JP3086065B2 - 嵩高加工糸及び複合嵩高加工糸の製造方法 - Google Patents

嵩高加工糸及び複合嵩高加工糸の製造方法

Info

Publication number
JP3086065B2
JP3086065B2 JP04140086A JP14008692A JP3086065B2 JP 3086065 B2 JP3086065 B2 JP 3086065B2 JP 04140086 A JP04140086 A JP 04140086A JP 14008692 A JP14008692 A JP 14008692A JP 3086065 B2 JP3086065 B2 JP 3086065B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
yarn
fluid
false
twisting
bulky
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP04140086A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05311528A (ja
Inventor
隆雄 宮崎
正幸 藤原
勝 治田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Unitika Ltd filed Critical Unitika Ltd
Priority to JP04140086A priority Critical patent/JP3086065B2/ja
Publication of JPH05311528A publication Critical patent/JPH05311528A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3086065B2 publication Critical patent/JP3086065B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,濃染効果に優れ,ソフ
トで適度なふくらみを有し,織編物用の糸条として好適
な嵩高加工糸及び複合嵩高加工糸の製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】通常の速度で紡糸した後,低倍率で延伸
したり,高速紡糸して得られるポリエステル高配向未延
伸糸から仮撚加工糸を得る方法としては,一般に延伸同
時仮撚加工法が採用されている。この延伸同時仮撚加工
法で得られる仮撚加工糸は,捲縮特性,糸質特性とも一
般の延伸糸から得られる仮撚加工糸と遜色がなく,一般
衣料用として広く用いられている。一方,昨今の高級指
向に伴い,フォーマルブラックにみられるような濃染効
果とピーチスキン調のソフト風合を併せもった差別化素
材が要望されている。このため,ポリエステル高配向未
延伸糸を延伸同時仮撚加工する際,延伸倍率をできるだ
け低くして仮撚加工を施し,糸条の配向度を抑えて濃染
効果を高める方法が試みられている。
【0003】しかしながら,延伸倍率を低くすると,通
常のピンタイプ仮撚法では,バルーニングのために糸切
れが発生し,また,フリクションタイプでは,低張力に
伴い加撚効果が悪くなる等,操業面で難しいのが現状で
ある。
【0004】また,マルチフィラメント糸に流体攪乱処
理を施してループ毛羽を形成する方法は,一般によく知
られている。そして,このマルチフィラメント糸の単糸
繊度が1デニール以下の極細糸になると,開繊性が悪く
なり,交絡性の低下や交絡不良に伴う不均一なループ毛
羽となることも公知である。
【0005】そこで本発明者らは,先に極細糸を含む糸
条を流体攪乱処理する際,予め極細糸に仮撚加工を施
し,捲縮付与によって開繊性を向上させる方法を特開昭
63−315632号公報で提案した。この方法で得られる糸
条は,交絡性が向上し,均一なループ毛羽を形成して,
ソフトでスパンライクな糸条となり得るが,極細糸特有
の深色性に欠けるという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は,上記した従
来の問題を解消し,濃染効果に優れ,ソフトで適度なふ
くらみを有し,織編物用として好適な嵩高加工糸と,前
記の利点に加えて後加工における糸条の形態安定性が向
上した複合嵩高加工糸を安定して製造する方法を提供す
ることを技術的な課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは,上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果,仮撚加工時に糸
条にかかる張力を糸条の熱収縮応力以下とし,かつ加撚
張力と解撚張力の差を少なくして仮撚加工を施せば,糸
条の配向度が抑えられて染着性が高まり,品質も安定す
ることを知見して,本発明に到達した。
【0008】すなわち,本発明は,次の構成を有するも
のである。 (1) 複屈折率(Δn)が20×10-3〜80×10-3,単糸繊度
が1.0デニール以下のポリエステル高配向未延伸糸を,
施撚体として流体旋回ノズルを用い,加撚/解撚の張力
比が0.8〜1,加撚及び解撚張力が前記未延伸糸の最大
熱収縮応力以下の張力下で,かつ次式を満足する仮撚数
で仮撚加工することを特徴とする嵩高加工糸の製造方
法。 仮撚数(T/M) =6000/(D1/2× F1/2)〜12000/(D1/2× F1/2)── ただし,D:ポリエステル高配向未延伸糸の繊度(デニ
ール) F:ポリエステル高配向未延伸糸の単糸繊度(デニー
ル) (2) 前記(1) で得られた嵩高加工糸に流体噴射加工を施
すことを特徴とする嵩高加工糸の製造方法。 (3) 前記(1) で得られた嵩高加工糸とポリエステル延伸
糸とを同一の流体噴射ノズルに導入して流体噴射加工を
施すことを特徴とする複合嵩高加工糸の製造方法。
【0009】なお,最大熱収縮応力は,カネボウ熱応力
測定器KF−2型(カネボウエンジニアリング社製)を
用いて,温度に対応する応力を記録計に記録し,ピーク
応力値を糸条のデニールで除した値をいう。
【0010】以下,本発明について詳細に説明する。
【0011】第1発明では,まず,単糸繊度の細いポリ
エステル高配向未延伸糸(以下,未延伸糸という。)を
ほとんど延伸することなく仮撚旋回加工を施し,濃染効
果に優れた嵩高加工糸とする。したがって,仮撚工程に
供給する糸条としては,複屈折率(Δn)が20×10-3
80×10-3の範囲で,単糸繊度が1.0デニール以下の極細
未延伸糸を用いることが必要であり,特に,複屈折率
(Δn)は40×10-3〜70×10-3のものが好ましい。複屈
折率 (Δn) が20×10-3未満では,仮撚加工時に融断し
たり,物性の経日変化が著しく,品質にバラツキが生じ
る。また,複屈折率(Δn)が80×10-3を超えると,本
発明の目的とする濃染効果が得られない。さらに,単糸
繊度が1.0デニールを超えると,ソフト感に欠けるもの
となり,好ましくない。
【0012】次に,仮撚条件としては,上記極細未延伸
糸をほとんど延伸することなく仮撚加工を施すことが必
要である。ここでいう「極細未延伸糸をほとんど延伸す
ることなく仮撚加工を施す」とは,仮撚加工後の繊度が
極細未延伸糸の繊度×0.9以上であることをさすもので
あり,実質的な延伸が非常に少ないことを意味する。極
細未延伸糸を延伸同時仮撚すると,繊維の配向度が進
み,複屈折率(Δn)が高くなって染着性が低下し,濃
染効果を著しく妨げるので好ましくない。
【0013】そこで,本発明では,極細未延伸糸をほと
んど延伸することなく仮撚加工を施す手段として,前述
のピンタイプやフリクションタイプの仮撚法ではなく,
施撚体として流体を利用した流体旋回ノズルを用いるも
のである。この流体旋回ノズルを用いることで,極細未
延伸糸をほとんど延伸することなく仮撚加工を施すこと
が可能となる。この場合,加撚/解撚の張力比が0.8〜
1となるよう旋回ノズルの構造を考慮することが重要で
ある。
【0014】図3は,本発明で使用する流体旋回ノズル
の一例を示すものである。図3において,圧縮流体は流
体導入孔10から糸条導入孔9の接線方向に噴出され,走
行糸条を加撚する。ここで,上述した加撚/解撚の張力
比を0.8〜1とするためには,糸条導入孔9に対して流
体導入孔10がほぼ垂直になるように設け,糸条導入孔9
の糸条入口側と糸条出口側の口径を同等もしくは糸条出
口側から糸条入口側に向かってテーパー状に広くすれば
よい。そして,加撚張力を解撚張力と同等もしくは若干
低く設定するのは,加撚点と解撚点の張力差によって起
こる走行糸条の繊維内部の構造変化を最小限に抑えるた
めであり,この結果,極細未延伸糸の配向を抑え,バラ
ツキのない安定した染着性を有する嵩高加工糸となり得
るのである。
【0015】本発明は,極細未延伸糸に流体旋回ノズル
を用いて仮撚加工を施すものであるが,未延伸糸は非常
に伸びやすい性質があり,延伸が生じない張力下で仮撚
を施すことが重要である。そこで,本発明では,未延伸
糸の熱収縮応力に着目し,最大熱収縮応力以下の張力下
で仮撚加工を施せば,未延伸糸が延伸されずに捲縮が付
与されることを知見して,この現象を利用するものであ
る。すなわち,本発明では,加撚及び解撚張力を極細未
延伸糸の最大熱収縮応力以下,好ましくは最大熱収縮応
力以下で,かつ0.1g/d以下にして仮撚加工を施すも
のである。極細未延伸糸の最大熱収縮応力は,糸条の複
屈折率(Δn)によって異なるが,本発明に用いる極細
未延伸糸の複屈折率(Δn)の範囲であれば,ほぼ0.05
〜0.15g/dの範囲である。したがって,加撚,解撚張
力を上記の応力値以下に維持すれば,極細未延伸糸はほ
とんど延伸されずに仮撚加工糸となり,複屈折率(Δ
n)が 130×10-3以下で,染料吸尽率の高い濃染効果を
有する糸条となる。
【0016】さらに,本発明では,前記した式を満足
する仮撚数で仮撚加工を施すことが必要である。極細フ
ィラメント糸は,その単糸繊度が流体攪乱処理時の開繊
性に大きく影響し,単糸繊度が小さくなるほど流体攪乱
処理時の開繊性を妨げる特性を有している。このことか
ら,単糸繊度に応じた仮撚数を付与することが必要とな
る。前記式を満足する仮撚数で仮撚加工を施すと,構
成フィラメント間に捲縮トルクによる空隙が形成されて
流体攪乱処理時の開繊性が向上し,均一な交絡を付与す
ることができる。
【0017】仮撚数が6000/(D1/2× F1/2)未満では低捲
縮糸となり,流体攪乱処理時に開繊効果が乏しくなって
交絡不良を招きやすく,不均一なループ毛羽を形成した
り,捲縮度が低いためにループ毛羽長が長くなるので好
ましくない。また,仮撚数が12000/(D1/2 × F1/2)を超
えると加撚作用が強くなりすぎ,糸条が延伸されたり,
あるいは繊維の捩じり作用が強くなり,繊維内部の構造
が変化して配向が進む等,染着性を低下させる要因とな
るので好ましくない。前記式のような低い仮撚数であ
っても,供給糸が未延伸糸であるため熱セット性がよ
く,開繊効果を向上させるに十分な捲縮を付与すること
ができる。
【0018】また,仮撚加工時のヒータ温度について
は,極細未延伸糸の捲縮特性を高め,開繊効果をより向
上させることからも高温のほうが好ましいが,融着が生
じない範囲の温度を採用することが必要である。融着が
生じる温度を採用すれば,たとえ部分融着に近いもので
あっても,糸条が集束されて流体攪乱処理時の開繊効果
を著しく妨げるので好ましくない。
【0019】上記のような条件下で仮撚加工を施して得
られる嵩高加工糸は,供給糸である極細未延伸糸の配向
度の進行が極力抑えられているので,染着性が従来の延
伸仮撚加工糸に比較して著しく向上し,濃染効果に優れ
たものであり,また,染着性等の物性の斑もなく,品質
が優れたものである。
【0020】さらに,第1発明で得られる嵩高加工糸に
流体噴射加工を施し,交絡やループ毛羽を形成させても
よい(第2発明)。
【0021】第2発明で得られる嵩高加工糸は,(a)糸条
全体にループ毛羽や交絡を有するので,フィラメント間
の複雑な内部屈折によって外部への乱反射光が少なくな
り,これと嵩高加工糸のもつ濃染性との相乗効果によっ
て,濃染効果が格段に向上した布帛を得ることができ
る,(b)糸条全体にループ毛羽や交絡を有しているため,
フィラメント間に空隙ができ,適度なふくらみを有する
とともに,極細糸特有のピーチスキン調のソフト風合を
併せもった布帛を得ることができる,等の特長を有して
いる。
【0022】流体噴射加工時の糸条のオーバーフィード
率は,特に限定されるものではないが,製編織性が低下
しない範囲で大きくしたほうが濃染効果を向上させる点
から好ましい。
【0023】また,第1発明で得られる嵩高加工糸に流
体噴射加工を施す際,他の糸条とともに同一の流体噴射
ノズルに導入し,2本の糸条に同時に流体噴射加工を施
して(第3発明),複合嵩高加工糸を得ることができ
る。
【0024】第3発明において,第1発明で得られる嵩
高加工糸とともに流体噴射加工に用いる他の糸条として
は,ポリエステル延伸糸を使用することが必要であり,
ポリエステル延伸糸であれば,なま糸もしくは加工糸の
いずれでもよい。
【0025】このように,比較的伸度の高い嵩高加工糸
と伸度の低い延伸糸とを混繊交絡させることで,嵩高加
工糸が伸ばされることがなく,高次加工性に優れた糸条
となる。
【0026】また,流体噴射加工時の糸条のオーバーフ
ィード率は,特に限定されるものでないが,嵩高加工糸
のオーバーフィード率を延伸糸のそれと同等もしくは大
きくしたほうが,濃染効果とソフト風合を向上させる点
から好ましい。
【0027】第2及び第3発明における流体噴射加工と
しては,糸条を交絡させるインターレース,交絡とルー
プ毛羽を形成するタスラン加工のいずれでもよく,使用
する流体噴射ノズルは,インターレースノズルやタスラ
ンノズルを挙げることができる。
【0028】第3発明で得られる複合嵩高加工糸は,第
2発明で得られる嵩高加工糸の前記(a)及び (b)の特長
に加えて,(c)比較的伸度の高い嵩高加工糸と低伸度の糸
条とが混繊交絡されているため,製織準備工程や製編織
時に受ける張力により嵩高加工糸が伸ばされることがな
く,品質の安定した布帛を得ることができる,という特
長を有している。
【0029】本発明におけるポリエステルとは,ポリエ
チレンテレフタレートで代表される分子鎖中にエステル
結合を含有するポリエステルを総称し,イソフタル酸,パ
ラオキシエトオキシ安息香酸等の第3成分を含有する変
性ポリエステルも含まれる。
【0030】次に,本発明の実施態様を図面により説明
する。
【0031】図1において,極細未延伸糸1は,供給ロ
ーラ2で供給ローラ2と第1引取ローラ5の間の仮撚加
工域に供給され,流体旋回ノズル4で加撚され,ヒータ
3で熱セットされる。次いで,第1引取ローラ5を経た
糸条は,流体噴射ノズル7で流体噴射加工が施された
後,第2引取ローラ6を経てパッケージ8に捲き取られ
る(第2発明)。
【0032】また,第1発明の場合,流体噴射ノズル7
と第2引取ローラ6がない以外は,図1と同様な工程で
処理され,第1引取ローラ5を経た糸条はパッケージ8
に捲き取られる。
【0033】図2において,極細未延伸糸1は,供給ロ
ーラ2で供給ローラ2と第1引取ローラ5の間の仮撚加
工域に供給され,流体旋回ノズル4で加撚され,ヒータ
3で熱セットされた後,第1引取ローラ5により流体処
理域に導かれる。引き続き,仮撚後の糸条は,供給ロー
ラ12で供給された低伸度の延伸糸11とともに流体噴射ノ
ズル7によって流体噴射加工が施され,次いで,第2引
取ローラ6を経てパッケージ8に捲き取られる(第3発
明)。
【0034】
【実施例】次に,本発明を実施例により具体的に説明す
る。なお,L値とは,マックベス社製MS−2020型分光
光度計で試料の反射率を測定し,CIE labの色差式か
ら濃度指標を求めた値であり,L値はその値が小さいほ
ど深みのある色であることを示す。
【0035】実施例1,比較例1 供給糸として,複屈折率(Δn)が65×10-3のポリエチ
レンテレフタレート未延伸糸160d/340fを用い,流体噴
射ノズル及び第2引取ローラを通さない以外は図1に示
す工程に従い,表1に示す条件で嵩高加工糸を製造し
た。なお,供給糸の最大熱収縮応力は,0.11g/dであ
った。また,流体旋回ノズルは,図3に示すものを採用
した。
【0036】上記で得られた嵩高加工糸を筒編地に編成
し,次いで,黒色分散染料であるダイアニックスブラッ
クHG−FS(三菱化成社製品)15%o.w.f.で染色加工し
た。
【0037】実施例1で得られた嵩高加工糸は,複屈折
率(Δn)が 105×10-3で,この糸条の筒編地はL値が
低く,ソフトで適度なふくらみ感と深みのある黒色編地
であった。
【0038】一方,加撚及び解撚張力が最大熱収縮応力
より大きい比較例1で得られた嵩高加工糸は,複屈折率
(Δn)が 155×10-3と高く,筒編地も嵩高性はある
が,濃染効果のないものであった。
【0039】実施例2,比較例2,3 供給糸は実施例1と同様のものを用い,図1に示す工程
に従い,表1に示す条件で嵩高加工糸を製造した。な
お,流体旋回ノズルは,図3に示すものを使用し,流体
噴射ノズルは,ループ毛羽と交絡を付与し得るタスラン
系のものを使用した。ただし,比較例3は,流体旋回ノ
ズルの代わりにピンタイプ仮撚施撚体を用いて延伸同時
仮撚を行った。
【0040】
【表1】
【0041】得られた嵩高加工糸を筒編地に編成し,次
いで,黒色分散染料であるダイアニックスブラックHG
−FS(三菱化成社製品)15%o.w.f.で染色加工した。
【0042】実施例2で得られた嵩高加工糸は,糸条表
面に緻密なループ毛羽と交絡を有するものであって,複
屈折率(Δn)は 105×10-3と低いものであった。ま
た,筒編地はピーチスキン調のソフト風合と適度なふく
らみ感を有し,深みのある黒色編地であった。
【0043】一方,仮撚数が低すぎる比較例2で得られ
た加工糸は,複屈折率(Δn)が110×10-3で,L値も低
く濃染効果は有するものの,不均一なループ毛羽形態で
あり,筒編地も目面が悪く,布帛の品位が著しく劣るも
のであった。また,ピンタイプ仮撚施撚体を用いた比較
例3で得られた加工糸は,緻密なループ毛羽と交絡を有
し,筒編地もピーチ調の風合とふくらみを呈していた
が,編地の表面が白茶けてみえ,発色性に乏しいもので
あった。
【0044】実施例3,比較例4,5 供給糸として,複屈折率(Δn)が65×10-3,単糸繊度
が0.4デニールのポリエチレンテレフタレート未延伸糸
70d/175fとポリエチレンテレフタレート延伸糸50d/
24fを用い,図2に示す工程に従い,表2に示す条件で
複合嵩高加工糸を製造した。なお,未延伸糸の最大熱収
縮応力は,0.11g/dであった。また,流体旋回ノズル
は図3に示すものを使用し,流体噴射ノズルは,ループ
毛羽と交絡を付与し得るタスラン系のものを使用した。
比較例3は,流体旋回ノズルの代わりにピンタイプ仮撚
施撚体を用いて延伸同時仮撚を行った。
【0045】
【表2】
【0046】実施例3で得られた複合嵩高加工糸は,糸
条表面に緻密なループ毛羽と交絡を有するものであり,
また, 嵩高加工糸の複屈折率(Δn)は 105×10-3と低
いものであった。
【0047】得られた複合嵩高加工糸を経糸及び緯糸に
用いてWJLにて製織したが,製織性は良好であり,ま
た,製織準備工程や製織時に受ける張力によって糸条が
伸ばされることがなく,品質の安定した織物を得ること
ができた。
【0048】次いで,上記の織物を黒色分散染料である
ダイアニックスブラックHG−FS(三菱化成社製)15
%o.w.f.で染色加工したところ,濃染効果に優れ,かつ
ソフトで適度なふくらみを有した黒色織物が得られた。
【0049】一方,ピンタイプ仮撚施撚体を用いた比較
例4では,ループ毛羽と交絡を有する複合嵩高加工糸は
得られたが,仮撚加工糸の複屈折率(Δn)が 160×10
-3と高く,濃染効果がないものであった。また,仮撚数
が小さい比較例5で得られた複合嵩高加工糸は,開繊が
不良で不均一な糸条形態を呈し,濃染効果は得られるも
のの,布帛の品位が著しく劣るものであった。
【0050】
【発明の効果】上述したように,第1発明によれば,糸
条にかかる張力を未延伸糸の熱収縮応力以下にして,ほ
とんど延伸することなく仮撚加工を施すことによって,
糸条の配向度の進行を抑えて染着性を向上させることが
できる。また,第2及び第3発明によれば,ループ毛羽
や交絡による適度なふくらみと極細糸特有のソフト風合
を有し,かつループ毛羽や交絡等の糸条形態と嵩高加工
糸のもつ濃染性との相乗効果によって,濃染効果が格段
に向上した嵩高加工糸を製造することが可能となる。さ
らに,第3発明によれば,仮撚加工された比較的伸度の
高い嵩高加工糸と低伸度の延伸糸とを混繊することによ
り,上記の特長に加えて製織準備工程や製編織時に受け
る張力に対する安定性の高い複合嵩高加工糸を製造する
ことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第2発明の一実施態様を示す概略工程図であ
る。
【図2】第3発明の一実施態様を示す概略工程図であ
る。
【図3】本発明で使用される流体旋回ノズルの一例を示
す図で,(a)は縦断面図であり,(b)は(a)のX−
X'線方向の横断面図である。
【符号の説明】
1 未延伸糸 3 ヒータ 4 流体旋回ノズル 7 流体噴射ノズル 9 糸条導入孔 10 流体導入孔 11 延伸糸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−214431(JP,A) 特開 昭55−84425(JP,A) 特開 平2−269821(JP,A) 特開 平4−194036(JP,A) 特開 平2−307924(JP,A) 特開 平3−206144(JP,A) 特開 平5−209337(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D02G 1/00 - 3/48 D02J 1/00 - 13/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複屈折率(Δn)が20×10-3〜80×1
    0-3,単糸繊度が1.0デニール以下のポリエステル高配
    向未延伸糸を,施撚体として流体旋回ノズルを用い,加
    撚/解撚の張力比が0.8〜1,加撚及び解撚張力が前記
    未延伸糸の最大熱収縮応力以下の張力下で,かつ次式を
    満足する仮撚数で仮撚加工することを特徴とする嵩高加
    工糸の製造方法。 仮撚数(T/M) =6000/(D1/2× F1/2)〜12000/(D1/2× F1/2) ─ ただし,D:ポリエステル高配向未延伸糸の繊度(デニ
    ール) F:ポリエステル高配向未延伸糸の単糸繊度(デニー
    ル)
  2. 【請求項2】 請求項1で得られた嵩高加工糸に流体噴
    射加工を施すことを特徴とする嵩高加工糸の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1で得られた嵩高加工糸とポリエ
    ステル延伸糸とを同一の流体噴射ノズルに導入して流体
    噴射加工を施すことを特徴とする複合嵩高加工糸の製造
    方法。
JP04140086A 1992-04-30 1992-04-30 嵩高加工糸及び複合嵩高加工糸の製造方法 Expired - Fee Related JP3086065B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04140086A JP3086065B2 (ja) 1992-04-30 1992-04-30 嵩高加工糸及び複合嵩高加工糸の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04140086A JP3086065B2 (ja) 1992-04-30 1992-04-30 嵩高加工糸及び複合嵩高加工糸の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05311528A JPH05311528A (ja) 1993-11-22
JP3086065B2 true JP3086065B2 (ja) 2000-09-11

Family

ID=15260635

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP04140086A Expired - Fee Related JP3086065B2 (ja) 1992-04-30 1992-04-30 嵩高加工糸及び複合嵩高加工糸の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3086065B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006257600A (ja) * 2005-03-18 2006-09-28 Unitica Fibers Ltd ポリ乳酸系仮撚加工糸とその製造方法及び織編物
JP2011069027A (ja) * 2009-09-28 2011-04-07 Unitika Trading Co Ltd 仮撚加工糸の製造方法及び織編物
JP2011069028A (ja) * 2009-09-28 2011-04-07 Unitika Trading Co Ltd 複合糸の製造方法及び織編物

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05311528A (ja) 1993-11-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPS6131216B2 (ja)
JP3119066B2 (ja) 混繊複合糸およびその製造方法ならびに編織物
JP3086065B2 (ja) 嵩高加工糸及び複合嵩高加工糸の製造方法
JP3502715B2 (ja) 複合嵩高加工糸の製造方法
JP2908578B2 (ja) 嵩高加工糸及び複合嵩高加工糸の製造方法
JP3086049B2 (ja) 複合嵩高加工糸の製造方法
JP4209718B2 (ja) 高発色性織編物とその製造方法
JPH07324237A (ja) ポリエステル複合加工糸
JP3176813B2 (ja) ポリエステルシック・アンド・シンヤーンおよび該ヤーンからなるカスリ調織編物
JP2000256932A (ja) 極細ポリエステル複合交絡糸
JP3247247B2 (ja) ポリエステル系複合嵩高加工糸
JP3247251B2 (ja) ポリエステル系嵩高加工糸
JP3278587B2 (ja) 自発伸長性ポリエステル仮撚加工糸及びその製造方法と、同ポリエステル仮撚加工糸を含む混繊糸及びその製造方法
JP2004225227A (ja) ポリエステル複合嵩高加工糸
JP3509995B2 (ja) 濃染性を有するポリエステル系複合糸
JP3946042B2 (ja) ポリエステル複合加工糸
JP3399661B2 (ja) 複合嵩高加工糸の製造方法
JP2862020B2 (ja) 染色性の改良されたスパンライク芯鞘構造糸
JP3526990B2 (ja) ポリエステル系異収縮混繊糸
JP3589511B2 (ja) ポリエステル系低捲縮加工糸
JP3093845B2 (ja) ポリエステル複合仮撚糸の製造法
JP3088930B2 (ja) 嵩高構造糸及びその製造方法
JPH0123576B2 (ja)
JP3251339B2 (ja) シルキー調特殊加工糸の製造方法
JPS6112950A (ja) 複合加工糸およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees