JP2016113714A - 仮撚中空マルチフィラメント糸、及び織編物 - Google Patents

仮撚中空マルチフィラメント糸、及び織編物 Download PDF

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Abstract

【課題】織編物とした場合に防透性に優れる仮撚中空マルチフィラメント糸を提供する。【解決手段】 酸化チタン微粒子を0〜10質量%含有するポリエステル樹脂からなる仮撚中空マルチフィラメント糸であって、前記仮撚中空マルチフィラメント糸を構成する単繊維の繊度が0.5〜2.5dtexであり、かつ前記仮撚中空マルチフィラメント糸における中空率3%以上である単繊維の割合が100本中2本以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、織編物とした場合に防透性に優れる仮撚中空マルチフィラメント糸に関する。さらに、本発明は、前記仮撚中空マルチフィラメント糸を含む織編物に関する。
ポリエステル繊維は寸法安定性又は耐久性などに優れるため、衣料用、産業用又は医療用のような幅広い分野において、好適に用いられる。そして、衣料分野に用いられる織編物においては、市場では軽量化及び薄地化が求められている。それに伴い、薄くても中が透けて見えず、汗などで濡れた場合でも下着等が透けて見えないという性能(防透性)が必要とされている。
防透性に優れる織編物を得るための繊維として、無機微粒子(例えば、酸化チタン)を含有するポリエステル繊維が知られている。しかし、防透性をよりいっそう向上させようと該繊維に無機微粒子をより高濃度に含有させると、繊維の表面に多くの無機微粒子が露出する。露出した無機微粒子は紡糸時にガイド摩耗などを引き起こすため、製糸性を低下させてしまう。
上記のような問題を解決するために、無機微粒子を高濃度で含有する芯部と、無機微粒子を低濃度で含有する鞘部とが、同心円状に配置されたポリエステル系芯鞘型複合繊維が知られている。しかし、こうした芯鞘型複合繊維においては、製糸性は改善されるが織編物としたときの防透性は不十分である。
そこで、織編物としたときの防透性を向上させるために、無機微粒子を含有するポリエステル系繊維の横断面形状について、様々に検討されている。具体的には、6〜10個の葉部を有する多葉形状としたり(特許文献1参照)、または横断面形状を扁平形状としたりすること(特許文献2参照)が知られている。
特開2008−081863号公報 特開2013−044055号公報
しかしながら、特許文献1に記載された技術を用いたとしても、芯部の無機微粒子の濃度を高くする必要があるため、鞘部が割れて芯部が繊維表面に露出する。また、特許文献2に記載された技術を用いた場合であっても、無機微粒子の濃度を十分に低くすることができない。つまり、特許文献1及び2においても製糸性、及び織編物とした場合の防透性、が不十分である繊維しか得られない。
本発明は、このような従来技術の欠点を解消するものであり、酸化チタン微粒子の含有量が十分に低減されても織編物とした場合に防透性に優れる仮撚中空マルチフィラメント糸を提供することを目的とする。さらに、本発明は、前記仮撚中空マルチフィラメント糸を含む織編物を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記のような課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、特定の中空部を維持するように通常用いられない条件にて仮撚加工した仮撚中空マルチフィラメント糸を含む織編物では、光の反射及び屈折が効果的に発現し、防透性に優れるという知見を見出した。そして、これにより、酸化チタン微粒子の含有量が十分に低減されても織編物とした場合の防透性に優れる仮撚中空マルチフィラメント糸を得ることができるという知見も見出した。さらに具体的に述べると、通常は、衣料用途などにおいて織編物に嵩高性を付与するためのマルチフィラメント糸の仮撚係数は30,000〜33,000程度、仮撚加工温度は190〜210℃程度であり、これら範囲の下限以下となると嵩高性が不十分となる。そのため、高嵩性を得るための通常の仮撚加工においては、後述する本発明の仮撚係数、仮撚加工温度は用いられず、仮に用いたとしても嵩高性の低いものしか得られない。本発明者らは、該仮撚条件と仮撚中空マルチフィラメント糸における中空率との関係と、防透性に与える影響について詳細に検討したところ、従来の知見に反して、通常用いない仮撚条件にて仮撚加工を行い、特定の中空部を維持するようにした仮撚中空マルチフィラメント糸を含む織編物では、光の反射及び屈折が効果的に発現し、防透性に優れ、これにより、酸化チタン微粒子の含有量が十分に低減されても織編物とした場合の防透性に優れる仮撚中空マルチフィラメント糸を得ることができるという知見も見出し、さらに検討を重ね本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記(1)〜(4)を要旨とする。
(1)酸化チタン微粒子を0〜10質量%含有するポリエステル樹脂からなる仮撚中空マルチフィラメント糸であって、前記仮撚中空マルチフィラメント糸を構成する単繊維の繊度が0.5〜2.5dtexであり、かつ前記仮撚中空マルチフィラメント糸における中空率3%以上である単繊維の割合が100本中2本以上である仮撚中空マルチフィラメント糸。
(2)下記(i)〜(iii)を満足する中空マルチフィラメント糸を、温度150〜200℃、かつ仮撚係数18,000〜30,000の条件で仮撚加工する(1)記載の仮撚中空マルチフィラメント糸の製造方法。
(i)前記中空マルチフィラメント糸が、酸化チタン微粒子を0〜10質量%含有するポリエステル樹脂からなる。
(ii)前記中空マルチフィラメント糸の中空率が5〜30%。
(iii)前記中空マルチフィラメント糸を構成する単繊維の繊度が0.5〜2.5dtex。
(3)(1)に記載の仮撚中空マルチフィラメント糸を含む織編物。
(4)WI値が19以下である(3)に記載の織編物。
本発明によれば、無機微粒子の含有量が低減されても、織編物とした場合に防透性に顕著に優れる仮撚中空マルチフィラメント糸を提供することができる。本発明の仮撚中空マルチフィラメント糸は、酸化チタン微粒子の含有量が十分に低減されるために製糸性に優れる。さらに、本発明によれば、この仮撚中空マルチフィラメント糸を含み、防透性に優れる織編物を得ることができる。
本発明の仮撚中空マルチフィラメント糸の断面写真である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の仮撚中空マルチフィラメント糸は、酸化チタン微粒子を0〜10質量%含有するポリエステル樹脂からなる仮撚中空マルチフィラメント糸である。
本発明における酸化チタン微粒子は、酸化チタンからなる微粒子であれば特に限定されないが、ルチル型であってもよいしアナターゼ型であってもよい。酸化チタン微粒子は、他の無機微粒子(例えば、酸化カルシウム、酸化マグネシウム又は酸化亜鉛の微粒子)と比較すると、防透性、又は汎用性に優れ、コストメリットも高いため好ましい。
酸化チタン微粒子は、いわゆる隠蔽素材として用いられるため、可視光線から赤外線までの光線を効率よく反射し得る程度の粒径を有することが好ましい。詳しくは、酸化チタン微粒子の平均粒径は0.1〜3.0μmであることが好ましい。ここで、酸化チタン微粒子の平均粒径は、電子顕微鏡で粒子の直径を測定して求められる。
単繊維における酸化チタン微粒子の含有割合は0〜10質量%であり、0.01〜5質量%であることが好ましく、1〜3質量%であることがより好ましい。本発明の仮撚中空マルチフィラメント糸においては、後述するように、中空構造を有し、且つ、仮撚加工をおこなっているため、酸化チタン微粒子の含有量が低いものであっても、防透性に優れるものである。そのため、紡糸操業性又は工程通過性にも優れる。
本発明におけるポリエステル樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリオキシエトキシベンゾエート、ポリエチレンナフタレート、又はシクロヘキサンジメチレンテレフタレートなどのポリエステルからなる樹脂が挙げられる。または、これらのポリエステルに付加部分としてイソフタル酸、スルホイソフタル酸成分、又はジオール成分(例えば、プロピレングリコール、ブチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、又はジエチレングリコール)を共重合したもの、又は、脂肪族ポリエステル(ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートなどの化合物であって、土壌中又は水中に長時間放置されると、微生物の作用によって、二酸化炭素と水とに分解されるポリエステル)などが挙げられる。
本発明の仮撚中空マルチフィラメント糸を構成する単繊維の繊度は0.5〜2.5dtexであり、0.8〜2.3dtexであることが好ましい。単糸繊度が2.5dtex以下であると、例えばフィラメント数を増加させた場合に総繊度が太くなり過ぎることがなく、織編物とした場合に薄地化が可能となることに加え、織編物表面のカバー性が向上する。一方、0.5dtex以上であると、好ましい形状の中空部を形成することができるため防透性及び強度に優れる。
本発明の仮撚中空マルチフィラメント糸は、中空率が3%以上である単繊維が、100本の単糸中に2本以上含まれる(つまり、中空率が3%以上である単繊維が2本%以上の割合で存在する)ため、織編物とした場合の防透性が顕著に向上する。特に、中空率が3%以上である単繊維が、100本の単繊維中に25本以上含まれることが好ましく、30本以上含まれることがより好ましく、50本以上含まれることがさらに好ましい。また、中空率が5%以上である単繊維が、100本の単糸中に10本以上含まれることがより好ましく、20本以上含まれることがさらに好ましい。さらにまた、中空率が8%以上である単繊維が、100本の単糸中に2本以上含まれることがより好ましく、5本以上含まれることがさらに好ましい。
本発明の仮撚中空マルチフィラメント糸は、特定の中空部を有する単繊維からなる。具体的には、仮撚加工後に、中空率が3%以上である単繊維が、100本の単繊維あたり2本以上の割合で残存して含まれる。仮撚加工が施され、かつ特定の中空率で中空部が維持(残存)されることで、酸化チタン微粒子の含有割合を過度に高めずとも、織編物を構成する単繊維間での十分な空隙と単繊維の中空部における空気層での光の反射及び屈折現象がいっそう適切に発現させ得ることから、防透性に顕著に優れる仮撚中空マルチフィラメント糸とすることができる。さらに、こうした織編物においては、単繊維および織編物における十分な空気層が存在するため、遮熱性(涼感性)にも優れたものとなる。なぜなら、空気は熱伝導率が非常に低く、さらに光の反射率を高めることにより透過率が低くなるからである。なお、図1は本発明の仮撚中空マルチフィラメント糸の断面図であるが、特定の中空部が適切に維持されていることが明らかである。
仮撚中空マルチフィラメント糸を構成する単繊維における中空部の個数は特に限定されず、1個であってもよいし複数個であってもよい。中空部の個数が1個であると、紡糸性がより良好となる。また、強度および防透性に優れる観点から、中空部は繊維断面の中心部に配されることが好ましい。中空部の個数が複数個であると、空気層が多数存在することにより、防透性及び遮熱性が向上するとともに、仮撚加工後の中空率を制御しやすいという利点がある。
本発明の仮撚中空マルチフィラメント糸の捲縮率は、5〜65%が好ましく、10〜55%がより好ましく、10〜40%がよりいっそう好ましく、10〜20%がさらに好ましく、10〜15%が特に好ましい。なお、捲縮率は、下記式(I)から算出した数値である。
捲縮率(%)={(A0−A1)/A0}×100 (I)
A1:糸条に90.91×10−3cN/dtexの張力を掛けながらかせ取りし、かせに1.47×10−4cN/dtexの荷重をかけた状態で30分沸水処理した後、24時間放置した後のかせ長である。
A0:A1測定後、荷重を1.46×10−3cN/dtexから4.4×10−2cN/dtexに変更したときのかせ長である。
捲縮率は、仮撚加工時の条件(例えば、ヒーター温度、オーバーフィード率、仮撚係数)を制御することで、調整可能である。
仮撚中空マルチフィラメント糸を構成する単繊維の形状は特に限定されず、丸断面であってもよいし、三角形、四角形又は多葉形状などのような異形断面であってもよい。
本発明の仮撚中空マルチフィラメント糸の伸度は、例えば、20〜35%であることが好ましい。
仮撚中空マルチフィラメント糸を構成する単糸は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、各種の添加剤(例えば、顔料、染料、着色剤、撥水剤、吸水剤、難燃剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、滑剤、可塑剤、抗菌剤、又は香料)を含有していてもよい。
本発明の仮撚中空マルチフィラメント糸を織編物とした場合に、単繊維が適切な中空率を有するものであると、空気層が十分に保持されるため、前述のように、防透性及び遮熱性が顕著に向上する。そして、織編物とした場合の空気層を十分に保持し太陽光の拡散反射効果を高めるためには、仮撚中空マルチフィラメント糸のフィラメント数は多いほうが好ましい。具体的には、フィラメント数が10〜200本であることが好ましく、20〜120本であることがより好ましい。フィラメント数が10本以上であると中空部の合計が大きくなるため、防透性又は遮熱性により優れる。一方、フィラメント数が200本以下であると仮撚中空マルチフィラメント糸の強度が弱すぎることがなく、織編物とした場合に、摩擦時にピリング又は単糸切れに起因する毛羽などのような欠陥を抑制できる。
本発明の織編物は、本発明の仮撚中空マルチフィラメント糸を含む。本発明の織編物は、防透性に顕著に優れる。本発明の織編物は、本発明の仮撚中空マルチフィラメント糸を30質量%以上の混用率で含むことが好ましく、50質量%以上の混用率で含むことがより好ましい。混用率が30質量%以上であると、織編物は防透性又は遮熱性により優れる。混用の方法としては、混繊、混紡、交撚、交織又は交編が挙げられる。
本発明の織編物において、仮撚中空マルチフィラメント糸を用いる箇所は特に限定されず、表面及び裏面のうち何れに使用してもよい。
本発明の織編物が織物の場合、その組織の具体例としては、平織、綾織、朱子織、又は絡み織が挙げられる。織物密度としては、経糸密度が150本/インチ以上であることが好ましく、緯糸密度が70本/インチ以上であることが好ましい。経糸密度、又は緯糸密度がこの範囲であると、織物中の構成繊維の間の空隙が過度に多くならず、防透性又は遮熱性により優れる。
本発明の織編物が編物の場合、その組織の具体例としては、カノコ、フライス又はスムースが上げられる。編地密度としては、(1インチあたりのコース数)×(1インチあたりのウェール数)の値が1000以上であることが好ましい。編地密度が1000以上であると、複数の構成繊維の間の空隙が過度に多くならず、防透性又は遮熱性により優れる。
本発明の織編物が織物の場合、1100〜2200のカバーファクターを有することが好ましい。また、本発明の織編物が編地の場合、15〜50のカバーファクターを有することが好ましい。カバーファクターがこうした範囲であると、厚手となることなく、良好な防透性を発現することができる。
カバーファクター(CF)は、織物の場合は下記式(II)によって算出され、編物の場合は下記式(III)によって算出される。
CF=WAD×√DT+WED×√DT (II)
CF=CD×√DT+WD×√DT (III)
上記式中の略語は、以下のものを示す。
DT:マルチフィラメント糸の繊度(dtex)
WAD:経糸密度(本/2.54cm)
WED:緯糸密度(本/2.54cm)
CD:コース密度(本/2.54cm)
WD:ウェール密度(本/2.54cm)
本発明の織編物は、30〜300g/mの目付けを有することが好ましい。目付けがこうした範囲であると、厚手となることなく、良好な防透性を発現することができる。
本発明の仮撚中空マルチフィラメント糸を含む織編物のWI値は、19以下が好ましく、16以下がより好ましく、14以下がいっそう好ましく、12以下であることが特に好ましい。該WI値は、中空マルチフィラメント糸及び仮撚中空マルチフィラメント糸の中空率、酸化チタン濃度、仮撚加工条件などを調整することにより適宜設定することができる。後述するように、WI値は防透性の指標であり、この値が低いほど防透性に優れることを示す。なお、WI値の求め方は、実施例にて後述する。
本発明の仮撚中空マルチフィラメント糸の製造方法は、特定の中空マルチフィラメント糸を特定条件下、仮撚加工するものである。
本発明の仮撚中空マルチフィラメント糸の原糸となる中空マルチフィラメント糸は、前述のように、酸化チタン微粒子を1〜10質量%含有するポリエステル樹脂からなる中空マルチフィラメント糸であることが好ましく、前記中空マルチフィラメント糸を構成する単繊維の繊度は0.5〜2.5dtexであることが好ましい。
原糸となる中空マルチフィラメント糸を構成する単繊維の中空率は5〜30%が好ましく、5〜15%であることがより好ましい。仮撚前の単繊維の中空率が5%以上であると、仮撚後の単繊維においても十分な中空部(空気層)が存在することに起因して、防透性がより高められる。また、中空率が30%以下であると、仮撚加工を施した場合に中空部が過度に潰れることを抑制できる。本明細書において、中空率は、以下のように測定できる。中空マルチフィラメント糸、又は仮撚中空マルチフィラメント糸の単繊維横断面を、光学顕微鏡を用いて倍率345倍にて断面写真を撮影し、この断面写真から画像処理により、全体の面積と中空部の面積を測定し、全体の面積に対する中空部の面積を算出する。
本発明の仮撚中空マルチフィラメント糸の製造方法においては、上記の中空マルチフィラメント糸を温度150〜200℃(好ましくは160〜180℃)、かつ仮撚係数18,000〜30,000(好ましくは20,000〜28,000、より好ましくは23,000〜26,000)の条件で仮撚加工する。このように通常の仮撚加工では用いない緩やかな条件にて仮撚加工を施し、中空マルチフィラメント糸の中空率を特定以上のものとした仮撚糸とすることで、前述のように、酸化チタン微粒子の含有割合を過度に高めずとも、織編物を構成する単繊維間での十分な空隙と単繊維の中空部における空気層での光の反射及び屈折現象がいっそう適切に発現させ得る、防透性に顕著に優れる仮撚中空マルチフィラメント糸とすることができる。
本発明の仮撚中空マルチフィラメント糸の製造方法においては、その他の仮撚加工条件としては、本発明の効果を損なわない範囲で特に限定されないが、例えば、延伸糸を仮撚原糸とする場合には、延伸倍率が0.9〜1.2倍が好ましく、1.0〜1.1倍がより好ましい。また、延伸糸の場合は、オーバーフィード率が−2〜5%であることが好ましい。また、加撚張力は延伸繊度の1/20〜1/5(g)が好ましく、解撚張力/加撚張力で表される加撚解撚比は、1.5〜3.0程度が好ましい。
本発明の織編物は防透性に顕著に優れ、さらに遮熱性及び風合いも良好である。そのため、一般衣料用途のみならず、水着などのスポーツ用途、ブラウスなどのオフィス用ユニフォーム用途、又は白衣などの医療用途において、特に好適に用いられる。
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されない。
なお、各々の物性の測定方法又は評価方法は以下の通りである。
<WI値(防透性)>
測定対象である織編物を、マクベス社製MS−2020型分光光度計を使用し、視野2°の測色条件で、試料の裏面に白板および黒板を設置したときのWI(Lab)の差について、湿潤時試料(WIw)及び乾燥時試料(WId)で測色し、両者の差(WIw−WId)をWIとした。なお、乾燥時試料とは、織編物を、20℃かつ65%RHの環境下で24Hrs調整した試料である。湿潤時試料とは、織編物を、20℃かつ65%RHの環境下で24Hrs調整した試料に対し、この試料と同質量の水分を含ませた試料である。
<中空率>
前述の方法にて中空率の測定をおこなった。なお、中空率の測定は、仮撚加工する前の中空マルチフィラメント糸と、仮撚加工後の仮撚中空マルチフィラメント糸とについて行い、得られた結果を100本換算としたものを評価結果とした。
<捲縮率>
前述の方法にて捲縮率の測定をおこなった。
実施例1〜3、比較例1
(中空マルチフィラメント糸の製造)
マスターバッチの添加により、ポリエステル樹脂(PET、極限粘度:0.65)中に酸化チタン微粒子を2質量%の割合となるように添加した。これを、中空用紡糸口金を用いて温度295℃で紡糸し、引取速度3000m/分で引き取って、中空率が5%である同心円状の中空マルチフィラメント糸(160dtex/72フィラメント)を得た。中空マルチフィラメント糸の紡糸時に切糸はなく、製糸性は良好であった。
(仮撚中空マルチフィラメント糸の製造)
上記のようにして得られた中空マルチフィラメント糸に対して、表1に示した条件で仮撚加工を施し、実施例1〜3、比較例1の仮撚中空マルチフィラメント糸を得た。得られた仮撚中空マルチフィラメント糸を捲縮率、中空率の評価に付した。
(織物の製造)
上記のようにして得られた仮撚中空マルチフィラメント糸を緯糸に配し、ポリエステルマルチフィラメント糸(ユニチカ株式会社製、56dtex/24フィラメント)を経糸に配して、実施例1〜3、比較例1の織物を得た(平組織、経糸密度:150本/2.54cm、緯糸密度:70本/2.54cm)。この織物において、仮撚中空マルチフィラメント糸の混用率は58%であった。この織物に対して、常法に従って精練し、下記処方にて温度130分で30分間染色を行った。
染料 UVITEX EBF:1%omf
助剤 ニッカサンソルトSN−130:0.5g/l
酢酸:0.2ml/l
染色後、仕上げ加工を行って、防透性(WI値)の評価に付した。
実施例4〜6、比較例2
(中空マルチフィラメント糸の製造)
紡糸時にノズルより吐出するポリマー量を適宜に調整することにより、中空率を15%に変更し、実施例1と同様の操作により中空マルチフィラメント糸(146dtex/72フィラメント)を得た。
(仮撚中空マルチフィラメント糸の製造)
上記のようにして得られた中空マルチフィラメント糸に対して、表1に示した条件で仮撚加工を施し、実施例4〜6、比較例2の仮撚中空マルチフィラメント糸を得た。得られた仮撚中空マルチフィラメント糸を捲縮率、中空率の評価に付した。
(織物の製造)
上記のようにして得られた仮撚中空マルチフィラメント糸を緯糸に配し、ポリエステルマルチフィラメント糸(ユニチカ株式会社製、56dtex/24フィラメント)を経糸に配して、実施例4〜6、比較例3〜4の織物を得た(平組織、経糸密度:150本/2.54cm、緯糸密度:70本/2.54cm)。この織物において、仮撚中空マルチフィラメント糸の混用率は58%であった。この織物に対して、常法に従って精練し、下記処方にて温度130分で30分間染色を行った。
染料 UVITEX EBF:1%omf
助剤 ニッカサンソルトSN−130:0.5g/l
酢酸:0.2ml/l
染色後、仕上げ加工を行って、評価に付した。
(中空マルチフィラメント糸の製造)
実施例7〜10
酸化チタン微粒子の含有率を0質量%に変更し、実施例1と同様の操作により実施例7〜10の中空マルチフィラメント糸(160dtex/72フィラメント)を得た。
(仮撚中空マルチフィラメント糸の製造)
上記のようにして得られた中空マルチフィラメント糸に対して、表1に示した条件で仮撚加工を施し、実施例7〜10の仮撚中空マルチフィラメント糸を得た。得られた仮撚中空マルチフィラメント糸を捲縮率、中空率の評価に付した。
(織物の製造)
上記のようにして得られた仮撚中空マルチフィラメント糸を緯糸に配し、ポリエステルマルチフィラメント(ユニチカ株式会社製、56dtex/24フィラメント)を経糸に配して、実施例7〜10の織物を得た(平組織、経糸密度:150本/2.54cm、緯糸密度:70本/2.54cm)。この織物において、仮撚中空マルチフィラメント糸の混用率は58%であった。この織物に対して、常法に従って精練し、下記処方にて温度130分で30分間染色を行った。
染料 UVITEX EBF:1%omf
助剤 ニッカサンソルトSN−130:0.5g/l
酢酸:0.2ml/l
染色後、仕上げ加工を行って、評価に付した。
実施例1〜10、比較例1、2において得られた仮撚中空マルチフィラメント糸、該織物の評価結果を表1に示す。
Figure 2016113714
比較例3〜6
(中空部を有しないマルチフィラメント糸の製造)
ノズルに取り付ける紡糸口金を、中空用紡糸口金から中実用紡糸口金(断面形状が中空を有しない丸断面となるようなマルチフィラメント糸を得るための口金)に変更し、実施例1と同様の操作により、中空部を有しない丸断面のマルチフィラメント糸(168dtex/72フィラメント)を得た。
(仮撚マルチフィラメント糸の製造)
このポリエステルフィラメント糸に対して、表2に示した条件で仮撚加工を施し、比較例3〜6の仮撚マルチフィラメント糸を得た。
(織物の製造)
仮撚中空マルチフィラメント糸を緯糸に配し、ポリエステルマルチフィラメント糸(ユニチカ株式会社製、56dtex/24フィラメント)を経糸に配して、比較例3〜6の織物を得た(平組織、経糸密度:150本/2.54cm、緯糸密度:70本/2.54cm)。この織物において、仮撚中空マルチフィラメント糸の混用率は58%であった。この織物に対して、常法に従って精練し、下記処方にて温度130分で30分間染色を行った。
染料 UVITEX EBF:1%omf
助剤 ニッカサンソルトSN−130:0.5g/l
酢酸:0.2ml/l
染色後、仕上げ加工を行って、評価に付した。
比較例3〜6の評価結果を、表2に示す。
Figure 2016113714
表1から理解できるように、実施例1〜10で得られた本発明の仮撚中空マルチフィラメント糸は、織編物とした場合の防透性に優れることが明らかであった。特に、単繊維の中空率が高い仮撚中空マルチフィラメント糸を得た実施例4〜10においては、得られた織編物は防透性に顕著に優れていた。これは、仮撚加工後の中空部をより大きく維持しやすいため、光が仮撚中空マルチフィラメント糸及び該織編物を通過する際の反射及び屈折現象が大きくなるからであると推測される。
比較例1、2においては、仮撚加工条件が高い嵩高性を発揮し得る通常の仮撚条件を選択していたため、仮撚中空マルチフィラメント糸の中空率が低く、防透性に劣る織編物しか得られなかった。
比較例3〜6においては、中空部を有しない単糸からなるポリエステルフィラメントを仮撚加工して仮撚マルチフィラメント糸を得た。表2から理解できるように、仮撚加工条件を様々に変更しても、防透性に劣る織編物しか得られなかった。

Claims (4)

  1. 酸化チタン微粒子を0〜10質量%含有するポリエステル樹脂からなる仮撚中空マルチフィラメント糸であって、前記仮撚中空マルチフィラメント糸を構成する単繊維の繊度が0.5〜2.5dtexであり、かつ前記仮撚中空マルチフィラメント糸における中空率3%以上である単繊維の割合が100本中2本以上である仮撚中空マルチフィラメント糸。
  2. 下記(1)〜(3)を満足する中空マルチフィラメント糸を、温度150〜200℃、かつ仮撚係数18,000〜30,000の条件で仮撚加工する請求項1記載の仮撚中空マルチフィラメント糸の製造方法。
    (1)前記中空マルチフィラメント糸が、酸化チタン微粒子を0〜10質量%含有するポリエステル樹脂からなる。
    (2)前記中空マルチフィラメント糸の中空率が5〜30%。
    (3)前記中空マルチフィラメント糸を構成する単繊維の繊度が0.5〜2.5dtex。
  3. 請求項1に記載の仮撚中空マルチフィラメント糸を含む織編物。
  4. WI値が19以下である請求項3に記載の織編物。
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