前記複合糸を含む。本発明の織編物において、構成糸の少なくとも一部に前記熱収縮性複合糸又は前記複合糸が使用されていればよいが、優れた透け防止性及び濃染性を備えさせるという観点から、織編物における前記熱収縮性複合糸又は前記複合糸の使用量として、50質量%以上、好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80%以上、90%以上、95質量%以上、又は100質量%が挙げられる。
また、本発明の織編物において、織編物の組織としては特に限定されず、用途に応じて組織を適宜設定すればよい。例えば、織物であれば、平織、綾織、朱子織、必要に応じて多重組織を採用すればよく、また、編物であれば、丸編の天竺、スムース、経編のトリコット、必要に応じて多重組織)を採用すればよい。
本発明の織編物の厚みについては、その用途に応じて適宜設定すればよいが、例えば、編物の場合であれば、0.5mm以下であることが好ましく、0.3〜0.5mmであることが更に好ましい。本発明の織編物は、このように十分に薄くしても、優れた透け防止性を有し、しっかりした風合いを有することができる。
また、本発明の織編物の一態様として、下記式(I)で表される湿潤時の防透性低下度が5.0%以下、好ましくは4.5%以下であるものが挙げられる。
湿潤時の防透性低過度を前記範囲内に充足させるには、使用する前記熱収縮性複合糸又は前記複合糸の量、前記熱収縮性複合糸又は前記複合糸における仮撚中空マルチフィラメントaの混用率、織編物のカバーファクター等を適宜調節すればよい。
また、本発明の織編物のカバーファクター(CF)については、特に制限されないが、例えば、織物の場合であれば、CFが1000〜3500、好ましくは1500〜2500が挙げられ、編物の場合であれば、CFが500〜2500、好ましくは800〜1800が挙げられる。本発明の織編物のCFが、上記範囲を満たす場合、格段に優れた透け防止性と共に、涼感性及び紫外線防止性もより一層向上させることができる。
ここで、CFは、織物の場合は下記式(III)によって算出され、編物の場合は下記式(IV)によって算出される。
本発明の織編物の用途については、特に制限されないが、例えば、ユニフォーム、スポーツウェア、インナー等、薄地であっても防透性が望まれる用途が挙げられる。
本発明の織編物は、前記複合糸を使用して製織編することによって製造してもよい。また、本発明の織編物は、前記収縮性複合糸を使用して製織編して生機を製造した後に、当該生機を熱収縮処理させることにより、前記複合糸を含む織編物を製造してもよい。更に、本発明の織編物は、前記収縮性複合糸を使用して製織編したものを熱収縮処理させることなく、前記収縮性複合糸を含む織編物として使用してもよい。
本発明の織編物の製造において、前記収縮性複合糸又は前記複合しの製織編は、公知の織機、編機を用いて行えばよく、製織編に先立つ準備工程も公知の設備を使用すればよい。
また、前記収縮性複合糸を使用して製織編した生機を熱収縮処理する場合、当該熱収縮処理は、例えば、熱水中に当該生機を所定時間浸漬する熱水収縮処理によって、ポリエステル延伸糸bを十分に熱収縮させればよい。熱水収縮処理の条件としては、例えば、80〜135℃程度で10〜30分程度が挙げられる。このような熱水収縮処理によって、ポリエステル延伸糸bを十分に熱収縮させ、透け防止性及ぶ濃染性に優れた織編物を得ることができる。
前記熱収縮処理は、精練加工及び染色加工において、実行されるものであってもよい。当該態様の熱収縮処理について、以下、一例を挙げて説明する。先ず、生機を精練する。精練は、80〜130℃の温度下で連続方式又はバッチ方式により行えばよい。通常は、100℃以下でバッチ方式により行うのが好ましく、特にジェットノズルを備えた高圧液流染色機を用いて行うのが好ましい。精練した後は、必要に応じて、プレセットを行ってもよい。プレセットは通常、ピンテンターを用いて170℃〜200℃で30〜120秒間乾熱処理する。その後、常法に従って染色加工を行う。必要に応じてファイナルセットを行ってもよい。
以下、実施例によって本発明を詳しく説明する。但し、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
1.測定・評価方法
以下の実施例、比較例における測定及び評価は下記の方法に従って行った。
(1)極限粘度[η]
フェノールと四塩化エタンとの等質量混合物を溶媒として、温度20℃の条件下で常法に基づき測定した。
(2)単糸の外周長(μm)に対する第一の樹脂部の単糸表面への露出長(μm)の割合(EC)
高配向未延伸中空マルチフィラメント糸aから取り出した単糸の、長手方向に対して垂直方向の断面を光学顕微鏡(INABATA&CO製 「PCSCOPE PCS−81X」)で観察し、単糸の外周長(μm)、及び第一の樹脂部の単糸外周表面への露出長(第一の樹脂部によって形成されている外周部分の長さ)(μm)を測定し、次式により割合(EC)を算出した。
EC(%)={第一の樹脂部の露出長(μm)/単糸の外周長(μm)}×100
(3)単糸の中心から単糸の外周までの距離(μm)に対する、単糸の外周から葉部までの最短距離(μm)の平均比率(DC)
高配向未延伸中空マルチフィラメント糸から取り出した単糸の、長手方向に対する垂直方向の断面を光学顕微鏡(INABATA&CO製 「PCSCOPE PCS−81X」)で観察し、単糸の中心から単糸外周までの距離(μm)及び各葉部における単糸外周から各葉部までの最短距離(μm)を測定した。そして、単糸の中心から単糸外周までの距離(μm)に対する各葉部における単糸外周から各葉部までの最短距離(μm)の平均比率(DC(%))を、次式により算出した。
DC(%)=単糸外周から各葉部までの最短距離の平均値(μm)/単糸の中心から単糸外周までの距離(μm)×100
(4)互いに隣り合う葉部と葉部との最短距離(μm)
高配向未延伸中空マルチフィラメント糸から取り出した単糸の長手方向に対する垂直方向の断面を光学顕微鏡(INABATA&CO製 「PCSCOPE PCS−81X」)で観察し、分離している葉部における隣り合う葉部との最短距離(μm)を測定した。断面における分離している葉部全てについて測定し、その平均値を、互いに隣り合う葉部と葉部との最短距離(μm)とした。
(5)中空率
マルチフィラメント糸の単繊維について、長手方向に対する垂直方向の断面を光学顕微鏡を用い倍率345倍にて断面写真を撮影し、この断面写真から画像処理により、全体の面積と中空部の面積を測定し、全体の面積に対する中空部の面積を算出した。マルチフィラメント糸から20本の単糸を採取し、これらの平均値を算出した。
(6)異形度
先ず、仮撚中空マルチフィラメント糸aの単糸の横断面を580倍に拡大撮影し、得られた拡大写真から、単糸の横断面に外接する真円の径を外接円径(D)、当該横断面に内接する真円の径を内接円径(d)として求め、下記式に従って異形度を算出した。仮撚中空マルチフィラメント糸aから20本の単糸を採取し、これらの平均値を算出した。
異形度(%)=(1−d/D)×100
(7)捲縮率
枠周1.125mの検尺機を用いて巻き数5回で混繊交絡糸をカセ取りした後、カセを室温下フリー状態でスタンドに一昼夜吊り下げた。次に、カセに0.000147cN/dtexの荷重を掛けたまま沸水中に投入し30分間湿熱処理した。その後、カセを取り出し、水分を濾紙で軽く取り、室温下フリー状態で30分間放置した。そして、カセに0.000147cN/dtexの荷重及び0.00177cN/dtex(軽重荷)を掛け、長さXを測定した。続いて、0.000147cN/dtexの荷重は掛けたまま、軽重荷に代えて0.044cN/dtexの荷重(重荷重)を掛け、長さYを測定した。その後、捲縮率(%)=(Y−X)/Y×100なる式に基づき、算出した。捲縮率の測定は、混繊交絡糸の5本について行い、それぞれの平均をその糸の捲縮率とした。
(8)トルク
先ず、熱収縮性複合糸200cmを、ピンを支点にU字状に吊り下げた(熱収縮性複合糸の両端が上部、支点となるピンが下部となるように配置)。次いで、熱収縮性複合糸の両上端に0.33cN/dtexの初荷重を掛けて固定した。支点となるピンの熱収縮性複合糸部分に0.003cN/dtexの荷重を掛けた後、ピンを外し、懸垂状態で自己旋回させた。自己旋回が止まった時点で検撚し、旋回数を求め、1メートル当たりの撚数をトルク(T/M)として算出した。
(9)防透性低下度(TF)
分光光度計(島津製作所製「UV−3100PC」)を使用し、乾燥時の織編物の防透度(%)(WId)及び湿潤時の織編物の防透度(%)(WIw)を求め、下記式により防透性低下度を算出した。なお、乾燥時の織編物は、織編物を20℃かつ65%RHの環境下で24時間静置した試料とした。湿潤時の織編物は、織編物を20℃65%RHの環境下で24時間静置した後に、当該織編物と同質量の水分を含ませた試料である。
湿潤時の防透性低下度(%)=WId−WIw
防透度(%)=100−(織編物の後側に白板及び黒板を置いた時のL*値の差)/(白板と黒板のL*値の差)×100 (II)
(10)繊度
JIS L 1096:2010 8.9.9.1.bに従い測定、算出した。
(11)編物の厚さ
精密厚み測定器(株式会社尾崎製作所製、「ピーコック」)を用い測定、算出した。
(12)L値
色彩色差計(マクベス社製分光光度計 CE−3100)を用いてL値を測定した。
(13)風合い(ふかつき感(肉厚感)、ハリコシ感)
織編物に対し、触感により下記の基準で評価した。
○:ハリコシ感があり、且つふかつき感が少ない。
×:ハリコシ感があるが、ふかつき感が発現する。
2.熱収縮性複合糸及び編物の製造
(実施例1)
第一の樹脂部では、ポリエチレンテレフタレートとして、極限粘度が0.65のもので常法によりチップ化し、乾燥したものを用いた。第一の樹脂部では、当該ポリエチレンテレフタレートに対して、無機酸化物微粒子として酸化チタン微粒子(TiO2)を5質量%の割合となるように含有させた樹脂組成物を使用した。第二の樹脂部では、ポリエチレンテレフタレートとして、極限粘度が0.65のもので常法によりチップ化し、乾燥したものを用いた。第二の樹脂では、当該ポリエチレンテレフタレートに対して、酸化チタン微粒子(TiO2)を0.4質量%の割合となるように含有させた。
第一の樹脂部と第二の樹脂部との質量比(第一の樹脂部/第二の樹脂部)が75/25であって、図3(c)に示す多葉形状(葉部の数:20個)となるノズルを用い、常用の複合紡糸装置を用いて、紡糸温度295℃でマルチフィラメントを紡出した。そして、紡出したマルチフィラメントを冷却し、その表面に油剤を付与し、3000m/分の速度で引取ローラにて引き取り、高配向未延伸中空マルチフィラメント糸a(総繊度:114.4dtex、単糸本数48本、伸度:146.3%、横断面の外周の異形度は3%以下の略真円状)を得た。
一方、伸度25.9%、単糸繊度1.8dtex、総繊度32.7dtex18フィラメント、熱収縮率15.7%のポリエステル延伸糸bを用意した。そして、上記高配向未延伸中空マルチフィラメント糸a、ポリエステル延伸糸bを図5に示すような熱収縮性複合糸の製造工程に供した。仮撚加工条件及び流体噴射加工条件は下記の通りとし、148.4dtex66フィラメント熱収縮性複合糸を得た。
<仮撚加工条件>
第一供給ローラ6の表面速度:498.0m/分
ポリエステル延伸糸bの延伸倍率:1.00倍
第二供給ローラ7の表面速度:485.4m/分
ポリエステル高配向未延伸糸aの延伸倍率:1.03倍
ヒーター8の温度:285℃
加撚張力:11.3g
解撚張力:11.7g
解撚/加撚の張力比(K値):1.04
流体旋回ノズル10のエアー圧力:5.0kg/cm2
流体旋回ノズル10の旋回方向:Z方向
第一引取ローラ11の表面速度:500m/分
仮撚係数:8000
仮撚数:800T/M
<流体噴射加工条件>
インターレースノズル12:ヘヴァライン製P−212
インターレースノズル12のエアー圧力:3.5kg/cm2
第二引取ローラ13の表面速度:491.6m/分
インターレースゾーンのオーバーフィード率:2.0%
なお、巻取ローラ14の表面速度を492.5m/分とし、巻取ゾーンのオーバーフィード率を1.5%とした。
得られた熱収縮性複合糸について、光学顕微鏡(オリンパス株式会社製、商品名「BH2−UMF」)を用いて、倍率230倍で撮影した断面写真を図7に示す。なお、図7の仮撚中空マルチフィラメント糸aの中空率は13%、異形度は10%であった。
次いで、筒編機(福原工業製)を使用し、熱収縮性複合糸を配した生機を得た(天竺編み、41ウェール/2.54cm、42コース/2.54cm)。そして、BOLOFF精練機(福伸工業株式会社製)を用いて、生機を80℃で20分間精練し、編物を得て、L値を除いた各種評価を行った。
次に、下記処方1に示す組成の染液を調製し、この染液を用いて、生機を135℃で30分間染色した後、下記処方2に示す組成の還元液を調整して、染色編地を80℃で20分にて還元処理を実施した。
<処方1>
Dianix Black 15%omf
ニッカサンソルトSN−130 0.5g/L
酢酸 0.2g/L
<処方2>
ハイドロサリファイト 1g/L
水酸化ナトリウム 1g/L
サンモールFL 1g/L
その後、シュリンクサーファー型乾燥機(株式会社ヒラノテクシート製)を用いて60℃で乾燥し、L値を測定した。
(実施例2〜4)
前記実施例1と同様の手法を用い、中空率20%、10%、及び5%の高配向未延伸中空マルチフィラメント糸aを得た(中空率以外の構造や特性は、前記実施例1で使用した高配向未延伸中空マルチフィラメント糸aと同様)。当該高配向未延伸中空マルチフィラメント糸aを使用して、前記実施例1と同条件で編物を製造した。
(比較例1)
前記実施例1において、高配向未延伸中空マルチフィラメント糸aに対する仮撚加工を流体旋回仮撚からディスク仮撚に変更し、下記条件で仮撚加工及び流体噴射加工を実行し、110.7dtex66フィラメントの熱収縮性複合糸を得た。
<仮撚加工条件>
第一供給ローラ6の表面速度:498.0m/分
ポリエステル延伸糸bの延伸倍率:1.00倍
第二供給ローラ7の表面速度:320.5m/分
ポリエステル高配向未延伸糸aの延伸倍率:1.56倍
ヒーター8の温度(ショート部/ロング部):400℃/220℃
加撚張力:42.0g
解撚張力:32.0g
K値(解撚/加撚の張力比):0.76
ディスク構成:Z−1−6−K
ディスクの旋回方向:Z方向
ディスクの回転速度:800回転/分
第一引取ローラ11の表面速度:500m/分
<流体噴射加工条件>
インターレースノズル12:ヘヴァライン製P−102
インターレースノズル12のエアー圧力:3.5kg/cm2
第二引取ローラ13の表面速度:491.5m/分
インターレースゾーンのオーバーフィード率:1.7%
なお、巻取ローラ14の表面速度を492.5m/分とし、巻取ゾーンのオーバーフィード率を1.5%とした。
得られた熱収縮性複合糸について、光学顕微鏡(オリンパス株式会社製、商品名「BH2−UMF」)を用いて、倍率230倍で撮影した断面写真を図8に示す。なお、図8の仮撚中空マルチフィラメント糸aの中空率は0%、異形度は50%であった。
得られた熱収縮性複合糸を用いて、実施例1と同条件で、製編、精練、染色、還元、及び乾燥処理を行い、編物を得た。
(比較例2)
(1)高配向未延伸中空マルチフィラメント糸aに代えて、無機酸化物微粒子として酸化チタン微粒子(TiO2)を0.4質量%の割合となるように含有させ全分散した高配向未延伸マルチフィラメント糸(総繊度:136.2dtex、単糸本数36本、伸度:139.2%)を用いたこと、及び(2)仮撚加工を流体旋回仮撚からディスク仮撚に変更し、下記条件で仮撚加工及び流体噴射加工を実行したこと以外は、実施例1と同条件で熱収縮性複合糸(117dtex54フィラメント)を得た。
<仮撚加工条件>
第一供給ローラ6の表面速度:398.5m/分
ポリエステル延伸糸bの延伸倍率:1.00倍
第二供給ローラ7の表面速度:232.5m/分
ポリエステル高配向未延伸糸aの延伸倍率:1.72倍
ヒーター8の温度(ショート部/ロング部):215℃/215℃
加撚張力:36.8g
解撚張力:30.7g
K値(解撚/加撚の張力比):0.83
ディスク構成:Z−1−6−K
ディスクの旋回方向:Z方向
ディスクの回転速度:640回転/分
第一引取ローラ11の表面速度:400m/分
<流体噴射加工条件>
インターレースノズル12:ヘヴァライン製P−102
インターレースノズル12のエアー圧力:3.0kg/cm2
第二引取ローラ13の表面速度:386.0m/分
インターレースゾーンのオーバーフィード率:3.5%
なお、巻取ローラ14の表面速度を386.0m/分とし、巻取ゾーンのオーバーフィード率を3.5%とした。
得られた熱収縮性複合糸に含まれる仮撚中空マルチフィラメント糸について、光学顕微鏡(オリンパス株式会社製、商品名「BH2−UMF」)を用いて、倍率230倍で撮影した結果、中空率は0%、異形度は42%であった。
得られた熱収縮性複合糸について、実施例1と同条件で、製編、精練、染色、還元、及び乾燥処理を行い、編物を得た。
2.結果
実施例及び比較例の製造条件等を表1に示す。得られた熱収縮性複合糸及び編物の評価結果を表2に示す。
実施例1〜4では、L値が十分に低く、透け防止性及び風合いに優れる結果となった。比較例1では、L値が高くなり、肉厚感が出て風合いが悪い上に、実施例よりも厚みが大きいにも関わらず実施例と同等の防透性しか達成できなかった。比較例2では、中空部が潰れ防透性に劣るものとなり、肉厚感が出て柔らかい風合いとならなかった。なお、実施例1〜4の熱収縮性複合糸に含まれる仮撚中空マルチフィラメントaの横断面は、原糸として使用した配向未延伸中空マルチフィラメント糸aの横断面と同様の多葉形状であった。
a 仮撚中空マルチフィラメントa
b ポリエステル延伸糸b
1 単糸
2 第一の樹脂部
3 第二の樹脂部
4 葉部
5 中空部
6 第一供給ローラ
7 第二供給ローラ
8 ヒーター
9 クーリングプレート
10 流体旋回ノズル
11 第一引取ローラ
12 インターレースノズル
13 第二引取ローラ
14 巻取ローラ
15 パッケージ
16 糸条供給口
17 エアー供給口
B ポリエステル繊維B

Claims (10)

  1. 仮撚中空マルチフィラメントaとポリエステル延伸糸bとを含み、捲縮率が5%以下である熱収縮性複合糸であって、
    前記仮撚中空マルチフィラメントaは、無機酸化物微粒子を2質量%超10質量%以下含む第一の樹脂部と、無機酸化物微粒子を2質量%以下含む第二の樹脂部とを有しており、
    前記仮撚中空マルチフィラメントaを構成する単糸の横断面において、前記第二の樹脂部が前記単糸の内周表面及び外周表面を含む中空形状を形成し、前記第一の樹脂部が前記第二の樹脂部中で前記中空形状の中心側から外周側へ放射状に向かう6〜30個の葉部を含む多葉形状を形成しており、前記第一の樹脂部で形成された葉部が単糸の外周表面の一部を形成していてもよい、
    前記仮撚中空マルチフィラメントaを構成する単糸が、中空率3〜30%、且つ異形度が20%以下であり、
    前記ポリエステル延伸糸bの伸度が15〜40%、且つ沸水収縮率が10〜25%である、
    熱収縮性複合糸。
  2. トルクが45T/M以上である、請求項1に記載の熱収縮性複合糸。
  3. 前記仮撚中空マルチフィラメントaと前記ポリエステル延伸糸bとの質量比率が、(仮撚中空マルチフィラメントa)/(ポリエステル延伸糸)=95/5〜65/35である、請求項1又は2に記載の熱収縮性複合糸。
  4. 前記仮撚中空マルチフィラメントaにおける前記第一の樹脂部と前記第二の樹脂部との質量比率が、(第一の樹脂部)/(第二の樹脂部)=30/70〜90/10である、請求項1〜3のいずれかに記載の熱収縮性複合糸。
  5. 前記仮撚中空マルチフィラメントaが鞘側に配され、ポリエステル繊維Bが芯側に配されてなる複合糸であって、
    前記仮撚中空マルチフィラメントaは、無機酸化物微粒子を2質量%超10質量%以下含む第一の樹脂部と、無機酸化物微粒子を2質量%以下含む第二の樹脂部とを有しており、
    前記仮撚中空マルチフィラメントaを構成する単糸の横断面において、前記第二の樹脂部が前記単糸の内周表面及び外周表面を含む中空形状を形成し、前記第一の樹脂部が前記第二の樹脂部中で前記中空形状の中心側から外周側へ放射状に向かう6〜30個の葉部を含む多葉形状を形成しており、前記第一の樹脂部で形成された葉部が単糸の外周表面の一部を形成していてもよい、
    前記仮撚中空マルチフィラメントaを構成する単糸が、中空率3〜30%、且つ異形度が20%以下である、複合糸。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の熱収縮性複合糸、又は請求項5に記載の複合糸を含む、織編物。
  7. 以下の工程(イ)〜(ハ)を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の熱収縮性複合糸の製造方法。
    (イ)下記(1)〜(3)を満足する高配向未延伸中空マルチフィラメント糸aと、伸度15〜40%且つ沸水収縮率10〜25%のポリエステル延伸糸bとを準備する工程
    (1)無機酸化物微粒子を2質量%超10質量%以下、及びポリエステル含む第一の樹脂部と、無機酸化物微粒子を2質量%以下、及びポリエステル含む第二の樹脂部とを有する。
    (2)構成単糸の横断面において、前記第二の樹脂部が前記単糸の内周表面及び外周表面を含む中空形状を形成して、前記第一の樹脂部が前記第二の樹脂部中で前記中空形状の中心側から外周側へ放射状に向かう6〜30個の葉部を含む多葉形状を形成しており、前記第一の樹脂部で形成された葉部が単糸の外周表面の一部を形成していてもよい。
    (3)前記単糸は中空部を有し、中空率が3〜30%である。
    (ロ)前記高配向未延伸中空マルチフィラメント糸aを、流体旋回ノズルを用いて、仮撚係数20000以下、延伸倍率1.1倍以下、加撚/解撚の張力比1.0〜1.25で、仮撚加工を施して、仮撚中空マルチフィラメント糸aを得る工程、及び
    (ハ)前記仮撚中空マルチフィラメント糸aと前記ポリエステル延伸糸bとを、流体噴射加工により複合し、熱収縮性複合糸を得る工程。
  8. 工程(イ)で準備する高配向未延伸中空マルチフィラメント糸aが、更に下記(4)〜(7)を満たす、請求項7に記載の製造方法。
    (4)構成単糸の横断面において、前記葉部の外周側の先端部が曲線形状である。
    (5)構成単糸の横断面において、構成単糸の外周長に対する、第一の樹脂部の構成単糸の外周表面への露出長の割合が10%以下である。
    (6)構成単糸の横断面において、構成単糸の中心から外周までの距離に対する、構成単糸の外周から前記葉部の端部までの最短距離の割合の平均値が、10%以下である。
    (7)伸度が100〜180%である。
  9. 請求項1〜4のいずれかに記載の熱収縮性複合糸に対して熱収縮処理を行う工程を含む、請求項5に記載の複合糸を製造する方法。
  10. 以下の工程(i)〜(iii)を含むことを特徴とする、織編物の製造方法。
    (i)請求項1〜4のいずれかに記載の熱収縮性複合糸を準備する工程、
    (ii)前記熱収縮性複合糸を製織編して生機を製造する工程、及び
    (iii)前記生機に対し熱収縮処理を行い、織編物を得る工程。
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