JP2004339654A - 高発色性ノントルクヤーンとその製造方法及び高発色性織編物 - Google Patents
高発色性ノントルクヤーンとその製造方法及び高発色性織編物 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】Sトルクのポリエステル系旋回加工糸とZトルクのポリエステル系旋回加工糸とを混繊交絡した複合交絡糸であって、前記2種の旋回加工糸の複屈折率(△n)はいずれも70×10−3〜120×10−3で、前記複合交絡糸は実質的にノントルクであり、かつ撚係数Kが18000〜36000の範囲で追撚を施すことによって、L値が11以下の濃染性を有するものとなる高発色性ノントルクヤーン。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、実質的にノントルクであり、しかも染着差によるイラツキがなく、かつ優れた濃染効果を有する高発色性ノントルクヤーンとその製造方法及び高発色性織編物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
昨今の高級指向に伴い、フォーマルブラック等に見られるような濃染効果に優れた差別化加工糸が要望されている。このため、未延伸糸を延伸同時仮撚加工する際、延伸倍率をできるだけ低くして仮撚加工を施し、糸条の配向度を抑えて濃染効果を高める方法が試みられている。しかしながら、延伸倍率を低くすると、通常のピンタイプ仮撚法ではバルーニングのために糸切れが発生し、また、フリクションタイプでは低張力に伴い加撚効率が悪くなる等、操業性の面で難しいのが現状である。
【0003】
これらの問題を解決するために、ピンタイプやフリクションタイプに代わる施撚体として、流体旋回ノズルを利用して仮撚加工して得られた加工糸が特許文献1や特許文献2等で提案されている。特許文献1には、芯糸に単糸繊度が太く、捲縮率が高いものとなる潜在捲縮性糸、鞘糸にフイラメントの表面が特殊な形状を呈するものとなる低配向度、低収縮性糸を配した混繊交絡糸からなる特殊加工糸が、また、特許文献2には、極細未延伸糸を熱延伸処理して伸度を30〜50%とした後、オーバーフィード状態で流体仮撚加工を施して低収縮糸とした糸条Aと、高熱収高応力の延伸糸条Bとを混繊交絡した複合交絡糸が記載されている。
【0004】
しかしながら、これらの加工糸はふくらみ感やスエード感風合い、濃染効果には優れているものの、両糸条間の糸質特性及び糸条形態の違いから染着性差を有しており、染色するとイラツキが発生するという問題や、製編織する際に、強トルクのため工程通過性が悪いという問題があり、その改良が強く要望されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平11―158742号公報
【特許文献2】
特開2000―160447号公報
【0006】
【発明が解決しょうとする課題】
本発明は、上記の現状に鑑みてなされたものであり、解舒性や製編織成等での工程通過性に優れると共に染着性差によるイラツキがなく、かつ、発色性に優れた高品質の布帛を得るのに好適な高発色性ノントルクヤーンとその製造方法及び高発色性織編物を提供することを技術的な課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の複屈折率(△n)を有し,トルク方向の異なる2種の旋回加工糸を混繊交絡処理すれば、実質的にノントルクとなるため製編織工程での作業性が向上すると共に、加工糸特性がもたらす濃染効果に追撚加工を付加することにより品質の優れた高発色布帛が容易に得られることを知見して本発明に到達した。
すなわち、本発明は、上記の課題を解決するために、次の構成を有するものである。
(1)Sトルクのポリエステル系旋回加工糸とZトルクのポリエステル系旋回加工糸とを混繊交絡した複合交絡糸であって、前記2種の旋回加工糸の複屈折率(△n)はいずれも70×10−3〜120×10−3で、前記複合交絡糸は実質的にノントルクであり、かつ撚係数Kが18000〜36000の範囲で追撚を施すことによって、L値が11以下の濃染性を有するものとなることを特徴とする高発色性ノントルクヤーン。
(2)複合交絡糸は、伸度が30〜60%、沸水収縮率が5%以下であることを特徴とする上記(1)記載の高発色性ノントルクヤーン。
(3)複合交絡糸は、アルカリ溶出処理によって糸条表面に凹凸形状もしくは微細孔を形成することを特徴とする上記(1)又は(2)記載の高発色性ノントルクヤーン。
(4)複屈折率(△n)が20×10−3〜80×10−3のポリエステル高配向未延伸糸を供給糸条とし、流体旋回ノズルを用いて、0.05〜0.2cN/dtexの加工張力でS方向に仮撚加工を施して得たSトルク旋回加工糸Aと、複屈折率(△n)が20×10−3〜80×10−3のポリエステル高配向未延伸糸を供給糸条とし、流体旋回ノズルを用いて、0.1〜0.2cN/dtexの加工張力でZ方向に仮撚加工を施して得たZトルク旋回加工糸Bとを、同一の流体噴射ノズルに導入して流体噴射加工を施すことを特徴とする高発色ノントルクヤーンの製造方法。
(5)複屈折率(△n)が20×10−3〜80×10−3のポリエステル高配向未延伸糸に延伸倍率1.2〜1.5倍で熱延伸処理を施して伸度を30〜60%とし、引き続いて、流体旋回ノズルを用い、5%以下のオーバーフィード状態でS方向に仮撚加工を施して得たSトルク旋回加工糸Aと、複屈折率(△n)が20×10−3〜80×10−3のポリエステル高配向未延伸糸に延伸倍率1.2〜1.5倍で熱延伸処理を施して伸度を30〜60%とし、引き続いて、流体旋回ノズルを用い、5%以下のオーバーフィード状態でZ方向に仮撚加工を施して得たZトルク旋回加工糸Bとを、同一の流体噴射ノズルに導入して流体噴射加工を施すことを特徴とする高発色性ノントルクヤーンの製造方法。
(6)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の高発色性ノントルクヤーンに、撚係数K18000〜36000の追撚が施された糸条を少なくとも一部に使用したことを特徴とする高発色性織編物。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本発明の高発色性ノントルクヤーンは、複屈折率(△n)が70×10−3〜120×10−3であり、Sトルクのポリエステル系旋回加工糸と、複屈折率(△n)が70×10−3〜120×10−3であり、Zトルクのポリエステル系旋回加工糸とを混繊交絡した複合交絡糸であることが重要である。
ここでいう旋回とは、流体旋回ノズルを用いて、糸条を低張力加熱下で流体仮撚加工を施すことである。また、旋回加工糸とは、配向度の進行を極力抑えるようにして加熱下で旋回処理された複屈折率(△n)が70×10−3〜120×10−3の低配向度糸であり、旋回処理を施さない糸条とは光反射特性が異なり、このような特異な糸質特性を有ることで染料の吸尽率が高くなり、濃染性が格段に向上した糸条となる。
【0009】
すなわち、本発明は、上記した低配向度特性を有したSトルク旋回加工糸とZトルク旋回加工糸とを混繊交絡することで、トルクが相殺されてノントルクヤーンとなるため、解舒性や製編織成等の工程通過性が優れており、このため品質の良好な布帛を得ることができる。なお、ノントルクとは、トルク数が5T/M以下をいう。
【0010】
また、本発明のノントルクヤーンは、撚係数Kが18000〜36000の範囲、好ましくは20000〜30000の範囲の撚数で追撚を施せば、糸条を構成するフイラメントの低配向度特性と捩れ現象等の混繊形態との相乗効果により、布帛にして黒色染料で染色すれば、L値が11以下となる濃染性を有し、しかも、染着性差によるイラツキが発生することもない高発色性布帛が得られる。
【0011】
撚係数Kが18000未満では、濃染効果を向上させることができない。また、撚係数Kが36000を超えると、撚糸工程での糸切れが多くなったり、又は撚熱セット性が悪くてトルクが発生しやすくなり、このため製編織成工程でビリやスナール等を誘発し、品位面での問題が生じる。
なお、撚係数Kは、撚数をT(回/m)、繊度D(dtex)とする時、次式にて算出される。
K=T×(D)1/2
【0012】
本発明において、ノントルクヤーンの他の糸質特性は特に限定されるものではないが、伸度を30〜60%、沸水収縮率を5%以下にすることで製編織工程での張力変動による物性変化を抑制できると共に、染色工程での寸法安定性に優れた効果が得られるため好ましい。
【0013】
また、ノントルクヤーンは、アルカリ減量処理によって糸条を構成するフイラメント表面に凹凸形状もしくは微細孔を形成させれば、繊維表面に光を照射した場合、その不規則な表面形状によって光は乱反射を繰り返し、繊維内部に吸収されて外部への反射光が少なくなるという作用効果が得られ、深みのある色を表現することができるため好ましい。
【0014】
本発明において、糸条を形成するポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)や、PETを主成分とする共重合ポリエステルが好ましい。また、SトルクとZトルク2種の旋回加工糸を形成するポリエステルは、布帛に染着差によるイラツキがでない範囲であれば同一又は異種いずれの組み合わせでもよいが、同一のポリエステルが好ましい。
【0015】
なお、アルカリ減量処理によって糸条表面に凹凸形状もしくは微細孔を形成するためには、溶解性の異なるポリマーを複合紡糸法で紡糸し、昜溶性成分を除去して異形化する方法や、ポリエステルの重合時又は紡糸時にポリエステルに対して不活性な微粒子を添加して紡糸し、アルカリ溶出処理でこの微粒子を除去して微細孔を形成させる方法等を採用することができる。
【0016】
前者の、昜溶性成分を除去してフイラメント表面を凹凸形状に異形化する方法において、凹凸形状の凸部の幅と高さは数μm単位の微小なものが好ましく、その数も15個以上で、多い方が好ましい。さらに、凹凸部の配列分布やその形状は特に限定されるものではなく、例えば、図1に示すフイラメントの断面のように、表面に凸部と凹部が交互にほぼ一様に分布し、凸部の断面が長方形乃至ほぼ台形状を呈するもの等を採用することができる。一方、後者の微粒子を除去する方法においては、微粒子の含有量がポリエステルの1〜15質量%、微粒子の粒径は2μm以下のものが好ましいが、紡糸時にトラブルを起こさない範囲であれば特に限定されるものではない。
上記で使用する微粒子の種類は、セラミックス類等の無機化合物、例えば、バリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム等の酸化物、硫酸塩、炭酸塩、リン酸塩やシリカ等を好適に用いることができる。
【0017】
本発明のノントルクヤーンを構成するSトルクとZトルク2種の旋回加工糸の単糸繊度は、特に限定されるものではないが、ソフト風合いを得るためには、3.5dtex以下のものを用いるのが好ましい。
【0018】
次に、本発明の高発色性織編物について説明する。本発明の高発色性織編物は、前記した本発明の高発色性ノントルクヤーンに、撚係数K18000〜36000の追撚が施された糸条を少なくとも一部に、好ましくは50質量%以上使用したものであり、織物の場合は、経糸もしくは緯糸のいずれか、又は、経糸と緯糸の両方が上記ノントルクヤーンで構成されていることが好ましい。経糸もしくは緯糸のいずれかが上記ノントルクヤーンを使用した場合の他方の緯糸あるいは経糸としては、綿、麻、羊毛等の天然繊維、レーヨン等の再生繊維、ポリエステル、ナイロン等の合成繊維、サイドバイサイド型の複合繊維、異形断面糸、異収縮混繊糸等の差別化合成繊維、あるいは、これらの捲縮加工糸、混繊糸、合撚糸等を挙げることができ、用途や目的に応じて適宜選定すればよい。また、本発明の特徴を失わない範囲で、上記ノントルクヤーンの間に他の糸条が配列されていてもよい。
【0019】
本発明の高発色性織編物が織物の場合の組織は、特に限定されるものではなく、平組織、綾組織、朱子組織、あるいは、ドビーやジャガードによる変化組織等が採用される。また、本発明の織編物には、仕上げ加工工程において、染色はもちろんのこと濃染加工やアルカリ減量、柔軟、制電、撥水等の各種の加工が施されていてもよい。
【0020】
次に、本発明の高発色性ノントルクヤーンの製造方法について説明する。
第一の製造方法では、先ず複屈折率(△n)が20×10−3〜80×10−3のポリエステル高配向未延伸糸(以下POYという)を供給糸条とし、流体旋回ノズルを用いて、S方向に仮撚加工を施して、Sトルク旋回加工糸Aを得る。また、他方の糸条として、複屈折率(△n)が20×10−3〜80×10−3のPOYを供給糸条とし、流体旋回ノズルを用い、Z方向に仮撚加工を施して、Zトルク旋回加工糸Bを得る。引き続き、連続して前記糸条A及び糸条Bを同一の流体噴射ノズルに導入して流体噴射加工を施し、Sトルク旋回加工糸AとZトルク旋回加工糸Bが混繊交絡した複合交絡糸である高発色性ノントルクヤーンを得る。
【0021】
流体旋回ノズルを用いて仮撚加工する際の条件は、特に限定されるものではないが、加撚及び解撚域の加工張力を0.05〜0.2cN/dtex、仮撚数を500〜1300T/Mとして融着しない温度範囲を採用することによって、配向度の進行が極力抑えられた低配向度・低収縮性糸となり、濃染性が格段に向上した糸条となる。供給糸条の複屈折率(△n)が20×10−3未満では、物性の経日変化が著しく、品質にバラツキが生じる。また、複屈折率(△n)が80×10−3を超えると、本発明が目的とする濃染効果が得られない。
【0022】
ここで重要なのは、仮撚加工する際の仮撚方向をS方向とZ方向として、同時に仮撚加工を施して、両糸条を混繊交絡することである。このことにより、糸条の持つトルクが相殺されてノントルクとなるばかりか、糸条は、低配向度特性を維持したままで混繊交絡されるため、染着性差によるイラツキがなく、かつ、濃染性を発現することができる。
【0023】
また、流体噴射加工時のオーバーフィード率は、特に限定されるものではなく、ノントルクと交絡形態を維持できる範囲であればよい。流体噴射加工時の流体噴射ノズルとしては、糸条に交絡やループを形成できるものであれば、タスランノズルやインターレースノズル等、いかなるものでもよい。
【0024】
次に、第二の製造方法について説明する。第二の製造方法では、第一の製造方法と同じ供給糸条(POY)を延伸倍率1.2〜1.5倍で、温度は加工速度によっても異なるが、例えば加工速度700m/minでは250〜300℃で熱延伸処理を施して伸度を30〜60%にした後、流体旋回ノズルを用いて5%以下のオーバーフィード状態でS方向に仮撚加工を施して得たSトルク旋回加工糸Aと、POY を上記とほぼ同条件で熱延伸処理を施し、次いでZ方向に仮撚加工を施して得たZトルク旋回加工糸Bとを、同一の流体噴射ノズルに導入して流体噴射加工を施すことによりSトルク旋回加工糸AとZトルク旋回加工糸Bとが混繊交絡した複合交絡糸である高発色性ノントルクヤーンを得る。
【0025】
次に、本発明の高発色性ノントルクヤーンの製造方法を、図面を用いて説明する。
図2は、第一の製造方法の一実施態様を示す概略工程図である。図2において、POY(Y1)は、第1供給ローラ1と第1引取ローラ4の間の旋回仮撚加工域に供給され、流体旋回ノズル3でS方向に加撚され、ヒータ2で熱セットされて低収縮性のSトルク旋回加工糸Aとなる。
【0026】
一方、POY(Y2)は、第1供給ローラ5と第1引取ローラ8の間の旋回仮撚加工域に供給され、流体旋回ノズル7でZ方向に加撚され、ヒータ6で熱セットされて低収縮性のZトルク旋回加工糸Bとなる。次いで、Sトルク旋回加工糸AとZトルク旋回加工糸Bは第1引取ローラ4と第2引取ローラ8により流体処理域に導かれて、第3引取ローラ10間で流体噴射ノズル9によって流体噴射加工が施されて目的とする高発色性ノントルクヤーンとなり、第3引取ローラ10を経て、巻き取りローラ11によりパッケージ12に捲き取られる。
【0027】
図3は、第二の製造方法の一実施態様を示す概略工程図である。図3において、POY(Y1)は、第1供給ローラ21から、第1供給ローラ21と第1引取ローラ23の間の延伸加工域に供給され、ヒータ22で熱セットされる。引き続き、第1引取ローラ23と第2引取ローラ26の間の旋回仮撚加工域に供給され、流体旋回ノズル25でS方向に加撚され、ヒータ24で熱セットされて低収縮性のSトルク旋回加工糸Aとなる。
【0028】
一方、POY(Y2)は、第1供給ローラ27から、第1供給ローラ27と第1引取ローラ29の間の延伸加工域に供給され、ヒータ28で熱セットされる。引き続き第1引取ローラ29と第2引取ローラ32の間の旋回仮撚加工域に供給され、流体旋回ノズル31でZ方向に加撚され、ヒータ30で熱セットさて低収縮性のZトルク旋回加工糸Bとなる。
【0029】
次いで、Sトルク旋回加工糸AとZトルク旋回加工糸Bは第2引取ローラ26,32により流体処理域に導かれて、第3引取ローラ34間で流体噴射ノズル33によって流体噴射加工が施されて目的とする高発色性ノントルクヤーンとなり、第3引取ローラ34を経て、巻き取りローラ35によりパッケージ36に捲き取られる。
【0030】
なお、本発明における各特性値の測定法は、次のとおりである。
(1)複屈折率
偏光顕微鏡とコンペンセーターとの組合せによる干渉縞計測法で測定する。
(2)伸度、沸水収縮率
JIS L−1013に準拠して測定する。
(3)トルク
試料が旋回しないように0.0294(CN/dtex)の荷重をかけ、試料長200cmを採取する。次に、採取した試料の両端間の距離を2cmにしてほぼ平行に把持し、中心部(100cmの所)に0.00294(CN/dtex)の荷重をかけてV字型とし、V字型下部をフリー状態にする。このとき、試料の残留トルクによる旋回が発生するが、その旋回が静止するまで放置する。旋回が静止した後、その旋回数を検撚機を用いて測定し、この測定により得られた値をトルク数とする。
(4)L値
加工糸を150g/m2 以上の筒編地に編成し、得られた筒編地を次の染色処方で染色する。
上記の染色処方で染色した筒編地をマクベス社製MS−CE3100型分光光度計でその反射率を測定し、CIE Labの色差式から濃度指標を求めた値がL値であり、L値は、その値が小さい程深みのある色となる。
【0031】
【実施例】
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。
実施例1
供給糸条として、フィラメントの断面形状が、図1に示すように繊維の円周上に昜溶出成分(α)が難溶出成分(β)をギャ形状に複数分割した芯鞘構造糸になるように設計した紡糸口金と複合紡糸装置を用いて紡糸した複屈折率(△n)が60×10−3のPET高配向未延伸糸84dtex/24fをそれぞれに用い、図2に示す工程に従い、表1の条件で本発明の高発色性ノントルクヤーンを製造した。得られたノントルクヤーンにS−2000T/Mの追撚を施し、真空セット機(85℃×40分間)で撚セットした後、筒編地に編成した。
【0032】
得られた筒編地を、常法によるアルカリ溶出処理で昜溶出成分(α)を除去すると、フィラメント表面には、幅1μm、高さ2.5μmの凸部が20個存在し、凹凸形状を有するものであった。次いで、筒編地を黒色染料で染色したところ、染着差によるイラツキがなく、しかも、濃染効果に優れた黒色編地が得られた。
【0033】
実施例2
供給糸条として、複屈折率(△n)が56×10−3のPET高配向未延伸糸122dtex/144fをそれぞれに用い、図2に示す工程に従い、表1の条件で高発色性ノントルクヤーンを製造した。
得られたノントルクヤーンを実施例1と同様にして追撚、撚セットを施した後、筒編地に編成して黒色染料で染色すると、高発色スパンライク編地が得られた。
【0034】
実施例3
実施例1と同様の供給糸を用いて、図3に示す工程に従い、表1の条件で高発色性ノントルクヤーンを製造した。得られたノントルクヤーンを実施例1と同様にしてアルカリ溶出、追撚、撚セットを施した後、筒編地に編成して黒色染料で染色したところ、品質の良好な濃染編地が得られた。
【0035】
比較例1
旋回仮撚加工時の撚方向を同一にした以外は、実施例1と同じ加工法で複合交絡糸を製造した。
得られた複合交絡糸を、実施例1同様に追撚加工を施した所、複合交絡糸が高トルクのため、糸切れ等のトラブルが多発し、工程通過性に問題があった。
【0036】
【表1】
【0037】
実施例4
実施例1で得られたノントルクヤーンにS−2300T/Mの追撚を施した糸条とZ−2300T/Mの追撚を施した糸条とを、2:2の配列で経糸及び緯糸に用いて、経糸密度:88本/2.54cm、緯糸密度:60本/2.54cmで平織物を製織した。得られた生機を80℃×20分間で精練後、120℃×20分でリラックス液流処理を行ってアルカリ溶出処理を行い、昜溶出成分(α)を除去すると、フィラメント表面には、幅1μm、高さ2.5μmの凸部が25個存在し、凹凸形状を有するものであった。
【0038】
次に190℃×30秒でプレセットし、連続減量後、分散染料(ダイアニックスブラックHG−FS<三菱化学ヘキスト社製>:15owf)により135℃×30分間の染色を行い、180℃×30秒の仕上げセットを行った。
得られた織物は、染着差によるイラツキがなく、かつ、ソフトで張・腰を有する深みのある濃染性織物であり、染色L値は9.5であった。
【0039】
実施例5
実施例3で得られた145dtex/48fのノントルクヤーンを用い、実施例4と同様の工程で処理して織物を作成し、常法の染加工を行った。得られた織物は、適度なドレープ性を有したブラックフオーマルに適した濃染織物であり、染色L値は9.6であった。
【0040】
比較例2
比較例1で得られた153dtex/48fの加工糸を用い、実施例4と同様の工程で処理して織物を作成し、常法の染加工を行った。
得られた織物は、染色L値が9.3であり、濃染効果には優れているものの、用いる加工糸が高トルクのため、製織工程でスナール、ビリ等のトラブルが多発し、工程通過性や織物品位に問題があった。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、得られる加工糸が、実質的にノントルクであるため、製編織工程での工程通過性に優れ、高品質の布帛が得ることができ、かつ特異な加工糸特性により、イラツキのない濃染効果に優れた高発色性ノントルクヤーンとその製造方法、及びこの高発色性ノントルクヤーンを用いた高発色性織編物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高発色性ノントルクヤーンの製造方法で使用する供給糸条の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の高発色性ノントルクヤーンの第一の製造方法の一実施態様を示す概略工程図である。
【図3】本発明の高発色性ノントルクヤーンの第二の製造方法の一実施態様を示す概略工程図である。
【符号の説明】
Y1.Y2 供給糸条
1,5、21,27 第1供給ローラ
4,8,23,29 第1引取ローラ
10,26,32 第2引取ローラ
2,6,22,28,24,30 ヒータ
34 第3引取ローラ
3,7,25,31 旋回ノズル
9,33 流体噴射ノズル
Claims (6)
- Sトルクのポリエステル系旋回加工糸とZトルクのポリエステル系旋回加工糸とを混繊交絡した複合交絡糸であって、前記2種の旋回加工糸の複屈折率(△n)はいずれも70×10−3〜120×10−3で、前記複合交絡糸は実質的にノントルクであり、かつ撚係数Kが18000〜36000の範囲で追撚を施すことによって、L値が11以下の濃染性を有するものとなることを特徴とする高発色性ノントルクヤーン。
- 複合交絡糸は、伸度が30〜60%、沸水収縮率が5%以下であることを特徴とする請求項1記載の高発色性ノントルクヤーン。
- 複合交絡糸は、アルカリ溶出処理によって糸条表面に凹凸形状もしくは微細孔を形成することを特徴とする請求項1又は2記載の高発色性ノントルクヤーン。
- 複屈折率(△n)が20×10−3〜80×10−3のポリエステル高配向未延伸糸を供給糸条とし、流体旋回ノズルを用いて、0.05〜0.2cN/dtexの加工張力でS方向に仮撚加工を施して得たSトルク旋回加工糸Aと、複屈折率(△n)が20×10−3〜80×10−3のポリエステル高配向未延伸糸を供給糸条とし、流体旋回ノズルを用いて、0.1〜0.2cN/dtexの加工張力でZ方向に仮撚加工を施して得たZトルク旋回加工糸Bとを、同一の流体噴射ノズルに導入して流体噴射加工を施すことを特徴とする高発色ノントルクヤーンの製造方法。
- 複屈折率(△n)が20×10−3〜80×10−3のポリエステル高配向未延伸糸に延伸倍率1.2〜1.5倍で熱延伸処理を施して伸度を30〜60%とし、引き続いて、流体旋回ノズルを用い、5%以下のオーバーフィード状態でS方向に仮撚加工を施して得たSトルク旋回加工糸Aと、複屈折率(△n)が20×10−3〜80×10−3のポリエステル高配向未延伸糸に延伸倍率1.2〜1.5倍で熱延伸処理を施して伸度を30〜60%とし、引き続いて、流体旋回ノズルを用い、5%以下のオーバーフィード状態でZ方向に仮撚加工を施して得たZトルク旋回加工糸Bとを、同一の流体噴射ノズルに導入して流体噴射加工を施すことを特徴とする高発色性ノントルクヤーンの製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の高発色性ノントルクヤーンに撚係数K18000〜36000の追撚が施された糸条を少なくとも一部に使用したことを特徴とする高発色性織編物。
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